説明

車両撮影装置

【課題】別段の専用部品を備えることなく、かつCCDカメラと赤外線投光器とを任意に組み合わせることができる車輌撮影装置を提供する。
【解決手段】CCDカメラと、赤外線投光器と、を組み合わせてなる車輌撮影装置であって、赤外線投光器は、CCDカメラからの映像信号のうち垂直同期信号を受信して、予め定められた受信後の一定期間は赤外線の照射を停止するとともに、予め定められた受信後の一定期間の経過後は設定された露光時間と同じ時間の赤外線の照射を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路の料金所等に配置される車輌撮影装置に係り、特にCCDカメラと赤外線投光器とを任意に組み合わせてなる車輌撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のCCDカメラにおいては、高速で移動する被写体の静止画像を得るためにストロボ照明を使用して当該被写体を撮像し、その撮像画像をメモリ等の記憶媒体に一時取込み、この後に画像処理を行うという方式がとられている。この場合、1フレームの撮像電荷を電荷転送タイミングに同期して映像処理回路内のメモリに転送している。
【0003】
現在のテレビジョンカメラでは、インタレース走査方式が採用されており、上述のCCDカメラにおいても同様である。このインタレース走査方式のCCDカメラにおいては、ストロボ光を使用して非常に短い時間のみ被写体に照明を当て、CCD素子の第1フィールド及び第2フィールドの両撮像電荷を取り出して1フレーム映像として画像処理を行っている。
【0004】
CCD素子からの撮像電荷の伝送中にストロボ発光が行われると、この撮像電荷量が変化してしまい、正常な画像が得られない。そこで、CCDカメラ内部でCCD素子の電荷移送が行われているときには、これを検出してストロボ発光を禁止する技術が提案されている(特許文献1)。
【0005】
図3において、CCDカメラ101からの映像信号(同期信号を含む)は図示せぬ映像信号処理部へ供給されると共に、ストロボ制御回路102へも供給される。このストロボ制御回路102においては、同期分離器121にて映像信号から同期信号が分離され、垂直同期信号V及び水平同期信号Hが夫々導出される。
【0006】
垂直同期信号Vはカウンタ122のリセット入力となり、また水平同期信号Hはカウンタ122のカウントアップ入力となっている。このカウンタ122のカウント出力はコンパレータ123へ供給され、上限値MAXと下限値MINとにより定まる一定範囲内に当該カウント出力が存在するかどうかの判定がなされる。この判定により、カウント出力が当該一定範囲内に存在するとされた場合は、その間コンパレータ123からストロボ発光禁止パルス125が生成される。
【0007】
このストロボ発光禁止パルス125はストロボ駆動回路124へ入力され、このストロボ発光禁止パルス125の存在期間、ストロボ103の発光が強制的に禁止される。
【0008】
例えば、CCD素子の撮像電荷の転送が、垂直同期信号Vの開始タイミングから数えて4個目の垂直同期信号から8個目の垂直同期信号の発生期間内に行われるとする。この場合には、コンパレータ123の上限値MAXを「8」、下限値MINを「4」に夫々予め設定しておく。
【0009】
そうすれば、カウンタ122のカウント出力が、垂直同期信号Vの開始タイミングから「4」になったときにストロボ発光禁止パルス125がイネーブルとなり、「8」になったときにディスイネーブルとなり、よってその間ストロボ発光が強制的に禁止されることになる。従って、CCD素子の撮像電荷の転送時には、ストロボ発光は行われないようにすることができる。
【0010】
この種のCCDカメラを用いた車輌撮影装置として、例えば特許文献2に示すものが提案されている。これは、図4に示すように、CCDカメラ100からの映像信号のうち垂直同期信号V及び水平同期信号Hとを受信して、垂直同期信号V受信後の水平同期信号Hの受信回数をカウントし、これに基づいて赤外線投光器120としてのストロボの発光タイミングを定めるものである。この例ではCCDカメラ100の本体内には、CCD駆動パルスを発生させるために水平同期パルスをカウントするカウンタ114が設けられている。このカウント出力をコンパレータ115へ入力し、上限値MAXと下限値MINとの間にカウント出力が存在しているときストロボ発光禁止パルスdを生成し、端子117から外部に導出する。この端子117に接続された赤外線投光器120の発光が操作される。
【0011】
この構成によれば、カメラ内に既に存在しているカウンタの出力を用い、単にコンパレータを追加するのみでストロボ発光禁止パルスを生成することができ、システム全体の簡素化をはかることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平1−222581号公報
【特許文献2】特開平6−284317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献2の車輌撮像装置の場合、2種類の同期信号を解析するため、コンパレータ115等の専用部品が必要となり、コスト高騰の原因となっていた。また、CCDカメラ100の駆動と赤外線投光器120との発光タイミングとを合わせるためには、垂直同期信号受信後の水平同期信号の受信回数がどのような条件を満たした場合に発光タイミングとなるかに基づいて設定する必要がある。しかしながら、垂直同期信号受信後の水平同期信号の受信回数は、CCDカメラの機種によって異なっている場合があり、CCDカメラと赤外線投光器とを任意に組み合わせることが困難であった。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、別段の専用部品を備えることなく、かつCCDカメラと赤外線投光器とを任意に組み合わせることができる車輌撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による車輌撮影装置は、CCDカメラと、赤外線投光器と、を組み合わせてなる車輌撮影装置であって、赤外線投光器は、CCDカメラからの映像信号のうち垂直同期信号を受信して、予め定められた受信後の一定期間は赤外線の照射を停止するとともに、予め定められた受信後の一定期間の経過後は設定された露光時間と同じ時間の赤外線の照射を行うことを特徴とする。本発明では、CCD駆動回路による転送タイミングはCCDカメラの製造元、規格等により様々であるが、予め定められた受信後の一定期間は電荷転送がなされることを見出し、これに基づいてなされたものである。
【0015】
すなわち本発明は、CCDカメラと、赤外線投光器とを具備した車輌撮影装置であって、前記赤外線投光器は、CCDカメラからの映像信号のうち垂直同期信号を受信し、前記垂直同期信号受信後、予め定められた一定期間は赤外線の照射を停止し、前記一定期間の経過後は設定された露光時間に相当する時間の赤外線の照射を行うように構成されたことを特徴とする。
この構成によれば、CCDカメラの出力信号から垂直同期信号を取り出して赤外線投光器を駆動することで、発光禁止期間を確保しているため、CCD駆動パルス生成のためのタイミングを発生するカウンタやコンパレータが不要となり、システム全体の簡素化及び低価格化が可能となる。
【0016】
また本発明は、上記車両撮像装置において、前記赤外線投光器は、CCDカメラからの映像信号のうち垂直同期信号を受信して、前記垂直同期信号受信後、予め定められた一定期間は赤外線の照射を停止し、受信後の前記予め定められた一定期間の経過後は設定された露光時間に相当する時間の赤外線の照射を行うタイミング信号発生手段を具備し、前記タイミング信号発生手段が前記赤外線投光器の駆動信号を生成するように構成される。
この構成によれば、CCDカメラの出力信号から垂直同期信号を取り出して赤外線投光器を駆動することで、発光禁止期間を確保しているため、簡略な装置構成で確実なタイミング制御が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明してきたように、本発明の車両撮影装置は、赤外線投光器は、CCDカメラからの映像信号のうち垂直同期信号を受信して、垂直同期信号受信後、予め定められた一定期間は赤外線の照射を停止し、受信後の前記予め定められた一定期間の経過後は設定された露光時間に相当する時間の赤外線の照射を行うようにしているため、別段の専用部品を必要とすることなく、CCDカメラと赤外線投光器とを任意に組み合わせることのできる車両撮影装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1の車輌撮影装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の車輌撮影装置における信号のタイミングを示す図
【図3】従来例の装置の説明図
【図4】従来例の装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態の車両撮像装置のブロック図である。
本発明の実施の形態の車両撮像装置は、CCDカメラ1に赤外線投光部2を組み合わせて用いられるものであって、CCDカメラ1は、スイッチングトランジスタとフォトダイオードとで構成されたCCD素子と、これを駆動するCCD駆動回路11と、出力信号を処理する映像処理回路12と、同期分離器13とを具備し、この同期分離器13で得られた垂直同期信号Vを、赤外線投光器23の投光器駆動部24に出力するように構成されている。
【0020】
ここで、CCD素子は、受光に応じて生成された電荷を蓄積する光電素子である。
そして、CCD駆動回路11は、CCD素子10上の電荷を映像処理回路12を転送する転送タイミングを生成、送信するものである。映像処理回路12は、転送された電荷を画像データに処理するものである。同期信号発生回路は、少なくとも垂直同期信号を生成するものである。
【0021】
以上の構成により、CCD素子による撮像電荷はCCD駆動回路11による電荷転送タイミングに応答して映像処理回路12へ転送され、同期分離器13から生成される垂直同期信号V、水平同期信号Hが夫々付加されてビデオ信号として端子により外部へ導出される。
ここでCCD駆動回路11による転送タイミングはCCDカメラ1の製造元、規格等により様々であるが、予め定められた受信後の一定期間は電荷転送がなされることを見出し、本発明は、この点に着目してなされたものである。
【0022】
赤外線投光部2は、赤外線投光器23としての赤外線LEDと、投光器駆動部24としての赤外線LED駆動部と、垂直同期信号受信部22と、タイマー26と、を備えている。
ここで赤外線LEDは、光源であり、発光により赤外線を照射する。
投光器駆動部24は、発光タイミングを生成、送信する。
垂直同期信号受信部22は、映像信号のうち垂直同期信号のみを分離して受信する。
タイマ26は、制御用のマイコンに内蔵されているものである。
【0023】
ここで用いられる各信号の一例を図2に示す。(a)は垂直同期信号V、(b)は水平同期信号H、(c)はCCD駆動回路11における電荷転送タイミングCd、(d)は投光器発光禁止パルスTである。この図2から明らかなように、電荷転送タイミングは、投光器発光禁止パルスのほぼ中央にあり、電荷転送時には赤外線投光器の発光は禁止されていることがわかる。
【0024】
以上の構成により、タイマー26は、垂直同期信号を受信後に、CCDカメラに応じて定められる一定期間を測定し、その間は赤外線LED駆動部は赤外線LEDを発光させず、その後に予め設定された露光時間と同じ時間の赤外線の照射を行うことができる。
【0025】
なお、垂直同期信号を受信後にカメラに応じて定められる一定期間は、以下のように決定される。たとえば、CCDカメラ1と赤外線投光器23と組み合わせて、予め設定された露光時間にて、垂直同期信号を受信した後の発光タイミングを種々変更する試験撮影を行い、最も好ましいタイミングをもって当該一定期間とする。これをタイマーにあらかじめセットしておくことで、タイマーを付加するのみで、通例の手段を後いて赤外線透光のタイミングを検知する。したがってタイマー26を付加するのみで、装置部品の増大もなく、信頼性の高い車輌撮像装置を提供することが可能である。
【0026】
ここで赤外線投光器は、垂直同期信号受信後、予め定められた一定期間は赤外線の照射を停止し、受信後の予め定められた一定期間の経過後は設定された露光時間に相当する時間の赤外線の照射を行う。この時間は通常露光時間と同じ時間である。
【0027】
CCDカメラ1外部の投光器駆動部24は、このストロボ発光禁止パルスT(d)の供給を受けるだけで、この投光器発光禁止パルスTのイネーブルの期間はストロボ発光を禁止状態に制御することが可能となる。
【0028】
このように本発明によれば、CCDカメラ1のビデオ信号から垂直同期信号を取りだすようにしているため、カメラ外部の投光器制御回路の構成は極めて簡単化され、システムの簡素化、低価格化を図ることができる。
【0029】
以上説明してきたように、本発明によれば、CCDカメラの出力信号から垂直同期信号を取り出して赤外線投光器を駆動することで、発光禁止期間を確保しているため、CCD駆動パルス生成のためのタイミングを発生するカウンタやコンパレータが不要となり、システム全体の簡素化及び低価格化が可能となるという効果がある。
【符号の説明】
【0030】
1 CCDカメラ
10 CCD素子
11 CCD駆動回路
12 映像処理回路
2 赤外線投光部
22 垂直同期信号受信部
23 赤外線投光器
24 投光器駆動部
25 垂直同期信号
26 タイマー
T 投光器発光禁止パルス
V 垂直同期信号
H 水平同期信号
Cd 電荷転送タイミング
101 CCDカメラ
111 CCD素子
112 映像処理回路
113 同期信号発生回路
114 カウンタ
115 コンパレータ
116 CCD駆動回路
117 ストロボ発光禁止パルス出力端子
120 投光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCDカメラと、赤外線投光器とを具備した車輌撮影装置であって、
前記赤外線投光器は、CCDカメラからの映像信号のうち垂直同期信号を受信して、前記垂直同期信号受信後、予め定められた一定期間は赤外線の照射を停止し、
受信後の前記予め定められた一定期間の経過後は設定された露光時間に相当する時間の赤外線の照射を行うように構成された車輌撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両撮影装置であって、
前記CCDカメラは、CCDカメラからの映像信号のうち垂直同期信号を受信して、前記垂直同期信号受信後、予め定められた一定期間は赤外線の照射を停止し、
受信後の前記予め定められた一定期間の経過後は設定された露光時間に相当する時間の赤外線の照射を行うタイミング信号発生手段を具備し、
前記タイミング信号発生手段が前記赤外線投光器の駆動信号を生成するように構成された車両撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−220043(P2010−220043A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66415(P2009−66415)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】