説明

車両支持体用部材

【課題】 スペースおよび構造空間節約的に構成された支持体用の改良された部材を提供する。
【解決手段】 部材(1)、特に車両支持体用の複合部材であって、空調装置モジュール(K1〜K6)を統合した本体(2)を含み、本体(2)が横方向(Y方向)および少なくとも1つの他の方向(X方向、Z方向)に延びてなる部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材、特に車両支持体用の複合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により自動車Aピラーの間に配置するための横支持体が公知であり、この横支持体は少なくとも1つの通路が内部に設けられた実質管状の本体を有する。僅かな作業工程で簡単に、それゆえに安価に製造することのできる改良された軽量部材を提供するために、本体が内部をプラスチックで内張りされ、プラスチックからなる通路壁が形成されている。
【0003】
統合された空気ガイドと付属する空気案内および空気誘導要素とを有する横支持体の他の実施形態はまだ未公開の下記刊行物に述べられている。例えば特許文献2には統合され分解可能なフラップを備えた横支持体が述べられている。特許文献3には横支持体に統合された空気誘導要素が述べられている。特許文献4には空気誘導兼遮断機構を統合した横支持体が述べられ、特許文献5には横支持体の噴出口に統合された空気誘導要素が述べられている。
【0004】
要約するなら、先行技術により公知の横支持体は少なくとも1つの部分的に統合された空気ガイドと部分的に付け加えられた空調装置部品とを有する。しかしこのような横支持体には、特に部品点数とそれに結び付いた製造費および所要の大きな構造空間とに関してなお要望が残る。
【特許文献1】独国特許出願公開第10064522号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102004048206号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102004010605号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102004010616号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102004013984号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特にスペースおよび構造空間節約的に構成された支持体用の改良された部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、空調装置モジュールを統合した本体を含み、本体が横方向(Y方向)および少なくとも1つの他の方向(X方向、Z方向)に延びてなる部材によって解決される。有利な諸構成は従属請求項の対象である。
【発明の実施の形態】
【0007】
本発明は、空調装置と空気ガイド、空気分配器、空気混合器、フィルタ等の空調装置コンポーネントとが立体的に配置されかつ付け加えられることに起因して横軸線(Y軸線とも呼ぶ)に沿って車両Aピラーの間の横支持体で混合室に、低減されねばならない過大な構造空間が必要となるとの考えから出発する。それゆえに、元々存在する構造空間が特別単純に利用されねばならないであろう。このため、部材、特に複合部材または混成部材が、横方向と少なくとも1つの他の方向とに延びる本体を含み、本体の配列に沿って複数の空調装置モジュールが統合されている。このような部材実施は、空調装置モジュールの統合度が高くまたそれに結び付いて距離が最小またはゼロでさえあるため、小さな構造空間を確保する。それに加えてこのような部材は僅かなインタフェースを有するだけであり、シール、例えば発泡シールの数も減少している。またこのような部材実施は、基本部材に数多くの取付物を付け加えることができるので、大きな造形自由度を可能にする。それに加えて、このような部材は僅かな工程で簡単かつ安価に製造し、組立て、分解することができる。
【0008】
主に、本体は横軸線(Y軸線とも呼ぶ)に沿って車両幅全体にわたって延びている。付加的に本体は少なくとも一部で車両長手軸線(X軸線とも呼ぶ)に沿って、例えば縦方向前方にウインドシールドガラスの領域内に、および/または後方に車室内に、および/または少なくとも一部で垂直軸線(Z軸線とも呼ぶ)に沿って、例えば垂直に上および/または下へと延ばすことができる。好ましい実施形態において部材は車両幅全体にわたって横方向および長手方向で斜め下もしくは上に足元領域もしくは後部領域の方向に延びている。
【0009】
構造空間を極力節約して空調装置モジュールを部材内で統合するために、部材の空洞が統合に利用される。このため本体は空洞を形成する少なくとも2つの部品、特に2つの半殻で形成されている。半殻は基本中空構造体として役立つ金属製半体要素である。両方の部品を組立てた状態のとき本体は担持する基本中空構造体または中空体を形成する。極力簡単な製造、組立および分解のため、2つの部品はYZ平面またはYX平面において形状接合式および摩擦接合式に互いに結合され、場合によっては相互に分離可能に結合されている。例えば部品は縁部で接合、特に溶接、リベット止め、クリップ止めによって互いに結合されている。
【0010】
複数の空調装置モジュールの極力高い統合度のため、本体は少なくとも2つの方向、主に横方向と長手方向とに延び、好ましくはT形状を有する。T形状は対称構造を可能にする。また部材は車両の装備に応じて非対称に構成しておくことができる。非対称構造とは、空調装置モジュールが本体に十分片側で統合され付け加えられていることである。例えば車両Aピラーの間に部材を配置した場合同乗者側に運転者側よりも高い統合度が設けられている。付加的に本体は他の分岐構造体を有することができる。例えば本体は十字形状を有する。その場合、本体は横方向でも、好ましくは中間で長手方向でも、前方および後方に、または垂直方向で上方および下方に延びている。
【0011】
換言するなら、基本中空構造体はコックピット用の力の経路に従い、分岐構造体は基本中空構造体に対してほぼ垂直または斜めである。部材の実施に応じて部材が中央領域を有し、この中央領域から側腕および/またはトンネル排出管路が延びている。中空構造体を形成するために側腕および/またはトンネル排出管路は、2つの半体、特に2つの半殻状要素、例えば2つのU形殻、2つのZ形殻またはその他の殻形状からなる横断面を有する。十分に良好な強度のため、本体は弾性率の高い材料から、特に金属から、例えばアルミニウム、マグネシウム、鋼、チタンから、または複合材料、例えばプラスチック/プラスチック複合材料からでも、形成されている。主に本体は、少なくとも一部をプラスチックで内張りされた完成部品、特に個別に予め仕上げられた部材として実施されている。そのことから柔軟な構造と容易な組立が可能になる。さらに、さまざまな部品はさまざまなシリーズで使用できるように構成しておくことができる。
【0012】
可能な空調装置モジュールとして空気案内通路が本体に統合されており、この空気案内通路は本体の空洞の少なくとも1つによって形成されている。このため金属製本体は少なくとも一部をプラスチックで内張りされており、本体の空洞は流通する媒体用の流れ通路、特に空気案内通路を形成する。可能な実施形態において空気案内通路は本体の中央、特に中間領域からY方向に側腕を介して、および/またはZ方向またはXZ方向でトンネル排出管路を介して、少なくとも1つの側へと、フロアへと、および/またはウインドシールドガラスへと延びている。すなわち、空気案内通路は基本構造体または本体の空洞内を、少なくとも走行方向(=Y軸線)を横切って、付加的にZ方向に、またはXZ方向で斜めに延びている。空気調和された空気を車室内で極力良好に分配するために、本体の初端と終端に、特に側腕および/またはトンネル排出管路の初端と終端に、空気流入および/または流出用の複数の噴出口が設けられている。
【0013】
部材の単純な実施形態において空気案内通路は本体のプラスチック内張りの態様に形成されている。部材は混成部材または複合部材として構成されている。混成部材とは特に金属/プラスチック部材のことである。金属製本体は完成部品として製造される。プラスチック内張りは混成技術、例えばIMA(IMA=in-mould assembly)法またはPMA(PMA=post-mould assembly)法で、または別の仕方で、例えば仕上げられたプラスチック部品の貼付けまたはクリップ止めで行われる。PMA法では、射出成形プロセス後にプラスチック部品が機械的接合法によって、例えばポンチ(いわゆる「鍔」)によって金属製本体、金属薄板内に押し込まれる。その特殊形状によってこれらの鍔は、仕上げられた部材中にプラスチックとの強固な結合をもたらす。プラスチック部材が基本中空構造体に、従って本体に統合されることによって、本体は再度補強され強固にされる。それとともにプラスチック部材は、担持しかつ確かに補強する機能と、空気分配、空気案内等の他の空調装置諸機能を引き受ける。
【0014】
高統合度用の他の実施形態において、他の空調装置モジュールとして空気混合器が統合されている。その際、空気混合器は本体の空洞の1つに、特に本体の中央領域に、および/または本体の流れ噴出口に形成されている。付加的に、他の空調装置モジュールとして空気分配器が統合されており、この空気分配器はやはり本体の空洞の1つによって形成されている。蒸発器、加熱機構、空気混合器および/または空気分配器は、温度を制御するための、すなわち空気を温度調節し例えば熱、寒冷およびフィルタを状態調節するための熱モジュールを形成する。主に中間に配置される熱モジュールに、空気案内通路によって形成される構造体モジュールが続く。従って部材は空気を温度調節しかつ状態調節するための熱モジュールと空気を分配しかつ空気を案内するための構造体モジュールとで構成される。
【0015】
車室内を個々に調整可能に均一に空気調和するために、流量を制御しかつ空気を分配するための少なくとも1つの空気誘導要素、例えば空気誘導機構、空気分配機構および/または空気量制御機構が本体に統合されている。機能に応じて空気誘導要素はノズル、フラップ、特にバタフライフラップ、揺動フラップ、ロールフラップ、および/または多板式またはロールシャッタ式フラップもしくはカセットとして構成されている。部材の構造に応じて、空気誘導要素は空気案内通路中に、および/または空気案内通路の初端または終端に配置しておくことができる。空気誘導要素は好ましくはプラスチックから、特に射出成形部品として仕上げられており、空気誘導要素に弾性密封稜を直接設けておくことができる。
【0016】
空気状態調節のために、空調装置モジュールとして空気温度調節兼空気状態調節ユニット、例えばヒータコアと蒸発器が、本体の空洞の1つのなかまたは脇に統合されもしくは付け加えられている。主に空気温度調節兼空気状態調節ユニットは中間で本体に付け加えられ、または少なくとも一部で本体に、特に本体の熱モジュールに統合されている。その場合、本体の中央領域に統合された熱モジュールを介して、状態調節された空気は構造体モジュール空気案内通路‐を介して車室内、例えば換気のため足元およびフロア領域、デフロストのためウインドシールドガラスの領域、換気のため後部領域に供給される。
【0017】
付加的に、空調装置モジュールとしてフィルタは本体の空洞の1つのなかまたは脇に統合しもしくは付け加えておくことができる。例えば、臭いおよび粒子をろ過するためのフィルタは本体の熱モジュールに少なくとも部分的に統合されまたは付け加えられている。また湿度調節部および/または香り管理部を熱モジュールの構成要素とすることができる。
【0018】
構造空間を節約するさらなる部材機能のため、他の機能モジュール、特にヘッドアップディスプレイ、オーディオおよび/または通信ユニット、ナビゲーションユニット、および/または操作兼情報ユニット、そしてメディア線路および配線を、本体の空洞の1つのなかまたは脇に統合しもしくは付け加えておくことができる。
【0019】
極力簡単かつ費用節約的製造のために本体が完成部品(=個別に予め仕上げられた部材)として実施されており、この完成部品は、空調装置モジュールを統合した熱モジュールを形成するために少なくとも一部をプラスチックで内張りされている。選択的に、空調装置モジュールを有する熱モジュールは完成部品として実施しておくこともできる。これは本体の内部または表面に統合されもしくは付け加えられる。熱モジュールは少なくとも一部をプラスチックから形成されており、熱モジュールはプラスチック組込部品からなるものとしてね、および/または注入されまたは吹付けられたプラスチック部品からなるものとしても実施されており、主に本体用補強構造体を形成する。
【0020】
主に、部材は車両用横支持体として使用される。従って部材は、担持機能も空気調和に係る機能も引き受ける。部材本体での空調装置モジュールの高い統合度のゆえに部材は熱・構造体モジュールとも称される。
【0021】
本発明の実施例が図面を基に詳しく説明される。
【実施例】
【0022】
相対応する部品にはいずれの図でも同じ符号が付けてある。
【0023】
図1は車両支持体用部材1を示す。部材1に含まれる本体2は複数の統合された空調装置モジュールK1〜Kn、例えば蒸発器K1、加熱機構K2、空気案内通路K3を有する。本体2は少なくとも2つの配列で延びている。図1と図2には本体2をX方向とZ方向とに延ばす2つの実施例が示してある。X方向とは車両長手軸線に沿った本体2の配列のことである。Z方向とは垂直軸線に沿って上または下への本体2の配列のことである。好ましくは、本体2は車両の横方向、すなわち図3と図4に示すようにY方向に延びており、横支持体として車両Aピラーの間に配置されている。本体2は担持する構造体として役立つだけではない。空調装置モジュールK1〜K3を本体2の内部および/または表面に統合することによって部材1は熱‐構造体モジュールとも称される。
【0024】
図1と図2に示すように本体2は複数のモジュール2.1〜2.2で形成されている。モジュール2.1は基本中空構造体として構成されており、空洞は空気案内通路K3による空気案内と空気分配とに利用される。モジュール2.1(以下では構造体モジュール2.1と呼ぶ)はコックピット用の力の経路に従い、Y方向、さらにはX方向およびZ方向に延びている(図1〜図4参照)。
【0025】
構造体モジュール2.1に他のモジュール2.2を結合することができる。モジュール2.2は、空気を温度調節しかつ空気を状態調節するための例えば蒸発器K1、ヒータコアK2等の空調装置の部材またはコンポーネントを含む。それゆえに以下でモジュール2.2は熱モジュールとも称される。単数または複数の空気流入口を介して新鮮空気または循環空気は状態調節のため蒸発器K1、加熱機構K2に供給される。状態調節された空気は空気案内通路K3から空気噴出口4.2を介して車室内、例えば足元およびフロア領域I、前部中間領域II、間接的換気のためIII、ウインドシールドガラス領域IV、サイドウインドV、室内側部領域VI、そして後部領域VIIへと送られる。
【0026】
図5が斜視図で示す部材1は本体2がY方向、X方向、Z方向に延び、空気調和された空気を車室内に供給するための複数の空気噴出口4.2を有する。
【0027】
図6と図7が示す他の実施例の構造体モジュール2.1は単室通路または多室通路としての空気案内通路K3の選択的実施形態を有する。多室通路として実施する場合、冷空気または新鮮空気は第1室通路K3.1内を送られ、暖空気は第2室通路K3.2内を送られる。空気案内通路K3の末端において、別々の室通路K3.1、K3.2内を送られた新鮮空気もしくは暖空気は空気噴出口4.2で混合され、状態調節された空気として車室内に供給される。単室通路K3.1またはK3.2として実施する場合、既に状態調節された空気、すなわち冷空気と暖空気とを混合した空気がこれらの空気案内通路内を送られる。図7に略示した統合された空気誘導要素6、例えば遮断手段または調量手段、特に空気フラップが、空気入口と、および/または本体2および/または車室内のさまざまな領域への空気出口とを制御しまたは調節する。
【0028】
図8が斜視図で示す部材1はY方向およびZ方向に延びる構造体モジュール2.1と熱モジュール2.2に統合された空調装置モジュールK1〜K3とを有する。空気案内通路K3の部品は構造体モジュール2.1にも熱モジュール2.2にも統合されている。このため構造体モジュール2.1は空洞を形成する2つの部品2a、2b、特に2つの半殻で形成されている。それとともに本体2は担持する基本中空構造体を形成する。本体2を横支持体として使用し、本体2がY方向、Z方向に配列していることによって、本体2は対称構造に適したT形状を有する。本体2への空調装置モジュールK1〜K3の統合は、機能に応じて対称または非対称に行われる。特に空気案内通路の対称構造は製造の点で特別安価である。Z方向においてT形本体2は統合されたトンネル控え2cを有する。空調装置モジュールK1〜K3を補足して、他の空調装置モジュールK4として空気をろ過するためのフィルタが、熱モジュール2.2の一部を形成するハウジングに統合して設けられている。
【0029】
本体2の構造体モジュール2.1を形成する両方の半殻2a、2bはそれぞれ、例えば押出成形、ロール成形またはローリングと後続の加工とによって製造された金属構造体であり、なかんずく長手側末端は塑性加工される。別の、特に深絞り等の製造法がやはり可能である。統合された空調装置モジュールK1、K2および/またはK4は熱モジュール2.2の仕上げられたプラスチック組込部品の内部または表面に付け加えられ、熱モジュールのプラスチック組込部品は内部または表面に吹付けられたプラスチック部品として本体2に付け加えられ、例えば吹付けられ、接着されまたはクリップ止めされる。内部または表面に吹付けられまたは接合されたプラスチック部品は付加的に本体2用補強構造体を形成する。本体2と、統合された空調装置モジュールK1〜K4は、予め作製された個別の部材として実施しておくことができる。そのことから簡単かつ安価な製造および組立が可能になる。
【0030】
部材1は結合部8.1、例えば固定金具または横から取付けられたブラケットを介して自動車内で例えばAピラーに固着することができる。例えば組立ボルトからの過大な力の作用によって末端領域が変形するのを制限するために、部材1、特に本体2の内部空間に支え体が配置されている。
【0031】
両方の金属製半殻2a、2bは周知の如くに組み合わされている。両方の半殻2a、2bの間の内部空間は中空であり、空気の直接的通過が可能である。それとともに換気システムの一部は本体2に直接統合されている。半殻2a、2bはこのため車室内、例えば足元またはフロア領域I、前部中央換気のためII、間接的換気のためIII、ウインドシールドガラス領域IV(=デフロスト出口)、サイドウインド領域V、室内側部領域VIおよび/または後部領域VIIへの空気噴出用の複数の空気噴出口4.2を有する。さらに、本体2の中間領域または中央領域に、他の空調装置モジュールK5〜K6よりも大きな空洞で空気混合器LMと空気分配器LVが形成されている。空気分配器LVは実質的に垂直通路および/または空気誘導要素6で構成される。空気分配器LVと異なり空気混合器LMは空気誘導要素6を有し、これらの空気誘導要素はさまざまに状態調節された空気、例えば暖空気と冷空気との混合にも役立つ。部材1の種類および構造に応じて空気混合器LMと空気分配器LVは熱モジュール2.2および/または構造体モジュール2.1の統合された構成要素とすることができる。特に、空気混合器LMは蒸発器K1と加熱機構K2とに直接隣接している。選択的に、空気案内通路K3が多室通路として構成されている場合、空気混合器LMは噴出口4.2の1つに配置しておくこともできる。
【0032】
車室内に流れ込む空気を調整するために空気噴出口4.2内に空気誘導要素6が配置されている。空気誘導要素6として役立つのは例えばノズル、例えば中央ノズル、側部ノズル、フラップ、例えばバタフライフラップ、揺動フラップおよび/またはロールフラップである。それに加えて、熱モジュール2.2に直接隣接した空気案内通路K3の中間空洞を通して空気混合器LM(空調装置モジュールK5)を介した空気混合が可能となっており、加熱モジュールK2から供給される暖空気は供給された冷空気または新鮮空気と混合され、本体2の配列に沿って空気分配器LV(空調装置モジュールK6)を介して空気案内通路3の分岐構造体に分配される。
【0033】
付加的に本体2に他の機能モジュール、例えばオーディオ兼通信ユニットF1、ナビゲーションユニットおよび/または操作兼情報ユニットF2またはヘッドアップディスプレイF5を付け加えもしくは統合しておくことができる。このため本体2は相応する結合部8.2もしくは8.3を含む。結合部8.2は統合される差込区画として構成され、結合部8.3はホルダとして構成されている。さらに、インストルメントパネルF3またはステアリングF4を組み立てるための結合部8.5、8.6として他のプラスチック統合体を設けておくことができる。
【0034】
図9は図8による部材1を展開図で示す。図8に示すコンポーネントを補足して図9には空調装置モジュールK1、K2を受容するための熱モジュール2.2用結合部8.7が示してある。図解向上のために図9は熱モジュール2.2の一部のみ、ここでは中間で分割された熱モジュール2.2の一方の半殻側のみを示している。中央換気領域の空気誘導要素6は多板フラップを前側で支承することなく図示されている。
【0035】
図10は機能モジュールF1、F2を付け加えることなく部材1のY0断面を示す。本体2は統合された空調装置モジュールK1、K2、K3と空気混合モジュールK5と空気分配モジュールK6とを備えて図示されている。空気案内通路K3内の空気を制御しかつ車室内の当該領域に案内するために複数の空気誘導要素6が例えばバタフライフラップまたは翼フラップ等のフラップの態様で設けられている。部材1の熱モジュール2.2内に付加的加熱ユニット、例えばPTC補助ヒータ等の電気加熱ユニットが付加的空調装置モジュールK7として設けられている。
【0036】
図11が図10に相当する断面図で示す変更態様の部材1は構造体モジュール2.1に付け加えられた機能モジュールF1(=オーディオ兼通信ユニット)、F2(=操作兼情報ユニット)を有する。中間領域に示された中間換気ノズルの態様の他の空気分配モジュールK6が空気誘導要素6を有する。
【0037】
図12は図10による部材1の中間領域のZ断面を示しており、その結合部8.2もしくは8.3を介して付け加えられた機能モジュールF1(=オーディオ兼通信ユニット)、F5(=ヘッドアップディスプレイ)を有する。構造体モジュール2.1の統合されたトンネル控え2cは、空調装置モジュールK3として、統合された暖空気通路を含む。
【0038】
図13は公差補償要素10を有するトンネル控え2cの領域の細部断面図である。歪みを減らすために公差補償要素10によってY方向で公差補償が行われる。公差補償要素10はボルト10.1と溶接ナット10.2、そして二重ねじ、特に右ねじと左ねじを備えた補償要素10.3を含む。トンネル控え2cは公差補償要素10によってホルダ12と例えば薄板の態様の補強材13とを介してトンネル14に固着されている。ここでは公差補償要素10が図13の左側では組立前、右側では組立状態で示してある。選択的に、組立は片側でのみ公差補償要素10で行うこともできる。
【0039】
図14が斜視図で示す部材1はプラスチックと結合部8.8とからなる複数の統合体を組立ホルダとして有する。さらに、接合された両方の半殻2a、2bで形成される空気案内通路K3が示してある。
【0040】
図15が斜視図で示す構造体モジュール2.1の多部分構成の半殻2aは部材1の本体2用の上側部品2a’と下側部品2a’’とからなる。半殻2aの部品は接合領域Fで互いに接合され、例えば溶接される。図15はz方向で異なる長さの2つの部品2a’’を示しており、これらの部品を組み合わせて1つの本体2とすることができる。これにより、半殻2aもしくは本体2の一方の部品2a’’を交換することによって、本体2の主要部品または領域を変更することなく、z方向で異なる車両寸法に簡単に適合を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】空調装置モジュールを統合した横支持体用の2つの配列で延びる部材の断面図である。
【図2】空調装置モジュールを統合して少なくとも2つの配列で延びる部材のさまざまな実施形態の1つを示す。
【図3】空調装置モジュールを統合して少なくとも2つの配列で延びる部材のさまざまな実施形態の1つを示す。
【図4】空調装置モジュールを統合して少なくとも2つの配列で延びる部材のさまざまな実施形態の1つを示す。
【図5】部材実施形態の斜視図である。
【図6】空気案内通路を統合した部材の垂直断面図である。
【図7】空気案内通路を統合した部材の垂直断面図である。
【図8】複数の機能モジュールを付け加えられて横支持体として構成される部材の細部斜視図である。
【図9】図8に示す部材の別の細部展開斜視図である。
【図10】機能モジュールを付け加えていない部材のY0断面図である。
【図11】機能モジュールを付け加えた部材変更態様の図10に相当する断面図である。
【図12】図10による部材中間領域のZ断面図である。
【図13】トンネル控え用公差補償要素を有する部材のトンネル結合部領域の断面図である。
【図14】空調装置モジュール用プラスチックと組立ホルダとからなる複数の統合体を有する部材の斜視図である。
【図15】部材本体用の多部分構成の半殻の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材(1)、特に車両支持体用の複合部材であって、空調装置モジュール(K1〜K6)を統合した本体(2)を含み、本体(2)が横方向(Y方向)および少なくとも1つの他の方向(X方向、Z方向)に延びてなる部材。
【請求項2】
本体(2)が少なくとも部分的に車両長手方向(X方向)に延びている、請求項1記載の部材。
【請求項3】
本体(2)が少なくとも部分的に車両垂直方向(Z方向)に延びている、請求項1または2記載の部材。
【請求項4】
本体(2)が足元領域(I)および/または後部領域(VII)の方向に延びている、請求項1〜3のいずれか1項記載の部材。
【請求項5】
本体(2)が、空洞を形成する少なくとも2つの部品、特に2つの半殻(2a、2b)で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項記載の部材。
【請求項6】
2つの部品(2a、2b)がYZ平面またはYX平面において形状接合式および摩擦接合式に互いに結合されている、請求項5記載の部材。
【請求項7】
本体(2)が、T形状を有する担持する基本中空構造体を形成する、請求項1〜6のいずれか1項記載の部材。
【請求項8】
本体が他の分岐構造体を有する、請求項7記載の部材。
【請求項9】
空調装置モジュール(K1〜K4)として空気案内通路(K3)が統合されており、この空気案内通路が本体(2)の空洞の少なくとも1つによって形成されている、請求項1〜8のいずれか1項記載の部材。
【請求項10】
空気案内通路(K3)が本体(2)の中央領域から少なくとも1つの側(V、VI)、フロア(I)および/またはウインドシールドガラス(III)へと延び、かつ空気流入および/または流出用の複数の噴出口(4.2)を備えている、請求項9記載の部材。
【請求項11】
他の空調装置モジュール(K5)として空気混合器(LM)が統合されており、この空気混合器が本体(2)の空洞の1つに、特に本体(2)の中央領域に、および/または本体(2)の噴出口(4.2)に形成されている、請求項1〜10のいずれか1項記載の部材。
【請求項12】
他の空調装置モジュール(K6)として空気分配器(LV)が統合されており、この空気分配器が本体(2)の空洞の1つによって、特に本体(2)の中央領域に形成されている、請求項1〜11のいずれか1項記載の部材。
【請求項13】
空気の状態調節に役立つ空調装置モジュール(K1〜K6)が本体(2)の熱モジュール(2.2)を形成する、請求項11または12記載の部材。
【請求項14】
流量を制御しかつ空気を分配するための少なくとも1つの空気誘導要素(6)が本体(2)に統合されている、請求項1〜13のいずれか1項記載の部材。
【請求項15】
空気誘導要素(6)がノズル、フラップ、特にバタフライフラップ、揺動フラップ、多板式またはロールシャッタ式フラップまたはカセット、および/またはロールフラップとして構成されている、請求項14記載の部材。
【請求項16】
空気誘導要素(6)が空気案内通路(K3)中に、および/または空気案内通路(K3)の初端または終端に設けられている、請求項14または15記載の部材。
【請求項17】
空調装置モジュール(K1、K2)として空気温度調節兼空気状態調節ユニット、特に蒸発器と加熱ユニットが、本体(2)の空洞の1つのなかまたは脇に統合されもしくは付け加えられている、請求項1〜16のいずれか1項記載の部材。
【請求項18】
空調装置モジュール(K7)としてフィルタが本体(2)の空洞の1つのなかまたは脇に統合されもしくは付け加えられている、請求項1〜17のいずれか1項記載の部材。
【請求項19】
他の機能モジュール(F1、F2、F5)、特にヘッドアップディスプレイ、情報ディスプレイ、複合器具、オーディオおよび/または通信ユニット、ナビゲーションユニット、および/または操作兼情報ユニットが、本体(2)の空洞の1つのなかまたは脇に統合されもしくは付け加えられている、請求項1〜18のいずれか1項記載の部材。
【請求項20】
本体(2)が、少なくとも一部をプラスチックで内張りされた完成部品として実施されている、請求項1〜19のいずれか1項記載の部材。
【請求項21】
単数または複数の空調装置モジュール(K1〜K7)を有する熱モジュール2.2が、少なくとも一部をプラスチックで形成された完成部品としてそれぞれ実施されている、請求項1〜20のいずれか1項記載の部材。
【請求項22】
熱モジュール2.2がプラスチック組込部品からなり、および/またはプラスチック組込部品が、注入されまたは吹付けられたプラスチック部品として本体(2)用補強構造体を形成する、請求項1〜21のいずれか1項記載の部材。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項記載の部材の、車両用横支持体としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−526169(P2007−526169A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501208(P2007−501208)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002193
【国際公開番号】WO2005/085046
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】