説明

車両用エンジンの制御装置

【課題】マニュアル操作タイプの変速機を有する車両のエンジン1を再始動するに当たり、電動駆動装置の保護を図りつつプリイグニションを防止し、確実にエンジン1を再始動すること。
【解決手段】スタータモータ36が再始動時に駆動されているときにクラッチミートした場合、スタータ制御部112は、当該スタータモータ36の駆動を停止制御するものであり、クラッチミートによってスタータモータ36によるエンジン1の駆動を停止した後、エンジン1が停止し、さらに停止したエンジン1の再始動条件が成立した場合、スタータ制御部112は、スタータモータ36を駆動するとともに、燃焼制御部111は、エンジン停止前に燃料が噴射されたまま未点火にある圧縮行程気筒での自着火を抑制するように当該圧縮行程気筒の空燃比をリッチ化するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エンジンの制御装置に関し、特に、アイドル時にエンジンを自動で停止するとともに自動停止したエンジンを所定のアシスト再始動条件成立時に電動駆動装置で再始動するようにした車両用エンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを自動で停止、再始動させる装置としては、例えば特許文献1に開示されるエンジンの制御装置のように、停止状態で膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して燃焼させることによりエンジンを即時的に始動させるようにしたものが開発されている。
【0003】
また、特許文献2に開示されるエンジンの制御装置のように、マニュアル操作でクラッチの接続や遮断を操作するいわゆるマニュアル操作タイプの車両においてもエンジン自動停止が可能なタイプのものも開発されている。
【特許文献1】特開2004−124753号公報
【特許文献2】特開2005−320978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マニュアル操作タイプの変速機を有する車両に搭載されたエンジンにおいては、運転者によってクラッチ操作の速度やタイミングにばらつきが生じる。このため、迅速なクラッチ操作によってエンジンを再始動する電動駆動装置の作動時にクラッチがミートすると、再始動動作が間に合わず、電動駆動装置に過度の負荷が作用するおそれがあることが明らかになってきた。
【0005】
そこで、本件出願人は、クラッチミートが電動駆動装置の作動時に行われた場合には、電動駆動装置を保護するために、当該電動駆動装置によるエンジンの駆動を中止する制御を検討している。
【0006】
そのような電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、再度、エンジンの再始動条件が成立した場合には、既に噴射された燃料に起因して、圧縮行程にある気筒でプリイグニションが生じるおそれがある。その場合には、プリイグニションによって発生する逆転方向のトルクによってエンジンの再始動に失敗することになる。
【0007】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、マニュアル操作タイプの変速機を有する車両のエンジンを再始動するに当たり、電動駆動装置の保護を図りつつプリイグニションを防止し、確実にエンジンを再始動することのできるエンジンの制御装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、クラッチペダルの操作によりクラッチの接続遮断動作を操縦者が制御する車両に設けられ、所定のエンジン停止条件が成立したときに前記車両のエンジンを自動停止させ、停止後、所定のアシスト再始動条件が成立したときに、前記エンジンの電動駆動装置を駆動して自動的にエンジンをアシスト再始動させる車両用エンジンの制御装置であって、前記エンジン停止条件並びに前記再始動条件の成否を含む運転状態を判定する運転状態判定部と、前記運転状態判定部の判定に基づいて、エンジンの燃焼制御を司る燃焼制御部と、前記アシスト再始動時に前記電動駆動装置の接続/遮断を制御する電動駆動装置制御部とを備え、前記電動駆動装置が再始動時に駆動されているときにクラッチミートした場合、前記電動駆動装置制御部は、当該電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止制御するものであり、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、エンジンが停止し、さらに停止したエンジンの再始動条件が成立した場合、前記電動駆動装置制御部は、前記電動駆動装置を駆動するとともに、前記燃焼制御部は、エンジン停止前に燃料が噴射されたまま未点火にある圧縮行程気筒での自着火を抑制するように当該圧縮行程気筒の空燃比をリッチ化するものであることを特徴とする車両用エンジンの制御装置である。この態様では、エンジンが自動停止した後、アシスト再始動条件が成立した場合には、電動駆動装置が作動し、エンジンが再始動する。この再始動時において電動駆動装置が作動しているときに、操縦者の迅速なクラッチ操作によってクラッチがミートした場合には、電動駆動装置がエンジンの駆動を停止する。このため、電動駆動装置による駆動が中止されたエンジンは、多く場合、停止することになり、圧縮行程にある気筒には、燃焼前の燃料が残っている場合がある。その後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合には、燃焼前の燃料が残っている圧縮行程気筒の空燃比がリッチ化補正されるので、気化潜熱で筒内の温度を低下させて自着火を抑制することができる。従って、この気筒でピストンが圧縮上死点を越えるまでにプリイグニションが生じるのを防止することができ、再始動が禁止された後に再度、エンジンを再始動した際、プリイグニションによってエンストを来すのを可及的に防止することができる。
【0009】
好ましい態様において、前記燃焼制御部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、前記圧縮行程気筒のピストンが所定位置から圧縮上死点側で停止していたときは前記圧縮行程気筒のリッチ化を禁止するものである。この態様では、筒内の空気量が少なく、自着火が生じにくい上死点側で圧縮行程にある気筒のピストンが停止しているときには、余分な燃料の使用を防止することができ、燃費低下を抑制することができる。
【0010】
好ましい態様において、前記燃焼制御部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、前記圧縮行程気筒のピストンが所定位置よりも下死点側にあるときは、下死点側であるほど、リッチ化度合を高く制御するものである。この態様では、筒内の空気量が多く、自着火が生じやすい下死点側で圧縮行程にある気筒のピストンが停止しているときは、その停止位置が下死点側になるほど、当該気筒での空燃比のリッチ化度合が高くなるので、必要充分な燃料によってプリイグニションの発生を抑制することができる。
【0011】
好ましい態様において、前記運転状態判定部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、エンジン停止後の筒内圧力を推定する筒内圧力推定機能を有し、前記燃焼制御部は、前記運転状態判定部が推定した筒内圧力が高いほど、リッチ化度合を高く制御するものである。この態様では、プリイグニションの一因である筒内圧力に基づいて、空燃比を制御し、必要充分な追加燃料を噴射することによって当該圧縮行程にある気筒でのプリイグニションを防止することができる。
【0012】
好ましい態様において、前記運転状態判定部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、エンジン停止後の筒内温度を推定する筒内温度推定機能を有し、前記燃焼制御部は、前記運転状態判定部が推定した筒内温度が高いほど、リッチ化度合を高く制御するものである。この態様では、プリイグニションの一因である筒内温度に基づいて、空燃比を制御し、必要充分な追加燃料を噴射することによって当該圧縮行程にある気筒でのプリイグニションを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明は、電動駆動装置の作動時にクラッチがミートした場合に電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止することによって、電動駆動装置を確実に保護することができるとともに、この電動駆動装置の停止動作によってエンジンが停止した後、再始動条件が成立した場合には、未燃燃料が残存している圧縮行程気筒に追加燃料を噴射してプリイグニションを防止しているので、マニュアル操作タイプの変速機を有する車両のエンジンを再始動するに当たり、電動駆動装置の保護を図りつつプリイグニションを防止し、確実にエンジンを再始動することができるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0015】
図1および図2は本発明に係るエンジンの制御装置を有する4サイクル火花点火式エンジンの概略構成を示している。
【0016】
各図を参照して、本実施形態は、図略のマニュアル操作式の変速機を備えた車両に搭載されたエンジン1の制御を司るエンジン制御ユニット100を備えている。
【0017】
エンジン1は、シリンダヘッド10およびシリンダブロック11を有している。これらシリンダヘッド10およびシリンダブロック11には、4つの気筒12A〜12D(図2参照)が設けられている。また、各気筒12A〜12Dの内部には、図略のコネクティングロッドによってクランクシャフト3に連結されたピストン13が嵌挿されることにより、当該ピストン13の上方に燃焼室14が形成されている。各気筒12A〜12Dに設けられたピストン13は、所定の位相差をもってクランクシャフト3の回転に伴い上下運動を行うように構成されている。ここで、4気筒4サイクルエンジンであるエンジン1では、各気筒12A〜12Dが所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、各サイクルが1番気筒(図示の例では気筒12A)、3番気筒(図示の例では気筒12C)、4番気筒(図示の例では気筒12D)、2番気筒(図示の例では気筒12B)の順にクランク角で180°(180°CA)の位相差をもって行われるように構成されている。
【0018】
シリンダヘッド10には、プラグ先端が燃焼室14内に臨むように配置された点火プラグ15が気筒12A〜12D毎に設けられている。また、シリンダヘッド10には、当該燃焼室14の側方から燃焼室14内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が気筒12A〜12D毎に設けられている。この燃料噴射弁16は、図外のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、エンジン制御ユニット100から入力されたパルス信号のパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を上記点火プラグ15の電極付近に向けて噴射するように構成されている。
【0019】
また、各気筒12A〜12Dの上部には、燃焼室14に向かって開口する吸気ポート17および排気ポート18が設けられている。そして、これらのポート17、18と燃焼室14との連結部分には、吸気バルブ19および排気バルブ20がそれぞれ装備されている。この吸気ポート17および排気ポート18には、吸気通路21および排気通路22が接続されている。吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は、図2に示すように、各気筒12A〜12Dに対応して独立した分岐吸気通路21aに分岐しており、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流側には共通吸気通路21cが設けられている。この共通吸気通路21cには、スロットルボディ24が設けられている。スロットルボディ24には、各気筒12A〜12Dに流入する空気量を調整可能なスロットル弁24aとこのスロットル弁24aを駆動するアクチュエータ24bと、アイドリング回転速度制御装置(ISC:Idling Speed Control device)24cとが設けられている。図示の実施形態において、ISC24cは、エンジン制御ユニット100によって開弁量を変更可能な電磁駆動式のものである。スロットル弁24aの上流側および下流側には、それぞれ吸気流量を検出するエアフローセンサ25と、吸気圧力を検出する吸気圧センサ26と、吸気温度を検出する吸気温度センサ29とが設置されている。
【0020】
また、前記エンジン1には、図1に示すように、タイミングベルト等によりクランクシャフト3に連結されたオルタネータ28が付設されている。このオルタネータ28は、図略のフィールドコイルの電流を制御して出力電圧を調節することにより発電量を調整するレギュレータ回路28aを内蔵し、このレギュレータ回路28aに入力される前記エンジン制御ユニット100からの制御信号に基づき、車両の電気負荷および車載バッテリーの電圧等に対応した発電量の制御が実行されるように構成されている。
【0021】
また、前記エンジン1には、エンジンを始動するためのスタータモータ(電動駆動装置の一例)36が設けられている。このスタータモータ36は、モータ本体36aとピニオンギア36dとを有している。ピニオンギア36dは、モータ本体36aの出力軸上にて相対回転不能な状態で往復移動する。また、クランクシャフト3には、図略のフライホイールと、このフライホイールに固定されたリングギア35が、回転中心に対して同心に設けられている。そして、このスタータモータ36を用いてエンジンを再始動する場合には、このピニオンギア36dが所定の噛合位置に移動して、前記フライホイールに固定されたリングギア35に噛合することにより、クランクシャフト3が回転駆動されるようになっている。
【0022】
さらに、前記エンジン1には、クランクシャフト3の回転角を検出する2つのクランク角度センサ30、31が設けられ、一方のクランク角度センサ30から出力される検出信号(パルス信号)に基づいてエンジン回転速度Neが検出されるとともに、この両クランク角度センサ30、31から出力される位相のずれた検出信号に基づいてクランクシャフト3の回転角度が検出されるようになっている。さらに、エンジン1には、吸気側カムシャフトの回転位置を検出するカム角度センサ32と、冷却水温度を検出する水温センサ33と、運転者のアクセル操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセルセンサ34とが設けられており、これらの各センサから出力される検出信号がエンジン制御ユニット100に入力される。
【0023】
エンジン制御ユニット100は、CPU101、メモリ102、カウンタタイマ群103、インターフェース104並びにこれらのユニット101〜104を接続するバス105を有するマイクロプロセッサで構成され(図3参照)、各センサ25、26、30、31、34を初めとする入力要素からの検出信号に基づき、種々の演算を行うとともに、燃料噴射弁16や点火装置27、或いはスタータモータ36等の各アクチュエータの制御信号を出力するものである。例えば、運転条件に応じた燃料の噴射量および噴射時期や点火時期を演算し、燃料噴射弁16や点火装置27に制御信号を出力している。また、運転条件に応じてスロットル弁24aの目標開度を演算し、スロットル弁24aの開度がこの目標開度となるような制御信号をアクチュエータ24bに出力している。
【0024】
本実施形態においては、このエンジン制御ユニット100に、クラッチペダル40の操作状態を示すクラッチストロークセンサSW1、クラッチアッパスイッチSW2、およびクラッチロアスイッチSW3が入力要素として接続されている。
【0025】
図3は、本実施形態に係るクラッチペダルの構成を示す概略構成図である。
【0026】
図3を参照して、クラッチペダル40は、ダッシュロアパネル2に固定されたペダルブラケット41と、このペダルブラケット41に支軸42を介して上端部が片持ち状に軸支されるレバー43と、レバー43によって駆動されるマスターシリンダ44とを有している。
【0027】
レバー43の自由端部(下端部)には、ペダルパッド45が一体形成されている。レバー43の中央部には、ペダルブラケット41との間に介装されたばね機構46が設けられており、このばね機構46によって、レバー43は、図において反時計回りに付勢されている。さらに、レバー43には、ピン47を介してマスターシリンダ44のロッド48が連結されている。これにより、ペダルパッド45から運転者によって入力されたレバー43の回動が往復運動に変換されてマスターシリンダ44に伝達され、その踏み込み量に応じた油圧によってクラッチを接続/遮断するように構成されている。
【0028】
レバー43の踏み込み状態を検出するために、マスターシリンダ44には、クラッチストロークセンサSW1が付設されている。図示の例において、クラッチストロークセンサSW1は、マスターシリンダ44のロッド48の変位量を検出することにより、レバー43の踏み込み量を検出し、エンジン制御ユニット100に出力するように構成されている。ペダルブラケット41には、レバー43のクラッチストロークCSを規制するストッパ49、50が設けられている。ストッパ49には、b接点で構成されたクラッチアッパスイッチSW2が、ストッパ50には、a接点で構成されたクラッチロアスイッチSW3が、それぞれ取り付けられている。各スイッチSW2、SW3は、レバー43が回動するクラッチストロークCSの始端と終端に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0029】
クラッチアッパスイッチSW2は、クラッチストロークCSの始端に対応する位置に設けられており、レバー43が自由状態にあるとき、すなわち、ばね機構46によって、レバー43がマスターシリンダ44のロッド48を最も車室側に引いているときに、レバー43と接触し、接点を遮断するとともに、レバー43のペダルパッド45が踏み込まれた時点で接点を接続し、検出信号をエンジン制御ユニット100に出力するように構成されている。
【0030】
クラッチロアスイッチSW3は、クラッチストロークCSの終端に対応する位置に設けられており、レバー43が最も踏み込まれたときに、レバー43と接触し、接点を接続して検出信号をエンジン制御ユニット100に出力するように構成されている。
【0031】
図1を参照して、エンジン制御ユニット100のメモリ102は、基本プログラムや、エンジン自動停止処理、再始動処理を初めとする種々のプログラム、並びにそれらの処理条件が記憶されている。
【0032】
これらのプログラム等により、エンジン制御ユニット100は、運転状態判定部110、燃焼制御部111、スタータ制御部112、並びにオルタネータ制御部113を論理的に構成している。
【0033】
運転状態判定部110は、エンジン1の各種センサ25、26、30、31、34、SW1、或いはスイッチSW2、SW3を初めとする入力要素からの検出信号に基づき、ピストン13の位置や、筒内温度、或いはエンジン1が正転しているか否か等、種々の運転状態を判定するものである。この運転状態判定部110は、エンジン1が自動停止時しているときにおけるピストン13の停止位置を判定するものでもある。さらに運転状態判定部110に判定される運転状態としては、予めメモリに記憶されたデータに基づいて推定される各気筒の筒内温度や、アシスト再始動条件の成否も含まれる。アシスト再始動条件とは、例えば、ピストン13の停止位置が予めメモリに記憶された所定の停止位置から外れている場合等に、スタータモータ36による始動アシストを要するとされる条件をいう。
【0034】
燃焼制御部111は、エンジン1の適正なスロットル開度(吸気量)、燃料噴射量とその噴射タイミング、および適正点火時期を設定し、燃料噴射弁16、スロットル弁24a(のアクチュエータ24b)、点火装置27を制御するモジュールである。この燃焼制御部111の機能により、エンジン制御ユニット100は、全体として、所定の自動停止条件が成立したときにエンジン1を自動停止させ、停止後、所定の再始動条件が成立したときに、エンジン1を自動的に再始動させるように構成されている。本実施形態に係る再始動制御は、再始動条件が成立したときに、エンジン1の自動停止時に膨張行程にあった停止時膨張行程気筒12B内での燃焼により自動的にエンジンをアシスト再始動させる燃焼再始動制御と、スタータモータ36を併用するスタータ併用再始動制御のいずれかの制御方法が選択され実行される。
【0035】
スタータ制御部112は、キー始動時およびエンジン自動停止制御における再始動においてスタータモータ36の駆動が必要とされたときにスタータモータ36に駆動信号を送りスタータモータ36を駆動させて、スタータモータ36のピニオンギア36dをフライホイールに固定されたリングギア35に噛合わせ、モータ本体36aの回転力をこのピニオンギア36dおよびリングギア35を介してフライホイールに伝達することで、エンジンを強制的に始動させるとともに、所定の条件が成立したときにスタータモータ36によるエンジン1の駆動を停止させるモジュールである。
【0036】
オルタネータ制御部113は、オルタネータ28の適切な発電量を設定し、その駆動信号を上記レギュレータ回路に出力する。通常は、出力電圧(レギュレート電圧)の目標値(例えば13V)が設定され、エンジン回転速度等が変動してもその目標値を維持するように発電量をフィードバック制御する。またオルタネータ制御部113は、上記発電量制御において、オルタネータ28の発電量自体を調節することによってエンジン1の負荷を変化させ、ピストン13が再始動に適した適正範囲に停止するような制御を行っている。
【0037】
自動停止条件が成立した際、オルタネータ制御部113により、エンジン1は、そのピストン13が所定の適正範囲A内で停止するように制動される。この適正範囲Aにピストン13が停止した場合、その後、エンジン1の再始動条件が成立した際に、エンジン制御ユニット100は、スタータモータ36を作動させることなく、燃焼のみによってエンジン1を再始動する。しかし、ピストン13が適正範囲Aから外れた場合、スタータ制御部112がスタータモータ36を作動し、スタータ併用再始動制御が実行される。再始動時にスタータモータ36が駆動される運転状況において、仮に車両の操作者がクラッチペダル40を離してクラッチがミートした場合、変速機の負荷がエンジン1からスタータモータ36に伝達する。そこで本実施形態では、スタータモータ36を保護し、装置の信頼性を高めるために、スタータモータ36によるエンジン1の駆動を強制的に停止するようにしている。そのため、再始動し始めたエンジン1は、多くの場合、停止することになるが、スタータモータ36の駆動停止後に噴射された燃料が未燃のまま気筒12A〜12Dに残っていると、再始動時に圧縮上死点前で燃焼して、プリイグニションを来すおそれがある。そこで、本実施形態では、図4に示す特性図に基づく制御パラメータによって、未燃燃料が残っている気筒に追加燃料を噴射し、筒内の空燃比をリッチ化して、プリイグニションの防止を図るようにしている。
【0038】
図4は、本発明の実施の形態に係る制御パラメータの特性図であり、(A)が空燃比リッチ補正量とピストン停止位置との関係を示す関係図、(B)が筒内圧力と経過時間との関係を示す関係図、(C)が筒内温度と経過時間との関係を示す関係図である。
【0039】
まず、図4(A)を参照して、エンジン1が停止した際、未燃燃料が残存している圧縮行程気筒のピストン13が所定のクランク角度θaよりも下死点側で停止している場合、筒内の空気量が充分にあるため、プリイグニションが生じやすくなり、その確率は、下死点側に行くにつれて高くなる。そこで、本実施形態では、図4(A)の特性に基づくデータをマップ化して制御マップM1としてメモリ102に記憶し、このクランク角度θaを所定位置の基準として、ピストン13がクランク角度θaよりも下死点で停止している場合には、空燃比をリッチ補正して、追加燃料を噴射することにより、プリイグニションの防止を図るとともに、ピストン13がクランク角度θa以下の場合には、追加燃料の噴射を省略して空燃比を変更せずに再始動するように構成されている。
【0040】
次に図4(B)を参照して、再始動後にエンジン1が停止した場合、筒内圧力は、停止直後が高く、その後、急速に低下して横ばいになる。そして、プリイグニションは、筒内圧力に比例して発生しやすくなるので、本実施形態では、図4(B)の特性に基づくデータをマップ化して、制御マップM1に連関する制御マップM2としてメモリ102に記憶し、筒内圧力によって制御マップM1の実線の値を仮想線で示すように補正することにより、筒内圧力が高くなるほど、空燃比のリッチ化度合が高くなり、所定角度θaが圧縮上死点側にシフトするように構成されている。
【0041】
図4(C)を参照して、再始動後にエンジン1が停止した場合、筒内温度は、経時的に上昇し、その後、漸減する傾向がある。そして、プリイグニションは、筒内温度に比例して発生しやすくなる。そこで、本実施形態では、図4(B)と同様に、図4(C)の特性に基づくデータをマップ化して、制御マップM1に連関する制御マップM3としてメモリ102に記憶し、筒内温度によって制御マップM1の実線の値を仮想線で示すように補正することにより、筒内温度が高くなるほど、空燃比のリッチ化度合が高くなり、所定角度θaが圧縮上死点側にシフトするように構成されている。
【0042】
次に本実施形態の制御例について説明する。
【0043】
図5および図6は、本実施形態に係る再始動時の制御例を示すフローチャートである。
【0044】
まず、図5を参照して、通常のアシスト再始動制御について説明する。
【0045】
公知のシステムと同様に、エンジン制御ユニット100がエンジン1を自動停止した後、スタータ制御部112は、アシスト再始動条件が成立するのを待機する(ステップS20)。アシスト再始動条件が成立すると、スタータ制御部112は、駆動信号を出力してスタータモータ36を作動させる(ステップS21)。これと同時に、燃焼制御部111は、停止時に膨張行程にあった気筒に燃料を噴射して点火し(ステップS22)、さらに、膨張行程にあった気筒の次に圧縮上死点を迎える圧縮行程気筒に燃料を噴射して点火する(ステップS23)。
【0046】
停止時に圧縮行程にあった気筒の燃焼制御を実行した後、エンジン制御ユニット100は、エンジン1が所定時間内に完爆したか否かを判定する(ステップS24)。具体的には、クランク角度センサ30、31の検出値に基づき、エンジン1の回転速度が500rpm以上になるのを待機し、500rpm以上で完爆と判定する。
【0047】
エンジン1が完爆した場合、スタータ制御部112は、スタータモータ36の駆動を停止する(ステップS25)。エンジン制御ユニット100は、その後、通常運転に移行し(ステップS26)、アシスト再始動制御を終了する。また、ステップS24において、エンジン1が所定時間内に完爆しなかった場合、燃焼制御部111は、圧縮行程にある気筒に燃料を噴射し(ステップS27)、点火制御を実行して(ステップS28)、ステップS24に移行する。
【0048】
次に、図6を参照して、図5のアシスト再始動が実行された後、スタータモータ36が停止する(ステップS25)前に、クラッチミートがあった場合の割り込み制御について説明する。
【0049】
図5のアシスト再始動時に、運転状態判定部110は、クラッチアッパスイッチSW2の信号に基づき、クラッチミートの有無をモニタする(ステップS30)。ここで運転状態判定部110は、変速機がドライブレンジにギアインされ、且つクラッチペダル40がOFF(クラッチアッパスイッチSW2がOFF)の場合にクラッチミートがあったものと判定する。
【0050】
仮にクラッチミートが検出された場合、スタータ制御部112は、その時点でスタータモータ36によるエンジン1の再始動を停止する(ステップS31)。次いで、運転状態判定部110は、スタータモータ36の停止によってエンジン1が停止したか否かを判定する(ステップS32)。スタータモータ36が停止しても、エンジン1が充分な速度で回転している場合には、そのまま再始動に成功する場合があるので、仮にエンジン1が停止していない場合には、完爆判定を行い(ステップS33)、エンジン1の完爆が判定された場合には、図5のステップS26に移行して通常運転を実行し、処理を終了するようにしているのである。
【0051】
エンジン1が完爆せず、停止した場合、運転状態判定部110は、エンジン1が停止してからの経過時間を計測しつつ(ステップS34)、クラッチペダル40が踏み込まれ、エンジンの再始動要求が成立するのを待機する(ステップS35)。
【0052】
クラッチペダル40が踏み込まれ、エンジンの再始動要求が成立した場合、燃焼制御部111は、計測された経過時間に基づいて制御マップM2、M3の値を索引し、現時点で推定される筒内圧力と筒内温度に基づいて、所定位置の基準となるクランク角度θaや空燃比リッチ補正量(図4(A)参照)を決定する(ステップS36)。
【0053】
次いで、決定されたクランク角度θaと圧縮行程にある気筒のピストン停止位置とを比較し、圧縮行程にある気筒のリッチ化補正の要否を判定する(ステップS37)。仮にリッチ化補正が必要な場合、燃焼制御部111は、圧縮行程にある気筒のピストン停止位置に基づいて、制御マップM1の値を索引し、リッチ化度合を決定し(ステップS38)、圧縮行程にある気筒に追加燃料を噴射する(ステップS39)。その後、スタータ制御部112がスタータモータ36を駆動するので(ステップS40)、圧縮行程で停止していた気筒では、気化潜熱によって筒内圧力や筒内温度が低下し、自着火を来すことなくピストン13が圧縮上死点を通過することになる。なお、ステップS37でリッチ化補正が不要であると判定された場合には、そのままステップS40に移行する。また、元々、圧縮行程で停止していた気筒に燃料が噴射されていない状態でエンジン1が停止していた場合には、ステップS38で補正量が0とされることになる。
【0054】
ステップS40でスタータモータ36が駆動された後、燃焼制御部111は、圧縮行程にある気筒で燃焼制御を実行する(ステップS41)。
【0055】
その後は、図5のステップS24に移行し、完爆判定が成立した時点でスタータモータ36を停止して通常運転に移行する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、エンジン1が自動停止した後、アシスト再始動条件が成立した場合には、アシスト再始動制御が実行され、スタータモータ36が作動して、エンジン1が再始動する。この再始動時においてスタータモータ36が作動しているときに、操縦者の迅速なクラッチ操作によってクラッチがミートした場合には、スタータモータ36がエンジン1の駆動を停止する。このため、スタータモータ36による駆動が中止されたエンジン1は、多く場合、停止することになり、圧縮行程にある気筒には、燃焼前の燃料が残っている場合がある。その後、停止したエンジン1の再始動条件が成立した場合には、燃焼前の燃料が残っている圧縮行程気筒の空燃比がリッチ化補正されるので、気化潜熱で筒内の温度を低下させて自着火を抑制することができる。従って、この気筒でピストン13が圧縮上死点を越えるまでにプリイグニションが生じるのを防止することができ、再始動が禁止された後に再度、エンジン1を再始動した際、プリイグニションによってエンストを来すのを可及的に防止することができる。
【0057】
また本実施形態では、燃焼制御部111は、クラッチミートによってスタータモータ36によるエンジン1の駆動を停止した後、停止したエンジン1の再始動条件が成立した場合において、圧縮行程気筒のピストン13が所定位置から圧縮上死点側で停止していたときは、図6のステップS36〜S37で示したように、圧縮行程気筒のリッチ化を禁止するものである。このため本実施形態では、筒内の空気量が少なく、自着火が生じにくい上死点側で圧縮行程にある気筒のピストン13が停止しているときには、余分な燃料の使用を防止することができ、燃費低下を抑制することができる。
【0058】
また本実施形態では、燃焼制御部111は、クラッチミートによってスタータモータ36によるエンジン1の駆動を停止した後、停止したエンジン1の再始動条件が成立した場合において、圧縮行程気筒のピストン13が所定位置よりも下死点側にあるときは、下死点側であるほど、リッチ化度合を高く制御するものである。このため本実施形態では、筒内の空気量が多く、自着火が生じやすい下死点側で圧縮行程にある気筒のピストン13が停止しているときは、その停止位置が下死点側になるほど、当該気筒での空燃比のリッチ化度合が高くなるので、必要充分な燃料によってプリイグニションの発生を抑制することができる。
【0059】
また本実施形態では、運転状態判定部110は、クラッチミートによってスタータモータ36によるエンジン1の駆動を停止した後、停止したエンジン1の再始動条件が成立した場合において、エンジン停止後の筒内圧力を推定する筒内圧力推定機能を有し、燃焼制御部111は、運転状態判定部110が推定した筒内圧力が高いほど、リッチ化度合を高く制御するものである。このため本実施形態では、プリイグニションの一因である筒内圧力に基づいて、空燃比を制御し、必要充分な追加燃料を噴射することによって当該圧縮行程にある気筒でのプリイグニションを防止することができる。
【0060】
また本実施形態では、運転状態判定部110は、クラッチミートによってスタータモータ36によるエンジン1の駆動を停止した後、停止したエンジン1の再始動条件が成立した場合において、エンジン停止後の筒内温度を推定する筒内温度推定機能を有し、燃焼制御部111は、運転状態判定部110が推定した筒内温度が高いほど、リッチ化度合を高く制御するものである。このため本実施形態では、プリイグニションの一因である筒内温度に基づいて、空燃比を制御し、必要充分な追加燃料を噴射することによって当該圧縮行程にある気筒でのプリイグニションを防止することができる。
【0061】
上述した実施形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0062】
例えば、筒内温度や筒内圧力は、エンジン水温センサ33の検出値から演算して推測するようにしてもよい。
【0063】
また、所定位置の基準となるクランク角度θaや補正量を筒内圧力または筒内温度に応じて変更する構成を採用する場合、変更のパラメータを筒内圧力のみまたは筒内温度のみにしてもよい。
【0064】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るエンジンの制御装置を有する4サイクル火花点火式エンジンの概略構成を示している。
【図2】本発明に係るエンジンの制御装置を有する4サイクル火花点火式エンジンの概略構成を示している。
【図3】本実施形態に係るクラッチペダルの構成を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る制御パラメータの特性図であり、(A)が空燃比リッチ補正量とピストン停止位置との関係を示す関係図、(B)が筒内圧力と経過時間との関係を示す関係図、(C)が筒内温度と経過時間との関係を示す関係図である。
【図5】本実施形態に係る再始動時(通常のアシスト再始動時)の制御例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る再始動時の制御例(アシスト再始動時にクラッチミートがあった場合の割り込み制御例)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 エンジン
12A-12D 気筒
13 ピストン
36 スタータモータ(電動駆動装置の一例)
40 クラッチペダル
100 エンジン制御ユニット
110 運転状態判定部
111 燃焼制御部
112 スタータ制御部(電動駆動装置制御部の一例)
M1 制御マップ
M2 制御マップ
M3 制御マップ
θa 所定のクランク角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチペダルの操作によりクラッチの接続遮断動作を操縦者が制御する車両に設けられ、所定のエンジン停止条件が成立したときに前記車両のエンジンを自動停止させ、停止後、所定のアシスト再始動条件が成立したときに、前記エンジンの電動駆動装置を駆動して自動的にエンジンをアシスト再始動させる車両用エンジンの制御装置であって、
前記エンジン停止条件並びに前記再始動条件の成否を含む運転状態を判定する運転状態判定部と、
前記運転状態判定部の判定に基づいて、エンジンの燃焼制御を司る燃焼制御部と、
前記アシスト再始動時に前記電動駆動装置の接続/遮断を制御する電動駆動装置制御部と
を備え、
前記電動駆動装置が再始動時に駆動されているときにクラッチミートした場合、前記電動駆動装置制御部は、当該電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止制御するものであり、
前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、エンジンが停止し、さらに停止したエンジンの再始動条件が成立した場合、前記電動駆動装置制御部は、前記電動駆動装置を駆動するとともに、前記燃焼制御部は、エンジン停止前に燃料が噴射されたまま未点火にある圧縮行程気筒での自着火を抑制するように当該圧縮行程気筒の空燃比をリッチ化するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記燃焼制御部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、前記圧縮行程気筒のピストンが所定位置から圧縮上死点側で停止していたときは前記圧縮行程気筒のリッチ化を禁止するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記燃焼制御部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、前記圧縮行程気筒のピストンが所定位置よりも下死点側にあるときは、下死点側であるほど、リッチ化度合を高く制御するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記運転状態判定部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、エンジン停止後の筒内圧力を推定する筒内圧力推定機能を有し、
前記燃焼制御部は、前記運転状態判定部が推定した筒内圧力が高いほど、リッチ化度合を高く制御するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記運転状態判定部は、前記クラッチミートによって前記電動駆動装置によるエンジンの駆動を停止した後、停止したエンジンの再始動条件が成立した場合において、エンジン停止後の筒内温度を推定する筒内温度推定機能を有し、
前記燃焼制御部は、前記運転状態判定部が推定した筒内温度が高いほど、リッチ化度合を高く制御するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−30502(P2009−30502A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194161(P2007−194161)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】