説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 取得した割り込み情報の内容を確実に使用者に伝達する車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 電子地図上で車両の現在位置を表示して車両の走行を助ける車両用ナビゲーション装置において、交通に関連した道路交通情報を外部から取得するための外部情報入力手段と、道路交通情報を表示する表示手段と、交通関連情報が表示される表示時間を設定する表示時間設定手段と、設定された時間だけ表示手段に道路交通情報を表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ナビゲーション装置に係り、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)の特に光ビーコン又は電波ビーコンから受信したデータに基づく道路交通情報をユーザに提供できるようにした車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在位置から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置は、運転者の効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
ところで、地図データに基づき画面に地図画像を表示するだけでは、渋滞や通行規制の発生を知ることができず、事前に適切な迂回ルートを取ることができない。そこで、車両に対し、現在地、行き先案内や駐車場案内、渋滞、注意・規制、所要時間等の各種情報を電波ビーコン,光ビーコン,FM多重放送等の無線通信で提供することで、運転者が各種情報を総合判断しながら所望地へ、的確な経路で迅速に走行できるようにした道路交通情報通信システム(VICS)の開発、実用化が進められている。この内、FM多重放送では比較的広域の渋滞,注意・規制,所要時間等の道路交通情報がレベル1,2,3の別に提供される。レベル3は、FM多重放送から受信したVICSデータの中から、現在表示中の地図画像に含まれているリンクに関するデータを検索し、地図画像上の該当箇所に渋滞図形、通行規制マーク等を重ねて描画する。また、レベル1は数行分の文字により、渋滞箇所とその理由,渋滞長さ,注意・規制箇所とその内容,所要時間等を表示し、レベル2では簡易地図により、渋滞箇所と長さ,注意・規制箇所と内容,所要時間等を表示する。
【0004】
VICSの光ビーコン又は電波ビーコンにおける道路交通情報の一部(レベル2の文字情報・簡易図形など)は車両用ナビゲーション装置に割り込み情報として表示あるいは報知される。車両用ナビゲーション装置は、一般にパソコンなどに比べCPUの処理能力が低い。このため、音楽データのデコードを含む再生処理とナビゲーション処理とを並列処理すると、CPUの処理能力が限界に達し、その他の割り込み処理例えばVICSから送られてくる道路交通情報を受信したときに、再生している音楽と道路交通情報の音声案内とが重なって出力されてしまい、道路交通情報が使用者に正しく伝達されないとともに、音楽を聴いている使用者に不快感を与えることもある。
【0005】
上記問題を解決するために、音楽を再生中、ボーカル部分でVICS情報を入力すると音声出力せずに一旦蓄積する。音楽が間奏部分に入ると蓄積したVICS情報を出力し、次のボーカル部分が開始されると出力を停止する。一方、曲間を検出すると、曲間延長タイマをスタートさせ、CPUが軽負荷となる時間を確保してVICS情報を確実に取得可能とする。蓄積したVICS情報があれば出力し、VICS情報の出力が終了するまで待つ。そして、曲間延長タイマが計時終了したら次の曲の再生を開始する車両用ナビゲーション装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、ナビゲーション機能を含む電子機器と、表示画面と、操作入力手段とを備え、操作入力手段は運転者よる操作を優先させる運転者優先モード受付手段を設け、運転者優先モードでは表示画面に所定の重要情報が表示されている期間中は、運転者用操作入力手段以外の表示切り換え操作を禁止すると共に、ナビゲーション機能を操作する入力操作があった場合、最先の入力操作の情報を所定期間だけ表示させ、所定期間中、他の操作入力手段からの割り込み操作あるいは表示を禁止する。ナビゲーション機能以外の他の機能が操作された場合には、ナビゲーション機能と独立して、当該他の機能の操作に基づく情報を表示画面に表示させる車載用情報入出力システムが提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−117176号公報
【特許文献2】特開2004−037294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、高速道路における電波ビーコンを用いたVICSシステムは、レベル2の文字情報・簡易図形などの道路交通情報を受信するとその都度ナビ画面に割込み画面として表示をするが、首都高速のような分岐や出入り口の間隔の短い都市高速道路では電波ビーコン路上機が近接しており、交通の流れが比較的スムーズな場合には、頻繁に割込み画面が表示される。このような状況で運転者が首都高速に不慣れの場合、電波ビーコンにより受信した割込み情報表示によって地図画面が見えなくなり、走行すべき高速道路の分岐や出口を確認できず目的地への到達が遅れてしまうという問題点がある。
【0009】
また、特許文献1および2の例では、割込み情報表示中は音楽の演奏あるいは機器の操作が中断されるが、使用者に関係のない割込み情報の表示によって音楽の演奏あるいは機器の操作が中断されることもあるので、使用者に不快感を与える問題は解決されない。
【0010】
従来の車両用ナビゲーション装置では、電波ビーコンの割込み画面表示は使用者が表示する/表示しないの設定はできたが、表示時間や表示内容の設定まではできなかったため、表示する設定の場合上記の問題点があった。一般道における光ビーコンを用いたVICSシステムにも上記と同様の問題点がある。
【0011】
上記問題を背景として、本発明の課題は、取得した割り込み情報の内容を確実に使用者に伝達する車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための車両用ナビゲーション装置を提供するものである。即ち、請求項1によれば、電子地図上で車両の現在位置を表示して車両の走行を助ける車両用ナビゲーション装置において、交通に関連した道路交通情報を外部から取得するための外部情報入力手段と、道路交通情報を表示する表示手段と、道路交通情報が表示される表示時間を設定する表示時間設定手段と、設定された時間だけ表示手段に道路交通情報を表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置として構成される。
【0013】
上記構成によって、外部から取得する交通に関連した道路交通情報に含まれる割り込み情報(レベル2の文字情報・簡易図形など)を必要最低限の時間表示することが可能となるので、割り込み情報によって画面表示を遮られる時間も短くなる。また、割込み情報の表示によって音楽の演奏あるいは機器の操作が中断されることはなくなり、車内の快適性は保たれる。
【0014】
請求項2によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置は、電子地図における道路種別を記憶する道路種別記憶手段を備え、表示時間設定手段は道路種別に応じて、表示時間を設定する構成をとることができる。長距離幹線高速と都市高速ではビーコン路上機の隣接間隔が異なるため、間隔が短い都市高速ほど割り込み情報の表示が頻繁になりがちであるが、本構成を用いることによって、例えば都市高速を走行中に割り込み情報の表示時間を長距離幹線高速を走行中の表示時間よりも短く設定することで、地図画面が見えなくなる時間を短くすることが可能となる
【0015】
請求項3によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置は、道路交通情報が状況によって変動する動的情報を含むかどうかを判定する情報判定手段を備え、表示制御手段は道路交通情報が動的情報を含むと判定された場合に、表示手段に動的情報を表示させる構成をとることができる。
【0016】
割込み情報は位置情報,道路案内情報(一方通行,車両制限,車両通行止め等)等の各種静的情報と、交通情報や気象情報などの状況によって変動する交通に関連した動的情報がある。本構成によって、動的情報がない場合には画面表示を行なわないので、割込み画面表示によって地図画面が見えなくなる回数を減らすことが可能となる。
【0017】
請求項4によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置は、目的地までの経路を案内する経路案内手段と、目的地までの経路案内中かどうかを判定する経路案内判定手段を備え、経路案内中でない判定された場合に、表示制御手段は表示手段に道路交通情報を表示させる構成をとることができる。
【0018】
経路案内中は運転者は車両が経路から逸脱しないことを第一に考えるため、地図以外のものが画面に表示されることを好まない傾向にある。本構成では、割込み情報によって地図画面表示が遮られるのを防ぐことができる。
【0019】
ところで、車両用ナビゲーション装置の経路設定に際しては、一般に周知のダイクストラ法あるいはそれに準じた手法が用いられる。具体的には、CD−ROMやDVDといった記憶媒体に記憶されている地図データを用いて、ノード間のリンクに対するリンク情報を用いて経路設定が行なわれる。
【0020】
リンク情報としては、リンクを特定するための固有の番号であるリンクIDや、高速道路、有料道路、あるいは一般道などを識別するための道路種別(リンククラス)や、道路の幅員・車線数あるいは中央分離帯の有無などを示す道路幅員情報、リンクの始端座標および終端座標やリンクの長さを示す道路長(リンク長)などのリンク自体に関する情報がある。一方、ノード情報としては、リンクを結ぶノード固有の番号であるノードIDや、交差点での右左折禁止や、信号機有無などの情報がある。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0021】
そこで、地図データに記憶されているリンク情報に含まれる道路種別,車線数,道路幅員に関する情報を使用すれば、専用の記憶媒体あるいは装置を用いなくても本発明の構成を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
取得した割り込み情報の内容を確実に使用者に伝達する車両用ナビゲーション装置を提供するという目的を、道路交通情報の内容あるいは道路種別によって設定された時間だけ該道路交通情報を表示する車両用ナビゲーション装置により実現した。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施の形態である車両用ナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。図1は車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なうスピーカ15,半導体記憶装置9,表示装置10,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12,ハードディスク装置(HDD)21を備えている。
【0024】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0025】
地図データ入力器6は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む各種データを記憶媒体20(本発明の道路種別記憶手段)から入力するための装置である。記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【0026】
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置10の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。これら操作スイッチ群7およびリモコン端末12によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0027】
操作スイッチ群7およびリモコン端末12の他に、音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット30に接続されるマイク31から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。
【0028】
光ビーコン受信機13および電波ビーコン受信機24(本発明の外部情報入力手段)は、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報(割り込み情報を含む)を受信するための装置である。光ビーコン受信機13は主として一般道における道路交通情報(割り込み情報を含む)の受信に用いられ、電波ビーコン受信機24は主として高速道路における道路交通情報(割り込み情報を含む)の受信に用いられる。また、FM多重受信機25(本発明の外部情報入力手段)はVICS14から道路交通情報(割り込み情報なし)を受信するための装置である。
【0029】
また、通信ユニット19に携帯電話機17あるいは自動車電話機等の移動体通信機器を接続することによっても、外部ネットワークとの接続が可能で、インターネット等に接続することができる。さらに、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器から受信した、料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続することも可能である。これら携帯電話機17あるいはETC車載器16を介してVICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0030】
制御回路8(本発明の表示時間設定手段,表示制御手段,情報判定手段,経路案内手段,経路案内判定手段)は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。
【0031】
HDD21に地図データを記憶する構成をとってもよい。また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができる。これらのデータは、操作スイッチ群7およびリモコン端末12の操作あるいは音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、地図データ入力器6を用いて記憶媒体20から地図データ等を読み込んでHDD21の内容を更新することも可能である。また、車内の他の制御装置との間でデータの遣り取りを行なう車内LAN(Local Area Network)22を介して受信したデータを記録する構成をとってもよい。
【0032】
半導体記憶装置9はRAMまたはフラッシュROM等の書き換え可能な半導体によって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、半導体記憶装置9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(即ち、ナビゲーション装置100がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0033】
また、半導体記憶装置9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを半導体記憶装置9とHDD21に分けて記憶してもよい。この場合、HDD21よりも半導体記憶装置9へのアクセス速度の方が速いため、読み書きの頻度が比較的多いものを半導体記憶装置9に記憶し、読み書きの頻度が比較的少ないものをHDD21に記憶するとよい。半導体記憶装置9に記憶された内容をHDD21にバックアップ保存するようにしてもよい。
【0034】
表示装置10(本発明の表示手段)はカラー液晶表示器により構成されており、表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両の現在位置マークと、記憶媒体20から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行なうためのメニューボタンが表示される。
【0035】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、運転者が操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示装置10上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0036】
即ち、運転者が表示装置10上の地図に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機5から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な経路を求める処理が行われる。そして、表示装置10上の道路地図に誘導経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示装置10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0037】
(表示条件設定処理)
図2のフロー図を用いて割り込み情報の表示条件設定処理について説明する。なお、本処理は、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、VICSセンタ14から受信した割り込み情報(道路交通情報)を表示する設定になっているかどうかを調べ、割り込み情報を表示する設定になっていない場合(S1:No)は処理を終了する。
【0038】
一方、割り込み情報を表示する設定になっている場合(S1:Yes)は、表示装置10の画面上に表示される図示しないメニューに含まれる「標準」,「ユーザ指定」,「ナビ推奨」ボタンのうちのいずれか一つを押すことにより、以下のように割り込み情報を表示する方法を設定する。
【0039】
(従来の表示設定)
「標準」ボタンを押した場合(S3)には、光ビーコン受信機13および電波ビーコン受信機24からの割り込み情報を受信すると以下の(1)から(3)の項目をすべて満たす条件で割り込み情報の内容を表示するよう設定される。
(1)全ての情報を表示。
(2)経路案内中に割り込み情報の表示を行なう。
(3)割り込み情報の表示時間は道路種別によらずt1(秒)(詳細は後述)。
【0040】
(ユーザ指定表示設定)
「ユーザ指定」ボタンを押した場合(S4)には、光ビーコン受信機13および電波ビーコン受信機24からの割り込み情報を受信した場合の表示内容等について以下の(1)から(3)の項目の設定をユーザが任意に行なうことができる。
(1)動的情報がない場合に割り込み情報の表示を行なうかどうか。
(2)経路案内中に割り込み情報の表示を行なうかどうか。
(3)道路種別毎の割り込み情報の表示時間(秒)。
【0041】
(ナビ推奨表示設定)
「ナビ推奨」ボタンを押した場合(S5)には、光ビーコン受信機13および電波ビーコン受信機24からの割り込み情報を受信したときに、例えば以下の(1)から(5)のように、予め半導体記憶装置9のナビ推奨表示設定情報記憶領域に記憶されている内容が設定される。
(1)動的情報がない場合には割り込み情報の表示を行なわない。
(2)経路案内中には割り込み情報の表示を行なわない。
(3)一般道路の割り込み情報の表示時間はt1(秒)。
(4)都市高速(道路)の割り込み情報の表示時間はt3(秒)。
(5)長距離幹線高速(道路)の割り込み情報の表示時間はt2(秒)。
ここで、t1≧t2≧t3の関係がある。
【0042】
設定内容は半導体記憶装置9の割り込み情報表示設定記憶領域に記憶される。また、光ビーコン受信機13と電波ビーコン受信機24の表示設定を個別に設定できるようにしてもよい。また、他の通信形態がある場合にも、通信形態毎に個別に設定内容を記憶するようにしてもよい。
【0043】
図3のフロー図を用いてユーザ指定表示設定を選択した場合(図2のステップS4に相当)の割り込み情報の表示条件設定処理の詳細について説明する。なお、本処理は、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0044】
まず、操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示装置10上に表示されるメニューから図7のような割り込み情報の表示条件設定処理を行なう画面を選択する。割り込み情報表示内容の項目で、動的情報のみを表示したい場合(S11:Yes)には、「動的情報のみ」ボタンを押し(S12)、全ての情報を表示したい場合(S11:No)には「全ての情報」ボタンを押す(S18)。このとき、図7の表示画面において、押されたボタンの表示色あるいは表示パターンが変化する。
【0045】
経路案内中に割り込み情報の表示を行ないたい場合(S13:Yes)には、「表示する」ボタンを押し(S14)、経路案内中に割り込み情報の表示を行ないたくない場合(S13:No)には「表示しない」ボタンを押す(S19)。このとき、押されたボタンの表示色あるいは表示パターンが変化する。
【0046】
走行中の道路の種別による割り込み情報の表示時間を設定する。一般道路(S15),都市高速(S16),長距離幹線高速(S17)について表示時間欄を押して数値を入力する。
【0047】
「終了」ボタンを押すと入力された設定内容が半導体記憶装置9の割り込み情報表示設定記憶領域に記憶される。そして、表示装置10の表示画面もユーザ指定表示設定の前に表示されていた内容を表示する。
【0048】
(割り込み情報表示処理)
図4のフロー図を用いて割り込み情報の表示処理について説明する。なお、本処理は、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、光ビーコン受信機13および電波ビーコン受信機24によって光あるいは電波による割り込み情報を受信した場合(S31:Yes)、位置検出器1と記憶媒体20に含まれる地図データから求められる車両の現在位置から、リンク情報に含まれる道路種別を取得する(S32)。
【0049】
取得した道路種別(一般道路,都市高速,長距離幹線高速)に応じて半導体記憶装置9の割り込み情報表示設定記憶領域に記憶されている表示時間をRAM83の表示時間記憶領域にセットする(S33,S34,S35)。
【0050】
取得した道路種別が一般道路であり、かつ受信した割り込み情報が光ビーコン受信機13からによるものである場合(S36:Yes)、あるいは、取得した道路種別が都市高速あるいは長距離幹線高速であり、かつ受信した割り込み情報が電波ビーコン受信機24からによるものである場合(S37:Yes)はステップS38へ進み、上記条件に該等しない場合(S37:No)は処理を終了する。
【0051】
ステップS38では、半導体記憶装置9の割り込み情報表示設定記憶領域を参照して経路案内中も割り込み情報を表示するよう設定されているかを調べ、経路案内中も割り込み情報を表示するよう設定されている場合(S38:Yes)は次のステップS39へ進む。一方、経路案内中も割り込み情報を表示しないよう設定されている場合(S38:No)は、ナビゲーション装置100が経路案内中かどうかを調べ、経路案内中でない場合(S41:No)はステップS39へ進み、経路案内中の場合(S41:Yes)は処理を終了する。なお、経路案内中かどうかの情報は半導体記憶装置9に記憶されている。
【0052】
ステップS39では、半導体記憶装置9の割り込み情報表示設定記憶領域を参照して割り込み情報表示内容の設定を調べ、動的情報のみ表示するよう設定されている場合(S39:Yes)は表示装置10に動的情報のみを表示し(S40)、全ての情報を表示するよう設定されている場合(S39:No)は表示装置10に全ての情報を表示する(S42)。
【0053】
一般道路を走行中に電波ビーコン受信機24から割り込み情報を受信した場合(S36:No)、あるいは都市高速あるいは長距離幹線高速を走行中に光ビーコン受信機13から割り込み情報を受信した場合(S37:No)にも、割り込み情報表示条件に従って受信した割り込み情報を表示してもよい。
【0054】
図5および図6は従来技術による構成と本発明による構成(ユーザ指定表示設定あるいはナビ推奨表示設定)における割り込み情報表示を比較したものである。図5は東名高速道路等のインターチェンジ間の距離が比較的長い長距離幹線高速(道路)を経路案内を行なわずに走行中の例で、割り込み情報の表示条件は
(1)動的情報がない場合に割り込み情報の表示を行なわない。
(2)経路案内中に割り込み情報の表示を行なうかどうかは任意。
(3)長距離幹線高速の割り込み情報の表示時間:t2(秒)(≦t1)。
の全てを満たすものとなっている。
【0055】
図5の例では走行区間にVICS路上機(以下、路上機と略称)がA1からA4の4箇所あり、路上機A1,A3からの割り込み情報に動的情報が含まれている。従来の構成(標準設定)では表示条件は、全ての情報を表示することになっているため、該走行区間を走行すると4回の割り込み情報の画面表示が行なわれ、4×t1(秒)の間画面表示が行なわれる。一方、本発明の構成では該走行区間を走行すると2回の割り込み情報の画面表示が行なわれ、2×t2(秒)の間割り込み情報の画面表示が行なわれる。よって、表示回数が1回減り表示時間も(4×t1−2×t2)(秒)だけ短縮される。その結果、地図,案内情報,TV等の使用者が見たい画面の表示を妨げる時間が短くなって使用者の不快感も低減され、必要な情報は表示されるのでナビゲーション装置100に対する使用者の信頼感は高まる。
【0056】
図6はインターチェンジ間の距離が比較的短い首都高速道路等の都市高速(道路)を経路案内を行なわずに走行中の例で、割り込み情報の表示条件は、割り込み情報の表示時間がt3(秒)(t3≦t2≦t1)である以外は図5の例と同様である。走行区間にVICS路上機(以下、路上機と略称)がB1からB6までの6箇所あり、路上機B1,B4,B6からの割り込み情報に動的情報が含まれている。路上機B1からB6までの距離は図5の路上機A1からA4までの距離とほぼ等しい。これは、都市高速は出入り口の間隔が短いので路上機の設置間隔も短いためである。
【0057】
従来の構成(標準設定)では表示条件は、全ての情報を表示することになっているため、該走行区間を走行すると6回の割り込み情報の画面表示が行なわれ、6×t1(秒)の間画面表示が行なわれる。一方、本発明の構成では該走行区間を走行すると3回の割り込み情報の画面表示が行なわれ、3×t3(秒)の間割り込み情報の画面表示が行なわれる。よって、表示回数が1回減り表示時間も(6×t1+3×t3)(秒)だけ短縮される。さらに、路上器の設置間隔に対応して割り込み情報の表示時間(t3)は長距離幹線高速を走行する場合(t2)よりも短く設定されているので、割り込み情報表示中に次の割り込み情報が表示されることもない。その結果、地図,案内情報,TV等の使用者が見たい画面の表示を妨げる時間が短くなって使用者の不快感も低減され、必要な情報は表示されるのでナビゲーション装置100に対する使用者の信頼感は高まる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】表示条件設定処理を説明するためのフロー図。
【図3】ユーザ指定表示設定処理を説明するためのフロー図。
【図4】割り込み情報表示処理を説明するためのフロー図。
【図5】従来技術による構成と本発明による構成における割り込み情報表示を比較した図。(長距離幹線高速走行時)
【図6】従来技術による構成と本発明による構成における割り込み情報表示を比較した図。(都市高速走行時)
【図7】ユーザ指定表示設定処理実行時の画面表示例。
【符号の説明】
【0060】
1 位置検出器
5 GPS受信機
7 操作スイッチ群
8 制御回路(表示時間設定手段,表示制御手段,情報判定手段,経路案内手段,経路案内判定手段)
9 半導体記憶装置
10 表示装置(表示手段)
13 光ビーコン受信機(外部情報入力手段)
14 VICSセンタ
20 記憶媒体(道路種別記憶手段)
21 ハードディスク装置
24 電波ビーコン受信機(外部情報入力手段)
25 FM多重受信機(外部情報入力手段)
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子地図上で車両の現在位置を表示して車両の走行を助ける車両用ナビゲーション装置において、
交通に関連した道路交通情報を外部から取得するための外部情報入力手段と、
前記道路交通情報を表示する表示手段と、
前記道路交通情報が表示される表示時間を設定する表示時間設定手段と、
前記設定された時間だけ前記表示手段に前記道路交通情報を表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記電子地図における道路種別を記憶する道路種別記憶手段を備え、
前記表示時間設定手段は前記道路種別に応じて、前記表示時間を設定するものである請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記道路交通情報が状況によって変動する動的情報を含むかどうかを判定する情報判定手段を備え、
前記表示制御手段は前記道路交通情報が前記動的情報を含むと判定された場合に、前記表示手段に前記動的情報を表示させるものである請求項1または2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
目的地までの経路を案内する経路案内手段と、前記目的地までの経路案内中かどうかを判定する経路案内判定手段を備え、
経路案内中でない判定された場合に、前記表示制御手段は前記表示手段に前記道路交通情報を表示させるものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−105697(P2006−105697A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290681(P2004−290681)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】