車両用プロテクタ
【課題】 ブロー成形されたブロー成形体の少なくとも一端部を切断して得られる車両用プロテクタにおいて、切断面に生ずるバリ等によって線材が損傷しないようにすることである。
【解決手段】 ブロー成形によって車両用プロテクタを成形するとき、袋状に形成されたブロー成形体(袋状成形体110)の両端部が軸直角方向に切断されることにより、筒状体(プロテクタ予備体120)が形成される。このとき、袋状成形体110における両端近傍の周方向に、予め本体側及び蓋体側のくびれ部9,11を形成し、それらの内壁面9a,11aが、プロテクタ予備体120のプロテクタ本体1と蓋体2との両端開口の内壁縁1a,2aに包含されるようにし、プロテクタ本体1に収容された線材の外周面が、プロテクタ本体1と蓋体2との両端開口の切断面に接触しないようにする。
【解決手段】 ブロー成形によって車両用プロテクタを成形するとき、袋状に形成されたブロー成形体(袋状成形体110)の両端部が軸直角方向に切断されることにより、筒状体(プロテクタ予備体120)が形成される。このとき、袋状成形体110における両端近傍の周方向に、予め本体側及び蓋体側のくびれ部9,11を形成し、それらの内壁面9a,11aが、プロテクタ予備体120のプロテクタ本体1と蓋体2との両端開口の内壁縁1a,2aに包含されるようにし、プロテクタ本体1に収容された線材の外周面が、プロテクタ本体1と蓋体2との両端開口の切断面に接触しないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に配策されるワイヤハーネスやチューブ類を収容して保護するための車両用プロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両(例えば、自動車)の電装品に使用される電線は、複数本が束ねられた電線束(ワイヤハーネス)となって車両に配策される。ここで、外部からの衝撃からワイヤハーネスを保護するため、このワイヤハーネスをプロテクタで覆う場合がある。このプロテクタとして、特許文献1に開示される技術が存している。
【0003】
従来のプロテクタは、射出成形によって製作されている。従来のプロテクタは、別々に製作されるプロテクタ本体と蓋体との2部品を備えているため、2つの射出成形型を必要となり、型費が高価になってしまう。
【0004】
上記した結果、車両用プロテクタをブロー成形することが想定される。ブロー成形体は、少なくとも一端が閉塞された筒状部を有するため、その閉塞部を軸直角方向に切断する必要がある。これにより、切断面にバリが生じ、プロテクタ本体に収容された線材の被覆面を損傷させ、線材同士をショートさせて電気機器を作動不能にしたり、「Fire Hazard」と称される不具合を引き起こしたりするおそれがある。
【特許文献1】特開2007−228776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した不具合に鑑み、ブロー成形されたブロー成形体の少なくとも一端部を切断して得られる車両用プロテクタにおいて、切断面に生ずるバリ等によって線材が損傷しないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記した課題を解決するための本発明は、
ワイヤハーネス等の線材を内部に通してこれを保護する筒状の車両用プロテクタであって、
ブロー成形により得られたブロー成形体の少なくとも一端部を切断し、両端を開口して形成される筒状体の外壁面にその周方向にくびれ部が設けられ、該くびれ部の内壁面で囲まれる領域が、前記筒状体の両端開口の内壁縁で囲まれる領域に包含されるようにし、前記線材の外周面が前記くびれ部の内壁面に当接した状態で、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とを非接触状態に配置させることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る車両用プロテクタでは、ブロー成形によって得られたブロー成形体の外壁面にその周方向にくびれ部が設けられている。そして、くびれ部の内壁面で囲まれる領域は、ブロー成形体の両端開口の内壁縁で囲まれる領域に包含される。これにより、車両用プロテクタに収容された線材の外周面と筒状体の両端開口の内壁面とが非接触状態に保持される。この結果、切断面に生じるバリ等が線材を損傷させるおそれが小さくなる。
【0008】
前記くびれ部は、車両用プロテクタに収容された線材が軸方向に対して斜めになるように撓んだときに、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とが非接触状態に配置されるように、前記両端開口に近接して設けることができる。
【0009】
これにより、線材が撓んだときであっても、その外周面と切断面のバリ等が接触しにくくなり、線材を損傷するおそれが一層小さくなる。
【0010】
そして、前記くびれ部の内壁面形状が、前記筒状体の両端開口と相似形状となり、かつ前記くびれ部の内壁面から前記筒状体の両端開口の内壁面との距離が一定となることが望ましい。
【0011】
これにより、線材がどの方向に撓んでも、その外周面と切断面のバリ等が接触しにくくなる。
【0012】
そして、前記筒状体の壁部が軸方向に切開されてプロテクタ本体と蓋体とに分離されたとき、前記くびれ部にベルトが巻回されて前記プロテクタ本体と前記蓋体とが一体に連結される。
【0013】
これにより、車両の走行中の振動等によってプロテクタ本体と蓋体とがぶんりされることがなくなる。しかも、ベルトはくびれ部に巻回されているため、このベルトが軸方向にずれにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例の車両用プロテクタ100の全体斜視図、図2は車両用プロテクタ100の正面図、図3は同じく平面図、図4は同じく左側面図である。
【実施例1】
【0015】
図1ないし図4に示されるように、本実施例の車両用プロテクタ100は軸方向の両端部が開口した筒状であり、上部が開口した断面略U字形状のプロテクタ本体1と、プロテクタ本体1の上側開口を閉塞する方形板状の蓋体2とを備えている。プロテクタ本体1と蓋体2とは、車両用プロテクタ100の軸心Pから半径方向に延出して形成された正面側の張出し部3と背面側の張出し部4とにより連結されている。各張出し部3,4のうち、正面側(本実施例の車両用プロテクタ100の場合、図4の図面視における右側)の張出し部3は軸方向に切開されていて、プロテクタ本体1の端面と蓋体2の端面との間に隙間5が形成されている。また、背面側(本実施例の車両用プロテクタ100の場合、図4の図面視における左側)の張出し部4には、蓋体2を回動させるときの回動支点となるヒンジ部6が形成されている。蓋体2は、ヒンジ部6を回動支点として、プロテクタ本体1に対して相対的に回動自在である。蓋体2を回動させた状態で、プロテクタ本体1と蓋体2との間にはワイヤハーネスWHを挿入可能な開口Qが形成される(図4参照)。
【0016】
プロテクタ本体1の外周部分で、軸方向の両端部近傍から両端開口にかけての部分は、その外周長が連続的に長くなるように軸線C(軸心Pを通る直線)に対して所定角度で傾斜して、半径方向外側に断面略円弧状に膨出する本体側膨出部7が形成されている。また、蓋体2の上面で、軸方向の両端部近傍から両端開口にかけての部分は、その外周長が連続的に長くなるように軸線Cに対して所定角度で傾斜して、半径方向外側に断面略円弧状に膨出する蓋体側膨出部8が形成されている。このため、車両用プロテクタ100の軸方向の両端部は、略円形状となっている。そして、本体側膨出部7と蓋体側膨出部8とにおいて、軸方向の両端開口よりも軸方向に少し離れた部分の外壁面には、半径方向内側に膨出する本体側くびれ部9と蓋体側くびれ部11とがそれらの全周に亘って形成されている。これらのくびれ部9,11は、断面視におけるそれらの底面部の幅(軸方向の長さ)よりも開口の幅の方が大きな台形状である。これにより、本体側くびれ部9の内壁面9a及び蓋体側くびれ部11の内壁面11aは、プロテクタ本体1の軸方向の開口縁1a及び蓋体2の軸方向の開口縁2aよりも半径方向内側(軸心P側)に配置される。
【0017】
蓋体2の上面には、別部材を取り付けるための第1及び第2の取付座部12,13が突出して設けられている。本実施例の車両用プロテクタ100の場合、第1取付座部12に板材14がねじ状部材15によって取り付けられ(図8参照)、第2取付座部13にクリップ16が差し込まれて取り付けられる(図9及び図10参照)。第1及び第2の取付座部12,13については後述する。
【0018】
図5及び図6を参照しながら、本実施例の車両用プロテクタ100の製造方法について説明する。本実施例の車両用プロテクタ100は、樹脂(例えば、ポリプロピレン)をブロー成形した袋状成形体110(図6の(d)参照)から筒状のプロテクタ予備体120を形成し、このプロテクタ予備体120の正面側の張出し部3を軸方向に切開することによって形成される。なお、プロテクタ予備体120は、正面側の張出し部3が切開されていることを除いて、プロテクタ本体100と同一形状である。即ち、図5の(a),(b)に示されるように、押出し機17によって円筒状の溶融樹脂(パリソン18)が押し出される。このパリソン18の左右方向から、一対の成形型Sが接近し、パリソン18を挟み込んだ状態で型閉じされる。図6の(c)に示されるように、成形型Sの下方からパリソン18の内部にエアが吹き込まれる(エアが吹き込まれる状態を矢印で示す)。成形型S内のパリソン18が膨出し、成形型Sのキャビティの内壁面に押し付けられる。図6の(d)に示されるように、この状態で成形型Sを冷却し、所定時間後に成形型Sを型開きすると、細長い袋状成形体110が成形される。この袋状成形体110の軸方向の両端部(捨て袋部19)を切断して除去することにより、筒状のプロテクタ予備体120が形成される。そして、このプロテクタ予備体120における正面側の張出し部3を軸方向に切開することにより、車両用プロテクタ100が形成される。図6の(d)において、切断面21を破線で示す。なお、図5及び図6においては、張出し部3,4の図示を省略している。
【0019】
次に、プロテクタ本体1について詳細に説明する。図7に示されるように、プロテクタ本体1は断面略U字形状であり、底壁部22と、その幅方向(プロテクタ本体1の軸線Cと直交する方向)の両端部から正面側及び背面側の湾曲面形状部23,24を介して起立する正面側及び背面側の側壁部25,26と、それらの上端部から延設される正面側及び背面側の張出し部3,4とを備えている。正面側の張出し部3は、正面側の側壁部25の上端部から、その外壁面よりも外側に設けられた曲率中心P1を中心として半径R1で湾曲して延設される円弧状の湾曲面形状部27と、湾曲面形状部27の上端部から高さ方向に沿って延設される起立部28とを備えていて、断面視において略L字状となっている。背面側の張出し部4は、背面側の側壁部26の上端部から、その外壁面よりも外側に設けられた曲率中心P2を中心として半径R2で湾曲して延設される円弧状の湾曲面形状部29と、湾曲面形状部29の上端部から斜め外側方向に延設される傾斜面部31とを備えている。
【0020】
次に、蓋体2について詳細に説明する。前述したように、蓋体2における幅方向(軸直角方向)の一端部は、プロテクタ本体1の正面側の張出し部3と隙間5を介して対向配置されていて、同じく他端部は、プロテクタ本体1の背面側の張出し部4と連結されている。そして、蓋体2は、背面側の張出し部4に設けられたヒンジ部6を回動支点として回動自在である。回動された蓋体2の一端部は、ストッパ部として機能する正面側の張出し部3の湾曲面形状部27に当接し、それ以上回動不能となる。これにより、正面側の張出し部3が軸方向に切開されたときに生ずるバリにより、プロテクタ本体1に収容されたワイヤハーネスWHが損傷するおそれが小さくなる。図1ないし図3に示されるように、蓋体2の上面には、軸方向に所定の間隔をおいて第1及び第2の取付座部12,13が設けられている。本実施例の車両用プロテクタ100の場合、第1及び第2の取付座部12,13は、いずれもブロー成形によって袋状成形体110が成形されるときに、同時に成形される。即ち、第1及び第2の取付座部12,13は、蓋体2の該当部分を半径方向外側に膨出させた形態である。
【0021】
図1及び図8に示されるように、第1取付座部12は円錐台形状の突起部であり、その中心部に有底の窪み部32が形成されている。即ち、第1取付座部12は、蓋体2の上面から軸線Cに対して所定角度θ1で傾斜して突出する外壁部33と、その外壁部33の頂部34から、頂部34に対して直角に垂下される筒状部35と、筒状部35の底面を閉塞する底部36とを備えている。筒状部35と底部36とにより、窪み部32が形成されている。
【0022】
第1取付座部12の窪み部32の内幅Wは、ねじ状部材15のねじ部15aの外径Dよりも少し狭い。ねじ状部材15のねじ部15aは、取付対象となる別部材(板材14)の通し孔14aに挿通されて、第1取付座部12の窪み部32に挿入され、半回転されることによって取り付けられる。これにより、車両用プロテクタ100と板材14とが連結される。
【0023】
次に、図1及び図9を参照しながら、第2取付座部13について説明する。第2取付座部13は断面略台形状で、対向配置される一対の突起部37,38と、それらの間に軸線Cと直交する方向に配置され、蓋体2の上面から突出する2本の突条39とを備えている。一対の突起部37,38は、対称形状であることを除いて同一形状であるため、図9の図面視における右側の突起部37についてのみ説明する。突起部37は、蓋体2の上面から軸線Cに対する所定角度θ2で傾斜して突出する外壁部41と、その外壁部41の頂部42の端部から、頂部42に対して直角に垂下される上側内壁部43と、上側内壁部43の下端部から内側(外壁部41に向かう側)に向けて屈曲し、アンダーカット状に形成される下側内壁部44とを備えている。第2の取付座部13は、図9及び図10に示されるように、取付対象となる別部材(クリップ16)が、一対の突起部37,38の上側内壁部43と下側内壁部44とで形成されたアンダーカット部に差し込まれることによって連結される。
【0024】
次に、本実施例の袋状成形体110をブロー成形するための成形型Sについて説明する。図11に示されるように、本実施例の成形型Sは、プロテクタ本体100の蓋体2の上面をパーティングラインP/Lとする2つの成形型(第1成形型46と第2成形型47)とを備えている。第1成形型46は、プロテクタ本体1を成形するためのものであり、第2成形型47は、蓋体2を成形するためのものである。第1成形型46は、張出し部3,4を成形する部分(張出し部成形部48,49)が異なることを除いて左右対称である。第1成形型46のキャビティの内壁面には、開口から時計回りの方向に、正面側の張出し部成形部48、正面側の側壁部成形部51、正面側の湾曲面形状部成形部52、底壁部成形部53、背面側の湾曲面形状部成形部54、背面側の側壁部成形部55、背面側の張出し部成形部49が設けられている。また、第2成形型47のキャビティの内壁面には、窪み部成形突起部56、リング面形状の頂部成形部57、傾斜リング面形状の外壁部成形部58が設けられている。第1及び第2の成形型46,47が型閉じされた状態で、パリソン18が配置される。そして、パリソン18の内面にエアが吹き込まれることによりパリソン18が膨出し、各成形型46,47のキャビティの内壁面に押し付けられる。
【0025】
本実施例の車両用プロテクタ100における第1及び第2の取付座部12,13を、ブロー成形する方法について説明する。ブロー成形では、エアを吹き込むことにより、円筒形状のパリソン18を膨出させて成形型Sのキャビティの内壁面に押し付けるため、成形型Sのキャビティの内壁面に凹部を形成することにより、第1及び第2の取付座部12,13を成形することが可能である。しかし、パリソン18を膨出させるため、凹部の深さが深くなると、肉厚が薄くなって破断するおそれがある。
【0026】
このため、本実施例の車両用プロテクタ100の成形型Sでは、図11に示されるように、第1成形型46におけるパーティングラインP/Lから底壁部成形部53までの長さH1(プロテクタ本体1の高さ)と、対向する側壁部成形部51,55同士の間隔L(プロテクタ本体1の幅)と、第2成形型47におけるパーティングラインP/Lから頂部成形部57までの長さH2(第1取付座部12における蓋体2の上面からの高さ)とを規定している。ただし、L>H1である。即ち、第1及び第2の成形型46,47の型閉じ状態で、直径をLとする仮想円筒59を設定し、この仮想円筒59内に第1及び第2の成形型46,47のキャビティの内壁面の殆どの部分が含まれるようにする。そして、仮想円筒59の中心59aをブロー中心(このブロー中心は、車両用プロテクタ100の軸心Pと等しい)とし、パリソン18の軸心をブロー中心に合致させて配置する。本実施例の成形型46,47の場合、仮想円筒59の中心59aは、第1成形型46のキャビティにおける中央部よりも少し第2成形型47寄りに配置される。即ち、仮想円筒59の中心59aから、第1成形型46の底壁部成形部53までの距離H3は、同じく第2成形型47の窪み部成形突起部56までの距離H4よりも少し長い。
【0027】
図12の(a)に示されるように、エアが吹き込まれて膨出するパリソン18の外周面は、最初に第2成形型47の窪み部成形突起部56に至る。この状態で、パリソン18の外周面と第1成形型46の底壁部成形部53との間には隙間が生じている。更に、パリソン18にエアが吹き込まれると、図12の(b)に示されるように、パリソン18の上部は、第2成形型47の窪み部成形突起部56の両側に回り込むように膨出する。また、パリソン18の外周面が、第1成形型46の底壁部成形部53に至る。
【0028】
そして、パリソン18の上部と下部は、第2成形型47の窪み部成形突起部56と第1成形型46の底壁部成形部53とによって拘束されているため、パリソン18は、主に横方向(左右方向)に膨出する。ここで、第2成形型47の凹部(窪み部成形突起部56、頂部成形部57及び外壁部成形部58によって囲まれた部分)は、パリソン18の軸心Pを中心とする仮想円筒59内に配置されている(図11参照)。このため、図13の(c)に示されるように、パリソン18の左右の部分が、第1成形型46の側壁部成形部51,55に至るのとほぼ同時に、パリソン18の上部が、第2成形型47の頂部成形部57及び外壁部成形部58に至る。即ち、プロテクタ本体1の側壁部25,26と、蓋体2の第1取付座部12の頂部34及び外壁部33とは、ほぼ同時にブロー成形される。これにより、ブロー成形時に、第1取付座部12の頂部34及び外壁部33の肉厚が薄くなっても、それらが破断するおそれが小さくなる。
【0029】
この状態で、パリソン18に更にエアが吹き込まれると、図13の(d)に示されるように、パリソン18の正面側の肩部61(図13の(c)参照)と背面側の肩部62が膨出し、対応する張出し部成形部48,49に入り込み、それらの内壁面に至る。そして、図14に示されるように、所定時間経過後、第1及び第2の成形型46,47が型開きされ、各成形型46,47から袋状成形体110が離型される。
【0030】
本実施例の第1及び第2の成形型46,47では、第1成形型46のキャビティの内壁面と第2成形型47の頂部成形部57、外壁部成形部58とが、仮想円筒59内に配置されている。このため、例えば、仮想円筒59の中心59aから第1成形型46の側壁部成形部51までの距離と、同じく第2成形型47の頂部成形部57までの距離とはほぼ等しい。これにより、ブロー成形された袋状成形体110において、第1取付座部12の頂部34の肉厚t1と、側壁部25の肉厚t2とがほぼ等しくなる。
【0031】
そして、第1成形型46において、張出し部成形部48,49は、仮想円筒59から鋭角状に突出されて(はみ出して)いて、背面側の張出し部4の頂部にヒンジ部6が成形される。これにより、ブロー中心(仮想円筒59の中心59a)から張出し部成形部48,49までの距離は、ブロー中心から頂部成形部57又は側壁部成形部51までの距離よりも長くなる。これは、パリソン18の流動距離が長くなることを意味している。この結果、張出し部3,4の肉厚t3,t4は、頂部34の肉厚t1又は側壁部25の肉厚t2よりも薄くなり、背面側の張出し部4においては、その頂部にあるヒンジ部6の肉厚t4が最も薄くなる。これにより、袋状成形体110における正面側の張出し部3を軸方向に切開する作業が容易になるとともに、背面側の張出し部4に形成されるヒンジ部6において、蓋体2を回動させる作業が容易になる。
【0032】
上記したブロー成形時の作用は、第2成形型47において第1取付座部12が形成されている部分における作用である。そして、第2成形型47において第2取付座部13が形成されている部分におけるブロー成形の作用も殆ど同様である。
【0033】
本実施例の車両用プロテクタ100の場合、第1取付座部12の外壁部33及び第2取付座部13の外壁部41が、軸線Cに対して所定角度θ1,θ2(θ1<90°、θ2<90°)で傾斜して設けられている。これにより、所定角度θ1,θ2が90°である場合と比較して、外壁部33,41を形成するためにパリソン18を膨出させる量が少なくて済むとともに、当該部分におけるパリソン18の流動性が良好となり、第1取付座部12の頂部34及び第2取付座部13の頂部42を破断させるおそれを更に小さくできる。
【0034】
本実施例の車両用プロテクタ100の作用について説明する。図4に示されるように、プロテクタ本体1にワイヤハーネスWHを収容するとき、プロテクタ本体1と蓋体2との連結部である背面側の張出し部4に設けられたヒンジ部6を回動支点として、蓋体2の端部をプロテクタ本体1から離隔する方向に回動させる。プロテクタ本体1と蓋体2との間に大きな開口Qが形成される。この開口Qを介してワイヤハーネスWHを、プロテクタ本体1内に入り込ませる。これにより、既に車両のボディに配策されたワイヤハーネスWHであっても、そのままの状態でプロテクタ本体1内に収容することができる。
【0035】
プロテクタ本体1にワイヤハーネスWHを収容させた状態で、蓋体2が閉じられる。蓋体2の端部が、正面側の張出し部3に収容される。正面側の張出し部3が断面視において略L字状になっているため、閉じられた蓋体2の端部が、正面側の張出し部3の湾曲面形状部27に当接し、それ以上入り込むことが抑止される。これにより、プロテクタ本体1にワイヤハーネスWHが確実に収容され、走行中の車両の振動等によってワイヤハーネスWHの飛出しが防止される。
【0036】
そして、プロテクタ本体1のくびれ部9と蓋体2のくびれ部11とに跨って、図示しないベルト(例えば、結束バンド)が配置される。このベルトの端部が締結されることにより、プロテクタ本体1と蓋体2とが一体に連結され、蓋体2が開くことが防止される。このベルトは、くびれ部9,11に落ち込んで配置されているため、軸方向にずれることはなく、プロテクタ本体1と蓋体2との連結状態が維持される。
【0037】
本実施例の車両用プロテクタ100は、ブロー成形によって形成された袋状成形体110の軸方向の両端部を切断して形成される。このため、プロテクタ本体1と蓋体2の軸方向の両端開口縁1a,2aに切断時のバリが残る場合がある。このバリがワイヤハーネスWHの外周面を擦ってワイヤハーネスWHの被覆を損傷させると、電線同士がショートして、電気機器を作動させなくしたり、「Fire Hazard」と称される火災を引き起こしたりするおそれがある。しかし、本実施例の車両用プロテクタ100の場合、プロテクタ本体1と蓋体2との軸方向の両端部にくびれ部9,11が設けられていて、それらの内壁面9a,11aは、プロテクタ本体1の開口縁1a及び蓋体2の開口縁2aよりも軸心P寄りに配置されている。そして、くびれ部9,11の内壁面9a,11aによって囲まれる領域は、プロテクタ本体1の開口縁1a及び蓋体2の開口縁2aによって囲まれる領域に包含されている。しかも、くびれ部9,11は、プロテクタ本体1と蓋体2の開口に近接して設けられている。このため、車両の走行中の振動等によってワイヤハーネスWHがプロテクタ本体1内で撓んでも、ワイヤハーネスWHの外周面がくびれ部9,11の内壁面9a,11aに当接して、それ以上撓むことが抑止され、プロテクタ本体1の開口縁1a及び蓋体2の開口縁2aに接触するおそれが小さくなる。これにより、ワイヤハーネスWHの被覆が損傷して、電線同士がショートするおそれが小さくなる。
【実施例2】
【0038】
次に、図15及び図16を参照しながら、第2実施例の車両用プロテクタ200について説明する。上記した第1実施例の車両用プロテクタ100の軸方向の少なくとも一方の端部に、コルゲート部63を延設させてもよい。コルゲート部63には、軸方向に多数の波形状部64が連続して形成されている。コルゲート部63の大きさ(軸直角断面形状)は、プロテクタ本体1及び蓋体2の大きさよりも大きい。そして、コルゲート部63は、プロテクタ本体1及び蓋体2と同時にブロー成形される。このため、波形状部64の肉厚は、プロテクタ本体1及び蓋体2よりも薄くなる。この結果、コルゲート部63を軸方向に変形(伸張)させたり、軸線Cと交差する方向に変形(屈曲)させたりすることが容易になる。なお、図15において、65は、コルゲート部63が軸方向に切開されて形成された隙間である。コルゲート部63が押し広げられて隙間65が拡げられることにより、コルゲート部63にワイヤハーネスWHが挿入される。
【0039】
これは、コルゲート部63を軸方向に変形させたときに、プロテクタ本体1内に挿入されているワイヤハーネスWHに大きな力を加えることなく、ワイヤハーネスWHを曲げることができることを意味している。この結果、ワイヤハーネスWHの損傷が防止され、「Fire Hazard」が生じにくくなる。
【0040】
上記した第2実施例の車両用プロテクタ200の場合、コルゲート部63の外径は、プロテクタ本体1及び蓋体2の外形状よりも大きくなっている。そして、プロテクタ本体1、蓋体2及びコルゲート部63はブロー成形により一体に成形される。このため、コルゲート部63の肉厚は、プロテクタ本体1及び蓋体2の肉厚よりも薄くなり、そのままの状態でコルゲート部63を、容易に伸張させたり、屈曲させたりすることができる。しかし、コルゲート部63の外径を、プロテクタ本体1及び蓋体2の外形状と同じ程度にすることも可能である。この場合、コルゲート部63を伸張又は屈曲容易とすると、プロテクタ本体1及び蓋体2の肉厚も薄くなってしまう。
【0041】
これを防止するため、図17に示されるように、プロテクタ本体1の側壁部25,26に凹部66,67を設ける。すると、プロテクタ本体1がブロー成形されるときに、凹部66,67の部分の長さ(内径R1,R2)が、他の部分の長さ(内径R3)よりも短くなるため、凹部66,67の部分の肉厚t1,t2が、他の部分の肉厚t3よりも厚くなる。これにより、コルゲート部63を伸張させたり、屈曲させたりすることを容易にしたまま、プロテクタ本体1の剛性を高くすることができる。
【0042】
第2実施例の車両用プロテクタ200では、プロテクタ本体1に凹部66,67が設けられている。しかし、この凹部66,67を、プロテクタ本体1だけでなく、蓋体2に設けてもよい。
【0043】
上記したように、本発明に係る車両用プロテクタ100は、ブロー成形される。ここで、従来の車両用プロテクタは射出成形されている。ブロー成形方法と射出成形方法とを比較する。車両用プロテクタ100,200を射出成形する場合、プロテクタ本体1と蓋体2を別個に成形するため、プロテクタ本体1の成形型と蓋体2の成形型の2つが必要となり、型費が高くなってしまう。これに対して、車両用プロテクタ100,200をブロー成形する場合、プロテクタ本体1と蓋体2とが同時に成形されるため、その成形型は1つで済む。これにより、型費を安価にすることができる。また、同じ大きさの車両用プロテクタ100,200を成形する場合、ブロー成形機は、射出成形機よりも小型のもので済む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例の車両用プロテクタ100の全体斜視図である。
【図2】車両用プロテクタ100の正面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】同じく左側面図である。
【図5】(a),(b)は、成形型Sにパリソン18を挟み込む状態の作用説明図である。
【図6】(c),(d)は、パリソン18にエアを吹き込んで膨出させる状態の作用説明図である。
【図7】図2のX−X線断面図である。
【図8】第1取付座部12の断面図である。
【図9】第2取付座部13の断面図である。
【図10】第2取付座部13にクリップ16を取り付ける状態の作用説明図である。
【図11】型閉じされた第1及び第2の成形型46,47の断面図である。
【図12】(a),(b)は、パリソン18の膨出状態を示す作用説明図である。
【図13】(c),(d)は、同じく作用説明図である。
【図14】第1及び第2の成形型46,47を型開きして袋状成形体110を離型する状態の作用説明図である。
【図15】第2実施例の車両用プロテクタ200の全体斜視図である。
【図16】同じく一部を破断した正面図である。
【図17】図16のY−Y線断面図である。
【符号の説明】
【0045】
100,200 車両用プロテクタ
110 袋状成形体(ブロー成形体)
120 プロテクタ予備体(筒状体)
1 プロテクタ本体
1a 開口縁(開口の内壁縁)
2 蓋体
4 張出し部(筒状体の壁部)
9 本体側くびれ部(くびれ部)
9a,11a 内壁面(くびれ部の内壁面)
11 蓋体側くびれ部(くびれ部)
64 波形状部
66,67 凹部(厚肉部)
t1〜t3 肉厚
WH ワイヤハーネス(線材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に配策されるワイヤハーネスやチューブ類を収容して保護するための車両用プロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両(例えば、自動車)の電装品に使用される電線は、複数本が束ねられた電線束(ワイヤハーネス)となって車両に配策される。ここで、外部からの衝撃からワイヤハーネスを保護するため、このワイヤハーネスをプロテクタで覆う場合がある。このプロテクタとして、特許文献1に開示される技術が存している。
【0003】
従来のプロテクタは、射出成形によって製作されている。従来のプロテクタは、別々に製作されるプロテクタ本体と蓋体との2部品を備えているため、2つの射出成形型を必要となり、型費が高価になってしまう。
【0004】
上記した結果、車両用プロテクタをブロー成形することが想定される。ブロー成形体は、少なくとも一端が閉塞された筒状部を有するため、その閉塞部を軸直角方向に切断する必要がある。これにより、切断面にバリが生じ、プロテクタ本体に収容された線材の被覆面を損傷させ、線材同士をショートさせて電気機器を作動不能にしたり、「Fire Hazard」と称される不具合を引き起こしたりするおそれがある。
【特許文献1】特開2007−228776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した不具合に鑑み、ブロー成形されたブロー成形体の少なくとも一端部を切断して得られる車両用プロテクタにおいて、切断面に生ずるバリ等によって線材が損傷しないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記した課題を解決するための本発明は、
ワイヤハーネス等の線材を内部に通してこれを保護する筒状の車両用プロテクタであって、
ブロー成形により得られたブロー成形体の少なくとも一端部を切断し、両端を開口して形成される筒状体の外壁面にその周方向にくびれ部が設けられ、該くびれ部の内壁面で囲まれる領域が、前記筒状体の両端開口の内壁縁で囲まれる領域に包含されるようにし、前記線材の外周面が前記くびれ部の内壁面に当接した状態で、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とを非接触状態に配置させることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る車両用プロテクタでは、ブロー成形によって得られたブロー成形体の外壁面にその周方向にくびれ部が設けられている。そして、くびれ部の内壁面で囲まれる領域は、ブロー成形体の両端開口の内壁縁で囲まれる領域に包含される。これにより、車両用プロテクタに収容された線材の外周面と筒状体の両端開口の内壁面とが非接触状態に保持される。この結果、切断面に生じるバリ等が線材を損傷させるおそれが小さくなる。
【0008】
前記くびれ部は、車両用プロテクタに収容された線材が軸方向に対して斜めになるように撓んだときに、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とが非接触状態に配置されるように、前記両端開口に近接して設けることができる。
【0009】
これにより、線材が撓んだときであっても、その外周面と切断面のバリ等が接触しにくくなり、線材を損傷するおそれが一層小さくなる。
【0010】
そして、前記くびれ部の内壁面形状が、前記筒状体の両端開口と相似形状となり、かつ前記くびれ部の内壁面から前記筒状体の両端開口の内壁面との距離が一定となることが望ましい。
【0011】
これにより、線材がどの方向に撓んでも、その外周面と切断面のバリ等が接触しにくくなる。
【0012】
そして、前記筒状体の壁部が軸方向に切開されてプロテクタ本体と蓋体とに分離されたとき、前記くびれ部にベルトが巻回されて前記プロテクタ本体と前記蓋体とが一体に連結される。
【0013】
これにより、車両の走行中の振動等によってプロテクタ本体と蓋体とがぶんりされることがなくなる。しかも、ベルトはくびれ部に巻回されているため、このベルトが軸方向にずれにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例の車両用プロテクタ100の全体斜視図、図2は車両用プロテクタ100の正面図、図3は同じく平面図、図4は同じく左側面図である。
【実施例1】
【0015】
図1ないし図4に示されるように、本実施例の車両用プロテクタ100は軸方向の両端部が開口した筒状であり、上部が開口した断面略U字形状のプロテクタ本体1と、プロテクタ本体1の上側開口を閉塞する方形板状の蓋体2とを備えている。プロテクタ本体1と蓋体2とは、車両用プロテクタ100の軸心Pから半径方向に延出して形成された正面側の張出し部3と背面側の張出し部4とにより連結されている。各張出し部3,4のうち、正面側(本実施例の車両用プロテクタ100の場合、図4の図面視における右側)の張出し部3は軸方向に切開されていて、プロテクタ本体1の端面と蓋体2の端面との間に隙間5が形成されている。また、背面側(本実施例の車両用プロテクタ100の場合、図4の図面視における左側)の張出し部4には、蓋体2を回動させるときの回動支点となるヒンジ部6が形成されている。蓋体2は、ヒンジ部6を回動支点として、プロテクタ本体1に対して相対的に回動自在である。蓋体2を回動させた状態で、プロテクタ本体1と蓋体2との間にはワイヤハーネスWHを挿入可能な開口Qが形成される(図4参照)。
【0016】
プロテクタ本体1の外周部分で、軸方向の両端部近傍から両端開口にかけての部分は、その外周長が連続的に長くなるように軸線C(軸心Pを通る直線)に対して所定角度で傾斜して、半径方向外側に断面略円弧状に膨出する本体側膨出部7が形成されている。また、蓋体2の上面で、軸方向の両端部近傍から両端開口にかけての部分は、その外周長が連続的に長くなるように軸線Cに対して所定角度で傾斜して、半径方向外側に断面略円弧状に膨出する蓋体側膨出部8が形成されている。このため、車両用プロテクタ100の軸方向の両端部は、略円形状となっている。そして、本体側膨出部7と蓋体側膨出部8とにおいて、軸方向の両端開口よりも軸方向に少し離れた部分の外壁面には、半径方向内側に膨出する本体側くびれ部9と蓋体側くびれ部11とがそれらの全周に亘って形成されている。これらのくびれ部9,11は、断面視におけるそれらの底面部の幅(軸方向の長さ)よりも開口の幅の方が大きな台形状である。これにより、本体側くびれ部9の内壁面9a及び蓋体側くびれ部11の内壁面11aは、プロテクタ本体1の軸方向の開口縁1a及び蓋体2の軸方向の開口縁2aよりも半径方向内側(軸心P側)に配置される。
【0017】
蓋体2の上面には、別部材を取り付けるための第1及び第2の取付座部12,13が突出して設けられている。本実施例の車両用プロテクタ100の場合、第1取付座部12に板材14がねじ状部材15によって取り付けられ(図8参照)、第2取付座部13にクリップ16が差し込まれて取り付けられる(図9及び図10参照)。第1及び第2の取付座部12,13については後述する。
【0018】
図5及び図6を参照しながら、本実施例の車両用プロテクタ100の製造方法について説明する。本実施例の車両用プロテクタ100は、樹脂(例えば、ポリプロピレン)をブロー成形した袋状成形体110(図6の(d)参照)から筒状のプロテクタ予備体120を形成し、このプロテクタ予備体120の正面側の張出し部3を軸方向に切開することによって形成される。なお、プロテクタ予備体120は、正面側の張出し部3が切開されていることを除いて、プロテクタ本体100と同一形状である。即ち、図5の(a),(b)に示されるように、押出し機17によって円筒状の溶融樹脂(パリソン18)が押し出される。このパリソン18の左右方向から、一対の成形型Sが接近し、パリソン18を挟み込んだ状態で型閉じされる。図6の(c)に示されるように、成形型Sの下方からパリソン18の内部にエアが吹き込まれる(エアが吹き込まれる状態を矢印で示す)。成形型S内のパリソン18が膨出し、成形型Sのキャビティの内壁面に押し付けられる。図6の(d)に示されるように、この状態で成形型Sを冷却し、所定時間後に成形型Sを型開きすると、細長い袋状成形体110が成形される。この袋状成形体110の軸方向の両端部(捨て袋部19)を切断して除去することにより、筒状のプロテクタ予備体120が形成される。そして、このプロテクタ予備体120における正面側の張出し部3を軸方向に切開することにより、車両用プロテクタ100が形成される。図6の(d)において、切断面21を破線で示す。なお、図5及び図6においては、張出し部3,4の図示を省略している。
【0019】
次に、プロテクタ本体1について詳細に説明する。図7に示されるように、プロテクタ本体1は断面略U字形状であり、底壁部22と、その幅方向(プロテクタ本体1の軸線Cと直交する方向)の両端部から正面側及び背面側の湾曲面形状部23,24を介して起立する正面側及び背面側の側壁部25,26と、それらの上端部から延設される正面側及び背面側の張出し部3,4とを備えている。正面側の張出し部3は、正面側の側壁部25の上端部から、その外壁面よりも外側に設けられた曲率中心P1を中心として半径R1で湾曲して延設される円弧状の湾曲面形状部27と、湾曲面形状部27の上端部から高さ方向に沿って延設される起立部28とを備えていて、断面視において略L字状となっている。背面側の張出し部4は、背面側の側壁部26の上端部から、その外壁面よりも外側に設けられた曲率中心P2を中心として半径R2で湾曲して延設される円弧状の湾曲面形状部29と、湾曲面形状部29の上端部から斜め外側方向に延設される傾斜面部31とを備えている。
【0020】
次に、蓋体2について詳細に説明する。前述したように、蓋体2における幅方向(軸直角方向)の一端部は、プロテクタ本体1の正面側の張出し部3と隙間5を介して対向配置されていて、同じく他端部は、プロテクタ本体1の背面側の張出し部4と連結されている。そして、蓋体2は、背面側の張出し部4に設けられたヒンジ部6を回動支点として回動自在である。回動された蓋体2の一端部は、ストッパ部として機能する正面側の張出し部3の湾曲面形状部27に当接し、それ以上回動不能となる。これにより、正面側の張出し部3が軸方向に切開されたときに生ずるバリにより、プロテクタ本体1に収容されたワイヤハーネスWHが損傷するおそれが小さくなる。図1ないし図3に示されるように、蓋体2の上面には、軸方向に所定の間隔をおいて第1及び第2の取付座部12,13が設けられている。本実施例の車両用プロテクタ100の場合、第1及び第2の取付座部12,13は、いずれもブロー成形によって袋状成形体110が成形されるときに、同時に成形される。即ち、第1及び第2の取付座部12,13は、蓋体2の該当部分を半径方向外側に膨出させた形態である。
【0021】
図1及び図8に示されるように、第1取付座部12は円錐台形状の突起部であり、その中心部に有底の窪み部32が形成されている。即ち、第1取付座部12は、蓋体2の上面から軸線Cに対して所定角度θ1で傾斜して突出する外壁部33と、その外壁部33の頂部34から、頂部34に対して直角に垂下される筒状部35と、筒状部35の底面を閉塞する底部36とを備えている。筒状部35と底部36とにより、窪み部32が形成されている。
【0022】
第1取付座部12の窪み部32の内幅Wは、ねじ状部材15のねじ部15aの外径Dよりも少し狭い。ねじ状部材15のねじ部15aは、取付対象となる別部材(板材14)の通し孔14aに挿通されて、第1取付座部12の窪み部32に挿入され、半回転されることによって取り付けられる。これにより、車両用プロテクタ100と板材14とが連結される。
【0023】
次に、図1及び図9を参照しながら、第2取付座部13について説明する。第2取付座部13は断面略台形状で、対向配置される一対の突起部37,38と、それらの間に軸線Cと直交する方向に配置され、蓋体2の上面から突出する2本の突条39とを備えている。一対の突起部37,38は、対称形状であることを除いて同一形状であるため、図9の図面視における右側の突起部37についてのみ説明する。突起部37は、蓋体2の上面から軸線Cに対する所定角度θ2で傾斜して突出する外壁部41と、その外壁部41の頂部42の端部から、頂部42に対して直角に垂下される上側内壁部43と、上側内壁部43の下端部から内側(外壁部41に向かう側)に向けて屈曲し、アンダーカット状に形成される下側内壁部44とを備えている。第2の取付座部13は、図9及び図10に示されるように、取付対象となる別部材(クリップ16)が、一対の突起部37,38の上側内壁部43と下側内壁部44とで形成されたアンダーカット部に差し込まれることによって連結される。
【0024】
次に、本実施例の袋状成形体110をブロー成形するための成形型Sについて説明する。図11に示されるように、本実施例の成形型Sは、プロテクタ本体100の蓋体2の上面をパーティングラインP/Lとする2つの成形型(第1成形型46と第2成形型47)とを備えている。第1成形型46は、プロテクタ本体1を成形するためのものであり、第2成形型47は、蓋体2を成形するためのものである。第1成形型46は、張出し部3,4を成形する部分(張出し部成形部48,49)が異なることを除いて左右対称である。第1成形型46のキャビティの内壁面には、開口から時計回りの方向に、正面側の張出し部成形部48、正面側の側壁部成形部51、正面側の湾曲面形状部成形部52、底壁部成形部53、背面側の湾曲面形状部成形部54、背面側の側壁部成形部55、背面側の張出し部成形部49が設けられている。また、第2成形型47のキャビティの内壁面には、窪み部成形突起部56、リング面形状の頂部成形部57、傾斜リング面形状の外壁部成形部58が設けられている。第1及び第2の成形型46,47が型閉じされた状態で、パリソン18が配置される。そして、パリソン18の内面にエアが吹き込まれることによりパリソン18が膨出し、各成形型46,47のキャビティの内壁面に押し付けられる。
【0025】
本実施例の車両用プロテクタ100における第1及び第2の取付座部12,13を、ブロー成形する方法について説明する。ブロー成形では、エアを吹き込むことにより、円筒形状のパリソン18を膨出させて成形型Sのキャビティの内壁面に押し付けるため、成形型Sのキャビティの内壁面に凹部を形成することにより、第1及び第2の取付座部12,13を成形することが可能である。しかし、パリソン18を膨出させるため、凹部の深さが深くなると、肉厚が薄くなって破断するおそれがある。
【0026】
このため、本実施例の車両用プロテクタ100の成形型Sでは、図11に示されるように、第1成形型46におけるパーティングラインP/Lから底壁部成形部53までの長さH1(プロテクタ本体1の高さ)と、対向する側壁部成形部51,55同士の間隔L(プロテクタ本体1の幅)と、第2成形型47におけるパーティングラインP/Lから頂部成形部57までの長さH2(第1取付座部12における蓋体2の上面からの高さ)とを規定している。ただし、L>H1である。即ち、第1及び第2の成形型46,47の型閉じ状態で、直径をLとする仮想円筒59を設定し、この仮想円筒59内に第1及び第2の成形型46,47のキャビティの内壁面の殆どの部分が含まれるようにする。そして、仮想円筒59の中心59aをブロー中心(このブロー中心は、車両用プロテクタ100の軸心Pと等しい)とし、パリソン18の軸心をブロー中心に合致させて配置する。本実施例の成形型46,47の場合、仮想円筒59の中心59aは、第1成形型46のキャビティにおける中央部よりも少し第2成形型47寄りに配置される。即ち、仮想円筒59の中心59aから、第1成形型46の底壁部成形部53までの距離H3は、同じく第2成形型47の窪み部成形突起部56までの距離H4よりも少し長い。
【0027】
図12の(a)に示されるように、エアが吹き込まれて膨出するパリソン18の外周面は、最初に第2成形型47の窪み部成形突起部56に至る。この状態で、パリソン18の外周面と第1成形型46の底壁部成形部53との間には隙間が生じている。更に、パリソン18にエアが吹き込まれると、図12の(b)に示されるように、パリソン18の上部は、第2成形型47の窪み部成形突起部56の両側に回り込むように膨出する。また、パリソン18の外周面が、第1成形型46の底壁部成形部53に至る。
【0028】
そして、パリソン18の上部と下部は、第2成形型47の窪み部成形突起部56と第1成形型46の底壁部成形部53とによって拘束されているため、パリソン18は、主に横方向(左右方向)に膨出する。ここで、第2成形型47の凹部(窪み部成形突起部56、頂部成形部57及び外壁部成形部58によって囲まれた部分)は、パリソン18の軸心Pを中心とする仮想円筒59内に配置されている(図11参照)。このため、図13の(c)に示されるように、パリソン18の左右の部分が、第1成形型46の側壁部成形部51,55に至るのとほぼ同時に、パリソン18の上部が、第2成形型47の頂部成形部57及び外壁部成形部58に至る。即ち、プロテクタ本体1の側壁部25,26と、蓋体2の第1取付座部12の頂部34及び外壁部33とは、ほぼ同時にブロー成形される。これにより、ブロー成形時に、第1取付座部12の頂部34及び外壁部33の肉厚が薄くなっても、それらが破断するおそれが小さくなる。
【0029】
この状態で、パリソン18に更にエアが吹き込まれると、図13の(d)に示されるように、パリソン18の正面側の肩部61(図13の(c)参照)と背面側の肩部62が膨出し、対応する張出し部成形部48,49に入り込み、それらの内壁面に至る。そして、図14に示されるように、所定時間経過後、第1及び第2の成形型46,47が型開きされ、各成形型46,47から袋状成形体110が離型される。
【0030】
本実施例の第1及び第2の成形型46,47では、第1成形型46のキャビティの内壁面と第2成形型47の頂部成形部57、外壁部成形部58とが、仮想円筒59内に配置されている。このため、例えば、仮想円筒59の中心59aから第1成形型46の側壁部成形部51までの距離と、同じく第2成形型47の頂部成形部57までの距離とはほぼ等しい。これにより、ブロー成形された袋状成形体110において、第1取付座部12の頂部34の肉厚t1と、側壁部25の肉厚t2とがほぼ等しくなる。
【0031】
そして、第1成形型46において、張出し部成形部48,49は、仮想円筒59から鋭角状に突出されて(はみ出して)いて、背面側の張出し部4の頂部にヒンジ部6が成形される。これにより、ブロー中心(仮想円筒59の中心59a)から張出し部成形部48,49までの距離は、ブロー中心から頂部成形部57又は側壁部成形部51までの距離よりも長くなる。これは、パリソン18の流動距離が長くなることを意味している。この結果、張出し部3,4の肉厚t3,t4は、頂部34の肉厚t1又は側壁部25の肉厚t2よりも薄くなり、背面側の張出し部4においては、その頂部にあるヒンジ部6の肉厚t4が最も薄くなる。これにより、袋状成形体110における正面側の張出し部3を軸方向に切開する作業が容易になるとともに、背面側の張出し部4に形成されるヒンジ部6において、蓋体2を回動させる作業が容易になる。
【0032】
上記したブロー成形時の作用は、第2成形型47において第1取付座部12が形成されている部分における作用である。そして、第2成形型47において第2取付座部13が形成されている部分におけるブロー成形の作用も殆ど同様である。
【0033】
本実施例の車両用プロテクタ100の場合、第1取付座部12の外壁部33及び第2取付座部13の外壁部41が、軸線Cに対して所定角度θ1,θ2(θ1<90°、θ2<90°)で傾斜して設けられている。これにより、所定角度θ1,θ2が90°である場合と比較して、外壁部33,41を形成するためにパリソン18を膨出させる量が少なくて済むとともに、当該部分におけるパリソン18の流動性が良好となり、第1取付座部12の頂部34及び第2取付座部13の頂部42を破断させるおそれを更に小さくできる。
【0034】
本実施例の車両用プロテクタ100の作用について説明する。図4に示されるように、プロテクタ本体1にワイヤハーネスWHを収容するとき、プロテクタ本体1と蓋体2との連結部である背面側の張出し部4に設けられたヒンジ部6を回動支点として、蓋体2の端部をプロテクタ本体1から離隔する方向に回動させる。プロテクタ本体1と蓋体2との間に大きな開口Qが形成される。この開口Qを介してワイヤハーネスWHを、プロテクタ本体1内に入り込ませる。これにより、既に車両のボディに配策されたワイヤハーネスWHであっても、そのままの状態でプロテクタ本体1内に収容することができる。
【0035】
プロテクタ本体1にワイヤハーネスWHを収容させた状態で、蓋体2が閉じられる。蓋体2の端部が、正面側の張出し部3に収容される。正面側の張出し部3が断面視において略L字状になっているため、閉じられた蓋体2の端部が、正面側の張出し部3の湾曲面形状部27に当接し、それ以上入り込むことが抑止される。これにより、プロテクタ本体1にワイヤハーネスWHが確実に収容され、走行中の車両の振動等によってワイヤハーネスWHの飛出しが防止される。
【0036】
そして、プロテクタ本体1のくびれ部9と蓋体2のくびれ部11とに跨って、図示しないベルト(例えば、結束バンド)が配置される。このベルトの端部が締結されることにより、プロテクタ本体1と蓋体2とが一体に連結され、蓋体2が開くことが防止される。このベルトは、くびれ部9,11に落ち込んで配置されているため、軸方向にずれることはなく、プロテクタ本体1と蓋体2との連結状態が維持される。
【0037】
本実施例の車両用プロテクタ100は、ブロー成形によって形成された袋状成形体110の軸方向の両端部を切断して形成される。このため、プロテクタ本体1と蓋体2の軸方向の両端開口縁1a,2aに切断時のバリが残る場合がある。このバリがワイヤハーネスWHの外周面を擦ってワイヤハーネスWHの被覆を損傷させると、電線同士がショートして、電気機器を作動させなくしたり、「Fire Hazard」と称される火災を引き起こしたりするおそれがある。しかし、本実施例の車両用プロテクタ100の場合、プロテクタ本体1と蓋体2との軸方向の両端部にくびれ部9,11が設けられていて、それらの内壁面9a,11aは、プロテクタ本体1の開口縁1a及び蓋体2の開口縁2aよりも軸心P寄りに配置されている。そして、くびれ部9,11の内壁面9a,11aによって囲まれる領域は、プロテクタ本体1の開口縁1a及び蓋体2の開口縁2aによって囲まれる領域に包含されている。しかも、くびれ部9,11は、プロテクタ本体1と蓋体2の開口に近接して設けられている。このため、車両の走行中の振動等によってワイヤハーネスWHがプロテクタ本体1内で撓んでも、ワイヤハーネスWHの外周面がくびれ部9,11の内壁面9a,11aに当接して、それ以上撓むことが抑止され、プロテクタ本体1の開口縁1a及び蓋体2の開口縁2aに接触するおそれが小さくなる。これにより、ワイヤハーネスWHの被覆が損傷して、電線同士がショートするおそれが小さくなる。
【実施例2】
【0038】
次に、図15及び図16を参照しながら、第2実施例の車両用プロテクタ200について説明する。上記した第1実施例の車両用プロテクタ100の軸方向の少なくとも一方の端部に、コルゲート部63を延設させてもよい。コルゲート部63には、軸方向に多数の波形状部64が連続して形成されている。コルゲート部63の大きさ(軸直角断面形状)は、プロテクタ本体1及び蓋体2の大きさよりも大きい。そして、コルゲート部63は、プロテクタ本体1及び蓋体2と同時にブロー成形される。このため、波形状部64の肉厚は、プロテクタ本体1及び蓋体2よりも薄くなる。この結果、コルゲート部63を軸方向に変形(伸張)させたり、軸線Cと交差する方向に変形(屈曲)させたりすることが容易になる。なお、図15において、65は、コルゲート部63が軸方向に切開されて形成された隙間である。コルゲート部63が押し広げられて隙間65が拡げられることにより、コルゲート部63にワイヤハーネスWHが挿入される。
【0039】
これは、コルゲート部63を軸方向に変形させたときに、プロテクタ本体1内に挿入されているワイヤハーネスWHに大きな力を加えることなく、ワイヤハーネスWHを曲げることができることを意味している。この結果、ワイヤハーネスWHの損傷が防止され、「Fire Hazard」が生じにくくなる。
【0040】
上記した第2実施例の車両用プロテクタ200の場合、コルゲート部63の外径は、プロテクタ本体1及び蓋体2の外形状よりも大きくなっている。そして、プロテクタ本体1、蓋体2及びコルゲート部63はブロー成形により一体に成形される。このため、コルゲート部63の肉厚は、プロテクタ本体1及び蓋体2の肉厚よりも薄くなり、そのままの状態でコルゲート部63を、容易に伸張させたり、屈曲させたりすることができる。しかし、コルゲート部63の外径を、プロテクタ本体1及び蓋体2の外形状と同じ程度にすることも可能である。この場合、コルゲート部63を伸張又は屈曲容易とすると、プロテクタ本体1及び蓋体2の肉厚も薄くなってしまう。
【0041】
これを防止するため、図17に示されるように、プロテクタ本体1の側壁部25,26に凹部66,67を設ける。すると、プロテクタ本体1がブロー成形されるときに、凹部66,67の部分の長さ(内径R1,R2)が、他の部分の長さ(内径R3)よりも短くなるため、凹部66,67の部分の肉厚t1,t2が、他の部分の肉厚t3よりも厚くなる。これにより、コルゲート部63を伸張させたり、屈曲させたりすることを容易にしたまま、プロテクタ本体1の剛性を高くすることができる。
【0042】
第2実施例の車両用プロテクタ200では、プロテクタ本体1に凹部66,67が設けられている。しかし、この凹部66,67を、プロテクタ本体1だけでなく、蓋体2に設けてもよい。
【0043】
上記したように、本発明に係る車両用プロテクタ100は、ブロー成形される。ここで、従来の車両用プロテクタは射出成形されている。ブロー成形方法と射出成形方法とを比較する。車両用プロテクタ100,200を射出成形する場合、プロテクタ本体1と蓋体2を別個に成形するため、プロテクタ本体1の成形型と蓋体2の成形型の2つが必要となり、型費が高くなってしまう。これに対して、車両用プロテクタ100,200をブロー成形する場合、プロテクタ本体1と蓋体2とが同時に成形されるため、その成形型は1つで済む。これにより、型費を安価にすることができる。また、同じ大きさの車両用プロテクタ100,200を成形する場合、ブロー成形機は、射出成形機よりも小型のもので済む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例の車両用プロテクタ100の全体斜視図である。
【図2】車両用プロテクタ100の正面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】同じく左側面図である。
【図5】(a),(b)は、成形型Sにパリソン18を挟み込む状態の作用説明図である。
【図6】(c),(d)は、パリソン18にエアを吹き込んで膨出させる状態の作用説明図である。
【図7】図2のX−X線断面図である。
【図8】第1取付座部12の断面図である。
【図9】第2取付座部13の断面図である。
【図10】第2取付座部13にクリップ16を取り付ける状態の作用説明図である。
【図11】型閉じされた第1及び第2の成形型46,47の断面図である。
【図12】(a),(b)は、パリソン18の膨出状態を示す作用説明図である。
【図13】(c),(d)は、同じく作用説明図である。
【図14】第1及び第2の成形型46,47を型開きして袋状成形体110を離型する状態の作用説明図である。
【図15】第2実施例の車両用プロテクタ200の全体斜視図である。
【図16】同じく一部を破断した正面図である。
【図17】図16のY−Y線断面図である。
【符号の説明】
【0045】
100,200 車両用プロテクタ
110 袋状成形体(ブロー成形体)
120 プロテクタ予備体(筒状体)
1 プロテクタ本体
1a 開口縁(開口の内壁縁)
2 蓋体
4 張出し部(筒状体の壁部)
9 本体側くびれ部(くびれ部)
9a,11a 内壁面(くびれ部の内壁面)
11 蓋体側くびれ部(くびれ部)
64 波形状部
66,67 凹部(厚肉部)
t1〜t3 肉厚
WH ワイヤハーネス(線材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネス等の線材を内部に通してこれを保護する筒状の車両用プロテクタであって、
ブロー成形により得られたブロー成形体の少なくとも一端部を切断し、両端を開口して形成される筒状体の外壁面にその周方向にくびれ部が設けられ、該くびれ部の内壁面で囲まれる領域が、前記筒状体の両端開口の内壁縁で囲まれる領域に包含されるようにし、前記線材の外周面が前記くびれ部の内壁面に当接した状態で、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とを非接触状態に配置させることを特徴とする車両用プロテクタ。
【請求項2】
前記くびれ部は、車両用プロテクタに収容された線材が軸方向に対して斜めになるように撓んだときに、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とが非接触状態に配置されるように、前記両端開口に近接して設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用プロテクタ。
【請求項3】
前記くびれ部の内壁面形状が、前記筒状体の両端開口と相似形状となり、かつ前記くびれ部の内壁面から前記筒状体の両端開口の内壁面との距離が一定となることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用プロテクタ。
【請求項4】
前記筒状体の壁部が軸方向に切開されてプロテクタ本体と蓋体とに分離されたとき、前記くびれ部にベルトが巻回されて前記プロテクタ本体と前記蓋体とが一体に連結されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用プロテクタ。
【請求項5】
前記プロテクタ本体及び前記蓋体の少なくとも一方の端部から、外周面に波形状部が軸方向に連続して設けられて、軸方向及び/又は軸線と交差する方向に変形容易なコルゲート部が延設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用プロテクタ。
【請求項6】
前記プロテクタ本体及び/又は前記蓋体における軸直角方向の断面には、肉厚が厚くなるように形成される厚肉部と、肉厚が薄くなるように形成される薄肉部とが設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用プロテクタ。
【請求項1】
ワイヤハーネス等の線材を内部に通してこれを保護する筒状の車両用プロテクタであって、
ブロー成形により得られたブロー成形体の少なくとも一端部を切断し、両端を開口して形成される筒状体の外壁面にその周方向にくびれ部が設けられ、該くびれ部の内壁面で囲まれる領域が、前記筒状体の両端開口の内壁縁で囲まれる領域に包含されるようにし、前記線材の外周面が前記くびれ部の内壁面に当接した状態で、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とを非接触状態に配置させることを特徴とする車両用プロテクタ。
【請求項2】
前記くびれ部は、車両用プロテクタに収容された線材が軸方向に対して斜めになるように撓んだときに、前記線材の外周面と前記筒状体の両端開口の内壁縁とが非接触状態に配置されるように、前記両端開口に近接して設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用プロテクタ。
【請求項3】
前記くびれ部の内壁面形状が、前記筒状体の両端開口と相似形状となり、かつ前記くびれ部の内壁面から前記筒状体の両端開口の内壁面との距離が一定となることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用プロテクタ。
【請求項4】
前記筒状体の壁部が軸方向に切開されてプロテクタ本体と蓋体とに分離されたとき、前記くびれ部にベルトが巻回されて前記プロテクタ本体と前記蓋体とが一体に連結されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用プロテクタ。
【請求項5】
前記プロテクタ本体及び前記蓋体の少なくとも一方の端部から、外周面に波形状部が軸方向に連続して設けられて、軸方向及び/又は軸線と交差する方向に変形容易なコルゲート部が延設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用プロテクタ。
【請求項6】
前記プロテクタ本体及び/又は前記蓋体における軸直角方向の断面には、肉厚が厚くなるように形成される厚肉部と、肉厚が薄くなるように形成される薄肉部とが設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用プロテクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−227261(P2009−227261A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163306(P2008−163306)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000208293)大和化成工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000208293)大和化成工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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