説明

車両用ポップアップフード装置

【課題】破断された被覆部材(被覆手段)の広範囲の飛散を防止できる車両用ポップアップフード装置を得る。
【解決手段】アクチュエータ70の上端部を覆うカウルルーバ50のアクチュエータ被覆部58に対して車両12の幅方向外方側では、フード14の裏面に取り付けられたヒンジアッパ26の基部28から下方へ延びた干渉壁82が位置している。このため、アクチュエータ被覆部58から分離した上壁56が車両12の幅方向外方へ飛ぼうとすると、干渉壁82に上壁56が衝突(干渉)し、干渉壁82の形成位置よりも車両12の幅方向外方側へアクチュエータ被覆部58が飛ぶことを制限する。これにより、上壁56が車両12の幅方向に沿って車両12の外部に飛び出すことを規制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルームを閉止するフードを所定の条件下で上昇させる車両用ポップアップフード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両が衝突対象物に衝突するとエンジンルーム内に設けられたアクチュエータが作動し、エンジンルームを上方から閉止するフードをアクチュエータが下方から押し上げる車両用ポップアップフード装置(跳ね上げ式フード)が開示されている。
【0003】
このような車両用ポップアップフード装置のアクチュエータは、ピストンが上方へ摺動可能に配置されたシリンダを備えている。ピストンにはロッドの下端部が一体的に連結されている。ロッドの上端側はシリンダの上端の開口部からシリンダの外部に突出している。ロッドの上端部には押圧部材が一体的に取り付けられており、シリンダ内に急激にガスが供給されることでシリンダの内圧が上昇すると、ピストンと共にロッド、ひいては押圧部材が上昇し、この上昇した押圧部材がフードを下方から押し上げる。
【特許文献1】特開2005−225392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにアクチュエータを構成するシリンダの上端部は開口しているので、シリンダの上端部から異物が入り込む可能性がある。このため、シリンダの上方を被覆部材で覆い、アクチュエータが作動した際には上昇する押圧部材が被覆部材を破断してからフードを押し上げる構成が考えられる。このような構成にした場合、破断した被覆部材が飛散する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、破断された被覆部材(被覆手段)の広範囲の飛散を防止できる車両用ポップアップフード装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、作動することで上昇する押圧部材を有し、車両のエンジンルームを上方から閉止するフードの下側に配置され、上昇する前記押圧部材で前記フードを上方へ押圧して前記フードを上昇させるアクチュエータと、前記アクチュエータを上方から覆うと共に上昇する前記押圧部材により一部が破断される被覆手段と、前記被覆手段の側方に設けられ、前記押圧部材により破断されて飛散する前記被覆手段に干渉して、前記被覆手段の飛散範囲を制限する飛散範囲制限手段と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置では、アクチュエータが作動すると押圧部材が上昇して被覆手段を押圧する。押圧部材に押圧されることで被覆手段は破断し、この状態で更に押圧部材が上昇するとエンジンルームを閉止するフードが押圧部材により下方から押圧される。これにより、フードが上昇する。
【0008】
一方、上記のようにアクチュエータを被覆していた被覆手段はアクチュエータの押圧部材に押圧されることで破断する。このように破断されることで被覆手段が飛散すると、この飛散した被覆手段が飛散範囲制限手段に干渉され、これにより、被覆手段の飛散範囲が制限される。
【0009】
請求項2に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、請求項1に記載の本発明において、前記エンジンルームを構成する車体に対して前記フードを開閉可能に連結するフードヒンジの一部が前記飛散範囲制限手段を構成することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置によれば、フードヒンジの一部が飛散範囲制限手段を構成し、このフードヒンジによってフードがエンジンルームを構成する車体に開閉可能に連結される。このように、フードヒンジをフードに取り付けることで飛散範囲制限手段もフードに取り付けられる。
【0011】
請求項3に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記エンジンルームを構成する前記車体に取り付けられたカウルルーバに前記被覆手段を形成したことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置によれば、車両のエンジンルームを構成する車体に設けられたカウルルーバに被覆手段が形成される。このため、カウルルーバを車体に取り付けることで被覆手段も車体に取り付けられる。
【0013】
請求項4に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の本発明において、前記アクチュエータの上側で前記フードに固定される基部と、前記被覆手段における前記押圧部材に破断される部分よりも車幅方向外側で前記基部から下方側に延ばされて、飛散する前記被覆手段に干渉可能な干渉壁と、を含めて前記飛散範囲制限手段を構成したことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置によれば、アクチュエータの上側ではフードに被覆手段の基部が固定される。この基部からは下方へ向けて干渉壁が延ばされる。干渉壁は被覆手段において押圧部材に破断される部分よりも車幅方向外側に設けられるので、押圧部材により破断されて車幅方向外方へ飛散しようとする被覆手段は干渉壁に干渉される。これにより、被覆手段が車幅方向に沿った車両外側へ飛散することが制限される。
【0015】
請求項5に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、請求項4に記載の本発明において、前記被覆手段における前記押圧部材に破断される部分よりも下方へ前記干渉壁を延ばすことを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置によれば、被覆手段は押圧部材により下方から押圧されることで破断される。したがって、破断された被覆手段は下方や水平方向(車幅方向や車両前後方向)には飛散し難く、飛散する被覆手段の向きは、上方又は水平方向に対して上方へ傾斜した向きに飛散し易い。ここで、本発明に係る車両用ポップアップフード装置では干渉壁が被覆手段における押圧部材に破断される部分よりも下方に延ばされている。このため、上方又は水平方向に対して上方へ傾斜した向きに飛散する被覆手段は干渉壁に干渉され易く、被覆手段の飛散を効果的に制限できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は破断された被覆手段の飛散範囲を制限できる。
【0018】
請求項2に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、フードヒンジをフードに取り付けることで飛散範囲制限手段もフードに取り付けることができる。
【0019】
請求項3に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、カウルルーバに飛散範囲制限手段を形成したのでカウルルーバを車体に取り付けられることで飛散範囲制限手段も車体に取り付けられる。
【0020】
請求項4に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、破断された被覆手段が車幅方向に沿った車両の外側へ飛散することを制限できる。
【0021】
請求項5に記載の本発明に係る車両用ポップアップフード装置は、上方又は水平方向に対して上方へ傾斜した向きに飛散する被覆手段に対して干渉壁が干渉し易く、被覆手段の飛散を効果的に制限できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施の形態に係る車両用ポップアップフード装置10を搭載した車両12の要部の構成の概略が斜視図により示されている。また、図2には車両用ポップアップフード装置10を搭載した車両12の要部の構成の概略が側面断面図により示されており、図3には車両12の要部の構成の概略が車両12の前方側からの断面図により示されている。
【0023】
これらの図に示されるように、車両12はフード14を備えている。フード14は、金属平板をプレス加工することで形成されて表面が車両12の意匠面の一部を構成するアウタパネル16を備えている。アウタパネル16の裏面側(下側)にはアウタパネル16と共に車両12を構成するインナパネル18が配置されている。インナパネル18は金属平板をプレス加工することにより形成されており、その外周部はアウタパネル16の外周部近傍に形成されたヘム部20に挟み込まれてアウタパネル16に一体的に結合されている。インナパネル18の外周部近傍には凹部22が形成されている。凹部22はアウタパネル16の側へ向けて開口する凹形状に形成されている。
【0024】
この凹部22の下方にはフードヒンジ24を構成するヒンジアッパ26が設けられている。ヒンジアッパ26は平板状の基部28を備えている。基部28は凹部22の底部を介してアウタパネル16とは反対側に配置され、締結手段の一態様であるボルト30により凹部22に一体的に締結固定されている。車両12の幅方向内方側の基部28の端部からは下方へ向けて側壁32が延びている。図3に示されるように、側壁32の車幅方向外方側にはヒンジアッパ26と共にフードヒンジ24を構成するヒンジアーム34が配置されている。
【0025】
ヒンジアーム34はフード14が車両12のエンジンルーム36を閉止した状態では長手方向が概ね車両12の前後方向を向き、厚さ方向が車両12の幅方向を向く板状に形成されている。ヒンジアーム34はその長手方向前端側で締結手段の一態様であるボルト38により側壁32に締結されている。ヒンジアーム34の後端側はカウルサイドアッパメンバ等、車体の骨格部材や補強部材等に取り付けられたヒンジベース35に、車両12の幅方向を軸方向とする軸周りに回動自在に連結されている。これにより、フード14はエンジンルーム36の後端側で車両12の幅方向を軸方向とする軸周りに回動可能とされ、このように回動することでエンジンルーム36を開閉できるようになっている。
【0026】
エンジンルーム36の後端側には幅方向両側がエンジンルーム36を構成する車体に固定されたカウルルーバ50が設けられている。ヒンジアッパ26の基部28の下側では、アクチュエータ被覆部58がカウルルーバ50に形成されている。アクチュエータ被覆部58は周壁54を備えている。周壁54は車両12の上方へ向けて漸次開口面積が小さくなる断面矩形の筒状に形成されている。この周壁54は下端部がカウルルーバ50に繋がっており、カウルルーバ50の裏側(下方)で開口している。これに対して、周壁54の上端部は上壁52により閉止されている。このため、アクチュエータ被覆部58は全体的にカウルルーバ50に対して上方へ突出した断面凸形状となっている。
【0027】
アクチュエータ被覆部58の上壁56を介してヒンジアッパ26の基部28とは反対側にはアクチュエータ70が配置されている。アクチュエータ70はシリンダ72を備えている。シリンダ72の内部には図示しないピストンが概ね車両12の上下方向に摺動可能に配置されている。また、シリンダ72の下端部にはガスジェネレータやガスボンベ等のガス供給手段が設けられており、ガス供給手段が作動するとシリンダ72の内部にガスが供給され、短時間でピストンよりも下側でシリンダ72の内圧が上昇する。これにより、シリンダ72内のピストンが上昇するようになっている。
【0028】
シリンダ72内のピストンには、図4や図5に示されるロッド74の下端が一体的に連結されている。シリンダ72内におけるピストンの摺動方向には長手とされており、その上端にはシリンダ72の上側に設けられた押圧部材76に一体的に連結されている。押圧部材76はアクチュエータ被覆部58の内側で上壁56に対向しており、アクチュエータ70が作動してシリンダ72内のピストンが上昇すると押圧部材76が上壁56を下方から押圧する。
【0029】
図3に示されるように、押圧部材76に対向した上壁56には脆弱部としてのティアライン78が形成されている。図6に示されるように、ティアライン78は押圧部材76の外周形状よりも大きな環状(例えば、円形リング状)で、アクチュエータ70が作動した際の上壁56に対する押圧部材76の当接位置よりも外側(周壁54の側)に形成されている。ティアライン78では、アクチュエータ被覆部58のティアライン78以外の部位よりもアクチュエータ被覆部58の肉厚が薄く形成されており、アクチュエータ被覆部58の厚さ方向に沿った外力がアクチュエータ被覆部58に作用した場合には、先ず、ティアライン78にて破断が生じるようになっている。このため、押圧部材76が一定の大きさ以上の力で上壁56を押圧すると、ティアライン78にて上壁56に破断が生じ、上壁56がアクチュエータ被覆部58(すなわち、カウルルーバ50)から分裂する。
【0030】
一方、図1及び図3に示されるように、上記のヒンジアッパ26には飛散範囲制限手段としての干渉壁82が設けられている。干渉壁82は基部28の側壁32とは反対側、すなわち、車両12の幅方向に沿った外側の基部28の端部から下方へ向けて延びている。しかも、干渉壁82は側壁32よりも更に下方へ延びている。上記の側壁32及び干渉壁82の各々は、アクチュエータ被覆部58の上壁56よりも車両12の下側へ延ばされており、更に、押圧部材76の上端部(シリンダ72とは反対側の端部)よりも車両12の下側へ延ばされ、車両12の上下方向に沿ったアクチュエータ被覆部58の中間部よりも上側と、車両12の上下方向に沿った押圧部材76の中間部よりも上側はヒンジアッパ26の内側に位置している。
【0031】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0032】
以上の構成の本車両用ポップアップフード装置10を搭載した車両12では、車両12に搭載されたECU等の制御手段から出力された作動信号がアクチュエータ70に入力されると、アクチュエータ70を構成するガス供給手段からシリンダ72の内部へガスが供給される。このようにガスが供給されることでピストンよりも下側でシリンダ72の内圧が上昇すると、ピストンがシリンダ72内を上昇する。ピストンが上昇することでロッド74を介してピストンに連結された押圧部材76が上昇する。
【0033】
上昇した押圧部材76はアクチュエータ被覆部58の上壁56に下方から接して上壁56を押圧する。さらに、押圧部材76からの押圧力がティアライン78の機械的強度を上回るとティアライン78にて破断が生じ、上壁56がアクチュエータ被覆部58から分離してティアライン78の形状に対応した貫通孔がアクチュエータ被覆部58に形成される。
【0034】
上昇する押圧部材76はアクチュエータ被覆部58から分離した上壁56を伴いつつヒンジアッパ26の基部28に接近し、図4に示されるように、基部28を下方から押し上げられる。このように下方から押し上げられたヒンジアッパ26の基部28は、インナパネル18、すなわち、フード14を押し上げ、これにより、フード14は車両12の前端側での車体との連結部分、例えば、フード14によるエンジンルーム36の閉止状態を維持するロック機構を中心に後端側が上昇するように回動する。
【0035】
このようにフード14が上昇することで、エンジンルーム36内のエンジン等の各種装置や部材と、フード14との間に充分なスペース(エネルギー吸収ストローク)を確保できる。
【0036】
ところで、ティアライン78にて破断が生じることでアクチュエータ被覆部58から分離した上壁56は、上昇する押圧部材76に押圧されることで押圧部材76から離間して飛散することがある。このように押圧部材76から離間した上壁56が車両12の幅方向外方へ飛ぼうとすると、図5に示されるように、干渉壁82に上壁56が衝突(干渉)し、干渉壁82の形成位置よりも車両12の幅方向外方側へ上壁56が飛ぶことを抑制する。これにより、上壁56が車両12の幅方向に沿って車両12の外部に飛び出すことを規制できる。
【0037】
しかも、本車両用ポップアップフード装置10では、干渉壁82がアクチュエータ被覆部58の上壁56や押圧部材76の上端部よりも車両12の下側へ延ばされている。このため、上昇した押圧部材76がティアライン78を破断して上壁56をアクチュエータ被覆部58から分離させた直後の状態では、既に、車両12の幅方向に沿った上壁56の側方には干渉壁82が存在している。このため、仮に、アクチュエータ被覆部58から分離した上壁56が車両12の幅方向外方へ水平に飛んだとしても上壁56は干渉壁82に衝突する。
【0038】
ましてや、上壁56はアクチュエータ被覆部58から分離するに際して押圧部材76からの押圧力を受けているので、アクチュエータ被覆部58から分離した上壁56が車両12の幅方向外方へ水平に飛ぶことは基本的になく、その飛散方向は水平方向よりも上方へ傾斜する。このため、車両12の幅方向外方へ上壁56が飛んだ場合には干渉壁82に衝突し易く、上壁56が車両12の幅方向に沿って車両12の外部に飛び出すことを規制できる。
【0039】
また、車両12の幅方向内方側へ上壁56が飛散した場合には、側壁32に上壁56が衝突(干渉)し、側壁32の形成位置よりも車両12の幅方向内方側へ上壁56が飛ぶこともある。このような場合には、ヒンジアッパ26を構成する基部28の車幅方向内側の端部から下方へ延びた側壁32に、飛散した上壁56が衝突(干渉)し、側壁32の形成位置よりも車両12の幅方向内方側へ上壁56が飛ぶことを制限する。すなわち、本実施の形態においては、側壁32を飛散範囲制限手段の一態様として捉えることもできる。
【0040】
さらに、本車両用ポップアップフード装置10では、アクチュエータ70が作動する前の状態では、カウルルーバ50のアクチュエータ被覆部58に上方から覆われるので、雨水や異物等がシリンダ72の上端に付着し難く、ロッド74が貫通するシリンダ72の上端の開口から雨水や異物等がシリンダ72の内側に入り込むことを効果的に規制できる。
【0041】
また、本車両用ポップアップフード装置10では、このようにシリンダ72を上方から覆うアクチュエータ被覆部58をカウルルーバ50の一部として形成している。このため、実質的な部品の増加がない。しかも、カウルルーバ50を車体に取り付けることで車体へのアクチュエータ被覆部58の組み付けもできる。このため、コストを安価にできる。
【0042】
さらに、上記のように、車幅方向に沿って車両12の外部へ上壁56が飛散することを防止するヒンジアッパ26はヒンジアーム34等と共にフードヒンジ24を構成しているので、実質的な部品点数の増加がない。しかも、フードヒンジ24を車体に取り付けることで車体への飛散防止手段としての干渉壁82の組み付けもできる。このため、コストを安価にできる。
【0043】
なお、本実施の形態では、干渉壁82をフードヒンジ24の一部として構成したが、フードヒンジ24のヒンジアッパ26とは別に飛散範囲制限手段として干渉壁82を有する部材をインナパネル18に組み付ける構成としてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、シリンダ72(アクチュエータ70)を上方から覆うアクチュエータ被覆部58をカウルルーバ50の一部として構成したが、例えば、図7に示されるように、ティアライン78が形成された上壁56と、上壁56の外周部に形成された周壁54とを有し、カウルルーバ50は別体で構成された被覆手段としての被覆部材102を設け、被覆部材102の周壁54をシリンダ72の外周部に固定することで、アクチュエータ70に被覆部材102を一体的に取り付ける構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用ポップアップフード装置を適用した車両の要部を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る車両用ポップアップフード装置を適用した車両の要部を概略的に示す側面断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る車両用ポップアップフード装置を適用した車両の要部を概略的に示す車幅方向に切断した縦断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る車両用ポップアップフード装置が作動した状態を示す図3に対応した断面図である。
【図5】破断して飛散する被覆部材に飛散範囲制限手段が干渉している状態を示す図3に対応した断面図である。
【図6】被覆手段の要部の構成を示す斜視図である。
【図7】被覆手段の他の態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
10 車両用ポップアップフード装置
12 車両
14 フード
24 フードヒンジ
26 ヒンジアッパ
28 基部
36 エンジンルーム
50 カウルルーバ
58 アクチュエータ収容部(被覆手段)
70 アクチュエータ
82 干渉壁(飛散範囲制限手段)
102 被覆部材(被覆手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動することで上昇する押圧部材を有し、車両のエンジンルームを上方から閉止するフードの下側に配置され、上昇する前記押圧部材で前記フードを上方へ押圧して前記フードを上昇させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを上方から覆うと共に上昇する前記押圧部材により一部が破断される被覆手段と、
前記被覆手段の側方に設けられ、前記押圧部材により破断されて飛散する前記被覆手段に干渉して、前記被覆手段の飛散範囲を制限する飛散範囲制限手段と、
を備える車両用ポップアップフード装置。
【請求項2】
前記エンジンルームを構成する車体に対して前記フードを開閉可能に連結するフードヒンジの一部が前記飛散範囲制限手段を構成することを特徴とする請求項1に記載の車両用ポップアップフード装置。
【請求項3】
前記エンジンルームを構成する前記車体に取り付けられたカウルルーバに前記被覆手段を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ポップアップフード装置。
【請求項4】
前記アクチュエータの上側で前記フードに固定される基部と、
前記被覆手段における前記押圧部材に破断される部分よりも車幅方向外側で前記基部から下方側に延ばされて、飛散する前記被覆手段に干渉可能な干渉壁と、
を含めて前記飛散範囲制限手段を構成したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用ポップアップフード装置。
【請求項5】
前記被覆手段における前記押圧部材に破断される部分よりも下方へ前記干渉壁を延ばすことを特徴とする請求項4に記載の車両用ポップアップフード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−179111(P2009−179111A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18109(P2008−18109)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】