説明

車両用ミラー制御装置

【課題】車両用ミラーの鏡面角度をドライバにとって好適な角度に自動的に調整しながらも、乗員にとっての快適性を損ない難くすることを可能にする。
【解決手段】車両が走行中と判定した場合であって、且つ、いずれかの車両用ミラーをドライバが見ていると判断した場合には、ドライバが見ている車両用ミラーであると判断した車両用ミラーの最適角度を算出し、その算出結果に基づいて当該車両用ミラーについてのみ鏡面角度の調整を行う一方、車両が走行中でないと判定した場合、若しくは車両が走行中と判定した場合であって、且つ、いずれの車両用ミラーもドライバが見ていると判断しなかった場合には、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ミラーの鏡面角度を自動調整する車両用ミラー制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設置されたサイドミラー(ドアミラー、フェンダーミラー等)やルームミラーといった車両用ミラーの鏡面角度を、自動的に好適な角度に調整する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両に搭乗したドライバが運転姿勢をとった状態におけるドライバの目の位置をカメラの画像解析によって検出し、検出した目の位置に応じて、左右のドアミラー及びルームミラーの全ての鏡面角度を最適な状態になるように調整する技術が開示されている。また、特許文献1には、車両用ミラーの鏡面角度の調整の要否を音声でドライバに問い合わせ、必要である旨の応答が音声で行われた場合に車両用ミラーの鏡面角度の調整を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−45217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術は、車両の発進前に車両用ミラーの鏡面角度の調整を行うことを想定したものである。しかしながら、車両の走行中にドライバの姿勢や座り方が変化することでドライバの目の位置(つまり、視点位置)が変化することもあるため、走行中のドライバの視点位置に応じて車両用ミラーの鏡面角度を好適な角度に調整する必要がある。
【0005】
これに対して、特許文献1に開示の技術を走行中にも用いることが考えられるが、この場合には、以下のような問題点が生じる。例えば、走行中にドライバの視点位置が変化するたびに、車両用ミラーの鏡面角度の調整の要否の問い合わせに対する応答が必要になるので、ドライバ等の乗員に煩わしさを感じさせてしまう可能性が高い。他にも、車両用ミラーに視線が向いていない場合でも、走行中にドライバの視点位置が変化するたびに左右のドアミラー及びルームミラーの全ての鏡面角度の調整が行われることになるので、この点でも乗員に煩わしさを感じさせてしまう可能性が高い。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、車両用ミラーの鏡面角度をドライバにとって好適な角度に自動的に調整しながらも、乗員にとっての快適性を損ない難くすることを可能にする車両用ミラー制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の車両用ミラー制御装置は、車両に搭載され、車両の運転席に着座したドライバを撮像する車載カメラで撮像された当該ドライバの少なくとも目の部分を含むドライバ画像を取得するドライバ画像取得手段と、ドライバ画像取得手段で取得したドライバ画像をもとにドライバの視点の位置を検出する視点位置検出手段と、視点位置検出手段で検出した視点位置をもとに、車両の左右のサイドミラー及びルームミラーのいずれの車両用ミラーの鏡面角度についても、当該視点位置から車両用ミラーを通じて視認可能な範囲が予め決められた最適範囲となる最適角度を算出することができる最適角度算出手段と、最適角度算出手段の算出結果に基づいて車両用ミラーの鏡面角度の調整を自動的に行うことができる鏡面角度調整手段とを備える。また、車両が走行中か否かを判定する走行判定手段と、ドライバ画像取得手段で取得したドライバ画像をもとに、ドライバの視線方向を推測する視線方向推測手段と、視線方向推測手段で推測した視線方向をもとに、左右のサイドミラー及びルームミラーのうちのどの車両用ミラーをドライバが見ているのかを判断する注視ミラー判断手段とを備え、走行判定手段で前記車両が走行中と判定した場合であって、且つ、注視ミラー判断手段でいずれかの車両用ミラーをドライバが見ていると判断した場合には、ドライバが見ている車両用ミラーであると注視ミラー判断手段で判断した車両用ミラーの最適角度を最適角度算出手段で算出し、その算出結果に基づいて鏡面角度調整手段で当該車両用ミラーについてのみ鏡面角度の調整を行う一方、走行判定手段で車両が走行中でないと判定した場合、若しくは走行判定手段で車両が走行中と判定した場合であって、且つ、注視ミラー判断手段でいずれの車両用ミラーもドライバが見ていると判断しなかった場合には、鏡面角度調整手段での車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わない。
【0008】
これによれば、車両が走行中と判定した場合であって、且つ、いずれかの車両用ミラーをドライバが見ていると判断した場合には、ドライバが見ていると判断した車両用ミラーの鏡面角度を視点位置から決まる最適角度に自動的に調整することが可能になる。よって、走行中にドライバの視点位置が変化するたびに、車両用ミラーの鏡面角度の調整の要否の問い合わせに対する応答を行わなくても、自動的に車両用ミラーを最適角度に調整することが可能になるので、ドライバ等の乗員に煩わしさを感じさせにくくなる。
【0009】
また、請求項1の構成によれば、走行中にドライバの視点位置が変化した場合であっても、ドライバが見ている車両用ミラーであると判断しなかった車両用ミラーについては、鏡面角度の調整を行わないので、ドライバの視線の向いていない車両用ミラーの鏡面角度の調整が無駄に頻繁に行われることを防ぐことができ、乗員に煩わしさを感じさせにくくなる。その結果、車両用ミラーの鏡面角度をドライバにとって好適な角度に自動的に調整しながらも、乗員にとっての快適性を損ない難くすることが可能になる。
【0010】
請求項2の構成においては、車両用ミラーの鏡面角度を逐次取得する鏡面角度取得手段と、ドライバが見ている車両用ミラーであると注視ミラー判断手段で判断した車両用ミラーの最適角度を最適角度算出手段で算出したときに、算出した最適角度と鏡面角度取得手段で取得した当該車両用ミラーの鏡面角度との差を算出する調整量算出手段とをさらに備え、鏡面角度調整手段は、調整量算出手段で算出した差が所定値以上であった場合には、最適角度算出手段で算出した最適角度となるように車両用ミラーの鏡面角度の調整を行う一方、調整量算出手段で算出した差が所定値未満であった場合には、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わない。
【0011】
これによれば、鏡面角度の調整量が微小な場合に、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わないようにすることが可能になる。また、鏡面角度の調整量が微小な場合に、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わないようにすることで、鏡面角度の調整が無駄に頻繁に行われることを防ぎ、さらに乗員に煩わしさを感じさせにくくすることが可能になる。他にも、鏡面角度の調整が無駄に頻繁に行われることを防ぐことで、車両用ミラーの鏡面角度を変化させる駆動手段(例えばモータ等のアクチュエータ)の消耗を抑えることもできる。
【0012】
請求項3の構成においては、鏡面角度調整手段は、ドライバが見ている車両用ミラーであると注視ミラー判断手段で判断した車両用ミラーの鏡面角度の調整を行った場合には、注視ミラー判断手段で当該車両用ミラーをドライバが見ていると判断しなくなった後も、調整を行った角度に当該車両用ミラーの鏡面角度を保持しておき、注視ミラー判断手段で当該車両用ミラーをドライバが見ていると再度判断したときに、調整量算出手段で算出した差が所定値以上であった場合には、最適角度算出手段で算出した最適角度となるように車両用ミラーの鏡面角度の調整を行う一方、調整量算出手段で算出した差が所定値未満であった場合には、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わない。
【0013】
これによれば、見ている車両用ミラーをドライバが変更し、視点の位置が変わった場合にも、視線から外れた車両用ミラーはその車両用ミラーをドライバが見ていたときの視点の位置に応じた最適角度に維持されることになる。よって、見ている車両用ミラーをドライバが変更するたびに視線から外れた車両用ミラーの鏡面角度が調整されることがなくなり、さらに乗員に煩わしさを感じさせにくくすることができる。また、一旦視線を外した車両用ミラーを再度見るときに、前回の視点位置とのずれが少なく、調整量算出手段で算出した差が所定値未満となる場合には、その車両用ミラーの鏡面角度が調整されることがないので、この点でも乗員に煩わしさを感じさせにくくすることができる。
【0014】
具体的には、走行中に進行方向と左右のサイドミラーやルームミラーとをドライバが交互に確認する場合に、ドライバの視点位置が頻繁に切り替わったとしても、各車両用ミラーを見るときの視点の位置がそれぞれの車両用ミラーについてほぼ固定された位置にある場合は、各車両用ミラーの鏡面角度が最適角度に維持されたままとなり、頻繁に調整が行われずに済む。一方、車両用ミラーを見るときの視点の位置がその車両用ミラーについてほぼ固定された位置から外れて、鏡面角度が最適角度でなくなる場合には、車両用ミラーの鏡面角度が最適角度に調整される。従って、ドライバやドライバ以外の乗員にとっての快適性が非常に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車両用ミラー制御システム100の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【図2】制御ECU1での鏡面角度自動調整処理のフローを示すフローチャートである。
【図3】右サイドミラー調整関連処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図4】左サイドミラー調整関連処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図5】ルームミラー調整関連処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された車両用ミラー制御システム100の概略的な構成の一例を示すブロック図である。図1に示す車両用ミラー制御システム100は、車両に搭載されるものであり、制御ECU1、車載カメラ2、車速センサ3、右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4c、右サイドミラー駆動装置5a、左サイドミラー駆動装置5b、ルームミラー駆動装置5c、ポテンショメータ6a・6b・6c、ミラー選択ボタン7、及び手動調整ボタン8を含んでいる。
【0017】
車載カメラ2は、車両に搭載されるカメラであって、例えば周知のCCDカメラ等を用いる構成とすればよい。車載カメラ2は、例えば運転席よりも前方の上方に設置される。また、車載カメラ2は、カメラの光軸が運転席にドライバが着座しているものと仮定した場合の仮想上のドライバの顔を向くように設置される。なお、仮想上のドライバの顔の位置は、運転席のシート位置の調整が可能な範囲や仮想上のドライバの身長(例えば人間の平均身長)等をもとに求めればよい。そして、車載カメラ2は、運転席に着座しているドライバの顔を逐次撮像する。車載カメラ2で撮像したドライバの顔の画像(以下、ドライバ画像)は制御ECU1に入力される。
【0018】
なお、本実施形態では、車載カメラ2によってドライバの顔の画像を撮像する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。車載カメラ2でドライバの少なくとも目を含む部分を撮像する構成であれば、顔の一部だけを撮像する構成としてもよいし、顔以外も撮像する構成としてもよい。
【0019】
車速センサ3は、車両の速度を検出するセンサである。右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cは、車両に搭載された車両用ミラー(後写鏡)であって、光学式の電動ミラーであるものとする。右サイドミラー4a、左サイドミラー4bは、ドアミラーとしてもよいし、フェンダーミラーとしてもよい。
【0020】
右サイドミラー駆動装置5a、左サイドミラー駆動装置5b、ルームミラー駆動装置5cは、制御ECU1からの指令信号に従ってモータ等のアクチュエータを駆動させることによって、右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cの鏡面角度を変化させる。具体的には、右サイドミラー駆動装置5aが右サイドミラー4aの鏡面角度を水平方向及び垂直方向に変化させ、左サイドミラー駆動装置5bが左サイドミラー4bの鏡面角度を水平方向及び垂直方向に変化させ、ルームミラー駆動装置5cがルームミラー4cの鏡面角度を水平方向及び垂直方向に変化させる。
【0021】
ポテンショメータ6a・6b・6cは、右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cの鏡面角度を検出するセンサである。ポテンショメータ6a・6b・6cは、各車両用ミラーの鏡面の基準となるポジションに対しての水平方向及び垂直方向の角度を検出するものとすればよい。具体的には、ポテンショメータ6aが右サイドミラー4aの鏡面角度を検出し、ポテンショメータ6bが左サイドミラー4bの鏡面角度を検出し、ポテンショメータ6cがルームミラー4cの鏡面角度を検出する。ポテンショメータ6a・6b・6cで検出された各車両用ミラーの鏡面角度は制御ECU1に逐次入力されるものとする。よって、制御ECU1が請求項の鏡面角度取得手段に相当する。
【0022】
ミラー選択ボタン7は、ドライバの手動操作によって鏡面角度を調整する車両用ミラーを選択するためのものである。例えば、ミラー選択ボタン7は、スライド可能に構成されており、スライド位置に応じて、鏡面角度を調整する車両用ミラーとして右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cが選択されるようになっている構成とすればよい。
【0023】
手動調整ボタン8は、ミラー選択ボタン7で選択された車両用ミラーの鏡面角度をドライバが手動操作で調整するためのものであり、例えば鏡面角度の調整方向を示す複数のマークのうちのいずれかを押下することにより、車両用ミラーの鏡面角度を変化させる方向を指示できるようになっている構成とすればよい。
【0024】
制御ECU1は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、入力される情報をもとにROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、各種の処理を実行する。制御ECU1が請求項の車両用ミラー制御装置に相当する。
【0025】
例えば制御ECU1は、ミラー選択ボタン7の信号をもとに、鏡面角度を調整する車両用ミラーを選択する。また、制御ECU1は、手動調整ボタン8の信号をもとに、選択中の車両用ミラーの駆動装置(つまり、右サイドミラー駆動装置5a、左サイドミラー駆動装置5b、ルームミラー駆動装置5cのいずれか)に指令信号を送り、選択中の車両用ミラーの鏡面角度を変化させる。なお、指令信号としては、手動調整ボタン8で押下されたマークが示す調整方向に鏡面角度を変化させるように車両用ミラーを駆動させる信号が送られるものとする。
【0026】
ここで、運転席に着座したドライバの視点位置から、手動調整ボタン8によってドライバが手動操作で鏡面角度を調整した車両用ミラーを通じて視認可能な範囲が、そのドライバにとっての車両用ミラーによる間接視界の最適範囲であるものとする。間接視界の最適範囲は、右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cのそれぞれについて存在する。なお、ここで言うところの間接視界の最適範囲が請求項の予め決められた最適範囲に相当する。
【0027】
制御ECU1は、手動調整ボタン8によってドライバが手動操作で車両用ミラーの鏡面角度を調整した場合に、調整された鏡面角度(つまり、車両用ミラーによる間接視界が最適範囲となる鏡面角度)の値を、EEPROM等の不揮発性メモリに車両用ミラーの種別ごとに記憶しておくものとする。また、制御ECU1は、手動操作によって車両用ミラーの鏡面角度の調整が新たに行われた場合には、新たに調整された鏡面角度の値を逐次上書きしていくものとする。
【0028】
さらに、制御ECU1は、車両の走行中において、ドライバの視点位置に応じて自動的に車両用ミラーの鏡面角度を調整する処理(以下、鏡面角度自動調整処理)を行う。ここで、図2を用いて、制御ECU1での鏡面角度自動調整処理についての説明を行う。図2は、制御ECU1での鏡面角度自動調整処理のフローを示すフローチャートである。本フローは、例えば自車両のイグニッション電源がオンされたときに開始される。
【0029】
まず、ステップS1では、車両が走行中であるか否かを判定する。よって、制御ECU1が請求項の走行判定手段に相当する。具体的には、車速センサ3から入力される信号をもとに、車速センサ3で検出した車両の速度が所定値以上の場合に走行中と判定し、所定値未満の場合に走行中でないと判定する。ここで言うところの所定値とは、車速センサ3の検出限界の速度であって、実質的に車速0と言える程度の値である。そして、車両が走行中と判定した場合(ステップS1でYES)には、ステップS2に移る。また、車両が走行中でないと判定した場合(ステップS1でNO)には、ステップS11に移る。
【0030】
なお、本実施形態では、車速センサ3で検出した車両の速度をもとに、車両が走行中か否かを判定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図示しないシフトポジションセンサで検出したシフト位置が走行位置や後退位置であるか否かに応じて、車両が走行中か否かを判定するなど、他の方法によって車両が走行中か否かを判定する構成としてもよい。
【0031】
ステップS2では、視点位置検出処理を行って、ステップS3に移る。視点位置検出処理では、車載カメラ2で撮像したドライバ画像を取得して解析することによって、ドライバの視点位置を検出する。よって、制御ECU1が請求項のドライバ画像取得手段及び視点位置検出手段に相当する。
【0032】
例えば、車載カメラ2で撮像されたドライバ画像をもとに、ドライバの両目を結ぶ線分の中点の位置をドライバの視点位置として、その3次元位置を算出する構成とすればよい。この場合、3次元位置は、車載カメラ2に設けられた基準点を原点Oとして車両前後方向に延びる軸をX軸とし、車幅方向に延びる軸をY軸とし、上下方向に延びる軸をZ軸としたときの座標位置とすればよい。なお、ドライバの視点位置は、周知の画像認識技術を用いて画像解析を行うことによって特定することができる。また、視点の3次元位置は、車載カメラ2としてステレオカメラを用いて、一対のカメラの視差量をもとに算出される基準点(原点O)から視点までの距離から算出することができる。なお、ステレオカメラを用いる以外にも、赤外光等を用いた測距センサによって基準点(原点O)から視点までの距離を計測して、視点の3次元位置を算出する構成としてもよい。
【0033】
ステップS3では、視線方向推測処理を行って、ステップS4に移る。視線方向推測処理では、車載カメラ2で撮像したドライバ画像を取得して解析することによって、ドライバの視線方向を推測する。よって、制御ECU1が請求項の視線方向推測手段に相当する。
【0034】
例えば、周知の画像認識技術を用いてドライバ画像の画像解析を行ってドライバの黒目の位置を検出し、検出した黒目の位置からドライバの視線方向を推測する構成とすればよい。詳しくは、黒目の位置を画像から検出するとともに、その画像から体中心線あるいは頭部の中心線の位置を検出し、体中心線あるいは頭部の中心線と直交し、且つ、黒目を通る直線の方向を視線方向と推測する。また、顔の向きを検出し、検出した顔の向きからドライバの視線方向を推測する構成としてもよい。
【0035】
ステップS4では、注視ミラー判断処理を行って、ステップS5に移る。注視ミラー判断処理では、視線方向推測処理で推測した視線方向をもとに、右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cのどの車両用ミラーを見ているのかを判断する。よって、制御ECU1が請求項の注視ミラー判断手段に相当する。
【0036】
例えば、視点位置検出処理で検出した視点位置から視線方向推測処理で推測した視線方向に伸ばした仮想的な線が、右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cのいずれに向いているか、又はいずれにも向いていないかによって判断する構成とすればよい。詳しくは、上述の仮想的な線が各車両用ミラーの存在する領域と交わるか否かによって判断すればよい。各車両用ミラーの存在する領域は、各車両用ミラーの存在する領域の3次元位置の情報を予めEEPROM等の不揮発性メモリに保持しておき、これらの情報をもとに算出する構成とすればよい。
【0037】
また、ドライバの顔の向きが正面を向いているものと仮定して、視線方向推測処理で推測した視線方向だけをもとにして、右サイドミラー4a、左サイドミラー4b、ルームミラー4cのいずれに向いているか、又はいずれにも向いていないかを大まかに判断する構成としてもよい。例えば、視線方向がドライバから見て左方向を向いている場合は左サイドミラー4b、右方向を向いている場合は右サイドミラー4a、左上から上方向を向いている場合はルームミラー4cを見ていると判断する構成とすればよい。また、ドライバから見て正面方向や下方向を向いている場合はいずれの車両用ミラーも見ていないと判断する構成とすればよい。
【0038】
ステップS5では、注視ミラー判断処理で右サイドミラー4aを見ていると判断した場合(ステップS5でYES)には、ステップS6に移る。また、注視ミラー判断処理で右サイドミラー4aを見ていると判断しなかった場合(ステップS5でNO)には、ステップS7に移る。
【0039】
ステップS6では、右サイドミラー調整関連処理を行ってステップS11に移る。ここで、図3のフローチャートを用いて、右サイドミラー調整関連処理の概略について説明を行う。図3は、右サイドミラー調整関連処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、ステップS61では、右サイドミラー最適角度演算処理を行って、ステップS62に移る。右サイドミラー最適角度演算処理では、視点位置検出処理で検出した視点位置と右サイドミラー4aの3次元位置とをもとに、視点位置と右サイドミラー4aとの相対位置データを算出する。ここで言うところの視点位置と右サイドミラー4aとの相対位置データは、例えば視点位置から右サイドミラー4aを見た場合の俯仰角及び水平角を示すデータである。
【0041】
そして、右サイドミラー最適角度演算処理では、この相対位置データと、不揮発性メモリにされている手動調整ボタン8で予め調整された右サイドミラー4aの鏡面角度とをもとに、右サイドミラー4aについての最適角度、つまり、右サイドミラー4aによる間接視界が右サイドミラー4aについての前述の最適範囲となるときの鏡面角度を算出する。よって、制御ECU1が請求項の最適角度算出手段に相当する。
【0042】
ステップS62では、ポテンショメータ6aで検出される右サイドミラー4aの現在の鏡面角度と右サイドミラー最適角度演算処理で算出した最適角度との差を計算することで鏡面角度の調整量を算出する。よって、制御ECU1が請求項の調整量算出手段に相当する。算出する調整量は、水平方向の調整量と垂直方向の調整量との合計を算出する構成としてもよいし、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とをそれぞれ算出する構成としてもよい。
【0043】
鏡面角度の調整量を算出した後は、算出した調整量が規定値以上であるか否かを判定する。そして、算出した調整量が規定値以上と判定した場合(ステップS62でYES)には、ステップS63に移る。また、算出した調整量が規定値以上と判定しなかった場合(ステップS62でNO)には、ステップS11に移る。ここで言うところの規定値は、微小な調整量と言える程度の値よりも大きい値であって、任意に設定可能な値である。
【0044】
水平方向の調整量と垂直方向の調整量との合計を算出する構成とした場合には、この合計についての規定値を設定し、この規定値以上か否かを判定する構成とすればよい。また、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とをそれぞれ算出する構成とした場合には、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのそれぞれについての規定値を設定する構成とすればよい。この場合には、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれかでも規定値以上と判定した場合に、ステップS63に移り、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれも規定値以上と判定しなかった場合に、ステップS11に移る構成とすればよい。
【0045】
ステップS63では、右サイドミラー調整処理を行ってステップS11に移る。右サイドミラー調整処理では、右サイドミラー4aの鏡面角度を右サイドミラー最適角度演算処理で算出した最適角度に合わせるような指令信号を右サイドミラー駆動装置5aに送り、右サイドミラー4aを最適角度に調整させる。よって、制御ECU1が請求項の鏡面角度調整手段に相当する。例えば、ステップS62で算出した調整量に従った角度だけ鏡面角度を変化させる指令信号を右サイドミラー駆動装置5aに送り、右サイドミラー4aを最適角度に調整させる構成とすればよい。
【0046】
なお、ステップS62で水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれかのみが規定値以上と判定された場合には、ステップS63において、規定値以上と判定された方向の調整のみを行う構成としてもよいし、水平方向と垂直方向との両方の調整を行う構成としてもよい。
【0047】
図2に戻って、ステップS7では、注視ミラー判断処理で左サイドミラー4bを見ていると判断した場合(ステップS7でYES)には、ステップS8に移る。また、注視ミラー判断処理で左サイドミラー4bを見ていると判断しなかった場合(ステップS7でNO)には、ステップS9に移る。
【0048】
ステップS8では、左サイドミラー調整関連処理を行ってステップS11に移る。ここで、図4のフローチャートを用いて、左サイドミラー調整関連処理の概略について説明を行う。図4は、左サイドミラー調整関連処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0049】
まず、ステップS81では、左サイドミラー最適角度演算処理を行って、ステップS82に移る。左サイドミラー最適角度演算処理では、視点位置検出処理で検出した視点位置と左サイドミラー4bの3次元位置とをもとに、視点位置と左サイドミラー4bとの相対位置データを算出する。ここで言うところの視点位置と左サイドミラー4bとの相対位置データは、例えば視点位置から左サイドミラー4bを見た場合の俯仰角及び水平角を示すデータである。
【0050】
そして、左サイドミラー最適角度演算処理では、この相対位置データと、不揮発性メモリにされている手動調整ボタン8で予め調整された左サイドミラー4bの鏡面角度とをもとに、左サイドミラー4bについての最適角度、つまり、左サイドミラー4bによる間接視界が左サイドミラー4bについての前述の最適範囲となるときの鏡面角度を算出する。
【0051】
ステップS82では、ポテンショメータ6bで検出される左サイドミラー4bの現在の鏡面角度と左サイドミラー最適角度演算処理で算出した最適角度との差を計算することで鏡面角度の調整量を算出する。算出する調整量は、水平方向の調整量と垂直方向の調整量との合計を算出する構成としてもよいし、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とをそれぞれ算出する構成としてもよい。
【0052】
鏡面角度の調整量を算出した後は、算出した調整量が規定値以上であるか否かを判定する。そして、算出した調整量が規定値以上と判定した場合(ステップS82でYES)には、ステップS83に移る。また、算出した調整量が規定値以上と判定しなかった場合(ステップS82でNO)には、ステップS11に移る。ここで言うところの規定値は、微小な調整量と言える程度の値よりも大きい値であって、任意に設定可能な値である。
【0053】
水平方向の調整量と垂直方向の調整量との合計を算出する構成とした場合には、この合計についての規定値を設定し、この規定値以上か否かを判定する構成とすればよい。また、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とをそれぞれ算出する構成とした場合には、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのそれぞれについての規定値を設定する構成とすればよい。この場合には、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれかでも規定値以上と判定した場合に、ステップS83に移り、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれも規定値以上と判定しなかった場合に、ステップS11に移る構成とすればよい。
【0054】
ステップS83では、左サイドミラー調整処理を行ってステップS11に移る。左サイドミラー調整処理では、左サイドミラー4bの鏡面角度を左サイドミラー最適角度演算処理で算出した最適角度に合わせるような指令信号を左サイドミラー駆動装置5bに送り、左サイドミラー4bを最適角度に調整させる。例えば、ステップS82で算出した調整量に従った角度だけ鏡面角度を変化させる指令信号を左サイドミラー駆動装置5bに送り、左サイドミラー4bを最適角度に調整させる構成とすればよい。
【0055】
なお、ステップS82で水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれかのみが規定値以上と判定された場合には、ステップS83において、規定値以上と判定された方向の調整のみを行う構成としてもよいし、水平方向と垂直方向との両方の調整を行う構成としてもよい。
【0056】
図2に戻って、ステップS9では、注視ミラー判断処理でルームミラー4cを見ていると判断した場合(ステップS9でYES)には、ステップS10に移る。また、注視ミラー判断処理でルームミラー4cを見ていると判断しなかった場合(ステップS9でNO)には、ステップS11に移る。
【0057】
ステップS10では、ルームミラー調整関連処理を行ってステップS11に移る。ここで、図5のフローチャートを用いて、ルームミラー調整関連処理の概略について説明を行う。図5は、ルームミラー調整関連処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、ステップS101では、ルームミラー最適角度演算処理を行って、ステップS102に移る。ルームミラー最適角度演算処理では、視点位置検出処理で検出した視点位置とルームミラー4cの3次元位置とをもとに、視点位置とルームミラー4cとの相対位置データを算出する。ここで言うところの視点位置とルームミラー4cとの相対位置データは、例えば視点位置からルームミラー4cを見た場合の俯仰角及び水平角を示すデータである。
【0059】
そして、ルームミラー最適角度演算処理では、この相対位置データと、不揮発性メモリにされている手動調整ボタン8で予め調整されたルームミラー4cの鏡面角度とをもとに、ルームミラー4cについての最適角度、つまり、ルームミラー4cによる間接視界がルームミラー4cについての前述の最適範囲となるときの鏡面角度を算出する。
【0060】
ステップS82では、ポテンショメータ6cで検出されるルームミラー4cの現在の鏡面角度とルームミラー最適角度演算処理で算出した最適角度との差を計算することで鏡面角度の調整量を算出する。算出する調整量は、水平方向の調整量と垂直方向の調整量との合計を算出する構成としてもよいし、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とをそれぞれ算出する構成としてもよい。
【0061】
鏡面角度の調整量を算出した後は、算出した調整量が規定値以上であるか否かを判定する。そして、算出した調整量が規定値以上と判定した場合(ステップS102でYES)には、ステップS103に移る。また、算出した調整量が規定値以上と判定しなかった場合(ステップS102でNO)には、ステップS11に移る。ここで言うところの規定値は、微小な調整量と言える程度の値よりも大きい値であって、任意に設定可能な値である。
【0062】
水平方向の調整量と垂直方向の調整量との合計を算出する構成とした場合には、この合計についての規定値を設定し、この規定値以上か否かを判定する構成とすればよい。また、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とをそれぞれ算出する構成とした場合には、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのそれぞれについての規定値を設定する構成とすればよい。この場合には、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれかでも規定値以上と判定した場合に、ステップS103に移り、水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれも規定値以上と判定しなかった場合に、ステップS11に移る構成とすればよい。
【0063】
ステップS103では、ルームミラー調整処理を行ってステップS11に移る。ルームミラー調整処理では、ルームミラー4cの鏡面角度をルームミラー最適角度演算処理で算出した最適角度に合わせるような指令信号をルームミラー駆動装置5cに送り、ルームミラー4cを最適角度に調整させる。例えば、ステップS102で算出した調整量に従った角度だけ鏡面角度を変化させる指令信号をルームミラー駆動装置5cに送り、ルームミラー4cを最適角度に調整させる構成とすればよい。
【0064】
なお、ステップS102で水平方向の調整量と垂直方向の調整量とのいずれかのみが規定値以上と判定された場合には、ステップS103において、規定値以上と判定された方向の調整のみを行う構成としてもよいし、水平方向と垂直方向との両方の調整を行う構成としてもよい。
【0065】
ステップS11では、自車両のイグニッション電源がオフ(つまり、イグニッションオフ)になった場合(ステップS11でYES)には、フローを終了する。また、イグニッションオフになっていない場合(ステップS11でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0066】
また、制御ECU1は、ドライバが見ている車両用ミラーであると注視ミラー判断処理で判断した車両用ミラーの鏡面角度の調整を行った場合には、本フローチャートにおけるその後の注視ミラー判断処理で当該車両用ミラーをドライバが見ていると判断しなくなった後も、調整を行った角度に当該車両用ミラーの鏡面角度を保持しておくものとする。そして、本フローチャートにおけるさらに後の注視ミラー判断処理で当該車両用ミラーをドライバが見ていると再度判断したときに、本フローチャートに従って、算出した鏡面角度の調整量が規定値以上であった場合には、最適角度となるように車両用ミラーの鏡面角度の調整を行う一方、算出した調整量が規定値未満であった場合には、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わないものとする。
【0067】
以上の構成によれば、車両が走行中と判定した場合であって、且つ、いずれかの車両用ミラーをドライバが見ていると判断した場合には、ドライバが見ていると判断した車両用ミラーの鏡面角度を視点位置から決まる最適角度に自動的に調整することが可能になる。よって、走行中にドライバの視点位置が変化するたびに、車両用ミラーの鏡面角度の調整の要否の問い合わせに対する応答を行わなくても、自動的に車両用ミラーを最適角度に調整することが可能になるので、ドライバ等の乗員に煩わしさを感じさせにくくなる。
【0068】
また、以上の構成によれば、走行中にドライバの視点位置が変化した場合であっても、ドライバが見ている車両用ミラーであると判断しなかった車両用ミラーについては、鏡面角度の調整を行わないので、ドライバの視線の向いていない車両用ミラーの鏡面角度の調整が無駄に頻繁に行われることを防ぐことができ、乗員に煩わしさを感じさせにくくなる。その結果、車両用ミラーの鏡面角度をドライバにとって好適な角度に自動的に調整しながらも、乗員にとっての快適性を損ない難くすることが可能になる。
【0069】
さらに、以上の構成によれば、鏡面角度の調整量が微小な場合に、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わないようにすることが可能になるので、鏡面角度の調整が無駄に頻繁に行われることを防ぎ、さらに乗員に煩わしさを感じさせにくくすることが可能になる。他にも、鏡面角度の調整が無駄に頻繁に行われることを防ぐことで、車両用ミラーの駆動装置(つまり、右サイドミラー駆動装置5a、左サイドミラー駆動装置5b、ルームミラー駆動装置5c)が用いるモータ等のアクチュエータの消耗を抑えることもできる。
【0070】
また、以上の構成によれば、見ている車両用ミラーをドライバが変更し、視点の位置が変わった場合にも、視線から外れた車両用ミラーはその車両用ミラーをドライバが見ていたときの視点の位置に応じた最適角度に維持されることになる。よって、見ている車両用ミラーをドライバが変更するたびに視線から外れた車両用ミラーの鏡面角度が調整されることがなくなり、さらに乗員に煩わしさを感じさせにくくすることができる。また、一旦視線を外した車両用ミラーを再度見るときに、前回の視点位置とのずれが少なく、算出される鏡面角度の調整量が規定値未満となる場合には、その車両用ミラーの鏡面角度が調整されることがないので、この点でも乗員に煩わしさを感じさせにくくすることができる。
【0071】
具体的には、走行中に進行方向と左右のサイドミラーやルームミラーとをドライバが交互に確認する場合に、ドライバの視点位置が頻繁に切り替わったとしても、各車両用ミラーを見るときの視点の位置がそれぞれの車両用ミラーについてほぼ固定された位置にある場合は、各車両用ミラーの鏡面角度が最適角度に維持されたままとなり、頻繁に調整が行われずに済む。一方、車両用ミラーを見るときの視点の位置がその車両用ミラーについてほぼ固定された位置から外れて、鏡面角度が最適角度でなくなる場合には、車両用ミラーの鏡面角度が最適角度に調整される。従って、ドライバやドライバ以外の乗員にとっての快適性が非常に向上する。
【0072】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 制御ECU(車両用ミラー制御装置、鏡面角度取得手段、走行判定手段、ドライバ画像取得手段、視点位置検出手段、視線方向推測手段、注視ミラー判断手段、最適角度算出手段、調整量算出手段、鏡面角度調整手段)、2 車載カメラ、3 車速センサ、4a 右サイドミラー、4b 左サイドミラー、4c ルームミラー、5a 右サイドミラー駆動装置、5b 左サイドミラー駆動装置、5c ルームミラー駆動装置、6a・6b・6c ポテンショメータ、7 ミラー選択ボタン、8 手動調整ボタン、100 車両用ミラー制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
前記車両の運転席に着座したドライバを撮像する車載カメラで撮像された当該ドライバの少なくとも目の部分を含むドライバ画像を取得するドライバ画像取得手段と、
前記ドライバ画像取得手段で取得したドライバ画像をもとにドライバの視点の位置を検出する視点位置検出手段と、
前記視点位置検出手段で検出した視点位置をもとに、前記車両の左右のサイドミラー及びルームミラーのいずれの車両用ミラーの鏡面角度についても、当該視点位置から前記車両用ミラーを通じて視認可能な範囲が予め決められた最適範囲となる最適角度を算出することができる最適角度算出手段と、
前記最適角度算出手段の算出結果に基づいて前記車両用ミラーの鏡面角度の調整を自動的に行うことができる鏡面角度調整手段とを備える車両用ミラー制御装置であって、
前記車両が走行中か否かを判定する走行判定手段と、
前記ドライバ画像取得手段で取得したドライバ画像をもとに、ドライバの視線方向を推測する視線方向推測手段と、
前記視線方向推測手段で推測した視線方向をもとに、左右のサイドミラー及びルームミラーのうちのどの車両用ミラーをドライバが見ているのかを判断する注視ミラー判断手段とを備え、
前記走行判定手段で前記車両が走行中と判定した場合であって、且つ、前記注視ミラー判断手段でいずれかの車両用ミラーをドライバが見ていると判断した場合には、ドライバが見ている車両用ミラーであると前記注視ミラー判断手段で判断した車両用ミラーの前記最適角度を前記最適角度算出手段で算出し、その算出結果に基づいて前記鏡面角度調整手段で当該車両用ミラーについてのみ鏡面角度の調整を行う一方、
前記走行判定手段で前記車両が走行中でないと判定した場合、若しくは前記走行判定手段で前記車両が走行中と判定した場合であって、且つ、前記注視ミラー判断手段でいずれの車両用ミラーもドライバが見ていると判断しなかった場合には、前記鏡面角度調整手段での前記車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わないことを特徴とする車両用ミラー制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記車両用ミラーの鏡面角度を逐次取得する鏡面角度取得手段と、
ドライバが見ている車両用ミラーであると前記注視ミラー判断手段で判断した車両用ミラーの前記最適角度を前記最適角度算出手段で算出したときに、算出した最適角度と前記鏡面角度取得手段で取得した当該車両用ミラーの鏡面角度との差を算出する調整量算出手段とをさらに備え、
前記鏡面角度調整手段は、
前記調整量算出手段で算出した差が所定値以上であった場合には、前記最適角度算出手段で算出した最適角度となるように車両用ミラーの鏡面角度の調整を行う一方、前記調整量算出手段で算出した差が所定値未満であった場合には、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わないことを特徴とする車両用ミラー制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記鏡面角度調整手段は、
ドライバが見ている車両用ミラーであると前記注視ミラー判断手段で判断した車両用ミラーの鏡面角度の調整を行った場合には、前記注視ミラー判断手段で当該車両用ミラーをドライバが見ていると判断しなくなった後も、調整を行った角度に当該車両用ミラーの鏡面角度を保持しておき、
前記注視ミラー判断手段で当該車両用ミラーをドライバが見ていると再度判断したときに、前記調整量算出手段で算出した差が所定値以上であった場合には、前記最適角度算出手段で算出した最適角度となるように車両用ミラーの鏡面角度の調整を行う一方、前記調整量算出手段で算出した差が所定値未満であった場合には、車両用ミラーの鏡面角度の調整を行わないことを特徴とする車両用ミラー制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−47019(P2013−47019A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185378(P2011−185378)
【出願日】平成23年8月27日(2011.8.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】