車両用全閉形主電動機
【課題】本発明は、コストアップや装置が大型化しがちな専用熱交換器20を設けず、電動機L寸法を小さくすることが出来る電動機を提供することを目的とする。
【解決手段】ステ−タ鉄心とこのステ−タ鉄心の内周側に配置されたロータ鉄心と、前記ステータ鉄心の一端部に配設された第一軸受と、前記ステータ鉄心の他端部に配設された第二の軸受と、前期ロータ鉄心が取付けられ且つ前記第一、ニ軸受で回転自在に支承されたロータシャフトと、前記ステータ鉄心の外周部に構成された通風路と、前記ロータシャフトに設けられた通風ファンが鉄心押え及び、前記ブラケットに開いた開口部から外気をロータシャフトに近い部分まで導入できる通風路を構成して冷却風となし、該冷却風を前記ステータ鉄心の外周部に形成された通風路に導いて外部に放出したことを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【解決手段】ステ−タ鉄心とこのステ−タ鉄心の内周側に配置されたロータ鉄心と、前記ステータ鉄心の一端部に配設された第一軸受と、前記ステータ鉄心の他端部に配設された第二の軸受と、前期ロータ鉄心が取付けられ且つ前記第一、ニ軸受で回転自在に支承されたロータシャフトと、前記ステータ鉄心の外周部に構成された通風路と、前記ロータシャフトに設けられた通風ファンが鉄心押え及び、前記ブラケットに開いた開口部から外気をロータシャフトに近い部分まで導入できる通風路を構成して冷却風となし、該冷却風を前記ステータ鉄心の外周部に形成された通風路に導いて外部に放出したことを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両を駆動する車両用全閉形主電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に鉄道車両(以下、「車両」と呼ぶ)では、車体の下に配置された台車に主電動機(以下、「電動機」と呼ぶ)を装荷して、この電動機の回転力を継手(カップリング)と歯車装置を介して車輪に伝達して車両を走行させている。従来のこの種の電動機の構造は図14のようになっている。 図14に示した従来の電動機は、固定部材である円筒状のフレーム1を有しこのフレーム1の一端側にベアリングブラケット2を取付け、フレーム1の他端側の中央部にハウジング3を取付け、このベアリングブラケット2とハウジング3それぞれの中心部に設けた軸受4、5によってロータシャフト6の両端部を回転自在に支持している。 ロータシャフト6の軸方向の中心部分にロータ鉄心7を固定し、このロータ鉄心7の外周側に形成された多数の溝の中にロータバー8を埋め込み、夫々のロータバー8の両端部はロータ鉄心7より張出させ、その張出し部分をリング状のエンドリング9、9で一体に接続して誘導電動機のかご型ロータを形成している。ロータ鉄心7には、軸方向に貫通した複数個の通風路7aを設けてあり、同様の通風路を有する鉄心押え10、10により固定されている。
【0003】
フレーム1の内周部には、円筒状のステータ鉄心11を取付け、このステータ鉄心11の内周側に形成された多数の溝の中にステータコイル12を収納している。このステータコイル12のコイルエンド部は、ステータ鉄心11の両側に張出した形となっている。
【0004】
ステータ鉄心11の内周面とロータ鉄心7の外周面との間には、一様な空隙13を形成してある。ロータシャフト6の駆動軸部6aは機外に突出させてある。この突出した駆動軸部6aの部分には、駆動用歯車装置と結合するため継手(カップリング)を取付ける。ロータシャフト6の機内部分には通風ファン14を取付けてある。この通風ファン14は、中央より放射状に配置された複数の羽根14aを有している。フレーム1におけるこの通風ファン14の外周部に対向する部分には複数の排気口1aが円周方向に沿って設けてある。フレーム1の反駆動側の上方に入気口1bを設け、この入気口1bを覆うように通風ロ過器15を取付け、通風ロ過器15の外気取り入れ口部には、塵埃を捕捉するためのフィルター15aを取付けてある。
【0005】
図14に示した電動機全体は、フレーム1に設けられた取付け腕部(図示せず)を台車枠にボルトで締結固定し、ロータシャフト駆動軸部6aに接続した継手を介して電動機の回転力を駆動装置から車輪に伝達し車両を走行させる。
【0006】
この電動機の運転時には、ステートコイル12とロータバー8が発熱するため、外気を電動機内に流通させて冷却している。この冷却で電動機の温度上昇が抑制される。この冷却作用は次の通りである。
【0007】
運転時、通風ファン14がロータシャフト6といっしょに回転し、機内の空気を排気口1aより機外に排出し、これに伴って入気口1bより外気が機内に吸引される。機内に吸引される外気は、通風ロ過器15を経て入気口1bより機内に流入した後、ロータ鉄心の通風路7aやロータ鉄心7の外周とステータ鉄心11の内周との間の空隙13を通って通風ファン14側に流通し、通風ファン14の回転により排気口1aより機外に排出される。
【0008】
このように機内に外気を流通させることにより、ロータバー8、ステータコイル12、及び軸受4、5やそれを潤滑するグリースの温度上昇が許限度を超えないように冷却している。
【0009】
しかしながら、電車等の床下の台車に搭載される電動機の周囲の外気には、車両走行時に巻き上げられる塵埃が多量に存在し、取入れる外気はひどく汚損された環境下のものである。そのため、図14に示した従来例の電動機では機内に取入れる外気は、通風ロ過器15のフィルター15aによって塵埃を捕捉して清浄化を図っているが、運転を続けることにより次第にフィルター15aに目詰まりが生じ、機内の通風量が減少してしまうので、短い間隔の定期的なフィルターの清掃保守を必要とし、またフィルター15aを通過した塵埃が電動機内に付着堆積して、その清掃に多大な労力を費やさねばならない技術的な課題があった。
【0010】
この問題を解決するために、近年では全閉外扇形電動機の開発が進められている。
【0011】
この全閉外扇形電動機の一実施の形態の構造について、図10及び図11参照し、説明する。図11は図10のステータ鉄心211を断面にした1/4図面である。尚、図14と同じ部品名や同一構成、機能については説明を省略し同一番号をつけてある。
【0012】
従来の全閉外扇形電動機は、ステ−タ鉄心211の両側に鉄心押え、211a、211aを取付け、その間に全周の部分的に取付けるようにした複数の繋ぎ板211bをステ−タ鉄心211の外周上に取付けて構成し、ステ−タ鉄心211の外周側には多数の通風路211cが構成されている。ロータシャフト6にはロータ鉄心7と主板214cの両面に放射状に取付けられた羽根214aと214bを有する通風ファン214が取付けられている。
【0013】
ロータシャフト6を支承する軸受4を中心部に設けたベアリングブラケット202の側面部に円周状に複数の外気入気口202aが構成され、繋ぎブラケット203を介して鉄心押え211aに取付けられている。また、他端にもステ−タ鉄心211の他端の鉄心押え211aに取付けらた固定ブラケット204があり、その中心部分にはハウジング3を介して軸受5が配置され、ロータシャフト6を支承している。
【0014】
繋ぎブラケット203にはステ−タ鉄心211の通風路211cに通じる通風路203aが構成されて、ファン214の羽根214Aによってべアリングブラケット202の側面部に円周状に複数の外気入気口202aから冷却風が流入して、他端にある固定ブラケット204の通風路204aから外気に開放される。
【0015】
更に繋ぎブラケット203には外部熱交換器20に通じる通風路203Bも配置され、通風ファン214の羽根214Bによって発生した電動機内の空気が、外気に触れずに他端にある固定ブラケット204にある通風路204Bを経由して電動機の機内に入る通風流路が構成されている。
このような通風経路を構成するものにおいて、通風ファン214の外周部に対応する繋ぎブラケット203部内周部には通風ファン214の主板214cとの間で微小隙間(ア)所謂ラビリンスを構成しているので、通風ファン214の羽根214Aによって発生する通風空気と 通風ファン214の羽根214Bによって発生する通風空気が混じり合わない構造、つまり、電動機内冷却風と電動機外冷却風が切り分けて使用されるように構成されている。
【0016】
このような構成された電動機の冷却方法は、次の通りである。
ファン214の羽根214Aにより入気口202Aから入った冷却風は、繋ぎブラケット203の通風路203Aを通り、通風路211Cを通って固定ブラケット204の通風路204Aから外気に吐き出される。
【0017】
これによって、コイル12の発熱がステータ鉄心211を経由して冷却される。
【0018】
一方、ファン214の羽根214Bにより、電動機機内の空気が繋ぎブラケット203の通風路203Bを通り、熱交換器20を経由して固定ブラケット204の通風路204Bから電動機の内部に戻る冷却風があり、熱交換機20とファン214の主板214Cによる入気口202Aから入る外気との間の熱交換作用により、この循環風は冷却され、冷えた冷却風がロータバー8を直接または、ロータ鉄心7を介して、通風路7A及び空隙13から冷却される。また、機内に入った空気は、再びファン214の羽根214Bから吐き出され、機内を循環する。
【0019】
機内の循環風は、ロータバー8だけでなく、コイル12や軸受4、5及びグリース等が冷却もすることになる。このように各通風路に機内、機外を分離した冷却風が流れることにより、電動機が効率的に冷却され、しかもステ−タコイル12やローターバー8は外気に触れて汚れることがないので電動機内部の汚損がなく、内部清掃不要な全閉形電動機を提供できるものになる。
【0020】
次に、鉄道車両用に制約のある課題について説明する。図12と図13は、鉄道車両用電動機が台車内に装荷された一般的な状態を示すもので、図12は上面から見た平面図、図13は図12の断面CC部を側面方向から見た側面断面図である。
【0021】
電動機301の上部取付けノーズ302、下部取付け足302を介して台車303の梁304にある取付け座305に取付けられている。電動機の駆動軸306には継手306Aを介して歯車装置の歯車軸308に直結されている。歯車軸308と車軸309にはそれぞれ歯車(図示せず)が取付いていて噛合い、電動機の回転力が車軸309に伝達されるようになっている。307は歯車のケースで潤滑剤が入っている。
【0022】
車軸309に伝達された回転力は、車軸309に取付けられた車輪310、310を回転させレール311上を転がるようにして、台車303に付いている車体313が動く仕組みである。車軸309は台車303に軸受312,312を介して回転自由に取付いている。図13の電動機301は内部が分かるようにした断面図で表してある。
【0023】
このような台車構成於いて、LSは車輪310、310間の寸法で歯車ケース307及び継手306Aを除いたLd寸法に電動機を構成しなくてはいけなく、非常に限られた寸法制約があるのが特徴である。電動機の出力の大きさは、ステータ鉄心外径Dとステータ鉄心長さL(回転子長さとも等しい)によって決定する。 ステータ鉄心外径Dは、図10及び図13に示す。ステータ鉄心長さLは、図10.に示す。 ステータ鉄心長さLにその他の構成部材が加算されてLdと、なり、L以外のその他の構成部材も電動機を構成する上で重要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2004−194498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
従来の全閉形電動機は、通常の電動機に比べると熱交換器20を付加すること、また、機内循環風を流すための熱交換ファン214の羽根214Bがあるため、構造が複雑でコストが上昇する課題があった。更に鉄道車両用では特に電動機の大きさに関する制約条件があるため、電動機の長手寸法が大きくなる課題を解決する必要があった。
【0026】
そこで、本発明は、電動機に必要な冷却性能を確保し、かつ、コストアップや装置が大型化しがちな専用熱交換器20を設けず、電動機L寸法を小さくすることが出来る車両用全閉形主電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題は、ステータ鉄心と、このステ−タ鉄心の内周側に配置されたロータ鉄心と、前記ステータ鉄心の一端部にブラケット及びベアリングブラケットを介して配設された第一の軸受と、前記ステータ鉄心の他端部にブラケットとハウジングを介して配設された第二の軸受と、前記ロータ鉄心が取付けられ且つ前記第一、第ニの軸受で回転自在に支承されたロータシャフトと、前記ステータ鉄心の外周部に構成された通風路と、前記ロータシャフトにおける軸受と鉄心との間に嵌着された前記ベアリングブラケット側に放射状の羽根が設けられた通風ファンが鉄心押えまたは鉄心に密着して取付けられ、羽根の内週部の前記ブラケットに開いた開口部から外気をロータシャフトに近い部分まで導入できる通風路とを有し、該通風ファンの主板と該一端側のブラケット間に微小隙間で回転子側と固定子側が仕切られ、機内と機外を分離できるようにしたことにより達成することが出来る。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、本発明は、電動機に必要な冷却性能を確保し、かつ、コストアップや装置が大型化しがちな専用熱交換器20を設けず、電動機L寸法を小さくすることが出来る車両用全閉形主電動機を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に基づく第一の実施の形態の車両用全閉形主電動機の断面図。
【図2】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図3】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図4】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図5】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図6】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図7】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図8】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図9】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図10】従来の全閉型電動機の断面図。
【図11】図10のB−B断面図。
【図12】鉄道車両の車両床下の台車の平面図従来の全閉型電動機における冷却風の経路を示す構成図。
【図13】図12のC―C断面で断面して表した断面図
【図14】従来の主電動機の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
以下に本発明について図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である。図10と同じ部品名や同一構成、機能については説明を省略し同一番号をつけてある。
【0031】
ステ−タ鉄心211の両側に鉄心押え、211a、211aを取付け、その中間に全周の部分的に複数の繋ぎ板211bをステ−タ鉄心211の外周上に取付けて構成し、ステ−タ鉄心211外周側には多数の通風路211cが構成されている。ロータシャフト6にはロータ鉄心407と通風ファン414が取付けられている。主板214cの片面に放射状に取付け配置された羽根214aを有すると共に主板214Cの機内側は、エンドリング9の内周側近傍まで延伸され、ロータ鉄心407及び鉄心押え10に密着した構造を呈している。
【0032】
ロータシャフト6を支承する軸受4を中心部に設けたベアリングブラケット402には外部から、ロータシャフト6近くまで回り込むように外気入気口402aが円周状に複数の構成され、繋ぎブラケット203を介して鉄心押え211aに取付けられている。 繋ぎブラケット203にはステ−タ鉄心211の通風路211cに通じる通風路203aが構成されて、通風ファン414の羽根214Aによって発生する冷却風が流通するようになっている。通風ファン414の外周部に対応する繋ぎブラケット203部内周部には通風ファン414の主板214cとの間で微小隙間、所謂ラビリンス1(微小隙間)を構成しているので通風ファン414の羽根214A側の冷却風が電動機機内に入らないように構成されている。また、他端は固定ブラケット204の中心部分に軸受5でロータシャフト6を支承するハウジング3を取付け、固定ブラケットは、ステ−タ鉄心211の他端の鉄心押え211aに取付けられている。 固定ブラケット204にも通風路211cに合わせた通風路204aが開いていて外気に開放している。
【0033】
また通風ファン414の電動機の反対側にも、通風ファン415があり、通風ファン415の主板415Cの片側にある羽根415aがあり、主板415Cの機内側は、ロータ鉄心407及び鉄心押え10に密着した構造を呈している。羽根415Aから吐き出された風は、繋ぎブラケット204部にある通風路204Cを通って電動機外部に吐き出される。羽根415Aにより発生する風は、固定ブラケット204及びハウジング3にある入気口204B、3Bより、外気を導入して発生させる。通風ファン415の外周部に対応する繋ぎブラケット204部内周部にも通風ファン415の主板415Cとの間で微小隙間、所謂ラビリンス2を構成しているので、通風ファン415の羽根415a側の冷却風が電動機内に入らないようになっている。
【0034】
このように構成された電動機では、通風ファン414の羽根214Aで図1の矢印ように、外気が入気口402aから入り、矢印のように流れ、ステータ鉄心211を冷やすので、コイル12の発生熱を抑制する。
【0035】
同時にロータバー8やエンドリング9で発生した熱は、ロータ鉄心407、ロータ鉄心押え10を経由して、エンドリング9の内周側近傍まで延伸された通風ファン214の主板214Cに伝わり、羽根214Aで発生する冷却風に放熱されるので、回転子も冷却できるものになる。
【0036】
通風ファン414の反対側にある通風ファン415の作用も通風ファン414側と同様で、ステータ鉄心211の冷却はしないが、図1の矢印のように冷却風が流れ、回転子(ロータバー8、エンドリング9)の冷却ができるものになる。併せて、羽根214A、415Aによって発生する風により、軸受4、5及びその潤滑材も冷却できるものである。このように構成された電動機は、ラビリンス1、2で機内と外気を分離するので機内の汚れが発生せずに、また電動機の発熱を抑える効果もあるため、全閉型電動機を提供できるものになる。
【0037】
更に、羽根214Bが無くなるため、鉄道車両で制約条件になる図13の長手方向の寸法Ldが短くなるので、全閉型で、冷却効果を満たし、鉄心寸法Lを大きくできるので高性能化もできる理想的な電動機が提供できるものとなる。
【0038】
(他の実施の形態について)
次に本発明の他の実施の形態について説明する。図2〜図9は本発明の他の実施の形態を示す。
【0039】
図2は、通風ファン414の主板214Cの羽根214A側の羽根214A間に放熱板214dを設けたものである。放熱板214aをつけることにより回転子(ロータバー8、エンドリング9)の熱をより多く外部へ放熱できる。この放熱板214dは、羽根214A間に複数個あってもよく、羽根214A間にない部分と ある部分で構成してもよい。個数、形状、位置を限定するものではない。また、反対側の通風ファン415の機外側にも放熱板415dがあってもよい。こちら側も個数、形状、位置を限定するものではない。
【0040】
図3は、図1の駆動軸側の通風ファン414のみで反駆動軸側の通風ファン415を無くしたもので冷却効果に余裕があれば、片側のみに構成してもよい。また放熱板214dをつけてもよい。
【0041】
図4は、本構成の電動機の反駆動側に(特願2005−136671)を採用したもので、矢印のように冷却風が流れるので軸受の冷却を大幅に改善できるものである。(冷却性の効果についての説明についてはここでは省略する)また、この冷却性のよさが、回転子(ロータバー8、エンドリング9)の冷却にも効果を示すものとなる。図4中の矢印は冷却風の流れを示すもので、通風ファン415の根元(ロータシャフト6)まで冷却できるものとなる。
【0042】
図1の通風路211Cは穴であるが、穴の形状を問うものではない。また穴内に冷却性能を向上させるためにフィンなどを構成してもよい。 更に、図5のようにステータ鉄心211と繋ぎ板211B及びカバー416からなる空洞を設け、この部分を通風路211Cに代えるものとしてもよい。 更に空洞を繋ぎ板211BBで構成した、図6のようなものでもよい。図1や その他の変形例は、より出力の増すフレームレス構造で説明したが、フレームの有る構造で構成してもよい。また、駆動側と反駆動側を入れ替えた構成をしてもよい
フレーム417有りの構造では、通風路211Cは、図7のようにステータ鉄心211内に構成しても、図8のように、ステータ鉄心211とフレーム417間に構成してもよい。また図9のようにフレーム外に構成してもよい。通風路211cやそれに匹敵する通風路は、電動機外周部全周に設けないで、部分的、または周期的な位置に構成してもよい。大きさ、形状など、さまざまなものを組合わせて構成してもよい。更に本発明は、本明細書で説明したもののみで構成されるのではなく、それぞれを組合わせて構成してもよい。以上の説明では、回転子に通風路がないものとして説明したが、回転子鉄心、押えに通風路を構成してもよい。またそれが通風路として機能しないものでもよい
以上のように本発明によると、発熱体であるステ−タコイルやロータバーやエンドリングを効果的に冷却でき、併せて軸受、グリースの温度上昇も抑制でき、全閉型のメリットであるフィルターの清掃も無く、保守の大幅な省力化が可能な内部清掃レスも実現でき、更に従来以上に高性能な電動機を提供できるので、理想的な全閉外扇形電動機にすることができる。
【0043】
なお、この発明は、前記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
11、211・・・・・・・・・・・・・・・・ステータ鉄心
12・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステ−タコイル
7、407・・・・・・・・・・・・・・・・・ロータ鉄心
8・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロータバー
9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エンドリング
6・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロータシャフト
7a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・風穴
13・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・空隙
2、202、402・・・・・・・・・・・・・ベアリングブラケット
3、3B・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハウジング
1、417・・・・・・・・・・・・・・・・フレーム
15・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・通風ロカキ
15a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フィルター
203・・・・・・・・・・・・・・・・・・・繋ぎブラケット
204・・・・・・・・・・・・・・・・・・・固定ブラケット
4、5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・軸受
14、214、414、415・・・・・・・・通風ファン
14a、214a、214b、415A・・・・羽根
214c、415C・・・・・・・・・・・・・主板
20・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・熱交換器
203a、211c、204a・・・・・・・・通風路
203b、204b・・・・・・・・・・・・・通風路
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両を駆動する車両用全閉形主電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に鉄道車両(以下、「車両」と呼ぶ)では、車体の下に配置された台車に主電動機(以下、「電動機」と呼ぶ)を装荷して、この電動機の回転力を継手(カップリング)と歯車装置を介して車輪に伝達して車両を走行させている。従来のこの種の電動機の構造は図14のようになっている。 図14に示した従来の電動機は、固定部材である円筒状のフレーム1を有しこのフレーム1の一端側にベアリングブラケット2を取付け、フレーム1の他端側の中央部にハウジング3を取付け、このベアリングブラケット2とハウジング3それぞれの中心部に設けた軸受4、5によってロータシャフト6の両端部を回転自在に支持している。 ロータシャフト6の軸方向の中心部分にロータ鉄心7を固定し、このロータ鉄心7の外周側に形成された多数の溝の中にロータバー8を埋め込み、夫々のロータバー8の両端部はロータ鉄心7より張出させ、その張出し部分をリング状のエンドリング9、9で一体に接続して誘導電動機のかご型ロータを形成している。ロータ鉄心7には、軸方向に貫通した複数個の通風路7aを設けてあり、同様の通風路を有する鉄心押え10、10により固定されている。
【0003】
フレーム1の内周部には、円筒状のステータ鉄心11を取付け、このステータ鉄心11の内周側に形成された多数の溝の中にステータコイル12を収納している。このステータコイル12のコイルエンド部は、ステータ鉄心11の両側に張出した形となっている。
【0004】
ステータ鉄心11の内周面とロータ鉄心7の外周面との間には、一様な空隙13を形成してある。ロータシャフト6の駆動軸部6aは機外に突出させてある。この突出した駆動軸部6aの部分には、駆動用歯車装置と結合するため継手(カップリング)を取付ける。ロータシャフト6の機内部分には通風ファン14を取付けてある。この通風ファン14は、中央より放射状に配置された複数の羽根14aを有している。フレーム1におけるこの通風ファン14の外周部に対向する部分には複数の排気口1aが円周方向に沿って設けてある。フレーム1の反駆動側の上方に入気口1bを設け、この入気口1bを覆うように通風ロ過器15を取付け、通風ロ過器15の外気取り入れ口部には、塵埃を捕捉するためのフィルター15aを取付けてある。
【0005】
図14に示した電動機全体は、フレーム1に設けられた取付け腕部(図示せず)を台車枠にボルトで締結固定し、ロータシャフト駆動軸部6aに接続した継手を介して電動機の回転力を駆動装置から車輪に伝達し車両を走行させる。
【0006】
この電動機の運転時には、ステートコイル12とロータバー8が発熱するため、外気を電動機内に流通させて冷却している。この冷却で電動機の温度上昇が抑制される。この冷却作用は次の通りである。
【0007】
運転時、通風ファン14がロータシャフト6といっしょに回転し、機内の空気を排気口1aより機外に排出し、これに伴って入気口1bより外気が機内に吸引される。機内に吸引される外気は、通風ロ過器15を経て入気口1bより機内に流入した後、ロータ鉄心の通風路7aやロータ鉄心7の外周とステータ鉄心11の内周との間の空隙13を通って通風ファン14側に流通し、通風ファン14の回転により排気口1aより機外に排出される。
【0008】
このように機内に外気を流通させることにより、ロータバー8、ステータコイル12、及び軸受4、5やそれを潤滑するグリースの温度上昇が許限度を超えないように冷却している。
【0009】
しかしながら、電車等の床下の台車に搭載される電動機の周囲の外気には、車両走行時に巻き上げられる塵埃が多量に存在し、取入れる外気はひどく汚損された環境下のものである。そのため、図14に示した従来例の電動機では機内に取入れる外気は、通風ロ過器15のフィルター15aによって塵埃を捕捉して清浄化を図っているが、運転を続けることにより次第にフィルター15aに目詰まりが生じ、機内の通風量が減少してしまうので、短い間隔の定期的なフィルターの清掃保守を必要とし、またフィルター15aを通過した塵埃が電動機内に付着堆積して、その清掃に多大な労力を費やさねばならない技術的な課題があった。
【0010】
この問題を解決するために、近年では全閉外扇形電動機の開発が進められている。
【0011】
この全閉外扇形電動機の一実施の形態の構造について、図10及び図11参照し、説明する。図11は図10のステータ鉄心211を断面にした1/4図面である。尚、図14と同じ部品名や同一構成、機能については説明を省略し同一番号をつけてある。
【0012】
従来の全閉外扇形電動機は、ステ−タ鉄心211の両側に鉄心押え、211a、211aを取付け、その間に全周の部分的に取付けるようにした複数の繋ぎ板211bをステ−タ鉄心211の外周上に取付けて構成し、ステ−タ鉄心211の外周側には多数の通風路211cが構成されている。ロータシャフト6にはロータ鉄心7と主板214cの両面に放射状に取付けられた羽根214aと214bを有する通風ファン214が取付けられている。
【0013】
ロータシャフト6を支承する軸受4を中心部に設けたベアリングブラケット202の側面部に円周状に複数の外気入気口202aが構成され、繋ぎブラケット203を介して鉄心押え211aに取付けられている。また、他端にもステ−タ鉄心211の他端の鉄心押え211aに取付けらた固定ブラケット204があり、その中心部分にはハウジング3を介して軸受5が配置され、ロータシャフト6を支承している。
【0014】
繋ぎブラケット203にはステ−タ鉄心211の通風路211cに通じる通風路203aが構成されて、ファン214の羽根214Aによってべアリングブラケット202の側面部に円周状に複数の外気入気口202aから冷却風が流入して、他端にある固定ブラケット204の通風路204aから外気に開放される。
【0015】
更に繋ぎブラケット203には外部熱交換器20に通じる通風路203Bも配置され、通風ファン214の羽根214Bによって発生した電動機内の空気が、外気に触れずに他端にある固定ブラケット204にある通風路204Bを経由して電動機の機内に入る通風流路が構成されている。
このような通風経路を構成するものにおいて、通風ファン214の外周部に対応する繋ぎブラケット203部内周部には通風ファン214の主板214cとの間で微小隙間(ア)所謂ラビリンスを構成しているので、通風ファン214の羽根214Aによって発生する通風空気と 通風ファン214の羽根214Bによって発生する通風空気が混じり合わない構造、つまり、電動機内冷却風と電動機外冷却風が切り分けて使用されるように構成されている。
【0016】
このような構成された電動機の冷却方法は、次の通りである。
ファン214の羽根214Aにより入気口202Aから入った冷却風は、繋ぎブラケット203の通風路203Aを通り、通風路211Cを通って固定ブラケット204の通風路204Aから外気に吐き出される。
【0017】
これによって、コイル12の発熱がステータ鉄心211を経由して冷却される。
【0018】
一方、ファン214の羽根214Bにより、電動機機内の空気が繋ぎブラケット203の通風路203Bを通り、熱交換器20を経由して固定ブラケット204の通風路204Bから電動機の内部に戻る冷却風があり、熱交換機20とファン214の主板214Cによる入気口202Aから入る外気との間の熱交換作用により、この循環風は冷却され、冷えた冷却風がロータバー8を直接または、ロータ鉄心7を介して、通風路7A及び空隙13から冷却される。また、機内に入った空気は、再びファン214の羽根214Bから吐き出され、機内を循環する。
【0019】
機内の循環風は、ロータバー8だけでなく、コイル12や軸受4、5及びグリース等が冷却もすることになる。このように各通風路に機内、機外を分離した冷却風が流れることにより、電動機が効率的に冷却され、しかもステ−タコイル12やローターバー8は外気に触れて汚れることがないので電動機内部の汚損がなく、内部清掃不要な全閉形電動機を提供できるものになる。
【0020】
次に、鉄道車両用に制約のある課題について説明する。図12と図13は、鉄道車両用電動機が台車内に装荷された一般的な状態を示すもので、図12は上面から見た平面図、図13は図12の断面CC部を側面方向から見た側面断面図である。
【0021】
電動機301の上部取付けノーズ302、下部取付け足302を介して台車303の梁304にある取付け座305に取付けられている。電動機の駆動軸306には継手306Aを介して歯車装置の歯車軸308に直結されている。歯車軸308と車軸309にはそれぞれ歯車(図示せず)が取付いていて噛合い、電動機の回転力が車軸309に伝達されるようになっている。307は歯車のケースで潤滑剤が入っている。
【0022】
車軸309に伝達された回転力は、車軸309に取付けられた車輪310、310を回転させレール311上を転がるようにして、台車303に付いている車体313が動く仕組みである。車軸309は台車303に軸受312,312を介して回転自由に取付いている。図13の電動機301は内部が分かるようにした断面図で表してある。
【0023】
このような台車構成於いて、LSは車輪310、310間の寸法で歯車ケース307及び継手306Aを除いたLd寸法に電動機を構成しなくてはいけなく、非常に限られた寸法制約があるのが特徴である。電動機の出力の大きさは、ステータ鉄心外径Dとステータ鉄心長さL(回転子長さとも等しい)によって決定する。 ステータ鉄心外径Dは、図10及び図13に示す。ステータ鉄心長さLは、図10.に示す。 ステータ鉄心長さLにその他の構成部材が加算されてLdと、なり、L以外のその他の構成部材も電動機を構成する上で重要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2004−194498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
従来の全閉形電動機は、通常の電動機に比べると熱交換器20を付加すること、また、機内循環風を流すための熱交換ファン214の羽根214Bがあるため、構造が複雑でコストが上昇する課題があった。更に鉄道車両用では特に電動機の大きさに関する制約条件があるため、電動機の長手寸法が大きくなる課題を解決する必要があった。
【0026】
そこで、本発明は、電動機に必要な冷却性能を確保し、かつ、コストアップや装置が大型化しがちな専用熱交換器20を設けず、電動機L寸法を小さくすることが出来る車両用全閉形主電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題は、ステータ鉄心と、このステ−タ鉄心の内周側に配置されたロータ鉄心と、前記ステータ鉄心の一端部にブラケット及びベアリングブラケットを介して配設された第一の軸受と、前記ステータ鉄心の他端部にブラケットとハウジングを介して配設された第二の軸受と、前記ロータ鉄心が取付けられ且つ前記第一、第ニの軸受で回転自在に支承されたロータシャフトと、前記ステータ鉄心の外周部に構成された通風路と、前記ロータシャフトにおける軸受と鉄心との間に嵌着された前記ベアリングブラケット側に放射状の羽根が設けられた通風ファンが鉄心押えまたは鉄心に密着して取付けられ、羽根の内週部の前記ブラケットに開いた開口部から外気をロータシャフトに近い部分まで導入できる通風路とを有し、該通風ファンの主板と該一端側のブラケット間に微小隙間で回転子側と固定子側が仕切られ、機内と機外を分離できるようにしたことにより達成することが出来る。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、本発明は、電動機に必要な冷却性能を確保し、かつ、コストアップや装置が大型化しがちな専用熱交換器20を設けず、電動機L寸法を小さくすることが出来る車両用全閉形主電動機を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に基づく第一の実施の形態の車両用全閉形主電動機の断面図。
【図2】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図3】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図4】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図5】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図6】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図7】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図8】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図9】本発明に基づく第1の実施の形態の車両用全閉形主電動機の変形例。
【図10】従来の全閉型電動機の断面図。
【図11】図10のB−B断面図。
【図12】鉄道車両の車両床下の台車の平面図従来の全閉型電動機における冷却風の経路を示す構成図。
【図13】図12のC―C断面で断面して表した断面図
【図14】従来の主電動機の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
以下に本発明について図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である。図10と同じ部品名や同一構成、機能については説明を省略し同一番号をつけてある。
【0031】
ステ−タ鉄心211の両側に鉄心押え、211a、211aを取付け、その中間に全周の部分的に複数の繋ぎ板211bをステ−タ鉄心211の外周上に取付けて構成し、ステ−タ鉄心211外周側には多数の通風路211cが構成されている。ロータシャフト6にはロータ鉄心407と通風ファン414が取付けられている。主板214cの片面に放射状に取付け配置された羽根214aを有すると共に主板214Cの機内側は、エンドリング9の内周側近傍まで延伸され、ロータ鉄心407及び鉄心押え10に密着した構造を呈している。
【0032】
ロータシャフト6を支承する軸受4を中心部に設けたベアリングブラケット402には外部から、ロータシャフト6近くまで回り込むように外気入気口402aが円周状に複数の構成され、繋ぎブラケット203を介して鉄心押え211aに取付けられている。 繋ぎブラケット203にはステ−タ鉄心211の通風路211cに通じる通風路203aが構成されて、通風ファン414の羽根214Aによって発生する冷却風が流通するようになっている。通風ファン414の外周部に対応する繋ぎブラケット203部内周部には通風ファン414の主板214cとの間で微小隙間、所謂ラビリンス1(微小隙間)を構成しているので通風ファン414の羽根214A側の冷却風が電動機機内に入らないように構成されている。また、他端は固定ブラケット204の中心部分に軸受5でロータシャフト6を支承するハウジング3を取付け、固定ブラケットは、ステ−タ鉄心211の他端の鉄心押え211aに取付けられている。 固定ブラケット204にも通風路211cに合わせた通風路204aが開いていて外気に開放している。
【0033】
また通風ファン414の電動機の反対側にも、通風ファン415があり、通風ファン415の主板415Cの片側にある羽根415aがあり、主板415Cの機内側は、ロータ鉄心407及び鉄心押え10に密着した構造を呈している。羽根415Aから吐き出された風は、繋ぎブラケット204部にある通風路204Cを通って電動機外部に吐き出される。羽根415Aにより発生する風は、固定ブラケット204及びハウジング3にある入気口204B、3Bより、外気を導入して発生させる。通風ファン415の外周部に対応する繋ぎブラケット204部内周部にも通風ファン415の主板415Cとの間で微小隙間、所謂ラビリンス2を構成しているので、通風ファン415の羽根415a側の冷却風が電動機内に入らないようになっている。
【0034】
このように構成された電動機では、通風ファン414の羽根214Aで図1の矢印ように、外気が入気口402aから入り、矢印のように流れ、ステータ鉄心211を冷やすので、コイル12の発生熱を抑制する。
【0035】
同時にロータバー8やエンドリング9で発生した熱は、ロータ鉄心407、ロータ鉄心押え10を経由して、エンドリング9の内周側近傍まで延伸された通風ファン214の主板214Cに伝わり、羽根214Aで発生する冷却風に放熱されるので、回転子も冷却できるものになる。
【0036】
通風ファン414の反対側にある通風ファン415の作用も通風ファン414側と同様で、ステータ鉄心211の冷却はしないが、図1の矢印のように冷却風が流れ、回転子(ロータバー8、エンドリング9)の冷却ができるものになる。併せて、羽根214A、415Aによって発生する風により、軸受4、5及びその潤滑材も冷却できるものである。このように構成された電動機は、ラビリンス1、2で機内と外気を分離するので機内の汚れが発生せずに、また電動機の発熱を抑える効果もあるため、全閉型電動機を提供できるものになる。
【0037】
更に、羽根214Bが無くなるため、鉄道車両で制約条件になる図13の長手方向の寸法Ldが短くなるので、全閉型で、冷却効果を満たし、鉄心寸法Lを大きくできるので高性能化もできる理想的な電動機が提供できるものとなる。
【0038】
(他の実施の形態について)
次に本発明の他の実施の形態について説明する。図2〜図9は本発明の他の実施の形態を示す。
【0039】
図2は、通風ファン414の主板214Cの羽根214A側の羽根214A間に放熱板214dを設けたものである。放熱板214aをつけることにより回転子(ロータバー8、エンドリング9)の熱をより多く外部へ放熱できる。この放熱板214dは、羽根214A間に複数個あってもよく、羽根214A間にない部分と ある部分で構成してもよい。個数、形状、位置を限定するものではない。また、反対側の通風ファン415の機外側にも放熱板415dがあってもよい。こちら側も個数、形状、位置を限定するものではない。
【0040】
図3は、図1の駆動軸側の通風ファン414のみで反駆動軸側の通風ファン415を無くしたもので冷却効果に余裕があれば、片側のみに構成してもよい。また放熱板214dをつけてもよい。
【0041】
図4は、本構成の電動機の反駆動側に(特願2005−136671)を採用したもので、矢印のように冷却風が流れるので軸受の冷却を大幅に改善できるものである。(冷却性の効果についての説明についてはここでは省略する)また、この冷却性のよさが、回転子(ロータバー8、エンドリング9)の冷却にも効果を示すものとなる。図4中の矢印は冷却風の流れを示すもので、通風ファン415の根元(ロータシャフト6)まで冷却できるものとなる。
【0042】
図1の通風路211Cは穴であるが、穴の形状を問うものではない。また穴内に冷却性能を向上させるためにフィンなどを構成してもよい。 更に、図5のようにステータ鉄心211と繋ぎ板211B及びカバー416からなる空洞を設け、この部分を通風路211Cに代えるものとしてもよい。 更に空洞を繋ぎ板211BBで構成した、図6のようなものでもよい。図1や その他の変形例は、より出力の増すフレームレス構造で説明したが、フレームの有る構造で構成してもよい。また、駆動側と反駆動側を入れ替えた構成をしてもよい
フレーム417有りの構造では、通風路211Cは、図7のようにステータ鉄心211内に構成しても、図8のように、ステータ鉄心211とフレーム417間に構成してもよい。また図9のようにフレーム外に構成してもよい。通風路211cやそれに匹敵する通風路は、電動機外周部全周に設けないで、部分的、または周期的な位置に構成してもよい。大きさ、形状など、さまざまなものを組合わせて構成してもよい。更に本発明は、本明細書で説明したもののみで構成されるのではなく、それぞれを組合わせて構成してもよい。以上の説明では、回転子に通風路がないものとして説明したが、回転子鉄心、押えに通風路を構成してもよい。またそれが通風路として機能しないものでもよい
以上のように本発明によると、発熱体であるステ−タコイルやロータバーやエンドリングを効果的に冷却でき、併せて軸受、グリースの温度上昇も抑制でき、全閉型のメリットであるフィルターの清掃も無く、保守の大幅な省力化が可能な内部清掃レスも実現でき、更に従来以上に高性能な電動機を提供できるので、理想的な全閉外扇形電動機にすることができる。
【0043】
なお、この発明は、前記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
11、211・・・・・・・・・・・・・・・・ステータ鉄心
12・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステ−タコイル
7、407・・・・・・・・・・・・・・・・・ロータ鉄心
8・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロータバー
9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エンドリング
6・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロータシャフト
7a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・風穴
13・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・空隙
2、202、402・・・・・・・・・・・・・ベアリングブラケット
3、3B・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハウジング
1、417・・・・・・・・・・・・・・・・フレーム
15・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・通風ロカキ
15a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フィルター
203・・・・・・・・・・・・・・・・・・・繋ぎブラケット
204・・・・・・・・・・・・・・・・・・・固定ブラケット
4、5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・軸受
14、214、414、415・・・・・・・・通風ファン
14a、214a、214b、415A・・・・羽根
214c、415C・・・・・・・・・・・・・主板
20・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・熱交換器
203a、211c、204a・・・・・・・・通風路
203b、204b・・・・・・・・・・・・・通風路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ鉄心と
このステ−タ鉄心の内周側に配置されたロータ鉄心と、
前記ステータ鉄心の一端部にブラケット及びベアリングブラケットを介して配設された第一の軸受と、
前記ステータ鉄心の他端部にブラケットとハウジングを介して配設された第二の軸受と、
前記ロータ鉄心が取付けられ且つ前記第一、第ニの軸受で回転自在に支承されたロータシャフトと、
前記ステータ鉄心の外周部に構成された通風路と、
前記ロータシャフトにおける軸受と鉄心との間に嵌着された前記ベアリングブラケット側に放射状の羽根が設けられた通風ファンが鉄心押えまたは鉄心に密着して取付けられ、羽根の内週部の前記ブラケットに開いた開口部から外気をロータシャフトに近い部分まで導入できる通風路とを有し、
該通風ファンの主板と該一端側のブラケット間に微小隙間で回転子側と固定子側が仕切られ、機内と機外を分離できるようにしたことを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【請求項2】
前記請求項1記載の車両用全閉形主電動機において、
他端側のブラケット部にステータ鉄心の外周部に構成された通風路を通らないで、外気を通風させるファンを設けたことを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【請求項3】
通風ファンの羽根と同じ側の機外側に冷却用フィンを取付けたことを特徴とする前記請求項1記載の車両用全閉形主電動機。
【請求項4】
前記請求項1記載の車両用全閉形主電動機において、
前記開口部から流入した冷却風が、前記通風ファンと前記軸受の勘合部周辺を流れるように、前記通風路が構成されていることを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【請求項1】
ステータ鉄心と
このステ−タ鉄心の内周側に配置されたロータ鉄心と、
前記ステータ鉄心の一端部にブラケット及びベアリングブラケットを介して配設された第一の軸受と、
前記ステータ鉄心の他端部にブラケットとハウジングを介して配設された第二の軸受と、
前記ロータ鉄心が取付けられ且つ前記第一、第ニの軸受で回転自在に支承されたロータシャフトと、
前記ステータ鉄心の外周部に構成された通風路と、
前記ロータシャフトにおける軸受と鉄心との間に嵌着された前記ベアリングブラケット側に放射状の羽根が設けられた通風ファンが鉄心押えまたは鉄心に密着して取付けられ、羽根の内週部の前記ブラケットに開いた開口部から外気をロータシャフトに近い部分まで導入できる通風路とを有し、
該通風ファンの主板と該一端側のブラケット間に微小隙間で回転子側と固定子側が仕切られ、機内と機外を分離できるようにしたことを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【請求項2】
前記請求項1記載の車両用全閉形主電動機において、
他端側のブラケット部にステータ鉄心の外周部に構成された通風路を通らないで、外気を通風させるファンを設けたことを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【請求項3】
通風ファンの羽根と同じ側の機外側に冷却用フィンを取付けたことを特徴とする前記請求項1記載の車両用全閉形主電動機。
【請求項4】
前記請求項1記載の車両用全閉形主電動機において、
前記開口部から流入した冷却風が、前記通風ファンと前記軸受の勘合部周辺を流れるように、前記通風路が構成されていることを特徴とする車両用全閉形主電動機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−220417(P2010−220417A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65063(P2009−65063)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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