説明

車両用冷却装置

【課題】 車載のターボチャージャ4及びリアデフ7を効率良く冷却する。
【解決手段】 サイドメンバー1の前端面に走行風導入口8を開口させて、サイドメンバー1内に走行風を導入する。ターボチャージャ4付近のサイドメンバー1の側部に、ターボチャージャ4へ向かう第1エア噴出口10を開口させる。第1エア噴出口10への走行風のガイド板13はバネ14により倒伏可能に支持し、走行風の増大によりガイド板13が倒れて、後方への流量が増大するようにする。そして、リアデフ7付近のサイドメンバー1の側部に、リアデフ7へ向かう第2エア噴出口11を開口させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるターボチャージャ及びリアデフの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体の前面の走行風導入口からサイドメンバー内へ導入した走行風を、夫々同心的な曲面を有する複数個のガイド板によってガイドしてエンジンルーム内へ吹付けるようにしたものが開示されている。
【特許文献1】特開平8−040087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、エンジンルーム内の冷却だけであり、その後方に配置されて発熱量の大きいリアデフの冷却は考慮されていない。
本発明は、このような実状に鑑み、ターボチャージャ及びリアデフを同時に効率良く冷却可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、サイドメンバーの前端面に走行風導入口を開口させて、サイドメンバー内に走行風を導入し、ターボチャージャ付近のサイドメンバーの側部に、ターボチャージャへ向かう第1エア噴出口を開口させると共に、リアデフ付近のサイドメンバーの側部に、リアデフへ向かう第2エア噴出口を開口させる構成とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、高温になっているターボチャージャに効率良く冷却風を当てることができ、ターボチャージャの寿命の向上と周辺部品の熱劣化の低減とを図ることができる。また同時に、車速上昇に伴って発熱量が大きくなるリアデフに冷却風が当たるようになり、リアデフを効果的に冷却できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す車両の概略平面図、図2は車両前方からの斜視図、図3は図2の要部拡大図である。
車体フレームを構成するサイドメンバー1、2は、車両の左右に一対設けられ、それぞれ中空の矩形断面を有して、車両の前後方向に延びている。
【0007】
そして、一対のサイドメンバー1、2の間に、車両前側から、ターボチャージャ(過給機)4付きのエンジン3、トランスミッション5、車両駆動軸6、リアデフ(リア側差動装置)7等が配置される。
ここで、サイドメンバー1の前端面に走行風導入口8を開口させ、サイドメンバー1内に走行風を導入するようにしている。尚、サイドメンバー1の前端面より前側に取付けられるバンパー9にも、同様の開口を設けることは言うまでもない。
【0008】
ターボチャージャ4付近のサイドメンバー1の側部には、斜め後方のターボチャージャ4へ向かう第1エア噴出口10を開口させる。
また、リアデフ7付近のサイドメンバー1の側部には、斜め後方のリアデフ7へ向かう第2エア噴出口11を開口させる。
次に、図4及び図5を参照して、第1エア噴出口10及び第2噴出口11付近の送風ガイド構造について説明する。
【0009】
第1エア噴出口10の付近には、サイドメンバー1の断面を斜めに横断して、サイドメンバー1内の走行風を第1エア噴出口10へ導くガイド板12、13を設ける。
前記ガイド板12、13は、2つに分割して設けられ、一方のガイド板12は固定とする。他方のガイド板13はバネ14により倒伏(傾動)可能に支持して、これに当たる走行風の増大により、この他方のガイド板13が後方へ倒れて(図3→図4)、リアデフ7側への流量が増大するようになっている。
【0010】
第2エア噴出口11の付近には、サイドメンバー1の断面を斜めに横断して、サイドメンバー1内の走行風を第2エア噴出口11へ導く固定のガイド板15を設ける。
尚、ターボチャージャ4とは反対側にあるサイドメンバー2には、リアデフ7へ向かう第2エア噴出口16と、この第2エア噴出口16への固定のガイド板17のみを設けてある(図1参照)。
【0011】
次に作用を説明する。
車両の走行時、走行風がサイドメンバー1の前端の走行風導入口8からサイドメンバー1内に導入され、これをエアダクトとして走行風が流れる。走行風は、固定ガイド板12及び可動ガイド板13により案内されて、第1エア噴出口10より噴出し、ターボチャージャ4に吹付けられる。これにより、ターボチャージャ4を効果的に冷却できる。
【0012】
また、車速が上昇すると、リアデフ7の発熱量が大となるが、車速の上昇に伴う走行風の増大により、バネ14により支持されている可動ガイド板13が倒れる(図5参照)。すると、サイドメンバー1内を流れる走行風が可動ガイド板13を超えて後方へ流れ、固定ガイド板15により案内されて、第2エア噴出口11より噴出し、リアデフ7に吹付けられる。これにより、リアデフ7を効果的に冷却できる。
【0013】
本実施形態によれば、サイドメンバー1の前端面に走行風導入口8を開口させて、サイドメンバー1内に走行風を導入し、ターボチャージャ4付近のサイドメンバー1の側部に、ターボチャージャ4へ向かう第1エア噴出口10を開口させると共に、リアデフ7付近のサイドメンバー1の側部に、リアデフ7へ向かう第2エア噴出口11を開口させたことにより、走行中、高温になっているターボチャージャ4に効率良く冷却風を当てることができ、ターボチャージャ4の寿命の向上と周辺部品の熱劣化の低減とを図ることができる。また同時に、車速上昇に伴って発熱量が大きくなるリアデフ7に冷却風が当たるようになり、リアデフ7を効果的に冷却できる。
【0014】
また、本実施形態によれば、第1エア噴出口10付近にて、サイドメンバー1の断面の少なくとも一部を横断して、サイドメンバー1内の走行風を第1エア噴出口10へ導くガイド板12、13を設けたことにより、第1エア噴出口10へ走行風を的確に案内して、ターボチャージャ4に対する冷却効果を高めることができる。
また、本実施形態によれば、前記ガイド板13をバネ14により倒伏可能に支持して、走行風の増大により、このガイド板13が倒れて、リアデフ13側への流量が増大するように構成したことにより、すなわち、流速に応じてガイド板13が倒れていく仕組みになっていることで、車速が上がるほど、車速上昇に伴って発熱量が大きくなるリアデフ7により多くの冷却風が当たるようになる。また、複雑な制御を行うことなく、ターボチャージャ4とリアデフ7とを同時にかつ効率良く冷却することが可能であり、レイアウト上の自由度も高い。
【0015】
また、本実施形態によれば、第2エア噴出口11付近にて、サイドメンバー1の断面の少なくとも一部(全部)を横断して、サイドメンバー1内の走行風を第2エア噴出口11へ導くガイド板15を設けたことにより、第2エア噴出口11へ走行風を的確に案内して、リアデフ7に対する冷却効果を高めることができる。
尚、ターボチャージャ4、リアデフ7の他、トランスミッション5へ冷却風を導いて、トランスミッション5を冷却するようにしてもよい。また、各エア噴出口に絞りを設けて、噴出流速を調整するようにしてもよい。また、エア噴出口などの穴を開けることで剛性が低下する分、適宜リブ等で補強するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両の概略平面図
【図2】車両前方からの斜視図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】送風ガイド構造の低車速時の断面図
【図5】送風ガイド構造の高車速時の断面図
【符号の説明】
【0017】
1、2 サイドメンバー
3 エンジン
4 ターボチャージャ
5 トランスミッション
6 車両駆動軸
7 リアデフ
8 走行風導入口
9 バンパー
10 第1エア噴出口
11 第2エア噴出口
12 固定ガイド板
13 可動ガイド板
14 バネ
15 固定ガイド板
16 第2エア噴出口
17 固定ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドメンバーの前端面に走行風導入口を開口させて、サイドメンバー内に走行風を導入し、
ターボチャージャ付近のサイドメンバーの側部に、ターボチャージャへ向かう第1エア噴出口を開口させると共に、リアデフ付近のサイドメンバーの側部に、リアデフへ向かう第2エア噴出口を開口させたことを特徴とする車両用冷却装置。
【請求項2】
前記第1エア噴出口付近にて、サイドメンバーの断面の少なくとも一部を横断して、サイドメンバー内の走行風を前記第1エア噴出口へ導くガイド板を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用冷却装置。
【請求項3】
前記ガイド板をバネにより倒伏可能に支持して、走行風の増大により、このガイド板が倒れて、リアデフ側への流量が増大するように構成したことを特徴とする請求項2記載の車両用冷却装置。
【請求項4】
前記ガイド板は、2つに分割して設けられ、一方のガイド板は固定、他方のガイド板はバネにより倒伏可能に支持して、走行風の増大により、この他方のガイド板が倒れて、リアデフ側への流量が増大するように構成したことを特徴とする請求項2記載の車両用冷却装置。
【請求項5】
前記第2エア噴出口付近にて、サイドメンバーの断面の少なくとも一部を横断して、サイドメンバー内の走行風を前記第2エア噴出口へ導くガイド板を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の車両用冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−83861(P2007−83861A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274829(P2005−274829)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】