説明

車両用放熱器の取付構造

【課題】この発明は、インタクーラの車両への搭載作業性を良好にするとともに、インタクーラの後方に配設される放熱器の冷却性能を向上させ、且つ車両の前部に衝撃が加わった際にインタクーラを保護することを目的とする。
【解決手段】この発明は、車両用放熱器の取付構造において、インタクーラをクロスメンバの上面部と隣接する位置に配設される揺動軸を中心に車両前後方向に揺動可能に支持し、インタクーラを車両に取り付ける際、インタクーラの上部を下部バンパメンバと干渉しない位置に退避させるとともに、下部バンパメンバより上方でインタクーラを前傾させ、インタクーラの上部を上部バンパメンバの下方に入り込む状態とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用放熱器の取付構造に係り、特に、インタクーラの車両への搭載作業性を良好にし、インタクーラの後方に配設される他の放熱器の冷却性能を向上させ、前部からの衝撃に対するインタークーラの保護を図った車両用放熱器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両の前部のエンジンルームにエンジンと変速機を搭載し、エンジンの前側であってフロントバンパの後側に、過給機のインタークーラ、空調装置の空調用コンデンサ、エンジンのラジエータ等の車両用放熱器を配設しているものがある。これらインタークーラ、空調用コンデンサ、ラジエータは、エンジンルームに配設したクロスメンバやバンパメンバに取り付けられている。
【0003】
従来の車両用放熱器の取付構造には、図6に示すものがある。図6において、101は車両、102はエンジンルーム、103はエンジン、104は過給機である。車両101のエンジンルーム102の前部には、上側開口部105・下側開口部106を備えたフロントバンパ107を配設している。このフロントバンパ107の裏側には、前部からの衝撃を吸収するため、下側開口部106より低い位置に下部バンパメンバ108を配設し、上下2つの上側開口部105・下側開口部106の間に上部バンパメンバ109を配設している。下部バンパメンバ108の後方に隣接する位置には、クロスメンバ110を配設している。上部バンパメンバ109の裏側には、車両後方に延びるサイドメンバ111を連結している。
前記エンジンルーム102のクロスメンバ110の上面部には、車両101の前側から後側に向かって順に、放熱器であるインタクーラ112と、他の放熱器である空調用コンデンサ113、ラジエータ114を、車両前後方向に重ねた状態で配設している。インタクーラ112は、下側開口部106に合わせた高さに形成されている。空調用コンデンサ113とラジエータ114は、下側開口部106と上側開口部105とに跨る高さに形成されている。ラジエータ114の後側には、ファンシュラウド115を取り付け、ファンモータで駆動される冷却ファン116を設けている。
インタクーラ112と空調用コンデンサ113とラジエータ114は、クロスメンバ110に載せた状態で、車両上下方向に移動させて車両101に搭載する。図6においては、車両101の下方からエンジンルーム102内に移動させて搭載する。車両101に搭載されたインタークーラ112は、下部をクロスメンバ110の上面部にブッシュ117を介してピン118により取り付け、上部をサイドメンバ111の下面部にブラケット119により取り付けている。インタクーラ112の前端と下部バンパメンバ108の後端との間には、搭載時の干渉を防止するために隙間A1を設けている。
【0004】
また、従来の車両用放熱器の取付構造には、図7に示すものがある。なお、図7に示す車両用放熱器の取付構造において、図6と同一の機能を果たす箇所の符合を200番台とすることで図6の説明を参照するものとし、説明を省略する。
図7に示す車両用放熱器の取付構造は、車両201の前部に配設したフロントバンパ207の裏側のクロスメンバ210の上面部に、車両201の前側から後側に向かって順に、放熱器であるインタクーラ212と、他の放熱器である空調用コンデンサ213、ラジエータ214を、車両前後方向に重ねた状態で配設している。これらインタクーラ212と空調用コンデンサ213とラジエータ214は、クロスメンバ210に載せた状態で、車両201の下方からエンジンルーム102内に移動させて搭載する。車両201に搭載されたインタークーラ212は、下部をクロスメンバ210の上面部にブッシュ217を介してピン218により取り付け、上部をサイドメンバ211の下面部にブラケット219により取り付けている。
図7に示す車両用放熱器の取付構造においては、図6に示す車両用放熱器の取付構造のインタクーラ112が車両の上方向に略垂直に延びるように立設して搭載していることに対して、インタクーラ212を車両201の前側に向かい前傾させて搭載している点で、相違するものである。
【0005】
このように、車両用放熱器を傾斜させて車両に搭載した車両用放熱器の取付構造には、エンジンのラジエータの前方にオイルクーラを配設したものにおいて、オイルクーラの上端を下端よりラジエータ側に傾斜(後傾)させて取り付けたものがある。
【特許文献1】実開平3−119525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図6に示す車両用放熱器の取付構造のインタクーラ112は、冷却風を車両101の前後方向に通過させるように配設されていた。このため、図6に示す車両用放熱器の取付構造においては、インタクーラ112を通過した冷却風を上部バンパメンバ109の裏側に導くことができず、空調用コンデンサ113やラジエータ114の冷却性能が低下する問題があった。
また、図6に示す車両用放熱器の取付構造のインタクーラ112は、クロスメンバ110に載せられた状態で下方から車両101に搭載して取り付けられる。そのため、図7に示す車両用放熱器の取付構造のように、インタクーラ212を前傾させて冷却風を上部バンパメンバ109の裏側に導くように風向を変更しようとした場合は、車両201に搭載する際、インタクーラ212の前端と下部バンパメンバ208の後端との間の隙間A2を確保して干渉を防止するため、クロスメンバ210を後側に下げて配設し、下部バンパメンバ208の前端とクロスメンバ210の後端との間の隙間B2を、図6に示す隙間B1よりも大きくする必要が生じた。
このため、図7に示す車両用放熱器の取付構造においては、大きな隙間B2から冷却風が矢印に示すように下方に抜けてしまい、インタクーラ212、空調用コンデンサ213、ラジエータ214等の放熱器の冷却性能が低下する問題があった。
さらに、大きな隙間B2を確保するため、クロスメンバ210を後側に下げて配設した場合には、空調用コンデンサ213やラジエータ214がエンジン203に接近することから、冷却ファン216と過給機204との間の隙間C2が図6に示す隙間C1よりも減少することになる。このため、図7に示す車両用放熱器の取付構造においては、車両201の前部に衝撃が加わった際に、インタクーラ212の後方への移動量が減少して、損傷を招き易くなる問題があった。
【0007】
この発明は、インタクーラの車両への搭載作業性を良好にするとともに、インタクーラの後方に配設される放熱器の冷却性能を向上させ、且つ車両の前部に衝撃が加わった際にインタクーラを保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、車両の前部に上側開口部と下側開口部を備えるフロントバンパを配設し、このフロントバンパの裏側で前記下側開口部より低い位置に車両幅方向に延びる下部バンパメンバを配設し、前記フロントバンパの裏側で前記2つの開口部の間に車両幅方向に延びる上部バンパメンバを配設し、前記下部バンパメンバの後部に隣接するよう車両幅方向に延びるクロスメンバを配設し、このクロスメンバの上面部にインタクーラと他の放熱器を車両前後方向に重ねた状態で配設し、前記インタクーラを下側開口部に合わせた高さに形成するとともに前記他の放熱器を下側開口部と上側開口部とに跨る高さに形成し、前記インタクーラと他の放熱器を前記クロスメンバに載せた状態で車両上下方向に移動させて車両に搭載する車両用放熱器の取付構造において、前記インタクーラをクロスメンバの上面部と隣接する位置に配設される揺動軸を中心に車両前後方向に揺動可能に支持し、前記インタクーラを車両に取り付ける際、インタクーラの上部を下部バンパメンバと干渉しない位置に退避させるとともに、下部バンパメンバより上方でインタクーラを前傾させ、インタクーラの上部を上部バンパメンバの下方に入り込む状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の車両用放熱器の取付構造は、インタクーラをクロスメンバの上面部に隣接する位置に配設される揺動軸を中心に車両前後方向に揺動可能に支持し、インタクーラを車両に取り付ける際、インタクーラの上部を下部バンパメンバと干渉しない位置に退避させたため、インタクーラをクロスメンバから車両前方に突出する場合にも、下部バンパメンバとクロスメンバの間の隙間を拡大せずにインタクーラを車両へ搭載することができる。
そのため、この発明の車両用放熱器の取付構造は、インタクーラの車両への搭載作業性を良好にするとともに下部バンパメンバとクロスメンバの間の隙間から下方に抜ける冷却風を減少させて、インタクーラ及び他の放熱器の冷却効果を高めることができる。
また、この発明の車両用放熱器の取付構造は、下部バンパメンバより上方でインタクーラを前傾させ、インタクーラの上部を上部バンパメンバの下方に入り込む状態としたため、インタクーラを通過する冷却風を上部バンパメンバの後方の空間に導いて、インタクーラの後方に配設された他の放熱器の冷却性能を向上させることができる。
さらに、この発明の車両用放熱器の取付構造は、インタクーラの上部を上部バンパメンバの下方に入り込ませることによって、インタクーラの後方に衝撃吸収空間を確保でき、車両の前部に衝撃が加わった際にインタクーラを保護できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1〜図5は、この発明の実施例を示し、図1は車両のフロントバンパ部分の拡大断面図、図2はインタクーラ上部のブラケット部分の拡大側面図、図3は車両のフロントバンパ部分の斜視図、図4は車両のエンジンルームの平面図、図5は車両のエンジンルームの正面図である。
図4・図5において、1は車両、2はエンジンルーム、3は右前輪、4は左前輪、5はフロントバンパである。車両1のエンジンルーム2の前部には、フロントバンパ5を配設している。フロントバンパ5は、上側開口部6と下側開口部7を備えている。エンジンルーム2には、フロントバンパ5の裏側で下側開口部7より低い位置に車両幅方向に延びる下部バンパメンバ8を配設し、フロントバンパ5の裏側で上下2つの上側開口部6・下側開口部7の間に車両幅方向に延びる上部バンパメンバ9を配設している。下部バンパメンバ8と上部バンパメンバ9は、車両幅方向両端側において右側ステー10と左側ステー11により連結している。
また、エンジンルーム2には、図1に示すように、下部バンパメンバ8の後部に隣接するよう車両幅方向に延びるクロスメンバ12を配設している。上部バンパメンバ9の裏側の車両幅方向両側には、図4に示すように、車両後方に延びる右側サイドメンバ13と左側サイドメンバ14の各先端をそれぞれ連結している。
前記車両1は、図4に示すように、前部のエンジンルーム2にエンジン15を横置きに搭載している。エンジン15の左側には、変速機16を連結している。エンジン15は、図1に示すように、シリンダブロック17の上部にシリンダヘッド18を取り付け、シリンダヘッド18の上部にシリンダヘッドカバー19を取り付け、シリンダブロック17の下部にオイルパン20を取り付けている。
エンジン15は、車両前後方向前側のシリンダヘッド18の側面に排気マニホルド21を取り付け、車両前後方向後側のシリンダヘッド18の側面に吸気マニホルド22を取り付けている。排気マニホルド21には、過給機23を接続している。過給機23には、吐出側にインタクーラインレット配管24を接続している。インタクーラインレット配管24は、インタクーラ25の入口側に接続している。インタクーラ25の出口側には、インタクーラアウトレット配管26を接続している。インタクーラアウトレット配管26は、スロットルボディ27を介して前記吸気マニホルド22に接続している。
前記インタクーラ25は、車両1の正面側から見た場合に車両幅方向に長い四角筒形状のコア部28を設け、このコア部28の車両幅方向右側及び左側に夫々入口側タンク部29及び出口側タンク部30を設けている。入口側タンク部29には、前記インタクーラインレット配管24を接続している。出口側タンク部30には、前記インタクーラアウトレット配管26を接続している。
過給機23は、エアクリーナから取り入れた外気を吸入側から吸入し、圧縮して吐出側のインタクーラインレット配管24に吐出する。吐出された給気は、インタクーラ25において冷却風との熱交換により冷却され、インタクーラアウトレット配管26によりスロットルボディ27を介して吸気マニホルド22に供給され、エンジン15の各気筒に供給される。
【0012】
前記エンジンルーム2のクロスメンバ12の上面部には、図1に示すように、車両1の前側から後側に向かって順に、放熱器である前記インタクーラ25と、他の放熱器である空調装置の空調用コンデンサ31、エンジン15のラジエータ32を、車両前後方向に重ねた状態で配設している。インタクーラ25は、下側開口部7に合わせた高さに形成されている。空調用コンデンサ31とラジエータ32は、下側開口部7と上側開口部6とに跨る高さに形成されている。ラジエータ32の後側には、ファンシュラウド33を取り付け、ファンモータで駆動される冷却ファン34を設けている。
インタクーラ25と空調用コンデンサ31とラジエータ32は、クロスメンバ12に載せた状態で、車両上下方向に移動させて車両1に搭載する。図1においては、インタクーラ25と空調用コンデンサ31とラジエータ32を載せたクロスメンバ12を、車両1の下方からエンジンルーム2内に移動させることで、車両1に搭載する。
前記インタークーラ25には、図1・図3・図5に示すように、コア部28の車両幅方向右側及び左側に夫々設けた入口側タンク部29及び出口側タンク部30の各下部に、それぞれ右側揺動軸35及び左側揺動軸36を車両幅方向右側及び左側に突出するように設けている。前記クロスメンバ12の上面部には、車両幅方向右側及び左側に、右側揺動軸用ブラケット37及び左側揺動軸用ブラケット38を取り付けている。
右側揺動軸35及び左側揺動軸36は、クロスメンバ12の右側揺動軸用ブラケット37及び左側揺動軸用ブラケット38と入口側タンク部29及び出口側タンク部30との間に弾性体の右側揺動軸用ブッシュ39及び左側揺動軸用ブッシュ40を挟んで、右側揺動軸用ブラケット37及び左側揺動軸用ブラケット38に回動可能に軸支している。
これにより、インタクーラ25は、図1に破線及び実線で示すように、下部の右側揺動軸35及び左側揺動軸36を中心に、上部を車両前後方向に揺動可能に支持している。
また、前記インタークーラ25には、図1・図2・図5に示すように、コア部28の車両幅方向右側及び左側に夫々設けた入口側タンク部29及び出口側タンク部30の各上部に、それぞれ右側クーラ用ブラケット41及び左側クーラ用ブラケット42を車両上側に突出するように設けている。右側クーラ用ブラケット41及び左側クーラ用ブラケット42には、右側ピンボルト43及び左側ピンボルト44が締結される。前記上部バンパメンバ9の下面部には、車両幅方向右側及び左側に、右側メンバ用ブラケット45及び左側メンバ用ブラケット46を取り付けている。
上部バンパメンバ9の右側メンバ用ブラケット45及び左側メンバ用ブラケット46には、図2に示すように、弾性体である円筒状の右側ブッシュ47及び左側ブッシュ48を挿通させて保持している。右側ブッシュ47及び左側ブッシュ48の一端には右側クーラ用ブラケット41及び左側クーラ用ブラケット42を当接させる一方、右側ブッシュ47及び左側ブッシュ48の他端には円盤状の右側プレート49及び左側プレート50を当接させる。そして、右側ピンボルト43及び左側ピンボルト44を、右側プレート49及び左側プレート50に形成した孔部と、右側ブッシュ47及び左側ブッシュ48に形成した孔部とを貫通して、右側クーラ用ブラケット41及び左側クーラ用ブラケット42のネジ孔に締結している。
これにより、インタクーラ25は、図1に実線で示すように、上部を上部バンパメンバ9の下方に入り込んだ状態で取り付けることができる。
【0013】
このように、この車両用放熱器の取付構造は、インタクーラ25をクロスメンバ12の上面部に隣接する位置に配設される右側揺動軸35及び左側揺動軸36を中心に車両前後方向に揺動可能に支持し、インタクーラ25を車両1に取り付ける際、インタクーラ25の前端と下部バンパメンバ8の後端との間に搭載時の干渉を防止するための隙間A3を設けるように、インタクーラ25の上部を下部バンパメンバ8と干渉しない位置(図1に破線で示す)に退避させている。これにより、この車両用放熱器の取付構造は、取付後においてインタクーラ25をクロスメンバ12から車両前方に突出する場合にも、下部バンパメンバ8の後端とクロスメンバ12の前端との間の隙間B3を拡大せずにインタクーラ25を車両1へ搭載することができる。
そのため、この車両用放熱器の取付構造は、インタクーラ25の車両1への搭載作業性を良好にするとともに下部バンパメンバ8とクロスメンバ12の間の隙間B3から下方に抜ける冷却風を減少させて、インタクーラ25及び他の放熱器である空調用コンデンサ31とラジエータ32の冷却効果を高めることができる。
また、この車両用放熱器の取付構造は、図1に示すように、取付後において下部バンパメンバ8より上方でインタクーラ25を前傾させ、インタクーラ25の上部を上部バンパメンバ9の下方に入り込む状態としたため、インタクーラ25を通過する冷却風を上部バンパメンバ9の後方の空間に導いて、インタクーラ25の後方に配設された他の放熱器である空調用コンデンサ31とラジエータ32の冷却性能を向上させることができる。
しかも、この車両用放熱器の取付構造は、図1に実線で示すように、取付後においてインタクーラ25を前傾させて上部を上部バンパメンバ9の下方に入り込む状態としているので、インタクーラ25の前影投影面積D3が従来の図6に示すインタクーラの前影投影面積D1と同じ面積であっても、インタクーラ25のコア部28を図1に斜線で示す領域だけ拡大することができ、冷却性能を向上させることができる。
さらに、この車両用放熱器の取付構造は、インタクーラ25の上部を上部バンパメンバ9の下方に入り込ませることによって、前傾したインタクーラ25の後方に衝撃吸収空間Sを確保でき、車両1の前部に衝撃が加わった際にインタクーラ25の後方移動を可能として衝撃から保護することができる。
さらにまた、この車両用放熱器の取付構造は、下部バンパメンバ8の後端とクロスメンバ12の前端との間の隙間B3を拡大せずにインタクーラ25を車両1へ搭載することができるため、図1に示すように、冷却ファン34と過給機23との間の隙間C3の減少を防止することができる。従来の図7に示すクロスメンバ210を後側に下げて配設した場合のように、空調用コンデンサ213やラジエータ214がエンジン203に接近することがない。このため、この車両用放熱器の取付構造は、車両1の前部に衝撃が加わった際に、インタクーラ25の後方への移動量の減少を防止して、損傷から保護することができる。
また、この車両用放熱器の取付構造は、インタクーラ25の上部を弾性体である右側ブッシュ47及び左側ブッシュ48を介して上部バンパメンバ9に支持しているので、剛性が高く振動し難い上部バンパメンバ9にインタクーラ25を支持でき、車体1への振動伝達を抑制することができる。また、この車両用放熱器の取付構造は、インタクーラ25と上部バンパメンバ9の間の位置ずれを、弾性体である右側ブッシュ47及び左側ブッシュ48で吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
この発明の車両用放熱器の取付構造は、インタクーラの車両への搭載作業性を良好にし、インタクーラの後方に配設される他の放熱器の冷却性能を向上させ、前部からの衝撃に対するインタークーラの保護を図ることがたできるものであり、過給機を備えたエンジンを搭載した車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例を示す車両のフロントバンパ部分の拡大断面図である。
【図2】実施例を示す車両のインタクーラの上部のブラケット部分の拡大側面図である。
【図3】実施例を示す車両のフロントバンパ部分の斜視図である。
【図4】実施例を示す車両のエンジンルームの平面図である。
【図5】実施例を示す車両のエンジンルームの正面図である。
【図6】従来例を示す車両のフロントバンパ部分の拡大断面図である。
【図7】他の従来例を示す車両のフロントバンパ部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 車両
2 エンジンルーム
5 フロントバンパ
6 上側開口部
7 下側開口部
8 下部バンパメンバ
9 上部バンパメンバ
12 クロスメンバ
13 右側サイドメンバ
14 左側サイドメンバ
15 エンジン
21 排気マニホルド
23 過給機
25 インタクーラ
31 空調用コンデンサ
32 ラジエータ
35 右側揺動軸
36 左側揺動軸
37 右側揺動軸用ブラケット
38 左側揺動軸用ブラケット
39 右側揺動軸用ブッシュ
40 左側揺動軸用ブッシュ
41 右側クーラ用ブラケット
42 左側クーラ用ブラケット
43 右側ピンボルト
44 左側ピンボルト
45 右側メンバ用ブラケット
46 左側メンバ用ブラケット
47 右側ブッシュ
48 左側ブッシュ
49 右側プレート
50 左側プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に上側開口部と下側開口部を備えるフロントバンパを配設し、このフロントバンパの裏側で前記下側開口部より低い位置に車両幅方向に延びる下部バンパメンバを配設し、前記フロントバンパの裏側で前記2つの開口部の間に車両幅方向に延びる上部バンパメンバを配設し、前記下部バンパメンバの後部に隣接するよう車両幅方向に延びるクロスメンバを配設し、このクロスメンバの上面部にインタクーラと他の放熱器を車両前後方向に重ねた状態で配設し、前記インタクーラを下側開口部に合わせた高さに形成するとともに前記他の放熱器を下側開口部と上側開口部とに跨る高さに形成し、前記インタクーラと他の放熱器を前記クロスメンバに載せた状態で車両上下方向に移動させて車両に搭載する車両用放熱器の取付構造において、前記インタクーラをクロスメンバの上面部と隣接する位置に配設される揺動軸を中心に車両前後方向に揺動可能に支持し、前記インタクーラを車両に取り付ける際、インタクーラの上部を下部バンパメンバと干渉しない位置に退避させるとともに、下部バンパメンバより上方でインタクーラを前傾させ、インタクーラの上部を上部バンパメンバの下方に入り込む状態とすることを特徴とする車両用放熱器の取付構造。
【請求項2】
前記インタクーラの上部を弾性体を介して前記上部バンパメンバに支持することを特徴とする請求項1に記載の車両用放熱器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−248624(P2009−248624A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95899(P2008−95899)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】