説明

車両用機能ユニットの固定装置

少なくとも1つの機能ユニットと車両との間に、1部品から成るキャリア部を備えている機能ユニットの固定装置を提供する。
【課題】
1部品から成るキャリア部を備えている本発明の装置により、統合型のオーバーヘッドモジュールを、比較的に容易に製造できるようにし、かつこのモジュールの型式数を増加させることなく、種々の車両型式に簡単な態様で使用しうるようにする。
【解決手段】
キャリア(4)が一体部品として形成し、その車両に面する側に、各車両に特有の機械的な接続部を、また反対側の車内に面する側に、少なくとも1つの機能ユニットに適用される機械的な接続部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる車両用オーバーヘッドモジュール内のセンサ類、駆動用機器、および/または表示機器などの、車両用機能ユニットの固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1により、自動車の運転者や乗員の可視範囲または操作範囲内の自動車の天井ライニング部に、キャリアが配置されていることは公知である。このキャリアには、機械部品と電子受信部品、および/または接続部品が設けられており、この接続部品により、スイッチ類または表示装置のような個々の機能ユニットが、機械的かつ電気的に接続されている。この公知の構成においては、それぞれ120度毎にオフセットされている3つの領域が設けられており、受信部品および/または接続部品とともに、内部に機能ユニットが設置される収納凹部となっている。
【0003】
更に、この先行文献により、キャリアに、自動車の車体に接続される固定部と、前述の収納凹部を備えている支持部が形成されていることが公知となっている。この支持部は、キャリアの突出部の横軸に枢動可能に固定部と結合されており、かつキャリア全体は、天井ライニング部に固定されており、場合により、自動車の組立工程において、発泡体に囲まれて、天井ライニング部とともに製造される。
【0004】
更に、特許文献2により、オーバーヘッドモジュールが、機能ユニット装置として,自動車の天井ライニング部に取り付けられ、適当なセンサ類を使用して、外部の出来事を検知することは公知となっている。この場合、例えば、雨滴センサまたはカメラが、車両のフロントガラスの領域に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ国特許DE10044738号公報
【特許文献2】ドイツ国公開実用新案DE202004020891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少なくとも1つの機能ユニットと車両との間に配置されているキャリアを備える機能ユニットの固定装置に関するものである。本発明によると、キャリアは、特に簡単な態様で,一体部品として設計されており、車両に面する側に、各車両に特有の、車両との機械的な接続部を備え、かつ、反対側の室内に面する側に、少なくとも1つの機能ユニットに適用しうる機械的な接続部を備えている。
【0007】
オーバーヘッドモジュールは、車体からフロントガラスへの移行領域のほぼ中央に、固定手段により取り付けられていることが好ましい。また、オーバーヘッドモジュールは、機械的な天井接合体または車両接合体として、一体部品であるキャリアにより、車体のカウルまたはクロス部材と接続されているのが好ましい。
【0008】
従来、車両にオーバーヘッドモジュールを固定するために、例えば、各車両ごとに専用の取り付け具で天井ライニング部に弾性的に留めることが、普通に行われていた。また、冒頭の先行技術で述べたように、車両への支持部品と、オーバーヘッドモジュールに対する固定部品とから成る複雑で特別な組み合わせにより行われていた。従って、これらの場合、種々の車両用として、異なるオーバーヘッドモジュール、または相当に複雑な組み合わせのための部品を、各場合に応じて、固定用に製造しなければならなかった。
【0009】
しかし、このような装置において、機能統合の増加につれて、複雑な
オーバーヘッドモジュールが増加し、そのオーバーヘッドモジュールに見合うか、または種々の型式の車軸の増加に伴う、非常に高価な装置が製造されている。一体部品から成るキャリアを備えている本発明の装置によると、統合型のオーバーヘッドモジュールを、比較的容易に製造できるので、このオーバーヘッドモジュールは、異なる型式のモジュールの数を増加させることなく、種々の型式の車両に簡単な態様で使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、キャリアは、例えばフロントガラスと車体および/または車体の天井部との接続部で、カウルおよび/またはクロス部材と、簡単な態様で機械的に接続されている。従って、このキャリアにより、オーバーヘッドモジュールは、例えばカウルに、簡単な態様により、すなわち、ねじ止めされるか、掛けがねを掛けられるかにより固定されているので、種々の型式の車両に、同じオーバーヘッドモジュールを使用することができる。この場合、本発明により設計されたキャリアのアダプター機能を使用することにより、カウルとオーバーヘッドモジュールの下側の異なる間隔、形状、および固定部品を、容易に補うことができる。
【発明の効果】
【0011】
上述のオーバーヘッドモジュールが、機能とサブアセンブリの増加により、大型化し、かつ機械的により一層複雑化した時でさえ、本発明のキャリアの容易に適合しうるという簡単な特性を利用することにより、オーバーヘッドモジュールを特に堅固な態様で固定することができる。本発明のキャリアを備えていると、堅固な固定が容易に行われるので、大型で複雑なオーバーヘッドモジュールを、隙間なく、低振動で、恒久的に固定することができる。
【0012】
キャリアの比較的簡単に実施できる形状または材料を改良して、オーバーヘッドモジュールの強化が達成されており、かつこのオーバーヘッドモジュール自身が強度を有するため、簡単に設計することができ、そのため、比較的複雑な構造であるにも拘らず、コストを節約できる。
【0013】
本発明の特に有利な実施例によると,一体部品であるキャリアには、少なくとも1つの機能ユニットとの接続領域から、別の機能ユニットを取り付けるための突出部が設けられている。この拡張部を、例えばフロントガラスの領域に突出させ、これに、例えばバックミラーを支持させておくと有利である。
【0014】
従来、バックミラーは、例えばフロントガラスに接着して固着するか、または、天井ライニングあるいはオーバーヘッドモジュールに、直接に、あるいは場合により中間部品を介して固定されていた。そのため、時として、組み立てが非常に複雑となり、かつ希望するような長期に亘って、堅牢さを維持することはできなかった。しかし、本発明におけるキャリアは、拡張部とともに直接フロントガラスと接合することなく、例えば、車両のカウルまたはクロス部材との機械的に堅牢な接合体として形成されている。
【0015】
この場合においてもまた、カウルに対してと同様に、バックミラーとキャリアとをネジ止め、または掛けがね止めすることにより、本発明のキャリアは、構造上の複雑さを伴うことなく、簡単な態様で充分な強度を備えている。さらに、フロントガラスへ接着するという複雑な工程を省略できるので、修理工場で修理する場合に、フロントガラスを取り替えることなく、バックミラーを容易に取り替えることもできる。
【0016】
更に有益な構成として、前述のキャリア突出部に、センサを取付けることもある。このセンサとしては、例えば、内側からフロントガラスに面する雨滴センサのような光学センサが好ましい。この一体部品からなるキャリアの突出部上における雨滴センサは、バネで付勢された位置決め具を使用して、予備的組み立て位置から、フロントガラスに機械的に接触する終端位置に、簡単に移動させることができる。又、従来、この雨滴センサは、フロントガラスに、例えば接着により直接固定されていたのに対して、この実施例には、バックミラーの修理の場合の容易な置き換え性と同様に、簡単な操作と大いなる堅牢さを示せる有利さがある。
【0017】
本発明の実施例を、添付図面を基いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】車両のオーバーヘッドモジュール内に機能ユニットを備えている装置と、本発明におけるキャリアを示す図である。
【図2】車両のカウルにネジ止めされているキャリアの詳細を、図1の一側方から見て示す図である。
【図3】キャリアの突出部に取り付けられているバックミラーと、キャリアによりカウルに組み立てられたオーバーヘッドモジュールを示す図である。
【図4】キャリアの突出部に取り付けられている雨滴センサの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
図1は、車体2のフロントガラス1の領域の詳細断面図である。この場合の車体2の構成部材は、断面で示してあるカウル(またはクロス部材)3である。各車両に特有の接続部で、機械的な天井接合体または車両接合体としての一体部品から成るキャリア4が、車両上部のカウル3に取り付けられている。
【0020】
図1に示すようにキャリア4の下側には、機能ユニットとしてのオーバーヘッドモジュール5用の接続部が設けられている。この場合、オーバーヘッドモジュール5は、基本的な接続具により支持されている。オーバーヘッドモジュール5には、ここでは詳細な説明は省略するが、車両の乗員により操作されたり、観察されたりする公知の操作機器類や表示機器類が設けられている。更に、キャリア4の突出部6には、室内用バックミラー8が調節支持具7により取付けられている。この支持具7は、例えば、キャリア4の突出部6に、ネジ止めまたは掛けがね式に固定されている。
【0021】
図2に詳細に示すように、キャリア4は、例えばネジ止めのような接続具により、車両に特有の取付点9でカウル3に支持されている。オーバーヘッドモジュール5用の特別の接続部10があり、オーバーヘッドモジュール5とバックミラー8は、突出部6に固定されている(図1参照)。
【0022】
図3には、前述の装置が、違う視点から示されており、カウル3が車体を通して上方から示され、その下部にキャリア4が支持されている。オーバーヘッドモジュール5が下方に見え、またバックミラー8が、キャリア4の突出部6にどのように支持されているかも示されている。
【0023】
図3にはまた、オーバーヘッドモジュール5から延びているハウジング11内に、例えばフロントガラス1に面する雨滴センサ12のような更なるセンサ類が、どのように支持されているかが示されている。
【0024】
前述した各図により、更なる機能類の統合またはそれに匹敵する装置類により複雑化しているオーバーヘッドモジュール5が、単一部品であるキャリア4により、異なる車型、および/またはカウル3に、どのように適合されているかが明らかに分かる。
【0025】
図3および、図4により、雨滴センサ12をフロントガラスの領域内に取り付けるために、どのようにキャリア4の突出部6が設計されているかが分かると思う。図4に示す雨滴センサ12は、バネで付勢された位置決め具13を使用して、予備的組み立て位置から、図1のフロントガラス1に機械的に接触する終端位置へ移動させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 フロントガラス
2 車体
3 カウル(クロス部材)
4 キャリア
5 オーバーヘッドモジュール
6 突出部
7 調節支持具
8 室内用バックミラー
9 取付点
10 接続部
11 ハウジング
12 雨滴センサ
13 位置決め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの機能ユニットと車両との間に位置するキャリアを備えてなる車両用機能ユニットの固定装置において、キャリア(4)は一体部品として形成され、車両に面する側に、各車両に特有の機械的な接続部と、反対側の車内に面する側に、少なくとも1つの機能ユニットに適用される機械的な接続部とを有することを特徴とする車両用機能ユニットの固定装置。
【請求項2】
オーバーヘッドモジュール(5)は、車体(2)から窓、好ましくはフロントガラス(1)への移行領域のほぼ中央に、固定手段により取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の固定装置。
【請求項3】
オーバーヘッドモジュール(5)は、機械的な天井接合体または車両接合体として、一体部品から成るキャリア(4)により、車体(2)のカウル(3)またはクロス部材と接続されていることを特徴とする請求項2に記載の固定装置。
【請求項4】
一体部品から成るキャリア(4)は、少なくとも1つの機能ユニットとの接続領域から突出している突出部(6)を備えており、かつ前記突出部(6)に、更なる機能ユニットが取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項5】
突出部(6)は、窓の領域、好ましくはフロントガラス(1)の領域に突出していることを特徴とする請求項4に記載の固定装置。
【請求項6】
突出部(6)に、バックミラー(8)が支持されていることを特徴とする請求項4または5に記載の固定装置。
【請求項7】
突出部(6)には、内側からガラスに面するセンサ、好ましくは光学センサが取付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の固定装置。
【請求項8】
センサは雨滴センサ(12)であることを特徴とする請求項7に記載の固定装置。
【請求項9】
1部品から成るキャリア(4)の突出部(6)上のセンサが、バネで留められた位置決め具(13)を使用して、予備的組み立て位置から、ガラスと機械的に接触する終端位置に、移動させることができるようになっていることを特徴とする請求項7または8に記載の固定装置。
【請求項10】
キャリア(4)と、車両および/または機能ユニットとの接続が、ネジ止め式に行われていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項11】
キャリア(4)と、車両および/または機能ユニットとの接続が、掛けがね止め式に行われていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−526700(P2010−526700A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506856(P2010−506856)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003728
【国際公開番号】WO2008/138550
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(508108903)ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (22)
【Fターム(参考)】