説明

車両用表示装置

【課題】運転者が視点を変化させた場合に、適切な画像を表示することができる車両用表示装置を提供すること。
【解決手段】車両用表示装置は、車両周辺の所定領域A1、A2の画像を撮像する撮像手段20と、車室内に設けられ、撮像手段20により撮像された画像を表示する表示手段40と、運転者の頭部Hの位置変化を検出する位置変化検出手段12と、位置変化に応じて、表示手段40の表示画像に写る車両周辺の所定領域B1、B2を変更する領域変更手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の所定領域の画像を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両の外部には車両左後方、車両右後方の状況を映し出す左右のサイドミラーが設置され、車室内には車両後方の状況を映し出すルームミラーが設置されている。運転者は、ミラーに映る景色で車両周辺の状況を確認しながら、運転操作を行っている。
【0003】
従来、サイドミラーの代替として、車両左後方、車両右後方の所定領域の画像を表示する車両用表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。上記特許文献1記載の車両用表示装置は、車両の外部に設置されるサイドミラーを廃して、風切り音の低減を図るものである。
【0004】
また、上記特許文献1記載の車両用表示装置は、運転者がカメラの撮像方向を上下左右に調節できるモータを備えるので、運転者がカメラの撮像方向を最適角度に設定することができる。よって、表示画面に映し出される車両周辺の領域を最適化することができる。
【特許文献1】特開平7−223487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の車両用表示装置は、ミラーと異なり、運転者が視点を変化させた場合に、表示画面に映し出される車両周辺の領域が変化しないので、適切な画像を表示することができない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、運転者が視点を変化させた場合に、適切な画像を表示することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の車両用表示装置は、
車両周辺の所定領域の画像を撮像する撮像手段と、
車室内に設けられ、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、
運転者の頭部の位置変化を検出する位置変化検出手段と、
前記位置変化に応じて、前記表示手段の表示画像に写る車両周辺の所定領域を変更する領域変更手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者が視点を変化させた場合に、適切な画像を表示することができる車両用表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。尚、各図中、矢印UPは車両上方向、矢印FRは車両前方向、矢印Lは車両左方向、矢印方向Rは車両右方向を示す。尚、各図中、符号の添字a、bは位置を示す。添字aは左側、添字bは右側を意味する。以下の説明において、位置を区別しない場合は、添字a、bを省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例の車両用表示装置の車両搭載状態を示す平面図である。車両用表示装置は、車両周辺の所定領域の画像を表示する装置であって、サイドミラーの代替として機能する装置である。
【0011】
尚、本実施例の車両用表示装置は、サイドミラーの代替として機能する装置であるとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両用表示装置は、ルームミラーの代替として機能する装置であってもよい。
【0012】
車両用表示装置は、電子制御ユニット(以下、「運転支援ECU」という)10を中心に構成される。運転支援ECU10は、マイクロコンピュータによって構成され、例えば、CPU、制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、時間を計測するタイマ、演算等の処理の回数を計測するカウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。
【0013】
運転支援ECU10には、CANやLIN等の車内ネットワークを介して、周辺撮像手段(請求項1記載の撮像手段に相当)20、可変機構30、表示手段40、情報入力手段50、及び顔撮像手段60が接続されている。
【0014】
周辺撮像手段20は、車両周辺の所定領域A1、A2の画像を撮像する手段である。周辺撮像手段20は、例えばCMOSカメラやCCDカメラ等の撮像素子を含み構成される。また、周辺撮像手段20は、広角撮像が可能な魚眼カメラ、夜間の撮像が可能な赤外線カメラ等であってもよい。
【0015】
周辺撮像手段20は、入射した可視光や赤外光を光電変換し、蓄積した電荷を電圧として読み出した後増幅してA/D変換を施し、所定の輝度階調(例えば、256階調)のデジタル画像に変換する。周辺撮像手段20は、デジタル画像を所定時間毎に運転支援ECU10へ出力する。
【0016】
周辺撮像手段20は、車両左後方、車両右後方を撮像するように、後方に向けて設置される。例えば、周辺撮像手段20は、運転者の左前方及び右前方に1つずつ後方に向けて設置される。より詳しくは、周辺撮像手段20は、フロントウインド2(図2参照)を支持する左右のフロントピラー4a、4b(図2参照)の下端付近であって、左右のフロントドアの外部に1つずつ後方に向けて設置される。従って、左右の周辺撮像手段20a、20bにより撮像される画像は、それぞれ、対応する左右のサイドミラーから見た景色に相当する画像と略同一となる。尚、本実施例の説明において、サイドミラー(及びルームミラー)は仮想的に設置されたものである。
【0017】
仮に、撮像される画像がサイドミラーから見た景色に相当する画像と略同一とならない場合、車両用表示装置は、撮像された画像を座標変換等して、画像の視点を変更する必要がある。
【0018】
一方で、本実施例では、撮像される画像がサイドミラーから見た景色に相当する画像と略同一となるので、本実施例の車両用表示装置は撮像された画像を座標変換等して画像の視点を変更する必要がない。よって、処理速度を向上することができる。
【0019】
尚、車両用表示装置がルームミラーの代替として機能する場合、周辺撮像手段20は、車両後方を撮像するように、後方に向けて設置される。例えば、周辺撮像手段20は、運転者の上前方又は車両後部に後方に向けて設置される。従って、撮像される画像がルームミラーから見た景色に相当する画像と略同一となるので、車両用表示装置は撮像された画像を座標変換等して画像の視点を変更する必要がない。よって、処理速度を向上することができる。
【0020】
可変機構30は、周辺撮像手段20毎に設置され、周辺撮像手段20の撮像領域A1、A2を可変とする機構である。例えば、可変機構30は、撮像方向を上下左右に可変とするギヤ機構及びギヤ機構を駆動するモータ、並びに画角α1、α2を可変とする光学ズーム機構を含み構成される。可変機構30は、運転支援ECU10によって制御される。
【0021】
表示手段40は、車室内に設けられ、周辺撮像手段20により撮像された画像を表示する手段である。表示手段40は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成され、運転支援ECU10によって制御される。
【0022】
図2は、運転者から見た、表示手段40の車両搭載状態例を示す図である。表示手段40は、運転者から視認可能な位置に設けられる。図2に示す例では、表示手段40は、左右のサイドミラーの代替として、運転者の左前方及び右前方の車室内に1つずつ運転者に向けて設置される。より詳しくは、表示手段40は、フロントウインド2を支持する左右のフロントピラー4a、4bの下端付近であって、車室内のインストルメントパネル6の左右端に1つずつ運転者に向けて設置される。左右の表示手段40a、40bは、それぞれ、対応する左右の周辺撮像手段20a、20bにより撮像された画像を表示する。
【0023】
表示手段40を車室内に設置するので、サイドミラーを車両の外部に設置する場合と比較して、走行風による風切り音を抑制することができる。また、表示手段40を車室内に設置するので、車外からの水滴や埃等の付着を防止することができ、運転者が確実に車両の左右後方を確認することができる。
【0024】
表示手段40は、周辺撮像手段20により撮像された画像を左右反転して表示する。
【0025】
図3は、画像の左右反転処理例の説明図である。図3(a)は、右側の周辺撮像手段20bにより撮像された画像である。右側の周辺撮像手段20bにより撮像された画像は、上述の如く、右側のサイドミラーから見た景色に相当する画像となっている。図3(a)に示す例では、画像中の右側に、右フロントドア8bが写っている。
【0026】
図3(b)は、図3(a)を左右反転処理した画像である。左右反転処理した画像中の左側に、右フロントドア8bが写っている。
【0027】
図3に示すように、サイドミラーから見た景色に相当する画像を、左右反転処理して表示することで、サイドミラーに映る景色に相当する画像を表示することができる。
【0028】
表示手段40の表示画面に映し出される車両周辺の所定領域B1、B2は、図1に示すように、それぞれ、対応する左右の周辺撮像手段20a、20bの撮像領域A1、A2に含まれている。
【0029】
所定領域B1、B2の広がり角β1、β2は、それぞれ、左右の表示手段40a、40bの表示画面の大きさを考慮して適宜設定されてよい。所定領域B1、B2の広がり角β1、β2が小さ過ぎると、表示画像に含まれる情報が少なくなる。一方、所定領域B1、B2の広がり角β1、β2が大き過ぎると、表示画像に含まれる対象物が小さくなるので、視認困難となる。
【0030】
尚、車両用表示装置がルームミラーの代替として機能する場合、表示手段40は、運転者の上前方に運転者に向けて設置される。より詳しくは、表示手段40は、運転席と助手席との間の天井から吊持され、運転者に向けて設置される。この場合も、表示手段40は、周辺撮像手段20により撮像された画像を左右反転して表示する。左右反転することで、ルームミラーに映る景色に相当する画像を表示することができる。
【0031】
情報入力手段50は、運転者からの入力を受け付ける手段である。情報入力手段50は、周知の構成であってよい。例えば、情報入力手段50は、タッチパネルで構成され、タッチパネル上での入力操作に応じた入力信号を運転支援ECU10へ出力する。運転支援ECU10は、入力信号に応じた機能を実現させるように、表示手段40の表示画像に写る車両周辺の所定領域B1、B2を変更する。所定領域B1、B2の変更方法の詳細については、後述する。
【0032】
図4は、情報入力手段50に表示される操作メニュー画像の一例を示す模式図である。操作メニュー画像は、タッチパネルに対する操作で実現される各種機能(操作対象となる左右の表示手段40a、40bの切り替え機能を含む)を、操作者に知らせると共に、当該各種機能を実現するために操作されるべき各操作スイッチの位置を、操作者に知らせる役割を果たす。
【0033】
図4に示す例では、操作メニュー画像は、5つの操作スイッチを模した図形画像F1−F5を含む。この操作メニュー画像を見る運転者は、図形画像F1−F4の位置及び形状、並びに図形画像F5内の文字を見ることで、各操作スイッチを操作して実現できる機能を知ることができる。例えば、運転者が所定領域B1、B2を右方向Rに移動させたいと思った場合、運転者は、右側の図形画像F1に対応する位置にある操作スイッチを押せばよいことを理解することができる。また、運転者が操作対象となる左右の表示手段40a、40bの切り替えを行いたいと思った場合、運転者は、図形画像F5に対応する位置にある操作スイッチを押せばよいことを理解することができる。
【0034】
尚、本実施例の情報入力手段50は、タッチパネルで構成され、運転者の入力操作に応じた操作信号を運転支援ECU10へ出力するとしたが、運転者の音声入力に応じた入力信号を運転支援ECU10へ出力しても良い。運転支援ECU10は、入力信号に応じた機能を実現させるように、表示手段40の表示画像に写る車両周辺の所定領域B1、B2を変更する。
【0035】
顔撮像手段60は、運転者の顔を撮像する手段である。顔撮像手段60は、周辺撮像手段20と同様に、CMOSカメラやCCDカメラ等の撮像素子を含み構成される。顔撮像手段60は、例えば、フロントウインド2付近の運転席の天井から吊持されてもよいし、表示手段40の近傍に設置されてもよい。
【0036】
顔撮像手段60は、運転者の顔のデジタル画像(以下、「顔画像」という)を所定時間毎に撮像する。顔撮像手段60は、撮像した顔画像を運転支援ECU10に出力する。
【0037】
図5は、運転支援ECU10の主要機能を示すブロック図である。図5に示すように、運転支援ECU10は、位置変化検出手段12、及び領域変更手段14を備える。運転支援ECU10は、各種手段12、14に対応するプログラムをROM等のメモリに格納して、それらプログラムの処理をCPUに実行させて各種手段12、14を実現する。各種手段12、14の詳細については、後述する。
【0038】
位置変化検出手段12は、運転者の頭部Hの位置変化を検出する手段である。例えば、位置変化検出手段12は、運転者の頭部Hの上下左右の位置変化を検出する。位置変化検出手段12は、顔撮像手段60によって所定時間毎に撮像される顔画像を順次画像処理し、顔画像における頭部Hの位置を順次検出して、自車両を基準とする座標系における頭部Hの上下左右の位置変化を検出する。
【0039】
例えば、順次撮像される顔画像の差分演算や、顔の標準画像データを使用したパターンマッチング、カラーの顔画像を用いて肌色の領域を検出する方法等が用いられる。
【0040】
尚、運転者の頭部Hの位置変化の検出方法は、上述した方法に限られるものではなく、眼、鼻、口等の頭部Hにおける特徴点の位置変化を検出してもよい。例えば、眼の位置変化を検出する場合、眼の標準画像データを使用したパターンマッチング、カラーの顔画像を用いて黒い瞳孔の領域を検出する方法等が用いられる。
【0041】
領域変更手段14は、位置変化検出手段12により検出された頭部Hの位置変化に応じて、表示手段40の表示画像に写る車両周辺の所定領域B1、B2を変更する手段である。言い換えると、領域変更手段14は、位置変化検出手段12により検出された頭部Hの位置変化に応じて、表示手段40の表示画面に映し出される車両周辺の所定領域B1、B2を変更する手段である。
【0042】
所定領域B1、B2の変更方法は、周辺撮像手段20の撮像領域A1、A2を変更する方法や、周辺撮像手段20により撮像された画像を加工する方法がある。前者の場合、領域変更手段14は、可変機構30を制御して周辺撮像手段20の撮像方向や画角αを変更することで、所定領域B1、B2の変更を機械的(光学的)に行う。また、後者の場合、領域変更手段14は、周辺撮像手段20により撮像された画像を加工して、所定領域B1、B2の変更を電子的に行う。このように、所定領域B1、B2の変更方法は、機械的な方法であってもよいし、電子的な方法であってもよく、種類ないし方式に制限はない。
【0043】
車両用表示装置は、運転者の頭部Hの位置変化に応じて、表示手段40の表示画像に写る車両周辺の所定領域B1、B2を変更するので、運転者が視点を変化させた場合であっても、適切な画像を表示することができる。
【0044】
領域変更手段14は、運転者の頭部Hの変位方向と逆向きに、所定領域B1、B2を変更する。例えば、領域変更手段14は、運転者の頭部Hの変位方向と上下左右逆向きに、所定領域B1、B2を移動する。
【0045】
図1に示す例では、運転者の頭部Hの変位方向が車両右方向Rであるので、所定領域B1、B2をそれぞれ車両左方向Lに移動している。言い換えると、左側の表示手段40aから見て、運転者の頭部Hの変位方向と左右逆向きに、左側の表示手段40aの表示画像に写る所定領域B1を移動している。また、右側の表示手段40bから見て、運転者の頭部Hの変位方向と左右逆向きに、右側の表示手段40bの表示画像に写る所定領域B2を移動している。
【0046】
車両用表示装置は、運転者の頭部Hの変位方向と逆向きに所定領域B1、B2を移動するので、運転者が視点を変化させた場合であっても、表示手段40がミラーの代替として機能することができる。
【0047】
領域変更手段14は、運転者の頭部Hの基準位置からの変位量に応じて、所定領域B1、B2を変更する。運転者の頭部Hの基準位置は、ROM等の記録媒体に予め登録された位置であってもよいし、情報入力手段50からの入力信号に応じて所定領域B1、B2を変更した際の運転者の頭部Hの位置であってもよい。
【0048】
運転者の頭部Hの変位量と所定領域B1、B2の変更量との関係は、例えば、運転者の頭部Hの位置が変化したときのサイドミラーに映る景色の変化と略同一となるように設定される。
【0049】
また、運転者の頭部Hの変位量と所定領域B1、B2の変更量との関係は、例えば、運転者の頭部Hの位置が変化したときのサイドミラーに映る景色の変化より大きくなるように設定されてもよい。この場合、運転者は、比較的小さな身動きによって表示手段40の表示画像で車両周辺の所望の領域の状況を確認することができる。
【0050】
また、領域変更手段14は、運転者の頭部Hの基準位置からの変位量が所定値以下の場合、所定領域B1、B2の変更を制限又は禁止してもよい。運転者の顔の動きが微小であるとき、表示手段40の表示画像に写る車両周辺の景色の変化が制限又は禁止されるので、表示画像を見る運転者の眼の疲労を低減することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施例の車両用表示装置によれば、運転者の頭部Hの位置変化に応じて、表示手段40の表示画像に写る車両周辺の所定領域B1、B2を変更するので、運転者が視点を変化させた場合であっても、適切な画像を表示することができる。
【0052】
また、本実施例の車両用表示装置によれば、運転者の頭部Hの変位方向と逆向きに所定領域B1、B2を移動することで、運転者が視点を変化させた場合であっても、表示手段40がミラーの代替として機能することができる。
【0053】
図6は、図2の変形例を示す図である。図6に示す変形例では、車両用表示装置は、車室内ミラー(ルームミラー)70を更に備える。また、図6に示す変形例では、図2に示す実施例と比較して、表示手段40の設置位置が異なる。
【0054】
車室内ミラー(ルームミラー)70は、運転者が車両の後方を確認するためのミラーである。車室内ミラー70は、例えば、図6に示すように、運転席と助手席との間の天井から吊持され、運転者に向けて設置される。
【0055】
表示手段40は、車室内ミラー70の左右両側の隣接する位置に一つずつ設けられる。表示手段40は、例えば、図6に示すように、車室内ミラー70と一体に設けられる。左右の表示手段40a、40bは、それぞれ、対応する左右の周辺撮像手段20a、20bにより撮像された画像を表示する。
【0056】
このように、変形例の車両用表示装置によれば、表示手段40が車室内ミラー70の左右両側の隣接する位置に一つずつ設けられるので、運転者は視線を大きく移動させることなく車両の後方の広範囲を視認することができる。即ち、運転者は、視線を大きく移動させることなく、ルームミラー70に映る景色と、左右のサイドミラーに映る景色に相当する画像とを視認することができる。よって、安全な後方確認を実現することができる。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施例及び変形例について詳説したが、本発明は、上述した実施例及び変形例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例及び変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0058】
例えば、上述した実施例において、車両周辺の所定領域B1、B2の画像は、周辺撮像手段20により撮像された画像を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、車車間通信や路車間通信によって取得された画像を用いてもよい。
【0059】
また、上述した実施例において、位置変化検出手段12は、運転者の頭部Hの上下左右の位置変化を検出するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、運転者の3次元的な位置変化を検出してもよく、この場合、顔撮像手段60は、顔画像中の対象物までの距離を測定するステレオカメラで構成されてよい。
【0060】
また、上述した実施例において、領域変更手段14は、運転者の頭部Hの変位方向と上下左右逆向きに、所定領域B1、B2を移動するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、運転者の頭部Hの変位方向と上下左右逆向きに所定領域B1、B2を拡張してもよい。
【0061】
また、上述した実施例において、情報入力手段50は、タッチパネルで構成されるとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、情報入力手段50は、押し下げ式の専用スイッチで構成されてもよい。
【0062】
また、上述した変形例において、表示手段40は、車室内ミラー70の左右両側の隣接する位置に一つずつ設けられるとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示手段40は、車室内ミラー70の左側又は右側のいずれか一方に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例の車両用表示装置の車両搭載状態を示す平面図である。
【図2】運転者から見た、表示手段40の車両搭載状態例を示す図である。
【図3】画像の左右反転処理例の説明図である。
【図4】情報入力手段50に表示される操作メニュー画像の一例を示す模式図である。
【図5】運転支援ECU10の主要機能を示すブロック図である。
【図6】図2の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10 運転支援ECU
12 位置変化検出手段
14 領域変更手段
20 周辺撮像手段
30 可変機構
40 表示手段
50 情報入力手段
60 顔撮像手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の所定領域の画像を撮像する撮像手段と、
車室内に設けられ、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、
運転者の頭部の位置変化を検出する位置変化検出手段と、
前記位置変化に応じて、前記表示手段の表示画像に写る車両周辺の所定領域を変更する領域変更手段と、を備える車両用表示装置。
【請求項2】
前記領域変更手段は、前記運転者の頭部の変位方向と逆向きに、前記所定領域を変更する請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記領域変更手段は、前記運転者の頭部の基準位置からの変位量に応じて、前記所定領域を変更する請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記領域変更手段は、前記運転者の頭部の基準位置からの変位量が所定値以下のとき、前記所定領域の変更を制限又は禁止する請求項3記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記運転者が車両の後方の景色を確認するための車室内ミラーを更に備え、
前記撮像手段は、車両の左後方、及び/又は、右後方の所定領域の画像を撮像し、
前記表示手段は、前記車室内ミラーの左側、及び/又は、右側の隣接する位置に設けられる請求項1〜4いずれか一項記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、後方に向けて設置され、
前記表示手段は、前記撮像手段により撮像された画像を左右反転して表示する請求項1〜5いずれか一項記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記領域変更手段は、前記撮像手段の撮像領域を変更して、前記所定領域を変更する請求項1〜6いずれか一項記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記領域変更手段は、前記撮像手段により撮像された画像を加工して、前記所定領域を変更する請求項1〜6いずれか一項記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−179850(P2010−179850A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26742(P2009−26742)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】