説明

車両用運転支援装置

【課題】自車両を含む車両群全体の燃費の向上を図ることができる車両用運転支援装置の提供。
【解決手段】自車両の位置及び実速度を検出する位置速度検出手段1と、自車両の燃料消費効率が最も高くなる最大燃費速度を記憶する記憶手段2と、車両間で、車両の位置、実速度及び最大燃費速度を含むデータを送受信する通信手段3と、前後に隣接する車両どうしの車間距離が所定距離以下である一連の車両を一つの車両群として設定する車両群設定手段4と、最大燃費速度が実速度より高く、且つ、最大燃費速度と実速度との速度差が最大の優先車両を抽出する優先車両抽出手段5と、優先車両の前方を走行する前方車両に対して、当該優先車両の前方から移動することを指示し、かつ、各車両に対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する指示手段6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用運転支援装置に係り、より詳細には、一連の走行車両からなる車両群全体の燃料消費効率の向上を図る車両用運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々の車両用運転支援技術が提案されている。下記の特許文献1には、先行車両が加速、減速を繰り返す場合に、目標車間距離に拠らずに追従走行することにより、自車両の乗り心地を損なわず、かつ自車両の燃費も悪化させない技術が開示されている。
なお、燃料消費効率(燃費)は、単位燃料当たりの走行可能距離をいい、例えば、ガソリン等の燃料1リットル当たりの走行キロメートル数で表される。
【0003】
【特許文献1】特開平10−166894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、個々の車両は、燃費が最大となる最大燃費速度を有している。そして、車速が最大燃費速度よりも高くても低くても、燃費は低下する。そこで、燃費の向上を図るためには、各車両が最大燃費速度で走行することが理想的である。
【0005】
しかしながら、例えば高速道路上では、車両は単独ではなく、前後の車両と共に車両群を構成して走行していることが多い。そして、車両群の速度が自車両の最大燃費速度よりも遅い場合、自車両の燃費は低下してしまう。その場合、先行車両を追い越そうとして自車両を加速すれば、却って自車両の燃費の低下を招くことになる。
【0006】
さらに、車両群の先頭車両の車速が、車両群を構成する多くの車両の最大燃費速度よりも遅い場合、その車両群全体の燃費も低下してしまう。そのうえ、車両群を構成する各車両の最大燃費速度は、通常、互いに異なっている。このため、車両群全体を特定の車速で走行させても、車両群全体の燃費の向上を図ることは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、自車両を含む車両群全体の燃費の向上を図ることができる車両用運転支援装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の車両用運転支援装置は、車両に搭載された車両用運転支援装置であって、自車両の位置及び実速度を検出する位置速度検出手段と、自車両の燃料消費効率が最も高くなる速度である最大燃費速度を記憶する記憶手段と、自車両と他車両との間で、車両の位置、実速度、及び最大燃費速度を含むデータを送受信する通信手段と、自車両及び他車両の位置に基づいて、前後に隣接する車両どうしの車間距離が所定距離以下である、自車両を含む一連の車両を一つの車両群として設定する車両群設定手段と、上記車両群から、最大燃費速度が実速度より高く、且つ、最大燃費速度と実速度との速度差が最大の優先車両を抽出する優先車両抽出手段と、上記車両群のうち、上記優先車両の前方を走行する前方車両に対して、当該優先車両の前方から移動することを指示し、かつ、上記車両群の各車両に対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する指示手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように、本発明の車両用運転支援装置によれば、最大燃費速度と実速度との速度差が最大の優先車両が加速して前方車両を追い越すのではなく、その前方車両が優先車両の前方から移動することによって、優先車両を最大燃費速度で走行させる。さらに、車両群の各車両の最大燃費速度が直前の車両の実速度以下である限り、各車両は、その車両の最大燃費速度で走行することが可能となる。このため、本発明によれば、自車両を含む車両群全体の燃費の向上を図ることができる。
【0010】
また、本発明において好ましくは、上記指示手段は、上記前方車両に対して、上記優先車両より後方に移動することを指示する。
これにより、優先車両の前方の進路が空けられ、優先車両の最大燃費速度での走行が可能となる。
【0011】
また、本発明において好ましくは、地図データと上記位置速度検出手段により検出された自車両の位置とに基づいて、自車両の前方の登坂路を検出する登坂路検出手段を更に備え、上記登坂路検出手段が自車両の前方の登坂路を検出した場合に、上記通信手段は、自車両と他車両との間で、車両の位置、実速度、及び最大燃費速度を含むデータを送受信する。
これにより、車両の加減速が多発する登坂路において、車群全体の燃費の悪化の防止が図られる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、優先車両と自車両との位置関係を表示する表示手段を更に備える。
これにより、運転者は、自車両と優先車両との位置関係を容易に把握することができる。また、運転者は、自車両が、本発明の運転支援装置による制御下にあることを認識することできる。
【0013】
また、本発明において好ましくは、上記車両群設定手段は、上記指示手段が優先車両に対して指示を行った後、上記車両群を構成する一連の車両のうち、当該優先車両を除いた残りの車両を新たな車両群として設定し、上記優先車両抽出手段は、上記新たな車両群から新たな優先車両を抽出し、上記指示手段は、上記新たな車両群のうち、上記新たな優先車両の前方を走行する新たな前方車両に対して、当該新たな優先車両の前方から移動することを指示し、かつ、上記新たな車両群の各車両に対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満の速度で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する。
【0014】
このように、車両群の車列の順序の変更を繰り返すことにより、車両群全体の燃費のより一層の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用運転支援装置によれば、自車両を含む車両群全体の燃費の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、本発明の車両用運転支援装置の実施形態を説明する。
まず、図1のブロック図を参照して、本実施形態の車両用運転支援装置の構成を説明する。図1に示すように、本実施形態の車両用運転支援装置は、車両に搭載された車両用運転支援装置であって、位置速度検出手段1と、記憶手段2と、通信手段3と、車両群設定手段4と、優先車両抽出手段5と、指示手段6と、登坂路検出手段7と、表示手段8と、制御/誘導装置9とを備えている。
【0017】
なお、車両群設定手段4、優先車両抽出手段5、指示手段6及び登坂路検出手段7の各ブロックは、それぞれ、車載ECU(electric control unit:電子制御装置)における処理機能に相当する。これらの処理機能は、コンピュータにおいて所定のプログラムを実行することにより、或いはマイクロチップにより実現される。
【0018】
位置速度検出手段1は、自車両の位置及び実速度を検出する。自車両の位置は、自車両の現在位置を検出するGPS(global positioning system:全地球測位システム)と、ナビゲーションシステムの地図データとによって、地図データ上の位置として特定される。地図データは、位置速度検出手段1又は記憶手段2に格納しておいてもよいし、通信手段3を介して地上局から地図データを取得するようにしてもよい。また、自車両の実速度は、速度センサによって検知される。また、自車両の進行方向は、例えば、車載のジャイロによって検出される。
【0019】
記憶手段2には、自車両の燃料消費効率が最も高くなる速度である最大燃費速度が記憶されている。
【0020】
通信手段3は、自車両と他車両との間で、車両の位置、実速度、及び最大燃費速度を含むデータを送受信する。データの送受信にあたっては、車車間通信により、他車両の位置、実速度、及び最大燃費速度を含むデータが、他車両から受信され、また、自車両の位置速度検出手段1によって検出した自車両の位置及び速度と、自車両の記憶手段2から読み出した自車両の最大燃費速度とを含むデータが、他車両へ送信される。
【0021】
車両群設定手段4は、前後に隣接する車両どうしの車間距離が所定距離以下である、自車両を含む一連の車両を一つの車両群として設定する。車間距離は、例えば、車載レーダやステレオカメラによって検出することができる。また、各車両が検知したそれぞれの車両の位置に基づいて、車間距離を求めてもよい。また、所定距離は、任意好適な値(例えば、100m)を設定することができる。
【0022】
そして、各車両において、後方の車両までの車間距離が所定距離以下の場合に、車間距離データを車車間通信によって順次に後方車両に送るようにするとよい。その結果、車両群の最後尾の車両に、その車両群の全ての車両間隔のデータが集まることになる。そして、最後尾の車両の車両群設定手段において、車両群を設定するようにするとよい。
【0023】
優先車両抽出手段5は、車車間通信によって取得した他車両のデータ、及び、自車両のデータに基づいて、車両群から、最大燃費速度が実速度より高く、且つ、最大燃費速度と実速度との速度差が最大の優先車両を抽出する。本実施形態では、車両群の最後尾の車両の優先車両抽出手段を作動させる。そして、抽出された優先車両を特定する情報は、通信手段3を介して、車両群の各車両に送信される。
なお、車両群の各車両は、通常、互いに同じ実速度で走行しているので、優先車両は、通常、車両群の中で最大燃費速度が最も速い車両となる。
【0024】
指示手段6は、車両群のうち、優先車両の前方を走行する前方車両に対して、当該優先車両の前方から移動することを指示する。特に、指示手段6は、前方車両に対して、優先車両より後方に移動することを指示することが好ましい。これにより、優先車両が加速して前方車両を追い越すのではなく、その前方車両が優先車両の前方から移動することによって、優先車両を最大燃費速度で走行させることが可能となる。
【0025】
さらに、指示手段6は、車両群の各車両に対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する。これにより、車両群の各車両の最大燃費速度が直前の車両の実速度以下である限り、各車両は、その車両の最大燃費速度で走行することが可能となる。その結果、車両群全体の燃費の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、車両群の最後尾の車両の指示手段を作動させる。
【0026】
登坂路検出手段7は、地図データと上記位置速度検出手段のより検出された自車両の位置とに基づいて、自車両の前方の登坂路を検出する。登坂路の検出にあたっては、地図データ上に、登坂路の領域を予め設定しておく。そして、自車両が、登坂路の領域の手前の所定距離以内に入った場合に、前方登坂路を検出したこととするとよい。なお、所定距離は、任意好適な値(例えば、1km)を設定することができる。
【0027】
そして、登坂路検出手段7が自車両の前方の登坂路を検出した場合に、通信手段3は、自車両と他車両との間で、車両の位置、実速度、及び最大燃費速度を含むデータを送受信する。したがって、本実施形態では、運転支援は、前方の登坂路が検出された場合にのみ実行される。なお、本発明では、登坂路の検出に関係なく、運転支援を行うようにしてもよい。
【0028】
表示手段8は、車車間通信によって取得したデータに基づいて、優先車両と自車両との位置関係を表示する。さらに、表示手段8では、車両群の全ての車両の配列を、各車両の実速度及び最大燃費速度とともに表示することが望ましい。
【0029】
制御/誘導装置9は、自動制御装置として機能する場合、運転者に対する誘導装置として機能する場合、及び、その両方として機能する場合を含む。制御/誘導装置9が自動制御手段として機能する場合には、他車両の指示手段からの指示を通信手段を介して受信すると、指示に従って自車両を自動的に車線変更して移動させたり、車速を自動的に制御する。なお、自車両の指示手段6からの指示は、制御/誘導装置9へ直接送られる。
【0030】
また、制御/誘導装置9が誘導装置として機能する場合には、指示に従って、運転者に対して、表示や音声によって、車両の車線変更等の移動や、指示速度を知らせる。誘導装置として機能する場合にも、他車両の指示手段からの指示は、通信手段を介して受信され、自車両の指示手段6からの指示は、制御/誘導装置9へ直接送られる。
【0031】
また、制御/誘導装置9が、自動制御装置及び誘導装置として機能する場合には、指示に従って、車両の走行を自動的に制御しながら、指示内容を表示等により運転者に知らせるようにしてもよい。
【0032】
次に、図2のフローチャートを参照して、本実施形態の車両用運転支援装置の動作例を説明する。
まず、自車両データを取得する(S1)。自車両データには、位置速度検出手段1によって検出される自車両の位置及び実速度と、記憶手段2に記憶されている最大燃費速度とが含まれる。
【0033】
次に、登坂路検出手段7によって、前方の登坂路の有無が判定される(S2)。
そして、前方に登坂路が予測された場合(S2で「Yes」の場合)、通信手段3を介して、車両の位置、実速度及び最大燃費速度を含むデータの送受信が行われる(S3)。
【0034】
次に、前後に隣接する車両どうしの車間距離が所定距離以下であり、同一進行方向に走行している、自車両を含む一連の車両を一つの車両群として設定する(S4)。
ここで、図3に、車両群の一例を模式的に示す。図3(A)〜(F)は、車両群中の車列の変化を示したものである。設定された車両群は、図3(A)に示すように、先頭から順次に(a)〜(e)の5台の車両から構成された車両群を設定する。車両群を構成する各車両は、先頭から順次に、車両a(実速度40km/h、最大燃費速度40km/h)、車両b(実速度40km/h、最大燃費速度50km/h)、車両c(実速度40km/h、最大燃費速度80km/h)、車両d(実速度40km/h、最大燃費速度50km/h)及び車両e(実速度40km/h、最大燃費速度60km/h)の5台の車両から構成されている。
なお、車両群の各車両には、図1に示した構成の車両用運転支援装置が搭載されている。
【0035】
次に、自車両が車両群の最後尾である場合、すなわち、図3(A)に示す車列において車両eである場合(S5で「Yes」の場合)、自車両の優先車両抽出手段5が作動する。そして、車両群から、最大燃費速度が実速度より高い車両がある場合(S6で「Yes」の場合)、車両群の中から優先車両を抽出する(S7)。
【0036】
図3(A)に示す車両群では、車両b〜車両eの4車両の最大燃費速度が実速度よりも高くなっている。そして、それらの4車両のうち、車両cの最大燃費速度(80km/h)と実速度(40km/h)との速度差が最大である。したがって、車両eの優先車両抽出手段5は、車両cを優先車両として抽出する。なお、図3(B)に、優先車両として抽出された車両cをハッチングを付して示す。
なお、車両cが優先車両として抽出されたことは、通信手段3を介して、車両群を構成する車両a〜dに送られる。
【0037】
次に、車両eの指示手段6は、車両群のうち、優先車両cの前方を走行する前方車両a及びbに対して、当該優先車両cの前方から、当該優先車両cの後方へ移動することを指示する(S8)。図3(C)では、移動を指示された前方車両a及びbを二重枠で示し、かつ、前方車両a及びbの後方移動を示す矢印を示す。
【0038】
また、車車間通信により指示を受信した車両a及びbは、それぞれ、例えば、自動制御装置によって、優先車両cの後方へ移動する。又は、車両a及びbは、例えば、誘導装置によって、運転者に優先車両cの後方へ移動する指示を伝えてもよい。
【0039】
また、車両群の各車両の表示手段8に、図3(C)に示す車両群の車列を模式的に示すとよい。その場合、自車両の表示色を他車両と異なる色にして、自車両を他車両から区別して表示するとよい。
【0040】
続いて、車両eの指示手段6は、車両群の各車両に対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する(S9)。また、車車間通信により指示を受信した各車両、それぞれ、例えば、自動制御装置によって、或いは、誘導装置による指示に運転手が従うことによって、それぞれ指示速度で走行する。
【0041】
その結果、図3(D)に示すように、優先車両の車両cは、前方車両a及びbが移動して先頭車両となったため、その最大燃費速度(80km/h)で走行する。また、2番目の車両dも、その最大燃費速度(50km/h)で走行する。しかし、3番目の車両eは、その最大速度(60km/h)よりも遅い実速度(50km/h)で走行している。
【0042】
そこで、図2に示したフローチャートに従った処理が繰り返される。その場合、図3(D)に示す車両群では、最後尾の車両aが、前回の車両eに代わって、優先車両の抽出や指示の処理を行う。
【0043】
ただし、新たに最後尾になった車両aの車両群設定手段4は、車両cの指示手段6が優先車両cに対して指示を行った後、車両群を構成する一連の車両a〜eのうち、当該優先車両cを除いた残りの4台の車両a、b、d及びeを新たな車両群として設定する(S2)。
【0044】
続いて、車両aの優先車両抽出手段5は、新たな車両群から新たな優先車両を抽出する(S6、S7)。図3(D)に示す例では、新たな車両群の中で車両eが、最大燃費速度(60km/h)と実速度(50km/h)との速度差が最大である。このため、車両eが新たな優先車両として設定される。図3(D)では、新たな優先車両eをハッチングを付して示す。
【0045】
なお、図3(D)では、車両dの直前に車両cが示されているが、車両cは、実速度80km/hで走行しているため、車両dとの車間距離が開いていく。このため、車両cは、新たな優先車両eの進路を妨げない。
【0046】
続いて、車両aの指示手段6は、新たな車両群のうち、新たな優先車両eの前方を走行する新たな前方車両dに対して、当該新たな優先車両eの前方から移動することを指示する(S8)。図3(E)では、新たな前方車両dを二重枠で示し、かつ、前方車両dの後方移動を示す矢印を示す。
【0047】
なお、車両aの指示手段6は、前方車両dに対して、車両群中の、優先車両eより後方、かつ当該前方車両dの最大燃費速度(50km/h)よりも遅い最大燃費速度(40km/h)を有する車両aの前方に移動することを指示することが望ましい。これにより、後方に移動した車両dは、その最大燃費速度(50km/h)で走行することが可能となる。
【0048】
さらに、車両aの指示手段6は、新たな車両群の各車両a、b、d及びeに対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する。
【0049】
その結果、図3(F)に示すように、優先車両の車両eは、前方車両dが移動して先頭車両となったため、その最大燃費速度(60km/h)で走行する。また、2番目及び3番目の車両b及びdも、その最大燃費速度(50km/h)でそれぞれ走行する。さらに、4番目の車両aは、その最大速度(40km/h)で走行する。このように、車両群を構成する各車両がそれぞれの最大燃費速度で走行することにより、車両群を構成する個々の車両の燃費を悪化させることなく、車両群全体の燃費効率の最大化を図ることができる。
【0050】
上述した各実施形態においては、本発明を特定の条件で構成した例について説明したが、本発明は種々の変更及び組み合わせを行うことができ、これに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、車両群の最後尾の車両が指示を行う例について説明したが、指示を行う車両はこれに限定されず、車両群中の任意の車両から指示を行うようにすることができる。また、上記フローチャートにおいては、前方に登坂路がある時に実施することとしているが、平坦路において実施することしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態の車両用運転支援装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の車両用運転支援装置による処理を説明するフローチャートである。
【図3】(A)〜(F)は、車両群の模式図である。タンの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1 位置速度検出手段
2 記憶手段
3 通信手段
4 車両群設定手段
5 優先車両抽出手段
6 指示手段
7 登坂路検出手段
8 表示手段
9 制御/誘導装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車両用運転支援装置であって、
自車両の位置及び実速度を検出する位置速度検出手段と、
自車両の燃料消費効率が最も高くなる速度である最大燃費速度を記憶する記憶手段と、
自車両と他車両との間で、車両の位置、実速度、及び最大燃費速度を含むデータを送受信する通信手段と、
前後に隣接する車両どうしの車間距離が所定距離以下である、自車両を含む一連の車両を一つの車両群として設定する車両群設定手段と、
上記車両群から、最大燃費速度が実速度より高く、且つ、最大燃費速度と実速度との速度差が最大の優先車両を抽出する優先車両抽出手段と、
上記車両群のうち、上記優先車両の前方を走行する前方車両に対して、当該優先車両の前方から移動することを指示し、かつ、上記車両群の各車両に対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する指示手段と、
を備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
上記指示手段は、上記前方車両に対して、上記優先車両より後方に移動することを指示する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
【請求項3】
地図データと上記位置速度検出手段により検出された自車両の位置とに基づいて、自車両の前方の登坂路を検出する登坂路検出手段を更に備え、
上記登坂路検出手段が自車両の前方の登坂路を検出した場合に、上記通信手段は、自車両と他車両との間で、車両の位置、実速度、及び最大燃費速度を含むデータを送受信する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
優先車両と自車両との位置関係を表示する表示手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項5】
上記車両群設定手段は、上記指示手段が優先車両に対して指示を行った後、上記車両群を構成する一連の車両のうち、当該優先車両を除いた残りの車両を新たな車両群として設定し、
上記優先車両抽出手段は、上記新たな車両群から新たな優先車両を抽出し、
上記指示手段は、上記新たな車両群のうち、上記新たな優先車両の前方を走行する新たな前方車両に対して、当該新たな優先車両の前方から移動することを指示し、かつ、上記新たな車両群の各車両に対して、各車両の最大燃費速度、又は、各車両の最大燃費速度未満で走行する直前の車両の実速度で走行することを指示する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−146079(P2010−146079A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319706(P2008−319706)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】