説明

車両用駆動装置

【課題】係合装置の部分係合状態を容易に実現することができ、更に係合装置の応答性を良好に維持することができる車両用駆動装置を実現する。
【解決手段】内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、回転電機MGと係合装置C1とを備えた車両用駆動装置。係合装置C1は、入力部材に連結された係合入力側部材31と、係合入力側部材31と対をなすと共に回転電機MGに連結された係合出力側部材32と、係合入力側部材31と係合出力側部材32との間に配置された摩擦部材33と、摩擦部材33を押圧方向A2に押圧する押圧部材34と、を備える。係合出力側部材32と押圧部材34との間に作動油圧室H1が形成され、作動油圧室H1に作動油圧が供給されない状態で押圧部材34を押圧方向A2に付勢する付勢ばね35が、作動油圧室H1の外部に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、回転電機と係合装置とを備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような車両用駆動装置として、例えば下記の特許文献1に記載された装置が既に知られている。当該特許文献1の図2及び図3等に示されているように、この車両用駆動装置では、係合装置(特許文献1における第1クラッチCL1;以下同様)に備えられる係合出力側部材(第1部材M11)と押圧部材(ピストンP)との間に、押圧部材の作動用の油圧が供給される作動油圧室(第1油圧室r1)が形成され、作動油圧室に作動用の油圧が供給されない状態で押圧部材を摩擦部材(第1摩擦板F1)側に付勢する付勢ばね(コイルばねSPRING)が、作動油圧室内に配置されている。この特許文献1の装置では、作動油圧室への供給油圧、及び、押圧部材に対して作動油圧室とは反対側に形成される油密状の第2油圧室r2への供給油圧の双方をゼロとすることで、付勢ばねの付勢力(弾性力)により摩擦部材を所定の係合圧で摩擦係合させ、部分係合状態(所謂半クラッチ状態)を容易に実現することができる。
【0003】
しかし、特許文献1の装置のように付勢ばねが作動油圧室内に配置された構成では、付勢ばねの最大圧縮状態で当該付勢ばねが占める領域の押圧方向の長さ分だけ、作動油圧室の容積を拡大する必要がある。作動油圧室の容積が大きくなると、その分だけ当該作動油圧室に作動油が充填されるまでの時間が長くなる。そのため、特許文献1の装置では、係合装置の係合及び解放に係る応答性が低下するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−1165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、係合装置の部分係合状態を容易に実現することができ、更に係合装置の応答性を良好に維持することができる車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、回転電機と係合装置とを備えた車両用駆動装置の特徴構成は、前記係合装置は、前記入力部材に連結された係合入力側部材と、前記係合入力側部材と対をなすと共に前記回転電機に連結された係合出力側部材と、前記係合入力側部材と前記係合出力側部材との間に配置された摩擦部材と、前記摩擦部材を押圧方向に押圧する押圧部材と、を備え、前記係合入力側部材又は前記係合出力側部材と前記押圧部材との間に、前記押圧部材を前記押圧方向に押圧するための作動用の油圧が供給される作動油圧室が形成され、前記作動油圧室に作動用の油圧が供給されない状態で前記押圧部材を前記押圧方向に付勢する付勢ばねが、前記作動油圧室の外部に配置されている点にある。
【0007】
なお、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を意味し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦クラッチや噛み合い式クラッチ等が含まれていても良い。
また、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0008】
上記の特徴構成によれば、作動油圧室に供給される油圧に応じて押圧部材を動作させ、係合装置により入力部材と回転電機との間を選択的に駆動連結することができる。このとき、作動用の油圧とは無関係に付勢ばねにより押圧部材が押圧方向に付勢されるので、作動油圧室に作動用の油圧が供給されない状態でも、付勢ばねの付勢力により摩擦部材を所定の係合圧で摩擦係合させ、係合装置の部分係合状態を容易に実現することができる。
また、上記の特徴構成では、そのような付勢ばねが作動油圧室の外部に配置されているので、付勢ばねの存在を考慮することなく作動油圧室の容積を決定することができる。すなわち、付勢ばねを設けることによっても作動油圧室の容積を拡大させる必要がないので、当該作動油圧室に作動油が充填されるまでの時間が長くなることがなく、係合装置の係合及び解放に係る応答性を良好に維持することができる。
従って、係合装置の部分係合状態を容易に実現することができ、更に係合装置の応答性を良好に維持することができる車両用駆動装置が実現できる。
【0009】
ここで、前記係合出力側部材は、前記摩擦部材の少なくとも径方向外側を覆うように軸方向に延びる軸方向延在部と、前記摩擦部材に対して前記押圧方向とは反対方向である反押圧方向側を径方向に延びる径方向延在部と、を有し、前記作動油圧室は、前記摩擦部材の径方向内側に形成され、前記押圧部材は、前記径方向延在部側から前記摩擦部材を押圧するように設けられ、前記付勢ばねが、前記軸方向延在部の径方向内側であってかつ前記作動油圧室の径方向外側において、前記径方向延在部と前記押圧部材との間に配置されている構成とすると好適である。
【0010】
この構成によれば、係合出力側部材の径方向延在部側から摩擦部材を押圧するように設けられた押圧部材を、径方向延在部と押圧部材との間に配置された付勢ばねにより、適切に押圧方向に付勢することができる。また、この構成では、作動油圧室の径方向外側で付勢ばねが押圧部材を押圧するので、同じく作動油圧室の径方向外側に配置される摩擦部材に対して、比較的近い位置から効率良く付勢ばねの付勢力を作用させることができる
【0011】
また、前記係合出力側部材は、前記回転電機のロータ部材をボルト締結するために肉厚に形成された締結取付部を前記径方向延在部と一体的に有し、前記付勢ばねが、前記締結取付部の前記押圧方向側を向く面に形成された段差部に当接して配置されている構成とすると好適である。
【0012】
この構成によれば、肉厚に形成された締結取付部に付勢ばねが当接して配置されるので、当該締結取付部により付勢ばねの一方端を安定的に支持することができる。このとき、回転電機のロータ部材をボルト締結するための部位を利用して、特別な部品を追加等することなく付勢ばねを安定的に支持することができる。また、この構成では、締結取付部の押圧方向側を向く面に形成された段差部に当接して付勢ばねが配置されているので、付勢ばねが全体として環状に形成される場合には、段差部により付勢ばねの径方向の位置決めを適切に行うことができるという利点がある。
【0013】
また、前記押圧部材は、前記押圧方向とは反対方向である反押圧方向側に突出する断面円弧状の突起部を有し、前記付勢ばねが、前記突起部に当接して配置されている構成とすると好適である。
【0014】
この構成によれば、押圧部材は、断面円弧状の突起部で付勢ばねの付勢力を受けることができる。よって、付勢ばねの弾性変形等に伴う付勢ばねと押圧部材との当接部の変位によらずに、押圧部材を円滑に押圧することができる。なお、このような構成は、付勢ばねが平坦な側面を有して断面板状に形成される場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る駆動装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】駆動装置の部分断面図である。
【図3】駆動装置の要部断面図である。
【図4】駆動装置の要部断面図である。
【図5】図4における要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る駆動装置1の概略構成を示す模式図である。駆動装置1は、車両の駆動力源として内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方を用いるハイブリッド車両用の駆動装置(ハイブリッド駆動装置)である。この駆動装置1は、いわゆる1モータパラレル方式のハイブリッド車両用の駆動装置として構成されている。以下、本実施形態に係る駆動装置1について、詳細に説明する。
【0017】
1.駆動装置の全体構成
まず、本実施形態に係る駆動装置1の全体構成について説明する。図1に示すように、この駆動装置1は、車両の第一の駆動力源としての内燃機関Eに駆動連結される入力軸Iと、車輪Wに駆動連結される出力軸Oと、車両の第二の駆動力源としての回転電機MGと、を備えている。また、駆動装置1は、入力クラッチC1と、トルクコンバータTCと、変速機構TMと、を備えている。これらは、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上で、入力軸Iの側から、入力クラッチC1、回転電機MG、トルクコンバータTC、及び変速機構TMの順に配置されている。また、これらの各構成は、入力軸Iの一部と出力軸Oの一部とを除き、ケース(駆動装置ケース)3内に収容されている。本実施形態においては、入力軸Iが本発明における「入力部材」に相当し、出力軸Oが本発明における「出力部材」に相当する。
【0018】
なお、本実施形態では、入力軸I、回転電機MG、トルクコンバータTC、及び出力軸Oはいずれも軸心X(図2を参照)上に配置されており、本実施形態に係る駆動装置1は、FR(Front Engine Rear Drive)方式の車両に搭載される場合に適した一軸構成とされている。また、以下の説明においては、特に明記して区別している場合を除き、軸心Xを基準として「軸方向」、「径方向」及び「周方向」の各方向を規定している。更に、駆動装置1内の特定の部位に注目した場合における軸方向に沿った方向性に関して、軸方向一方側である内燃機関E側(図2における左側)に向かう方向を「軸第一方向A1」とし、軸方向他方側である出力軸O側(図2における右側)に向かう方向を「軸第二方向A2」としている。
【0019】
内燃機関Eは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す装置であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の各種エンジンを用いることができる。本例では、内燃機関Eのクランクシャフト等の出力回転軸がダンパ装置(図示せず)を介して入力軸Iに駆動連結されている。また、入力軸Iは入力クラッチC1を介して回転電機MGに駆動連結されている。入力クラッチC1の係合状態では、入力軸Iを介して内燃機関Eと回転電機MGとが一体回転するように駆動連結され、入力クラッチC1の解放状態では内燃機関Eと回転電機MGとが分離される。すなわち、入力クラッチC1は内燃機関Eと回転電機MGとの間を選択的に駆動連結する。本実施形態においては、入力クラッチC1が本発明における「係合装置」に相当する。
【0020】
回転電機MGは、ステータStとロータRoとを有して構成され、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能とされている。そのため、回転電機MGは、蓄電装置(図示せず)と電気的に接続されている。本例では、蓄電装置としてバッテリが用いられている。なお、蓄電装置としてキャパシタ等を用いても好適である。回転電機MGは、バッテリから電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関Eが出力するトルク(駆動力)や車両の慣性力により発電した電力をバッテリに供給して蓄電させる。回転電機MGのロータRoは、動力伝達部材Tを介してトルクコンバータTCのポンプインペラ41に駆動連結されている。
【0021】
トルクコンバータTCは、内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方のトルクを変換して中間軸Mに伝達する装置である。トルクコンバータTCは、動力伝達部材Tを介して回転電機MGのロータRoに駆動連結されたポンプインペラ41と、中間軸Mと一体回転するように駆動連結されたタービンランナ45と、これらの間に設けられたステータ48(図2を参照)と、を備えている。トルクコンバータTCは流体継手の一種であり、その内部に充填された油(流体の一例)を介して、ポンプインペラ41とタービンランナ45との間でトルクの伝達を行うことが可能である。その際、ポンプインペラ41とタービンランナ45との間に回転速度差が生じている場合には、回転速度比に応じてトルク変換されたトルクが伝達される。
【0022】
また、トルクコンバータTCは、ロックアップクラッチC2を備えている。ロックアップクラッチC2は、ポンプインペラ41とタービンランナ45とを選択的に駆動連結する。このロックアップクラッチC2の係合状態では、トルクコンバータTCは、内部の油を介さずに、内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方のトルクをそのまま中間軸Mに伝達する。この中間軸Mは、変速機構TMの入力軸(変速入力軸)となっている。
【0023】
変速機構TMは、中間軸Mの回転速度を所定の変速比で変速して出力軸Oへ伝達する装置である。このような変速機構TMとして、本実施形態では、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に備えた自動有段変速機構が用いられている。なお、変速機構TMとして、変速比を無段階に変更可能な自動無段変速機構、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に備えた手動式有段変速機構等を用いても良い。変速機構TMは、各時点における所定の変速比で、中間軸Mの回転速度を変速すると共にトルクを変換して出力軸Oへ伝達する。出力軸Oへ伝達された回転及びトルクは、出力用差動歯車装置DFを介して左右2つの車輪Wに分配されて伝達される。これにより、駆動装置1は、内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方のトルクを車輪Wに伝達させて車両を走行させることができる。
【0024】
2.駆動装置の各部の構成
次に、本実施形態に係る駆動装置1の各部の構成について、図2〜図4を参照して説明する。なお、図3は図2の断面図の部分拡大図であり、図4は図3とは周方向の異なる位置における断面図である。また、図5は図4における要部拡大図である。
【0025】
2−1.ケース
図2に示すように、ケース3は、概略円筒状に形成されている。本実施形態では、ケース3は、概略円筒状であって回転電機MGや入力クラッチC1、トルクコンバータTC等の径方向外側を覆う周壁4と、回転電機MG及び入力クラッチC1の軸第一方向A1側を覆う端部支持壁5と、トルクコンバータTCの軸第二方向A2側を覆う中間支持壁6と、を備えている。そして、ケース3内における端部支持壁5と中間支持壁6との間の空間に、回転電機MG、入力クラッチC1、及びトルクコンバータTCが収容されている。また、図示は省略しているが、中間支持壁6よりも軸第二方向A2側の空間に、変速機構TMが収容されている。
【0026】
端部支持壁5は、少なくとも径方向に延びる形状を有し、ここでは径方向及び周方向に延びる略円板状の壁部とされている。この端部支持壁5の径方向中心部には、筒状突出部11が設けられている。筒状突出部11は、軸心Xに対して同軸状に配置され、端部支持壁5から軸第二方向A2側に向かって突出するように形成された円筒状の突出部である。筒状突出部11は、端部支持壁5と一体的に形成されている。筒状突出部11は、ロータRoの軸方向長さよりも長い軸方向長さを有している。この筒状突出部11の径方向中心部には、軸方向に貫通する軸心貫通孔11a(図3等を参照)が形成されている。そして、この軸心貫通孔11aに入力軸Iが挿通されている。これにより、入力軸Iは、筒状突出部11の径方向内側を貫通するように配置され、端部支持壁5を貫通してケース3内に挿入されている。
【0027】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、第一油路L1、第二油路L2、及び第三油路L3が筒状突出部11に形成されている。第一油路L1は、入力クラッチC1の後述する作動油圧室H1に油を供給するための油供給路である(図4を参照)。第二油路L2は、入力クラッチC1の後述する循環油圧室H2に油を供給するための油供給路である(図3を参照)。第三油路L3は、循環油圧室H2から排出される油をオイルパン(図示せず)へ戻すための油排出路である(図3を参照)。
【0028】
中間支持壁6は、少なくとも径方向に延びる形状を有し、ここでは径方向及び周方向に延びる略円板状の壁部とされている。本実施形態では、中間支持壁6は、周壁4とは別部材として構成されており、ボルト等の締結部材により周壁4の内周面に形成された段差部に締結固定されている。この中間支持壁6には、オイルポンプ9が設けられている。オイルポンプ9のポンプロータは、ポンプ駆動軸43を介してポンプインペラ41と一体回転するように駆動連結されている。ポンプインペラ41の回転に伴い、オイルポンプ9はオイルを吐出し、駆動装置1の各部に油を供給するための油圧を発生させる。
【0029】
2−2.回転電機
図2に示すように、回転電機MGは、端部支持壁5よりも軸第二方向A2側であってトルクコンバータTCよりも軸第一方向A1側に配置されている。また、回転電機MGは、入力軸I及び入力クラッチC1に対して径方向外側に配置されている。回転電機MGと入力クラッチC1とは、径方向に見て重複する部分を有する位置に配置されている。なお、2つの部材の配置に関して、「ある方向に見て重複する部分を有する」とは、当該方向を視線方向として当該視線方向に直交する各方向に視点を移動させた場合に、2つの部材が重なって見える視点が少なくとも一部の領域に存在することを意味する。回転電機MGのステータStは、ケース3に固定されている。ステータStの径方向内側に、ロータRoが配置されている。ロータRoは、ステータStに対して径方向に微小隙間を空けて対向配置されると共に、回転可能な状態でケース3に支持されている。具体的には、ロータRoを支持して当該ロータRoと一体的に回転するロータ支持部材22が、第一軸受61を介してケース3の筒状突出部11に対して回転可能に支持されている。本実施形態においては、一体回転するロータRo及びロータ支持部材22により本発明における「ロータ部材」が構成されている。
【0030】
図2〜図4に示すように、ロータ支持部材22は、回転電機MGのロータRoを径方向内側から支持する部材である。ロータ支持部材22は、入力クラッチC1に対して軸第一方向A1側に配置されている。ロータ支持部材22は、ロータRoの径方向内側に配置された第一軸受61に対してロータRoを支持するべく、少なくとも径方向に延びる形状に形成されている。本実施形態では、ロータ支持部材22は、ロータ保持部23、径方向延在部24、及び支持円筒状部25、を備えている。
【0031】
ロータ保持部23は、ロータRoを保持する部分である。ロータ保持部23は、軸心Xに対して同軸状に配置され、ロータRoの内周面及び軸方向両側面に接するように略円筒状に形成されている。径方向延在部24は、ロータ保持部23と一体的に形成され、ロータ保持部23の軸方向の中央部近傍から径方向内側に延びるように形成されている。本例では、径方向延在部24は径方向及び周方向に延びる円環板状部とされている。また、径方向延在部24の周方向の複数箇所には、第一ボルト挿通孔24aが設けられている。第一ボルト挿通孔24aには、ロータ支持部材22と筒状連結部材32との締結を行うための第一ボルト71が挿通される。
【0032】
径方向延在部24の径方向内側端部に、支持円筒状部25が一体的に設けられている。支持円筒状部25は、軸心Xに対して同軸状に配置され、径方向延在部24に対して軸方向両側に延在するように形成された円筒状部である。本実施形態では、支持円筒状部25の内周面に接して第一軸受61が配置され、当該支持円筒状部25の内周面と筒状突出部11の外周面との間に配置された第一軸受61によりロータ支持部材22が支持される。これにより、ロータ支持部材22は、第一軸受61を介して回転可能な状態で筒状突出部11の外周面に支持される。本実施形態においては、第一軸受61に対して軸第一方向A1側において、支持円筒状部25と筒状突出部11との間にシール部材が配置されている。これにより、支持円筒状部25と筒状突出部11との間が密閉されている。
【0033】
また、本実施形態では、回転電機MGのステータStに対するロータRoの回転位置を検出する回転センサ13が、支持円筒状部25の外周面に設けられている。回転センサ13は、軸方向で端部支持壁5とロータ支持部材22(ここでは、主に径方向延在部24)との間に配置されている。言い換えれば、回転センサ13に対して軸方向でロータ支持部材22とは反対側に、端部支持壁5が配置されている。なお、回転センサ13として、本例ではレゾルバが用いられている。
【0034】
2−3.入力クラッチ
入力クラッチC1は、入力軸Iと回転電機MG及びトルクコンバータTCとの間を選択的に駆動連結する摩擦係合装置である。入力クラッチC1は、湿式多板クラッチ機構として構成されている。また、図2に示すように、入力クラッチC1は、軸方向でロータ支持部材22とトルクコンバータTCとの間に配置されている。また、入力クラッチC1は、径方向で筒状突出部11と回転電機MGのロータRoとの間に配置されている。筒状突出部11、入力クラッチC1、及びロータRoは、径方向に見て互いに重複する部分を有するように配置されている。入力クラッチC1は、クラッチハブ31、筒状連結部材32、摩擦部材33、ピストン34、及び作動油圧室H1を備えている。
【0035】
入力クラッチC1は、摩擦部材33として、対となる入力側摩擦部材と出力側摩擦部材とを有する。ここで、入力クラッチC1は、複数の入力側摩擦部材と複数の出力側摩擦部材とを有し、これらは軸方向に交互に配置されている。複数の摩擦部材33は、いずれも円環板状に形成されており、クラッチハブ31と筒状連結部材32との間に配置されている。
【0036】
クラッチハブ31は、複数の入力側摩擦部材(本例では、ハブ側摩擦部材)を径方向内側から支持するように径方向に延びる円環板状部材である。クラッチハブ31は、軸方向でピストン34とトルクコンバータTCの後述するカバー部42との間を通って径方向に延びるように形成されており、当該クラッチハブ31の径方向内側端部が入力軸Iに連結されている。これにより、入力軸Iとクラッチハブ31とが一体回転するように連結されている。なお、クラッチハブ31は、入力軸Iを介して内燃機関Eの回転及びトルクが伝達される部材であり、入力クラッチC1の入力側回転部材である。本実施形態においては、クラッチハブ31が本発明における「係合入力側部材」に相当する。
【0037】
筒状連結部材32は、複数の摩擦部材33の少なくとも径方向外側を覆うと共に、出力側摩擦部材(本例では、ドラム側摩擦部材)を径方向外側から支持するように形成された略円筒状部材である。筒状連結部材32は、入力クラッチC1のクラッチドラムとして機能するように構成されている。また、筒状連結部材32は、ピストン34の軸第一方向A1側と、ピストン34の径方向外側と、を更に覆うように全体として碗状に形成された部分を有する。そして、筒状連結部材32は、回転電機MGのロータ支持部材22に連結されると共にカバー部42に連結されている。筒状連結部材32は、クラッチハブ31と対をなし、入力クラッチC1の係合状態でクラッチハブ31に入力される回転及びトルクを出力軸O側となるトルクコンバータTCに伝達する、入力クラッチC1の出力側回転部材である。本実施形態においては、筒状連結部材32が本発明における「係合出力側部材」に相当する。
【0038】
図3及び図4に示すように、クラッチドラムとしての筒状連結部材32は、軸方向延在部32a、径方向延在部32b、筒状延在部32d、筒状突出部32e、及び径方向延出部32fを備えている。軸方向延在部32aは、円筒状に形成され、軸心Xに対して同軸状に配置されている。軸方向延在部32aは、摩擦部材33の少なくとも径方向外側を覆うように軸方向に延びる筒状に形成されている。軸方向延在部32aは、軸第一方向A1側ではロータ支持部材22の径方向延在部24に接すると共に軸第二方向A2側ではトルクコンバータTCのカバー部42に接している。軸方向延在部32aには、カバー部42が径方向に当接しつつ嵌合されている。径方向延出部32fは、軸方向延在部32aと一体的に形成され、当該軸方向延在部32aの軸第二方向A2側の端部から径方向外側へ延出するように円環板状に形成されている。
【0039】
径方向延在部32bは、軸方向延在部32aと一体的に形成され、当該軸方向延在部32aの軸第一方向A1側の端部から径方向内側に向かって延びるように略円環板状に形成されている。径方向延在部32bは、摩擦部材33に対して軸第一方向A1側に配置されている。軸方向延在部32aと径方向延在部32bとの間の連結部位には、取付部32cが軸方向延在部32a及び径方向延在部32bと一体的に形成されている。この取付部32cは、軸方向及び径方向に所定厚さを有する肉厚部として形成されており、筒状連結部材32とロータ支持部材22とを取り付けるための部位となっている。取付部32cの周方向の複数箇所には、第一ボルト71が締結される第一ボルト締結孔が設けられている。本実施形態においては、取付部32cが本発明における「締結取付部」に相当する。また、径方向延在部32bは、取付部32cよりも径方向内側に、当該径方向延在部32bと一体的に構成されて軸方向に延在する円筒状の筒状延在部32dを有する。すなわち、径方向延在部32bは、筒状延在部32dよりも径方向内側部位が径方向外側部位に対して軸第二方向A2側にオフセットされた形状となるように形成されている。この筒状延在部32dは、ロータ支持部材22の支持円筒状部25に対して径方向に当接しつつ嵌合する。
【0040】
筒状突出部32eは、径方向延在部32bと一体的に形成され、当該径方向延在部32bの径方向内側端部から軸方向両側に延在するように円筒状に形成されている。筒状突出部32eは、摩擦部材33の径方向内側に、径方向に見て摩擦部材33と重複する部分を有する位置に配置されている。また、筒状突出部32eは、ケース3の筒状突出部11の軸第二方向A2側の端部の径方向外側に、当該筒状突出部11に対して所定間隔を空けた状態で径方向に対向して配置されている。そして、筒状突出部32eとケース3の筒状突出部11との間には、スリーブ56が配置されている。すなわち、筒状突出部32eの内周面とケース3の筒状突出部11の外周面とに接するように、スリーブ56が配置されている。
【0041】
押圧方向に沿って摩擦部材33を押圧するピストン34が、筒状延在部32dの外周面及び筒状突出部32eの外周面に対して軸方向に沿って摺動可能に配置されている。本実施形態においては、ピストン34が本発明における「押圧部材」に相当する。本実施形態では、ピストン34は、径方向延在部32b側となる軸第一方向A1側から摩擦部材33を押圧するように設けられている。従って、本例では軸第二方向A2が上記「押圧方向」に一致し、軸第一方向A1が「反押圧方向」に一致している。本実施形態では、ピストン34は径方向の所定位置に軸方向に延びる筒状の筒状延在部34aを有する。ピストン34は、筒状延在部34aよりも径方向側外部位が径方向内側部位に対して軸第一方向A1側にオフセットされた形状となるように形成されている。
【0042】
ここで、ピストン34の筒状延在部34aよりも径方向側外部位は、摩擦部材33に当接した状態で当該摩擦部材33を押圧可能に設けられた当接押圧部34bとなっている。当接押圧部34bは、軸方向で筒状連結部材32の取付部32cと摩擦部材33との間に、軸方向に見てこれらと重複する位置に設けられている。また、ピストン34は、図5に示すように、軸第一方向A1側に突出する突起部34cを有する。この突起部34cはピストン34と一体的に、断面円弧状に形成されている。本実施形態では、ピストン34の筒状延在部34aと当接押圧部34bとの連結部の、軸方向に見て筒状延在部34aと重複する部分を有する位置に、突起部34cが形成されている。
【0043】
筒状連結部材32の筒状延在部32dとピストン34の筒状延在部34aとの間、及び筒状突出部32eとピストン34の径方向内側端部との間には、それぞれOリング等のシール部材が配置されている。これにより、径方向延在部32b、筒状延在部32d、筒状突出部32e、及びピストン34により区画されて密閉された空間として、作動油圧室H1が形成されている。本例では特に、径方向延在部32bとピストン34の筒状延在部34aよりも径方向内側部位との間に作動油圧室H1が形成されている。この作動油圧室H1は、本実施形態では摩擦部材33の径方向内側に、当該摩擦部材33と重複する部分を有する位置に形成されている。作動油圧室H1には、第一油路L1を介してピストン34の作動用の油が供給される。
【0044】
図5に示すように、ピストン34に対して作動油圧室H1側(軸第一方向A1側)に、皿ばね35が配置されている。本実施形態においては、作動油圧室H1の外部に皿ばね35が配置されている。皿ばね35は、全体として環状に形成されると共に、径方向内側端部が径方向外側端部に対して軸第二方向A2側に位置している。また、皿ばね35は、平坦な側面を有して断面板状に形成されている。皿ばね35は、作動油圧室H1に供給される作動用の油圧とは無関係にピストン34を押圧方向となる軸第二方向A2に付勢する。すなわち、本例では筒状連結部材32の径方向延在部32bとピストン34との間に皿ばね35が配置されており、軸第一方向A1側に配置された径方向延在部32bにより反力が支持された状態で、皿ばね35はピストン34を軸第二方向A2に付勢する。これにより、作動油圧室H1に油圧が供給されない状態でも、皿ばね35はピストン34を軸第二方向A2に付勢する。本実施形態においては、皿ばね35が本発明における「付勢ばね」に相当する。
【0045】
本実施形態においては、皿ばね35は、作動油圧室H1の径方向外側に配置されている。皿ばね35は、軸方向延在部32aの径方向内側であってかつ作動油圧室H1の径方向外側に配置されている。また、本例では、皿ばね35は、作動油圧室H1に対して軸第一方向A1側にずれた位置において、径方向延在部32bと一体的に形成された取付部32cとピストン34の当接押圧部34bとの間に配置されている。より具体的には、図5に示すように、取付部32cの軸第二方向A2側の面であって摩擦部材33に対して対向する摩擦対向面32gに、段差部32hが形成されている。本例では、段差部32hは取付部32cの径方向内側端部の角部に、摩擦対向面32gに対して軸第一方向A1側に僅かに窪むように形成されている。
【0046】
本実施形態では、この段差部32hに当接して皿ばね35が配置されている。ここでは、摩擦対向面32gから連続して軸方向及び周方向に延在する筒状内周面と、当該筒状内周面から連続して径方向及び周方向に延在する径方向延在面と、を総称して摩擦対向面32gにおける「段差部32h」としている。なお、図示の例では、径方向延在面は、その径方向内側部分が軸第二方向A2側に向かって僅かに突出する段付形状に形成されている。本例では、皿ばね35は、その径方向外側端部が段差部32hに当接した状態で配置されている。具体的には、皿ばね35は、その径方向外側端部が筒状内周面と径方向延在面の径方向内側部分とに当接した状態で配置されている。また、皿ばね35は、ピストン34の突起部34cに当接して配置されている。本例では、皿ばね35は、その径方向内側端部における軸第二方向A2側の側面が突起部34cに当接した状態で配置されている。
【0047】
また、ピストン34に対して作動油圧室H1とは反対側(ここでは、軸第二方向A2側)には、循環油圧室H2が形成される。この循環油圧室H2は、主にピストン34、軸方向延在部32a、トルクコンバータTCのカバー部42、筒状突出部11、入力軸I、及びクラッチハブ31により区画された空間として形成されている。本実施形態では、筒状突出部11と入力軸Iとの間、及び軸方向延在部32aとカバー部42との間が、それぞれシール部材により密閉されている。これにより、循環油圧室H2は密閉空間として形成されている。循環油圧室H2には、オイルポンプ9により吐出され、油圧制御装置(図示せず)により所定の油圧レベルに調整された圧油が、第二油路L2を介して供給される。また、循環油圧室H2からの油は、入力軸Iの内部に形成された連絡油路を介して、第三油路L3から供給される。
【0048】
2−4.トルクコンバータ
図2に示すように、トルクコンバータTCは、回転電機MG及び入力クラッチC1よりも軸第二方向A2側であって中間支持壁6及び変速機構TMよりも軸第一方向A1側に配置されている。トルクコンバータTCは、ポンプインペラ41、タービンランナ45、ステータ48、及びこれらを収容するカバー部42を備えている。
【0049】
カバー部42は、ポンプインペラ41と一体回転するように構成されている。ここでは、カバー部42の内側に、ポンプインペラ41が一体的に設けられている。また、カバー部42は、筒状連結部材32に連結されている。カバー部42は、筒状連結部材32及びロータ支持部材22を介して、回転電機MGのロータRoと一体回転するように駆動連結されている。従って、一体回転するポンプインペラ41及びカバー部42は、内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方の回転及びトルクが伝達される部材であり、トルクコンバータTCの入力側回転部材(継手入力側部材)である。また、カバー部42は、ポンプ駆動軸43に連結されている。カバー部42は、ポンプ駆動軸43を介してオイルポンプ9のポンプロータと一体回転するように駆動連結されている。
【0050】
タービンランナ45は、ポンプインペラ41の軸第一方向A1側に当該ポンプインペラ41に対向して配置されている。タービンランナ45は、ポンプインペラ41と対をなし、ポンプインペラ41に入力される回転及びトルクを出力軸O側となる中間軸Mに伝達する、トルクコンバータTCの出力側回転部材(継手出力側部材)である。タービンランナ45は、径方向に延びる径方向延在部46を有する。本実施形態では、この径方向延在部46と、当該径方向延在部46を貫通するように配置された中間軸Mとが、スプライン連結されている。また、ステータ48は、軸方向において、ポンプインペラ41とタービンランナ45との間に配置されている。このステータ48は、一方向クラッチ49及び固定軸を介して中間支持壁6に支持されている。
【0051】
本実施形態では、対向配置されるポンプインペラ41とタービンランナ45とにより、トルクコンバータTCの本体部が構成されている。そして、ポンプインペラ41を外側から保持するカバー部42が、更にタービンランナ45をも収容するように配置されている。つまり、カバー部42は、トルクコンバータTCの本体部を収容するように配置されている。また、本実施形態では、トルクコンバータTCの本体部に対して軸第一方向A1側に配置されたロックアップクラッチC2等も、カバー部42内に収容されている。
【0052】
2−5.動力伝達部材
動力伝達部材Tは、回転電機MGの動力(トルク)を車輪W側となる変速機構TMへ伝達する部材である。本実施形態においては、回転電機MGの回転及びトルクをトルクコンバータTCのポンプインペラ41に伝達することにより、上記回転及びトルクを、トルクコンバータTCを介して変速機構TMへ伝達する。そのため、動力伝達部材Tは、回転電機MGのロータ支持部材22及びポンプインペラ41と一体回転するように連結されている。本実施形態に係る動力伝達部材Tは、入力クラッチC1の出力側回転部材としての筒状連結部材32と、トルクコンバータTCのカバー部42と、が一体的に連結されて構成されている。なお、入力クラッチC1の係合状態では、動力伝達部材Tは内燃機関E及び回転電機MGの双方の動力(トルク)を車輪W側へ伝達可能である。
【0053】
ロータ支持部材22と動力伝達部材Tとは、第一締結固定部F1で連結されている。第一締結固定部F1は、ロータ支持部材22と筒状連結部材32とを締結固定するための部位である。本実施形態では、ロータ支持部材22の径方向延在部24と筒状連結部材32の取付部32cとは、軸方向に互いに接して配置されている。本例では、取付部32cが径方向延在部24に対して軸第二方向A2側から接して配置されている。これらは、径方向延在部24に設けられた複数の第一ボルト挿通孔24aの軸心と取付部32cに設けられた複数の第一ボルト締結孔の軸心とが全て一致する状態で配置されている。第一ボルト71は、それぞれの第一ボルト挿通孔24aに挿通されて第一ボルト締結孔に締結される。これにより、径方向延在部24と取付部32cとが第一ボルト71により互いに締結固定され、径方向延在部24と取付部32cと間の締結部位により、第一締結固定部F1が構成される。なお、本例では、第一ボルト71、第一ボルト挿通孔24a、及び第一ボルト締結孔は、複数組が互いに等しい径方向位置において周方向に分散して配置されている。そのため、「第一締結固定部F1」とは、それら複数組を総称する用語として用いている。
【0054】
なお、本実施形態では、支持円筒状部25の外周面と筒状延在部32dの内周面とが、周方向の全体に亘って互いに当接しつつ嵌合している。これにより、ロータ支持部材22と筒状連結部材32との径方向の相互位置決めが行われている。
【0055】
動力伝達部材Tを構成する筒状連結部材32とカバー部42とは、第二締結固定部F2で連結されている。第二締結固定部F2は、筒状連結部材32とカバー部42とを締結固定するための部位である。本実施形態では、筒状連結部材32の径方向延出部32fとカバー部42のうち径方向に延在する部位とが第二ボルト72により互いに締結固定される。これにより、径方向延出部32fとカバー部42と間の締結部位により、第二締結固定部F2が構成される。
【0056】
一体回転するロータ支持部材22及び動力伝達部材T(すなわち、一体回転するロータ支持部材22、筒状連結部材32、及びカバー部42)は、図2等に示すように、軸第一方向A1側では、第一軸受61を介して回転可能な状態で、端部支持壁5と一体的に形成された筒状突出部11の外周面に径方向に支持されている。第一軸受61としては、比較的大きな径方向荷重を受けることが可能な軸受が用いられ、本例ではボールベアリングが用いられている。一方、一体回転するロータ支持部材22及び動力伝達部材Tは、軸第二方向A2側では、第二軸受62を介して回転可能な状態で、中間支持壁6の貫通孔の内周面に径方向に支持されている。第二軸受62としては、径方向荷重を受けることが可能な軸受が用いられ、本例ではニードルベアリングが用いられている。
【0057】
また、端部支持壁5の筒状突出部11を貫通する状態で配置された入力軸Iは、第三軸受63を介して回転可能な状態で、筒状突出部11の内周面に径方向に支持されている。第三軸受63としては、径方向荷重を受けることが可能な軸受が用いられ、本例ではニードルベアリングが用いられている。本実施形態では、入力軸Iは、筒状突出部11の内周面に沿って軸方向に所定距離を隔てて分かれて配置された2つの第三軸受63を介して、筒状突出部11の内周面に支持されている。
【0058】
3.入力クラッチC1におけるトルク伝達形態
次に、本実施形態に係る入力クラッチC1におけるトルク伝達形態について説明する。ここでは、オイルポンプ9が停止している状態であるポンプ停止時と、駆動力源としての内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方によりオイルポンプ9が駆動されている状態であるポンプ駆動時と、に分けて説明する。
【0059】
3−1.ポンプ停止時
内燃機関E及び回転電機MGの双方の停止状態では、オイルポンプ9も停止状態にあり、当該オイルポンプ9は油を吐出しない。この状態では、入力クラッチC1の作動油圧室H1及び循環油圧室H2の双方に供給される油圧はいずれも略ゼロとなる。そのため、軸方向の両側からピストン34に対して油圧はほとんど作用しない。但し、本実施形態においては、上記のとおり筒状連結部材32の径方向延在部32b(取付部32c)とピストン34との間に皿ばね35が配置されており、この皿ばね35はピストン34を軸第二方向A2に付勢している。そのため、ピストン34は、オイルポンプ9の停止状態でも、皿ばね35の付勢力により、複数の摩擦部材33どうしを所定の係合圧で互いに摩擦係合させることができる。よって、入力クラッチC1は、オイルポンプ9の停止状態で作動油圧室H1及び循環油圧室H2の双方に油が供給されていない状態でも、皿ばね35の付勢力により入力軸Iと動力伝達部材Tとの間のトルク伝達が可能である。すなわち、本実施形態に係る入力クラッチC1は、所謂ノーマルクローズ型の摩擦係合装置の一種として構成されている。
【0060】
図5に示すように、本実施形態では、皿ばね35は、径方向外側端部が取付部32cに設けられた段差部32hに当接すると共に径方向内側端部における軸第二方向A2側の側面がピストン34の突起部34cに当接した状態で配置されている。このように、本実施形態では肉厚に形成された取付部32cの一部に皿ばね35が当接して配置されるので、取付部32cにより皿ばね35の一方端(本例では、径方向外側端部)を安定的に支持することができる。このとき、回転電機MGのロータ支持部材22と筒状連結部材32とを第一ボルト71により締結固定するための部位である取付部32cを利用して、特別な部品を追加等することなく皿ばね35を安定的に支持することができる。また、本実施形態では、取付部32cの摩擦対向面32gに形成された段差部32hに当接して皿ばね35が配置されているので、全体として環状に形成された皿ばね35の径方向の位置決めを適切に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、ピストン34に形成された断面円弧状の突起部34cに、皿ばね35の径方向内側端部における軸第二方向A2側の側面が当接した状態で配置されるので、皿ばね35が弾性変形し或いは作動油圧室H1に供給される油圧の作用によってピストン34が軸方向に移動することに伴う、皿ばね35とピストン34との当接部の変位によらずに、ピストン34を円滑に押圧することができる。更に、本実施形態では、作動油圧室H1の径方向外側のピストン34の筒状延在部34aと等しい径方向位置に突起部34cが形成されているので、当接押圧部34bに対してより近い径方向位置で、皿ばね35の付勢力をピストン34に対して作用させることができる。よって、作動油圧室H1の径方向外側に配置される摩擦部材33に対して、皿ばね35の付勢力を効率良く作用させることが可能となっている。
【0062】
本実施形態では、皿ばね35の付勢力の大きさは、入力クラッチC1の作動油圧室H1に油が供給されておらず、かつ循環油圧室H2にも油が供給されていない状態で、所定範囲内の大きさとなるように予め設定されている。ここで、「所定範囲内の大きさ」は、以下に説明する第一制限閾値T1以上、かつ、第二制限閾値T2以下となる範囲である。第一制限閾値T1は、作動油圧室H1及び循環油圧室H2の双方に油が供給されていない状態で、入力クラッチC1を介して内燃機関Eのトルクをオイルポンプ9に伝達して、当該オイルポンプ9を停止状態から駆動させることができるような付勢力(荷重)の下限値とされている。また、第二制限閾値T2は、作動油圧室H1及び循環油圧室H2の双方に油が供給されていない状態で、入力クラッチC1を介して回転電機MGのトルクが内燃機関Eに伝達されたとしても停止状態にある内燃機関Eをそのまま停止状態に維持させることができるような付勢力(荷重)の上限値とされている。
【0063】
本実施形態では、皿ばね35の付勢力の大きさが上記のように設定されているので、回転電機MGのトルクのみならず、内燃機関Eのトルクをもオイルポンプ9に伝達することができる。よって、内燃機関Eのトルクを利用してオイルポンプ9を駆動し、所定の油圧を得て入力クラッチC1を係合させることができる。よって、例えば回転電機MGの故障時等であっても、内燃機関Eのトルクにより車両を適切に走行させることができる。また、回転電機MGの正常動作時には、回転電機MGがトルクを出力する際に、皿ばね35の付勢力によって回転電機MGのトルクの一部が内燃機関Eに伝達されたとしても基本的には内燃機関Eをそのまま停止状態に維持することができる。
【0064】
3−2.ポンプ駆動時
内燃機関E及び回転電機MGの少なくとも一方が駆動している状態では、オイルポンプ9も駆動状態にあり、当該オイルポンプ9は油を吐出する。この状態では、油圧制御装置(図示せず)を介して入力クラッチC1の作動油圧室H1及び循環油圧室H2に供給される油圧をそれぞれ所定の大きさに制御することができる。本例では、循環油圧室H2に供給される油圧は基本的には状況によらずに略一定の大きさに維持され(以下、「循環圧Pc」と称する。)、作動油圧室H1に供給される油圧は、状況に応じて所望の大きさとなるように制御ユニット(図示せず)からの指令値等に基づいて制御される。より具体的には、作動油圧室H1に供給される油圧は、通常時は供給油圧がゼロとなり、必要な場合には所定の完全係合圧(入力クラッチC1が、当該入力クラッチC1に伝達されるトルクの変動に関わらずに定常的に直結係合状態となる圧)となるように制御される。
【0065】
例えば車両の走行時等に、作動油圧室H1に供給される油圧がゼロのままで、循環油圧室H2に供給される油圧が循環圧Pcとなった状態では、軸第二方向A2側からピストン34に対して循環圧Pcが作用する。これにより、循環油圧室H2に供給される循環圧Pcにより、所定の係合圧で複数の摩擦部材33どうしを互いに押圧するように配置された皿ばね35の付勢力を相殺することができる。その結果、入力クラッチC1を解放させることができる。よって、例えば車両の発進後に十分な循環圧Pcが得られた後は、入力クラッチC1を解放状態として内燃機関Eの引き摺りを抑制した状態で、所謂電動走行モードで回転電機MGのトルクのみにより車両を走行させることができる。なお、運転者による車両の発進のための予備的な操作を検出し、その検出結果に基づいて車両の発進前に回転電機MGのトルクによりオイルポンプ9を駆動して入力クラッチC1を解放させ、当該入力クラッチC1の解放状態で車両を実際に発進させる構成としても好適である。
【0066】
また、例えば車両の走行時等に、作動油圧室H1に供給される油圧が上昇して所定圧より大きくなった状態では、作動油圧室H1に供給される油圧により、ピストン34に対して軸第二方向A2側から作用する循環圧Pcを相殺して更にピストン34を軸第二方向A2側へと押圧し、複数の摩擦部材33どうしを互いに押圧させることができる。その結果、入力クラッチC1を係合させることができる。よって、例えば上り坂での走行時等、車両を走行させるために要求される駆動力が非常に大きくなるような状況で、入力クラッチC1を係合状態として内燃機関Eのトルクを車輪Wに伝達可能な状態で、所謂パラレル走行モードで内燃機関E及び回転電機MGの双方のトルクにより車両を適切に走行させることができる。
【0067】
なお、電動走行モードからパラレル走行モードへのモード切替に際しては、入力クラッチC1を介して伝達される回転電機MGのトルクにより内燃機関Eをクランキングして始動させる内燃機関始動制御が実行される。この内燃機関始動制御では、所望のタイミングで迅速に内燃機関Eを始動させるため、入力クラッチC1の係合及び解放に関して高い制御応答性が要求される。
【0068】
ところで、仮に皿ばね35が作動油圧室H1内に配置されている場合には、当該皿ばね35が占める領域の軸方向の長さ分だけ、作動油圧室H1の容積を拡大させる必要がある。作動油圧室H1の容積が大きくなると、その分だけ当該作動油圧室H1に油が充填されるまでの時間が長くなるので、入力クラッチC1の係合及び解放に係る応答性が低下する。この点、本実施形態では、作動油圧室H1内ではなく作動油圧室H1の外部に皿ばね35が配置されている。そのため、皿ばね35の存在を考慮することなく作動油圧室H1の容積を決定することができる。すなわち、ピストン34を押圧方向となる軸第二方向A2に付勢するべく皿ばね35を設ける場合あっても、作動油圧室H1の容積を拡大させる必要がない。従って、本実施形態に係る駆動装置1では、入力クラッチC1の係合及び解放に係る応答性を良好に維持することが可能となっている。
【0069】
4.その他の実施形態
最後に、本発明に係る車両用駆動装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、その実施形態でのみ適用されるものではなく、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0070】
(1)上記の実施形態においては、取付部32cの摩擦対向面32gに、当該摩擦対向面32gに対して軸第一方向A1側に窪むように形成された段差部32hに当接して、皿ばね35が配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば取付部32cの摩擦対向面32gに対して軸第二方向A2側に突出する突出部を形成し、当該突出部と摩擦対向面32gとに当接して皿ばね35が配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、当該突出部により皿ばね35の径方向の位置決めが行われる。或いは、そのような突出部を備えることなく、軸方向延在部32aと摩擦対向面32gとに当接して皿ばね35が配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、軸方向延在部32aにより皿ばね35の径方向の位置決めが行われる。
【0071】
(2)上記の実施形態においては、軸方向延在部32a及び径方向延在部32bと一体的に、軸方向及び径方向に所定厚さを有する肉厚部として形成された取付部32cに当接して、皿ばね35が配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのような肉厚の取付部32cを備えることなく、例えば略平坦な板状に形成された径方向延在部32bの側面に当接して皿ばね35が配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、ロータ支持部材22と筒状連結部材32との間の第一締結固定部F1は、例えば溶接等による接合部位として構成されていると好適である。
【0072】
(3)上記の実施形態においては、ピストン34と一体的に形成され、当該ピストン34から軸第一方向A1側に突出する断面円弧状の突起部34cに当接して、皿ばね35が配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、任意の断面形状を有するピストン34の突起部34cに当接して皿ばね35が配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、そのような突起部34cを有することなく、ピストン34(例えば、筒状延在部34aと当接押圧部34bとの連結部)の軸第一方向A1側の略平坦な側面に当接して皿ばね35が配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。更には、ピストン34の軸第一方向A1側の略平坦な側面に対して軸第二方向A2側に窪んだ任意の断面形状の凹部に当接して皿ばね35が配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0073】
(4)上記の実施形態においては、全体として環状に形成された皿ばね35が、径方向内側端部が径方向外側端部に対して軸第二方向A2側に位置する状態で配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのような皿ばね35が、径方向外側端部が径方向内側端部に対して軸第二方向A2側に位置する状態で配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、径方向延在部32b(取付部32cを含む)やピストン34の形状は、皿ばね35の配置状態に応じてそれに適合するように設定されていると好適である。
【0074】
(5)上記の実施形態においては、作動油圧室H1に油が供給されていない状態でもピストン34を押圧方向となる軸第二方向A2に付勢するべく、入力クラッチC1が皿ばね35を備えている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、上記の実施形態における皿ばね35と同様の機能を備えている限り、例えばコイルばね等のその他の付勢ばねを入力クラッチC1が備えた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0075】
(6)上記の実施形態においては、クラッチハブ31が入力軸Iと一体回転するように駆動連結されると共に、動力伝達部材Tを構成する筒状連結部材32が、クラッチハブ31と対をなすクラッチドラムとして機能し、筒状連結部材32とピストン34との間に作動油圧室H1が形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばクラッチドラムが入力軸Iと一体回転するように駆動連結されると共に、当該クラッチドラムと対をなすクラッチハブが回転電機MG等と一体回転するように駆動連結された構成とし、入力軸Iと一体回転するクラッチドラム(「係合入力側部材」に相当)とピストン34との間に作動油圧室H1が形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0076】
(7)上記の実施形態においては、ポンプインペラ41、タービンランナ45、及びステータ48を有するトルクコンバータTCが、流体継手として駆動装置1に備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばステータ48を有することなく、ポンプインペラ41及びタービンランナ45のみを有するフルードカップリング等が流体継手として駆動装置1に備えられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、そのような流体継手が駆動装置1に一切備えられていない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0077】
(8)上記の実施形態においては、駆動装置1が、FR(Front Engine Rear Drive)車両に搭載される場合に適した一軸構成とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばカウンタギヤ機構等を備え、入力軸I及び中間軸Mに共通の軸心Xとは軸心を異ならせて車軸が配置された、複軸構成の駆動装置とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような構成の駆動装置は、FF(Front Engine Front Drive)車両に搭載される場合に適している。
【0078】
(9)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載された構成及びこれと均等な構成を備えている限り、特許請求の範囲に記載されていない構成の一部を適宜改変した構成も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、回転電機と係合装置とを備えた車両用駆動装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 駆動装置(車両用駆動装置)
22 ロータ支持部材
31 クラッチハブ(係合入力側部材)
32 筒状連結部材(係合出力側部材)
32a 軸方向延在部
32b 径方向延在部
32c 取付部(締結取付部)
32g 摩擦対向面
32h 段差部
33 摩擦部材
34 ピストン(押圧部材)
34c 突起部
35 皿ばね(付勢ばね)
E 内燃機関
MG 回転電機
Ro ロータ
W 車輪
I 入力軸(入力部材)
O 出力軸(出力部材)
C1 入力クラッチ(係合装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、回転電機と係合装置とを備えた車両用駆動装置であって、
前記係合装置は、前記入力部材に連結された係合入力側部材と、前記係合入力側部材と対をなすと共に前記回転電機に連結された係合出力側部材と、前記係合入力側部材と前記係合出力側部材との間に配置された摩擦部材と、前記摩擦部材を押圧方向に押圧する押圧部材と、を備え、
前記係合入力側部材又は前記係合出力側部材と前記押圧部材との間に、前記押圧部材を前記押圧方向に押圧するための作動用の油圧が供給される作動油圧室が形成され、
前記作動油圧室に作動用の油圧が供給されない状態で前記押圧部材を前記押圧方向に付勢する付勢ばねが、前記作動油圧室の外部に配置されている車両用駆動装置。
【請求項2】
前記係合出力側部材は、前記摩擦部材の少なくとも径方向外側を覆うように軸方向に延びる軸方向延在部と、前記摩擦部材に対して前記押圧方向とは反対方向である反押圧方向側を径方向に延びる径方向延在部と、を有し、
前記作動油圧室は、前記摩擦部材の径方向内側に形成され、
前記押圧部材は、前記径方向延在部側から前記摩擦部材を押圧するように設けられ、
前記付勢ばねが、前記軸方向延在部の径方向内側であってかつ前記作動油圧室の径方向外側において、前記径方向延在部と前記押圧部材との間に配置されている請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記係合出力側部材は、前記回転電機のロータ部材をボルト締結するために肉厚に形成された締結取付部を前記径方向延在部と一体的に有し、
前記付勢ばねが、前記締結取付部の前記押圧方向側を向く面に形成された段差部に当接して配置されている請求項2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記押圧方向とは反対方向である反押圧方向側に突出する断面円弧状の突起部を有し、
前記付勢ばねが、前記突起部に当接して配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97842(P2012−97842A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246515(P2010−246515)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】