説明

車両用DCDCコンバータ装置

【課題】信頼性に優れ、主バッテリを構成する各電池ブロック間のばらつきへの対応が可能な車両用DCDCコンバータ装置を提供すること。
【解決手段】 互いに直列接続されて主バッテリ1を構成する複数の電池ブロック11〜18に対して一次側回路(第1交直変換回路)21〜28を個別に配置し、各一次側回路21〜28は共通のトランス部20及び共通の二次側回路(第2交直変換回路)を通じて補機バッテリ4に接続される。これにより、各一次側回路21〜28は、電池ブロック11〜18と補機バッテリ4との間の双方向送電を個別に担当することができるため、各電池ブロック11〜18の蓄電状態や劣化状態に応じて補機バッテリ4との間の電力伝送や、各電池ブロック11〜18間の電力伝送を調整することにより、主バッテリ1の各電池ブロック11〜18間の蓄電状態のばらつきを抑止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用DCDCコンバータ装置に関し、特に主バッテリと補機バッテリとの間で電力授受を行うための車両用DCDCコンバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車などでは、発電機や走行モ−タなどが接続される高電圧の主バッテリと、車両電装系や制御系などが接続される低電圧の補機バッテリと、主バッテリから補機バッテリへの送電を行う車両用DCDCコンバータ装置とを装備する二電圧型電源系を装備している(特許文献1)。主バッテリの小型軽量化又は大容量化のために、リチウムイオン電池を主バッテリとして採用することが検討、研究されている。
【0003】
リチウムイオン電池は過充電や過放電に弱いため、リチウムイオン電池からなる電池セルを直列接続してなるリチウムイオン組電池では、各電池セルの電圧差を低減するための均等化回路を設けるのが通常である。この種の均等化回路として、特許文献2はスイッチと抵抗素子とを用いた回路を提案し、特許文献3はスイッチとコンデンサとを用いた回路を提案している。
【0004】
本出願人の出願になる下記の特許文献4は、2つのトランスを相補的に動作させる2トランス型DC−DCコンバータを提案している。
【特許文献1】特開昭62ー173901号公報
【特許文献2】特許第3796918号
【特許文献3】特開平10ー164768号公報
【特許文献4】特開平2006ー166550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した車両用DCDCコンバータ装置を装備する二電圧型電源系では、もしも車両用DCDCコンバータ装置が不良となると、補機バッテリへの送電ができないため補機バッテリの電圧低下が生じてしまう。
【0006】
また、上記したスイッチ・抵抗回路型の均等化回路では、高電圧セルの蓄電電力を抵抗素子にて熱消費するため、電力の無駄が大きい他、抵抗素子を搭載する基板の温度上昇も問題となった。更に、スイッチ・コンデンサ回路型の均等化回路では、必要な電力を電池ブロック間で転送するためには複雑な回路が必要となる他、コンデンサの蓄電電力が小さいため多数回のスイッチングが必要となり、均等化のために長時間が必要となった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、信頼性に優れ、均等化も容易な車両用DCDCコンバータ装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、複数の電池ブロックを直列接続してなる高電圧の主バッテリから低電圧の補機バッテリへ電気絶縁可能に電力を伝送する車両用DCDCコンバータ装置において、前記複数の電池ブロックそれぞれと前記補機バッテリとの間の電力伝送を別々に行う複数のDC/DCコンバ−タと、前記複数のDC/DCコンバ−タの電力伝送量を個別に制御可能な制御部とを備え、前記各DCDCコンバータは、前記主バッテリ側と直流電力を授受する第1交直変換回路と、前記補機バッテリと直流電力を授受する第2交直変換回路と、前記第1交直変換回路と第2交直変換回路との間に配置されるトランスとを有し、前記各DCDCコンバータの前記第2交直変換回路及び前記トランスのコア及び二次コイルは、共通とされていることをその特徴としている。
【0009】
すなわち、この発明の車両用DCDCコンバータ装置は、互いに直列接続されて主バッテリを構成する複数の電池ブロックと補機バッテリとをそれぞれDC−DCコンバータにより接続することをその特徴としている。このようにすれば、一つのDC−DCコンバータが故障したとしても、残りのDC−DCコンバータを通じて補機バッテリへ送電することができることにより、補機バッテリの電圧低下によりそれに接続される重要電子機器たとえば制御装置などの運転が不良となったり、照明が低下したりするといった問題を解決することができる。
【0010】
また、各DC−DCコンバータは、主バッテリの各電池ブロックと補機バッテリとの間の送電を独立制御することができるため、蓄電量が大きい電池ブロックから補機バッテリへの送電を蓄電量が小さい電池ブロックから補機バッテリへの送電より大きくするしたり、端子電圧が過大となった電池ブロックから補機バッテリへ緊急送電したり、端子電圧が過小となった電池ブロックから補機バッテリへの送電を停止したりして、各電池ブロック間の電圧ばらつきを低減することができる。すなわち、これらDC−DCコンバータは、一種の均等化回路として作動させることもできる。なお、主バッテリの放電は、補機バッテリ側にて有効利用されるため電力の無駄は生じない。
【0011】
更に、この発明では、各DCDCコンバータの第2交直変換回路及びトランスの二次コイル及びコアが共通としているため、回路構成が簡素となり、コンパクトに作製することができる。
【0012】
なお、電池ブロックは、複数の電池セルを直列接続して構成されることができる他、1個の電池セルにて構成しても良い。本発明の車両用DCDCコンバータ装置は、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車などの二電圧型電源系に採用できる他、二電圧型電源系を搭載する通常の内燃機関車にも適用可能である。
【0013】
好適な態様において、前記DC/DCコンバ−タは、双方向電力伝送可能な双方向DC/DCコンバ−タからなる。このようにすれば、補機バッテリからの送電により主バッテリの蓄電電力不足を補うことができる他、補機バッテリから過小電圧の電池ブロックへの送電により、主バッテリの各電池ブロック間の電圧ばらつき(蓄電量ばらつき)低減により均等化を行うこともできる。更にはある電池ブロックから補機バッテリ側への送電と、補機バッテリ側から他の電池ブロックへの送電とを同時に実施することにより、補機バッテリの充放電を介することなく、電池ブロック間の均等化を行うこともできる。
【0014】
好適な態様において、前記制御部は、前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、少なくとも各電池ブロック間の蓄電量の差が小さい場合に前記主バッテリから前記補機バッテリへの送電において前記各DC/DCコンバ−タの送電電力量を等しく制御する。このようにすれば、主バッテリから補機バッテリへの送電により、電池ブロック間の蓄電量のばらつきが増大するのを防止することができる。
【0015】
好適な態様において、前記制御部は、前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、相対的に蓄電量が大きい前記電池ブロックから相対的に蓄電量が小さい前記電池ブロックへ前記補機バッテリを介して送電させる。このようにすれば、補機バッテリの充放電を抑止しつつ、且つ、無駄な電力消費を減らしつつ、均等化を行うことができる。
【0016】
好適な態様において、前記制御部は、前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、相対的に蓄電量が大きい前記電池ブロックから前記補機バッテリへの送電量を、相対的に蓄電量が小さい前記電池ブロックから前記補機バッテリへの送電量よりも大きくする。このようにすれば、各電池ブロック間の蓄電量のばらつきを低減しつつ補機バッテリへ給電することができる。なお、蓄電量が小さい電池ブロックから補機バッテリへの送電を選択的に停止させてもよい。
【0017】
好適な態様において、前記制御部は、前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、前記補機バッテリから相対的に蓄電量が小さい前記電池ブロックへの送電量を、前記補機バッテリから相対的に蓄電量が大きい前記電池ブロックへの送電量よりも大きくする。このようにすれば、各電池ブロック間の蓄電量のばらつきを低減しつつ主バッテリへ給電することができる。なお、蓄電量が大きい電池ブロックへの補機バッテリからの送電を選択的に停止させてもよい。
【0018】
好適な態様において、前記制御部は、前記主バッテリの温度を検出する電池状態検出部を有するとともに、前記主バッテリの温度が所定しきい以下と判断した場合に、前記各電池ブロックの一部を放電させ、前記各電池ブロックの残りを充電させることにより、前記主バッテリの温度を上昇させる。このようにすれば、主バッテリの温度が低い場合に主バッテリを無駄なく加温することができる。
【0019】
好適な態様において、前記制御部は、前記各電池ブロックの一部が不良であるかどうかを判断する電池状態検出部を有するとともに、不良と判断した前記電池ブロックと前記補機バッテリとの間の電力授受を抑制乃至禁止する車両用DCDCコンバータ装置。このようにすれば、たとえ、一つの電池ブロックが不良となったとしても、補機バッテリへの給電を確保することができる。
【0020】
好適な態様において、前記制御部は、前記各電池ブロックの満充電容量を算出する電池状態検出部を有するとともに、満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックの充電時に満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックから補機バッテリへの送電を行い、満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックの放電時に満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックへ前記補機バッテリから送電を行う。このようにすれば、満充電容量が相対的に小さい電池ブロックが充電時に早期に満充電に達するのを抑止することができる。また、満充電容量が相対的に小さい電池ブロックが放電時に早期に過放電に達するのを抑止することができ、主バッテリの実質的に使用可能なSOCを増大することができる。
【0021】
なお、満充電容量が相対的に小さい電池ブロックと補機バッテリとの間の上記した電力授受は、他の正常な電池ブロックと補機バッテリとの逆方向の電力授受により補償されることができる。この補償により、他の正常な電池ブロックと上記した相対的に小さい電池ブロックとの間のSOCの差は更に抑止することができる。
【0022】
また、満充電容量が相対的に小さい電池ブロックが充電時に早期に満充電に達した後、この満充電容量が相対的に小さい電池ブロックから補機バッテリへの送電を行うことにより、他の電池ブロックへの充電を持続することができる。同様に、満充電容量が相対的に小さい電池ブロックが放電時に早期に最低SOC値に達した後、この満充電容量が相対的に小さい電池ブロックへ補機バッテリから送電を行うことにより、他の電池ブロックの放電を持続することもできる。
【0023】
結局、この方法によれば、主バッテリの充放電能力(最大SOC値と最小SOC値との間のSOC範囲)を、満充電容量が相対的に小さい電池ブロックのそれを超えて設定することができる。
【0024】
好適な態様において、前記制御部は、前記各電池ブロックから前記各DC−DCコンバータを通じて前記補機バッテリへ送電するに際して、前記各DC−DCコンバータのスイッチングトランジスタを異なるタイミングでオンさせる。このようにすれば、電流リップルやスイッチングノイズを低減することができる。
【0025】
好適な態様において、前記DC−DCコンバータは、コイルN1、N2、N3をもつトランスT1と、コイルN4、N5、N6をもつトランスT2とを有し、コイルN1、N4は直列接続されて第1コイルペアを構成し、コイルN2、N5は直列接続されて第2コイルペアを構成し、コイルN1の他端は前記第1コイルペアの独立端子(Te1)をなし、コイルN2の他端は前記第2コイルペアの独立端子(Te2)をなし、コイルN4、N5の他端は前記第1、第2コイルペアの共通端子(Tec)をなすトランスペアと、一端が前記共通端子(Tec)に他端が前記独立端子(Te2)に接続されるトランジスタ(Q1)と、一端が前記共通端子(Tec)に他端が前記独立端子(Te1)に接続されるトランジスタ(Q2)とを直列接続して構成されるとともに前記電池ブロックの両端に接続され、前記両トランジスタ(Q1、Q2)の相補的スイッチングにより交直電力変換を行う第1交直変換回路と、コイルN3と直列接続されるトランジスタ(Q4)と、コイルN6と直列接続されるトランジスタ(Q3)と有し、両トランジスタ(Q3、Q4)の一端は共通接続されて第1の出力端をなし、両トランジスタ(Q3、Q4)の他端はコイルN3、N6を個別に通じて第2の出力端をなし、前記両トランジスタ(Q3、Q4)の相補的スイッチングにより交直電力変換を行う第2交直変換回路とを有し、前記各DCDCコンバータの両トランジスタ(Q3、Q4)、トランスT1のコア及びトランスT2のコアは、共通化されている。このようにすれば、上記した各効果を奏することができるとともに、更に効率向上と電流リップルやスイッチングノイズの低減とを実現することができる。
【0026】
好適な態様において、前記独立端子(Te1)は、コンデンサ(C1)を通じて前記トランジスタ(Q2)の他端に接続され、前記独立端子(Te2)は、コンデンサ(C2)を通じて前記トランジスタ(Q1)の他端に接続されている。このようにすれば、トランジスタ(Q1)やトランジスタ(Q2)の断続に伴うリップル電圧を減らすことができるとともに、トランジスタ(Q1)やトランジスタ(Q2)がオン故障したとしても電池ブロックからトランスへ直流電流が流れるのを防止することができるため信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
ハイブリッド自動車に適用した本発明の好適な実施態様を以下の実施例を参照して説明する。
【0028】
(回路構成)
この実施形態のハイブリッド車の電気系を図1を参照して説明する。1は多数の電池ブロックを直列接続してなる高電圧の主バッテリ、2は補機バッテリ給電装置(本発明で言う車両用DC−DCコンバータ装置)、3は平滑コンデンサ、4は車両の補機バッテリ、5はマイコンを含む制御装置(制御部)である。
【0029】
組電池からなる主バッテリ1を構成する電池ブロックとして、図1には8つの電池ブロック11〜18が図示されているが、直列接続する電池ブロック数は任意である。この実施形態では、一つの電池ブロックは8つのリチウム二次電池セルを直列接続して構成されているが、それも任意である。主バッテリ1は、図略の発電機及び高電圧電気負荷に接続されている。
【0030】
補機バッテリ給電装置2は、双方向DC−DCコンバータであって、合計8セットの一次側回路21〜28と、1セットのトランス部20と、1セットの二次側回路29とからなり、電池ブロック11〜18と補機バッテリ4とをそれぞれ双方向電力授受可能に接続している。平滑コンデンサ3は、補機バッテリ4と並列接続されており、各一次側回路21〜28の出力電圧リップルを吸収する。
【0031】
補機バッテリ給電装置2は、主バッテリ1から補機バッテリ4及びそれに接続される低電圧の電気負荷(図示せず)給電しているが、何らかの原因で主バッテリ1の給電能力が不足する場合に補機バッテリ4から入力された低電圧電力を昇圧して主バッテリ1へ給電することもできる。双方向への給電可能に車両用2電源系に設けられるこの種の補機バッテリ給電装置2は公知となっている。なお、補機バッテリ給電装置2の各一次側回路21〜28を、主バッテリ1から補機バッテリ4への給電のみを行う単方向DC−DCコンバータにより構成してもよい。
【0032】
制御装置5には、主バッテリ1又は補機バッテリ4の端子電圧に基づいて補機バッテリ給電装置2を制御することにより上記した主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電を実行し、主バッテリ1又は補機バッテリ4の端子電圧を一定範囲に維持する。この種の補機バッテリ給電装置2の制御は公知となっている。この実施例では更に、制御装置5は、各電池ブロック11〜18の電圧や外部からの入力情報に基づいて判断した適切なタイミングにて、各電池ブロック11〜18間の電圧ばらつきを減らすブロック間均等化を行う。たとえば、このブロック間均等化は、一次側回路21〜28の一部を主バッテリ1から補機バッテリ4への順方向降圧送電モードで運転し、一次側回路21〜28の他の一部を補機バッテリ4から主バッテリ1への逆方向昇圧送電モードで運転することにより実行される。言うまでもないが、各一次側回路21〜28は主バッテリ1の各電池ブロック11〜18のうち自己が接続された電池ブロックと補機バッテリ4との間の送電を分担する。
【0033】
(双方向DC−DCコンバータ2)
この実施形態で採用した双方向DC−DCコンバータ2について、図2を参照して以下に説明する。ただし、この双方向DC−DCコンバータ2の一次側回路21〜28は同じ回路構成を採用しているため、図2では一次側回路21〜28のうち一次側回路21、22だけを図示する。また、この実施形態はいわゆる2トランス型のDC−DCコンバータの回路構成を採用しているため、トランス部20は、2つのトランスT1、T2により構成されている。図2では、一次側回路21、22に接続されるコイルN1、N4及びコイルN2、N5だけを図示するが、実際にはトランスT1、T2のコア20A、20Bに他の一次側回路23〜28のコイルN1、N4及びコイルN2、N5も同様に巻回されている。一次側回路21〜28は同一回路構成をもつため、トランスT1、T2を通じての一次側回路21と二次側回路29との間の電力授受を行うDCDCコンバータ部分だけを図2を参照して説明する。
【0034】
一次側回路21は、互いに直列接続されて相補動作するトランジスタQ1、Q2と、コンデンサC1、C2とにより構成されている。トランスT1はコア20AにコイルN1、N2を各一次側回路ごとに巻装してなり、トランスT2はコア20BにコイルN4、N5を巻装してなる。また、トランスT1のコア20AにはコイルN3が巻装され、トランスT2のコア20BにはコイルN6が巻装されている。トランスT1のコアとトランスT2のコアとは磁気的に分離されている。言い換えると、コイルN1、N2、N3とコイルN4、N5、N6とは磁気的に分離されている。第2交直変換回路6Bは、相補動作するトランジスタQ3、Q4からなり、いわゆる同期整流回路と同じ回路構成を有している。トランジスタQ1〜Q4はこの実施形態ではMOSトランジスタにより構成されている。
【0035】
(一次側回路21)
一次側回路(本発明で言う第1交直変換回路)21について以下に説明する。
【0036】
トランジスタQ1、Q2は互いに直列接続されて電池ブロック11の両端に接続されている。なお、トランジスタQ1は電池ブロック11の低電位端に、トランジスタQ2は電池ブロック11の高電位端に接続されている。SはトランジスタQ1、Q2の接続点である。電池ブロック11の高電位端は、コンデンサC1、コイルN1、N4を通じて接続点Sに達する。電池ブロック11の低電位端は、コンデンサC2、コイルN2、N5を通じて接続点Sに達する。
【0037】
(二次側回路29)
二次側回路(第2交直変換回路)29について以下に説明する。
【0038】
トランジスタQ3、Q4の接続点は、補機バッテリ4の低電位端(接地端)に接続されている。トランジスタQ4のドレイン端子は、コイルN3を通じて補機バッテリ4の高電位端に接続されている。トランジスタQ3のドレイン端子は、コイルN6を通じて補機バッテリ4の高電位端に接続されている。
【0039】
(動作)
以下、このDCDCコンバータ21の動作を説明する。
【0040】
(一次側回路21から二次側回路29への送電動作)
この実施形態では、トランジスタQ1、Q4とが同期動作し、トランジスタQ2、Q3が同期動作し、トランジスタQ1、Q4とトランジスタQ2、Q3とは相補動作(逆動作)する。もちろん、デッドタイムを適宜設けても良い。
【0041】
トランジスタQ1、Q4がオン、トランジスタQ2、Q3がオフしているモードAでは、コンデンサC1を通じてコイルN1、コイルN4の順に電流が流れ、この電流の増加に応じてトランスT1、T2の磁束が第1の方向へ増加する。これにより、コイルN3の出力電圧が補機バッテリ4へ印加される。コイルN6の逆向き電圧はトランジスタQ3のオフにより遮断される。
【0042】
次に、トランジスタQ1、Q4がオフ、トランジスタQ2、Q3がオンしているモードBでは、トランジスタQ2、コイルN5、コイルN2、コンデンサC2の順に電流が流れる。コイルN1、N4の巻き方向とコイルN2、N5の巻き方向とが逆となっているため、この電流の増加に応じてトランスT1、T2の磁束は上記した第1の方向とは逆の第2の方向へ増加する(第1の方向に見ると減少する)。これにより、コイルN6の出力電圧が補機バッテリ4へ印加される。コイルN3の逆向き電圧はトランジスタQ4のオフにより遮断される。
【0043】
なお、この実施形態では、コンデンサC1、C2を設けているため、各モードの終期において、コンデンサC1、C2の蓄電電圧により上記電流は十分に減衰されることになる。
【0044】
また、モードAでは、トランジスタQ1のオンにより、コンデンサC2、コイルN2、N5が短絡回路を構成する。このため、コンデンサC2に蓄電された電荷がコイルN2、N5を上記モードBとは逆向きに流れる。その結果、モードAにおいてコイルN2、N5を通じて流れるコンデンサC2の放電電流は、コイルN1、N4に流れる電流が形成する上記磁束を強める。
【0045】
また、モードBでは、トランジスタQ2のオンにより、コンデンサC1、コイルN1、N4が短絡回路を構成する。このため、コンデンサC1に蓄電された電荷がコイルN1、N4を上記モードAとは逆向きに流れる。その結果、モードBにおいてコイルN1、N4を通じて流れるコンデンサC1の放電電流は、コイルN2、N4を流れる電流が形成する上記磁束を強める。
【0046】
トランジスタQ1のデューティがD(トランジスタQ2のデューティが1−D)の場合の、デューティDと出力電圧Voutとの関係を図3に示す。図3から、デューティDを調節することにより出力電圧Voutを調節できることが理解される。この2トランス型DC−DCコンバータは、2つのトランスの逆動作を利用してトランジスタQ1のオン期間とオフ期間とで電圧を交互に出力できるともに、2つのトランスのうち、二次側に電流を出力しない期間にトランスの磁束を元の状態に復帰させることができ、高効率でリップルが少なくかつデューティDの調整により出力電圧を自由に変更することができる。
【0047】
(二次側回路29から一次側回路21への送電)
一次側回路21がコイルN3、N6に出力する電圧が補機バッテリ4の端子電圧より小さい場合には、コイルN3、N6には流れる電流は逆向きとなり、これはモードAではコイルN1、N4の電圧を高めてコンデンサC1を通じて流れる電流を逆向きとして電池ブロック11を充電し、モードBではコイルN5、N2、コンデンサC2を通じて流れる電流を逆向きとして電池ブロック11を充電する。
【0048】
つまり、デューティDの調節により二次側回路29の出力電圧を低下させれば、補機バッテリ4から電池ブロック11への逆方向昇圧送電が実行され、その量はデューティDの調節により簡単に制御することができる。
【0049】
(変形態様)
なお、一次側回路(第1交直変換回路)21としては種々の変形が可能である。たとえば、コンデンサC1、C2を省略してもよい。この場合には、モードA期間においてトランジスタQ1による短絡によりコイルN2、N5に蓄積された磁気エネルギーが消勢される。ただし、この時、コイルN2、N5を流れる電流がトランスT1、T2のコアに形成する磁束の向きはモードAにおいてコイルN1、N4が形成する磁束の向きと逆となるため、効率がやや低下する。同じく、モードB期間においてトランジスタQ2による短絡によりコイルN1、N4に蓄積された磁気エネルギーが消勢される。ただし、この時、コイルN1、N4を流れる電流がトランスT1、T2のコアに形成する磁束の向きはモードBにおいてコイルN2、N5が形成する磁束の向きと逆となるため、効率がやや低下する。
【0050】
その他、一次側回路21として、従来周知のHブリッジ型のインバータを採用しても良い。この場合にはトランスは1個となるため、二次側回路(第2交直変換回路)29が接続されるトランスの二次コイルとしては中間タップ付きのものが採用されるべきである。Hブリッジ型のインバータについては周知であるためその詳細説明は省略するものとする。
【0051】
図2に示すDCDCコンバータの各部電圧算出式を図11に示し、その各部波形を図12に示す。
【0052】
(実施例効果)
上記説明したこの実施形態の補機バッテリ給電装置(車両用DC−DCコンバータ装置)2は、主バッテリ1の各電池ブロック11〜18ごとに個別に設けられた一次側回路21〜28を有し、トランスT1、T2は、コイルN1、N4、コイルN2、N5を各一次側回路21〜28毎に有している。したがって、制御部5が一次側回路21〜28のトランジスタQ1のデューティDを個別に制御することにより、主バッテリ1から補機バッテリ4への降圧送電において各電池ブロック11〜18から補機バッテリ4への電力伝送量を必要に応じて調整することが可能となる。すなわち、各一次側回路21〜28は、トランスT1、T2において磁気的に並列接続されていると考えることができるため、各一次側回路21〜28のデューティDを独立制御することにより、各電池ブロック11〜18から補機バッテリ4への送電電力は自由に調節することができる。電池ブロック11〜18と補機バッテリ4との間の電力伝送の各例について更に説明する。
【0053】
(主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電例1)
主バッテリ1から補機バッテリ4への降圧送電の制御例を図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0054】
まず電池ブロック11〜18のブロック電圧Vn1〜Vn8と、補機バッテリ給電装置2の出力電圧V2を読み込み(S100)、出力電圧V2と目標電圧との差を0とするように平均デューティDを算出する(S102)。ここで言う平均デューティDとは各一次側回路21〜28のトランジスタQ1のデューティDの平均値とする。次に、ブロック電圧Vn1〜Vn8のうちの最大値と最小値との差であるばらつきが所定しきい値を超えたかどうかを算出し(S104)、それが所定しきい値を超えていない場合には各一次側回路21〜28を平均デューティDで運転する(S106)。超えている場合には、ブロック電圧Vn1〜Vn8のうち電圧が大きい電池ブロックのデューティDが平均デューティDよりも大きくなり、電圧が小さい電池ブロックのデューティDが平均デューティDよりも小さくなるように、ブロック電圧Vn1〜Vn8の大きさに応じて調整して、決定した各デューティDにより各一次側回路21〜28を個別に制御する(S108)。
【0055】
これにより、SOCが相対的に大きく電圧が相対的に高い電池ブロックから補機バッテリ4への送電量が、SOCが相対的に小さく電圧が相対的に低い電池ブロックから補機バッテリ4への送電量よりも大きくなるために、主バッテリ1から補機バッテリ4への送電と同時に電池ブロック11〜18間の均等化も実現することができる。なお、この制御は特に、補機バッテリ4の電圧が低く、その放電が困難な場合に好適である。
【0056】
(主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電例2)
主バッテリ1と補機バッテリ4との電力授受の制御例を図5に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0057】
電池ブロック11〜18のブロック電圧Vn1〜Vn8と、補機バッテリ給電装置2の出力電圧V2を読み込み(S100)、出力電圧V2があるしきい値電圧Vth1を超えているかどうかを調べ(S112)、超えていればこれ以上の補機バッテリ4のSOCの増大を回避するために以下の制御を実行する。
【0058】
まず、ブロック電圧Vn1〜Vn8のうちの最大値と最小値との差であるばらつきが所定しきい値を超えたかどうかを算出し(S114)、それが所定しきい値を超えている場合には、主バッテリ1から補機バッテリ4への送電量と、補機バッテリ4から主バッテリ1への逆送電量が一致するように、あるいは、後者が少し大きくなるように一次側回路21〜28を制御する(S116)。
【0059】
なお、ステップS116において、スイッチングトランジスタ(Q3、Q4)の動作を停止することも可能である。これは、たとえば一次側回路21〜28の一部(好適には半分)が補機バッテリ4への送電モード(順方向降圧送電モード又は順方向送電モード又は降圧送電モードとも言う)で送電させ、同時に、一次側回路21〜28の他の一部(好適には残りの半分)が補機バッテリ4から主バッテリ1側への逆送電モード(逆方向昇圧送電モード又は逆方向送電モード又は昇圧送電モードとも言う)で送電させ、順方向降圧送電モードでの送電電力と逆方向昇圧送電モードでの送電電力とが一致するように各一次側回路21〜28のデューティDを制御すれば、二次側回路29をスイッチングさせる必要がないためである。
【0060】
これにより、ブロック電圧が小さい電池ブロックは補機バッテリ4からDCDCコンバータを通じての逆送電により充電され、ブロック電圧が大きい電池ブロックはDCDCコンバータを通じて補機バッテリ4へ送電することにより放電されるため、電池ブロック11〜18間の均等化を実現することができる。また、この時、主バッテリ1から補機バッテリ4への送電電力を補機バッテリ4から主バッテリ1
への逆送電電力以下としているため、補機バッテリ4の有害な充電が生じることがなく、あるいは補機バッテリ4の充放電を生じることが無く、高効率にて均等化を実現することができる。
【0061】
(主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電例3)
主バッテリ1と補機バッテリ4との電力授受の制御例を図6に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0062】
電池ブロック11〜18のブロック電圧Vn1〜Vn8と、補機バッテリ4の電圧V2を読み込み(S100)、S122にて電圧V2が、既述のしきい値電圧Vth1より更に高いしきい値電圧Vth2を超えているかどうかを調べる(あるいは主バッテリ1のSOCが小さいかどうかを調べる)。そうであれば、これ以上の補機バッテリ4の充電を回避するために以下の制御を実行する。
【0063】
まず、ブロック電圧Vn1〜Vn8のうちの最大値と最小値との差であるばらつきが所定しきい値を超えたかどうかを算出し(S124)、それが所定しきい値を超えている場合には、補機バッテリ4から主バッテリ1の各電池ブロック11〜18への逆方向昇圧送電を行う(S126)。ただし、この態様では、補機バッテリ4からブロック電圧が大きい電池ブロックへのDCDCコンバータを通じての逆方向昇圧送電は相対的に小さく、補機バッテリ4からブロック電圧が小さい電池ブロックへのDCDCコンバータを通じての逆方向昇圧送電は相対的に大きくされる。
【0064】
これにより、ブロック電圧が小さい電池ブロックは補機バッテリ4からDCDCコンバータを通じての逆送電により相対的に強力に充電され、ブロック電圧が大きい電池ブロックは補機バッテリ4からDCDCコンバータを通じての逆送電により相対的に弱く充電されるため、電池ブロック11〜18間の均等化を実現するとともに、補機バッテリ4の過充電を防止することができる。
【0065】
(主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電例4)
主バッテリ1と補機バッテリ4との電力授受の制御例を図7に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0066】
まず、主バッテリ1の温度Tを検出し、温度Tが所定しきい値温度Tth未満であれば、電池ブロック11〜18の一部(好適には半分)から補機バッテリ4側へ所定電力を送電し、補機バッテリ4から電池ブロック11〜18の他の一部(好適には残りの半分)へほぼ等しい電力を送電する電池加熱サイクルを実行する(S134)。これにより、電力を無駄にすることなく、ほとんどの損失を主バッテリ1の各電池ブロック11〜18の電池内部抵抗により消費して各電池ブロック11〜18を急速かつ均一に昇温することができる。
【0067】
なお、上記送電により、各電池ブロック11〜18間のSOCばらつきが生じるため、その後、上記と逆方向に送電を行う電池加熱サイクルを行うことにより、各電池ブロック11〜18間のSOCばらつきを抑止しつつ、各電池ブロック11〜18を急速昇温することができる。
【0068】
(主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電例5)
主バッテリ1と補機バッテリ4との電力授受の制御例を図8に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0069】
まず、各電池ブロック11〜18の良不良を判定する電池不良判定サブルーチンを実行する(S140)。この電池不良判定動作については公知の種々の方法のどれを採用しても良い。たとえば、電池抵抗が過大な電池ブロックを不良としてもよく、電池ブロックのブロック電圧により判定してもよい。電池不良判定は本発明の要旨ではないので説明を省略するものとする。
【0070】
次に、上記電池不良判定動作の結果により不良な電池ブロックがあるかどうかを決定し(S142)、不良電池ブロックがあれば、一次側回路21〜28のうちこの不良電池ブロックに接続される一次側回路の動作を禁止する。これにより、主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電時に不良電池ブロックの充放電を行わないため、不良電池ブロックの過熱や更なる劣化を防止することができる。
【0071】
(主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電例6)
主バッテリ1と補機バッテリ4との電力授受の制御例を図9に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0072】
まず、各電池ブロック11〜18の容量すなわち満充電容量を算出する(S150)。ここで言う満充電容量とは電池ブロックが現在充放電可能な容量を言うものとする。満充電容量の算出には公知の種々の方法のどれを採用しても良い。たとえば、電池電圧と充放電電流積算値とに決定しても良い。満充電容量の算出自体は本発明の要旨ではないので説明を省略するものとする。S150では、満充電容量が他の電池ブロックの満充電容量より所定値以上小さい(たとえば60%以下)の電池ブロックを小容量電池ブロックと判定する。
【0073】
次に、主バッテリ1の充電及び放電の両方において、小容量電池ブロックの充放電電流をこの小容量電池ブロックに接続されたDCDCコンバータにより削減する制御を行う。
【0074】
更に詳しく説明すると、主バッテリ1の充電時において、小容量電池ブロックに接続される一次側回路(第1交直変換回路)は、小容量電池ブロックから補機バッテリ4への放電動作を行う。これにより、小容量電池ブロックが満充電に到達するのを抑止することができ、その分だけ、他の電池ブロックへ充電可能な電力量を増大させることができる。なお、小容量電池ブロックから補機バッテリ4への放電動作と並列に、補機バッテリ4から他の電池ブロックへの送電を実行しても良い。
【0075】
同様に、主バッテリ1の放電時において、小容量電池ブロックに接続される一次側回路(第1交直変換回路)は、補機バッテリ4から小容量電池ブロックへの充電動作を行う。これにより、小容量電池ブロックのSOCが他の電池ブロックよりも早期に低下するのを抑止することができ、その分だけ、他の電池ブロックが放電可能な電力量を増大させることができる。なお、補機バッテリ4から小容量電池ブロックへの送電(充電)動作と並列に、他の電池ブロックから補機バッテリ4への送電(放電)を実行しても良い。
【0076】
このようにすれば、かなり劣化した電池ブロックを有する主バッテリ1を用いて大きな電池エネルギーの充放電を実現することができる。
【0077】
(主バッテリ1と補機バッテリ4との間の送電例7)
主バッテリ1と補機バッテリ4との電力授受の制御例を図10に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0078】
まず、各電池ブロック11〜18の良不良を判定する電池不良判定サブルーチンを実行する(S160)。この電池不良判定動作については公知の種々の方法のどれを採用しても良い。たとえば、電池抵抗が過大な電池ブロックを不良としてもよく、電池ブロックのブロック電圧により判定してもよい。電池不良判定は本発明の要旨ではないので説明を省略するものとする。
【0079】
次に、上記電池不良判定動作の結果により不良な電池ブロックがあるかどうかを決定し(S162)、不良電池ブロックがあれば、この不良電池ブロックの充放電電流の大きさが所定値以下となるように、この不良電池ブロックに接続される一次側回路の送電又は逆送電動作を制御する(S164)。これにより、不良電池ブロックの過熱を抑止しつつ主バッテリ1の充電動作や放電動作を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施例の補機バッテリ給電装置を示す回路図である。
【図2】図1に示すDCDCコンバータの回路図である。
【図3】図2のDCDCコンバータのデューティと出力電圧との関係を示す特性図である。
【図4】図1の補機バッテリ給電装置の制御例を示すフロ−チャ−トである。
【図5】図1の補機バッテリ給電装置の制御例を示すフロ−チャ−トである。
【図6】図1の補機バッテリ給電装置の制御例を示すフロ−チャ−トである。
【図7】図1の補機バッテリ給電装置の制御例を示すフロ−チャ−トである。
【図8】図1の補機バッテリ給電装置の制御例を示すフロ−チャ−トである。
【図9】図1の補機バッテリ給電装置の制御例を示すフロ−チャ−トである。
【図10】図1の補機バッテリ給電装置の制御例を示すフロ−チャ−トである。
【図11】図2に示すDCDCコンバータの各部電圧算出式を示す説明図である。
【図12】図2に示すDCDCコンバータの各部波形を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0081】
C1、C2 コンデンサ
D デューティ
N1〜N6 コイル
Q1〜Q4 トランジスタ(スイッチングトランジスタ)
T1、T2 トランス
Vn1〜Vn8 ブロック電圧
1 主バッテリ
2 補機バッテリ給電装置
3 平滑コンデンサ
4 補機バッテリ
5 制御装置(制御部)
6A 交直変換回路
6B 交直変換回路
11〜18 電池ブロック
21〜28 DCDCコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池ブロックを直列接続してなる高電圧の主バッテリから低電圧の補機バッテリへ電気絶縁可能に電力を伝送する車両用DCDCコンバータ装置において、
前記複数の電池ブロックそれぞれと前記補機バッテリとの間の電力伝送を別々に行う複数のDC/DCコンバ−タと、前記複数のDC/DCコンバ−タの電力伝送量を個別に制御可能な制御部とを備え、
前記各DCDCコンバータは、
前記主バッテリ側と直流電力を授受する第1交直変換回路と、前記補機バッテリと直流電力を授受する第2交直変換回路と、前記第1交直変換回路と第2交直変換回路との間に配置されるトランスとを有し、
前記各DCDCコンバータの前記第2交直変換回路及び前記トランスのコア及び二次コイルは、共通とされていることを特徴とする車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記DC/DCコンバ−タは、双方向電力伝送可能な双方向DC/DCコンバ−タからなる車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、少なくとも各電池ブロック間の蓄電量の差が小さい場合に前記主バッテリから前記補機バッテリへの送電において前記各DC/DCコンバ−タの送電電力量を等しく制御する車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項4】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、相対的に蓄電量が大きい前記電池ブロックから相対的に蓄電量が小さい前記電池ブロックへ前記補機バッテリを介して送電させる車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項5】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、相対的に蓄電量が大きい前記電池ブロックから前記補機バッテリへの送電量を、相対的に蓄電量が小さい前記電池ブロックから前記補機バッテリへの送電量よりも大きくする車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項6】
請求項2記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記各電池ブロックの蓄電量を検出する電池状態検出部を有するとともに、前記補機バッテリから相対的に蓄電量が小さい前記電池ブロックへの送電量を、前記補機バッテリから相対的に蓄電量が大きい前記電池ブロックへの送電量よりも大きくする車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項7】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記主バッテリの温度を検出する電池状態検出部を有するとともに、前記主バッテリの温度が所定しきい以下と判断した場合に、前記各電池ブロックの一部を放電させ、前記各電池ブロックの残りを充電させることにより、前記主バッテリの温度を上昇させる車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項8】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記各電池ブロックの一部が不良であるかどうかを判断する電池状態検出部を有するとともに、不良と判断した前記電池ブロックと前記補機バッテリとの間の電力授受を抑制乃至禁止する車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項9】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記各電池ブロックの満充電容量を算出する電池状態検出部を有するとともに、満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックの充電時に満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックから補機バッテリへの送電を行い、満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックの放電時に満充電容量が相対的に小さい前記電池ブロックへ前記補機バッテリから送電を行う車両用DC−DCコンバータ装置。
【請求項10】
請求項1記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記各電池ブロックから前記各DC−DCコンバータを通じて前記補機バッテリへ送電するに際して、前記各DC−DCコンバータのスイッチングトランジスタを異なるタイミングでオンさせる車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記DC−DCコンバータは、
コイルN1、N2、N3をもつトランスT1と、コイルN4、N5、N6をもつトランスT2とを有し、コイルN1、N4は直列接続されて第1コイルペアを構成し、コイルN2、N5は直列接続されて第2コイルペアを構成し、コイルN1の他端は前記第1コイルペアの独立端子(Te1)をなし、コイルN2の他端は前記第2コイルペアの独立端子(Te2)をなし、コイルN4、N5の他端は前記第1、第2コイルペアの共通端子(Tec)をなすトランスペアと、
一端が前記共通端子(Tec)に他端が前記独立端子(Te2)に接続されるトランジスタ(Q1)と、一端が前記共通端子(Tec)に他端が前記独立端子(Te1)に接続されるトランジスタ(Q2)とを直列接続して構成されるとともに前記電池ブロックの両端に接続され、前記両トランジスタ(Q1、Q2)の相補的スイッチングにより交直電力変換を行う第1交直変換回路と、
コイルN3と直列接続されるトランジスタ(Q4)と、コイルN6と直列接続されるトランジスタ(Q3)と有し、両トランジスタ(Q3、Q4)の一端は共通接続されて第1の出力端をなし、両トランジスタ(Q3、Q4)の他端はコイルN3、N6を個別に通じて第2の出力端をなし、前記両トランジスタ(Q3、Q4)の相補的スイッチングにより交直電力変換を行う第2交直変換回路と、
を有し、
前記各DCDCコンバータの両トランジスタ(Q3、Q4)、トランスT1のコア及びトランスT2のコアは、共通化されている車両用DCDCコンバータ装置。
【請求項12】
請求項11記載の車両用DCDCコンバータ装置において、
前記独立端子(Te1)は、コンデンサ(C1)を通じて前記トランジスタ(Q2)の他端に接続され、
前記独立端子(Te2)は、コンデンサ(C2)を通じて前記トランジスタ(Q1)の他端に接続されている車両用DC−DCコンバータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−55690(P2009−55690A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218876(P2007−218876)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】