説明

車両管理システム

【課題】 コストを抑制して、後付けの場合でも、容易に運営できる車両管理システムを提供すること。
【解決手段】 車載機1は、車両ID及び移動機カードIDが含まれる通信ログ7を記憶し、通信ログ7をセンタ5へ送信し、センタ5は、車両ID及び移動機カードIDが含まれる通信ログ7を記憶し、車載機1との初回以降の通信では、通信ログ7と車載機からの通信ログ7を比較することで、車両ID及び移動機カードIDの更新を含むデータ管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる車載機とセンタが通信を行い、複数の車載機と使用者の管理を行う車両管理システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、セキュリティサーバに予め登録した個人情報データベースの個人認識情報により、携帯端末の電話番号を認証することで車両のエンジンへの給電を許可している(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−306821号公報(第2−17頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来では、車両を共同利用するような場合、車載機を後付けにしてセンタで車両と使用者の管理をしようとする場合、システムとして確立した車両LANのソフトの変更が困難であるため、センタ側での手動入力が頻繁に必要となり、使用者が頻繁に使用する車両を変更すると対応が困難になるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、コストを抑制して、後付けの場合でも、容易に運営できる車両管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明では、センタとの情報通信を行う車載通信手段と、車両に対応する車載機特有の識別情報を記憶する車載機記憶手段と、車両の使用者特有の識別情報を記憶する脱着自在な脱着記憶手段と、を備え車両に設けられる車載機と、複数の前記車載機と情報通信を行うセンタ通信手段と、複数の車載機と複数の使用者のデータを管理するデータ管理手段と、を備えるセンタからなる車両管理システムにおいて、車載機は、車載機特有の識別情報及び使用者特有の識別情報が含まれる通信ログを記憶する車載機ログ記憶手段と、前記通信ログをセンタへ送信するログ送信手段を設け、センタは、車載機特有の識別情報及び使用者特有の識別情報が含まれる通信ログを記憶するセンタログ記憶手段と、車載機との初回以降の通信では、前記センタログ記憶手段の通信ログと車載機からの通信ログを比較することで、車載機特有の識別情報と使用者特有の識別情報の更新を含むデータ管理を行うログ管理手段と、を設けた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明ではコストを抑制して、後付けの場合でも、容易に運営できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の車両管理システムの実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず構造を説明する。
図1は車載機の構造の概要と通信網及びセンタの概要を説明する図である。
車載機1は、EEPROM11、SRAM12(11,12で車載記憶手段に相当する)、内蔵バッテリ13、移動機カード14(車載通信手段、ログ送信手段に相当する)、メモリカード15(14、15で脱着記憶手段、車載機ログ記憶手段に相当する)、CPU16、電源スイッチ17、リセットスイッチ18を主な構成とし、車両Cに搭載され、移動機2の通信機能を用いて、通信網3を介してセンタ5との通信を行う。
【0009】
EEPROM11は、CPU16の制御、処理のためのプログラムやデータを記憶する。
SRAM12は、処理等におけるデータ等を一時的に記憶する。
内蔵バッテリ13は、車両のエンジンが停止している状態でも車載機1が使用できるように電源供給を行う。
移動機カード14は、通信網3への通信を行なうものであり、メモリカード15と別体で車載機1に接続されていてもよく、また、移動機カード14とメモリカード15を一体の移動機2としてもよい。
メモリカード15は、車両Cを別の車両にしても、データの共有ができるようデータを記憶する。
CPU16は、移動機2を用いた通信の制御、車両との通信の制御、データ演算等を行う。
【0010】
電源スイッチ17は、車載機1の電源のON/OFFを操作入力により行う。
リセットスイッチ18は、車載機1のシステムリセットを操作入力により行う。
移動機2及び車載機1が通信を行う通信網3には、収容局4が設定されており、センタ5と専用の通信線により有線で接続されている(センタ通信手段に相当する)。
センタ5は、複数の車載機1の管理を行うセンタサーバ51(データ管理手段、センタログ記憶手段、ログ管理手段に相当する)と、メールサーバ、DNS、WWWサーバ等からなる。
【0011】
[サーバによる車両管理作用]
実施例1の車両管理システムでは、図2に示すように、車両ID、車載機1の個別情報、通信カードIDとして移動機カードID及びメモリカードID(SIMカードID)を一連のデータとして関連付ける紐付けを行い、データを管理し、一連のデータの関連性に変更が生じた場合には速やかにデータを更新する。
実施例1では、複数の車両が共同で使用されるものとし、車載機は、車両へのいわゆる後付けである。
センタサーバ51による車両管理は、具体的には、図4に示すデータベース6の管理により行なわれる。
【0012】
車両と使用者の1つの組み合わせに対して、車両名、端末モデル、車両ID、移動機カードID、SIMカードID、車載機IPアドレス、移動機製造番号、自局電話番号、車両の登録ナンバーが、一連に関連付けされたデータベース6として管理される。
【0013】
管理する車両が多く、また車両に対して使用する人が頻繁に変更となるような場合、手動入力で、このデータベース6を更新するとなると、非常に工数がかかり、入力誤りも多くなってしまう。
【0014】
これに対し、実施例1では、まず、最初のデータベース6の入力は手動等により行い、初回以降の通信は、次のように行われる。
センタサーバ51から送られる通信電文には、どの車両(車載機)から送られてきた電文かを識別できるように、電文ヘッダ部に車両IDが設けられる。そのため、センタサーバ51から車載機1へ電文が送られる際にも、この車両IDが図3に示すように付けられる。
この電文が車載機1に届くと、車載機1では、割り当てられた車両IDを知得することになる。この車両IDは、できればEEPROM11へ保存することが望ましいが、内蔵バッテリ13からの電源供給によりSRAM12で車両IDデータが保持されるようにしてもよい。
また、使用者がその車両を使用する際に、車載機1に脱着自在に取り付けた移動機カード14とメモリカード15からのデータにより、車載機1では、移動機カードID、メモリカードID、車載機IPアドレス、移動機製造番号、自局電話番号を知得している。
【0015】
これにより、車載機1は、センタサーバ51から電文を受信すると、これらのID情報等と電文内容、通信時刻、その他情報からなる通信ログ7を作成する(図5参照)。
この通信ログ7は、本来、異常が検出された場合やセキュリティ上の問題が発生した際に役立つように、送受信の履歴を記録するものである。
そのため、不特定多数の人がアクセス可能な通信網3を使用する場合には、本実施例1の作用効果に関わらず、採用されることが多い。
【0016】
このようにして、センタサーバ51から受信した車載機1が電文をセンタサーバ51へ送信する際には、センタサーバ51への図3に示すようなデータ構造の電文に、図5に示す通信ログ7の最新部分71を添付する。
そのため、センタサーバ51では、車両ID等の車載機1の状態を知得できるので、センタサーバ51で記憶している通信ログ7のデータと比較する。この比較は、通信ログデータ同士の比較となるため、ソフトにより自動的に行なうことができ、人の工数を必要としない。
この比較により、差異がある場合には、データベース6のデータの更新を行うようにする。
【0017】
このようにすれば、例えば、後に使用者が使用する車両を変更する場合、車載機1から移動機カード14とメモリカード15を取り外し、新たに使用する車両の車載機1に取り付けて使用するだけで、他の処理を必要としない。例えば、1号車で車両ID=1の場合に、使用者が2号車で車両ID=2へ変更したとする。
すると、センタサーバ51からは、車両ID=2のデータを含む電文がその車両の車載機1に届くことになる。すると、次に車載機1からセンタサーバ51へ電文が送付される際には、車両ID=1の1号車で使用したメモリカード15に記憶されている通信ログ7の最終部分71が添付されることになる。
よって、センタサーバ51では、受け取った電文の車両ID=2の前回の通信ログのデータと添付された通信ログ7のデータを比較し、移動機カードID、メモリカードID、車載機IPアドレス、移動機製造番号、自局電話番号、の違いにより、使用者の変更を判断し、データベース6のデータを更新する。
【0018】
これにより、車両の使用者が頻繁に変更になっても、管理側の工数を増やすことなくデータの整合性を保つことができ、管理は容易となる。
このように実施例1では、最初の登録は手入力にし、車両内のLAN等を用いることのないようにして、ソフト書き換えなどの変更を生じさせないようにして、後付けの車載機1がコスト、工数ともに採用されやすいようにする。その最初の登録後は、使用者の変更等の際に手入力の必要がなく、工数が低減される。
【0019】
次に効果を説明する。
本実施の形態の車両管理システムにあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
(1)センタ5との情報通信を行う移動機カード14と、車両IDを記憶するEEPROM11又はSRAM12と、移動機カードID、メモリカードIDを記憶するメモリカード15とを備え車両に設けられる車載機1と、複数の車載機1と情報通信を行うセンタサーバ51と、複数の車載機1と複数の使用者のデータを管理するデータベース6と、を備えるセンタ5からなる車両管理システムにおいて、車載機1は、車両ID及び移動機カードIDが含まれる通信ログ7を記憶し、通信ログ7をセンタ5へ送信し、センタ5は、車両ID及び移動機カードIDが含まれる通信ログ7を記憶し、車載機1との初回以降の通信では、通信ログ7と車載機からの通信ログ7を比較することで、車両ID及び移動機カードIDの更新を含むデータ管理を行うため、コストを抑制して、後付けの場合でも、容易に運営できる。
【0020】
加えて、既存の複数の車両を共同利用する場合に、車載機を後付けにする場合、追加部品、追加機器なく、センタ側において通信ログのASCII比較と行なうだけで車両特定ができるのは、非常に安価になる。また、車両に搭載する車載機、移動機を車載機故障や利用者変更の理由により、他の車両搭載機器と交換してとしても、通信ログを保存しておくメモリ媒体を入れ替えることで、問題なく実現が可能である。
【0021】
(2)車載機1とセンタ5間の情報通信は、車両IDを含む電文データにより行なわれるため、電文データの車両IDを車載機とセンタで一致させるよう通信を行なうことによって、車両からデータを得ることなく車両識別を行なうことができる。
【0022】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態を実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0023】
本実施例1では、車載機1とセンタサーバ51が通信する場合について説明した。車両が共用される場合では、車両とセンタとの通信がメインとなる場合が多いからである。タクシーでの使用もこの場合に含まれる。これに対して、通信網3を介して、車載機1と車載機1もしくは外部と通信を可能にしてもよい。その場合には、センタサーバ51の処理の一部は、センタ5のメールサーバで処理することになる。その場合にもメールサーバとセンタサーバ51のローカル通信等により、センタサーバでデータベースの管理等を行なうようにすればよい。
また、実施例1では、移動機カード14とメモリカード15を別体としているが、例えば、携帯電話を移動機2として用い、メモリカード15は携帯電話へ取り付けるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本願は、車両用であるが、その他移動体への利用は容易である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】車載機の構造の概要と通信網及びセンタの概要を説明する図である。
【図2】車両と車載機のIDの保有状態を示す説明図である。
【図3】車載機とセンタの通信電文のデータ構成例を示す図である。
【図4】センタで管理するデータベースのデータ例を示す図である。
【図5】通信ログのデータ例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 車載機
11 EEPROM
12 SRAM
13 内蔵バッテリ
14 移動機カード
15 メモリカード
16 CPU
17 電源スイッチ
18 リセットスイッチ
2 移動機
3 通信網
4 収容局
5 センタ
51 センタサーバ
6 データベース
7 通信ログ
71 (通信ログの)最終部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタとの情報通信を行う車載通信手段と、
車両に対応する車載機特有の識別情報を記憶する車載機記憶手段と、
車両の使用者特有の識別情報を記憶する脱着自在な脱着記憶手段と、
を備え車両に設けられる車載機と、
複数の前記車載機と情報通信を行うセンタ通信手段と、
複数の車載機と複数の使用者のデータを管理するデータ管理手段と、
を備えるセンタからなる車両管理システムにおいて、
車載機は、
車載機特有の識別情報及び使用者特有の識別情報が含まれる通信ログを記憶する車載機ログ記憶手段と、
前記通信ログをセンタへ送信するログ送信手段を設け、
センタは、
車載機特有の識別情報及び使用者特有の識別情報が含まれる通信ログを記憶するセンタログ記憶手段と、
車載機との初回以降の通信では、前記センタログ記憶手段の通信ログと車載機からの通信ログを比較することで、車載機特有の識別情報と使用者特有の識別情報の更新を含むデータ管理を行うログ管理手段と、
を設けた、
ことを特徴とする車両管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両管理システムにおいて、
前記車載機と前記センタ間の情報通信は、車両IDを含む電文データにより行なわれる、
ことを特徴とする車両管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−36505(P2007−36505A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215164(P2005−215164)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】