説明

車両運転の過程を監視するための装置

車両運転の過程を監視するための装置であって、信号を処理する第1の手段と、車両の動きを検出する第2の手段と、ユーザに情報を表示する対話型の表示部を提供する手段と、車両の理論上の最適な挙動に関する燃料消費特性および技術的特徴を知るように構成された手段を備えた装置において、上記信号を処理する手段は、車両の上記燃料消費特性と技術的特徴に基づいて理論上の最適な消費を計算し、実際の消費を理論上の最適な消費に等しくするために要求される運転パラメータを確立し、この運転パラメータに関する情報をユーザに知らせるべく表示に利用できる手段に表示するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、標準的な車両に取り付けることができ、環境保護および経済上の見地から最適な燃料消費で車両の運転を行うことができるユーザとの対話型の車両運転の過程を監視するための装置を提供することであり、この装置は、燃料消費を15%〜60%に減じることができ、CO2の排出低減に明らかに貢献する。この目的を達成するため、本発明は、燃料消費の最適化計算に基づいて、燃料消費を低減し,動力消費率を最適化するための有用な一連のアドバイスをユーザに実時間で提供する。本発明は、運転支援装置の技術分野に適合する。
【背景技術】
【0002】
どれだけの燃料を消費しているか、燃料消費が予想よりも多いか少ないかを運転者自身が見ることができるように運転を監視することができる運転支援装置は、現存する。しかし、運転者がより環境保護的かつ経済的に運転することを助け、運転の監視に由来する次のような技術的問題を解決する対話型のシステムは、現存しない。即ち、この技術的問題とは、
(a) 一組の安全運転基準に比較して、マヌーバが危険であること、例えば許可されていない区域を通過する、速度が過剰などのマヌーバを行った場合、重大な危険に遭う可能性があることを運転者に予期させる運転の危険度を各種の道路について見つけ出すこと、
(b) 燃料消費などに由来する出費を効率的に制御すること、
(c) 車両の慣性をできる限り活用して、他の車両に対して維持しなければならない距離として定義される予測距離を制御し、GPS,Galileo(登録商標),Glonass(登録商標)などの全地球測位システムと地図の組み合わせを用いて、車両に関係なく、環境保護的運転に対して過剰な加速をしようとしていることをユーザに知らせて、燃料消費を最小化することである。
【0003】
欧州公開第EP1811411号公報は、ドライブスタイルを監視する方法とシステムを開示する。この公報は、特に、運転者をどのように訓練し、車両を運転する際に安全性と経済的効率を改善するように運転を分析することを開示する。これを達成するために、車両から得られるデータに基づいてデータベース内に運転プロフィルが生成され(車両の最適条件がデータベースに記憶されているのではなく、エンジン制御ユニットから供給されるデータを読む必要がある)、車両のルートが生成される。加えて、上記運転プロフィルは、ユーザが「後になって」アクセスできる外部サーバを必要とし、運転者は、システムと何の対話もなく、自分の習慣を変える責任を負う。運転者は、実時間で提供されない情報の受動的受信者である。従って、この公報では、次のような解決すべき技術的問題がある。即ち、(i) 装置を取り付ける車両の箇所の完全な独立性と(ii) 安全な車両運転に関する即時のアドバイスの発信によるユーザとの対話の増大である。
【0004】
本発明に最も近い技術的背景は、実際の即時の消費を最適な即時の消費と比較し、この比較に基づく効率的燃料消費を開示した欧州公開第EP1900588号公報である。この公報では、車両の条件のみならず外部の道路条件および車両の正確な位置を考慮しているが、最適条件に比較して運転が効率的か否かを表示し、車両の即時の条件を計算するために装置を車両に接続する必要があるうえ、例えば、ユーザが同じ電子装置を自分の別の車両に活用することが不可能である。換言すれば、同じユーザが同じ装置を自分の個人用車両と業務用車両に併用できないのである。
【0005】
米国公開第US 6,092,021号公報は、効率的な燃料消費のための運転支援システムを開示するが、上述の公報と同様に、特定の車両にのみ用いられ、エンジン電子制御システムからデータを読むものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、経済的および環境保護の見地に基づく効率的な運転のための対話型のシステムの要求を満たすことを企図する。これを達成するため、本発明の装置は、運転を監視するための手段と、情報を処理する手段と、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス),換言すればユーザが装置と対話できるように構成されたインターフェイスなどの結果を表示するための手段を備えている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車両の挙動の裏には、他の挙動よりもより経済的で環境保護的な挙動が知られている。例えば、適切な速度で変速すれば燃料を節約でき、アクセルを踏み込まずにエンジンを起動することである。しかし、運転者は、運転の際この種のアドバイスを普通思い出さず、加えて非効率的な運転習慣を蓄積する。この理由から、本発明の装置は、ユーザの車両運転の仕方に関するデータを受け、このデータを装置自身に格納した最適と定義されたデータと比較し、比較結果を即時にユーザに表示する。上記装置は、オプションとして、運転前または運転中に燃料消費を減じるためのアドバイスを運転者に提供する。GPSデータの助けにより、車両の速度が分かり、装置は、最適燃料消費をもたらすように変速時期に関するアドバイスを提供する。
【0008】
また、上記装置は、複数の車両のデータや技術仕様書を統合することによって種々の車両を検討することができ、用いる車種に応じた運転アドバイスを提供して、燃料消費と効率の観点から最適の運転を可能にする。
【0009】
この理由から、上記装置は、特に道路増分や天候条件などのデータを処理し、これらデータからなる変数を考慮した後、アドバイスを提供する。デジタル地図のお陰で、決定されたルートの平均増分が分かり、このルートに特定の運転アドバイスを提供できるので、上記装置は、デジタル地図からのデータを受け、測位システムの助けによって、より効率的な運転のためのアドバイスを提供する。
【0010】
上記アドバイスの幾つかは、例えば空気調和機などの装備品の使用に関係し、例えば温度計などの助けによって燃料消費の観点からより効率的な装備品の使用を決定する。
【0011】
本発明は、また、運転者に情報を表示する種々の手段を包含する。このような情報の1つは、例えば、CO2の量や、運転,周囲環境,交通量および車両自身に関連する変数に基づく標準と比較して車両が発生させる金銭上の全費用である。また、上記装置のシステムは、デジタル地図と車両仕様書の助けで、CO2の観点からの特定の消費予測を提供でき、提案ルートを採る場合の時間や費用の観点からの特定の消費予測を、代替ルートも考慮して特定の状況に応じた最適のルートとして提供することができる。
【0012】
また、上記装置は、車外にあるデータ処理システムに生じうる種々の出来事を含む多かれ少なかれ経済的で環境保護的な運転に関する診断データを実時間または運転後に送信できる。
【0013】
上記装置は、同様にオプションとして、車両がその時点で経験しているエンジンのRPMにアクセスでき、回転数を決定するためにエンジンによって与えられる音響情報を、装置に格納している理想回転数と結合する。
【0014】
本発明は、より効率的に運転するための手段として有用であるのみならず、より経済的に如何に運転すべきかを教えるのに有効であり、ユーザは実時間で運転習慣を訂正して燃料を節約できる。
【0015】
本発明の目的は、高速道路や都市道路の地図,これらの場所の交通規則,上述の車両運転データを用いて、運転の経済的影響を評価するのみならず、法律上の影響および運転の個人的安全上の危険を評価するようにルートの情報伝達を結合することである。処理手段は、運転者に自身の安全に関連する情報を提供すべく、与えられる総ての情報を結合する。例えば運転が行われる日時や車両が出発する場所などの関連する幾種類かの情報は、時刻や場所に関連する最も日常的な危険に関するアドバイスを提供できる。また、オプションとして、記憶装置に危険な出来事を記憶し、適切と思われるときにこの出来事を出力することが可能である。これは、例えば運転者が危険な運転を繰り返す場合、本発明の装置が、この状況を適切な人物に知らしめ、必要ならば、車両を動かなくさせたり、出力を減じたりできるので有用である。
【0016】
同様に、上記装置は、ルートにあり得る危険な区域および危険な理由に対して警告し、特定の地域に関連するあり得る危険に関する情報を提供することができる。上記装置は、停車場所に関する例えば安全ベルトやその理由に関する情報を提供できる。
【0017】
換言すれば、上記装置は、概ね、車両の運転や運転者のバイオリズムに応じて、即ち、運転が行われる日時とそのときの天候条件を考慮して包括的あるいは具体的な安全上のアドバイスを提供する。
【0018】
上記装置は、他の車両に対する安全距離をメートルまたはこれと同等の単位でユーザに知らせる。なぜなら、この装置は、車両に要求される安全距離を、車両および道路の種類に応じて計算し、この安全距離を例えばカーナビゲータの画面に、必要ならばルート情報と地図が既知なら安全距離は3次元地図によってシミュレートできるので、3次元ディスプレイ上または運転者の視野で実時間にカメラで捉えた画像に重ねてユーザのために表示できるからである。
【0019】
一般に、上記装置は、オプションとして、そうでなければユーザが覚えにくい安全および運転に関する重要な日常操作を気付かせることができる。このようなアドバイスの例は、日没や日の出または雨に同期して「明瞭に見られるようにライトを点灯せよ」である。通常、運転者の快適性と安全を向上させるべく設計されたアドバイスがある。安全を向上させる場合、上記装置は、運転のための十分な時間を設定して、残った期間をバイオリズム,交通量または天気予報が既知ならば気象条件に応じて計画し、例えば凍結,低温,他の種類の困難のためそのルートを通るな,などの行動を提案し、条件が運転にとって厳しすぎる場合は、代替の輸送モードさえもアドバイスする。
【0020】
このような思想に基づき、上記装置は、運転したことがない場所では特に有用な搭乗者のための安全な停車場所をアドバイスする。この装置は、従って第2の方法として、操作に関する特定または包括的なヘルプを提供し、車両に関する運転の危険に対する訓練や知識を提供して、起こり得る危険を運転者に警告する。同様に、この装置は、道路に存し得る兆候のみならず、ナビゲーション地図自体に統合された規則などの追加情報を提供するので、法律上の運転規則を対話型で気付かせるものとして有用である。
【0021】
本発明の他の二次的なオプションの態様は、車両自体の(燃料費などの)費用挙動データおよび車両ユーザによって発生する経済的費用を結合するという要求を解決し、特定のルートの実際の費用と予測された費用に関するデータ表示して、車両の走行が適切なオプションであるか否か、あるいは、実質ベースでより経済的な輸送モードを選ぶ必要があるか否かをユーザが経済的に決定できるようにする。
【0022】
そのため、車両は、追加的に (i) GPS地図に関連する出費の場所に関するデータおよび車両とその消費に関するデータを格納する手段、(ii) 固定費用に関するデータを格納する手段、(iii) 次の(a)〜(c)の要素のうちの少なくとも1つを含む費用を認識するための第3の手段、即ち、
(a) 費用データを入力するように構成され、データ格納装置に既に格納された費用場所を全地球測位システムが検出したとき、ユーザとの対話型手段に表示される書式、
(b) 支出領収書とその光学的識別部を走査する手段、
(c) 上記(a),(b)の組み合わせ を含むとともに、
上記手段が、ユーザがアクセスして見て制御でき,異なった種類のバランスを作ることができる第2のデータベースに費用が格納され続けるように構成され、加えて、処理手段が、決定された走行の概算費用であって、格納された車両の総出費に関するデータ,走行距離および燃料価格を結合した概算費用を計算するように構成されている。
【0023】
従って、このお陰で、上記装置は、あり得る費用の見積もり,これら費用の分析,このデータに効率的に入るための方法を提供でき、このような費用管理は、生じた出費を周期的に制御し,特定の活動に関連づけることができるという利点の1つを提供する。
【0024】
オプションとして、上記装置は、安全距離とは反対で、車両の慣性を可能な限り活用すべく他の車両に対して維持しなければならない予測距離を表示する。これを達成するため、車両の種類と(車両の最適挙動から得られる)減速に関する挙動と減速に必要な間隔と車両の(例えばGPSから得られる)速度を知る必要があり、これらの情報は計算され後に運転者に表示される。
【0025】
この予測距離を表示する装置は、より正確には2つの車両の相対位置を検出する多くの検出器を組み込んでいて、慣性を活用した目標位置をユーザに提供する。加えて、この情報は、距離および前方の車両の挙動に応じて変速を行う自動変速に共用することができる。
【0026】
予測距離と安全距離を混同してはならない。安全距離は、車両が利用できる例えばブレーキや道路条件などの総ての手段を用いて停止するに必要な距離である一方、予測距離は、安全距離とは異なり車両の減速のみ、または基本的には少なくともエンジンブレーキを考慮した距離である。なぜなら、エンジンブレーキの過程では、燃料消費は零であり、予測距離に達するのに車両の速度が用いられ、エンジンブレーキを用いた制動またはアクセルを踏み込まない制動、自動変速ではギアが噛み合って、車両の重量が慣性を決めるからである。
【0027】
オプションとして、地図による傾斜などの道路データを包含して、速度に直接関連する大きさを常時与え、各車両および状況に固有の大きさを与えることができる。加えて、車両は動いていて、前方の車両も自分と同じような速度で動いていることを理解して、計算を行う必要がある点に留意しなければならない。
【0028】
過剰な加速は、各ギアの半径と最適の速度を考慮して車両の平均加速時間を用いて計算される。次いで、現在の加速が効率的な加速閾値以内であるか否かが検討される。装置が、時間"t"以内で急加速したことを検出すると、この情報は、画像または音響の警告により運転者に知らされる。
【0029】
この装置のお陰で、運転装置の監視は、実時間かつ独立した完全に車両ユーザとの対話形式で行われる。なぜなら、この監視は、車両を自動制御するセンターとの接続を全く必要としないからである。
【0030】
次は、本発明のより良い理解を助け、本発明の実施形態に正確に関連し、本発明を限定する意図なく図解の例を示す一連の図面の簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、動作中のECONAV型装置を示す図である。
【図2】図2は、ナビゲーションモードで動作している上記装置を示す図である。
【図3】図3は、異なる動作モードを構成中の上記装置を示す図である。
【図4】図4は、ECOMAPモードで動作している上記装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
車両運転の過程を監視するための装置は、基本的に少なくとも
信号を処理する第1の手段と、車両の動きを検出する第2の手段と、ユーザに情報を表示する(HMI)対話型の表示部を提供する手段と、車両の消費特性と技術的特性を最適な理論挙動の範囲まで知るように構成された手段とを備え、
上記信号を処理する手段は、車両の上記特性に従って最適の消費を計算し、実際の消費を最適の消費にするために要求される運転パラメータを確立し、この運転パラメータに関する情報をユーザに知らせるべく表示に利用できる手段に表示するように構成されている。
【0033】
従って、本発明の実施形態では、ユーザは、上記装置を用いる前に事前構成を要求され、車両の特性にアクセスするための上記手段に格納され,統合された50以上のマークと6000以上のモデルのうちから、車両を効率的に用いることができる種々のオプションを選択する。とにかく、車両がこれらの手段で予め定義されなかった場合、「ユーザによる定義」オプションを用いて入力することができ、このオプションは、次のパラメータのうちから選択することでカスタマイズされた方法で自分の車両の特性に適合したパラメータを構成することができる。即ち、選択すべきパラメータは、
− 変速機の種類:シーケンシャル、マニュアル、またはオートマティック
− エンジン:1000cc〜4000cc以上
− ギア数:4〜8
− 燃料の種類:ガソリンまたはディーゼル
− 車種:実用、ミニバン、またはオフロード
【0034】
用いるべき車両が選択されたなら、上記装置は、ここではGPSにリストされたルートを表示しない図1に示すECONAVで定義されるモードで動作する準備ができている。この動作モードは、経済的運転に関する情報の基本データと共にルートを表示するECOMAPモード(図4)およびルートが定義され,経済的運転に関する情報の基本データと共にルートに沿ったナビゲーションが行われるナビゲーションモード(図2)と区別される。
【0035】
ECONAVモードは、ユーザがメニュー(図3)中で(a)〜(f)のようにアクセスことによって定義される。
(a) ナビゲーションモードへの第1アクセス(301)を押して、上記装置をナビゲーションモードで動作させ、ルートを計画する。
(b) 環境保護的な運転をしたい場合、消費のレベルを選択する第2アクセス(302)を押し、基本節約モード,平均的節約モードおよび最大節約モードのいずれかを選択する。
(c) 人員負荷に関する第3アクセス(303)を押せば、人員レベルを最大および最小のいずれかに定義できる。
(d) 車両を選択する第4アクセス(304)を押せば、上記装置を搭載すべき車両を定義でき、このアクセスは、上述の選択すべきパラメータに対応していて、用いるべき車両が上記装置の手段内に記憶されていれば、リストから燃料の種類とエンジンを選択するだけでよい。
(e) オーディオを選択する第5アクセス(305)は、上記装置のオーディオレベルの調整を可能または不可能にする。
(f) 好みを選択する第6アクセス(306)は、特に、運転効率を向上させるため運転中にユーザが表示させたい情報を選び、アドバイスを表示させる周期を選ぶことができる。
【0036】
既に述べたように、上記装置は、通常の動作ではECONAVモード(図1)、ECOMAPモード(図4)、NAVIGATIONモード(図2)の3つの基本動作モードを有する。
【0037】
ECONAVモードは、ルートに関係なく用いられ、ユーザは目的地に如何に到達するかを知っており、車両の選択のみによって効率的に車両を運転するための適切な表示を得て、燃料を節約し,CO2の排出を低減することだけが目的であるということを前提とする。
【0038】
従って、上記装置は、図1に示すようにユーザに(i)〜(vii)のような情報を表示する。
(i) 本発明の他の実施形態における運転に関連する危険レベルを示すように構成された実時間での車両速度(101)と走行している道路で許された最高速度(102)。
(ii) 車両速度と選択された車種に依存してユーザが採用すべき推奨変速段(103)。ユーザは、特定の車両について装置が決定した最適運転に自分の運転を適合させることができるので、この表示は最も重要な表示であろう。より詳しくは、変速段の変更の計算は、車両およびその技術的特徴のXML(拡張マークアップ言語)型のデータベースファイルを用いて行われ、このデータベースファイルは、車両の重量,シリンダ数,エンジン位置,排気量,ピストンの直径とストローク,シリンダ当たりのバルブ数,燃料供給の型,HP(馬力)/PPM(毎分の回転数),トルク(Nm/RPM),牽引の型,変速機,(都市,オフロードおよび両者混在における)ガロン当たりの走行距離(マイル),CO2排出量,サスペンション,ブレーキを包含する。言い換えれば、上記データベースファイルは、各変速段で回転数1000rpmにおけるパーフォーマンスを持っており、最適の変速段の変更は、ガソリン車において2000rpmで,ディーゼル車において1500rpmで夫々起こることを考慮して、その特定の車両で変速段の変更がされねばならない速度を求める計算を、次式で行う。
速度=速度×{1+5×(人員−1)/100+5×(3−節約)/100}
(iii) 制限最高速度がある道路でこれを超えたとき起動するレーダー警告(104)。この場合、官庁(スペインでナビゲートしている場合は交通総局[DGT])が提供するレーダーリストも考慮される。
(iv) 過剰な加速/減速に対する警告(105)。この警告は、最後の5つの速度をその車両に許される加速/減速範囲と比較し、過剰な加速/減速が起こったか否かを評価することを踏まえて過剰な加速/減速が起こったとき現れる表示である。上記加速/減速範囲は、装置に内蔵する加速表および減速表に予め決められている。過剰な加速/減速に対する警告は、過剰な加速/減速が連続して3回起こったと評価された場合にのみ発せられる。
(v) 前方車両に対して維持されなければならない予測距離を表示する予測距離部(106)。(天気予報サービスに接続されていない場合)乾燥路面または濡れ路面のいずれかが選択され、予測距離は、秒またはメートルで表示される。予測距離は、前方の車両の速度が自分の車両速度と同じであり、ブレーキを踏まないで減速が行われることを考慮して計算され、前方の車両が突然停止した場合は、停止するに十分な距離であり、そうでない場合は、車両の慣性を活用して停止するに十分な距離であって、傾斜道路を走行しているときは慣性の変動も考慮する。
予測距離=(半径_回転_ギア×速度/10)2−(慣性_車両−エンジン抵抗)
(vi) 消費効率表示部(107)。これは、「エコライト」と呼ばれ、燃料消費における効率のレベルを実時間で示すもので、表示色が変わる4つのレベルを含んでいる。即ち、
− 緑色:最適な消費レベル
− 黄色:平均的な消費レベル
− 赤色:高い消費レベル
− 灰色:最適消費レベルよりも低い消費レベル
これらのレベルは、それが存在する場合は、道路の制限最高速度と車両速度の間の関係によって下表のように決定される(速度=km/h)。



(vii) 人員レベル(108),消費レベル(109),GPS信号(110),バッテリレベル(111),ECONAVメニュー(113)(図3に示す),ECOMAP動作モードへの変更が、このECONAV動作モードにおける他の可能なアクセスである。
【0039】
ECOMAP動作モードは、図4に示されている。図4は、全地球測位システムの地図(401),現在時刻(402),道路名表示(403),現在速度(404),GPS信号(405),道路の制限最高速度(406),推奨ギア(407),消費効率を示す「エコライト」(408),過剰な加速/減速の警告(409),予測距離(410),図1に示すECONAV動作モードへのスイッチ(411)および図3に示すメニューへのアクセス(412)からなる現在表示を示している。この動作モードのお陰で、車両の位置を上記地図上で見ることができ、図1のECONAV動作モードで述べた計算に基本的に対応し、燃料を最適に利用するための上記装置によるアドバイスである表示データの総括が、画面の側部に表示されている。この動作モードでは、安全上の理由から、GPSが表示するルートには入ることができない。
【0040】
ナビゲーションモードは、図2に示されている。図2は、GPSナビゲータの総ての典型的機能を示しており、(運転者の気が不必要に散ることを防ぐという)安全上の理由から表示されないギアチェンジを除いて、燃料の消費を減じるためのアドバイスの総括が示されている。従って、ナビゲーション動作モードは、地図(201)の眺めと共に、動作モード表示部(202),効率表示部であるエコライト(203),加速/減速の警告(204),予測距離(205),図3に示すメニューへのアクセス(412),GPS信号(208),目的地までの距離(209),車両の現在速度(210),現在時刻(211),目的地までの距離(212),進むべき方向(213),どのレーンを走行すべきかを示すレーン表示部(214),ルートの百分率(215)および道路の制限最高速度(216)を表示する。
【0041】
ナビゲーション自体において、ユーザは、方向が重要な役割を果たす箇所で、(レーダー,危険区域または他の事項などの)関心ある地点を定義できることに留意しなければならない。問題は、一般に、上記装置に特定ルートを入力せずに車両が進入する方向が分かることである。これを達成するため、関心ある地点が検出されたときでなく、表示すべき信号までの距離と車両の速度の間に直接の関係が検出されたときに、関心ある地点に関する情報が表示される。換言すれば、1000m先にレーダー信号があり、車両の速度が10m/sec.であれば、新たな検証が行われ、ユーザは、レーダー信号(対象物)から900m手前にいることが分かり、車両がルート上にある対象物に近づきつつあると結論する。これと逆に、対象物までの距離が増加する場合は、対象物が遠ざかりつつあると結論する。
【0042】
第2の実施形態では、上記装置は、現在の法律上の運転規則を格納したデータベースを備え、処理手段が、車両から与えられる情報に従い、運転の種類,危険レベル,危険を防ぐアドバイス,危険に関連する法律上の結果に応じて計算を行えるようになっている。加えて、上記装置は、次の(a),(b)のように構成された送/受信要素による通信を含む。
(a) 生じた危険な状況を、近くの他の装置および外部サーバの少なくともいずれかに送信し、
(b) 他の装置および外部サーバの少なくともいずれかから、天候や天気予報および交通に関するデータを受信し、
上記処理手段は、このデータを考慮して、運転に関連する危険に関するアドバイスを作成する。
【0043】
第3の実施形態では、上記処理手段は、他の車両に対する推定安全距離を算出し、この推定安全距離をディスプレイの画面に表示するように構成されている。
【0044】
第4の実施形態では、上記処理手段は、決定されたルートに関する経済的出費を、このルートとルート上の特定の車両の理論的最適燃料消費に基づいて計算し、実時間で即時に累積して、ルートの初めは推定出費として、ルートの終わりは走行の累積出費として算出するように構成されている。加えて、上記装置は、車両による直接消費によらない外部出費を、次の(a)〜(c)の要素の1つと共に格納された固定費用に関するデータに基づいて認識する手段を備えている。
(a) データ記憶装置に以前に格納した費用場所をGPSが検出したとき、ユーザのための対話手段に自動的に現れ、費用データが入力されるように構成された書式、
(b) 支出領収書とその光学的識別部を走査する手段、
(c) 上記(a),(b)の組み合わせ。
【0045】
第5の実施形態では、上記装置は、他の車両に対する相対位置を検出する複数の検出器を統合し、ユーザに自身の車両の慣性を活用させるべく他の車両の位置を提供し、相対位置の情報は、自動トランスミッションに共有されて、近傍の上記他の車両までの距離と挙動に従って変速が行われるようになっている。
【0046】
最後に、第6の実施形態として、上記装置は、例えば電子メールやSMS(ショート・メッセージ・サービス)などの外部情報を安全に表示できる。換言すれば、例えば車両が停止したとき、外部情報をバッファに格納し、安全な条件に適合していれば、上記外部情報を後で画面に表示する。
【0047】
上記装置の動作と性能の総てのモードにおいて、情報は、色や大量のコードによって提供されるが、ユーザが、上記コードを直接見なくとも上記装置によって与えられるアドバイスを明瞭に解釈でき、運転者のイライラを最小にできるようになっている。
【0048】
車両の動きを検出する手段は、加速計を含む。
【0049】
関心ある地点に関する情報は、その地点が検出されたときでなく、表示すべき信号までの距離と車両の速度の間に直接の関係が検出されたときに表示される。
【0050】
上記装置は、ユーザが注意し,かつ,読む必要があるような外部情報を、ユーザが非運転状態にあると処理手段が判断したとき、そのユーザのみに表示し、安全に表示できないときは常に、受けた情報をバッファに格納する。情報は、色や大量のコードによって提供されるが、ユーザが、上記コードを直接見なくとも上記装置によって与えられるアドバイスを明瞭に解釈できるようになっている。
【0051】
上記装置は、次のうちから選ばれた1つである。
− 携帯電話
− PDA(携帯情報端末)
− GPS装置
− 車両に統合された電子装置
− 以上の組み合わせ。
【0052】
上述の非排他的な実施形態の装置は、2GB〜64MBの内蔵フラッシュメモリと、SDHC(SD大容量カード)をサポートできるSD(セキュア・デジタル)/MMC(人間-機械通信)のデータ入力装置と、標準的GPS受信器と、「デュアルコア」400MHzの統合プロセッサと、タッチパネル表示部と、音声出力と、充電可能なバッテリと、USB2.0の入/出力端子で実施される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転の過程を監視するための装置であって、
信号を処理する第1の手段と、車両の動きを検出する第2の手段と、ユーザに情報を表示する対話型の表示部を提供する手段と、少なくとも変速機の種類,エンジンの種類,ギアの数,燃料の種類および車両の種類を含む各車両の理論的に最適な技術的特徴を有するデータベースとを備えた装置において、
上記信号を処理する手段は、上記データベースから選択され、あるいはユーザによって予め構成された車両の特性に基づいて理論的に最適な消費を計算し、実際の消費を理論的に最適な消費に等しくするために要求される運転パラメータを車両の速度に応じて確立し、この運転パラメータに関する情報をユーザに知らせるべく表示に利用できる手段に表示するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、ルートを計画するための手段と、ルート計画,道路の種類,ルート上の車両の位置およびルートの地形に関する情報を提供するGSP型の全地球測位手段を更に備え、上記信号を処理する手段が、上記ルートに対する消費プロフィルと運転方向を実時間で生成することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、車両の操作変数を一定期間検出する検出手段を更に備え、上記操作変数は、燃料の消費に直接関連することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の装置において、車両の現在の人員負荷を知る手段が更に設けられていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の装置において、車両の上記技術的特徴は、重量,シリンダの数,エンジン位置,排気量,ピストンの直径とストローク,シリンダ当たりのバルブ数,燃料供給の型,馬力/毎分の回転数,トルク(Nm/rpm),牽引の型,変速機,(都市,オフロードおよび両者混在における)ガロン当たりの走行距離,CO2排出量,サスペンションおよびブレーキを含み、上記データベースに格納されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項2に記載の装置において、上記全地球測位手段は、情報伝達データと道路交通官庁を、ユーザのために上記表示に利用できる手段に表示できるように識別して確立するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の装置において、現在の法律上の運転規則を格納したデータベースを更に備え、上記信号を処理する手段が、車両から与えられる情報に応じ、運転の種類,危険レベル,危険を防ぐアドバイス,危険に関連する法律上の結果に従って計算を行えるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、次の(a),(b)のように構成された送/受信要素による通信を更に含み、
(a) 生じた危険な状況を、近くの他の装置および外部サーバの少なくともいずれかに送信し、
(b) 他の装置および外部サーバの少なくともいずれかから、天候や天気予報および交通に関するデータを受信し、
上記信号を処理する手段は、上記データを考慮して、運転に関連する危険に関するアドバイスを作成することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載の装置において、上記信号を処理する手段は、他の車両に対する推定安全距離を算出し、この推定安全距離をディスプレイの画面に表示するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の装置において、上記信号を処理する手段は、決定されたルートに関する経済的出費を、このルートとルート上の特定の車両の理論的最適燃料消費に基づいて計算し、実時間で即時に累積して、ルートの初めは推定出費として、ルートの終わりは走行の累積出費として算出するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項2乃至10のいずれか1つに記載の装置において、車両による直接消費によらない外部出費を、
(a) データ記憶装置に以前に格納した費用場所を上記GPSが検出したとき、ユーザのための対話手段に自動的に現れ、費用データが入力できるように構成された書式、
(b) 支出領収書とその光学的識別部を走査する手段、
(c) 上記(a),(b)の組み合わせ
の1つと共に格納された固定費用に関するデータに基づいて認識する手段を更に備えていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1つに記載の装置において、上記信号を処理する手段は、車両が前方の車両に対して燃料消費なしで走行しているときのメートルまたは秒で定義される間隔を、前方の車両が同じ速度で走行していると仮定して計算し、表示画面に表示するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1つに記載の装置において、上記信号を処理する手段は、燃料消費の観点から最適の加速および減速を計算し、加速および減速が最適であるか否かおよび燃料消費を最小化する最適のギア選択であるか否かをユーザに表示するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1つに記載の装置において、上記信号を処理する手段は、各ギアの半径と効率的な速度を考慮して、車両の加速中または減速中の平均時間を計算し、ルートの異なった時点の速度を検査して、効率的な加速の限界となる閾値を算出し、時間 "t" 以内で急に加速または減速したことを検知すると、この情報を画像または音響の警告によってユーザに知らせるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1つに記載の装置において、この装置は、他の車両に対する相対位置を検出する複数の検出器に接続され、相対位置の情報は、自動トランスミッションに共有されて、近傍の上記他の車両までの距離および挙動に従って変速が行われるようになっていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528430(P2011−528430A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502403(P2011−502403)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070084
【国際公開番号】WO2009/121995
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(510213222)クランボ・ソシエダッド・アノニマ (4)
【氏名又は名称原語表記】CRAMBO, S.A.
【出願人】(510263227)
【氏名又は名称原語表記】Nilo GARCIA MANCHADO
【Fターム(参考)】