説明

車両

【課題】充電ケーブルのパイロット信号の有無にかかわらず、外部電源からの電力を用いて充電が可能な充電システムを有する車両における異常を容易に検出する。
【解決手段】車両10は、充電ケーブル300を介して外部電源402から供給される電力により充電が可能である。車両10は、充電が可能な蓄電装置150と、電力変換装置160と、充電ECU165と、車両ECU170とを備える。電力変換装置160は、外部電源402からの電力を変換して蓄電装置150の充電電力を供給する。充電ECU165は、充電指令に従って電力変換装置150を制御する。車両ECU170は、充電ケーブルの種類に対応した第1の充電モードと第2の充電モードとを有し、充電ECU165に充電指令を出力する。そして、車両ECU170は、選択された充電モードおよび起動信号IGACに基づいて、起動信号IGACの伝達経路の異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に関し、より特定的には、外部電源からの電力を用いて充電が可能な車両の異常検出制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタなど)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する電動車両が注目されている。この電動車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。そして、これらの電動車両に搭載される蓄電装置を発電効率の高い商用電源により充電する技術が提案されている。
【0003】
ハイブリッド車においても、電気自動車と同様に、車両外部の電源(以下、単に「外部電源」とも称する。)から車載の蓄電装置の充電が可能な車両が知られている。たとえば、家屋に設けられた電源コンセントと車両に設けられた充電口とを充電ケーブルで接続することにより、一般家庭の電源から蓄電装置の充電が可能ないわゆる「プラグイン・ハイブリッド車」が知られている。これにより、ハイブリッド自動車の燃料消費効率を高めることが期待できる。
【0004】
特開2009−071900号公報(特許文献1)には、外部電源から車載の蓄電装置の充電が可能な車両において、充電を中断する要因を解消するために必要な時間だけ充電を中断することができる、充電システムの構成が開示される。
【0005】
この充電システムによれば、操作者の誤操作などで、車両と外部電源とを接続するための充電ケーブルのコネクタのスイッチが短時間オフになったような場合でも、しばらくの間、蓄電装置と充電システムとを接続したままの状態で充電を中断して待機しておき、正常操作がされると充電を再開することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−071900号公報
【特許文献2】特開2009−071899号公報
【特許文献3】特開2009−071897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラグイン車両の規格の一例として、コントロールパイロットに関する規格がある。このコントロールパイロットは、コントロールパイロット線に発信器から方形波信号(以下、パイロット信号とも称する。)を送ることによって、充電ケーブルと車両との間で、電力の供給ができる状態であることの通知や充電開始の指示を行なう機能を有する。
【0008】
北米などの地域では、このような規格に基づいて、パイロット信号を用いた外部電源からの充電が行なわれる場合が多い。しかしながら、その他の地域においては、パイロット信号の使用は必ずしも必要ではなく、パイロット信号を用いない充電ケーブルによって外部電源から充電される場合もある。
【0009】
一方で、パイロット信号の有無にかかわらず、どちらの充電ケーブルを用いても充電可能な車両が検討されているが、このような充電システムの異常検出については、まだ改善の余地がある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、充電ケーブルのパイロット信号の有無にかかわらず、外部電源からの電力を用いて充電が可能な充電システムを有する車両における異常を容易に検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による車両は、充電が可能な蓄電装置と、電力変換装置と、第1および第2の制御装置を備え、充電ケーブルを介して外部電源から供給される電力により充電が可能である。電力変換装置は、外部電源からの電力を変換して蓄電装置の充電電力を供給する。第1の制御装置は、充電指令に従って電力変換装置を制御する。第2の制御装置は、充電ケーブルの種類に対応した第1の充電モードと第2の充電モードとを有し、第1の制御装置に充電指令を出力する。第2の制御装置は、第1の充電モードの場合は、第1の制御装置から送信される第1の制御装置が起動したことを示す制御信号に基づいて充電を開始し、第2の充電モードの場合は、充電ケーブルからのパイロット信号に基づいて充電を開始する。そして、第2の制御装置は、選択された充電モードおよび制御信号に基づいて、第1の制御装置および第2の制御装置における制御信号の伝達経路の異常を検出する。
【0012】
好ましくは、第2の制御装置は、パイロット信号を受信したことに基づいて第2の充電モードを選択し、パイロット信号を受信していないときに制御信号を受信したことに基づいて第1の充電モードを選択する。
【0013】
好ましくは、車両は、外部電源から供給される電源電圧を検出するように構成された電圧検出器をさらに備える。そして、第2の制御装置は、第2の充電モードが選択されている場合は、電圧検出器の検出状態および制御信号に基づいて伝達経路の異常を検出する。
【0014】
好ましくは、第2の制御装置は、第2の充電モードが選択されている場合に、電圧検出器によって外部電源から供給される電源電圧が検出されているにもかかわらず、制御信号が第1の制御装置に電源電圧が供給されたことを示していないときは、伝達経路に異常があると判定する。
【0015】
好ましくは、第2の充電モードによって充電を行なうための充電ケーブルは、外部電源からの電力の供給と遮断とが切替え可能な切替装置を含む。第2の制御装置は、パイロット信号の電位を変化させることによって、切替装置の導通および非導通を制御することができるとともに、切替装置を導通させる指令が出力されたことを記憶することが可能である。そして、第2の制御装置は、第2の充電モードが選択されている場合に、電圧検出器によって外部電源から供給される電源電圧が検出されておらず、かつ、切替装置を導通させる指令を出力したことが記憶されていないにもかかわらず、制御信号が第1の制御装置に電源電圧が供給されたことを示しているときは、伝達経路に異常があると判定する。
【0016】
好ましくは、第2の制御装置は、第2の充電モードが選択されていない場合に、充電ケーブルの接続状態と制御信号とに基づいて伝達経路の異常を検出する。
【0017】
好ましくは、第2の制御装置は、第2の充電モードが選択されていない場合に、充電ケーブルが接続されておらず、かつ、制御信号が第1の制御装置に電源電圧が供給されたことを示しているときは、伝達経路に異常があると判定する。
【0018】
好ましくは、車両は、伝達経路の異常が検出されたことを通知するための異常出力装置をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、充電ケーブルのパイロット信号の有無にかかわらず、外部電源からの電力を用いて充電が可能な充電システムを有する車両における異常を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に従う、車両の充電システムの概略図である。
【図2】図1に示した充電回路をより詳細に説明するための図である。
【図3】車両ECUにおいて、充電ECUからの起動信号IGACを受信するための回路の一例を示す図である。
【図4】「充電モード1」を用いる場合の、車両の充電システムの概略図である。
【図5】「充電モード2」を用いる場合の、充電開始制御を説明するためのタイムチャートである。
【図6】「充電モード1」を用いる場合の、充電開始制御を説明するためのタイムチャートである。
【図7】車両ECU170において実行される充電開始制御を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施の形態において、車両ECUで実行される異常検出制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
図1は、本実施の形態に従う、車両10の充電システムの概略図である。図1は、充電ケーブルとパイロット信号の授受を行なって充電を行なう「充電モード2」の場合の概略図である。
【0023】
なお、車両10は、外部電源により充電可能な蓄電装置からの電力によって走行可能であれば、その構成は特に限定されるものではない。車両10には、たとえばハイブリッド自動車,電気自動車および燃料電池自動車などが含まれる。また、充電可能な蓄電装置が搭載された車両であれば、たとえば内燃機関によって走行する車両にも適用可能である。
【0024】
図1を参照して、車両10は、インレット270と、電力変換装置160と、リレー155と、蓄電装置150と、モータ駆動装置180と、モータジュネレータ(以下「MG(Motor Generator)」とも称する。)120と、駆動輪130とを備える。車両10は、充電ECU(Electronic Control Unit)165と、車両ECU170と、電圧センサ182と、警告装置190とをさらに備える。また、電力変換装置160は、整流回路161と、DC/DCコンバータ162とを含む。
【0025】
インレット270には、充電ケーブル300のコネクタ310が接続される。
整流回路161は、電力線ACL1,ACL2によってインレット270と接続される。整流回路161は、電力線ACL1,ACL2によって伝達される外部電源402からの交流電力を直流電力に変換し、電力線PL1および接地線NL1に出力する。
【0026】
DC/DCコンバータ162は、電力線PL1および接地線NL1によって整流回路161と接続される。また、DC/DCコンバータ162は、リレー155を介して蓄電装置150と接続される。そして、DC/DCコンバータ162は、充電ECU165からの制御信号PWEに基づいて、整流回路161から供給される直流電圧を、蓄電装置150の充電に適した電圧に変換して蓄電装置150に供給する。
【0027】
蓄電装置150は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置150は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
【0028】
蓄電装置150は、DC/DCコンバータ162から供給される直流電力を蓄える。蓄電装置150は、MG120を駆動するモータ駆動装置180に接続され、車両を走行するための駆動力の発生に用いられる直流電力をモータ駆動装置180へ供給する。また蓄電装置150は、MG120で発電された電力を蓄電する。
【0029】
また、蓄電装置150は、いずれも図示しないが、蓄電装置150の電圧を検出するための電圧センサ、および、蓄電装置150に入出力される電流を検出するための電流センサをさらに含み、これらのセンサによって検出された電圧,電流の検出値を車両ECU170へ出力する。
【0030】
モータ駆動装置180は、蓄電装置150およびMG120に接続される。そして、モータ駆動装置180は、車両ECU170によって制御されて、蓄電装置150から供給される電力を、MG120を駆動するための電力に変換する。モータ駆動装置180は、たとえば三相インバータを含んで構成される。
【0031】
MG120は、モータ駆動装置180と、図示しない動力分割機構や減速機等を介して駆動輪130とに接続される。そして、MG120は、モータ駆動装置180から供給される電力を受けて、車両10を走行させるための駆動力を発生する。また、MG120は、駆動輪130からの回転力を受けて交流電力を発生するとともに、車両ECU170からの回生トルク指令によって回生制動力を発生する。MG120は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータとY結線された三相コイルを有するステータとを備える三相交流電動発電機を含んで構成される。なお、本実施の形態においては、モータ駆動装置180、MG120および駆動輪130により、車両10の駆動装置が形成される。
【0032】
また、MG120の他にエンジン(図示しない)が搭載されたハイブリッド自動車では、車両ECU170により、エンジンおよびMG120の駆動力が最適な比率となるように制御が実行される。なお、複数のモータジェネレータを備える構成としてもよい。
【0033】
電圧センサ182は、電力線ACL1とACL2との間に設置され、外部電源402から供給される電力の電圧を検出する。そして、電圧センサ182は、その電圧の検出値VACを車両ECU170に出力する。
【0034】
リレー155は、電力変換装置160と蓄電装置150とを結ぶ経路に設置される。そしてリレー155は、車両ECU170からの制御信号SEによって制御され、電力変換装置160から蓄電装置150への電力の供給と遮断とを切替える。なお、本実施の形態においては、リレー155は個別に設けられる構成としているが、蓄電装置150または電力変換装置160の内部にリレー155が含まれる構成としてもよい。
【0035】
警告装置190は、後述する異常検出制御において異常が検出された場合に、車両ECU170からの制御信号ALMに基づいて、異常を検出したことを操作者へ通知する。警告装置190は、たとえば、ブザーやチャイムのように聴覚を通じて通知するもの、あるいは、表示灯や液晶などの表示画面のように視覚を通じて通知するものが含まれる。
【0036】
充電ECU165および車両ECU170は、いずれも図1には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含む。充電ECU165および車両ECU170における制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0037】
充電ECU165は、上述のように、電力変換装置160内のDC/DCコンバータ162を制御するための制御装置である。充電ECU165は、車両ECU170からの充電指令CHGに基づいて、DC/DCコンバータ162を制御するための制御信号PWEを生成して、DC/DCコンバータ162へ出力する。
【0038】
また、充電ECU165は、電力線PL1および接地線NL1に接続され電源電圧が供給される。充電ECU165は、電源電圧が供給されることによって起動状態となると車両ECU170へ起動信号IGACを出力する。
【0039】
この起動信号IGACは、充電ケーブルがパイロット信号を用いないで充電を行なうケーブル(以下、「モード1用ケーブル」とも称する。)の場合に、充電ケーブルがインレット270に接続されて、外部電源402から電力が供給されていることを車両ECU170へ通知するための信号である。
【0040】
なお、図1においては、充電ECU165は、電力変換装置160とは別個の構成としているが、充電ECU165が電力変換装置160に含まれる構成としてもよい。
【0041】
車両ECU170は、車両10および各機器の制御を行なうための制御装置であり、各センサ等からの信号の受信や各機器への制御指令の出力を行なう。
【0042】
車両ECU170は、充電ケーブル300から、インレット270を介して、ケーブル接続信号CNCTおよびパイロット信号CPLTを受ける。車両ECU170は、パイロット信号CPLTを受信することによって、充電ケーブルがパイロット信号を用いて充電を行なうケーブル(以下、「モード2用ケーブル」とも称する。)であると判断する。
【0043】
車両ECU170は、充電ECU165から起動信号IGACを受ける。車両ECU170は、充電ケーブルからのパイロット信号CPLTを受けていないときに、この起動信号IGACを受けたときには、充電ケーブルとして「モード1用ケーブル」がインレット270に接続されたと判断して、「充電モード1」を選択する。
【0044】
車両ECU170は、蓄電装置150内に設置されたセンサ(図示せず)から電流、電圧に関する検出値の入力を受け、これらの情報に基づいて蓄電装置150の充電状態を示す状態量(以下「SOC(State of Charge)」とも称する。)の算出を行なう。
【0045】
また、車両ECU170は、電圧センサ182から受電電力の電圧検出値VACを受ける。
【0046】
そして、車両ECU170は、これらの情報に基づいて、蓄電装置150を充電するために、電力変換装置160およびリレー155などを制御する。
【0047】
充電ケーブル300は、車両側の端部に設けられたコネクタ310と、外部電源側の端部に設けられたプラグ320と、充電回路遮断装置(以下「CCID(Charging Circuit Interrupt Device)」とも称する。)330と、それぞれの機器間を接続して電力および制御信号を入出力する電線部340とを備える。
【0048】
電線部340は、プラグ320とCCID330との間を接続する電線部340Aとコネクタ310とCCID330との間を接続する電線部340Bとを含む。また、電線部340は、外部電源402からの電力を伝達するための電力線341を含む。
【0049】
充電ケーブル300は、外部電源402(たとえば商用電源)のコンセント400と充電ケーブル300のプラグ320によって接続される。また、車両10のボディーに設けられたインレット270と充電ケーブル300のコネクタ310とが接続され、車両の外部電源402からの電力が車両10へ伝達される。充電ケーブル300は、外部電源402および車両10に着脱可能である。
【0050】
コネクタ310の内部には、コネクタ310の接続を検知する接続検知回路312が設けられ、インレット270とコネクタ310との接続状態を検知する。そして、接続検知回路312は接続状態を表わすケーブル接続信号CNCTを、インレット270を経由して、車両10の車両ECU170へ出力する。
【0051】
接続検知回路312については、図1に示すようなリミットスイッチとする構成として、コネクタ310をインレット270に接続したときに、ケーブル接続信号CNCTの電位が0Vとなるようにしてもよい。また、接続検知回路312を所定の抵抗値を有する抵抗器(図示しない)とする構成として、接続時にケーブル接続信号CNCTの電位を所定の電位に低下させるようにしてもよい。いずれの場合においても、車両ECU170がケーブル接続信号CNCTの電位を検出することによって、コネクタ310がインレット270に接続されたことが検出される。
【0052】
CCID330は、CCIDリレー332と、コントロールパイロット回路334とを含む。CCIDリレー332は、充電ケーブル300内の電力線341に介挿される。CCIDリレー332は、コントロールパイロット回路334によって制御される。そして、CCIDリレー332が開放されているときは、充電ケーブル300内で電路が遮断される。一方、CCIDリレー332が閉成されると、外部電源402から車両10へ電力が供給される。
【0053】
コントロールパイロット回路334は、コネクタ310およびインレット270を介して車両ECU170へパイロット信号CPLTを出力する。このパイロット信号CPLTは、コントロールパイロット回路334から車両ECU170へ充電ケーブル300の定格電流を通知するための信号である。また、パイロット信号CPLTは、車両ECU170によって操作されるパイロット信号CPLTの電位に基づいて、車両ECU170からCCIDリレー332を遠隔操作するための信号としても使用される。そして、コントロールパイロット回路334は、パイロット信号CPLTの電位変化に基づいてCCIDリレー332を制御する。
【0054】
図2は、図1に示した充電回路をより詳細に説明するための図である。なお、図2において、図1と同じ参照符号が付された重複する要素についての説明は繰り返さない。
【0055】
図2を参照して、CCID330は、CCIDリレー332およびコントロールパイロット回路334に加えて、電磁コイル606と、漏電検出器608と、CCID制御部610と、電圧センサ650と、電流センサ660とをさらに含む。また、コントロールパイロット回路334は、発振装置602と、抵抗R1と、電圧センサ604とを含む。
【0056】
CCID制御部610は、いずれも図示しないが、CPUと、記憶装置と、入出力バッファとを含み、各センサおよびコントロールパイロット回路334の信号の入出力を行なうとともに、充電ケーブル300の充電動作の制御を行なう。
【0057】
発振装置602は、電圧センサ604によって検出されるパイロット信号CPLTの電位が規定の電位のときは非発振の信号を出力し、パイロット信号CPLTの電位が上記の規定の電位から低下したときは、CCID制御部610により制御されて、規定の周波数(たとえば1kHz)およびデューティサイクルで発振する信号を出力する。
【0058】
なお、パイロット信号CPLTの電位は、図5で後述するように、車両ECU170によって操作される。また、デューティサイクルは、外部電源402から充電ケーブル300を介して車両10へ供給可能な定格電流に基づいて設定される。
【0059】
パイロット信号CPLTは、上述のようにパイロット信号CPLTの電位が規定の電位から低下すると、規定の周期で発振する。ここで、外部電源402から充電ケーブル300を介して車両10へ供給可能な定格電流に基づいてパイロット信号CPLTのパルス幅が設定される。すなわち、この発振周期に対するパルス幅の比で示されるデューティによって、パイロット信号CPLTを用いてコントロールパイロット回路334から車両10の車両ECU170へ定格電流が通知される。
【0060】
なお、定格電流は、充電ケーブル毎に定められており、充電ケーブル300の種類が異なれば定格電流も異なる。したがって、充電ケーブル300毎にパイロット信号CPLTのデューティも異なることになる。
【0061】
車両ECU170は、コントロールパイロット線L1を介して受信したパイロット信号CPLTのデューティに基づいて、外部電源402から充電ケーブル300を介して車両10へ供給可能な定格電流を検知することができる。
【0062】
車両ECU170によってパイロット信号CPLTの電位がさらに低下されると、コントロールパイロット回路334は、電磁コイル606へ電流を供給する。電磁コイル606は、コントロールパイロット回路334から電流が供給されると電磁力を発生し、CCIDリレー332の接点を閉じて導通状態にする。
【0063】
漏電検出器608は、CCID330内部において充電ケーブル300の電力線341の途中に設けられ、漏電の有無を検出する。具体的には、漏電検出器608は、対となる電力線341に互いに反対方向に流れる電流の平衡状態を検出し、その平衡状態が破綻すると漏電の発生を検知する。なお、特に図示しないが、漏電検出器608により漏電が検出されると、電磁コイル606への給電が遮断され、CCIDリレー332の接点が開放されて非導通状態となる。
【0064】
電圧センサ650は、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に差し込まれると、外部電源402から伝達される電源電圧を検知し、その検出値をCCID制御部610に通知する。また、電流センサ660は、電力線341に流れる充電電流を検知し、その検出値をCCID制御部610に通知する。
【0065】
コネクタ310内に含まれる接続検知回路312は、上述のように、たとえばリミットスイッチであり、コネクタ310がインレット270に接続された状態で接点が閉じられる一方で、コネクタ310がインレット270から切り離された状態で接点が開放される。
【0066】
コネクタ310がインレット270から切り離された状態では、車両ECU170に含まれる電源ノード511の電圧およびプルアップ抵抗R10によって定まる電圧信号がケーブル接続信号CNCTとして接続信号線L3に発生する。また、コネクタ310がインレット270に接続された状態では、接続信号線L3が接地線L2と短絡されるため、接続信号線L3の電位は0Vとなる。
【0067】
なお、接続検知回路312は抵抗器(図示せず)とすることも可能である。この場合には、コネクタ310がインレット270に接続された状態では、電源ノード511の電圧およびプルアップ抵抗R10と、この抵抗器とによって定まる電圧信号が、接続信号線L3に発生する。
【0068】
接続検知回路312が、上記のようにリミットスイッチ,抵抗器のいずれの場合であっても、コネクタ310がインレット270に接続されたときと、切り離されたときとで、接続信号線L3に発生する電位(すなわち、ケーブル接続信号CNCTの電位)が変化する。したがって、接続信号線L3の電位を検出することによって、車両ECU170は、コネクタ310の接続状態を検出することができる。
【0069】
車両10においては、車両ECU170は、上記の電源ノード511およびプルアップ抵抗R10に加えて、抵抗回路502と、入力バッファ504,506と、CPU508とをさらに含む。抵抗回路502は、プルダウン抵抗R2,R3と、スイッチSW1,SW2とを含む。プルダウン抵抗R2およびスイッチSW1は、パイロット信号CPLTが通信されるコントロールパイロット線L1と車両アース512との間に直列に接続される。プルダウン抵抗R3およびスイッチSW2も、コントロールパイロット線L1と車両アース512との間に直列に接続される。そして、スイッチSW1,SW2は、それぞれCPU508からの制御信号S1,S2に応じて導通または非導通に制御される。
【0070】
この抵抗回路502は、車両10側からパイロット信号CPLTの電位を操作するための回路である。
【0071】
入力バッファ504は、コントロールパイロット線L1のパイロット信号CPLTを受け、その受けたパイロット信号CPLTをCPU508へ出力する。入力バッファ506は、コネクタ310の接続検知回路312に接続される接続信号線L3からケーブル接続信号CNCTを受け、その受けたケーブル接続信号CNCTをCPU508へ出力する。なお、接続信号線L3には上記で説明したように車両ECU170から電圧がかけられており、コネクタ310のインレット270への接続によって、ケーブル接続信号CNCTの電位が変化する。したがって、このケーブル接続信号CNCTの電位を検出することによって、CPU508は、コネクタ310の接続状態を検出することができる。
【0072】
CPU508は、入力バッファ504,506から、パイロット信号CPLTおよびケーブル接続信号CNCTをそれぞれ受ける。
【0073】
CPU508は、ケーブル接続信号CNCTの電位を検出し、コネクタ310の接続状態を検出する。
【0074】
また、CPU508は、パイロット信号CPLTの発振状態およびデューティサイクルを検知することによって、上述のように充電ケーブル300の定格電流を検出する。
【0075】
そして、CPU508は、ケーブル接続信号CNCTの電位およびパイロット信号CPLTの発振状態に基づいて、スイッチSW1,SW2の制御信号S1,S2を制御することによって、パイロット信号CPLTの電位を操作する。これによって、CPU508は、CCIDリレー332を遠隔操作することができる。そして、充電ケーブル300を介して外部電源402から車両10への電力の伝達が行なわれる。
【0076】
図1および図2を参照して、CCIDリレー332の接点が閉じられると、電力変換装置160に外部電源402からの交流電力が与えられ、外部電源402から蓄電装置150への充電準備が完了する。CPU508は、充電ECU165に充電指令CHGを出力する。これに応じて、充電ECU165は、電力変換装置160に対し制御信号PWEを出力することによって電力変換を行なう。そして、CPU508は、制御信号SEを出力してリレー155の接点を閉じることにより、蓄電装置150への充電を実行する。
【0077】
図3は、車両ECU170において、充電ECU165からの起動信号IGACを受信するための回路の一例を示す図である。
【0078】
図3を参照して、充電ECU165は、CPU164と、スイッチSW20と、抵抗R20とを含む。また、車両ECU170は、上述のCPU508に加えて、サンプリング回路520と、入力バッファ521と、電源ノード522と、スイッチSW30と、抵抗R30,R31と、ダイオードD30とを含む。
【0079】
充電ECU165のスイッチSW20は、たとえばNPNトランジスタであり、そのエミッタが接地され、コレクタが抵抗R20の一方端に接続される。またスイッチSW20のゲートは、CPU164に接続され、CPU164からの制御信号S20によって制御される。
【0080】
抵抗R20の他方端は、車両ECU170内のダイオードD30を介して、抵抗R31の一方端に接続される。ダイオードD30は、抵抗R31から抵抗R20に向かう方向を順方向として接続される。また、抵抗R31の他方端は入力バッファ521に接続される。
【0081】
入力バッファ521は、抵抗R31との接続ノードP10の電位を受け、CPU508へ出力する。
【0082】
スイッチSW30は、たとえばPNPトランジスタであり、エミッタに電源ノード522が接続され、コレクタにプルアップ抵抗R30の一方端が接続される。スイッチSW30のゲートは、サンプリング回路520を介してCPU508に接続される。スイッチSW30は、サンプリング回路520からの制御信号S30によって制御される。また、プルアップ抵抗R30の他方端は、抵抗R31とダイオードD30との接続ノードに接続される。
【0083】
このような回路において、サンプリング回路520は、予め定められた周期で制御信号S30のオン・オフを制御する。
【0084】
制御信号S30がオンに設定されている場合において、充電ECU165のスイッチSW20の制御信号S20がオフのときには、回路に電流は流れないので、P10の電位は電源ノード522の電位(ハイレベル)と等しくなる。
【0085】
一方、制御信号S20がオンに設定されると、抵抗R30、ダイオードD30、抵抗R20およびスイッチSW20を経由して回路に電流が流れる。そうすると、P10の電位は、抵抗R20,R30,R31によって定まる電位(ローレベル)まで低下する。
【0086】
CPU164は、外部電源402からの電力が車両10に伝達されて電源電圧が供給されると、制御信号S20をオンに設定する。これによって、スイッチSW20がオン状態(導通状態)とされる。そして、CPU508は、制御信号S30がオンに設定されているときに、入力バッファ521から入力されるP10における電圧レベルが、上述のローレベルに低下したことを検出することによって起動信号IGACを受信する。
【0087】
図4は、パイロット信号CPLTの授受を行なわずに充電を行なう「充電モード1」を用いる場合の、車両10の充電システムの概略図である。図3は、図1における充電ケーブル300が、「モード1用ケーブル」である充電ケーブル300#に置き換わったものであり、車両10の構成については図1の場合と同様である。図3において、図1と同じ参照符号が付された重複する要素についての説明は繰り返さない。
【0088】
図4を参照して、充電ケーブル300#は、車両に接続される端部に設けられたコネクタ310#と、外部電源に接続される端部に設けられたプラグ320#と、コネクタ310#およびプラグ320#間を接続して電力および制御信号を入出力する電線部340#とを備える。
【0089】
電線部340#は、外部電源402からの電力を伝達するための電力線341#を含む。
【0090】
充電ケーブル300#は、外部電源402(たとえば商用電源)のコンセント400と充電ケーブル300#のプラグ320#によって接続される。また、車両10のボディーに設けられたインレット270と充電ケーブル300#のコネクタ310#とが接続され、車両外部電源402からの電力が車両10へ伝達される。充電ケーブル300は、外部電源402および車両10に着脱可能である。
【0091】
コネクタ310#の内部には、コネクタ310#の接続を検知する接続検知回路312#が設けられ、インレット270とコネクタ310#との接続状態を検知する。そして、接続検知回路312#は接続状態を表わすケーブル接続信号CNCTを、インレット270を経由して、車両10の車両ECU170へ出力する。
【0092】
接続検知回路312#については、図1の接続検知回路312と同様に、リミットスイッチとする構成としてもよいし、所定の抵抗値を有する抵抗器(図示しない)とする構成としてもよい。また、「充電モード1」においては、接続検知回路312#は必ずしも必要ではなく、コネクタ310#内に接続検知回路312#を含まない構成とすることもできる。
【0093】
図4に示されるように、充電ケーブル300#は、図1の充電ケーブル300のようにCCID330を含んでいない。すなわち、プラグ320#とコネクタ310#とが直接電線部340#で接続されている。そのため、充電ケーブル300#が、外部電源402および車両10の両方に接続されると、外部電源402からの交流電力が、直接車両10へ供給される。
【0094】
車両10においては、充電ケーブル300#からのパイロット信号CPLTの入力がないので、車両ECU170は、図1および図2で説明したように、パイロット信号CPLTの電位および発振状態に基づいた充電開始および停止を制御することができない。そのため、「充電モード1」においては、車両ECU170は、上述の充電ECU165からの起動信号IGACと、(コネクタ310#内に接続検知回路312#を含む場合には)ケーブル接続信号CNCTとに基づいて、充電モードを判断するとともに充電の開始を制御する。
【0095】
次に図5および図6を用いて、上記の2つの充電モードにおける充電開始制御について説明する。
【0096】
図5は、「充電モード2」すなわち、パイロット信号CPLTを用いる場合の、充電開始制御を説明するためのタイムチャートである。図5の横軸には時間が示され、縦軸にはプラグ320の接続状態、電圧センサ182で検出される交流電圧VAC、パイロット信号CPLTの電位、ケーブル接続信号CNCTの状態、スイッチSW1,SW2の状態、CCIDリレー332の状態、充電モード、および充電処理の実行状態が示される。
【0097】
図2および図5を参照して、時刻t11になるまでは、充電ケーブル300は、車両10および外部電源402のいずれにも接続されていない状態である。この状態においては、各スイッチおよびCCIDリレー332はオフの状態であり、パイロット信号CPLTの電位は0Vである。また、ケーブル接続信号CNCTの電位は、V11(>0V)である。
【0098】
時刻t11において、充電ケーブル300のプラグ320が外部電源402のコンセント400に接続されると、外部電源402からの電力を受けてコントロールパイロット回路334がパイロット信号CPLTを発生する。
【0099】
なお、この時刻t11では、充電ケーブル300のコネクタ310はインレット270に接続されていない。また、パイロット信号CPLTの電位はV1(たとえば12V)であり、パイロット信号CPLTは非発振状態である。
【0100】
時刻t12において、コネクタ310がインレット270に接続されると、接続検知回路312によって、ケーブル接続信号CNCTの電位が低下する。このとき、CPU508は、パイロット信号CPLTの入力を認識することにより、充電ケーブル300が「モード2用ケーブル」であると認識し、「充電モード2」を選択する。
【0101】
そして、CPU508は、ケーブル接続信号CNCTの電位が低下したことを検出することによって、コネクタ310とインレット270との接続を検出する。それに応じて、CPU508によって制御信号S2が活性化されて、スイッチSW2がオンされる。そうすると、抵抗回路502のプルダウン抵抗R3によってパイロット信号CPLTの電位はV2(たとえば9V)に低下する。
【0102】
時刻t13において、CCID制御部610によってパイロット信号CPLTの電位がV2に低下したことが検出される。これに応じて、CCID制御部610は、パイロット信号CPLTを発振させる。
【0103】
CPU508は、パイロット信号CPLTが発振されたことを検出すると、上述のようにパイロット信号CPLTのデューティによって、充電ケーブル300の定格電流を検出する。
【0104】
そして、CPU508は充電動作を開始するために制御信号S1を活性化させてスイッチSW1をオンする。これに応じて、プルダウン抵抗R2によって、パイロット信号CPLTの電位がV3(たとえば6V)に低下する(図5中の時刻t14)。
【0105】
このパイロット信号CPLTの電位がV3に低下したことが、CCID制御部610によって検出されると、時刻t15においてCCIDリレー332の接点が閉じられて、外部電源402からの電力が充電ケーブル300を介して車両10に伝達される。
【0106】
その後、車両10において、交流電圧VACが検出されると、CPU508によってリレー155の接点が閉じられるとともに、充電ECU165(図1)がCPU508からの充電指令CHGに従って電力変換装置160(図1)を制御することによって、蓄電装置150(図1)の充電が開始される(図4中の時刻t16)。
【0107】
蓄電装置150の充電が進み、蓄電装置150が満充電となったことが判定されると、CPU508は、制御信号S1を非活性化してスイッチSW1を非導通状態とする(図5中の時刻t17)。これによって、パイロット信号CPLTの電位がV2となり、それに応じて充電処理が停止されるとともにCCIDリレー332が非導通状態とされて、充電動作が終了する。その後、CPU508が、制御信号S2を非活性化してスイッチSW2を非導通状態とすることによって、システムが遮断される。
【0108】
次に、図6を用いて、「モード1用ケーブル」を用いた場合の充電開始制御について説明する。図6の横軸には時間が示され、縦軸にはプラグ320#の接続状態、電圧センサ182で検出される交流電圧VAC、ケーブル接続信号CNCTの状態、充電モード、および充電処理の実行状態が示される。
【0109】
図4および図6を参照して、時刻t21になるまでは、充電ケーブル300#は、車両10および外部電源402のいずれにも接続されていない状態である。
【0110】
時刻t21において、充電ケーブル300#のプラグ320#が外部電源402のコンセント400に接続されるが、充電ケーブル300#には充電ケーブル300(図1)のCCID330(図1)がないので、パイロット信号CPLTは出力されない。そのため、車両ECU170で検出されるパイロット信号CPLTの電位は0Vのままである。
【0111】
時刻t22において、充電ケーブル300#のコネクタ310#がインレット270に接続されると、接続検知回路312#によってケーブル接続信号CNCTの電位が低下する。また、外部電源402からの電力が車両10に供給されて、充電ECU165(図1)に電源電圧が供給される。これによって、充電ECU165が起動され、図3で説明したように、充電ECU165から車両ECU170へ起動信号IGACが出力される。
【0112】
このとき、車両ECU170は、パイロット信号CPLTの入力がなく、かつ起動信号IGACが検出されたことによって、充電ケーブル300#が「モード1用ケーブル」であると認識し、「充電モード1」を選択する。なお、充電ケーブル300#が接続検知回路312#を有する場合には、ケーブル接続信号CNCTの電位が低下したことを、上記の条件に加えてもよい。
【0113】
そして、車両ECU170は、時刻t23において、リレー155の接点を閉じるとともに、充電ECU165に充電指令CHGを与えて電力変換装置160を制御させることによって、蓄電装置150の充電を開始する。
【0114】
その後、時刻t23において、蓄電装置150が満充電となったことが判定されると、車両ECU170は、充電ECU165への充電指令CHGによって電力変換装置160を停止する。そして、リレー155をオフとすることによって充電処理を停止させる。「充電モード1」においては、CCIDリレーがないので、プラグ320#またはコネクタ310#が抜かれることによって、外部電源402からの電力が遮断される。
【0115】
図7は、車両ECU170において実行される、充電開始制御を説明するためのフローチャートである。図7および後述する図8に示すフローチャートは、車両ECU170に予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて、所定周期で実行されることによって処理が実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
【0116】
図7を参照して、車両ECU170は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)600にて、パイロット信号CPLTの電位が所定の基準値α1(α1>0)より大きいか否か、すなわち接続されている充電ケーブルが「モード2用ケーブル」であるか否かを判定する。
【0117】
パイロット信号CPLTの電位が所定の基準値α1より大きい場合、すなわち接続されている充電ケーブルが「モード2用ケーブル」である場合(S600にてYES)は、S610に処理が進められ、車両ECU170は、「充電モード2」を選択する。そして、S620Bに処理が進められ、車両ECU170は、選択された充電モードに基づいて、充電開始処理を行なう。
【0118】
一方、パイロット信号CPLTの電位が所定の基準値α1以下の場合(S600にてNO)は、S630に処理が進められ、車両ECU170は、次に起動信号IGACがオン状態であるか否かを判定する。
【0119】
起動信号IGACがオン状態である場合(S630にてYES)は、処理がS640に進められ、車両ECU170は、「充電モード1」を選択する。そして、S620Aに処理が進められる。
【0120】
そして、車両ECU170は、S620Aにおいて、選択された充電モードに基づいて、充電開始処理を行なう。
【0121】
一方、起動信号IGACがオフ状態である場合(S630にてNO)は、パイロット信号CPLTの入力もなく、起動信号IGACも検出されていないため、車両ECU170は充電不可能と判定し、充電開始処理を行なわずメインルーチンに処理を戻す。
【0122】
なお、「モード1用ケーブル」からケーブル接続信号CNCTが入力される場合には、S630において、ケーブル接続信号CNCTによってコネクタが接続されているか否かを考慮して判定を行なうようにしてもよい。
【0123】
このように、充電に用いる充電ケーブルの種類(または充電モード)を車両で判定し、それに応じた充電開始制御を行なうことによって、「モード1用ケーブル」および「モード2用ケーブル」のいずれのケーブルを用いた場合でも、外部電源からの充電をすることが可能となる。
【0124】
ところで、このような2つの充電モードのケーブルで外部充電が可能な車両において、「モード1用ケーブル」を用いる場合には、車両ECU170において上述の起動信号IGACが検出されることで充電開始が判断される。一方で、「モード2用ケーブル」を用いる場合には、パイロット信号CPLTにより充電開始を判断するため、必ずしも起動信号IGACは必要とならない。
【0125】
そのため、図3で説明した起動信号IGACの送信・受信回路の異常については、「モード1用ケーブル」を接続した場合にのみ判定される場合がある。
【0126】
そうすると、たとえば工場での出荷検査において、「モード1用ケーブル」および「モード2用ケーブル」の両方での検査が必要となり、検査ラインのタクトタイムが延長されるおそれがある。また、修理の場合の異常要因の特定においても、「モード1用ケーブル」および「モード2用ケーブル」の両方での検査が必要となり、要因特定に時間を要してしまうおそれがある。
【0127】
そこで、本実施の形態においては、「モード1用ケーブル」および「モード2用ケーブル」のいずれの充電ケーブルでも外部充電が可能な車両において、「モード2用ケーブル」を用いた場合に、起動信号IGACの送信・受信回路の異常を判定する異常検出制御を行なう。
【0128】
このようにすることによって、「モード2用ケーブル」を用いて充電を行なう場合においても、充電モード1に不可欠である起動信号IGACの異常が検出可能となるので、出荷検査や故障要因の特定に必要となる時間を短縮することができる。
【0129】
図8は、本実施の形態において、車両ECU170で実行される異常検出制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0130】
図8を参照して、車両ECU170は、S100にて、パイロット信号CPLTの電位および発振状態に基づいて、「充電モード2」が選択されているか否かを判定する。
【0131】
「充電モード2」が選択されている場合(S100にてYES)は、S110に処理が進められる。ECU170は、S110にて、電圧センサ182によって外部電源402からの電源電圧VACが検出されているか否かを判定する。なお、S110においては、CCIDリレー332のオン指令を条件に追加するようにしてもよい。
【0132】
電源電圧VACが検出されている場合(S110にてYES)は、車両ECU170は、CCIDリレー332が導通状態にされて、外部電源402から車両10へ電力が供給されていると判断する。
【0133】
この場合には、充電ECU165に電源電圧が供給されて、充電ECU165が起動状態のはずなので、車両ECU170は、次にS120にて、起動信号IGACのオフ状態が継続しているか否か、すなわち図3においてCPU508がハイレベルを検出しているか否かを判定する。
【0134】
本来、電圧VACが検出されているときには、起動信号IGACがオン状態(ローレベル検出)を示すはずであるので、起動信号IGACのオフ状態が継続している場合(S120にてYES)は、車両ECU170は、S130にて、起動信号IGACの送信・受信回路に断線やスイッチSW20の動作不良などによる異常が発生している可能性があると判断する。
【0135】
起動信号IGACのオフ状態が継続していない場合(S120にてNO)は、車両ECU170は、少なくとも起動信号IGACがオンであるはずの状態において、起動信号IGACがオフとなってしまう異常は発生していないと判断し、メインルーチンに処理が戻される。
【0136】
一方、電源電圧VACが検出されていない場合(S110にてNO)は、次に、処理がS140に進められる。このような状態となるのは、たとえば充電処理が完了してCCIDリレー332がオフとなっている場合や、何らかの条件によって充電処理が行なわれないか、もしくは充電処理が中断された場合が考えられる。車両ECU170は、S140にて、今回の一連の充電動作において、CCIDリレー332を導通状態とする指令が出力された履歴があるか否かを判定する。
【0137】
CCIDリレー332を導通状態とする指令が出力された履歴がある場合(S140にてYES)は、車両ECU170は、起動信号IGACの異常以外の他の異常が発生している可能性はあるものの、起動信号IGACに異常が発生している可能性は低いとして、処理をメインルーチンに戻す。
【0138】
CCIDリレー332を導通状態とする指令が出力された履歴がない場合(S140にてNO)は、処理がS160に進められる。この場合、車両ECU170は、今回の一連の充電処理のおいて、一度もCCIDリレー332が導通状態とされていないため、外部電源402からの電力が車両10へ一度も伝達されていないと判断する。そして、S160にて、車両ECU170は、起動信号IGACのオン状態が継続しているか否かを判定する。
【0139】
起動信号IGACのオン状態が継続していない場合(S160にてNO)は、車両ECU170は、起動信号IGACの送信・受信回路の異常は発生していないと判断し、処理をメインルーチンに戻す。
【0140】
一方、起動信号IGACのオン状態が継続している場合(S160にてYES)は、処理がS170に処理が進められ、車両ECU170は、起動信号IGACの送信・受信回路において、たとえばスイッチSW20が導通状態のままとなる動作不良などの異常が発生している可能性があると判断する。
【0141】
一方、S100にて、「充電モード2」が選択されていない場合(S100にてNO)は、処理がS150に進められる。このような状態となるのは、「モード1用ケーブル」を用いた「充電モード1」の場合、および充電ケーブルが接続されていない場合のいずれかである。
【0142】
車両ECU170は、S150にて、ケーブル接続信号CNCTに基づいて、充電コネクタが接続されているか否かを判定する。
【0143】
充電コネクタが接続されていない場合(S150にてNO)は、処理がS160に進められる。この場合、充電コネクタが接続されていないので、本来であれば充電ECU165には電源電圧が供給されず、起動信号IGACはオフとなるはずである。
【0144】
そのため、上述のように、車両ECU170は、S160にて、起動信号IGACのオン状態が継続しているか否かを判定することによって、起動信号IGACの送信・受信回路の異常の有無を判定する。
【0145】
充電コネクタが接続されている場合(S150にてYES)は、たとえば、CCID330の異常などのような、起動信号IGACの異常以外の他の異常が発生している可能性はあるものの、起動信号IGACに異常が発生している可能性は低いとして、処理をメインルーチンに戻す。
【0146】
なお、図8には示さないが、異常を検出した場合には、警告装置190によって、異常が発生していることがユーザに通知される。
【0147】
以上のような処理にしたがって制御を行なうことによって、「モード2用ケーブル」を用いた場合においても、起動信号IGACの送信・受信回路の異常の有無を判定することが可能となる。
【0148】
なお、本実施の形態における「充電ECU165」および「車両ECU170」は、それぞれ本発明の「第1の制御装置」および「第2の制御装置」の一例である。
【0149】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0150】
10 車両、120 モータジェネレータ、130 駆動輪、150 蓄電装置、155 リレー、160 電力変換装置、161 整流回路、162 DC/DCコンバータ、164,508 CPU、165 充電ECU、170 車両ECU、180 モータ駆動装置、182,604,650 電圧センサ、190 警告装置、270 インレット、300,300# 充電ケーブル、310,310# コネクタ、312,312# 接続検知回路、320 プラグ、330 CCID、332 CCIDリレー、334 コントロールパイロット回路、340,340#,340A,340B 電線部、341 電力線、400 コンセント、402 外部電源、502 抵抗回路、504,506,521 入力バッファ、511,522 電源ノード、512 車両アース、520 サンプリング回路、602 発振装置、606 電磁コイル、608 漏電検出器、610 CCID制御部、660 電流センサ、ACL1,ACL2,PL1 電力線、D30 ダイオード、L1 コントロールパイロット線、L2,NL1 接地線、L3 接続信号線、P10 接続ノード、R1〜R3,R10,R20,R30,R31 抵抗、SW1,SW2,SW20,SW30 スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電ケーブルを介して、外部電源から供給される電力により充電される車両であって、
充電が可能な蓄電装置と、
前記外部電源からの電力を変換して前記蓄電装置の充電電力を供給するように構成された電力変換装置と、
充電指令に従って前記電力変換装置を制御するための第1の制御装置と、
前記充電ケーブルの種類に対応した第1の充電モードと第2の充電モードとを有し、前記第1の制御装置に前記充電指令を出力するための第2の制御装置とを備え、
前記第2の制御装置は、前記第1の充電モードの場合は、前記第1の制御装置から送信される前記第1の制御装置が起動したことを示す制御信号に基づいて充電を開始し、前記第2の充電モードの場合は、前記充電ケーブルからのパイロット信号に基づいて充電を開始し、選択された充電モードおよび前記制御信号に基づいて、前記第1の制御装置および前記第2の制御装置における前記制御信号の伝達経路の異常を検出する、車両。
【請求項2】
前記第2の制御装置は、前記パイロット信号を受信したことに基づいて前記第2の充電モードを選択し、前記パイロット信号を受信していないときに前記制御信号を受信したことに基づいて前記第1の充電モードを選択する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記外部電源から供給される電源電圧を検出するように構成された電圧検出器をさらに備え、
前記第2の制御装置は、前記第2の充電モードが選択されている場合は、前記電圧検出器の検出状態および前記制御信号に基づいて前記伝達経路の異常を検出する、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記第2の制御装置は、前記第2の充電モードが選択されている場合に、前記電圧検出器によって前記外部電源から供給される電源電圧が検出されているにもかかわらず、前記制御信号が前記第1の制御装置に電源電圧が供給されたことを示していないときは、前記伝達経路に異常があると判定する、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記第2の充電モードによって充電を行なうための前記充電ケーブルは、前記外部電源からの電力の供給と遮断とが切替え可能な切替装置を含み、
前記第2の制御装置は、前記パイロット信号の電位を変化させることによって、前記切替装置の導通および非導通を制御することができるとともに、前記切替装置を導通させる指令が出力されたことを記憶することが可能であり、
前記第2の制御装置は、前記第2の充電モードが選択されている場合に、前記電圧検出器によって前記外部電源から供給される電源電圧が検出されておらず、かつ、前記切替装置を導通させる指令を出力したことが記憶されていないにもかかわらず、前記制御信号が前記第1の制御装置に電源電圧が供給されたことを示しているときは、前記伝達経路に異常があると判定する、請求項3に記載の車両。
【請求項6】
前記第2の制御装置は、前記第2の充電モードが選択されていない場合に、前記充電ケーブルの接続状態と前記制御信号とに基づいて前記伝達経路の異常を検出する、請求項2に記載の車両。
【請求項7】
前記第2の制御装置は、前記第2の充電モードが選択されていない場合に、前記充電ケーブルが接続されておらず、かつ、前記制御信号が前記第1の制御装置に電源電圧が供給されたことを示しているときは、前記伝達経路に異常があると判定する、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記伝達経路の異常が検出されたことを通知するための異常出力装置をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−239556(P2011−239556A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108397(P2010−108397)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】