説明

車体のフロアパネル構造

【課題】 車体のフレーム部材から伝わったフロアパネルの振動エネルギを効果的に低減させ、フロアパネルからの音響放射を低減することができる車体のフロアパネル構造を提供する。
【解決手段】 本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材20,22,27,28,36に連結されたフロアパネル2により、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルには、少なくともその一部がフレーム部材により囲まれたパネル領域S2,S3が形成され、フロアパネルには、このパネル領域のほぼ中央部にその周辺部84よりも重量を増大させた高重量部82が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のフロアパネル構造に係り、特に、車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造に係る。
【背景技術】
【0002】
エンジンやサスペンションが連結されたフレーム部材からの振動がフロアパネルに伝達され、このフロアパネルが振動し、その結果、車室内の空気を大きく振動させることにより、不快な車室内振動や騒音が発生することが知られている。この場合、振動源として、エンジン自体の振動や、サスペンションから伝わるロードノイズが問題となり、このロードノイズには、一般に、タイヤの空洞共鳴によるものと、サスペンションの共振によるものとがある。
【0003】
従来から、これらの振動騒音を抑制するためにフロアパネル及びその近傍の車体各部に、種々の防振及び防音対策として、制振材や防振材を貼付けることが一般的に行われている。これにより、振動及び騒音の低減が可能であるが、一方で非常に大量の制振材や防振材を必要とするため、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響やコストの面で大きな問題があった。
【0004】
さらに、エンジンやサスペンションから伝達される不快な振動が自動車では主に400Hz以下であり、特にタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズである250Hz付近の周波数にピークを有していることから、フロアパネルにビードを多数形成したり、パネル厚を大きくすることでその剛性を高め、それにより、フロアパネルの固有振動数を400Hzよりも高い高帯域にずらすことも知られている。つまり、フロアパネルがサスペンションの共振周波数やタイヤの空洞共鳴周波数帯域等で共振しないようにして、不快な振動騒音を低減するようにしているのである。
【0005】
この場合、低周波の領域における共振ピークを抑制できる利点があるが、一方で、高音域の振動が逆に多くなるため、高周波領域における振動騒音を抑制するための制振材や防振材が多く必要となり、上述したものと同様に、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響やコストの面で問題があり、この問題を解決することが要望されていた。
【0006】
一方、特許文献1に記載の車体パネル構造では、パネルに、曲げ、圧縮、引張りに強い複数のシェル構造の凸部と、これらの凸部の間に縦横に延びる凹部とを形成し、凹部に振動を集中させ、この凹部に制振材を設けることにより振動を減衰させている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−107235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フロアパネルの車体下方及び上方には排気管や補機類等が配置されているので、フロアに形成された凸部を、これらと干渉しないような高さ及び配置で形成する必要がある。また、フロアの凸部は、乗員の足の踏み心地を確保するために、一定の高さに抑える必要がある。さらに、フロアの凸部は、フレーム部材に囲まれた一定の形状及び大きさのフロアパネル内に収まる大きさに形成する必要もある。このような車体構造上又は加工上の制約により、特許文献1記載の車体パネル構造を適用して振動を低減させることが困難な場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車体のフレーム部材から伝わった振動によるフロアパネルの振動エネルギを効果的に低減させ、フロアパネルからの音響放射を低減することができる車体のフロアパネル構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルには、少なくともその一部がフレーム部材により囲まれたパネル領域が形成され、フロアパネルには、このパネル領域のほぼ中央部にその周辺部よりも重量を増大させた高重量部が形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、フロアパネルには、パネル領域のほぼ中央部にその周辺部よりも重量を増大させた高重量部が形成されているので、高重量部と周辺部との重量差により、周辺部に振動エネルギを集中させることが出来る。そして、その振動エネルギが集中した周辺部で、フロアパネルを構成する材質自体の減衰能により振動エネルギが熱エネルギに変換される。その結果、パネル領域の振動エネルギが低減されて、パネル領域からの音響放射を低減させることが出来る。
従って、上述したような高さ、配置、大きさ等の車体構造上又は加工上の制約があっても、周辺部よりも重量を増大させた高重量部を形成することにより、パネル領域の振動エネルギを効果的に低減することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、高重量部の板厚は、周辺部より大である。
このように構成された本発明においては、高重量部の板厚は、周辺部より大であるので、高重量部の重量を容易に増大させることが出来、高重量部と周辺部との重量差を大きくすることが出来る。その結果、周辺部に確実に振動エネルギを集中させて、振動を低減させることが出来る。さらに、高重量部の板厚が大であることにより、その剛性も高めることが出来るので、周辺部との剛性差によっても、周辺部に振動エネルギを集中させて振動エネルギを低減させることが出来る。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、高重量部は、パネル領域のほぼ中央部に制振材を設けることで形成されている。
このように構成された本発明においては、高重量部は、パネル領域のほぼ中央部に制振材を設けることで形成されているので、高重量部の重量を容易に増大させることが出来、高重量部と周辺部との重量差を大きくすることが出来る。その結果、周辺部に確実に振動エネルギを集中させて、振動エネルギを低減させることが出来る。さらに、制振材自体の減衰能によっても振動エネルギをさらに低減させることが出来る。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、制振材は、所定の硬度を有する塗布型制振材である。
このように構成された本発明においては、制振材は塗布型制振材であり、この塗布型制振材は硬度が比較的高い(所定の硬度)ので、高重量部の剛性を高め易い。その結果、高重量部と周辺部との剛性差によっても、周辺部に振動エネルギを集中させて、振動エネルギを低減させることが出来る。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、制振材は、所定の比重を有するアスファルト系制振材である。
このように構成された本発明においては、制振材はアスファルト系制振材であり、このアスファルト系制振材は比重が比較的大きい(所定の比重)ので、高重量部の重量を大きく増大させ易い。その結果、高重量部と周辺部との重量差を大きくすることが出来る。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、高重量部は、パネル領域のほぼ中央部に所定の硬度及び比重を有する塗布型制振材を設けることで形成され、周辺部には、塗布型制振材よりも低い硬度及び大きい比重を有するアスファルト系制振材が設けられている。
このように構成された本発明においては、塗布型制振材及びアスファルト系制振材の制振材自体の減衰能によってパネル領域の振動エネルギをさらに低減させることが出来る。
また、高重量部は、硬度がアスファルト系制振材よりも高い塗布型制振材を設けることで形成され、周辺部に塗布型制振材よりも硬度が低いアスファルト系制振材が設けられているので、高重量部の剛性と周辺部及びアスファルト系制振材の両者による剛性との剛性差を得やすくなり、剛性差による振動低減効果によっても振動エネルギを低減させることが出来る。
その結果、比重が比較的小さい(所定の比重)塗布型制振材の厚さを、比重が塗布型制振材よりも大きいアスファルト系制振材の厚さよりも大きくして、高重量部の重量を、アスファルト系制振材が設けられた周辺部の重量よりも大きくすれば、高重量部とアスファルト系制振材が設けられた周辺部との重量差による振動低減効果により振動エネルギを低減させることが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車体のフレーム部材から伝わったフロアパネルの振動エネルギを効果的に低減させ、フロアパネルからの音響放射を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1乃至第4実施形態を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。
図1に示すように、自動車のアンダボディ1は、複数のフレーム部材と、これらのフレーム部材に接続され車室の床部分(フロア部分)を構成する複数のフロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16とから構成されている。
【0018】
先ず、図1により、フレーム部材を説明する。図1に示すように、フレーム部材は、車体前後方向に延びるフロントサイドフレーム18、サイドシル20、フロアサイドフレーム22、リアサイドフレーム24と、車幅方向に延びるNo.1乃至No.9クロスメンバ26〜34と、これらのクロスメンバ間に設けられた車体前後方向に延びるNo.1乃至No.3トンネルサイドメンバ36〜38である。
【0019】
自動車のアンダボディ1の車体前方部分には、エンジンルームを左右両側から囲むように車体前後方向に延びる閉断面構造の一対のフロントサイドフレーム18が設けられている。これらのフロントサイドフレーム18の車体前端部には、車幅方向の補強部材である閉断面構造のNo.1クロスメンバ26が接合され、さらに、これらのフロントサイドフレーム18には、エンジン40及びフロントサスペンションクロスメンバ42が取り付けられ、このフロントサスペンションクロスメンバ42には、フロントサスペンション44が取り付けられている。
【0020】
一対のフロントサイドフレーム18の後端部は、フロア部分の車体前側の端縁部で車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ27に接合されている。このNo.2クロスメンバ27は、車室とエンジンルームを仕切るダッシュパネル(図示せず)の下方傾斜部に取り付けられ、各フロントサイドフレーム18の車体外側に設けられた閉断面構造の一対のトルクボックスメンバ27aと、各フロントサイドフレーム18の中間に挟まるように配置された閉断面構造のダッシュロアクロスメンバ27bとから構成されている。
このNo.2クロスメンバ27より車体後方のフロア部分には、車体前後方向の補強部材であるサイドフレーム、即ち、一対のサイドシル20、一対のフロアサイドフレーム22及び一対のリアサイドフレーム24が設けられている。
【0021】
一対のサイドシル20は、閉断面構造のものであり、その前端部がNo.2クロスメンバ27の車幅方向の両端部に接合されている。これらのサイドシル20は、No.3クロスメンバ28及びNo.4クロスメンバ29のほぼ中間位置からNo.4クロスメンバ29にかけて、その車幅方向内方の縁部が車幅方向内方に湾曲している。また、これらのサイドシル20には、車体上方に延びるピラー35の下端部が連結され、このピラー35の上端部は、車体のルーフに連結されている。
【0022】
これらのサイドシル20の間には、それぞれ車体前後方向に延びる一対の断面コ字状のフロアサイドフレーム22が設けられ、これらのフロアサイドフレーム22の前端部は、フロントサイドフレーム18の後端部に接合されると共にNo.2クロスメンバ27に接合されている。これらのフロアサイドフレーム22は、No.3クロスメンバ28とNo.4クロスメンバ29との間22aで車幅方向内方に張り出すように湾曲し、No.4クロスメンバ29との連結部29a及びNo.5クロスメンバ30との連結部30aにおいて車幅方向に折り曲げられ、その他の部分は直線状に延びている。
【0023】
これらのフロアサイドフレーム22の後端部には、それぞれ断面コ字状の車体前後方向に延びるリアサイドフレーム24の前端部が接合されている。また、これらのリアサイドフレーム24の前端部は、車幅方向外方に向けて曲がり、サイドシル20の車幅方向内方の側面にも接合され、この前端部には、車幅方向に延びる補強部材24aが設けられている。
これらのリアサイドフレーム24は、フロア部分の車体後側の端縁部まで延び、これらのリアサイドフレーム24には、そのNo.7クロスメンバ32とNo.8クロスメンバ33との間にリアサスペンションクロスメンバ46が取り付けられ、このリアサスペンションクロスメンバ46には、リアサスペンション48が取り付けられている。
【0024】
車幅方向の補強部材としては、上述したNo.1クロスメンバ26及びNo.2クロスメンバ27に加えて、それぞれ車幅方向に延びる、断面コ字状のNo.3乃至No.8クロスメンバ28〜33及び閉断面構造のNo.9クロスメンバ34が配設されている。
No.3クロスメンバ28は、No.2クロスメンバ27の車体後方側に設けられ、No.2クロスメンバ27に平行に車幅方向に直線状に延びている。このNo.3クロスメンバ28は、その車幅方向の左右両端部がそれぞれサイドシル20に接合され、また、その車幅方向の左右両側においてフロアサイドフレーム22と交差すると共にフロアサイドフレーム22に接合されている。
【0025】
このNo.3クロスメンバ28の車体後方側には、No.3クロスメンバ28に平行に車幅方向に直線状に延びるNo.4クロスメンバ29が設けられ、その車幅方向の左右両端部は、それぞれピラー35の近傍でサイドシル20に接合され、その近傍に、後述する剛性低減部110が設けられている。また、No.4クロスメンバ29は、その車幅方向の左右両側においてフロアサイドフレーム22と交差すると共にフロアサイドフレーム22に接合されている。これらのNo.3及びNo.4クロスメンバ28、29は、フロアトンネル部50が設けられる車幅方向のほぼ中央位置において上方に突出している。
【0026】
No.4クロスメンバ29の車体後方側には、No.5クロスメンバ30、No.6クロスメンバ31、No.7クロスメンバ32が設けられ、各クロスメンバ30〜32は、互いに平行に車幅方向に直線状に延びている。このNo.5クロスメンバ30の車幅方向の左右両端部は、それぞれフロアサイドフレーム22に接合され、No.6及びNo.7クロスメンバ31、32の車幅方向の左右両端部は、それぞれリアサイドフレーム24に接合されている。
No.7クロスメンバ32の車体後方側には、その車幅方向のほぼ中央が前方側に湾曲したNo.8クロスメンバ33が車幅方向に延びるように設けられ、その車幅方向の左右両端部がそれぞれリアサイドフレーム24に接合されている。
このNo.8クロスメンバ33の車体後方側には、フロア部分の車体後側の端縁部で車幅方向に直線状に延びる閉断面構造のNo.9クロスメンバ34が設けられ、その車幅方向の左右両端部がそれぞれリアサイドフレーム24の後端部に接合されている。
【0027】
車体前後方向の補強部材としては、上述したフロントサイドフレーム18、サイドシル20、フロアサイドフレーム22及びリアサイドフレーム24に加えて、フロアトンネル部50の車幅方向の両側の縁部でそれぞれ車体前後方向に延びる断面コ字状のNo.1乃至No.3トンネルサイドメンバ36〜38が配設されている。
No.1トンネルサイドメンバ36は、No.2クロスメンバ27とNo.3クロスメンバ28との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.2クロスメンバ27及びNo.3クロスメンバ28に接合されている。
【0028】
No.2トンネルサイドメンバ37は、No.4クロスメンバ29とNo.5クロスメンバ30との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.4クロスメンバ29及びNo.5クロスメンバ30に接合されている。
No.3トンネルサイドメンバ38は、No.6クロスメンバ31とNo.7クロスメンバ32との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.6クロスメンバ31及びNo.7クロスメンバ32に接合されている。
【0029】
上述した断面コ字状のフレーム部材、即ち、フロアサイドフレーム22、リアサイドフレーム24、No.3乃至No.8クロスメンバ28〜33、及び、No.1乃至No.3トンネルサイドメンバ36〜38は、いずれも、断面コ字状の開放部が車体上方に向くように形成され、各フロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16の下面が、これらの各フレーム部材のフランジ部に接合され、略矩形の閉断面が構成される。
【0030】
次に、図1により、フロアパネルを説明する。図1に示すように、自動車のアンダボディ1には、それぞれ鋼板を一体でプレス成形した第1乃至第8フロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16が設けられている。
第1フロアパネル2は、No.2クロスメンバ27、一対のサイドシル20及びNo.3クロスメンバ28により囲まれた空間を覆うように設けられ、その車幅方向のほぼ中央位置で車体前後方向に延びるように上方に膨出するフロアトンネル部50が形成されている。第1フロアパネル2は、その前縁部がNo.2クロスメンバ27の車体後方側面に接合され、残りの3辺の縁部の下面が、一対のサイドシル20及びNo.3クロスメンバ28にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、No.1トンネルサイドメンバ36及びフロアサイドフレーム22に、その下面が接合されている。
【0031】
さらに、この第1フロアパネル2には、フロアトンネル部50の左右両側において、No.2クロスメンバ27及びNo.3クロスメンバ28に平行に車幅方向に直線状に延びる折れ部52が形成されている。この折れ部52は、第1フロアパネル2が車体前後方向にくの字状に延びるように一直線状に折り曲げられたものである。
第1フロアパネル2には、これらの各フレーム部材20、22、27、28、36及び折れ部52により囲まれた8つのパネル領域S1乃至S8が形成され、それらの領域のうち、パネル領域S5乃至S8が、パネル領域S1乃至S4に対して車体後方に向けて斜め上方に延びている。
【0032】
第2フロアパネル4は、No.3クロスメンバ28、一対のサイドシル20及びNo.4クロスメンバ29により囲まれた空間を覆うように設けられ、その車幅方向のほぼ中央位置で車体前後方向に延びるように上方に膨出するフロアトンネル部50が形成されている。この第2フロアパネル4は、その4辺の縁部の下面が、No.3クロスメンバ28、一対のサイドシル20及びNo.4クロスメンバ29にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、フロアサイドフレーム22にその下面が接合されている。
【0033】
また、第2フロアパネル4のフロアトンネル部50の車幅方向の両縁部には、一直線状に折り曲げられた折れ部54が形成され、この折れ部54からフロアトンネル部50が立ち上がっている。さらに、第2フロアパネル4には、上述したフロアサイドフレーム22の湾曲した湾曲部22aに沿って、その両側に直線状のビード部56が形成されている。このビード部56は、No.3クロスメンバ28からNo.4クロスメンバ29まで延びている。
第2フロアパネル4には、各フレーム部材20、22、28、29、折れ部54及びビード部56により囲まれた4つのパネル領域S9乃至S12が形成されている。
【0034】
第3フロアパネル6は、No.4クロスメンバ29、フロアサイドフレーム22及びNo.5クロスメンバ30により囲まれた空間を覆うように設けられ、その車幅方向のほぼ中央位置で車体前後方向に延びるように上方に膨出するフロアトンネル部50が形成されている。この第3フロアパネル6は、その4辺の縁部の下面が、No.4クロスメンバ29、各フロアサイドフレーム22及びNo.5クロスメンバ30にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、No.2トンネルサイドメンバ37に、その下面が接合されている。
【0035】
さらに、この第3フロアパネル6には、フロアトンネル部50の左右両側において、No.4クロスメンバ29及びNo.5クロスメンバ30に平行に車幅方向に直線状に延びるビード部58が形成されている。このビード部58は、第3フロアパネル6自身を車体上方に突出して形成したものである。
第3フロアパネル6には、各フレーム部材22、29、30、37及びビード部58により囲まれた4つのパネル領域S13乃至S16が形成されている。
【0036】
第4フロアパネル8は、第3フロアパネル6の車幅方向外方にそれぞれ設けられ、No.4クロスメンバ29、サイドシル20、フロアサイドフレーム22及びリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように車体前後方向に延び、その後縁部がNo.8クロスメンバ33の近傍まで延びている。これらの第4フロアパネル8は、各フレーム部材20、22、24、29に接合されている。
第5フロアパネル10は、No.5クロスメンバ30、No.6クロスメンバ31、一対のフロアサイドフレーム22及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材22、24、30、31に接合されている。
【0037】
第6フロアパネル12は、No.6クロスメンバ31、No.7クロスメンバ32及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、31、32にそれぞれ接合されている。
第7フロアパネル14は、No.7クロスメンバ32、No.8クロスメンバ33及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、32、33に接合されている。
第8フロアパネル16は、No.8クロスメンバ33、No.9クロスメンバ34及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、33、34に接合されている。
【0038】
このような自動車のアンダボディ1において、エンジン40、フロントサスペンション44及びリアサスペンション48の振動は、それぞれ、フロントサスペンションクロスメンバ42、フロントサイドフレーム18、リアサスペンションクロスメンバ46を経由して、一対のフロアサイドフレーム22及びリアサイドフレーム24に大きく伝達され、さらに、各クロスメンバ26〜34、サイドシル20、各トンネルサイドメンバ36〜38に伝達され、これらの振動が第1乃至第8フロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16に伝達されて音響放射が生じる。
【0039】
本発明の第1乃至第3実施形態では、第1乃至第3フロアパネル2、4、6の各パネル領域S1〜S4、S9、S12、S13〜S16に振動低減構造を設けることにより、フレーム部材から伝達された振動によりそれらのパネル領域から放射される音響放射を抑制するようにしている。
【0040】
ここで、振動低減構造について説明する。振動低減構造は、フレーム部材などで囲まれたフロアパネルの所定のパネル領域に設けられた、所定の剛性及び/又は重量の高い部分(高剛性部、高重量部)と所定の剛性及び/又は重量の低い部分(低剛性部、低重量部、周辺部)とから構成されている。このパネル領域に伝達された振動の振動エネルギは、高剛性部と低剛性部との剛性差、及び/又は、高重量部と低重量部との重量差により低剛性部(周辺部)及び/又は低重量部(周辺部)に集中し、この集中した振動エネルギにより生じる大きな振動ひずみ及びフロアパネルを構成する材質(例えば、鋼板)自体の減衰能により、振動エネルギが低減される(振動低減効果)。このようにして、振動低減構造により、各パネル領域から放射される音響放射が効果的に低減されるようになっている。
【0041】
また、本発明の第4実施形態では、サイドシル20に連結されたNo.4クロスメンバ29に振動伝達低減構造を設けることにより、サイドシル20からNo.4クロスメンバ29を介して各パネル領域S10、S11、S13、S14に伝わる振動が低減されるようにしている。パネル領域S10、S11にも、上述した振動低減構造が設けられている。
【0042】
ここで、振動伝達低減構造について説明する。振動伝達低減構造は、サイドシル20、フロアサイドフレーム22、リアサイドフレーム24などのサイドフレームに直交するように連結されたクロスメンバのその連結部の近傍に、所定の剛性の低い部分(剛性低減部)を設けたものである。サイドフレームには、通常、車幅方向に傾くような変形を伴うねじり振動や、長手方向に対して湾曲するような変形を伴う曲げ振動が生じるが、そのような変形によりクロスメンバの剛性低減部が変形し易くなっており、その結果、サイドフレームから伝達された振動が剛性低減部に集中するようになっている。従って、この剛性低減部より車幅方向内方に振動が伝達されにくくなり、クロスメンバから各パネル領域に伝達される振動が低減される。このようにして、各パネル領域から放射される音響放射が低減されるようになっている。
なお、パネル領域S5乃至S8、第4乃至第8フロアパネル8、10、12、14、16は、従来のパネルで構成されている。
【0043】
先ず、図1及び図2により、本発明の第1実施形態を具体的に説明する。本実施形態では、パネル領域S1、S4、S9、S12に、フロアパネルを製造する際に行われるカチオン塗装の電着液を抜くための開口部60を形成し、この開口部60とこの開口部に固定された蓋部材66とで高剛性部(高重量部)72を形成し、その周辺部74を低剛性部(低重量部)74とし、両者の剛性差及び重量差により、振動低減効果が確実に得られるようにしている。パネル領域S1、S4、S9、S12に設けた振動低減構造の基本的な形状及び配置はそれぞれ同じであるので、ここではパネル領域S1を中心に説明する。
図2は、本発明の第1実施形態によるパネル領域S1を示す拡大平面図(a)及びそのII-II線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【0044】
先ず、図1及び図2により、パネル領域S1、S4、S9、S12の構成及び形状について具体的に説明する。
図1及び図2(a)に示すように、パネル領域S1及びS4は、フレーム部材20、22、27及び折れ部52に囲まれて形成され、No.2クロスメンバ27と折れ部52、及び、サイドシル20とフロアサイドフレーム22とがそれぞれ互いに平行にそれぞれ直線状に延びる矩形状に形成されている。ここで、折れ部52は、上述したように、第1フロアパネル2を一直線状に折り曲げて形成されており、これらのパネル領域S1又はS4に生じる振動と隣り合うパネル領域S5又はS8に生じる振動とが互いに連成しないように振動を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
【0045】
また、図1に示すように、パネル領域S9及びS12は、フレーム部材20、28、29及びフロアサイドフレーム22の湾曲部22aに沿って形成されたビード部56により囲まれたほぼ矩形状に形成され、No.3クロスメンバ28及びビード部56が直線状に延び、No.4クロスメンバ及びサイドシル20により形成される2辺が、サイドシル20の湾曲した部分による曲線部20aを含んだ形状になっている。ビード部56は、パネル領域S9、S12の振動領域を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
【0046】
次に、図2により、パネル領域S1に設けた振動低減構造について具体的に説明する。パネル領域S4、S9、S12に設けた振動低減構造は、図2に示すものと同じである。
図2(a)に示すように、パネル領域S1には、各フレーム部材20、22、27及び折れ部52に接しないほぼ中央部に円形状の開口部60が形成されている。図2(b)に示すように、この開口部60は、その全周に沿って下方に突出する段差部62と、その内方の孔64とで構成され、これらの段差部62及び孔64はプレス成形により形成されている。段差部62は、斜め方向に延びる外周部62a及び水平方向に延びる内周部62bで構成され、図2中a及びbで示す部分で折り曲げられて剛性が高められている。段差部62には、その内周部62bの上方面に蓋部材66が固定されている。
【0047】
図2(a)に示すように、蓋部材66は、開口部60をほぼ覆うような大きさの円形状に、鋼板をプレス加工して形成されている。図2(b)に示すように、蓋部材66の板厚は、フロアパネル2の板厚より大きく、その剛性及び単位面積当たりの重量がフロアパネル2よりも高められている。
【0048】
孔64は、フロアパネルをカチオン塗装する際に使用される電着液を抜くためのものであり、段差部62が下方に突出するように形成されて、この孔64から電着液が抜けやすくなっている。蓋部材66は、フロアパネルに対して相対変位しないように、カチオン塗装後に接着剤68により強固に固定される。また、蓋部材66と段差部62の外周部62aとの間には、その全周にわたってシール材70が設けられている。なお、接着剤68がシール材70の役割を兼用するようにしてもよく、また、蓋部材66を溶接により固定しても良い。
【0049】
本実施形態では、このように形成された開口部60及び蓋部材66が高剛性部(高重量部)72として構成され、これらの開口部60及び蓋部材66の周辺部74が低剛性部(低重量部)74として構成されている。これらの高剛性部72及び低剛性部74の境界部は、段差部62の折り曲げ部aである。
なお、開口部60に段差部62を形成せずに、電着液が抜ける孔64だけを形成し、この孔64を覆うように蓋部材66を固定しても良い。この場合は、蓋部材66の周縁部が、高剛性部72と低剛性部74との境界部となる。また、孔64は、フロアパネルをプレス成形する際の位置決め用の孔であっても良い。
【0050】
図2(b)に示すように、低剛性部74は、ほぼ平らに形成され、その全域に制振材76が貼り付けられている。図2(a)に示すように、この制振材76は、高剛性部72の外周縁aに沿った円形状の開口76aを有するように、ロ字状に延びる低剛性部74の外形に合わせた形状のシート状に形成されている。
低剛性部74は、その幅、即ち、高剛性部72との境界部aと、フレーム部材20、22、27又は折れ部52との間の距離が、低剛性部74の剛性が高まらないような所定の大きさとなるように形成されている。
【0051】
ここで、制振材76は、比重が約1.7、硬度が鉛筆硬度で6B程度のアスファルト系制振材(製品名:ダンピングシート(株式会社ヒロタニ製))であり、制振材76及び低剛性部74の両者による剛性が、高剛性部72の剛性即ち開口部60及び蓋部材66の両者による剛性より低くなるような厚さになっている。
【0052】
次に、図3により、蓋部材66の変形例を説明する。図3は、第1の変形例による蓋部材の断面図(a)及び第2の変形例による蓋部材の平面図(b)である。
図3(a)に示すように、第1の変形例による蓋部材66は、その断面がコ字状に形成され、その周縁部の全周に沿って下方向に突出した突出部66aが、プレス成形により一体的に形成されている。この突出部66aにより、蓋部材66の剛性、特に、曲げ及びねじりに対する剛性がさらに高められている。突出部66aは、上方向に突出するように形成しても良く、また、その剛性が高まるならば周縁部の一部や中央部にあっても良い。
次に、図3(b)に示すように、第2の変形例による蓋部材66は、その上面の全面にわたって縦横にそれぞれ複数延びるビード66bが、プレス成形により一体的に形成されており、これらの複数のビード66bにより蓋部材66の剛性がさらに高められている。
【0053】
次に、第1実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態のパネル領域S1、S4、S9、S12においては、剛性が増大された蓋部材66及び開口部60で構成された高剛性部72と、この高剛性部72の周りに形成された低剛性部74とが設けられているので、高剛性部72と低剛性部74との剛性差により、低剛性部74に振動エネルギが集中する。
また、この高剛性部72は、蓋部材66により単位面積当たりの重量が低剛性部74よりも増大された高重量部72としても構成され、低剛性部74が低重量部(周辺部)74として構成されるので、この高重量部72と低重量部74との重量差により、低重量部(周辺部)74に振動エネルギが集中する。
【0054】
従って、低剛性部(低重量部)74に集中した振動エネルギは、フロアパネル2、4を構成する鋼板自体の減衰能により熱エネルギに変換され、その結果、パネル領域S1、S4、S9、S12全体の振動エネルギが低減されて、それらのパネル領域からの音響放射が低減される。
さらに、低剛性部(低重量部)74に制振材76が設けられているので、低剛性部(低重量部)74に集中した振動エネルギがより大きく低減される。
【0055】
次に、高剛性部(高重量部)72を構成する開口部60及び蓋部材66の作用効果を説明する。
本実施形態では、高剛性部(高重量部)72は、カチオン塗装の電着液を抜くための開口部60と、この開口部60に固定された蓋部材66とで構成されているので、製造時には、その電着液を容易に抜くことが出来、その後、蓋部材66を開口部60に固定することにより剛性及び単位面積当たりの重量が大きく増大された高剛性部(高重量部)74を容易に形成することが出来る。
【0056】
また、蓋部材66をフロアパネル2、4とは別体で形成することが出来るので、その剛性を容易に高めることが出来る。本実施形態では、蓋部材66の板厚をフロアパネル2、4の板厚より高めているので、排気管や補機類などと干渉しないように、或いは、乗員の足の踏み心地などを確保するために、上方向又は下方向に大きく突出せずに高剛性部72の剛性を大きく高めることが出来る。また、別体で形成された蓋部材66は、その単位面積当たりの重量も容易に高めることが出来るので、その重量を大きく増大させ易く、高重量部72と低重量部74との重量差をも大きくすることが出来る。
【0057】
また、開口部60には、図2中a及びbで示す部分で折り曲げられて剛性が高められた段差部62が形成されているので、高剛性部72の剛性をさらに高めることが出来る。また、この段差部62は下方に突出しているので、その段差部62の内方に形成された孔64から電着液が抜けやすくなる。
なお、本実施形態では、高剛性部(高重量部)72及び低剛性部(低重量部)74は、剛性差と重量差との両方が得られるように形成されているが、開口部60の形状及び大きさ、蓋部材66の形状、大きさ、材質によって、剛性差のみ、或いは、重量差のみが得られるものであっても、低剛性部或いは低重量部に振動エネルギを集中させることが出来る。
【0058】
次に、第1変形例による蓋部材66では、その周縁部の全周に沿って下方向に突出した突出部66aが形成されているので、蓋部材66の剛性、特に、曲げ及びねじりに対する剛性がさらに高まり、その結果、高剛性部72と低剛性部74との剛性差をさらに大きくすることが出来る。
同様に、第2変形例による蓋部材66では、その上面の全面にわたって縦横にそれぞれ複数延びるビード66bが形成されているので、蓋部材66の剛性がさらに高まり、その結果、高剛性部72と低剛性部74との剛性差をさらに大きくすることが出来る。
また、突出部66a及びビード66bは、プレス成形により容易に形成することが出来る。なお、突出部66a及びビード66bは、接着等によって接合するようにしても良い。
【0059】
以上述べたように、本実施形態及び変形例によれば、上述したような高さ、配置、大きさ等の車体構造上又は加工上の制約があっても、剛性差及び/又は重量差を大きく高めること等により、パネル領域の振動エネルギを効果的に低減することが出来る。
【0060】
次に、図1及び図4により、本発明の第2実施形態を具体的に説明する。本実施形態では、パネル領域S2及びS3に、制振材80を所定の位置及び大きさで貼り付け、その制振材80を貼り付けたパネル部分を高剛性部(高重量部)82として形成し、その周辺部84を低剛性部(低重量部)84として形成し、それらの剛性差及び重量差により、振動低減効果が確実に得られるようにしている。パネル領域S2、S3に設けた振動低減構造の基本的な形状及び配置はそれぞれ同じであるので、ここではパネル領域S2を中心に説明する。
図4は、本発明の第2実施形態によるパネル領域S2を示す拡大平面図(a)及びそのIV-IV線に沿って見た車幅方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【0061】
先ず、図1及び図4により、パネル領域S2及びS3の構成及び形状について具体的に説明する。
図1及び図4(a)に示すように、パネル領域S2及びS3は、フレーム部材22、27、36及び振動規制部である折れ部52に囲まれて形成され、No.2クロスメンバ27と折れ部52、及び、フロアサイドフレーム22とNo.1トンネルサイドメンバ36とがそれぞれ互いに平行にそれぞれ直線状に延びる矩形状に形成されている。
【0062】
次に、図4により、パネル領域S2に設けた振動低減構造について具体的に説明する。パネル領域S3に設けた振動低減構造は、図4に示すものと同じである。
図4(a)に示すように、パネル領域S2には、各フレーム部材22、27、36及び折れ部52に接しないほぼ中央部に、ほぼ矩形状の制振材80が設けられている。この制振材80は、その4辺がそれぞれ若干曲線状に延びるようなほぼ直線状に形成されている。制振材80は、比重が約1.1、硬度が鉛筆硬度で2H程度の塗布型制振材(水性アクリルエマルジョン)(製品名:NTダンピングコートW−250(日本特殊塗料株式会社製))である。
【0063】
図4(b)に示すように、パネル領域S2は、ほぼ平らに形成され、この制振材80が設けられたほぼ中央部のパネル部分と制振材80とが、剛性が高められた高剛性部82として構成され、この高剛性部82の周囲のほぼ平らな周辺部84が低剛性部84として構成されている。特に、塗布型制振材80は、その硬度が鉛筆硬度で2Hと比較的高く、低剛性部84との剛性差が大きく得られるようになっている。また、制振材80自体の重量により、この制振材80と、この制振材80が設けられたほぼ中央部のパネル部分とが、単位面積当たりの重量が周辺部84よりも高められた高重量部82としても構成され、周辺部84が低重量部84として構成されて、高重量部82と低重量部(周辺部)84との重量差が得られるようになっている。
低剛性部(低重量部)84は、その幅、即ち、高剛性部(高重量部)82との境界部aと、フレーム部材22、27、36又は折れ部52との間の距離が、低剛性部84の剛性が高まらないような所定の大きさとなるように形成されている。
【0064】
次に、本実施形態の第1の変形例を説明する。変形例として、高剛性部(高重量部)82を構成する制振材80をアスファルト系制振材としても良い。アスファルト系制振材は、上述したように、比重約1.7、硬度が鉛筆硬度で6B程度のものであり、塗布型制振材より比重が高いので、特に、高重量部82と低重量部84との重量差が大きく得られる。
【0065】
次に、図5により、本実施形態の第2の変形例を説明する。
図5に示すように、本変形例では、上述したようにパネル領域S2のほぼ中央部に塗布型制振材80を設けて高剛性部(高重量部)82を構成し、さらに、低重量部(周辺部)84にアスファルト系制振材86を設けたものである。塗布型制振材及びアスファルト系制振材の比重及び硬度は上述したとおりである。
本変形例では、高剛性部(高重量部)82を構成する制振材80を、硬度が鉛筆硬度で2Hと高い塗布型制振材とし、低剛性部(低重量部)84に設けた制振材86を、硬度が鉛筆硬度で6Bと低いアスファルト系制振材として、高剛性部82と低剛性部84との剛性差が得られるようにしている。
【0066】
一方、アスファルト系制振材86は、その比重が塗布型制振材80より大きい。そこで本変形例では、図5(b)に示すように、高剛性部(高重量部)82に設けた塗布型制振材80の厚さを、低剛性部(低重量部)84に設けたアスファルト系制振材86の厚さよりも大きくして、高剛性部(高重量部)82の単位面積当たりの重量をアスファルト系制振材86を設けた低剛性部(低重量部)84の単位面積当たりの重量より増大させて、重量差も得られるようにしている。
【0067】
次に、第2実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態のパネル領域S2、S3においては、制振材80が設けられて剛性が増大された高剛性部82と、この高剛性部82の周りに形成された低剛性部84とが設けられているので、高剛性部82と低剛性部84との剛性差により、低剛性部84に振動エネルギが集中する。
また、この高剛性部82は、制振材80により単位面積当たりの重量が周辺部84よりも増大された高重量部82としても構成されているので、この高重量部82と低重量部84との重量差により、低重量部(周辺部)84に振動エネルギが集中する。
【0068】
従って、低剛性部(低重量部)84に集中した振動エネルギは、フロアパネル2、4を構成する鋼板自体の減衰能により熱エネルギに変換され、その結果、パネル領域S2、S3全体の振動エネルギが低減されて、それらのパネル領域からの音響放射が低減される。
【0069】
次に、高剛性部(高重量部)82を構成する制振材80の作用効果を説明する。
本実施形態のパネル領域S2,S3においては、高剛性部(高重量部)72は、硬度が鉛筆硬度で2Hと比較的高い塗布型制振材80が設けられて形成されているので、低剛性部84との剛性差が大きく得られる。また、制振材80自体の重量により、その単位面積当たりの重量が低重量部84よりも増大された高重量部82が形成されるので、低重量部(周辺部)84との重量差も得ることが出来る。さらに、その制振材80自身の減衰能によりパネル領域S2、S3の振動エネルギが低減される。
【0070】
次に、第1変形例では、高剛性部(高重量部)82を構成する制振材80が、塗布型制振材より比重が高いアスファルト系制振材で形成されているので、低剛性部(低重量部)84との重量差を大きく得やすく、主に重量差により低剛性部(低重量部)84に振動エネルギを集中させることが出来る。
【0071】
次に、第2変形例によるパネル領域S2では、高剛性部(高重量部)82を、硬度が比較的高い塗布型制振材80(鉛筆硬度2H)で形成し、その周辺部84の低剛性部(低重量部)84に硬度が比較的低いアスファルト系制振材86(鉛筆硬度6B)を設けているので、高剛性部82と低剛性部84との剛性差による振動低減効果により振動エネルギを低減させることが出来る。さらに、塗布型制振材80及びアスファルト系制振材86自身の減衰能により、さらに振動エネルギを低減させることが出来る。
【0072】
一方、塗布型制振材80の比重(=約1.1)がアスファルト系制振材86の比重(=約1.7)より大きいが、高剛性部(高重量部)82を形成する塗布型制振材80の厚さを、低剛性部(低重量部)84に設けたアスファルト系制振材86の厚さよりも大きくしているので、高剛性部(高重量部)82の単位面積当たりの重量を、アスファルト系制振材86が設けられた低剛性部(低重量部)84の単位面積当たりの重量より増大させることが出来、高剛性部(高重量部)82とアスファルト系制振材86が設けられた低剛性部(低重量部)84との重量差による振動低減効果によっても振動エネルギを低減させることが出来る。
【0073】
このように、本実施形態及びその変形例においては、制振材80及び/又は制振材86を設けて高剛性部(高重量部)82及び低剛性部(低重量部(周辺部))84を形成することにより、剛性差及び重量差による振動低減効果、さらに、制振材80、86自身の減衰能による振動低減によってパネル領域S2、S3の振動エネルギを大きく低減させることが出来る。
従って、上述したような高さ、配置、大きさ等の車体構造上又は加工上の制約があっても、低重量部(周辺部)84よりも重量を増大させた高重量部82を形成すること等により、パネル領域の振動エネルギを効果的に低減することが出来る。
【0074】
次に、図1、図6及び図7により、本発明の第3実施形態を具体的に説明する。本実施形態では、パネル領域S13乃至S16にそれぞれ振動低減構造として高剛性部92及び低剛性部94を形成し、高剛性部92を所定の曲線状に延びる辺を有するほぼ矩形状に形成することにより、振動低減効果が確実に得られるようにしている。ここでは、パネル領域S13及びS14、或いは、パネル領域S15及びS16に設けた振動低減構造の基本的な形状及び配置はそれぞれ同じであるので、パネル領域S13、S15を中心に説明する。
図6は、本発明の第3実施形態によるパネル領域S13を示す拡大平面図(a)及びそのVI-VI線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)であり、図7は、パネル領域S15を示す拡大平面図(a)及びそのVII-VII線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【0075】
先ず、図1、図6及び図7により、パネル領域S13乃至S16の構成及び形状について具体的に説明する。
図1及び図6(a)に示すように、パネル領域S13及びS14は、フレーム部材22、29、37と、ビード部58とに囲まれて形成され、各フレーム部材22、29、37及びビード部58がそれぞれ直線状に延びると共に、No.4クロスメンバ29とビード部58とが互いに平行に延びるほぼ矩形状に形成されている。
また、図1及び図7(a)に示すように、パネル領域S15及びS16は、フレーム部材22、37、30及びビード部58に囲まれて形成され、各フレーム部材22、30、37及びビード部58がそれぞれ直線状に延びると共に、ビード部58とNo.5クロスメンバ30とが互いに平行に延びるほぼ矩形状に形成されている。
【0076】
ここで、フロアサイドフレーム22は、No.4クロスメンバ29及びNo.5クロスメンバ30との連結部29a、30aにおいて折り曲げられ(折曲部22b、22c)、No.4クロスメンバ29とNo.5クロスメンバ30との間で直線状に延びるように形成されている。また、ビード部58は、パネル領域S13又はS14に生じる振動と隣り合うパネル領域S15又はS16に生じる振動とが互いに連成しないように振動を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
【0077】
次に、図6により、パネル領域S13に設けた振動低減構造について具体的に説明する。パネル領域S14に設けた振動低減構造は、図6に示すものと同じである。
図6(a)に示すように、パネル領域S13には、各フレーム部材22、29、37及びビード部58に接しないほぼ中央部に、ほぼ矩形状の高剛性部92が形成され、この高剛性部92の周りには、ロ字状に延びる低剛性部94が形成されている。図6(b)に示すように、高剛性部92は、フロアパネル自身を車体上方に突出して形成され、その断面形状は、その中央部がほぼ平らであり、その周囲が、低剛性部94から不連続な角度で立ち上がるように直線状に延びている。一方、低剛性部94は、ほぼ平らに形成されている。
【0078】
図6(a)に示すように、高剛性部92は、車幅方向に延びる2つの長辺92a及び車体前後方向に延びる2つの短辺92bを有し、各辺92a、92bが、それぞれ外方に膨らみ且つ曲率が連続した曲線状に延びるように形成されている。後述するように、高剛性部92の各辺92a、94aが、それぞれ外方に膨らみ且つ曲率が連続した曲線状に延びるように形成することにより、低剛性部94との境界部である各辺92a、92bで剛性が不連続に変化するようにし、さらに、剛性差がより確実に得られるようにしている。
本実施形態では、各辺92a、92bがそれぞれ円弧状に延び、各長辺92aの曲率半径が、各短辺92bの曲率半径よりも小さくなるように形成されている。低剛性部94は、上述した第1及び第2実施形態と同様に、低剛性部94の剛性が高まらないような所定の幅で延びるように形成されている。
【0079】
図6(a)及び(b)に示すように、低剛性部94には、その全域に、上述したパネル領域S1と同様にアスファルト系制振材96が貼り付けられ、この制振材96は、高剛性部92の外周縁92a、92bに沿ったほぼ矩形状の開口96aを有するように、ロ字状に延びる低剛性部94の外形に合わせた形状のシート状に形成されている。
【0080】
次に、図6(a)及び(b)に示すように、高剛性部92の突出して形成された空間内にはブラケット98が設けられ、このブラケット98により高剛性部92の上面に補機類100が取り付けられるようになっている。補機類としては、例えば、CDチェンジャー、ナビゲーションユニット、CPU装置、各種電源、コンソールボックス、ハーネス類、空調機器などがある。本実施形態では、この補機類100が取り付けられた高剛性部92が、補機類100自身の重量により単位面積当たりの重量が低剛性部94よりも増大された高重量部92として構成され、低剛性部94が低重量部94として構成され、高重量部92と低重量部(周辺部)94との重量差をも得られるようになっている。また、ブラケット98自身の重量によっても、重量差が得られる。さらに、ブラケット98や補機類100を取り付けることにより、高剛性部92の剛性がさらに高まる。
【0081】
次に、図7により、パネル領域S15に設けた振動低減構造について具体的に説明する。パネル領域S16に設けた振動低減構造は、図7に示すものと同じである。
図7に示すように、パネル領域S15には、ほぼ矩形状の高剛性部92と、この高剛性部92の周りにコ字状に延びる低剛性部94とが形成されている。図7(b)に示すように、高剛性部92は、フロアパネル自身を車体下方に突出して形成され、その断面形状は曲面高さが連続的に変化するドーム形状となっている。なお、高剛性部92を車体上方に突出するように形成しても良い。一方、低剛性部94は、ほぼ平らに形成されている。
【0082】
図7(a)に示すように、高剛性部92は、上述したパネル領域S13の高剛性部92と同様に、その各辺92a、94bが、それぞれ外方に膨らむ円弧状に延び、長辺92aの曲率半径が、短辺92bの曲率半径よりも小さくなっている。このパネル領域S15では、高剛性部92は、その車体後方側の長辺92aのほぼ中間部でNo.5クロスメンバ30に接している。この高剛性部92には、高剛性部92が接しているNo.5クロスメンバ30の側から、低剛性部94の側に向けて延びる補強ビード102が形成され、高剛性部92の車体前後方向の剛性が高められている。低剛性部94は、上述した第1及び第2実施形態と同様に所定の幅で延びている。
【0083】
図7(a)及び(b)に示すように、低剛性部94には、その全域に、上述したパネル領域S1と同様にアスファルト系制振材96が貼り付けられ、この制振材96は、高剛性部92の外周縁に沿ったほぼ矩形状の開口96aを有するように、コ字状に延びる低剛性部94の外形に合わせた形状のシート状に形成されている。
【0084】
次に、第3実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態のパネル領域S13乃至S16においては、フロアパネル自身を車体上方又は下方に突出して形成されて剛性が増大された高剛性部92と、この高剛性部92の周りに形成された低剛性部94とが設けられているので、高剛性部92と低剛性部94との剛性差により、低剛性部94に振動エネルギが集中する。
また、パネル領域S13、S14においては、高剛性部92に補機類100が取り付けられるようになっているので、補機類100により高剛性部92の剛性がさらに高まり、より大きな剛性差が得られる。
【0085】
さらに、この補機類100が取り付けられた高剛性部92が、補機類100自身の重量により単位面積当たりの重量が周辺部(低重量部)94よりも増大された高重量部92としても構成されるので、この高重量部92の周りに形成された低重量部94との重量差が得られる。また、補機類100を取り付けるためのブラケット98自身の重量によっても、重量差が得られる。その結果、そのような重量差により、低剛性部(低重量部)94に、より大きく振動エネルギが集中する。
【0086】
従って、低剛性部(低重量部)94に集中した振動エネルギは、フロアパネル2、4を構成する鋼板自体の減衰能により熱エネルギに変換され、その結果、各パネル領域S13乃至S16全体の振動エネルギが低減されて、それらのパネル領域からの音響放射が低減される。
さらに、低剛性部(低重量部)94に制振材96が設けられているので、低剛性部(低重量部)94に集中した振動エネルギがより大きく低減される。
【0087】
次に、高剛性部(高重量部)92の形状及び配置の作用効果を説明する。
本実施形態では、高剛性部92の各辺92a、94aが、それぞれ外方に膨らみ且つ曲率が連続した曲線状に延びるように形成されているので、低剛性部94との境界部である各辺92a、92bで剛性が不連続に変化し、さらに、高剛性部92と低剛性部94との剛性差を大きくすることが出来る。その結果、例えば、高剛性部92の突出高さを小さくすることが出来、排気管や補機類などと干渉しないように、或いは、乗員の足の踏み心地などを確保するようにしつつ、振動低減効果を確実に得ることが出来る。このような作用効果について、以下にさらに具体的に説明する。
【0088】
ここで先ず、フロアパネルをプレス加工で一体成型して上方向又は下方向に突出する高剛性部を形成する場合、高剛性部の突出高さを一定の高さに抑えると、高剛性部の形状を精度良く形成することが難しい場合がある。即ち、プレス成形する際には、鋼板を伸ばしながら塑性変形させて高剛性部を形成するが、例えば、その突出高さをある一定の高さに抑えると共にその各辺が完全な直線状に延びるように形成すると、低剛性部と高剛性部との境界部(高剛性部の各辺)で明確に直線状の折れ線を形成することが難しい場合がある。
この場合、例えば、図8(a)に示すように、低剛性部から高剛性部にかけて、その境界部を境に剛性がなだらかに変化し、さらに、剛性差が大きく得られにくくなる。その結果、振動エネルギが低剛性部に集中しにくくなり、上述した振動低減効果が効果的に得られなくなる。
【0089】
一方、本実施形態のように、高剛性部92の各辺92a、94aをそれぞれ外方に膨らみ且つ曲率が連続した曲線状に延びるように形成すると、プレス成形が容易になる。即ち、プレス成形上、境界部が曲線状に延びるようにすると、低剛性部と高剛性部との境界部(高剛性部の各辺)で明確に曲線状に延びる折れ線を形成し易くなる。
この場合、図8(b)に示すように、低剛性部94との境界部である各辺92a、92bで剛性が不連続に変化するようにし易く、さらに、剛性差も大きく得られやすくなる。また、高剛性部92は、その剛性、特にねじり剛性が大きく高められる。その結果、振動エネルギを低剛性部に確実に集中させることが出来、振動低減効果を確実に得ることが出来る。
さらに、本実施形態では、高剛性部92の各辺92a、92bがそれぞれ円弧状に延びているので、剛性をその境界部でより確実に不連続に変化させ、さらに、剛性差を確実に大きくすることが出来る。
【0090】
ここで、プレス成形上、境界部である辺の長さが短い程、或いは、その辺が曲線状に延び且つその曲率半径が小さい程、その成型精度が得られやすくなる。本実施形態では、各長辺92aの曲率半径が、各短辺92bの曲率半径よりも小さくなるように形成されているので、長辺92aにおいても、剛性をその境界部でより確実に不連続に変化させ、さらに、剛性差を確実に大きくすることが出来る。
【0091】
一方、円弧状に延びる長辺92aの曲率半径を小さくすると、長辺92aが短辺92bに比べて低剛性部92側に張り出し、低剛性部94の剛性を高めてしまう恐れがある。しかし、長辺92aの周りで延びる低剛性部94の部分は、短辺92bの周りで延びる低剛性部94の部分よりもその面積が比較的大きいので、その長辺92aの周りに延びる低剛性部94の部分の剛性を大きく高めずに、振動エネルギが集中する範囲を大きく狭めることがないようにすることが出来る。
【0092】
なお、高剛性部を円形や楕円形に形成すると、その高剛性部の剛性を境界部で不連続に変化させ且つ剛性を大きく高めやすくなるが、一方、低剛性部の剛性が高まりやすくなる。本実施形態では、高剛性部92の各辺92a、94aをそれぞれ外方に膨らみ且つ曲率が連続した曲線状に延びるように形成すると共に高剛性部92をほぼ矩形状に形成しているので、境界部で剛性が不連続に変化すると共にその周囲でロ字状或いはコ字状に延びる低剛性部(低重量部)94の剛性を大きく高めないようにすることが出来る。さらに、低剛性部94が、その剛性が高まらないような所定の幅で延びるように形成されているので、低剛性部(低重量部)94に振動エネルギを確実に集中させることが出来る。
【0093】
次に、パネル領域S15、S16においては、高剛性部92がNo.5クロスメンバ30に接するように形成されているので、高剛性部92の剛性を大きく高めることが出来る。従って、例えば、パネル領域の面積が比較的小さくパネル領域自体の剛性がもともと比較的高い場合等においても、高剛性部の剛性を大きく高めて、低剛性部との剛性差を大きくとることが出来、振動エネルギを低剛性部62に大きく集中させることが出来る。
【0094】
次に、制振材96の形状の作用効果を説明する。
制振材96は、高剛性部92の外周縁92a、92bに沿ったほぼ矩形状の開口96aを有しているので、その高剛性部92の外周縁92a、92bと制振材の開口96aとを合わせることで、前後方向や車幅方向の位置決めがし易くなり、製造コストを低減することが出来る。また、位置決め精度が向上するので、制振材96が高剛性部92及び低剛性部94の両者にまたがって設けられることがなく、低剛性部94及び制振材96の剛性が高まることを防止することが出来る。
【0095】
以上述べたように、本実施形態によれば、上述したような高さ、配置、大きさ等の車体構造上又は加工上の制約があっても、高剛性部92と低剛性部94との剛性差及び/又は高重量部92と低重量部94との重量差を大きく高めること等により、パネル領域の振動エネルギを効果的に低減することが出来る。
【0096】
次に、図9乃至図12により、本発明の第4実施形態を具体的に説明する。本実施形態では、No.4クロスメンバ29のサイドシル20の近傍に振動伝達低減構造を設けることにより、サイドシル20からNo.4クロスメンバ29を介して各パネル領域S10、S11、S13、S14に伝わる振動が低減され、それらのパネル領域からの音響放射が低減されるようになっている。また、パネル領域S10、S11に、この振動伝達量が低減されたNo.9クロスメンバ29に接するように高剛性部を設けて、No.4クロスメンバ29からパネル領域S10、S11に大きな振動が伝達されることを防止しつつ、その高剛性部の剛性を大きく高めて、上述したパネル領域S15、S16と同様の振動低減効果が得られるようになっている。
図9は、本発明の第4実施形態によるNo.4クロスメンバをサイドシル及びピラーと共に示す車体前方側から見た部分拡大正面図(a)及び車体上方側から見た部分拡大平面図(b)である。図9は、No.4クロスメンバ29の車幅方向右側のサイドシル20との連結部近傍部分を拡大したものである。
【0097】
先ず、図9により、No.4クロスメンバ29に設けた振動伝達低減構造の構成及び形状について具体的に説明する。
図9(a)及び(b)に示すように、サイドシル20にはピラー35が連結されており、No.4クロスメンバ29は、その車幅方向の両端部で、このピラー35の近傍でサイドシル20に連結されている(図1参照)。また、No.4クロスメンバ29は、サイドシル20にほぼ直交するように連結されている。
【0098】
No.4クロスメンバ29には、そのサイドシル20との連結部29bの近傍に、車幅方向両端側のそれぞれにおいて、剛性低減部110が設けられている(図1参照)。この剛性低減部110は、No.4クロスメンバ29の車体前方側の面(前面)29c及び車体後方側の面(後面)29dでそれぞれ車体上下方向に上端から下端まで延びる断面円弧状の凹部112c、112dと、車体下方側の面(下面)29eで車体前後方向に前端から後端まで延びる断面円弧状の凹部112eとで構成されている。
【0099】
これらの凹部112c〜eは、その前面の凹部112cと下面の凹部112eとが連続して延びるように互いに接続され、さらに、下面の凹部112eと後面の凹部112dとが連続して延びるように互いに接続され、その前面29c、下面29e及び後面29dにわたってコ字状に延びている。No.4クロスメンバ29の上面(フランジ)29fには、第2フロアパネル4が接合されている。なお、図9(b)では、第2フロアパネル4は省略されている。
【0100】
剛性低減部110は、その車幅方向の剛性が、No.4クロスメンバ29の他の部分の剛性よりも低くなっており、後述するように、サイドシル20からNo.4クロスメンバ29に伝達された振動が、剛性低減部110(凹部112)に集中し、この剛性低減部110より車幅方向内方に伝達されにくくなるようになっている。
また、凹部112c〜eには、その断面円弧状の内方の空間に塗布型制振材116が集中的に配置されており、この制振材116により、凹部112に集中した振動を減衰させると共に、この凹部112より車幅方向内方に振動がより伝達されにくくなるようになっている。塗布型制振材の比重及び硬度は上述したとおりである。なお、アスファルト系制振材を設けても良い。
【0101】
次に、図9(a)に示すように、No.4クロスメンバ29は、サイドシル20との連結部の近傍部分29hで、その上下方向高さが小さくなっている。即ち、近傍部分29hは、他の部分よりも剛性が低くなるように、その閉断面積が他の部分の閉断面積より小さくなっており、サイドシル20からNo.4クロスメンバ29に振動が伝達されにくくなっている。
このように、No.4クロスメンバ29のサイドシル20との連結部の近傍の剛性は、剛性低減部110及び閉断面積が小さい近傍部分29hにより、他のクロスメンバ、例えば、No.3クロスメンバ28のサイドシル20やフロアサイドフレーム22との連結部の近傍の剛性より、小さくなっている。
【0102】
なお、変形例として、図10に示すように、剛性低減部110の凹部112の幅を大きくとり、さらに、凹部112がサイドシル20に接するように形成しても良い。本変形例では、凹部112は、その断面がコ字状に形成されている。このようにして、剛性低減部110の剛性がさらに小さくなるようにすることが出来る。
【0103】
次に、図示しないが、No.4クロスメンバ29とフロアサイドフレーム22との連結部29aは、それらの接合面積が他のクロスメンバより相対的に低くされており、フロアサイドフレーム22からの振動も伝達されにくくなっている。なお、剛性低減部110を、フロアサイドフレーム22の連結部の車幅方向内方の近傍に設けても良く、又、他のクロスメンバに設けても良い。
【0104】
次に、図1、図11及び図12により、パネル領域S10及びS11の構成、形状及び振動低減構造について具体的に説明する。
図11は、本発明の第4実施形態によるNo.4クロスメンバ及びパネル領域S10を示す拡大平面図(a)及びそのXI-XI線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)であり、図12は、本発明の第4実施形態によるNo.4クロスメンバ及びパネル領域S11を示す拡大平面図(a)及びそのXII-XII線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【0105】
先ず、図11(a)及び図12(a)に示すように、パネル領域S10及びS11は、それぞれ直線状に延びるフレーム部材28、29と、折れ部54と、ビード部56とに囲まれて形成され、No.3クロスメンバ28とNo.4クロスメンバ29とが互いに平行に延びるほぼ矩形状に形成されている。ここで、折れ部54及びビード部56は、いずれもパネル領域S10の振動領域を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
【0106】
図11(a)に示すように、このパネル領域S10には、矩形状の高剛性部92と、この高剛性部92の周りにコ字状に延びる低剛性部94とが形成されている。図11(b)に示すように、高剛性部92は、フロアパネル自身を車体上方に突出して形成され、その断面形状はほぼ台形状になっている。一方、低剛性部94は、ほぼ平らに形成され、その全域に上述した第1及び第3実施形態と同様にアスファルト系制振材96が貼り付けられている。
【0107】
図11(a)に示すように、高剛性部92は、その3辺がそれぞれ直線状に延び、残りの1辺が、No.4クロスメンバ29に接している。このNo.4クロスメンバ29は、上述したように、剛性低減部110により、サイドシル20からの振動が伝達されにくくなっている。低剛性部94は、上述した第1乃至第3実施形態と同様に、低剛性部94の剛性が高まらないような所定の幅で延びるように形成されている。
【0108】
また、図11(a)及び(b)に示すように、高剛性部92の突出して形成された空間内にはブラケット98が設けられ、このブラケットにより高剛性部92の上面に補機類100が設けられるようになっている。このブラケットは、その1辺がNo.4クロスメンバ29に固定されている。この補機類100が取り付けられた高剛性部92は、上述したパネル領域S13、S14と同様に、高重量部92としても構成される。
【0109】
次に、図12(a)に示すように、パネル領域S11には、各辺が、若干曲線状に延びるようなほぼ直線状に形成されたほぼ矩形状の高剛性部92が形成されている。この高剛性部92は、車体後方側の1辺及びその隣り合う車幅方向内方の1辺が、それぞれ、そのほぼ中間部でNo.4クロスメンバ29又は折れ部54に接している。この高剛性部92の周りには、L字状に延びる低剛性部94が形成され、上述した第1乃至第3実施形態と同様に、その剛性が高まらないような所定の幅で延びている。
【0110】
図12(b)に示すように、高剛性部92は、フロアパネル自身を車体下方に突出して形成され、その断面形状は曲面高さが連続的に変化するドーム形状となっている。なお、各高剛性部92を車体上方に突出するように形成しても良い。一方、低剛性部94は、ほぼ平らに形成され、その全域に上述した第1及び第3実施形態と同様にアスファルト系制振材96が貼り付けられている。
【0111】
次に、第4実施形態の作用効果を説明する。
先ず、No.4クロスメンバ29に設けた剛性低減部110の作用効果を説明する。
本実施形態のNo.4クロスメンバ29には、そのサイドシル20との連結部29aの近傍に、No.4クロスメンバ29のその他の部分よりも剛性が低い剛性低減部110が設けられているので、サイドシル20からNo.4クロスメンバ29に伝達された振動を、この剛性低減部110に集中させて、その剛性低減部110より車幅方向内方に振動が大きく伝達されることを防止することが出来る。
【0112】
具体的には、例えば、サイドシル20が、その長手方向(車体前後方向)の軸線を中心にねじり振動する場合や、その長手方向に対して車体上下方向或いは車幅方向に曲げ振動する場合、No.4クロスメンバ29には、そのようなねじりや曲げの力を伴う振動が伝達される。上述したように、剛性低減部110は、その車幅方向の剛性がNo.4クロスメンバ29の他の部分の剛性よりも低くなっているので、そのようなねじりや曲げの力を伴う振動が伝達されて変形し易くなっている。従って、サイドシル20から伝達された振動は、このように変形し易い剛性低減部110に集中し、その剛性低減部110より車幅方向内方に振動が大きく伝達されることを防止することが出来る。その結果、No.4クロスメンバ29を介して各パネル領域S10、S11、S13、S14に伝わる振動を低減することが出来、それらのパネル領域からの音響放射を低減することが出来る。
【0113】
以下、図13により、剛性低減部110の作用をさらに具体的に説明する。
先ず、剛性低減部110のうち、No.4クロスメンバ29の下面29eに設けた凹部112eの主な作用効果を説明する。
図13(a)に示すように、例えば、サスペンションへの路面からの突き上げ等によりサイドシル20に図中Aで示すような力が加わるとすると、サイドシル20には、その長手方向に対して車体上下方向に湾曲するような変形を伴う曲げ振動が励起され、さらに、このようなサイドシルの曲げ振動により、ピラー35及びルーフ120を含む車体のアッパボディ122(図13(b)参照)には、その全体がねじれるような変形を伴う振動が励起される。
【0114】
アッパボディ122にこのような振動が励起されると、ピラー35は、例えば、図13(b)に示すような車幅方向に湾曲するような変形を伴って振動する。これは、例えば、閉断面構造の箱をねじると、その側面が曲げ変形することと同様である。これらのピラー35はサイドシル20に連結されているので、サイドシル20は、図中Bで示すように、車幅方向に傾くような変形を伴って振動し、このような振動により、No.4クロスメンバ29には、図中仮想線Cで示すような曲げ変形をさせるような振動が伝達される。
このような曲げ変形をさせるような振動は、剛性低減部110に集中し、剛性低減部110である凹部112のうち、主に、下面29eに設けられた凹部112eが特に大きく変形する。その結果、その剛性低減部110より車幅方向内方に伝達される振動が低減され、図中実線Dで示すように、その曲げ振動が低減される。
【0115】
特に、剛性低減部110は、複数のクロスメンバのうち、ピラー35の近傍でサイドシル20に連結されているNo.4クロスメンバ29に形成されているので、アッパボディ122のねじり振動に起因したピラー35の曲げ振動によりサイドシル20に車幅方向に傾くような変形を伴うねじり振動が励起されても、効果的に、No.4クロスメンバ29の車幅方向内方へ振動が大きく伝達されることを防止することが出来る。一方、他のクロスメンバ、例えば、No.3クロスメンバ28には剛性低減部を設けていないので、車体全体の剛性を確保することが出来る。
【0116】
次に、剛性低減部110のうち、No.4クロスメンバ29の前後面29c、29dに設けた凹部112c、112dの主な作用効果を説明する。
例えば、サスペンションに路面から横力が加わると、サイドシル20には、その長手方向に対して車幅方向に湾曲するような変形を伴う振動が励起される。そして、このような車幅方向の曲げ振動により、No.4クロスメンバ29には、図13(a)中Eで示すような方向に曲げ変形をさせるような振動が伝達される。
このような曲げ変形をさせるような振動は、剛性低減部110に集中し、剛性低減部110である凹部112のうち、主に、前面29c及び後面29dに設けられた凹部112c、112dが特に大きく変形する。その結果、その剛性低減部110より車幅方向内方に伝達される振動が低減される。
【0117】
次に、剛性低減部110のうち、コ字状に延びる凹部112c〜eの作用効果を説明する。
サイドシル20に、例えば図中Aで示すような力により、その長手方向に対して車体上下方向に湾曲するような変形を伴う振動が励起されると、No.4クロスメンバ29には、図13(a)中Fで示すような方向のねじり変形をさせるような振動が伝達される。
このようなねじり変形をさせるような振動は、剛性低減部110に集中し、コ字状に延びる凹部112c〜dがほぼ一様にねじれるように変形する。その結果、その剛性低減部110より車幅方向内方に伝達される振動が低減される。
【0118】
次に、剛性低減部110に設けた制振材116の作用効果について説明する。
本実施形態では、凹部112の断面円弧状の内方の空間に制振材116が集中的に配置されているので、凹部112に集中した振動を減衰させることが出来、その結果、凹部112より車幅方向内方に振動が大きく伝達されることをより確実に防止することが出来る。
【0119】
次に、変形例による剛性低減部110の作用効果について説明する。
図10に示す本変形例の凹部112は、その幅を大きくとっているので、その車幅方向の剛性をさらに小さくすることが出来、その結果、車幅方向内方へ振動が大きく伝達されることをより確実に防止することが出来る。また、変形例による凹部112は、サイドシル20に接するように形成されているので、サイドシル20の曲げやねじり等の様々な変形を伴う振動をより確実に凹部112に集中させることが出来る。さらに、変形例による凹部112は、その断面がコ字状に形成されているので、サイドシル20から伝達される振動に対してその剛性がさらに小さくなるようにすることが出来る。
【0120】
以上述べたように、本実施形態及び変形例によれば、上述したような高さ、配置、大きさ等の車体構造上又は加工上の制約があっても、フレーム部材に剛性低減部を設けること等により、パネル領域の振動エネルギを効果的に低減することが出来る。例えば、フレーム部材に剛性低減部を設ければ、排気管や補機類等との干渉の制約を受けずに、或いは、乗員の足の踏み心地を悪化させずに、フロアパネルに伝達される振動を低減することが出来る。
【0121】
次に、パネル領域S10、S11に設けた振動低減構造の作用効果について説明する。
本実施形態においては、フレーム部材29に振動伝達低減構造である剛性低減部110を設けてパネル領域に伝達される振動を低減すると共に、パネル領域S10、S11に振動低減構造である高剛性部92及び低剛性部94を設けてパネル領域S10、S11からの音響放射をさらに低減するようにしている。
【0122】
本実施形態によるパネル領域S10では、高剛性部92の1辺がNo.4クロスメンバ29に接し、パネル領域S11では、高剛性部92の2辺がNo.4クロスメンバ29及び折れ部54に接しているので、それぞれ、高剛性部92の剛性を大きく高めて、低剛性部94との剛性差をより大きくすることが出来る。このようにすれば、例えば、パネル領域の面積が比較的小さくパネル領域の剛性がもともと比較的高い場合等においても、低剛性部との剛性差を大きくとることが出来、その結果、振動エネルギを低剛性部に大きく集中させることが出来る。また、パネル領域S10では、ブラケット98及び補機類100により、重量差によっても、振動エネルギを低剛性部に大きく集中させることが出来る。
【0123】
さらに、各高剛性部92が接しているNo.4クロスメンバ29は、上述したように、サイドシル20からの振動伝達量が小さくなっているので、パネル領域S10、S11に伝達される振動が大きくなることを防止することが出来る。その結果、No.4クロスメンバ29からパネル領域S10、S11に伝わる振動による音響放射が大きくならないようにすることが出来ると共に、その高剛性部92の剛性を大きく高めて振動低減効果がより確実に得られるようにすることが出来る。
従って、上述したような高さ、配置、大きさ等の車体構造上又は加工上の制約があっても、高剛性部をクロスメンバに接するように形成して高剛性部の剛性を大きく高めることにより、パネル領域の振動エネルギを効果的に低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の第1乃至第4実施形態を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるパネル領域S1を示す拡大平面図(a)及びそのII-II線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図3】本発明の第1実施形態による蓋部材の第1変形例を示す断面図(a)及び第1実施形態による蓋部材の第2変形例を示す平面図(b)である。
【図4】本発明の第2実施形態によるパネル領域S2を示す拡大平面図(a)及びそのIV-IV線に沿って見た車幅方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図5】本発明の第2実施形態の変形例によるパネル領域S2を示す拡大平面図(a)及びそのV-V線に沿って見た車幅方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図6】本発明の第3実施形態によるパネル領域S13を示す拡大平面図(a)及びそのVI-VI線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図7】本発明の第3実施形態によるパネル領域S15を示す拡大平面図(a)及びそのVII-VII線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図8】比較例によるフロアパネルの高剛性部及び低剛性部の剛性分布(a)及び本発明の第3実施形態による高剛性部及び低剛性部の剛性分布(b)を示す線図である。
【図9】本発明の第4実施形態によるNo.4クロスメンバをサイドシル及びピラーと共に示す車体前方側から見た部分拡大正面図(a)及び車体上方側から見た部分拡大平面図(b)である。
【図10】本発明の第4実施形態の変形例によるNo.4クロスメンバをクロスメンバ及びピラーの断面構造と共に示す車体前方側から見た部分拡大正面図(a)及びその車体上方から見た部分拡大平面図(b)である。
【図11】本発明の第4実施形態によるNo.4クロスメンバ及びパネル領域S10を示す拡大平面図(a)及びそのXI-XI線に沿って見た車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図12】本発明の第4実施形態によるNo.4クロスメンバ及びパネル領域S11を示す拡大平面図(a)及びそのXII-XII線に沿って見た車幅方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図13】本発明の第4実施形態の作用を説明するためのフレーム部材の概略図(a)及びアッパボディを含む車体構造の変形状態を示す概略図(b)である。
【符号の説明】
【0125】
1 自動車のアンダボディ
2 第1フロアパネル
4 第2フロアパネル
6 第3フロアパネル
18 フロントサイドフレーム
20 サイドシル
22 フロアサイドフレーム
24 リアサイドフレーム
27 No.2クロスメンバ
28 No.3クロスメンバ
29 No.4クロスメンバ
29b 連結部
30 No.5クロスメンバ
35 ピラー
36 No.1トンネルサイドメンバ
37 No.2トンネルサイドメンバ
52、54 折れ部(振動規制部)
56、58 ビード部(振動規制部)
60 開口部
62 段差部
64 孔
66 蓋部材
72、82、92 高剛性部、高重量部
74、84、94 低剛性部、低重量部、周辺部
76、86、96 アスファルト系制振材
80、116 塗布型制振材
98 ブラケット
100 補機類
110 剛性低減部
112 凹部
S1〜S16 パネル領域
a 高剛性部と低剛性部との境界部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルには、少なくともその一部が上記フレーム部材により囲まれたパネル領域が形成され、
上記フロアパネルには、このパネル領域のほぼ中央部にその周辺部よりも重量を増大させた高重量部が形成されていることを特徴とする車体のフロアパネル構造。
【請求項2】
上記高重量部の板厚は、上記周辺部より大である請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項3】
上記高重量部は、上記パネル領域のほぼ中央部に制振材を設けることで形成されている請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項4】
上記制振材は、所定の硬度を有する塗布型制振材である請求項3記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項5】
上記制振材は、所定の比重を有するアスファルト系制振材である請求項3記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項6】
上記高重量部は、上記パネル領域のほぼ中央部に所定の硬度及び比重を有する塗布型制振材を設けることで形成され、上記周辺部には、上記塗布型制振材よりも低い硬度及び大きい比重を有するアスファルト系制振材が設けられている請求項1記載の車体のフロアパネル構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−7862(P2006−7862A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185016(P2004−185016)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】