説明

車体後部構造

【課題】リトラクタ取付部の支持剛性を高めながら、車体後部全体の剛性を向上させることができる車体後部構造を得る。
【解決手段】リトラクタ取付リインフォース40は、Cピラーリインフォース12に前端部42が結合されると共に、車両前後方向に延在してかつ後端部46がホイルハウスエクステンション22の後部上方側に配設されている。リトラクタ取付リインフォース40の後端末部46Aは、ホイルハウスエクステンション22の後端稜線部22Aにおける直線部222Aの延長線L上に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後席シートベルト装置用のリトラクタが固定されたリトラクタ取付部材を備えた車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体後部においては、後席シートベルト装置用のリトラクタの取付部の剛性を高めるために、リトラクタが固定されるリヤインナパネルをアンカプレートで補強すると共にアンカプレート及びストライカ台座で閉断面を形成する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この構造は、リトラクタ取付部の支持剛性を高めるだけで、車体後部全体の剛性向上には殆ど寄与していない。
【特許文献1】特開2005−186721公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記事実を考慮して、リトラクタ取付部の支持剛性を高めながら、車体後部全体の剛性を向上させることができる車体後部構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載する本発明の車体後部構造は、車体後部で車両幅方向の両サイドに位置して略車両上下方向に延在するCピラーリインフォースと、前記Cピラーリインフォースの車両後方側でリヤホイルハウスの上部に接合され、略車両上下方向に立設されたホイルハウスエクステンションと、後席シートベルト装置用のリトラクタが固定され、前記Cピラーリインフォースに前端部が結合されると共に、車両前後方向に延在してかつ後端部が前記ホイルハウスエクステンションの後部上方側に配設されたリトラクタ取付部材と、を有することを特徴とする。
【0005】
請求項1に記載する本発明の車体後部構造によれば、後席シートベルト装置用のリトラクタが固定されたリトラクタ取付部材は、Cピラーリインフォースに前端部が結合されているので、後席シートベルト装置の使用時にリトラクタを介してリトラクタ取付部材に対して車室内側への荷重が作用しても、該荷重の一部は、Cピラーリインフォースによって支持される。また、リトラクタ取付部材は、前端部がCピラーリインフォースに結合されると共に、車両前後方向に延在してかつ後端部がホイルハウスエクステンションの後部上方側に配設されているので、車体側部に対して車室内側へ倒れ込む荷重が作用した場合、リトラクタ取付部材の前端部は、Cピラーリインフォースと共に前記荷重の一部を支持し、リトラクタ取付部材の後端部は、ホイルハウスエクステンションの後部上方側において、略車両上下方向に立設されたホイルハウスエクステンションと共に前記荷重の一部を支持する。
【0006】
請求項2に記載する本発明の車体後部構造は、請求項1記載の構成において、前記リトラクタ取付部材の後端末部は、前記ホイルハウスエクステンションの後端末部で略車両上下方向に延在した後端稜線部の少なくとも一部の延長線上又はその近傍に配設されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載する本発明の車体後部構造によれば、リトラクタ取付部材の後端末部は、ホイルハウスエクステンションの後端末部で略車両上下方向に延在した後端稜線部の少なくとも一部の延長線上又はその近傍に配設されているので、車体側部に対して車室内側へ倒れ込む荷重が作用した場合、前記荷重の一部がリトラクタ取付部材の後端末部側からホイルハウスエクステンションの後端稜線部側へ効率的に伝達され、車体側部が効果的に支持される。
【0008】
請求項3に記載する本発明の車体後部構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記リトラクタ取付部材の後端部は、前記Cピラーリインフォースの車両後方側で略車両上下方向に延在するDピラーリインフォースに、直接又は他部材を介して結合されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載する本発明の車体後部構造によれば、リトラクタ取付部材の後端部は、Cピラーリインフォースの車両後方側で略車両上下方向に延在するDピラーリインフォースに、直接又は他部材を介して結合されているので、車体側部に対して車室内側へ倒れ込む荷重が作用した場合、前記荷重の一部がDピラーリインフォースからリトラクタ取付部材側へ安定的に伝達され、さらにホイルハウスエクステンション側へ伝達されることによって、車体側部が安定的に支持される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車体後部構造によれば、リトラクタ取付部の支持剛性を高めながら、車体後部全体の剛性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0011】
請求項2に記載の車体後部構造によれば、車体側部に対して車室内側へ倒れ込む荷重が作用した場合、荷重の一部をリトラクタ取付部材の後端末部側からホイルハウスエクステンションの後端稜線部側へ効率的に伝達させて、車体側部を効果的に支持することができるという優れた効果を有する。
【0012】
請求項3に記載の車体後部構造によれば、車体側部に対して車室内側へ倒れ込む荷重が作用した場合、Dピラーリインフォース側へ入力された荷重を安定的に支持することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施形態の構成)
本発明の一実施形態に係る車体後部構造について図1〜図8を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0014】
図1には、ワゴン車両100の車体後部10における車体側部10Aが示されている。図1に示されるように、車体後部10には、車両幅方向の両サイド(Cピラー部)に位置するCピラーリインフォース(クォータピラーリインフォース)12が略車両上下方向に(より厳密には、車両上方へ向けて車両前方側に傾斜して)延在している。Cピラーリインフォース12の上端部は、略車両前後方向に延在するルーフサイドレール部14に結合されており、Cピラーリインフォース12の下端部は、リヤホイルハウス20(ホイルハウスインナ)の上部まで延在している。これによって、Cピラーリインフォース12は、サスペンション(図示省略)側からの入力荷重を受けてルーフサイドレール部14に伝達可能な構成になっている。
【0015】
ルーフサイドレール部14の後端部は、Dピラーリインフォース16が結合されている。Dピラーリインフォース16は、Cピラーリインフォース12の車両後方側で車両幅方向の両サイド(Dピラー部)に位置して略車両上下方向に(より厳密には、車両上方へ向けて車両前方側に傾斜して)延在している。Cピラーリインフォース12及びDピラーリインフォース16は、車体側部10Aの車室60(図8参照)内側への倒れ込み(所謂マッチ箱変形)を抑制する支持部材としての機能を備えている。
【0016】
車体側部10Aにおける車両上下方向の中間部は、略三角形板状のクォータガラスの窓部19の下方部でCピラーリインフォース12とDピラーリインフォース16とを繋ぐ部位が外板パネル(車体後部10で車体側部10Aの外側壁部を構成するパネル)のベルトライン部18とされている。ベルトライン部18の略車両下方側には、略半円形状のリヤホイルハウス20が形成されている。Cピラーリインフォース12の車両後方側でリヤホイルハウス20の車両後方寄り上部には、ホイルハウスエクステンション22がスポット溶接によって接合されている。ホイルハウスエクステンション22は、所定の剛性を確保のためにビード(図示省略)が形成されたプレートであり、略車両上下方向に立設され、一般面が略車両上下方向を含む面を面方向として配設されている。ホイルハウスエクステンション22の上端接合部23は、ベルトライン部18にスポット溶接によって接合されている。また、ホイルハウスエクステンション22の後端末部で形成された後端稜線部22Aが、リヤホイルハウス20側からDピラーリインフォース16側へ向けて、略車両上下方向に(より厳密には、車両上方へ向けて車両後方側に傾斜して)延在している。
【0017】
後端稜線部22Aは、ホイルハウスエクステンション22の上端部分が車両後方側へ倒れ込むように反って円弧状に湾曲した上端湾曲部122Aとされており、上端湾曲部122Aを除いた部分が直線状の直線部222Aとされている。この後端稜線部22Aを備えたホイルハウスエクステンション22は、車体側部10Aの車室60(図8参照)内側への倒れ込み(所謂マッチ箱変形)を抑制する支持部材としての機能を備えている。また、ホイルハウスエクステンション22は、Cピラーリインフォース12とDピラーリインフォース16との間の上部に形成されるクォータガラスの窓部19の領域を狭めない位置で、かつ車体後部10で後端側空間を形成する荷室部24の空きスペースを狭めないような位置に配設されている。
【0018】
リヤホイルハウス20の車両上方側でホイルハウスエクステンション22の車両前方側には、後席であるリヤシート26(図3参照)の固定用とされるロックストライカ部30が配設されている。図1及び図6に示されるように、ロックストライカ部30は、Cピラーリインフォース12に接合された略箱状の基台部30Bを備えると共に、基台部30Bの車室60内側の部位にアーク溶接によって接合されたストライカ30Aを備えている。図1に示されるように、ストライカ30Aは、車室60内側から見て車両後方側が開放された略U字形状とされると共に、車両前方側となる中間部が車室60内側に略直角に折り曲げられた形状とされている。図3に示されるように、リヤシート26におけるシートバック26Aの車両幅方向外側には、ボデー板金やロックストライカ部30を隠すようにサイドシート28が配設されており、このサイドシート28の上部内にロックストライカ部30が配設された構成となっている。
【0019】
サイドシート28は、車両正面視で縦長の略長方形状に形成されており、サイドシート28の上部における車両幅方向の幅寸法Wが下部の幅寸法と同等になっている(狭くなっていない)ため、ロックストライカ部30の基台部30Bの車両幅方向における幅寸法も大きめに設定されている。また、基台部30BとCピラーリインフォース12(図1参照)との取付位置から、ストライカ30Aとリヤシート26とのロック位置までの寸法が長くなることによって、リヤシート26に対して車両前後方向の荷重が作用した場合には、前記取付位置を支点とした車室60内側への回転方向(矢印M方向(図7参照))の回転モーメントも大きくなるので、ロックストライカ部30における基台部30Bは、このような(略車両上下方向の軸回りの)回転モーメントによって変形しないように、比較的大きな凸台状(山状)になっている(ボデー側補強構造、図2参照)。
【0020】
リヤシート26用のシートベルト装置32は、乗員拘束用で長尺帯状のウエビング33を備えている。ウエビング33の一端部は、サイドシート28の車両後方側に配設されたリトラクタ(ウエビング巻取装置)36(図4参照)のスプールに係止されている。また、ウエビング33の他端部には、タングプレート34が固定され、このタングプレート34は、車体フロアに固定されたアンカプレート(図示省略)に係止されるようになっている。
【0021】
なお、前述のようにサイドシート28が車両正面視で略長方形状に形成されていると、リヤシート26のシートバック26Aとの見切りの外形線が一直線となってすっきりとした外観を得られるだけでなく、ウエビング33が乗員から外された場合にはウエビング33が(シートバック26Aには掛からずに)サイドシート28のみに掛かることになるので、乗員がシートバック26Aを倒してリヤシート26の後方側の荷室部24(図1参照)から荷物を出し入れする際にはウエビング33が邪魔にならないという利点がある。すなわち、このようなシート構成は使い易く、商品性が高い構成となっている。
【0022】
図2に示されるように、後席シートベルト装置32用のリトラクタ36は、ボルト50(図4参照)等の締結具によってリトラクタ取付部材としてのリトラクタ取付リインフォース40(ボデー側R/F)の中間固定部44に固定されている。リトラクタ取付リインフォース40の中間固定部44は、ロックストライカ部30における基台部30Bが比較的大きな構造になっている影響で、基台部(30B)が極めて小さな構造の場合に比べて、やや車両後方側の位置に配設されている。また、リトラクタ36の取付部の補強は、該取付部の位置がストライカ30Aの近接位置(直ぐ後ろ)であれば、ストライカ30Aの取付部の補強部材で一括して(兼用して)行うことができるが、本実施形態のようにリトラクタ36の取付部(中間固定部44)とストライカ30Aの取付部(基台部30Bでストライカ30Aを取り付ける部分)とが離れている場合には、これらを別々に補強する必要が生じる。すなわち、リトラクタ36の取付部が大きな回転モーメント(車室60内側へ回転する方向(矢印M方向(図5及び図7参照)に作用するモーメント)による負荷に耐えられるような補強構造が別途必要になる(ベルトアンカ引張強度の確保)。
【0023】
リトラクタ取付リインフォース40は、Cピラーリインフォース12に前端部42が結合されると共に、Dピラーリインフォース16側へ向けて車両前後方向に延在してかつ後端部46がホイルハウスエクステンション22の後部上方側に配設されている。すなわち、リトラクタ取付リインフォース40は、リトラクタ取付部分である中間固定部44を備えると共に中間固定部44から車両前方側及び車両後方側へ延長化した部分を備えた部材となっている(リトラクタ取付リインフォースの形状拡大)。リトラクタ取付リインフォース40において中間固定部44の前後左右部位には、所定剛性を確保するために凹凸が形成されている。
【0024】
リトラクタ取付リインフォース40の配設状態を示す水平断面図(図1の5B−5B線断面に相当する拡大断面図)である図5(B)に示されるように、リトラクタ取付リインフォース40は、図5(B)の水平断面視において概ね車両幅方向外側に開口した略ハット形状とされており、前端部42及び後端部46が外板パネルのベルトライン部18と接合されることで、閉断面部45を形成している。リトラクタ取付リインフォース40の中間固定部44において、車両幅方向外側向きの面には、プロジェクション溶接によってナット51が固定されている。図4に示されるリトラクタ36を貫通したボルト50の先端部が、ナット51に螺合されることによって、リトラクタ36がリトラクタ取付リインフォース40に固定される構成になっている。なお、図5(B)は、リトラクタ36(図4参照)がリトラクタ取付リインフォース40に固定される前の状態を示している。
【0025】
図1の5A−5A線断面に相当する拡大断面図(半断面図)である図5(A)に示されるように、リトラクタ取付リインフォース40の前端部42は、Cピラーリインフォース12よりも車両幅方向外側に配置されている。リトラクタ取付リインフォース40の前端部42がCピラーリインフォース12の後端側及びベルトライン部18と接合され、Cピラーリインフォース12の前端側とベルトライン部18とが接合されることによって、閉断面部43が形成されている。
【0026】
リトラクタ取付リインフォース40とCピラーリインフォース12との結合構造等を示す図6に示されるように、リトラクタ取付リインフォース40の前端部42は、Cピラーリインフォース12に沿った形状とされ、下部側が上部側に比べて車両幅方向内側に入り込んだような形状となっている。リトラクタ取付リインフォース40の前端部42とCピラーリインフォース12とは、面接触した状態で溶接によって結合されている。なお、図6において、Cピラーリインフォース12は、符号12A、符号12B、符号12Cでそれぞれ示される構成部材によって構成されている。
【0027】
図1に示されるように、リトラクタ取付リインフォース40の下端接合部48の後部は、ホイルハウスエクステンション22の上端接合部23に重ね合わされてスポット溶接によって接合されている。また、リトラクタ取付リインフォース40の下端接合部48及び上端接合部49においてベルトライン部18と直接重ね合わされた部分は、ベルトライン部18にスポット溶接によって接合されている。なお、ベルトライン部18にスポット溶接されたリトラクタ取付リインフォース40は、さらに他の固定手段(締結具等)でベルトライン部18に固定されてもよい。
【0028】
リトラクタ取付リインフォース40の後端末部46Aは、ホイルハウスエクステンション22の後端稜線部22Aにおける直線部222Aの延長線L上に配設されている。換言すれば、リトラクタ取付リインフォース40の後端末部46Aは、ホイルハウスエクステンション22の後端稜線部22Aの直線部222Aと一直線となる位置(ほぼ連続させる位置)に配設されている。リトラクタ取付リインフォース40の後端部46(より具体的には、リトラクタ取付リインフォース40の下端接合部48における後端末部46A寄りの部位等)及びホイルハウスエクステンション22の上端接合部23における後端側は、連結パネル54にスポット溶接で接合されており、連結パネル54の後端側は、Dピラーリインフォース16に固定されている。すなわち、リトラクタ取付リインフォース40の後端部46及びホイルハウスエクステンション22の上端接合部23における後端側は、連結パネル54を介してDピラーリインフォース16に結合されている。
【0029】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0030】
図2に示される後席シートベルト装置32用のリトラクタ36が固定されたリトラクタ取付リインフォース40は、Cピラーリインフォース12に前端部42が結合されているので、シートベルト装置32の使用時にリトラクタ36を介してリトラクタ取付リインフォース40に対して車室60内側への荷重(車室60内側へ回転する方向(矢印M方向(図7参照)に作用する回転モーメント)が作用しても、該荷重の一部は、Cピラーリインフォース12によって支持される。これによって、車体側部10Aにおいて負荷が集中するのを抑えて車体側部10Aが車室60内側へ入り込むのを抑制している(ベルトアンカ強度の向上)。
【0031】
また、リトラクタ取付リインフォース40は、前端部42がCピラーリインフォース12に結合されると共に、Dピラーリインフォース16側へ向けて車両前後方向に延在してかつ後端部46がホイルハウスエクステンション22の後部上方側に配設されているので、例えば、図8に示されるように、高速走行中の車両100のレーンチェンジによって車体側部10Aに対して車室60内側へ倒れ込む荷重Fが作用した場合、図2に示されるリトラクタ取付リインフォース40の前端部42は、Cピラーリインフォース12と共に荷重Fの一部を支持し、リトラクタ取付リインフォース40の後端部46は、ホイルハウスエクステンション22の後部上方側において、略車両上下方向に立設されたホイルハウスエクステンション22と共に荷重Fの一部を支持する。
【0032】
ここで、図1に示されるように、リトラクタ取付リインフォース40の後端末部46Aは、ホイルハウスエクステンション22の後端稜線部22Aにおける直線部222Aの延長線L上に配設されているので、図2に示される車体側部10Aに対して車室60内側へ倒れ込む荷重Fが作用した場合、該荷重Fの一部がリトラクタ取付リインフォース40の後端末部46A側からホイルハウスエクステンション22の後端稜線部22A側へ効率的に伝達され、車体側部10Aが効果的に支持される。このため、ボデー全体のねじり剛性が向上する。
【0033】
また、リトラクタ取付リインフォース40の後端部46は、連結パネル54を介してDピラーリインフォース16に結合されているので、車体側部10Aに対して車室60内側へ倒れ込む荷重Fが作用した場合、荷重Fの一部がDピラーリインフォース16からリトラクタ取付リインフォース40側へ安定的に伝達され、さらにホイルハウスエクステンション22側へ伝達されることによって、車体側部10Aが安定的に支持される。
【0034】
補足すると、例えば、車体側部のパネル同士がラゲージで安定的に連結されているようなセダン系の車両に比べて、ワゴン車両100では、車体側部10Aのパネル同士を連結する部分が少ないので、ボデーのねじり剛性を高める必要性は、セダン系の車両より高いが、本実施形態では、このようなボデーのねじり剛性を効果的に高めることができ、ボデー強度全般の向上に寄与している。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る車体後部構造によれば、リトラクタ取付部の支持剛性を高めながら、車体後部10全体の剛性を向上させることができる。その結果として、車室60内側へ倒れ込む荷重Fの入力やリヤホイルハウス20側への上下荷重の入力に対しての車体後部10の耐久強度をも向上させることができる。
【0036】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、図1に示されるように、ホイルハウスエクステンション22の後端稜線部22Aが上端湾曲部122Aと直線部222Aとを備えているが、ホイルハウスエクステンションの後端稜線部は、直線状の直線部のみで構成されてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、リトラクタ取付リインフォース40の後端末部46Aは、ホイルハウスエクステンション22の後端稜線部22Aにおける直線部222Aの延長線L上に配設されているが、リトラクタ取付部材(リトラクタ取付リインフォース、リトラクタ取付ブラケット等)の後端末部は、例えば、ホイルハウスエクステンションの後端末部で略車両上下方向に延在した後端稜線部の一部の延長線上の近傍(換言すれば、ホイルハウスエクステンションの後端稜線部の一部の延長線上に設定された場合と実質的に同様の作用及び効果が得られるような、実質的に延長線上と把握される延長線の近接位置)に配設されていてもよく、また、ホイルハウスエクステンションの後端稜線部の(一部でなく)全部の延長線上又はその近傍に配設されていてもよい。
【0038】
さらに、上記実施形態では、リトラクタ取付リインフォース40の後端部46が連結パネル54を介してDピラーリインフォース16に結合されているが、リトラクタ取付部材の後端部が直接Dピラーリインフォースに結合された構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る車体後部構造を車内側から見た状態で示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車体後部構造を車内側から見た状態で示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車体後部構造が適用された車両のリヤシート及びその付近を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態におけるリトラクタ取付リインフォースへのリトラクタの取付けを示す分解斜視図である。
【図5】リトラクタ取付リインフォースの配設状態を示す断面図である。図5(A)は、図1の5A−5A線断面に相当する拡大断面図(半断面図)である。図5(B)は、図1の5B−5B線断面に相当する拡大断面図である。
【図6】図1の6−6線に沿う拡大断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る車体後部構造が適用された車両を模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る車体後部構造が適用された車両を模式的に示す背面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 車体後部
12 Cピラーリインフォース
16 Dピラーリインフォース
20 リヤホイルハウス
22 ホイルハウスエクステンション
22A 後端稜線部
36 リトラクタ
40 リトラクタ取付リインフォース(リトラクタ取付部材)
42 前端部
46 後端部
46A リトラクタ取付リインフォースの後端末部(リトラクタ取付部材の後端末部)
L 延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部で車両幅方向の両サイドに位置して略車両上下方向に延在するCピラーリインフォースと、
前記Cピラーリインフォースの車両後方側でリヤホイルハウスの上部に接合され、略車両上下方向に立設されたホイルハウスエクステンションと、
後席シートベルト装置用のリトラクタが固定され、前記Cピラーリインフォースに前端部が結合されると共に、車両前後方向に延在してかつ後端部が前記ホイルハウスエクステンションの後部上方側に配設されたリトラクタ取付部材と、
を有することを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記リトラクタ取付部材の後端末部は、前記ホイルハウスエクステンションの後端末部で略車両上下方向に延在した後端稜線部の少なくとも一部の延長線上又はその近傍に配設されていることを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記リトラクタ取付部材の後端部は、前記Cピラーリインフォースの車両後方側で略車両上下方向に延在するDピラーリインフォースに、直接又は他部材を介して結合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−83826(P2009−83826A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259879(P2007−259879)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】