説明

車軸用の保護膜

【課題】耐衝撃性と耐腐食性とを有する、特に鉄道車両用の、車軸用の保護膜に関して、晒される種々のタイプの攻撃に対して効果的な保護機能を提供する。
【解決手段】車軸用の保護膜1であって、車軸に接着できて、アルミニウムとエラストマーから選択されるとともに接着合成物が付着される合成物を含有する、第1の層2と、接着合成物を含有しない第1の層2のフェースに塗布される、マスティック・タイプの糊状で少なくとも1つの接着合成物を含有する第2の層3とを、少なくとも具備することによって、耐衝撃性、耐腐食性が改善し、除去も容易な膜を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性と耐腐食性とを有する、特に鉄道車両用の、車軸用の保護膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールや車軸やホイール・セットや車軸ボックスのような回転部材は、種々の物理的な現象に付随する機械的な問題に恒久的に晒される。
【0003】
車軸は、晒される物理的条件に準じて、幾つかのクラスに全体的に分けられる。クラス1の車軸は、200km/hを超える速度で走行する鉄道車両に用いられ、大気腐食と大きな機械的衝撃とに晒される。これらの機械的衝撃は、車軸に衝突する、種々のサイズの突出物、特にバラスト・ピースとに起因すると思われる。このような突出物に起因する衝撃は、200km/hを超える速度で生じる。これらの衝撃は、車軸を損ね、そのフィレットでクラックと割れ目が生じる結果になる。
【0004】
これらの障害を克服するために、クラス1の車軸は、耐バラスト性の保護コーティングで全体的にカバーされている。この保護コーティングは、大気腐食に起因する摩耗と衝撃から車軸を保護する。この保護処理は、130〜160バールの範囲の圧力でスプレーすることによって、ポリウレア系コーティングの車軸に対するホット・アプリケーションから成る。コーティングは、ポリアミン系の成分とイソシアネート硬化剤との間の凝縮から生じる。このコーティングは、急速に乾燥するので、磁気的検査又は超音波試験を用いて検査している最中に車軸の状態を調べるために除去することは、不可能でないが非常に難しい。コーティングの除去には、それが車軸の全長にわたって剥離されることが要求される。
【0005】
コーティングは車軸のある部分に接着するので、それを均一に除去できるように、数回コーティングを擦り取る必要がある。これが、クラックが車軸に現れて、それを損ねる原因になると思われる。
【0006】
このようなコーティングは、熱誘導ストレスのために車軸上のあるポイントで剥離する場合もある。これは、それに衝突するバラストのピースに起因する繰り返し衝撃のために、車軸にクラックが生成して破損する結果になる。
【0007】
さらに、このスプレーを用いるコーティングの塗布には、特殊なペイント・ブースの設置が要求される。そのうえ、このコーティングは、満足できる耐バラスト性とするために、オペレータに数回の連続するパスの実施を要求する、5ミリメートル以上の厚みの耐バラスト性を有していなければならない。これらの連続するパスは、車軸の非稼働時間を増加させる。コーティングが乾燥する時間が非常に短くて、コーティングは除去が難しいので、コーティング塗布装置は、オペレータの健康に有害と考えられる揮発性有機化合物の放出を招く、高攻撃性の溶剤を用いて、特に迅速に洗浄しなければならない。
【0008】
クラス2とクラス3の車軸は、200km/h以下の速度で走行する鉄道車両に用いられる。クラス2の車軸は、特殊な腐食生成物の影響に晒される。クラス2の車軸は、例えば、商用搬送ワゴンに又は駆動車軸として用いる場合もある。クラス3の車軸は、大気腐食に晒され、特に乗客搬送用の車両に用いられる。これらの車軸は、突出物、特に、グラベルやバラストのピースに起因する種々の軽い衝撃にも晒される。このような突出物に起因する衝撃は、200km/h未満の速度で生じる。
【0009】
これらの障害を避けるために、クラス2とクラス3の車軸は、140バールを超える圧力で全体的にスプレーされる、水分希薄自在の塗装システムで塗布される。この塗装コーティングは、磁気的検査又は超音波試験による車軸状態の調査を更に複雑にする、化学エッチング又はショットブラスティング・プロセスを採用しないと、除去が更に難しくなる。塗装コーティングの除去は、オペレータの健康に有害と思われるエッチング試薬又は溶剤の放出を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、車軸の種々のカテゴリーを保護するために今用いられている種々のコーティングには、多くの欠点がある。
【0011】
前述を鑑みて、本発明の目的は、車軸状態の種々の調査を容易にするとともに、晒される種々のタイプの攻撃に対して、それらのカテゴリーがどんなものであっても、車軸の効果的な保護機能を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的について、出願人は、種々のクラスの車軸を保護する特定の接着膜を用いると、耐衝撃性を改善し、除去も容易な膜を得ることが可能なことを、予期せずに発見した。
【0013】
特に、本発明に基づく車軸用の保護膜は、生物分解性の溶剤を塗布すると容易に除去できるので、車軸状態を磁気的検査又は超音波試験による検査中に調査することが可能になる。
【0014】
出願人は、膜の除去に、測定可能な揮発性有機化合物の放出が伴わないことも発見した。
【0015】
さらに、本発明に基づく車軸用の保護膜は、200km/hを超える速度のバラストのピースによる衝突と、200km/h未満の速度でそれらに衝突するグラベル又はバラストのピースに起因する軽い衝撃の両方に対して、及びこれらの車軸が晒されると思われる種々のタイプの腐食に対しても、それらを保護するために、種々のクラスの車軸上で使用できる。
【0016】
本発明に基づく車軸用の保護膜は、従来技術のコーティングと異なり、膜はゼロ乾燥時間なので、車軸の非稼働時間を短縮することもできる。
【0017】
さらに、本発明に基づく車軸用の保護膜が塗布される方式は、層の各々の厚みを制御できるので、車軸の非稼働時間を短縮できる。
【0018】
ある実施例によれば、車軸用の保護膜は、
− 車軸に接着できて、アルミニウムとエラストマーから選択されるとともに接着合成物が付着される合成物を含有する、第1の層と、
− 接着合成物を含有しない第1の層のフェースに塗布される、マスティック・タイプの糊状で少なくとも1つの接着合成物を含有する第2の層とを、少なくとも具備している。
【0019】
このように、膜は、特に耐衝撃性であり、200km/h未満の速度でグラベルとバラストのピースによって衝突されることに対しても抵抗力があり、除去が容易である。
【0020】
“接着合成物”という用語は、本発明の趣旨において、第1の層が車軸に接着することを可能にする合成物を意味すると理解される。
【0021】
当業者は、接着特性を呈する従来技術の種々の合成物から接着合成物を選択できる。好都合に、当業者は、アクリル接着材又はビニール接着材を選択できる。第1の層上に付着した接着合成物は、種々の形状、特に層の形状又はスプレー噴射された粒子の形状になることができる。
【0022】
“マスティック・タイプの糊状の接着合成物”という表現は、20℃の温度で液体でも固体でもない濃度の接着合成物を意味するとして、本発明では理解される。
【0023】
別の優れた実施例によれば、本発明に基づく車軸用の保護膜は、少なくとも1つの耐腐食性のピグメントを含む接着合成物を含有している。
【0024】
このように、膜は、200km/h未満の速度のグラベル又はバラストのピースによる衝撃を特に保護する耐衝撃性と耐腐食性の両方を、種々のクラスの車軸に対して具備することができる。
【0025】
“グラベル”という用語は、20mm〜40mmの範囲のサイズを有する粒子又は材料のグループを意味するとして、本発明では理解される。
【0026】
“バラストのピース”という表現は、全体的に粉砕された、4〜10cmのサイズの範囲にあり、鉄道トラックの基盤構造を意図されている、堅固な角度のある材料のピースを意味するとして、本発明では理解される。
【0027】
別の優れた実施例によれば、車軸用の保護膜は、少なくとも1つのエラストマー及び/又は少なくとも1つの熱可塑性又は熱硬化性成分を含有する、第2の層に塗布される、第3の層を更に含むことができる。
【0028】
このように、膜は、この第3の層の存在に起因する耐バラスト性と、塗装システムを交換する際に車軸に接着できる第1の層の接着合成物において少なくとも1つの耐腐食性のピグメントの存在に起因する耐腐食性の両方を、クラス1の車軸に対して好都合に具備できる。したがって、膜は、それらに200km/h〜700km/hの範囲の速度で衝突すると思われるバラストのピースからクラス1の車軸を保護する。
【0029】
本発明の別の特徴によれば、耐腐食性のピグメントは、バリウム・メタボラーテ、リン酸亜鉛、亜鉛、基本鉛シリコクロマーテ、亜鉛テトラオキシクロマーテ、亜鉛クロマーテ、ストロンチウム・クロマーテ、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、リン酸クロムとから選択できる。
【0030】
これらのピグメントは、乾燥状態において、微細な粉末の形状に、又は液状になることができる。これらの耐腐食性のピグメントは、接着合成物の全重量に対して重量で5%未満の量で存在できる。
【0031】
本発明の更に別の特徴によれば、車軸用の保護膜は、アルミニウムを含有して、車軸に接着できる層を備えている。
【0032】
アルミニウムは、優れた引っ張り特性を持つ長所を有するので、アルミニウム接着層は更に簡単に変形でき、車軸の全面をカバーできる。そのうえ、車軸を磁気的検査を用いて調査するために、又は超音波を用いて車軸を調べるために、アルミニウム接着層は、膜が車軸から、容易に除去されることを可能にする。好都合に、膜は、アルミニウム接着層を引き裂かずに除去できる。
【0033】
アルミニウム接着層は、先行する1つ又は複数の層を貫通している任意の突出物から車軸を保護することも可能にする。この接着層は、好都合に、50ミリメートル未満でもかまわない厚みを具備している。この小さい厚みが、アルミニウム接着層を変形させて、車軸を更に簡単に包囲することを可能にする。
【0034】
本発明の別の特徴によれば、車軸に接着できる層の接着合成物は、アクリル接着材とビニール接着材とから選択される。
【0035】
その接着の特徴により、第2の層のマスティック・タイプの糊状の接着合成物は、第1の層に接着できる。少なくとも3つの層を具備する膜の場合に、この合成物は、粘着付与材を追加せずに、第1と第3の層の間を接着する。
【0036】
好都合に、第2の層のマスティック・タイプの糊状の接着合成物は、ブチル・マスチックであり、特にオリンからT1520という名称で市販されている。
【0037】
ブチル・マスチックは、その特性を長年にわたって保持する粘着性のある糊状材料である。ブチル・マスチック層は、衝撃の抑制と、突出物、すなわちグラベル又はバラストのピース或いはその両方の緩和とを支援するので、それらは低速で車軸に接着できる第1の層と衝突する。ブチル・マスチック層は、1ミリメートルの単位の厚みを好都合に具備できる。
【0038】
好都合に、第3の層のエラストマーが、ポリウレタンとシリコンとラバーとポリイソブチレンとポリブタジエンとから選択されている。好都合に、第3の層のエラストマーはポリウレタンである。ポリウレタン層は、2ミリメートルの単位の厚みを有している。
【0039】
本発明の別の特徴によれば、ポリウレタンは、ラバー粒子、グラス・ファイバのようなファイバ、又はガラス・ビーズのようなビーズから或いはそれらの中から選択された充填材を含んでいる。これらの充填材は、特にラバー粒子のように、エラストマー層の耐バラスト性の改善を支援する。ラバー粒子は、1〜6mmの範囲で変動する可能性のある粒子サイズを持つ粉砕された材料の形状になることができる。好都合に、グラス・ファイバのような充填材は、エラストマー層に機械的な強度を与えるので、この層が引き裂かれることを防止する。充填材は、12μm〜6mmの範囲のサイズになることができる。充填材は、ポリウレタン層の全重量に対して重量で10%〜60%の量で存在できる。
【0040】
更に別の実施例によれば、第3の層は、車軸振動に起因するノイズを吸収する防音材料を含むことができる。この材料は硫酸バリウムでかまわない。
【0041】
本発明の課題は、鉄道車両の車軸をコーティングする本発明に基づく膜の使用にもある。200km/h未満の速度でそれらに衝突するグラベル又はバラストのピースに対する保護のための耐衝撃性と耐腐食性の両方を呈する、車軸用の保護膜は、クラス2又はクラス3の車軸をコーティングするために好都合に用いられる。200km/hを超える速度でそれらに衝突するバラストのピースに対する保護のための耐衝撃性と耐腐食性の両方を呈する、車軸用の保護膜は、クラス1の車軸をコーティングするために好都合に用いられる。
【0042】
本発明の課題は、車軸、特にクラス2又はクラス3の車軸をコーティングする方法にもある。この方法は、前述のような膜を車軸に、特に200km/h未満の速度でそれらに衝突するグラベル又はバラストのピースに対する保護のための耐衝撃性と耐腐食性とを呈する膜に塗布することから成る。
【0043】
本発明の課題は、車軸、特にクラス1の車軸をコーティングする方法にもある。この方法は、前述のような膜を車軸に、特に耐バラスト性と耐腐食性とを呈する膜を塗布することから成る。好都合に、膜の末端は、第3の層のエッジに締め付け手段を用いて接合される。クラス1の車軸の場合、車軸は、耐腐食性を改善するために、耐腐食性塗料を用いて、膜の塗布前にあらかじめコーティングできる。
【0044】
本発明の他の特徴と長所は、本発明に基づく車軸用の保護膜の非拘束性の事例によって与えられかつ添付の図面で図示される3つの実施例の詳細な調査において明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1〜3に図示すように、本発明に基づく車軸用の保護膜1は、車軸の種々の調査を支援するとともに、晒される攻撃の種々の形態に対して効果的な保護機能を提供するために、任意のカテゴリーの鉄道車両の車軸をコーティングすることを意図している。
【0046】
図1に示す第1の実施例では、車軸用の保護膜1は、アクリル接着材を有する、そのフェース2aを介して車軸に接着できるアルミニウム接着層2を備えている。膜1は、アクリル接着材を具備しない、アルミニウム接着層2のフェースに塗布されるブチル・マスチックの層3を更に含んでいる。
【0047】
アルミニウム接着層2を生成するために、3Mが販売している425/227アルミニウム・テープが用いられ、リン酸亜鉛を含有するアクリル接着材が、このアルミニウム・テープのフェース2aにスプレーされる。リン酸亜鉛の成分は、アクリル接着材の全重量に対して重量で5%未満である。次に、アクリル接着材/リン酸亜鉛を有するアルミニウム・テープのフェース2aが、数分間、赤外線放射によって乾燥される。
【0048】
乾燥後、希望された種々の形状に切断できるアルミニウム接着層2を得ることができる。50ミリメートル未満の厚みのアルミニウム接着層2が用いられる。この層は、その厚みとアルミニウムの優れた引っ張り特性とにより、容易に変形できる。
【0049】
ブチル・マスチックから成る第2の層3が生成されて、アクリル接着材を具備しない第2のフェースに塗布される。ブチル・マスチックから成る層3は、1ミリメートルの単位の厚みを有する。ブチル・マスチックの粘着性のある特性のために、この層はアルミニウム接着層2に簡単に接着する。ブチル・マスチック層3は、ポリエチレン膜で好都合にコーティングできる。このような膜は、この層をゴミの付着から又はその表面の突き出しから保護する。それは、200μmの厚みを有するときに耐衝撃性も改善する。
【0050】
膜1は、200km/h未満の速度で衝突するグラベルとバラストのピースに対する保護機能を提供する優れた耐衝撃性と優れた耐腐食性とを備えている。
【0051】
図2に示す第2の実施例では、図1のものと同じ構成部品に同じ参照番号が付記されており、車軸を保護する膜1は、ブチル・マスチック層3に塗布されたポリウレタン製の第3の層3を更に備えているので、その層はアルミニウム接着層2とポリウレタン層4との間で挟まれることになる。
【0052】
アルミニウム接着層2を生成するために、3Mが販売する425/227アルミニウム・テープが用いられ、リン酸亜鉛を含有するアクリル接着材が、このアルミニウム・テープのフェース2aにスプレーされる。リン酸亜鉛の成分は、アクリル接着材の全重量に対して重量で5%未満である。アクリル接着材/リン酸亜鉛を有するアルミニウム・テープのフェース2aが、数分間、赤外線放射によって乾燥される。
【0053】
乾燥後、希望された種々の形状に切断できるアルミニウム接着層2が生成される。50ミリメートル未満の厚みのアルミニウム接着層2が用いられる。この層は、その厚みとアルミニウムの優れた引っ張り特性とにより、容易に変形できる。
【0054】
ブチル・マスチックから成る第2の層3が生成され、この層がアクリル接着材を具備しないアルミニウム接着層2のフェースに塗布される。1ミリメートルの単位の厚みを有する層が用いられる。ブチル・マスチックの粘着性のある特性のために、この層はアルミニウム接着層2に簡単に接着する。
【0055】
ポリウレタンから成る第3の層4が、生成されてブチル・マスチック層3に塗布される。ブチル・マスチックは、その粘着性のある特性のために、ポリウレタン層4がそこに接着することを可能にする。
【0056】
膜は、優れた耐バラスト性と優れた耐腐食性とを呈する。さらに、膜は、具体的な実例において、優れた耐火性を有することができる。
【0057】
図3に示す第3の実施例において、図2のものと同じ構成部品には同じ参照番号が付記してあり、ポリウレタン層4は、ラバー粒子、グラス・ファイバのようなファイバ、又はガラス・ビーズのようなビーズから選択された充填材5を含んでいる。これらの充填材は任意の形状で配列できる。充填材は粉末の形態であり、その粒子サイズは12μm〜6mmの範囲で変わる。したがって、この膜は、耐バラスト性を改善する。
【0058】
下記の例は、本発明に基づく膜を用いて、車軸をコーティングする方法について記す。
【0059】
例1: クラス2又はクラス3の車軸をコーティングする方法
車軸は、車軸のフィレットを構成する、その直線部とその末端とによって全体的に区別される。クラックが車軸に現れるときに、それらは最初にこれらのフィレットに現れる。
【0060】
最初に、アルミニウム接着層が車軸フィレットに塗布される。この層はアクリル接着材を持つフェースを介して塗布されるので、それがフィレットに接着する。
【0061】
次に、図1に示す膜が、車軸全体、即ち、車軸の直線部とフィレットの両方に塗布される。したがって、フィレットは、2つの連続するアルミニウム接着層を備えている。
【0062】
クラック2又はクラック3の車軸が膜1で完全にカバーされた後に、接着テープが、膜1の末端に接合するように、ブチル・マスチック層3のエッジに縦方向に取り付けられる。この接合により、膜1が使用中に剥離することが防止される。連続して種々の層を形成することにより、車軸上に膜1を直接生成することもできる。
【0063】
車軸の状態を磁気的検査又は超音波試験を用いて検査している最中に、接着材を溶解する生物分解性の溶剤を塗布できる。接着材の溶解後に、膜1の全体を、アルミニウム層2上に引っ張ると除去できる。
【0064】
例2: クラス1の車軸をコーティングする方法
クラス2又はクラス3の車軸をコーティングする方法のケースと同じ方式で、アルミニウム接着層がフィレットに最初に塗布され、次に、膜1が、図2又は図3に示すように、車軸全体に塗布される。
【0065】
したがって、フィレットは2つの連続するアルミニウム接着層を備えている。クラス1の車軸が膜1で全体的にカバーされた後に、接合剤がポリウレタン層4のエッジに塗布される。この接合剤は、膜の末端に接合するように、2要素ガンを用いて手動で冷状態で塗布される。ポリウレタンから成る、この接合剤は、車軸を包む膜1が使用中に剥離することを防止する。したがって、膜1は、連続して種々の層を形成することにより車軸上に直接設けることができる。
【0066】
車軸の状態を磁気的検査又は超音波試験を用いて検査している最中に、接着材を溶解する生物分解性の溶剤を塗布できる。接着材の溶解後に、膜1の全体を、アルミニウム層2上に引っ張ると除去できる。この方法は、接着材が溶解されるので、オペレータの健康に有害と思われる溶剤が、放出されることを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施例に基づく車軸用の保護膜の断面図を示す。
【図2】第2の実施例に基づく車軸用の保護膜の断面図を示し、図1のものと同じ構成部品に同じ参照番号が付記されている。
【図3】第3の実施例に基づく車軸用の保護膜の断面図を示し、図2のものと同じ構成部品に同じ参照番号が付記されている。
【符号の説明】
【0068】
1 保護膜
2 第1の層
2a フェース
3 第2の層
4 第3の層
5 充填材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸用の保護膜(1)において、
− 車軸に接着できて、アルミニウムとエラストマーから選択されるとともに接着合成物が付着される合成物を含有する、第1の層(2)と、
− 接着合成物を含有しない第1の層(2)のフェースに塗布される、マスティック・タイプの糊状で少なくとも1つの接着合成物を含有する第2の層(3)とを、少なくとも具備することを特徴とする車軸用の保護膜(1)。
【請求項2】
前記接着合成物が少なくとも1つの耐腐食性のピグメントを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項3】
少なくとも1つのエラストマー及び/又は少なくとも1つの熱可塑性又は熱硬化性成分を含有する、前記第2の層(3)に塗布される、第3の層(4)を更に含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項4】
前記耐腐食性のピグメントが、バリウム・メタボラーテ、リン酸亜鉛、亜鉛、基本鉛シリコクロマーテ、亜鉛テトラオキシクロマーテ、亜鉛クロマーテ、ストロンチウム・クロマーテ、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、リン酸クロムとから選択されることを特徴とする請求項2又は3に記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項5】
前記耐腐食性のピグメントが、接着合成物の全重量に対して重量で5%未満の量で存在することを特徴とする請求項2から4に記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項6】
前記車軸に接着できる前記層(2)がアルミニウムを含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項7】
前記層(2)の前記接着合成物がアクリル接着材とビニール接着材とから選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項8】
前記第2の層(3)の糊状の接着合成物がブチル・マスチックであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項9】
前記第3の層(4)の前記エラストマーが、ポリウレタンとシリコンとラバーとポリイソブチレンとポリブタジエンとから選択されることを特徴とする請求項3から8のいずれか1つに記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項10】
前記第3の層(4)の前記エラストマーがポリウレタンであることを特徴とする請求項3から9のいずれか1つに記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項11】
ポリウレタンが、ラバー粒子又はグラス・ファイバ又はガラス・ビーズから或いはそれらの中から選択された充填材(5)を含んでいることを特徴とする請求項10に記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項12】
前記第3の層(4)が硫酸バリウムを含んでいることを特徴とする請求項3から11のいずれか1つに記載の車軸用の保護膜(1)。
【請求項13】
先行の請求項のいずれか1つに記載の膜(1)を鉄道車両の車軸をコーティングするために使用する使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−316248(P2006−316248A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−36726(P2006−36726)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(506051810)ソシエテ ナシオナル デ シュマン ドゥ フェール フランセ エス エン セー エフ (1)
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE NATIONALE DES CHEMINS DE FER FRANCAIS SNCF
【Fターム(参考)】