説明

車載システム、及びプログラム

【課題】ICカード等からカード情報の読み出しができなくなってしまった場合であっても、有料道路の料金所をスムーズに通過することを可能とする車載システムを提供する。
【解決手段】第一の車載システムは、出口標識を検出し、有料道路の出口に向かう側道と有料道路の本線とが分岐する地点に設けられている出口車線の付近で自車両の走行速度が減速、かつ、有料道路の出口方向のウインカーが点滅中である場合には(S130:Yes)、ICカードにアクセス可能な状態であるか否かをチェックする(S145)。そして、チェック結果に応じて、路側装置との無線通信により走行料金の課金処理を実行するための専用レーンと、係員等に直接走行料金を支払う一般レーンとのいずれかに自車両を誘導する(S155)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を介して料金決済のためのデータ処理を行う車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所に設けられた路側装置と車載装置とが無線通信を行い、カード情報を用いて有料道路の走行料金の課金処理を実行し、有料道路の料金所をノンストップで通過することを可能とするETCシステムが広く普及している。この課金処理に用いられるカード情報は、例えば、車載装置に挿入された接触型ICカード等に記憶されている。車載装置は、この接触型ICカードと認証処理等を行うことにより接触型ICカードへのアクセスが許可され、接触型ICからカード情報を読み出すことが可能となる。しかしながら、走行時の振動等により車載装置と接触型ICカードとの間に接触不良が生じた場合等には接触型ICカードへの電力供給が一時的に途絶えてしまい、接触型ICカードは初期状態に戻ってしまう。このため、接触型ICカードは、車載装置との認証処理等が既に実行されたにもかかわらず、認証処理等が実行されていないと認識してしまう。その結果、車載装置は、接触型ICカードからカード情報を読み出すことができず、車載装置は課金処理を実行できなくなる。
【0003】
特許文献1には、上記問題を解決するための発明が記載されている。特許文献1に記載のETC車載装置は、トリガアンテナからコマンドを受信すると、挿入されている接触型ICカードに対するアクセスの許可状態をチェックする。そして、アクセスが禁止されている場合には、ETC車載装置は、再度、この接触型ICカードとの認証処理等を行う。こうすることにより、ETC車載装置は、接触不良等により挿入されている接触型ICカードへのアクセスが禁止されてしまった場合であっても、トリガアンテナからコマンドを受信することにより接触型ICカードとの認証処理等を再度実行することができる。そして、ETC車載装置は、接触型ICカードへのアクセスが再び許可され、課金処理を実行することが可能となる。
【0004】
ところで、有料道路の料金所には、ETCシステムによる走行料金の課金処理を行うETC専用レーン(以下、専用レーンとも称す)と、例えば、現金や回数券やクレジットカード等を係員等に直接渡すことにより走行料金の支払いを行う一般レーンの二種類が存在する(尚、ETCシステムによる走行料金の課金処理と、現金や回数券やクレジットカード等を係員等に直接渡すことによる走行料金の支払いのいずれにも対応可能な混在レーンも存在するが、ここではETC専用レーンに含むこととする)。このため、ドライバは、料金所を通過する際に、通過すべきレーンを間違えてしまうおそれがある。ここで、特許文献2には、有料道路の料金所を通過する際、自車両を専用レーンに誘導する料金収受システムに関する発明が記載されている。しかしながら、例えば、車載装置から接触型ICカードへのアクセスが許可されていないにもかかわらず、自車両が専用レーンに誘導されてしまうと、車載装置は専用レーンにて課金処理を実行することができず、自車両は料金所で立ち往生してしまう。
【特許文献1】特開2006−309558号公報
【特許文献2】特開平5−12598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば、特許文献1に記載のトリガアンテナを料金所の手前に設けた場合、挿入されている接触型ICカードへのアクセスが禁止されているETC車載装置は、料金所の手前にて接触型ICカードとの認証処理等を実行することが可能となる。このため、ETC車載装置は、料金所の手前で接触型ICカードへのアクセスが許可され、料金所の専用レーンにて課金処理を実行することができ、上記問題を解決することができる。しかしながら、トリガアンテナは必ずしも全ての料金所の手前に設置されている訳ではないため、挿入されている接触型ICカードへのアクセスが禁止されている場合に専用レーンに誘導されてしまうと、ETC車載装置は専用レーンにて課金処理を実行することができず、自車両は料金所で立ち往生してしまう。このような場合には、自車両をETC専用レーンに誘導すべきではない。
【0006】
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、例えば、走行時の振動による接触不良等によりICカードからカード情報の読み出しができなくなってしまった場合であっても、有料道路の料金所をスムーズに通過することを可能とする車載システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の車載システムは、課金先を特定可能な情報である課金先特定情報を、接続されている記憶媒体から読み出す読出手段と、有料道路の料金所に設けられている路側装置と無線通信を行い、読出手段により記憶媒体から読み出された課金先特定情報を用いて有料道路走行時の走行料金の課金処理を実行する課金処理実行手段と、この記憶媒体から課金先特定情報を読み出し可能とする処理である読出可能化処理を実行する読出可能化処理実行手段とを備える。また、この車載システムは、読出可能化処理実行手段により読出可能化処理が実行された後、自車両が有料道路の料金所を通過する手前で、読出手段が記憶媒体から課金先特定情報を読み出し可能か否かを判定する読出し判定処理を実行する判定手段と、判定手段による読出し判定処理の結果に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する際、自車両が走行すべきレーンである推奨レーンを特定する推奨レーン特定手段と、推奨レーン特定手段により特定された推奨レーンの位置を特定し、推奨レーンへ自車両を誘導する誘導手段とを備える。
【0008】
尚、課金先特定情報とは、例えば、カード情報であっても良い。
また、読出可能化処理実行手段は、例えば、記憶媒体が車載システムに接続された際や、自車両の走行が開始される際に、読出可能化処理を実行しても良い。
【0009】
また、判定手段は、例えば、自車両と料金所との距離が所定の距離未満である場合や、自車両が料金所に到達する予想時間が所定の時間未満である場合等に、自車両が料金所を通過する手前であるとみなしても良い。
【0010】
課金処理を行う車載システムは、例えば、記憶媒体が接続された際等に読出可能化処理を実行するが、読出可能化処理が実行された後に車両の振動等により記憶媒体と車載システムとの間に接触不良等が発生し、記憶媒体からの課金先特定情報の読み出しができなくなってしまう場合がある。そして、記憶媒体から課金先特定情報を読み出すことができない状態で自車両がETC専用レーンに進入すると、車載システムは課金処理を実行できないため、自車両は料金所で立ち往生してしまう。そこで、請求項1に記載の車載システムは、読出可能化処理が実行された後、自車両が有料道路の料金所を通過する手前で、記憶媒体から課金先特定情報を読み出すことができるか否かを判定する。このため、この車載システムは、自車両が有料道路の料金所を通過する際に課金先特定情報を読み出し可能か否かを的確に把握し、記憶媒体から課金先特定情報を読み出し可能か否かに応じて一般レーンと専用レーンのいずれかに自車両を誘導することができる。したがって、請求項1に記載の車載システムを用いることにより、例えば、接触不良等により記憶媒体から課金先特定情報の読み出しができなくなってしまった場合であっても、有料道路の料金所をスムーズに通過することが可能となる。
【0011】
また、車載システムは、記憶媒体から課金先特定情報を読み出すことができると判定した場合には、次のようにして誘導を行っても良い。
すなわち、請求項2に記載されているように、推奨レーン特定手段は、判定手段による読出し判定処理における判定結果が肯定判定である場合には、路側装置が設けられている専用レーンを推奨レーンとして特定しても良い。
【0012】
こうすることにより、自車両が有料道路の料金所を通過する際に、自車両を適切なレーンへと誘導することが可能となる。
また、車載システムは、記憶媒体から課金先特定情報を読み出すことができないと判定した場合には、次のようにして誘導を行うと良い。
【0013】
すなわち、請求項3に記載されているように、推奨レーン特定手段は、判定手段による読出し判定処理における判定結果が否定判定である場合には、課金処理を実行することなく現金や回数券やクレジットカード等を係員等に直接渡すことにより走行料金の支払いを行うためのレーンである一般レーンを推奨レーンとして特定しても良い。
【0014】
こうすることにより、自車両が有料道路の料金所を通過する際に、自車両を適切なレーンへと誘導することが可能となる。
また、車載システムは、次のようにして、自車両が通過すべきレーンである推奨レーンの位置を特定しても良い。
【0015】
すなわち、請求項4に記載されているように、車載システムは、自車両周辺の画像を取得する第一の画像取得手段をさらに備え、誘導手段は、第一の画像取得手段により取得された自車両周辺の画像に基づき、推奨レーンの位置を特定しても良い。
【0016】
料金所の一般レーンの位置や専用レーンの位置は工事や保守状況により動的に変更される場合があるが、このような構成を有することにより、レーンの位置が変更された場合であっても、的確に、推奨レーンの位置を特定することが可能となる。
【0017】
また、車載システムは、次のようにして自車両を誘導しても良い。
すなわち、請求項5に記載されているように、誘導手段は、第一の画像取得手段により取得された自車両周辺の画像に基づき、自車両が走行中の道路における自車両の位置を特定し、特定した自車両の位置をさらに加味して推奨レーンへ自車両を誘導しても良い。
【0018】
こうすることにより、ドライバにとってよりわかりやすい誘導を行うことができる。
また、車載システムは、次のようにして、自車両が通過すべきレーンである推奨レーンの位置を特定しても良い。
【0019】
すなわち、請求項6に記載されているように、車載システムは、地図データを取得する第一の地図データ取得手段をさらに備え、誘導手段は、第一の地図データ取得手段により取得された地図データに基づき、推奨レーン特定手段により特定された推奨レーンの位置を特定しても良い。
【0020】
こうすることにより、的確に推奨レーンの位置を特定することが可能となる。
また、車載システムは、次のようにして自車両を誘導しても良い。
すなわち、請求項7に記載されているように、車載システムは、自車両が走行中の道路における自車両の位置を特定する自車両位置特定手段をさらに備え、誘導手段は、自車両位置特定手段により特定された自車両の位置をさらに加味して推奨レーンへ自車両を誘導しても良い。
【0021】
尚、自車両位置特定手段は、例えば、ナビゲーション装置が有するGPS受信器や、ジャイロセンサや、距離センサ等を用いて、自車両が走行中の道路における自車両の位置を特定しても良い。
【0022】
こうすることにより、ドライバにとってよりわかりやすい誘導を行うことができる。
また、車載システムは、次のようにして、自車両が通過すべきレーンである推奨レーンの位置を特定しても良い。
【0023】
すなわち、請求項8に記載されているように、車載システムは、外部から情報を取得する第一の外部情報取得手段をさらに備え、誘導手段は、第一の外部情報取得手段により取得された情報に基づき、レーン特定手段により特定された推奨レーンの位置を特定しても良い。
【0024】
ここで、第一の外部情報取得手段は、例えば、自車両が走行中の道路に埋設されている磁気ネイルセンサ(磁気信号により車両へ情報を送信する装置)からの磁気信号を介して、外部から情報を取得しても良い。また、電波ビーコンや光ビーコン等を介して外部から情報を取得しても良い。また、料金所の手前に、ETCカードの未挿入を検知するための処理を実行するトリガとなるコマンドを送信するお知らせアンテナや予告アンテナが設置されている場合があるが、第一の外部情報取得手段は、これらのアンテナから送信された情報を受信することにより、外部から情報を取得しても良い。
【0025】
こうすることにより、的確に推奨レーンの位置を特定することが可能となる。
また、車載システムは、次のようにして自車両を誘導しても良い。
すなわち、請求項9に記載されているように、誘導手段は、第一の外部情報取得手段により取得された情報に基づき、自車両が走行中の道路における自車両の位置を特定し、特定した自車両の位置をさらに加味して推奨レーンへ自車両を誘導しても良い。
【0026】
こうすることにより、ドライバにとってよりわかりやすい誘導を行うことができる。
また、車載システムは、自車両周辺の画像に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを判定しても良い。
【0027】
すなわち、請求項10に記載されているように、判定手段は、第二の画像取得手段により取得された自車両周辺の画像に基づき、自車両が有料道路の料金所の付近を走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近を走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなしても良い。
【0028】
こうすることにより、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを精度良く判定することができる。
また、請求項11に記載されているように、車載システムは、自車両周辺の画像を取得する第三の画像取得手段と、自車両の状態を特定する状態特定手段とをさらに備えても良い。そして、判定手段は、第三の画像取得手段により取得された自車両周辺の画像と、状態特定手段により特定された自車両の状態とに基づき、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなしても良い。
【0029】
ここで、自車両の状態とは、例えば、自車両の走行速度や舵角等であっても良いし、ウインカーやブレーキの動作状態等であっても良い。
こうすることにより、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを精度良く判定することができる。
【0030】
また、車載システムは、地図データや、自車両の現在地に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを判定しても良い。
すなわち、請求項12に記載されているように、車載システムは、地図データを取得する第二の地図データ取得手段と、第二の地図データ取得手段により取得された地図データにおいて自車両の現在地を特定する第一の現在地特定手段とをさらに備えても良い。そして、判定手段は、第二の地図データ取得手段により取得された地図データにおいて有料道路の料金所の位置を特定し、特定した有料道路の料金所の位置と、第一の現在地特定手段により特定された自車両の現在地とに基づき、自車両が有料道路の料金所の付近を走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近を走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなしても良い。
【0031】
こうすることにより、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを精度良く判定することができる。
また、請求項13に記載されているように、車載システムは、地図データを取得する第三の地図データ取得手段と、第三の地図データ取得手段により取得された地図データにおいて自車両の現在地を特定する第二の現在地特定手段と、第三の地図データ取得手段により取得された地図データにおいて自車両の進路を特定する進路特定手段とをさらに備えても良い。そして、判定手段は、第三の地図データ取得手段により取得された地図データにおいて有料道路の料金所の位置を特定し、特定した有料道路の料金所の位置と、第二の現在地特定手段により特定された自車両の現在地と、進路特定手段により特定された自車両の進路とに基づき、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなしても良い。
【0032】
こうすることにより、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを精度良く判定することができる。
また、車載システムは、外部から取得した情報に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを判定しても良い。
【0033】
すなわち、請求項14に記載されているように、車載システムは、外部から情報を取得する第二の外部情報取得手段をさらに備え、判定手段は、第二の外部情報取得手段により取得された情報に基づき、自車両が有料道路の料金所の付近を走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近を走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなしても良い。
【0034】
ここで、第二の外部情報取得手段は、例えば、自車両が走行中の道路に埋設されている磁気ネイルセンサ(磁気信号により車両へ情報を送信する装置)からの磁気信号を介して、外部から情報を取得しても良い。また、電波ビーコンや光ビーコン等を介して、外部から情報を取得しても良い。また、料金所の手前に、ETCカードの未挿入を検知するための処理を実行するトリガとなるコマンドを送信するお知らせアンテナや予告アンテナが設置されている場合があるが、第二の外部情報取得手段は、これらのアンテナから送信された情報を受信することにより、外部から情報を取得しても良い。
【0035】
こうすることにより、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを精度良く判定することができる。
また、請求項15には、コンピュータに、課金先を特定可能な情報である課金先特定情報を、接続されている記憶媒体から読み出す読出手順と、有料道路の料金所に設けられている路側装置と無線通信を行い、読出手順にて記憶媒体から読み出された課金先特定情報を用いて有料道路走行時の走行料金の課金処理を実行する課金処理実行手順と、記憶媒体から課金先特定情報を読み出し可能とする読出可能化処理実行手順とを実行させることを特徴とするプログラムが記載されている。このプログラムは、さらに、読出可能化処理実行手順が実行された後、自車両が有料道路の料金所を通過する手前で、接続されている記憶媒体から課金先特定情報を読み出し可能か否かを判定する判定手順と、判定手順の結果に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する際、自車両が走行すべきレーンである推奨レーンを特定する推奨レーン特定手順と、推奨レーン特定手順にて特定された推奨レーンの位置を特定し、推奨レーンへ自車両を誘導する誘導手順とを、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0036】
請求項15の記載の様になっていれば、例えば、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータが読みとり可能な記録媒体にプログラムを記録し、そのプログラムを必要に応じてコンピュータにロードして起動することにより車載システムとして機能させることができる。また、プログラムはネットワークを用いて流通させることも可能であるため、車載システムの機能向上も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0038】
[第一実施形態]
まず、第一実施形態について説明する。
[構成の説明]
(1)全体の構成について
図1は、第一の車載システム1の構成を示すブロック図である。第一の車載システム1は、車載装置10と、車載装置10に挿入されているICカード20と、映像処理装置30と、カメラ40とから構成されている。車載装置10と映像処理装置30とは、車内LAN50を介して接続されている。また、映像処理装置30とカメラ40とは、例えば、シリアル通信を介して接続されている。
【0039】
車載装置10とは、有料道路の料金所を通過する際に、料金所のETC専用レーンに設けられている路側装置と無線通信を行い、ICカード20に記憶されているカード情報を読み出し、読み出したカード情報を用いて走行料金の課金処理を実行する装置である。車載装置10は、ICカード20が挿入された際に、このICカード20の初期化を行うと共に、ICカード20の認証処理を行う。この認証処理では、車載装置10とICカード20とは、互いに認証データを送信し、受信した認証データの正当性を確認する。車載装置10とICカード20にて相互に認証データの正当性の確認が成功した場合、認証処理は成功し、車載装置10は、ICカード20からカード情報等を読み出すことが可能となる。車載装置10の詳細については後述する。
【0040】
ICカード20とは、車載装置10による有料道路走行時の課金処理に用いられるカード情報等が記憶されている周知のICカードである。カード情報には、カード情報を特定するカードID、名義人情報、銀行口座情報、及びカード会社情報等の情報が含まれている。
【0041】
映像処理装置30とは、カメラ40により撮影された自車両前方の映像データを、例えば、シリアル通信を介して受信し、受信した映像データに基づき種々の制御を行う装置である。詳細については後述する。
【0042】
カメラ40とは、自車両前方を撮影して映像データを生成し、生成した映像データを、例えば、シリアル通信を介して映像処理装置30に送信する装置である。
(2)車載装置について
次に、車載装置10の構成について説明する。車載装置10は、無線アンテナ11と、DSRC部12と、SAM13と、ICカードI/F14と、制御部15と、HMI16と、記憶部17と、車内LAN通信部18とを備える。
【0043】
無線アンテナ11は、DSRC用のアンテナである。
DSRC部12は、無線アンテナ11を介して、路側装置とDSRCによる情報の送受信を行う部位である。
【0044】
SAM13は、路側装置との通信情報の暗号化・復号化を行う部位である。
ICカードI/F14は、ICカード20と通信を行う部位であり、ICカード20に記憶されている情報の読み出しや、ICカード20に対する情報の送信を行う。また、ICカードI/F14は、ICカード20への電力の供給を行う。尚、本実施形態では、接触型のインターフェースとして構成されているものとするが、非接触型のインターフェースとして構成されていても良い。
【0045】
制御部15は、CPU、ROM、RAM、I/O等から構成され、車載装置10の各部位を統括的に制御する部位である。制御部15は、ROMに記憶されているプログラムに基づき、種々の処理を行う。また、制御部15は、DSRC部12を介して路側装置と無線通信を行い、ICカード20からICカードI/F14を介して読み出したカード情報を用いて走行料金の課金処理を実行する。
【0046】
HMI16は、人間と装置とのコミュニケーションのためのインターフェース(Human Machine Interface)を提供する部位である。具体的には、操作ボタンやLEDやスピーカ等から構成される。
【0047】
記憶部17は、記憶保持動作が不要なデバイス(例えば、フラッシュメモリ)から構成され、各種の情報を記憶することができる。
車内LAN通信部18は、車内LAN50を介して接続された映像処理装置30等の機器との通信を行う部位である。
(3)映像処理装置について
次に、映像処理装置30の構成について説明する。映像処理装置30は、HMI31と、記憶部32と、制御部33と、車内LAN通信部34と、映像入力I/F35とを備える。
【0048】
HMI31は、人間と装置とのコミュニケーションのためのインターフェース(Human Machine Interface)を提供する部位である。具体的には、操作ボタンやLEDやスピーカ等から構成される。
【0049】
記憶部32は、記憶保持動作が不要なデバイス(例えば、フラッシュメモリ)から構成され、各種の情報を記憶することができる。
制御部33は、CPU、ROM、RAM、I/O等から構成され、映像処理装置30の各部位を統括的に制御する部位である。制御部33は、ROMに記憶されているプログラムに基づき、種々の処理を行う。
【0050】
車内LAN通信部34は、車内LAN50を介して接続された車載装置10との通信を行う部位である。また、映像処理装置30は、図示しない車速センサ等の装置とも車内LAN50を介して接続されており、車内LAN通信部34は、これらの装置から、例えば、自車両の走行速度を示す情報や、自車両のウインカーの状態を示す情報等を受信する。
【0051】
映像入力I/F35は、カメラ40から、例えば、シリアル通信を介して自車両前方の映像データを受信するための部位である。
[動作の説明]
次に、第一の車載システム1の動作について説明する。
(1)第一の自車両誘導処理について
まず、自車両が有料道路の出口料金所を通過する際に、路側装置との無線通信により課金処理を実行するための専用レーンと、係員等に対して直接走行料金の支払いを行うための一般レーンのうちのいずれかに自車両を誘導する処理である第一の自車両誘導処理について、図4に記載のフローチャートを用いて説明する。この処理は、自車両が専用レーンを通過して有料道路の走行を開始した際に開始される。また、図5には、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像の例である第一の自車両前方映像〜第三の自車両前方映像が記載されている。図5に記載の自車両前方映像を適宜参照しながら、第一の自車両誘導処理についての説明を行う。
【0052】
S105では、第一の車載システム1を構成する映像処理装置30の制御部33は、有料道路の出口を示す出口標識を探索するモードである出口標識探索モードに遷移する。出口標識探索モードでは、制御部33は、映像入力I/F35を介してカメラ40から受信した自車両前方の映像データを用いて、自車両前方の出口標識を探索する。そして、例えば、図5に記載の第一の自車両前方映像のように、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像に出口標識が映っている場合には、制御部33は、自車両前方に設けられている出口標識を検知し(S110:Yes)、S115に処理を移行する。一方、自車両前方に設けられている出口標識を検知していない場合(S110:No)、制御部33は、S110に再度移行し、出口標識探索モードを継続する。
【0053】
S115では、制御部33は、有料道路の出口に向かう側道と、有料道路の本線との分岐点に設けられている車線である出口車線を探索するモードである出口車線探索モードに遷移する。出口車線探索モードでは、制御部33は、カメラ40から受信した自車両前方の映像データを用いて、出口車線を探索する。そして、例えば、図5に記載の第二の自車両前方映像のように、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像に出口車線が映っている場合には、制御部33は、自車両前方における出口車線を検知し(S120:Yes)、S130に処理を移行する。一方、自車両前方における出口車線を検知していない場合(S120:No)、制御部33は、S125に処理を移行する。
【0054】
S125では、制御部33は、出口車線探索モードに遷移した後、一定時間経過したか否か(例えば5分経過)、及び、一定距離走行したか否かを判定する。出口車線探索モードに遷移した後に上記条件のうちの少なくとも一方が成立した場合には(S125:Yes)、制御部33は、S105に処理を移行する。出口車線探索モードに遷移した後に上記条件が共に成立していない場合には(S125:No)、制御部33は、S120に再度移行し、出口車線探索モードを継続する。
【0055】
自車両前方における出口車線を検知した場合に移行するS130では、制御部33は、車内LAN通信部34を介して受信した情報に基づき、自車両の走行速度とウインカーの状態とを特定する。そして、例えば、自車両の速度が20km/h以上減速し、なおかつ、有料道路の出口方向のウインカーが点滅中である場合等には(S130:Yes)、制御部33は、車内LAN通信部34を介して車載装置10に対し、挿入されているICカード20へのアクセスが可能か否かをチェックする処理であるカード状態チェック処理の実行を指示する(S140)。例えば、自車両の速度が20km/h以上減速していない場合や、有料道路の出口方向のウインカーが点滅中でない場合等には(S130:No)、制御部33は、S135に処理を移行する。
【0056】
S135では、制御部33は、出口車線を検知した後、一定時間経過したか否か(例えば3分経過)、及び、一定距離走行したか否かを判定する。出口車線を検知した後に上記条件のうちの少なくとも一方が成立した場合(S135:Yes)、制御部33は、S105に処理を移行する。出口車線を検知した後に上記条件が共に成立していない場合(S135:No)、制御部33は、再度、S130に処理を移行する。
【0057】
映像処理装置30から車内LAN50を介してカード状態チェック処理の実行する旨の指示を受け付けた車載装置10では、制御部15は、挿入されているICカード20へのアクセスが可能か否かをチェックする処理であるカード状態チェック処理を実行する(S145)。そして、カード状態チェック処理の実行終了後、制御部15は、カード状態チェック処理の実行結果を、車内LAN通信部18を介して映像処理装置30に送信する(S150)。
【0058】
車載装置10から車内LAN50を介してカード状態チェック処理の実行結果を受信した映像処理装置30では、制御部33は、ICカード20へのアクセスが可能か否かに応じて、自車両を、料金所の一般レーンと専用レーンのいずれかへ誘導する処理であるレーン誘導処理を実行する(S155)。レーン誘導処理の実行後、制御部33は、第一の自車両誘導処理を終了する。
(2)カード状態チェック処理について
次に、映像処理装置30からの指示により車載装置10にて実行される処理であるカード状態チェック処理について、図6に記載のフローチャートを用いて説明する。このカード状態チェック処理とは、車載装置10に挿入されているICカード20からカード情報を読み出すことができるか否かをチェックする処理である。
【0059】
S205では、車載装置10の制御部15は、ICカードI/F14を介して、挿入されているICカード20からカード情報(例えば、カードID等)や、ICカード20のETC利用履歴等を読み出し、カード情報等の読み出しに成功したか否かを判定する(S210)。カード情報等の読み出しに成功した場合(S210:Yes)、制御部15は、S230に処理を移行する。カード情報等の読み出しに失敗した場合(S210:No)、制御部15は、接触不良等によりICカード20からカード情報の読み出しができなくなってしまったと判断し、S215に処理を移行する。
【0060】
S215では、制御部15は、ICカードI/F14を介して挿入されているICカード20の初期化と、このICカード20との認証処理を実行する。認証処理では、制御部15は、ICカードI/F14を介して認証データをICカード20に送信すると共に、ICカード20からICカードI/F14を介して認証情報を受信し、この認証情報の正当性を確認する。一方、認証データを受信したICカード20は、受信した認証データの正当性を確認し、確認結果を車載装置10に送信する。そして、制御部15は、S220に処理を移行する。
【0061】
S220では、制御部15は、S215の処理で確認した結果に基づき、ICカード20との認証処理が成功したか否かを判定する。具体的には、制御部15とICカード20との双方で認証データの正当性を確認できた場合、ICカード20との認証処理に成功したとみなす。ICカード20との認証処理に成功した場合(S220:Yes)、制御部15は、S230に処理を移行する。ICカード20との認証処理に失敗した場合(S220:No)、制御部15は、S225に処理を移行する。
【0062】
S225では、制御部15は、ICカード20へのアクセスが不可能であると判定し、カード状態チェック処理を終了する。
カード情報等の読み出しに成功した場合や、ICカード20との認証処理に成功した場合に移行する処理であるS230では、制御部15は、ICカード20へのアクセスが可能であると判定し、カード状態チェック処理を終了する。
【0063】
そして、制御部15は、S150に処理を移行し、S145の処理結果に基づき、実行結果を映像処理装置30に送信する。
(3)レーン誘導処理について
次に、映像処理装置30にて実行されるレーン誘導処理について、図7に記載のフローチャートを用いて説明する。この処理は、第一の自車両誘導処理からコールされるサブルーチンであり、ICカード20へのアクセスが可能か否かに応じて、自車両を、料金所の一般レーンと専用レーンのいずれかへ誘導する処理である。また、図5には、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像の例である第一の自車両前方映像〜第三の自車両前方映像が記載されている。図5に記載の自車両前方映像を適宜参照しながら、レーン誘導処理についての説明を行う。
【0064】
S305では、第一の車載システム1を構成する映像処理装置30の制御部33は、有料道路の出口に設けられている料金所を探索するモードである料金所探索モードに遷移する。料金所探索モードでは、制御部33は、映像入力I/F35を介してカメラ40から受信した自車両前方の映像データに基づき、料金所を探索する。そして、例えば、図5に記載の第三の自車両前方映像のように、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像に料金所が映っている場合には、制御部33は、料金所を検知し(S310:Yes)、S315に処理を移行する。一方、料金所を検知していない場合(S310:No)、制御部33は、S310に再度移行し、料金所探索モードを継続する。
【0065】
S315では、制御部33は、料金所のレーンの構成を特定する。具体的には、例えば、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像に、図5に記載の第三の自車両前方映像が映っている場合であれば、制御部33は、料金所に向かって右から順に、専用レーン,一般レーン,一般レーンといった具合に料金所のレーンの構成を特定する。そして、S320に処理を移行する。
【0066】
S320では、制御部33は、映像入力I/F35を介してカメラ40から受信した自車両前方の映像データに基づき、自車両が走行中のレーンを特定する。具体的には、例えば、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像に、図5に記載の第三の自車両前方映像が映っている場合であれば、制御部33は、自車両前方の映像における車線の位置に基づき、自車両は料金所に向かって左端のレーンを走行中であると認識する。そして、S325に処理を移行する。
【0067】
S325では、制御部33は、第一の自車両誘導処理におけるS150にて車載装置10から受信したカード状態チェック処理の実行結果に基づき、車載装置10にて、挿入されているICカード20へのアクセスが可能か判定する。ICカード20へのアクセスが可能である場合(S325:Yes)、制御部33はS330に処理を移行する。ICカード20へのアクセスが可能ではない場合(S325:No)、制御部33はS335に処理を移行する。
【0068】
S330では、制御部33は、自車両が通過すべきレーンである推奨レーンとして専用レーンを特定し、HMI31(具体的にはスピーカ等)を介して、音声により自車両を専用レーンに誘導する。具体的には、例えば、図5に記載の第三の自車両前方映像が示すように、料金所に向かって右から順に、専用レーン,一般レーン,一般レーンといった具合に料金所のレーンが構成されており、自車両が料金所に向かって左端の一般レーンを走行中である場合であれば、制御部33は、右端の専用レーンを走行する旨を音声にて報知する。また、例えば、自車両が料金所に向かって右端の専用レーンを走行中である場合であれば、走行中の専用レーンを直進する旨を音声にて報知する。そして、制御部33は、レーン誘導処理を終了する。
【0069】
車載装置10にてICカード20へのアクセスが可能ではないと判定された場合に移行するS335では、制御部33は、自車両が通過すべきレーンである推奨レーンとして一般レーンを特定し、HMI31(具体的にはスピーカ等)を介して、音声により自車両を一般レーンに誘導する。具体的には、例えば、図5に記載の第三の自車両前方映像が示すように、料金所に向かって右から順に、専用レーン,一般レーン,一般レーンといった具合に料金所のレーンが構成されており、自車両は料金所に向かって左端の一般レーンを走行中である場合であれば、制御部33は、走行中の一般レーンを直進する旨を音声にて報知する。また、例えば、自車両が料金所に向かって右端の専用レーンを走行中である場合であれば、左端、または中央の一般レーンを走行する旨を音声にて報知する。そして、レーン誘導処理を終了する。
【0070】
[効果]
第一実施形態の第一の車載システム1では、車載装置10にICカード20が接続された際にICカード20の初期化と認証処理とが実行され、車載装置10は、ICカード20からカード情報等を読み出すことが可能となる。しかし、認証処理等が実行された後に、振動等によりICカード20と車載システムとの間に接触不良等が発生すると、車載装置10は、ICカード20へのアクセスができなくなってしまう。そして、ICカード20へのアクセスができない場合に自車両がETC専用レーンに進入すると、車載装置10は課金処理を実行できないため、自車両は料金所で立ち往生してしまう。そこで、第一の車載システム1では、自車両が有料道路の料金所を通過する手前で、車載装置10に接続されているICカード20へのアクセスが可能か否かをチェックする処理であるカード状態チェック処理を実行する(S145)。そして、第一の車載システム1は、ICカード20へのアクセスが可能である場合には(S325:Yes)、自車両を専用レーンへ誘導する(S330)。また、ICカード20へのアクセスが可能ではない場合には(S325:No)、自車両を一般レーンへ誘導する(S335)。したがって、第一の車載システム1を用いることにより、例えば、接触不良等によりICカード20へのアクセスができなくなってしまった場合であっても、有料道路の料金所をスムーズに通過することが可能となる。
【0071】
また、第一の車載システム1は、次のようにして自車両が有料道路の料金所を通過する手前か否かを判定している。第一の車載システム1は、カメラ40にて撮影された映像に基づき、自車両前方の出口標識の探索や、有料道路の出口に向かう側道と有料道路の本線との分岐点に設けられている車線である出口車線の探索を行う。そして、出口標識及び出口車線を検知し、さらに、出口車線の付近で例えば自車両の速度が20km/h以上減速し、なおかつ、有料道路の出口方向のウインカーが点滅中である場合等(S130:Yes)には、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行しているとみなし、自車両は有料道路の料金所を通過する手前であると判定する。そして、カード状態チェック処理の実行を実行する(S145)。したがって、自車両は有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを精度良く判定することができる。
【0072】
また、自車両を一般レーンまたは専用レーンに誘導する際には、第一の車載システム1は、カメラ40にて撮影された自車両前方の映像に基づき、自車両が通過する料金所のレーンの構成を特定する(S315)。したがって、料金所のレーンの構成が変更された場合であっても、的確に自車両が走行すべきレーンを特定することができる。そして、第一の車載システム1は、さらに、自車両が走行中のレーンを特定し(S320)、特定した料金所のレーンの構成や、自車両が走行中のレーンに基づき、自車両を一般レーン、または専用レーンへと誘導する(S330,S335)。したがって、ドライバにとってわかりやすい誘導を行うことができる。
【0073】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
[構成の説明]
(1)全体の構成について
図8は、第二の車載システム5の構成を示すブロック図である。第二の車載システム5は、車載装置10と、車載装置10に挿入されているICカード20と、ナビゲーション装置60とから構成されている。車載装置10とナビゲーション装置60とは、車内LAN50を介して接続されている。尚、車載装置10と、車載装置10に挿入されているICカード20とについては、第一実施形態における第一の車載システム1を構成する車載装置10及びICカード20と同様の構成を有しているため、説明を省略する。
(2)ナビゲーション装置について
次に、第二の車載システム5を構成するナビゲーション装置60の構成について説明する。図9は、ナビゲーション装置60の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置60は、操作部61、表示部62、音声出力部63、記憶部64、地図データ入力器65、外部通信機66、制御部67、位置検出器68、及び車内LAN通信部69から構成されている。
【0074】
操作部61は、ユーザからの各種指示を受け付ける部位であり、具体的にはメカニカルなキースイッチや、タッチスイッチ等から構成される。
表示部62は、各種表示を行う部位であり、具体的にはLCDや有機EL等から構成される。
【0075】
音声出力部63は、制御部67から入力された信号に基づき音声を出力する部位である。
記憶部64は、記憶保持動作が不要なデバイス(例えば、HDD)から構成され、各種情報を記憶することができる。
【0076】
地図データ入力器65は、経路案内等を行う際に使用する地図データや、所定の施設を検索する際に用いる施設検索情報等の各種データを入力するための装置である。これらのデータの記憶媒体としては、そのデータ量が膨大であるため、DVD−ROM等を用いるのが一般的である。尚、地図データ入力器65を介して入力される地図データに基づき、有料道路の各料金所において、路側装置との無線通信により課金処理を実行するための専用レーンの位置と、係員等に対して直接走行料金の支払いを行うための一般レーンの位置とを特定することが可能である。
【0077】
外部通信機66は、例えば、道路に埋設された磁気ネイルセンサ(磁気信号により車両へ情報を送信する装置)からの磁気信号等を介して、有料道路の料金所の専用レーンの位置と一般レーンの位置とを示す情報や、自車両が走行中のレーンを示す情報等を取得する部位である。尚、例えば、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介して上記情報を取得する部位であっても良い。また、料金所の手前に、ETCカードの未挿入を検知するための処理を実行するトリガとなるコマンドを送信するお知らせアンテナや予告アンテナが設置されている場合があるが、外部通信機66は、これらのアンテナから送信された上記情報を受信する部位であっても良い。
【0078】
制御部67は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部67は、ROMに記憶されているプログラムに従いナビゲーション装置60の各部位を制御する部位である。
【0079】
位置検出器68は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を、図示しないGPSアンテナを介して受信して車両の位置、方位、速度等を検出するGPS受信器68aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロセンサ68bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出する距離センサ68cとを備えている。そして、これらは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。
【0080】
車内LAN通信部69は、車内LAN50を介して種々の情報の送受信を行う部位である。
[動作の説明]
(1)第二の自車両誘導処理について
自車両が有料道路の出口料金所を通過する際に、路側装置との無線通信により課金処理を実行するための専用レーンと、係員等に対して直接走行料金の支払いを行うための一般レーンのうちのいずれかに自車両を誘導する処理である第二の自車両誘導処理について、図10に記載のフローチャートを用いて説明する。この処理は、第二の車載システム5を構成するナビゲーション装置60による経路案内処理の開始と共に開始される。
【0081】
S405では、第二の車載システム5を構成するナビゲーション装置60の制御部67は、経路案内に係る経路を自車両の進路として特定し、自車両の進路や自車両の現在地等に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを判定する。具体的には、制御部67は、自車両の進路と、地図データ入力器65にて取得した地図データと、位置検出器68にて特定した自車両の現在地とに基づき、自車両の現在地と、自車両の進路上に存在する料金所との距離を特定し、この距離が例えば50m以内である場合、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定し、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなす。自車両が有料道路の料金所を通過する手前である場合(S405:Yes)、制御部67は、S410に処理を移行する。上記距離が例えば50m以内でない場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前ではないと判定し(S405:No)、制御部67は、再度、S405に処理を移行する。
【0082】
S410では、制御部67は、車内LAN通信部69を介して車載装置10に対し、挿入されているICカード20へのアクセスができるか否かをチェックする処理であるカード状態チェック処理の実行を指示する。そして、この指示を受け付けた車載装置10は、第一実施形態と同様のカード状態チェック処理の実行を実行する。そして、制御部67は、車内LAN通信部69を介して車載装置10からカード状態チェック処理の実行結果を受信すると(S415)、S420に処理を移行する。
【0083】
S420では、制御部67は、地図データ入力器65を介して取得した地図データに基づき、次に通過する料金所の専用レーンの位置と、一般レーンの位置とを特定する。また、制御部67は、位置検出器68を介して自車両の現在地を特定し、特定した自車両の現在地と地図データとに基づき、自車両が走行中のレーンを特定する。そして、S425に処理を移行する。
【0084】
S425では、制御部67は、S415にて車載装置10から受信したカード状態チェック処理の実行結果に基づき、車載装置10にて、挿入されているICカード20へのアクセスが可能か判定する。ICカード20へのアクセスが可能である場合(S425:Yes)、制御部67は、S430に処理を移行する。ICカード20へのアクセスが可能ではない場合(S425:No)、制御部67は、S435に処理を移行する。
【0085】
S430では、制御部67は、自車両が通過すべきレーンである推奨レーンとして専用レーンを特定し、S420にて特定した専用レーンの位置と、自車両が走行中のレーンとに基づき、表示部62及び音声出力部63を介して専用レーンの位置や、自車両と専用レーンとの位置関係を報知する等して、自車両を専用レーンに誘導する。そして、第二の自車両誘導処理を終了する。
【0086】
車載装置10にてICカード20へのアクセスが可能ではないと判定された場合に移行するS435では、制御部67は、自車両が通過すべきレーンである推奨レーンとして一般レーンを特定し、S420にて特定した一般レーンの位置と、自車両が走行中のレーンとに基づき、表示部62及び音声出力部63を介して一般レーンの位置や、自車両と一般レーンとの位置関係を報知する等して、自車両を一般レーンに誘導する。そして、第二の自車両誘導処理を終了する。
【0087】
[効果]
第二実施形態の第二の車載システム5では、第一実施形態における第一の車載システム1と同様に、自車両が有料道路の料金所を通過する手前で、車載装置10に接続されているICカード20へのアクセスが可能か否かをチェックする処理であるカード状態チェック処理を実行する。そして、第二の車載システム5は、ICカード20へのアクセスが可能である場合には(S425:Yes)、自車両を専用レーンへ誘導する(S430)。また、ICカード20へのアクセスが可能ではない場合には(S425:No)、自車両を一般レーンへ誘導する(S435)。したがって、第二の車載システム5を用いることにより、例えば、接触不良等によりICカード20へのアクセスができなくなってしまった場合であっても、有料道路の料金所をスムーズに通過することが可能となる。
【0088】
また、第二の車載システム5は、次のようにして自車両が有料道路の料金所を通過する手前か否かを判定している。第二の車載システム5は、自車両の現在地と自車両の進路上に存在する料金所との距離が例えば50m以内である場合、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定し、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなす(S405:Yes)。したがって、自車両が有料道路の料金所を通過する手前か否かを精度良く判定することができる。
【0089】
また、自車両を一般レーンまたは専用レーンに誘導する際には、第二の車載システム5は、地図データに基づき自車両が通過する料金所の専用レーンの位置や、一般レーンの位置を特定すると共に、自車両の現在地や地図データ等に基づき自車両が走行中のレーンを特定する(S420)。したがって、的確に専用レーンの位置、及び一般レーンの位置を特定することができる。そして、特定した専用レーン及び一般レーンの位置や、自車両が走行中のレーンに基づき、自車両を一般レーン、または専用レーンへと誘導する(S430,S435)。したがって、ドライバにとってわかりやすい誘導を行うことができる。
【0090】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。
[構成の説明]
第三実施形態では、第二実施形態における第二の車載システム5を用いて処理が行われる。第二の車載システム5については、第二実施形態にて既に説明したので、説明を省略する。
【0091】
[動作の説明]
(1)第三の自車両誘導処理について
自車両が有料道路の出口料金所を通過する際に、路側装置との無線通信により課金処理を実行するための専用レーンと、係員等に対して直接走行料金の支払いを行うための一般レーンのうちのいずれかに自車両を誘導する処理である第三の自車両誘導処理について説明する。第三の自車両誘導処理は、自車両の走行開始と共に開始される。尚、第三の自車両誘導処理は、第二実施形態における第二の自車両誘導処理と類似しているため、第二実施形態の説明にて用いた図10に記載のフローチャートを用いて、第二の自車両誘導処理との相違点についてのみ説明する。
【0092】
第二実施形態における第二の自車両誘導処理のS405では、第二の車載システム5を構成するナビゲーション装置60の制御部67は、経路案内に係る経路を自車両の進路として特定し、自車両の進路や自車両の現在地等に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを判定する。
【0093】
一方、第三実施形態における第三の自車両誘導処理では、S405では、第二の車載システム5を構成するナビゲーション装置60の制御部67は、外部通信機66が磁気ネイルセンサ等からの磁気信号等を介して取得した情報に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを判定する。具体的には、制御部67は、外部通信機66を介して前方に有料道路の料金所が存在する旨の情報取得した場合、自車両が料金所の付近を走行中であると判定し、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなす。自車両が有料道路の料金所を通過する手前である場合(S405:Yes)、制御部67は、S410に処理を移行する。また、制御部67は、外部通信機66を介して上記情報を取得していない場合、自車両は料金所を通過する手前ではないと判定し(S405:No)、再度、S405に処理を移行する。尚、制御部67は、外部通信機66が路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介して取得した情報や、料金所の手前に設置されたお知らせアンテナや予告アンテナから受信した情報に基づき、自車両が有料道路の料金所の手前を走行中であるか否かを判定しても良い。
【0094】
また、第二実施形態における第二の自車両誘導処理のS420では、制御部67は、地図データ入力器65を介して取得した地図データに基づき、次に通過する料金所の専用レーンの位置と、一般レーンの位置とを特定する。また、制御部67は、位置検出器68を介して自車両の現在地を特定し、特定した自車両の現在地と地図データとに基づき、自車両が走行中のレーンを特定する。そして、S425に処理を移行する。
【0095】
一方、第三実施形態における第三の自車両誘導処理では、S420では、制御部67は、外部通信機66が磁気ネイルセンサ等からの磁気信号等を介して取得した情報に基づき、次に通過する料金所の専用レーンの位置と、一般レーンの位置とを特定する。また、制御部67は、外部通信機66が磁気ネイルセンサ等からの磁気信号等を介して取得した情報に基づき、自車両が走行中のレーンを特定する。そして、S425に処理を移行する。尚、制御部67は、外部通信機66が路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介して取得した情報や、料金所の手前に設置されたお知らせアンテナや予告アンテナから受信した情報に基づき、料金所の専用レーンの位置や、一般レーンの位置や、自車両が走行中のレーンを特定しても良い。
【0096】
[効果]
第三実施形態における第二の車載システム5では、磁気ネイルセンサからの磁気信号等を介して取得した情報に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否か判定する。そして、前方に有料道路の料金所が存在する旨の情報取得した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなす(S405:Yes)。したがって、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるか否かを精度良く判定することができる。
【0097】
また、第二の車載システム5では、磁気ネイルセンサからの磁気信号等を介して取得した情報に基づき自車両が通過する料金所の専用レーンの位置や、一般レーンの位置や、自車両が走行中のレーンを特定する(S420)。したがって、的確に専用レーンの位置、及び一般レーンの位置を特定することができる。そして、特定した専用レーン及び一般レーンの位置や、自車両が走行中のレーンに基づき、自車両を一般レーン、または専用レーンへと誘導する(S430,S435)。したがって、ドライバにとってわかりやすい誘導を行うことができる。
【0098】
[他の実施形態]
(1)第一実施形態における第一の車載システム1では、カメラ40を介して出口標識及び出口車線を検知し、さらに、出口車線の付近で自車両の速度が例えば20km/h以上減速し、なおかつ、有料道路の出口方向のウインカーが点滅中である場合等には、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であると判定し、カード状態チェック処理を実行している。しかし、カメラ40を介して料金所の存在を示す標識(例えば料金所へ向かう手前のETCレーン案内標識でもよい)を検知した場合に、自車両が有料道路の料金所の付近を走行しているとみなし、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であると判定してカード状態チェック処理を実行しても良い。こうすることにより、処理負荷を低減させつつ、料金所を通過する手前でカード状態チェック処理を実行することができる。
【0099】
(2)第二実施形態における第二の車載システム5では、ナビゲーション装置60は、自車両の現在地が自車両の進路上に存在する料金所の例えば手前50m以内である場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であると判定し、車載装置10に対して、カード状態チェック処理を実行する。しかし、ナビゲーション装置60は、自車両の現在地と、地図データ上の料金所との距離が所定の距離未満である場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であると判定してカード状態チェック処理を実行しても良い。こうすることにより、処理負荷を低減させつつ、料金所を通過する手前でカード状態チェック処理を実行することができる。
【0100】
(3)第二実施形態における第二の車載システム5では、ナビゲーション装置60は、自車両の現在地が自車両の進路上に存在する料金所の例えば手前50m以内である場合、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定している。しかし、ナビゲーション装置60は、例えば、自車両が、進路上に存在する料金所に到達するまでの予想時間が所定の時間未満である場合等に、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定しても良い。このような構成を有する場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0101】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0102】
車載装置10の制御部15が、課金処理実行手段に相当し、ICカードI/F14及び制御部15が、読出手段、読出可能化処理実行手段、及び、判定手段に相当する。また、車載装置10にICカード20が接続された際に行われるICカード20の初期化、及び、ICカード20に対する認証処理が、読出可能化処理に相当する。また、カード状態チェック処理のS210及びS220が、読出し判定処理に相当する。
【0103】
また、ICカード20が、記憶媒体に相当し、ICカード20に記憶されているカード情報が、課金先特定情報に相当する。
また、映像処理装置30の制御部33が、推奨レーン特定手段に相当し、HMI31及び制御部33が、誘導手段に相当し、車内LAN通信部34が、状態特定手段に相当する。また、車内LAN通信部34を介して取得される車速やウインカーの状態が、自車両の状態に相当する。
【0104】
また、カメラ40が、第一の画像取得手段、第二の画像取得手段、及び、第三の画像取得手段に相当し、カメラ40により撮影された自車両前方の映像が、自車両周辺の画像に相当する。
【0105】
また、ナビゲーション装置60の地図データ入力器65が、第一の地図データ取得手段、第二の地図データ取得手段、及び第三の地図データ取得手段に相当し、外部通信機66が、第一の外部情報取得手段、及び第二の外部情報取得手段に相当する。また、制御部67が、推奨レーン特定手段、及び進路特定手段に相当し、位置検出器68が、第一の現在地特定手段、及び第二の現在地特定手段に相当する。また、表示部62、音声出力部63、及び制御部67が、誘導手段に相当する。また、位置検出器68と、地図データ入力器65を介して取得された地図データとが、自車両位置特定手段に相当する。
【0106】
また、第一実施形態におけるレーン誘導処理のS320にて特定される自車両が走行中のレーンが、請求項5における自車両の位置に相当する。
また、第二実施形態における第二の自車両誘導処理のS420にて特定される自車両が走行中のレーンが、請求項7における自車両の位置に相当する。
【0107】
また、第三実施形態における第三の自車両誘導処理のS420にて特定される自車両が走行中のレーンが、請求項9における自車両の位置に相当する。
また、車載装置10にICカード20が接続された際に行われるICカード20の初期化、及び、ICカード20に対する認証処理が、読出可能化処理実行手順に相当し、カード状態チェック処理におけるS210及びS220が、判定手順に相当する。また、レーン誘導処理におけるS325が、推奨レーン特定手順に相当する。また、第二の自車両誘導処理、及び第三の自車両誘導処理におけるS425が、推奨レーン特定手順に相当する。また、レーン誘導処理におけるS330及びS335が、誘導手順に相当する。また、第二の自車両誘導処理、及び第三の自車両誘導処理におけるS430、S435が、誘導手順に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第一の車載システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】車載装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】映像処理装置30の構成を示すブロック図である。
【図4】第一の自車両誘導処理について説明するためのフローチャートである。
【図5】カメラ40にて撮影された自車両前方の映像の例である。
【図6】カード状態チェック処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】レーン誘導処理について説明するためのフローチャートである。
【図8】第二の車載システム5の構成を示すブロック図である。
【図9】ナビゲーション装置60の構成を示すブロック図である。
【図10】第二の自車両誘導処理について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1…第一の車載システム、5…第二の車載システム、10…車載装置、11…無線アンテナ、12…DSRC部、13…SAM、14…ICカードI/F、15…制御部、16…HMI、17…記憶部、18…車内LAN通信部、20…ICカード、30…映像処理装置、31…HMI、32…記憶部、33…制御部、34…車内LAN通信部、35…映像入力I/F、40…カメラ、50…車内LAN、60…ナビゲーション装置、61…操作部、62…表示部、63…音声出力部、64…記憶部、65…地図データ入力器、66…外部通信機、67…制御部、68…位置検出器、68a…GPS受信器、68b…ジャイロセンサ、68c…距離センサ、69…車内LAN通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
課金先を特定可能な情報である課金先特定情報を、接続されている記憶媒体から読み出す読出手段と、
有料道路の料金所に設けられている路側装置と無線通信を行い、前記読出手段により前記記憶媒体から読み出された前記課金先特定情報を用いて有料道路走行時の走行料金の課金処理を実行する課金処理実行手段と、
前記記憶媒体から前記課金先特定情報を読み出し可能とする処理である読出可能化処理を実行する読出可能化処理実行手段と、
前記読出可能化処理実行手段により前記読出可能化処理が実行された後、自車両が有料道路の料金所を通過する手前で、前記読出手段が前記記憶媒体から前記課金先特定情報を読み出し可能か否かを判定する読出し判定処理を実行する判定手段と、
前記判定手段による前記読出し判定処理の結果に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する際、自車両が走行すべきレーンである推奨レーンを特定する推奨レーン特定手段と、
前記推奨レーン特定手段により特定された前記推奨レーンの位置を特定し、前記推奨レーンへ自車両を誘導する誘導手段と、
を備えることを特徴とする車載システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載システムにおいて、
前記推奨レーン特定手段は、前記判定手段による前記読出し判定処理における判定結果が肯定判定である場合には、前記路側装置が設けられている専用レーンを前記推奨レーンとして特定すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車載システムにおいて、
前記推奨レーン特定手段は、前記判定手段による前記読出し判定処理における判定結果が否定判定である場合には、前記課金処理を実行することなく走行料金の支払いを行うためのレーンである一般レーンを前記推奨レーンとして特定すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、自車両周辺の画像を取得する第一の画像取得手段をさらに備え、
前記誘導手段は、前記第一の画像取得手段により取得された前記自車両周辺の画像に基づき、前記推奨レーンの位置を特定すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車載システムにおいて、
前記誘導手段は、前記第一の画像取得手段により取得された前記自車両周辺の画像に基づき、自車両が走行中の道路における自車両の位置を特定し、特定した前記自車両の位置をさらに加味して前記推奨レーンへ自車両を誘導すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、地図データを取得する第一の地図データ取得手段をさらに備え、
前記誘導手段は、前記第一の地図データ取得手段により取得された前記地図データに基づき、前記推奨レーン特定手段により特定された前記推奨レーンの位置を特定すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項7】
請求項6に記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、自車両が走行中の道路における自車両の位置を特定する自車両位置特定手段をさらに備え、
前記誘導手段は、前記自車両位置特定手段により特定された前記自車両の位置をさらに加味して前記推奨レーンへ自車両を誘導すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、外部から情報を取得する第一の外部情報取得手段をさらに備え、
前記誘導手段は、前記第一の外部情報取得手段により取得された情報に基づき、前記レーン特定手段により特定された前記推奨レーンの位置を特定すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項9】
請求項8に記載の車載システムにおいて、
前記誘導手段は、前記第一の外部情報取得手段により取得された情報に基づき、自車両が走行中の道路における自車両の位置を特定し、特定した前記自車両の位置をさらに加味して前記推奨レーンへ自車両を誘導すること、
を特徴とする車載システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、自車両周辺の画像を取得する第二の画像取得手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記第二の画像取得手段により取得された前記自車両周辺の画像に基づき、自車両が有料道路の料金所の付近を走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近を走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなすこと、
を特徴とする車載システム。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、
自車両周辺の画像を取得する第三の画像取得手段と、
自車両の状態を特定する状態特定手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記第三の画像取得手段により取得された前記自車両周辺の画像と、前記状態特定手段により特定された前記自車両の状態とに基づき、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなすこと、
を特徴とする車載システム。
【請求項12】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、
地図データを取得する第二の地図データ取得手段と、
前記第二の地図データ取得手段により取得された前記地図データにおいて自車両の現在地を特定する第一の現在地特定手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記第二の地図データ取得手段により取得された前記地図データにおいて有料道路の料金所の位置を特定し、特定した有料道路の料金所の位置と、前記第一の現在地特定手段により特定された前記自車両の現在地とに基づき、自車両が有料道路の料金所の付近を走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近を走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなすこと、
を特徴とする車載システム。
【請求項13】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、
地図データを取得する第三の地図データ取得手段と、
前記第三の地図データ取得手段により取得された前記地図データにおいて自車両の現在地を特定する第二の現在地特定手段と、
前記第三の地図データ取得手段により取得された前記地図データにおいて自車両の進路を特定する進路特定手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記第三の地図データ取得手段により取得された前記地図データにおいて有料道路の料金所の位置を特定し、特定した有料道路の料金所の位置と、前記第二の現在地特定手段により特定された前記自車両の現在地と、前記進路特定手段により特定された前記自車両の進路とに基づき、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近をこの料金所に向かって走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなすこと、
を特徴とする車載システム。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の車載システムにおいて、
前記車載システムは、外部から情報を取得する第二の外部情報取得手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記第二の外部情報取得手段により取得された情報に基づき、自車両が有料道路の料金所の付近を走行しているか否かを判定し、自車両が有料道路の料金所の付近を走行していると判定した場合、自車両が有料道路の料金所を通過する手前であるとみなすこと、
を特徴とする車載システム。
【請求項15】
コンピュータに、課金先を特定可能な情報である課金先特定情報を、接続されている記憶媒体から読み出す読出手順と、
有料道路の料金所に設けられている路側装置と無線通信を行い、前記読出手順にて前記記憶媒体から読み出された前記課金先特定情報を用いて有料道路走行時の走行料金の課金処理を実行する課金処理実行手順と、
前記記憶媒体から前記課金先特定情報を読み出し可能とする読出可能化処理実行手順と、
前記読出可能化処理実行手順が実行された後、自車両が有料道路の料金所を通過する手前で、接続されている前記記憶媒体から前記課金先特定情報を読み出し可能か否かを判定する判定手順と、
前記判定手順の結果に基づき、自車両が有料道路の料金所を通過する際、自車両が走行すべきレーンである推奨レーンを特定する推奨レーン特定手順と、
前記推奨レーン特定手順にて特定された前記推奨レーンの位置を特定し、前記推奨レーンへ自車両を誘導する誘導手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−258899(P2009−258899A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105762(P2008−105762)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】