説明

車載型自動車事故自動動画撮影録画記録装置及びその記録方法

【課題】小型車載カメラとして取付車両による衝突事故の直前より、衝突直後までの状況を人為的な介在を受ける事無く動画映像として撮影録画記録し、外部電子装置にて衝突事故の直前より衝突、衝突直後までの状況を動画映像として再現する事を可能としたものである。
【解決手段】振動センサーにより車両使用の有無を判断し動画撮影の終始を制御する。動画映像の録画記録には電子記憶素子(メモリー)を第一、第二、第三記憶素子と三系統に分けて使用する。衝突事故発生時には衝突音を音響センサーにより感知し、時計により衝突音発生時を録画記録の基点時間とし、その基点時間より前後に設定された時間分の動画映像情報を一次記憶している第一及び第二記憶素子から第三記憶素子に複写記録保存する。保存されている動画映像情報を接続端子より外部電子装置に移行して外部電子装置にて取付車両の運転者と同等の視点からの衝突事故を動画映像で再現する事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は車載型自動車事故自動動画撮影記録装置及びその記録方法にかんするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の動画映像撮影用車載カメラの技術は、一般に小型ビデオカメラを用いて室内に取り付け動画撮影するのが一般的であった。これらのビデオカメラ方式であると必ずしも小型と言えず取付位置も限られ、場合によっては運転者からの視界及び自動車の操作性の妨げに成る恐れがあり、室内の居住性にまで犠牲をしいられてしまい運転者及び同乗者の快適性が失われる事に成りやすい。ビデオカメラ方式は取付車両より動力源である電源の供給を受ける事は可能であっても作動電圧の違いにより電圧調整機等の取付及び配線作業が必要になってしまう。さらに記憶媒体としてのビデオテープには容量に伴う撮影時間の制限があり長時間撮影にいたっては途中かならずビデオテープの交換作業も必要である。撮影のスイッチON、OFFは人為的に行わなければ成らず完全自動とは程遠いものである。このビデオカメラ方式ではこれら二点の操作上の行為に大きく人為的な介在を受けるため必ずしも衝突事故の真実を着実に動画映像として記録できないことも考えられる点が大きな問題点である。
【0003】
ビデオカメラ方法とは別に自動車自体に搭載されているコンピューターを利用して航空機のフライトレコーダーのように数値データにより衝突までの運転操作を記録する記録装置も研究されているが、この方法だと既存の車両への取付は不能であり人間が直感的に把握できる動く映像ではなく自動車の動きを数値化したものである。衝突時の様子を把握するために高度なデータ解析が必要になってしまい専門の高度な解析機関、設備による長時間による解析作業を要し、解析費用が高騰してしまう。解析対象車の動きのみが数値的に表されるため衝突までの環境変化及び衝突対象の物質的な判別は不能である。さらに最大の弱点であるのは、解析内容を表現するのは動画映像でなく、アクセル、ブレーキ、ハンドル等の人為的操作による変化を数値変化で捕え、それらを表した数値及び数値グラフ等による数値的表現物であり専門家以外が直感的に解析事実を判断しずらい方式である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
自動車衝突事故の真実を明らかにするには、人間だれしもが判断できる動く映像での再現が一番効果的であり、自動車衝突事故の真実を解明するには効果絶大である。動画映像を車載カメラにより記録するには取付車両が運行中は常に動画撮影している必要があり、小型軽量、電源確保ができ、記憶媒体は恒久的に使用でき、人為的介入なしで動画映像を自動録画記録でき、運転者の前方視界、運転操作性を損なわず衝突事故の直前より衝突、衝突直後までの連続する動画映像を自動で記録保存でき、記録保存された動画映像情報を一般的な外部電子装置(パーソナルコンピューター)などに移行する事により動画映像として自動車衝突事故を再現するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、運転者からの前方視界の妨げにならない望ましい位置として前面ガラス内側に貼付してある車検有効表示の周囲が望ましい。この位置は室内後方ミラーと前面ガラスとの隙間でもあり、運転者から前方視界に悪影響を及ぼす事無く撮影された動画映像視野も不自然さを与えない位置である。前面ガラスの汚れも車両のワイパーブレードが汚れをふき取る範囲内である事により雨や雪等の悪天候でも動画撮影に要する前方視界が確保される位置でもある。
一体型の筐体である利点を生かし前方視界への悪影響も無く取付位置の選択度も高くなり、筐体縁面に接着剤の貼付による前面ガラスへの固定のため高度な技術及び工具を不要としたものである。
【0006】
自動車の前面ガラスは大きく後方傾斜及び左右に湾曲ており、その傾斜角度及び湾曲度は車種により多種多様であるため、撮影用カメラのレンズは前面ガラスの傾斜角度と湾曲度に対応した最良な前方視野を確保できるように上下左右可動調整できる事を特徴とするものである。
【0007】
自動車の前面ガラスは昼間は太陽光が効果的に受光出来る部位でもあり、太陽光発電池(ソーラーバッテリー)に最適である。筐体内に組付けた太陽光発電池による電力を確保しつつ充電するものである。太陽光発電池だけでは悪天候及び夜間は発電量不足であるため、携帯電話等に幅広く利用されている小型軽量長寿命な充電池(リチュウムイオンバッテリー)等の高性能充電池を筐体内に組付け、併用する事で昼夜天候を問わず使用できる事を特徴とするものである。
【0008】
車両運行に伴う動画撮影の流れは、エンジン始動に始まり道路走行中及び赤信号等による一時停車中は動画撮影の必要があり、駐車等による車両運行終了で動画撮影を終了にする方法が必要である。これらの動画撮影の要否判断を自動的に行う方法としては、自動車はエンジンを始動したり、走行すると発生する振動を利用する。どんな自動車であってもエンジン始動中はエンジンからの振動、走行中は路面からの振動が車体に伝わり、さらに車体より前面ガラスに伝わる事になる。これらの振動は微細であるも組付けた振動センサーが前面ガラス内側に接する事で自動車前面ガラスに伝わる微振動を感知する事により取付車両がエンジン始動中及び道路走行中と認識し動画撮影は開始になる。車両使用完了では、走行停止及びエンジン停止による駐車状態となり、エンジン及び走行による振動がなくなり動画撮影は終了にする事が可能になり動画撮影は完全自動化出来る事を特徴とするものである。
【0009】
動画映像の記憶媒体として電子機器で広く利用されている電子記憶素子(メモリー)は、ビデオカメラ方式と比べ電力消費の多い電動モーターは不要のため電力消費も少なくでき、且つ回転部が存在しない事により車両走行中に発生する上下振動及び前後左右への重力加速度の変化に対しても影響されず、さらに記憶と消去を繰り返し使用してもビデオテープの様に映像劣化を起こさず動画映像の録画記憶が出来る事を特徴とするものである。
【0010】
動画映像の録画記録に用いる電子記憶素子(メモリー)は一系統だけではなく三系統とし、動画撮影中の動画映像信号は第一記憶素子に一次記憶されるも、その第一記憶素子の記憶容量が規定量に達した時点で第二記憶素子に引き継がれて動画映像情報を記憶する。第一記憶素子に一次記憶されている未衝突動画映像は不要でり、第二記憶素子から再び引き継がれた時点で新たな動画映像情報は上書き記憶により第一記憶素子内の未衝突動画映像情報は消去される。
また第二記憶素子も同様に一次記憶と消去が繰り返される。
上記サイクルより電子記憶素子は交換、補給を不要とし恒久的に使用できる事を特徴とするものである。
【0011】
本発明の本題である衝突直前より衝突、衝突直後の動画映像のみを記録するには第一記憶素子、第二記憶素子とさらに第三の記憶素子、音響センサー及び時計を用いる事とで解決する。仮に第一記憶素子に動画映像情報を一次記憶中に衝突事故が発生した場合、衝突によって発生する衝突音は室内まで伝わるため組付けた音響センサーが衝突音を感知し、その感知された衝突事故発生時間を同じく組付た時計により録画記録の基点時間とし、その基点時間より前後任意に設定された時間分の動画映像情報を第一記憶素子から第三の記憶素子に複写記憶保存するものである。
尚、任意の動画撮影時間は衝突音を感知した基点時間より衝突前後各10〜20秒間づつは必要と思われ、一つの衝突事故による衝突直前より衝突、衝突直後の動画映像としては記録合計時間は50秒前後で衝突事故状況の把握は可能と思われる。
第三記憶素子に記憶された衝突事故の動画映像情報は消去はされず蓄積保存する事とし、この第三記憶素子に記憶保存されている衝突事故の動画映像情報は接続端子に外部電子装置(パーソナルコンピューター)を接続する事により電子情報を移行する事が出来る。
電子情報を移行された外部電子装置により衝突事故の真実を動画映像により視覚的に再現出来る事を特徴とするものである。
【0012】
【実施例】
以下、添付図画を参照しつつ本発明の詳細を説明する。
【0013】
図1は、車載型自動車事故自動動画撮影記録装置の車両取付傾斜図である。箱型形状した筐体1であり、正面には太陽光発電地(ソーラーバッテリー)6、振動センサー5及び撮影用カメラレンズ4を組付けてある。裏面には音響センサー5が組付けてある箱形状であり、前面ガラスに固定するために正面の四辺には接着剤塗布用の縁面2を設けており縁面を嵩上げ3する事により箱形状の筐体1に組付けた太陽光発電地(ソーラーバッテリー)6及び撮影用カメラレンズ4は前面ガラスに直接接触しない様にしてある。
【0014】
図2は、車載型自動車事故自動動画撮影記録装置の前面ガラス7への取り付け状態の縦断面図であり、カメラレンズ10は取付対象である前面ガラス7の傾斜角度、湾曲に応じて最良な撮影角度を得るために角度調整式としている。振動センサー12の感知部は前面ガラスに接する事により車体の振動を感知する事が出来る取付位置である。裏面に向けて取付けられた音響センサー11によって衝突時に発生する衝突音を感知する事が出来る。
【0015】
図3は、車載型自動車事故自動動画撮影記録装置の前面ガラスへの取り付け状態の縦断面図であり、太陽光発電地(ソーラーバッテリー)16は前面ガラス13に直接接触しない様に隙間を設けてある。太陽光発電地と筐体との空間に充電式電池17、電子記憶素子18、接続端子19を組み付けてある。
【0016】
図4は、車載型自動車事故自動動画撮影記録装置の電子情報伝達の系統図である。車両運行開始による前面ガラス20の微細振動を振動センサー21により感知して撮影開始となる。カメラレンズ22にて撮影された動画映像情報と時計26よりの時間情報を第一電子記憶素子23に送り一次記憶される。これらの一次記憶は第一記憶素子23の記憶許容量に達すると第二記憶素子24に引き継がれ一次記憶は継続される。第二記憶素子24が記憶許容量に達すると再度第一記憶素子23に引き継がれ新しい動画映像情報と時間情報が上書きによる一次記憶が繰り返されると同時に前回分の未衝突動画映像の一次情報は消去される。衝突事故により発生した衝突音を音響センサー25が感知し、衝突発生時間を基点とし、時計26による設定時間分の動画映像情報を第三記憶素子27に複写保存する。第三記憶素子に保存されている衝突事故の動画映像情報を接続端子28より外部電子装置(パーソナルコンピューター)に移行する事が出来る。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0018】
車両の前面ガラス室内側に取付けるため雨天等による水濡れ、砂、小石等の飛来物による損傷の心配なく、悪意のある第3者による蛮行等の予防にもなる取付位置である。前面ガラス室内側への取付は止め具等を持ち要らずとも接着剤の塗布で取付が可能であるため取付に高度な技術及び工具を必要としない。
運転者よりの前方視界も確保され運転操作の邪魔にならず同乗他者の居住性を損なう事もない。
【0019】
太陽光発電池(ソーラーバッテリー)の発電機能と充電池による蓄電機能の併用により取付車両からの電力供給が不要となり複雑な配線作業までも不要とした。省電力にて作動できる電子記憶素子(メモリー)を記憶媒体とする事にて、ビデオテープ方式に伴う交換作業を廃し、恒久的に使用できる事を可能としたものである。
【0020】
振動センサー、音響センサー、時計の併用により取付車両の運行開始による動画映像撮影開始から運行終了による動画映像撮影終了までの自動化、さらには衝突事故発生時には衝突直前より衝突、衝突直後までの動画映像を電子記憶情報として記録保存する事まで全て人為的介入を排除した完全自動化としたものである。
【0021】
不幸にして、自動車相互間の交通事故で、当事者双方の主張が大きく食違っており確実な目撃者、物証もなく混沌として解決の糸口さえ見つけられない交通事故が現実に多数存在しており、警察の捜査さえ難航し事故の真実を見出せない交通事故が多数あるのが実態である。さらに衝突事故当事者双方二人の内一人が死亡でもしたならなおさらである。この様な交通戦争真只中の今日、日本国中の道路に交通事故監視カメラを設置することは否現実的である。本発明は個々の自動車に取付が容易であり人為的介入により改ざんされる事なく自動車衝突事故の真実を動画撮影録画記録し、誰でもが理解しやすい動画映像にて再現される交通事故の原因究明を目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】車載型自動車事故自動動画撮影録画記録装置の取付傾斜図である。
【図2】車載型自動車事故自動動画撮影録画記録装置の実施例を示す取付縦断面図である。
【図3】車載型自動車事故自動動画撮影録画記録装置の実施例を示す取付縦断面図である。
【図4】車載型自動車事故自動動画撮影録画記録方法の実施例を示す電子情報系統図である。
【符号の説明】
1、8、14   筐体
2        接着面
3        嵩上げ
4、10、22  カメラレンズ
5、12、21  振動センサー
6、16     太陽光発電地
7、13、20  前面ガラス
9、15     接着剤
11、25    音響センサー
17       充電式電池
18       電子記憶素子
19、28    接続端子
23       第一記憶素子
24       第二記憶素子
25       時計
27       第三記憶素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、今までに無い斬新な発想で自動車による衝突事故の瞬間を動画映像で録画記録する発明である。単一の筐体内に撮影用カメラ、電源としての太陽光発電池(ソーラーバッテリー)及び充電式電池、記憶媒体としての電子記憶素子(メモリー)、撮影の開始及び終了を制御するための振動センサー、衝突事故である事を感知するために音響センサー、録画記録時間を制御するために時計を組合せ、単一の筐体に組付けた一体型である。自動車前面ガラスの室内側に取付ける事により小型車載カメラとして取付車両による衝突事故の直前より衝突、衝突直後までの状況を動画映像で録画記録するものであり、録画記録された動画映像情報を一般的な外部電子装置(パーソナルコンピューター)に移行する事により外部電子装置にて衝突事故の直前より衝突、衝突直後までの状況を動画映像で再現する事を可能としたものである。
【請求項2】
請求項1において、使用する動画映像の記憶用媒体としては、記憶と消去が繰り返し使用可能であり、繰り返し使用しても画像の劣化もなく恒久的に使用できる事を特徴とした電子記憶素子(メモリー)を使用するものである。
電子記憶素子は三系統とし、動画映像の記憶情報は第一記憶素子と第二記憶素子との間で相互に一次記憶と消去が繰り返されるも、衝突事故の直前より衝突、衝突直後までの動画映像情報を記憶保存するのは第三記憶素子である。この第三記憶素子に記憶保存された衝突事故の動画映像情報は接続端子より外部電子装置(パーソナルコンピューター)に移行する事が可能としたものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2004−75033(P2004−75033A)
【公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−276249(P2002−276249)
【出願日】平成14年8月17日(2002.8.17)
【出願人】(501424938)
【Fターム(参考)】