説明

車載用電子機器

【課題】 ユーザが所望する情報を複数の表示部の中から選択された適切な表示部に表示させることができる「車載用電子機器」を提供する。
【解決手段】 メイン表示部3、左表示部4、右表示部5および上表示部6を備えた車載用電子機器1は、車両の状態を検出する状態検出手段と、状態検出手段に基づき上記複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部に対し所望のデータを表示させる表示制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能などを含む車載用電子機器に関し、特に、複数の表示部を備えた車載用電子機器の表示制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチメディア化の発展などに伴い、車載用電子機器には、ナビゲーション機能やオーディオ・ビデオ機能などの複合的な機能が搭載されつつある。こうした車載用電子機器には、液晶などのディスプレイが取り付けられ、ディスプレイ上には、ナビゲーションによる道路地図が表示されたり、DVDやテレビによる映像が表示されるようになっている。
【0003】
図8(a)は、2DINタイプの電子機器のユニット本体800に取り付けられたディスプレイ802を示している。このディスプレイ802は、ユニット本体802の前面とほぼ同じサイズに制限されている。図8(b)は、インダッシュタイプのユニット本体810に取り付けられたディスプレイ812を示している。ディスプレイ812は、ユニット本体810内に収容可能であり、使用するときにユニット本体810から取り出されるようになっている。従って、ディスプレイ812は、ユニット本体810に収納可能な大きさに制限されている。
【0004】
ディスプレイの表示領域が制限されることに関し、従来からいくつかの問題が指摘されている。すなわち、ディスプレイの表示領域が、1DINまたは2DINサイズに制限されてしまうと、より多くの情報をユーザに表示することが難しくなる。あるいは、ディスプレイに複数のデータソース、例えば、ナビゲーションによる経路案内とDVDの再生映像とを同時に表示することができない等の問題がある。
【0005】
特許文献1ないし5は、こうした問題に対処すべく発明を提案している。特許文献1は、車載用ディスプレイシステムに関し、2つの表示部をコンパクトに格納し、かつ、表示時には、格納された表示部を展開し、2つの表示部に同時に異なる情報または同一の情報を表示させるものである。例えば、テレビ放送表示とナビゲーション表示、車両の現在位置表示と目的地表示、あるいは詳細図表示と拡大図表示などをそれぞれ同時に表示することを可能にする。さらに、2つの表示部を連結させた状態で地図表示を可能にする。
【0006】
特許文献2は、ナビゲーション装置の地図情報を効率良く表示させるために表示手段を回転させるものである。例えば、表示手段が横長の表示画面で、車両が縦方向に進行するような場合には、進行方向の経路を十分に表示させることができない。表示手段を回転させることにより、進行方向の情報をできるだけ多く表示させるようにしている。
【0007】
特許文献3は、矩形の画面を有するモニタを有するナビゲーション装置において、画面に表示される進行先またはスクロール先側の距離が常に長くなるようにモニタを回転させるものである。
【0008】
特許文献4は、車載用電子機器に関し、機器本体の前面に開閉可能に取り付けられた第1の表示パネルと、第1の表示パネルの側面に引き出し可能に収納された第2の表示パネルとを備えている。第1、第2の表示パネルにより表示部の表示面積を拡大し、2系統の情報をそれぞれ別に表示することを可能にするものである。
【0009】
特許文献5は、記録媒体の挿入排出口を正面に設けたユニット本体と、このユニット本体の前面に装備したディスプレイ部とを有する車載用電子機器において、ディスプレイ部をユニット本体の左右側面の少なくとも一方の側面方向へ引き出し可能に構成する。ディスプレイ部が引き出されたとき、ユニット本体の前面の記録媒体の挿入排出口が出現され、記録媒体の挿入、排出が可能となり、他方、ディスプレイ部の引き出しの構成により、車両のシフトノブ等の車両操作系にディスプレイ部が当るような危険な状態が発生しないようにするものである。
【0010】
【特許文献1】特開平9−280873号
【特許文献2】特開平10−246643号
【特許文献3】特開2002−310678号
【特許文献4】特開2003−345263号
【特許文献5】特開2004−114718号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1ないし5には、複数の表示部または複数のパネルに異なる系統からのデータソースを表示させたり、ナビゲーションの進行方向が常に長くなるように表示部を回転させたり、複数の表示パネルの収納および展開方法についての開示がなされている。しかしながら、これらの文献には、複数の表示部への表示が、どのような条件にて行われるのかということについて何ら開示されていない。このような条件、すなわち、ユーザが必要とする情報を推測し、この情報を複数の表示部のどの表示部にいつ表示させるのかということは、ユーザにとっての利便性、安全性、嗜好性の点から重要なことである。
【0012】
そこで本発明は、ユーザが所望する情報を複数の表示部の中から選択された適切な表示部に表示させることができる、車載用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る複数の表示部を備えた車載用電子機器は、表示部に表示可能な複数のデータを含むデータソースと、状態を検出する状態検出手段と、状態検出手段の検出結果に基づき複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部に対しデータソースから選択されたデータを表示させる表示制御手段とを有するものである。好ましくは、状態検出手段は、車両の走行状態として、車両のウインカー情報、ハンドル操作情報、ブレーキ情報、車速情報等を検出する。そして表示制御手段は、検出された情報に基づき複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部に所望のデータを表示させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車載用電子機器によれば、状態検出手段の検出結果基づき、複数の表示部の中から少なくとも一つの表示部を選択し、選択された表示部にデータソースから選択されたデータを表示させるようにしたので、ユーザにとって必要な情報を適切な表示部へ表示することができる。これにより、利便性、安全性、嗜好性の高い車載用電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施例の車載用電子機器について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本実施例の車載用電子機器の概略構成を示す図である。車載用電子機器1は、例えば2DINサイズのユニット本体2と、ユニット本体2の前面に取り付けられるメイン表示部3と、メイン表示部3の両側面からスライド式に展開可能な左表示部4、右表示部5と、メイン表示部3の上面から垂直方向にスライド式に展開可能な上表示部6とを備えている。
【0017】
ユニット本体2は、直方体状の筐体であり、その内部に、ナビゲーション機能、オーディオ・ビデオ機能、テレビ受信機能、ラジオ受信機能などを実行するための電子回路等を収納している。ユニット本体2の前部2aには、メイン表示部3が取り付けられるとともに、3つのサブ表示部、すなわち、左表示部4、右表示部5および上表示部6を収納するためのスペースが設けられている。
【0018】
左表示部4が使用されるとき、左表示部4はメイン表示部3の左側面からX1方向に移動され、不使用時には、メイン表示部3の裏側のスペースに収納される。右表示部5は、使用時にメイン表示部3の右側面からX2方向に移動され、不使用時にはメイン表示部3の裏側に収納される。上表示部6は、使用時にメイン表示部3の上面からY方向に移動され、不使用時にはメイン表示部3の裏側に収納される。左表示部4、右表示部5、および上表示部6は、公知のギアとモータとを組み合わせた移動機構を用いてそれぞれ独立させて移動させることができる。
【0019】
3つのサブ表示部4、5、6は、メイン表示部3よりも幾分小さな表示領域または表示サイズを有し、これにより、メイン表示部3の裏側に収納される。そして、サブ表示部4、5、6が展開されたとき、4つの表示部3、4、5、6により大きな表示領域を形成することができる。
【0020】
図2は、車載用電子機器の電気的な構成を示すブロック図である。車載用電子機器1は、ナビゲーション部10、オーディオ・ビデオ再生部20、テレビ・ラジオ受信部30、撮像データ入力部40、操作入力部50、記憶装置60、モータ駆動部70、音声出力部80、表示制御部90、状態検出部100および各部を制御する中央処理装置110とを備えている。
【0021】
ナビゲーション部10は、GPS衛星や自立航法用センサを用いて自車位置を検出し、自車位置から目的地までの経路を探索する機能を有する。オーディオ・ビデオ再生部20は、CD、DVD、ミニディスク等の記録媒体に記録されたデータ、あるいは、記憶装置60に記憶されたデータを再生する機能を有する。テレビ・ラジオ受信部30は、選局された放送局からのテレビ信号またはラジオ信号を受信する機能を有する。撮像データ入力部40は、車両の周辺、例えば前方、側方および後方に取り付けられた撮像カメラからの撮像データを受け取る。また、車内の後部座席を撮像することも可能である。入力された撮像データは、中央処理装置110へ出力され、あるいは記憶装置60に記憶される。
【0022】
操作入力部50は、ユーザからの指示や命令を受け取る。入力は、キー操作、リモコン操作、音声入力、表示部へのタッチなどにより行うことができる。
【0023】
記憶装置60は、好ましくは大容量の記憶容量を有するハードディスクが用いられる。記憶装置60は、ナビゲーション部10で必要とされる地図データ、オーディオ・ビデオ再生部20で再生されるオーディオ・ビデオデータ、前述したように撮像データなどを記憶することができる。これ以外にも、表示部において表示可能な多くのデータを記憶している。
【0024】
モータ駆動部70は、図1で示したサブ表示部である、左、右、上表示部4、5、6をモータにより移動させる。モータ駆動部70は、中央処理装置110の制御により、それぞれの表示部4、5、6を収納位置から展開位置へ、または展開位置から収納位置へ移動させる。音声出力部80は、ナビゲーション部10の音声案内、オーディオ・ビデオ再生部20の音声信号、テレビ・ラジオ受信部30の音声信号を受け取り、これをスピーカ82から出力させる。
【0025】
表示制御部90は、メイン表示部3と、左、右、上表示部4、5、6の表示を制御する。特に、サブ表示部4、5、6の表示制御は、状態検出部100の検出結果の応じて行われる。状態検出部100は、車両の状態を検出する。車両の状態として、例えば、右左折の合図であるウインカーの情報、ブレーキのオン・オフを示すブレーキ情報、ギアが前進または後進が選択されたことを示すギヤ情報、ハンドルの操舵角に関するハンドル情報、車速情報、車内の座席のシートベルトのオン・オフを示すシートベルト情報、車内の空間の音の有無を示す音情報などを検出する。
【0026】
次に、本実施例の車載用電子機器における表示部の表示動作について説明する。中央処理装置110は、外的状態と内的状態の2つの状態に応じて表示部の表示制御を行う。ここで外的状態とは、車載用電子機器の外部の状態、すなわち、状態検出部100から得られる車両の状態であり、内的状態とは、車載用電子機器に搭載されている電子機器の各部の使用状態である。中央処理装置110は、外的または内的状態に基づき、ユーザが必要とする情報を推測し、その推測された情報を複数の表示部の中の適切な表示部に表示させる。
【0027】
図3は、中央処理装置110による表示制御の動作フローを示す図である。車載用電子機器の使用の開始に伴い、始めに中央処理装置110は、ユーザがどのデータソースの使用を選択しているのかを判別する(ステップS101)。ここでのデータソースとは、表示部に表示可能なデータであって、図2における、ナビゲーション部10、オーディオ・ビデオ再生部20、テレビ・ラジオ受信部30、撮像データ入力部40および記憶装置60のデータを包含する。
【0028】
ユーザが選択したデータソースが判別されると、判別されたデータソース、例えばナビゲーション部10であれば、自車位置周辺を含む道路地図がメイン表示部3に表示される(ステップS102)。中央処理装置110は、内的状態または外的状態を監視し(ステップS103)、その状態変化に応じてサブ表示部4、5、6に表示すべきデータがあるか否かを判定する(ステップS104)。
【0029】
もし、サブ表示部4、5、6のいずれかの表示部にデータを表示すべきと判定したとき、中央処理装置110は、モータ駆動部70を制御し、選択された表示部を収納位置から展開位置へ移動させる(ステップS105)。次に、中央処理装置110は、表示制御部90を制御し、展開された表示部に対してデータソースから選択されたデータを表示させる(ステップS106)。
【0030】
次に、上述したサブ表示部に表示すべきデータがあるか否かの判定動作(ステップS105)、およびサブ表示部への表示データ(ステップS106)について説明する。中央処理装置110は、図4に示すような外的状態または内的状態が発生したとき、サブ表示部4、5、6のいずれかの表示部を選択し、そこにデータを表示させる。
【0031】
図4(a)は、外的状態に応じて選択される表示部と、そこに表示されるデータとの関係を示している。なお、メイン表示部3には、ナビゲーション部10による自車位置周辺の道路地図が表示されているものとする。
【0032】
中央処理装置110は、図4(a)に示すように、状態検出部100からのハンドル操作角情報に基づき車両が右折または左折すると判定したとき、その曲がる方向のサブ表示部を選択し、そこに道路地図データを表示させる。例えば、左折すると判定したとき、中央処理装置110は、左表示部4を選択し、左表示部4を収納位置から展開位置へ移動させる。但し、左表示部4がすでに展開位置にあるときはその必要はない。表示制御部90は、メイン表示部3に表示されている道路地図に加えて、その延長方向にある道路地図を左表示部4に表示させ、あたかも道路地図が拡張されたような表示制御を行う。
【0033】
状態検出部100が、ガソリン量が一定以下となる情報を検出したとき、中央処理装置110は、記憶装置60から所定の警告情報を読出し、表示制御部90を介していずれかのサブ表示部4、5、6にその警告を表示させる。同時に、音声による警告を発してもよい。
【0034】
状態検出部100が、シートベルト未着用の情報を検出したとき、中央処理装置110は、記憶装置60から所定の警告情報を読出し、表示制御部90を介してずれかのサブ表示部4、5、6にその警告を表示させる。
【0035】
状態検出部100が、ブレーキがオンされた情報を検出したとき、中央処理装置110は、撮像データ入力部40の撮像データからリア画像を選択し、表示制御部90を介していずれかのサブ表示部4、5、6にリア画像を表示させる。これによりユーザは、後続車両との車間距離等を認識することができる。
【0036】
状態検出部100が、リアシートに着座されたこと示す情報を音センサの出力に基づき検出したとき、中央処理装置110は、撮像データ入力部40の撮像データからリアシート画像を選択し、表示制御部90を介していずれかのサブ表示部4、5、6にリアシート画像を表示させる。これにより運転者は、リアシートの様子を把握することができる。
【0037】
状態検出部100がウインカーの点灯を示す情報を検出したとき、中央処理装置110は、その情報から車両の曲がる方向を判定し、その曲がる方向のサブ表示部を選択し、その方向の画像を表示させる。すなわち、中央処理装置110は、モータ駆動部70を介して曲がる方向の表示部を展開位置に移動させ、撮像データ入力部40の撮像データから曲がる方向の撮像データを選択し、これを選択された表示部に表示させる。これにより、ユーザは、死角になり易いような範囲を画像にてチェックすることができる。
【0038】
状態検出部100が一定の車速を示す情報を検出したとき、中央処理装置110は上表示部6と、左右表示部4、5のいずれかを選択し、上表示部6に車両の前方方向の撮像データを表示させ、かつ、左右表示部4、5のいずれかに記憶装置60から取得した警告情報を表示させる。これにより、一定の速度以上で走行するとき、前方車両との車間距離等を認識し、安全運転を心がけることができる。
【0039】
図4(b)は、内的状態に応じて選択される表示部と、そこに表示されるデータとの関係を示している。なお、図4(b)における「N」はナビゲーション部10の使用状態、「A」はオーディオ・ビデオ部20の使用状態、「T」はテレビ・ラジオ受信部30の使用状態、「S」は撮像データ入力部40の使用状態を意味する。また、メイン表示部3には、ナビゲーション部10による自車位置周辺の道路地図が表示されているものとする。
【0040】
中央処理装置110は、ナビゲーション部10の動作中、自車の進行方向がヘッディングアップ(HU)でメイン表示部3に表示されている場合、自直が直進方向に進行すれば、上表示部6が選択され、そこにメイン表示部3からはみ出した部分の道路地図が表示される。交差点等で、右左折するときには、右左折する方向のサブ表示部4、5が選択され、同様にメイン表示部からはみ出した進行方向の道路地図が表示される。ノースアップ(NU)によりで自車の進行方向がメイン表示部3に表示されている場合には、その進行方向のサブ表示部4、5、6が選択され、そこにメイン表示部3からはみ出された道路地図が表示される。これらの進行方向の追加表示は、誘導経路案内時および非誘導経路案内時のいずれであってもよい。
【0041】
自車が交差点付近に接近したとき、中央処理装置110は、いずれかのサブ表示部4、5、6に交差点案内の拡大図を表示させる。また、自車が車線変更した場合(これは道路の車線情報と自車位置の変更から検出可)、中央処理装置110は、撮像データ入力部40からリア画像を選択し、これをいずれかのサブ表示部4、5、6に表示させる。これにより、ユーザは後続車両との車間距離等を認識することができる。
【0042】
ナビゲーション部10が、VICSや他の道路交通センタなどから、渋滞や事故などの道路交通情報を入手したとき、中央処理装置110は、その道路交通情報をいずれかのサブ表示部に表示させる。メイン表示部3にも同様の道路、交通情報が表示されるが、サブ表示部にも表示させることで運転者以外にも情報が伝達され易くする。
【0043】
オーディオ・ビデオ部20、テレビ・ラジオ受信部30または記憶装置60のいずれかのデータに基づき、映像表示の動作が開始されるとき、中央処理装置110は、運転席以外の方向のサブ表示部に映像を表示させる。例えば、運転席が右ハンドルであれば、左表示部4に映像が表示される。映像再生またはテレビ表示の動作は、ユーザが操作入力部50を介して入力することができる。
【0044】
オーディオ・ビデオ部20、テレビ・ラジオ受信部30または記憶装置60のいずれかのデータに基づき、音声出力の動作が開始されるとき、中央処理装置110は、運転席以外の方向のサブ表示部に音楽に関する情報を表示させる。音楽情報は、例えば、歌詞、アルバム名、曲名などである。
【0045】
ユーザが操作入力部50を介して撮像データの表示を入力した場合、中央処理装置110は、助手席側のサブ表示部に撮像画像を表示させる。もし、ユーザが車両の前方の撮像画像を指示すれば、前方の撮像画像が表示される。
【0046】
さらに、オーディオ・ビデオ部20がゲーム等のアミューズメント機能を有している場合には、運転者以外の方向のサブ表示部、例えば助手席側のサブ表示部にゲームを表示させるようにする。
【0047】
さらに上記例では、メイン表示部3にナビゲーション表示を行っている状態を説明したが、これ以外の態様であってもよい。例えば、メイン表示部3に映像が表示されているとき、図4(a)に示すようにウインカーの点灯があれば、その曲がる方向のサブ表示部に撮像画像を表示させてもよい。
【0048】
さらに、いずれかのサブ表示部が選択されるときの基準として、例えば、各座席の着座情報を利用することができる。着座情報は、シートベルトの装着の有無や音センサから得ることができる。例えば、助手席が着座されている場合には、優先的に左表示部4(右ハンドル車のとき)が選択されるようにする。また、後部席が着座されていて助手席が着座されていない場合には、優先的に上表示部6が選択されるようにしてもよい。
【0049】
次に、本実施例におけるサブ表示部の移動機構について説明する。図5は、車載用電子機器における左右の表示部4、5の移動機構を説明する図である。図5(a)は、車載用電子機器の斜視図であり、左表示部4と上表示部6が展開された状態を示し、右表示部5は収納された状態を示している。左表示部4の上下に一対のアーム部材400、410が取り付けられている。同様に右表示部5にも上下に一対のアーム部材500、510が取り付けられている。左表示部4のアーム部材400、410は、表示前側にオフセットされ、右表示部5のアーム部材500、510は、後面側にオフセットされている。左右の表示部4、5がユニット本体2内に収納されたとき、図5(d)に示すように、互いのアーム部材が相手のアーム部材に干渉しないようになっている。
【0050】
ユニット本体2の左側面200および右側面210には、それぞれ左表示部4と右側面5を出し入れするための開口220、230が形成されている。さらに、ユニット本体2の内部の底面240および上面250には、それぞれ平行に延びる一対の溝260、270が形成されている。溝260には、開口220を介して挿入された左表示部4のアーム部材400、410が係合し、このときアーム部材400、410の端部に形成された突起402、412が溝260内に挿入される。溝270には、開口230を介して挿入された右表示部5のアーム部材500、510が係合し、このときアーム部材500、510の端部に形成された突起502、512が溝270内に挿入される。これにより、左右表示部4、5がユニット本体2に対し摺動自在に支持されるようになっている。突起400、402、502、512は、溝260、270に対するガイドのほか、ガタ防止およびアーム部材の剛性を高める効果がある。また、左右表示部4、5の側面には、ユニット本体2から表示部を引き出すための突起430、530が設けられている。
【0051】
図6(a)は、左表示部4がユニット本体2のメイン表示部3の裏側に収納された状態を模式的に示す断面図である。この状態から左表示部4が引き出されると、アーム部材400、410が溝260に沿って摺動し、最終的に、アーム部材400、410の他方の端部に設けられた突起状のストッパー404、414がユニット本体の開口220に当接し、左表示部4の移動が停止される。さらに、ストッパー404、414と当接する位置に接点機構を含む検知スイッチ280、290が取り付けられる。検知スイッチ280、290は、ストッパー404、414が接触したことを検知する検知信号を中央処理装置110へ出力し、表示部の開閉状態を中央処理装置110へ知らせる。図6は左表示部4の機構のみを示したが、右表示部5の機構についても同様である。
【0052】
左表示部4および右表示部5は、公知のギヤ機構とモータとを組み合わせることにより電動で移動させることができる。さらに、表示部4、5の位置決めをより強固にするために、図6(c)に示すようなロック機構を設けてもよい。各アーム部材400の突起402の空間に、バネ600と、バネ600によって付勢されるレバー610を設ける。レバー610は、突起402の上面の開口から常時されている。また、ユニット本体側には、表示部の展開位置と収納位置に対応する位置に穴620、630とが形成される。左表示部4が展開された位置にあるとき、レバー610が穴620内に挿入され、この位置にロックされる。左表示部4が収納位置へ向けて移動されると、レバー610はバネ600に抗して突起402の表面と同じ高さまで下降し、レバー610は、収納位置で再び穴630内に挿入され左表示部4をロックする。これにより、走行中の振動などが生じても、各表示部4、5を所定の位置に停止させることができる。なお、ロック機構は、すべてのアーム部材に設けることができる。
【0053】
次に、上表示部の移動機構について図7を参照して説明する。図7(a)は、ユニット本体2の内部に上表示部6が収納された状態を示す模式図である。ユニット本体200の上面には、上表示部6を出し入れするための開口が形成されている。上表示部6の底部には、一対の回動可能な脚部700、710が取り付けられている。脚部700、710は、図示しないバネ部材により、支点702、712を介して両側に開くように付勢されている。図7(a)に示すように、上表示部6がユニット本体2内に収納されているとき、脚部700、710は、バネ部材の付勢に抗して閉じた位置(折畳まれた位置)にある。
【0054】
上表示部6の両側面には、一対のガイドピン720、730が設けられている。また、脚部700、710の側面に一対の突起740、750が設けられている。一方、ユニット本体2の内側の左側面と右側面には、図7(b)に示すような溝760が形成されている。溝形状は、下方において幅が広く、上方において幅が狭くなっている。
【0055】
上表示部6を収納状態から上に引き出すときに、ガイドピン720、730が溝760内に挿入され、上表示部6の摺動を支持する。同時に、収納された(折畳まれた)左右の脚部700、710がバネの力で互いに左右に開きだす(図7(c)を参照)。引き続き、上表示部6が持ち上げられると、脚部700、710が上表示部6の左右の側面と平行となる。このとき、脚部の突起740、750が、多少寸法上のばらつきやガタがあっても、溝760にうまくはまるように下の方のミゾ幅が広くなっている。上表示部6の引き出し完了の位置では、図7(d)に示すように、突起740、750は、ガイドピン720、730とともに、狭いミゾ内に留まり、上表示部6を左右4点で支えるようになっている。上表示部6が引き出された位置から動かないように固定するのは、別途ギアなどを用いて行うことができる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る車載用電子装置は、ナビゲーション装置、ナビゲーション機能を含むコンピュータ装置、ナビゲーション機能、オーディオ機能、テレビ受信機能などを有するマルチメディア対応の電子機器において利用される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例に係る車載用電子機器の概略構成を示す図である。
【図2】本実施例の車載用電子機器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例における表示部の動作制御を示すフローチャートである。
【図4】図4(a)は、外的状態に応じて選択される表示部とそこに表示されるデータとの関係を示し、図4(b)は、内的状態に応じて選択される表示部とそこに表示されるデータとの関係を示している。
【図5】本実施例による左右表示部の移動機構を示す図であり、図5(a)は左表示部と上表示部が展開されたときの車載用電子機器の斜視図、図5(b)は左右表示部の斜視図、図5(c)はユニット本体内を説明する透視図、図5(d)はユニット本体内に左右表示部が収納された状態を示す図である。
【図6】本実施例によるサブ表示部の移動機構を示す図であり、図6(a)は左表示部が収納されたときの模式的な断面図、図6(b)は展開されたときの模式的な断面図、図6(c)はロック機構を説明する図である。
【図7】本実施例による上表示部の移動機構を示す図であり、図7(a)は上表示部6が収納された状態を示す模式図、図7(b)は上表示部の摺動機構を説明する図、図7(c)は上表示部が引き上げられる過程を示す図、図7(d)は上表示部が引き上げ完了された状態を示す図である。
【図8】従来の車載用電子機器の表示部を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1:車載用電子機器 2:ユニット本体
3:メイン表示部 4:右表示部
5:左表示部 6:上表示部
10:ナビゲーション部 20:オーディオ・ビデオ再生部
30:テレビ・ラジオ受信部 40:撮像データ入力部
50:操作入力部 60:記憶装置
70:モータ駆動部 80:音声出力部
90:表示制御部 100:状態検出部
110:中央処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示部を備えた車載用電子機器であって、
表示部に表示可能な複数のデータを含むデータソースと、
状態を検出する状態検出手段と、
状態検出手段の検出結果に基づき複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部に対しデータソースから選択されたデータを表示させる表示制御手段とを有する、車載用電子機器。
【請求項2】
前記状態検出手段は、車両の走行状態を検出し、前記表示制御手段は、車両の走行状態に応じて選択された表示部の表示を制御する、請求項1に記載の車載用電子機器
【請求項3】
前記状態検出手段は、車両のウインカー情報、ハンドル操作情報、ブレーキ情報および車速情報の少なくとも1つの情報の検出を含み、前記表示制御手段は、検出された情報に基づき複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部の表示を制御する、請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記状態検出手段は、車内の座席シートの使用状態を検出し、前記表示制御手段は、検出された使用状態に基づき複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部の表示を制御する、請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記状態検出手段は、車載用電子機器に含まれる電子機器の使用状態を検出し、前記表示制御手段は、検出された電子機器の使用状態に応じて複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部の表示を制御する、請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記状態検出手段は、車載用電子機器に含まれるナビゲーション機能、オーディオ・ビデオ再生機能、ゲーム機能、テレビ・ラジオ受信機能の少なくとも1つの使用状態を検出し、前記表示制御手段は、検出された使用状態に応じて複数の表示部の中から少なくとも1つの表示部を選択し、選択された表示部の表示を制御する、請求項5に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記データソースは、車両周辺を撮像した撮像データを含む、請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項8】
車載用電子機器はさらに、複数の表示部のいずれかを収納位置または展開位置に移動させる移動手段を含み、前記移動手段は、前記表示制御手段による表示部の選択に応答して、選択された表示部を収納位置から展開位置へ移動させる、請求項1ないし7いずれか1つに記載の車載用電子機器。
【請求項9】
車載用電子機器はさらに、ユニット本体と、ユニット本体の前面に取り付けられるメイン表示部と、複数のサブ表示部とを含み、複数のサブ表示部はメイン表示部の裏側の収納位置に収納可能であり、かつ収納位置から引き出された展開位置へ展開可能である、請求項1ないし8いずれか1つに記載の車載用電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−71418(P2006−71418A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254386(P2004−254386)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】