説明

車載装置

【課題】車内機器に対して所定の操作指示を行うことを許可された乗車者からの操作指示のみを精度良く受け付けることができる。
【解決手段】車両に搭載される車載装置であって、車内機器に対して所定のジェスチャーによる操作を許可された操作許可者を車載装置が認証する。また、認証された操作許可者の着座位置を車載装置が特定し、特定された着座位置に対応する映像に基づいて操作許可者のジェスチャーを車載装置が受け付けるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声やジェスチャーによって車内機器に対して所定の操作を行うことができる車載装置が知られている。たとえば、特許文献1には、マイクロフォンによって入力された音声による操作指示を実行する車載装置が開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献1の車載装置は、予め記憶されている声紋の情報と乗車者によって入力された音声の声紋情報とが一致した場合に、入力された音声による操作指示、たとえば、エアコンのスイッチONの指示に対する実行を許可する。
【0004】
また、特許文献2には、音声とジェスチャーとの組み合わせによって車内機器に対する所定の操作指示を行うことができる車載装置と車内機器とのインターフェースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−333526号公報
【特許文献2】特開2005−178473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車載装置は、入力された音声認識を行う場合に、エンジン音や外気の騒音が大きいとノイズが混入することとなり、操作の受付精度が低下するという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載のインターフェースを適用した車載装置によると、意図しない乗車者から車内機器に対して操作指示が行われたり、子供のいたずら等による誤操作を受け付けてしまうという問題があった。
【0008】
これらのことから、車内機器に対して所定の操作指示を行うことを許可された乗車者からの操作指示のみを精度良く受け付けることができる車載装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、車内機器に対して所定の操作指示を行うことを許可された乗車者からの操作指示のみを精度良く受け付けることができる車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、車両に搭載される車載装置であって、車内機器に対して所定のジェスチャーによる操作を許可された操作許可者を認証する認証手段と、前記認証手段によって認証された前記操作許可者の着座位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段によって特定された前記着座位置に対応する映像に基づいて前記操作許可者の前記ジェスチャーを受け付けるジェスチャー受付手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両に搭載される車載装置が、車内機器に対して所定のジェスチャーによる操作を許可された操作許可者を認証し、認証された操作許可者の着座位置を特定し、特定された着座位置に対応する映像に基づいて操作許可者のジェスチャーを受け付けることとしたので、車内機器に対して所定の操作指示を行うことを許可された乗車者からの操作指示のみを精度良く受け付けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施例に係る車載装置の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、認証手法の一例を示す図である。
【図4】図4は、認証情報の一例その1を示す図である。
【図5】図5は、認証情報の一例その2を示す図である。
【図6】図6は、位置情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、カメラの設置位置の一例を示す図である。
【図8】図8は、ジェスチャー検知手法を説明するための図である。
【図9】図9は、車載装置が実行する操作許可者認証処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図10】図10は、車載装置が実行するジェスチャー受付処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図11】図11は、車載装置が実行する操作許可者監視処理手順の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車載装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る車載装置の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る車載装置についての実施例を図2〜図11を用いて説明することとする。
【0014】
まず、本発明に係る車載装置の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る車載装置の概要を示す図である。本発明に係る車載装置では、ジェスチャーによって車内機器の所定の操作指示を行う。
【0015】
ここで、本発明に係る車載装置では、車内機器の所定の操作を行うことを許可された者(以下、「操作許可者」と記載する)として認証された乗車者の着座位置を特定し、特定された着座位置方向からのジェスチャーのみを受け付ける点に主たる特徴がある。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る車載装置には、車内機器の操作許可者が個人ごとに予め登録されている。具体的には、個人Aおよび個人Bに対してのみに操作が許可されていると認証情報へ登録されているものとする。
【0017】
ここで、車両へA、BおよびCが乗車した際に、本発明に係る車載装置は、認証情報に基づいて操作許可者の認証を行う(図1の(1)参照)。なお、認証手法については、指紋や顔による生体認証やIC(integrated circuit)カード等による個体識別認証等が挙げられるが、認証手法の詳細については後述することとする。
【0018】
つづいて、本発明に係る車載装置は、車内に設置される図示しないセンサから操作許可者までの相対位置や相対距離から、操作許可者の着座位置を特定し、その旨を位置情報として記憶しておくこととする(図1の(2)参照)。
【0019】
たとえば、本発明に係る車載装置は、乗車者Aの着座位置はドライバ席であり、乗車者Bの着座位置は、車両前方に設置されたカメラ側から見て後席右であると特定し、着座位置を位置情報として記憶する。
【0020】
そして、本発明に係る車載装置は、車内のカメラ映像を取得し(図1の(3)参照)、取得したカメラ映像のうち、特定した操作許可者の着座位置を示すエリア(ここでは、後席右)に撮像されているジェスチャーを受け付ける(図1の(4)参照)。
【0021】
なお、ジェスチャーは、車内機器に対する所定の操作指示に対応付けられているジェスチャーである。たとえば、図1の(4)に示したように、「人差し指を左右に振る」というジェスチャーには、車内オーディオをONにする操作指示が対応付けられているものとする。
【0022】
一方、本発明に係る車載装置は、特定した操作許可者の着座位置を示すエリア外(ここでは、後席左)に撮像されているジェスチャーは受け付けないことから、操作許可者以外の乗車者からのジェスチャー操作は無効となる(図1の(5)参照)。
【0023】
このように、本発明に係る車載装置は、操作許可者として認証された乗車者の着座位置を特定し、特定した着座位置方向からのジェスチャーのみを受け付けることにした。これによって、本発明に係る車載装置は、車内機器に対して所定の操作指示を行うことを許可された乗車者からの操作指示のみを精度良く受け付けることができる。
【0024】
なお、車内機器に対する所定の操作とは、ナビゲーション機能に対する操作や、CD、DVDおよびTV等の車内オーディオに対する操作であってもよいし、エアコンに対する操作やサンルーフの開閉操作であってもよい。
【0025】
以下では、図1を用いて説明した本発明に係る車載装置10についての実施例を詳細に説明する。まず、本実施例に係る車載装置10の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る車載装置10の構成を示すブロック図である。なお、図2では、車載装置10の特徴点を説明するために必要な構成要素についてのみ記載している。
【0026】
図2に示すように、車載装置10は、センサ11と、カメラ12と、DA(Display Audio)13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。また、制御部15は、画像取得部15aと、認証部15bと、位置特定部15cと、位置情報登録部15dと、ジェスチャー受付部15eと、操作指示部15fとをさらに備えており、記憶部14は、認証情報14aと、位置情報14bと、ジェスチャー情報14cとを記憶する。
【0027】
センサ11は、操作許可者の認証を行う際に、認証対象に関する情報を検知する計測機器である。たとえば、センサ11は、認証対象が指紋や顔の場合は、光学センサや画像センサであり、認証対象が静脈や虹彩の場合は、近赤外光センサである。なお、認証手法の詳細については後述することとする。
【0028】
カメラ12は、車両に搭載されたカメラであり、車内の映像を撮像し、撮像した映像をジェスチャー受付部15eへ送信する。なお、カメラの設置位置の詳細については後述することとする。
【0029】
DA13は、映像表示機能やオーディオ再生機能を備える装置であり、ジェスチャーによる操作指示により所定の操作を行うことができる車内機器である。なお、DA13は、車載装置10に備える構成としたが、車載装置10とは別体とする構成としてもよい。
【0030】
記憶部14は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部14は、予め登録される操作許可者の認証対象に関する情報を認証情報14aとして記憶する。
【0031】
また、記憶部14は、位置情報登録部15dによって特定された操作許可者の着座位置を位置情報14bとして記憶し、車内機器に対する所定の操作に対応したジェスチャーをジェスチャー情報14cとして記憶する。なお、認証情報14aおよび位置情報14bの詳細については後述することとする。
【0032】
制御部15は、車載装置10の全体制御を行う制御部である。画像取得部15aは、センサ11によって検知された認証対象に関する情報、ここでは画像を取得し、認証部15bへ渡す処理を行う処理部である。
【0033】
認証部15bは、画像取得部15aから受け付けた画像と認証情報14aとに基づいて操作許可者として認証するか否かを判定する処理を行う処理部である。また、認証部15bは、操作許可者として認証すると判定した場合に、その旨を位置特定部15cへ通知する処理を併せて行う。
【0034】
位置特定部15cは、認証部15bによって操作許可者として認証された乗車者の着座位置を特定し、操作許可者の着座位置を位置情報登録部15dへ通知する処理を行う処理部である。
【0035】
位置情報登録部15dは、位置特定部15cから受け付けた操作許可者の着座位置を位置情報14bへ登録させる処理を行う処理部である。
【0036】
ジェスチャー受付部15eは、カメラ12からの映像を取得し、位置情報14bに記憶されている操作許可者の着座位置を示すエリアに撮像されているジェスチャーを検知し、操作指示部15fへ渡す処理を行う処理部である。
【0037】
操作指示部15fは、ジェスチャー受付部15eによって検知されたジェスチャーに対応する操作をジェスチャー情報14cから検索し、対応する車内機器、ここでは、DA13へ操作指示を行う処理部である。
【0038】
また、図示しないが、制御部15は、バックグラウンド処理として、操作許可者の認証を解除するか否かを監視する処理を行う。たとえば、制御部15は、エンジンONまたはエンジンOFFを検知した場合には、位置情報14bをすべてクリアして初期化する。
また、制御部15は、操作許可者の座席移動を検知した場合には、かかる操作許可者の位置情報14bを削除する。なお、位置情報14bを初期化するタイミングについては、エンジンON/OFFに限定されるものではなく、車両のドアの開閉時やその他のタイミングとしてもよい。
【0039】
つぎに、認証部15bが行う認証手法の詳細について図3を用いて説明する。図3は、認証手法の一例を示す図である。なお、ここでは、認証部15bが個人ごとに操作許可者であるか否かを認証する際に行う認証手法について説明する。
【0040】
認証部15bが行う認証手法には、認証対象ごとに取得する情報が異なるため使用されるセンサも異なる。図3には、センサに対応する認証対象を、所定の分類に分けて例示することとした。
【0041】
ここでは、認証対象が「指紋」や「顔」の身体部分である「生体認証その1」と、認証対象が「まばたき」や「唇の動き」等の行動である「生体認証その2」と、認証対象が所有物である「個体識別」とに分類した。分類が「生体認証その1」である認証対象は、「静脈」や「虹彩」であってもよく、「生体認証その2」である認証対象は、個人ごとに異なる「手の振りの癖」や個人を特定しないで「手をひらく」等のジェスチャーであってもよい。
【0042】
また、分類が「個体識別」である認証対象のRFID(Radio Frequency Identification)やICカードには、唯一の識別子をもつタグ(以下、「ICチップ」と記載する)が内蔵されている。
【0043】
近年では、ICチップが内蔵されている携帯端末も多く利用されていることから、認証部15bは、乗車者の所有する携帯端末によって操作許可者の認証を行うこととしてもよい。
【0044】
つぎに、認証情報14aおよび位置情報14bの詳細について図4〜図6を用いて説明する。図4は、認証情報14aの一例その1を示す図であり、図5は、認証情報14aの一例その2を示す図である。また、図6は、位置情報14bの一例を示す図である。
【0045】
図4の(A)に示すように、認証情報14aは、「識別ID」項目と、「認証対象」項目と、「認証条件」項目とを含んでいる。なお、認証情報14aは、かかる項目で構成される情報を1レコードとしたレコードの集合体である。
【0046】
「識別ID」項目は、個人を識別する識別子であり、個体識別の場合は、ICチップの識別子であってもよい。「認証対象」項目は認証対象名であり、「認証条件」項目は、識別IDに対応付けられた認証対象の特徴となる画像や映像である。認証情報14aは、操作許可者として予め登録される個人の識別IDに対応付けて認証対象と認証条件とが記憶される。
【0047】
また、図4の(B)に示すように、認証情報14aは、「許可レベル」項目を含むこととしてもよい。この場合、車内機器に対する操作ごとに「許可レベル」としてレベルを設定することによって、個人に対して許可される操作の許可範囲を設定することができる。
【0048】
たとえば、許可レベル1は、ナビゲーション操作、車内オーディオに対する操作、エアコン操作やサンルーフの開閉操作を許可し、許可レベル2は、ナビゲーション操作以外の操作を許可するというように、操作の許可範囲を設定する。これにより、車内へ乗車する子供に対して、CD再生等の操作を許可する一方で、ナビゲーション機能に対する誤操作を防止することができる。
【0049】
なお、これまでは、認証部15bが特定した個人が操作許可者であるか否かを認証する認証手法について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、認証部15bでは、操作許可者の認証を行う際に、個人を特定せず、いずれの乗車者も同じ認証条件によって認証されることとしてもよい。
【0050】
図5に示すように、認証情報14aは、識別IDを含まない構成とし、認証対象が「手の振り(順番)」に対する認証条件には「手をグーからパーへ手を振る」ジェスチャーである場合について説明する。
【0051】
この場合、車内機器の所定の操作が許可される乗車者のみに対してかかるジェスチャーを通知しておくことによって、認証部15bは、操作許可者の認証を行うことができる。たとえば、車両へ乗車する大人のみへかかるジェスチャーを通知し、車両へ乗車する子供へは通知しないこととする。これによって、認証部15bでは、操作許可者として大人のみ認証することができ、子供による車内機器に対する誤操作を防止することができる。
【0052】
つづいて、位置情報14bの詳細について図6を用いて説明する。図6の(A)に示すように、位置情報14bは、「識別ID」項目と、「着座位置」項目とを含んでいる。なお、位置情報14bは、かかる項目で構成される情報を1レコードとしたレコードの集合体である。
【0053】
「識別ID」項目は、個人を識別する識別子であり、「着座位置」項目は、操作許可者として認証された乗車者の着座位置である。なお、制御部15では、バックグラウンド処理として、操作許可者の認証を解除するか否かを監視しており、所定の条件に基づいて位置情報14bの削除や登録を行っている。
【0054】
たとえば、位置情報14bへ登録されている操作許可者(識別ID:CCC)が、車内で席を移動した場合の、位置情報14bの遷移を図6の(A−1)〜(A−3)を用いて説明する。
【0055】
まず、認証部15bによって認証された個人の識別IDが、AAAおよびCCCであり、位置特定部15cによって特定された着座位置が、それぞれドライバ席および後席左であった場合に、位置情報14bは、図6の(A−1)に示したように記憶される。
【0056】
そして、制御部15は、識別IDがCCCである操作許可者の座席移動を検知した場合、位置情報14bから識別IDがCCCであるレコードを削除する(図6の(A−2)参照)。
【0057】
その後、位置特定部15cによって識別IDがCCCである操作許可者の着座位置が後席右と特定されたならば、位置情報登録部15dは、新たに「CCC:後席右」と位置情報14bへ登録する(図6の(A−3)参照)。
【0058】
また、認証部15bは、ICチップが内蔵されている外部装置、たとえば、乗車者の所有する携帯装置によって認証を行う場合には、図示しないIC読取機によって読み取られたICチップの識別子に基づいて操作許可者として認証するか否かを判定する。なお、ICチップ内に、操作許可者として認証するか否かの情報を予め記憶させておいてもよい。
【0059】
そして、位置特定部15cは、認証部15bによって操作許可者として認証された乗車者の着座位置を特定し、操作許可者の着座位置を位置情報14bへ登録させることとしてもよい。ここで、携帯装置によって認証された操作許可者が座席移動した場合には、再度位置特定部15cでは乗車者の着座位置を特定することとなる。
【0060】
なお、図6の(A)では、認証部15bが操作許可者の認証を行う際に、個人を特定した場合について説明した。しかし、図6の(B)に示したように、位置情報14bは、個人を特定しない場合には、識別IDを含まない構成としてもよい。
【0061】
つぎに、カメラ12の設置位置の詳細について図7を用いて説明する。図7の(A)は、カメラ映像の一例を示す図であり、図7の(B)は、カメラの設置位置の一例を示す図である。
【0062】
まず、図7の(A)に示したように、車両前方の中央、たとえば、ダッシュボード中央部やルームミラーの近傍等に設置され、車両前方から車両後方側を撮像する1台のカメラ12によって撮像されたカメラ映像である。かかるカメラ映像には、エリアごとに着座位置が割り当てられているものとする。
【0063】
そして、ジェスチャー受付部15eは、位置情報14bに記憶されている操作許可者の着座位置に対応するエリアを検索し、検索したエリアに撮像されているジェスチャーを検知し、車内機器に対する操作として受け付ける。
【0064】
たとえば、カメラ映像の着座位置1のエリアには、カメラ12側から見て後席右に着座した乗車者が割り当てられているとする。また、カメラ映像の着座位置2のエリアは前席右、着座位置3のエリアは後席左、着座位置4のエリアは前席左、すなわちドライバ席に着座した乗車者が割り当てられているとする。
【0065】
ここで、位置情報14bに記憶されている操作許可者の着座位置が後席右である場合に、ジェスチャー受付部15eは、着座位置1のエリアを操作許可者のジェスチャーを検知する範囲とする。
【0066】
一方、ジェスチャー受付部15eは、操作許可者の着座位置に対応するエリア以外、すなわち、着座位置2、3および4に撮像されているジェスチャーを検知した場合には、検知されたジェスチャーの操作を無効とする。
【0067】
なお、図7の(A)に示したカメラ映像を撮像するカメラ12の設置位置は、車内全体を見わたせる位置であれば上記位置に限定されず、その他の位置にも設置可能である。たとえば、天井部中央、たとえば、ルームランプ近傍にカメラ12を設置してもよい。かかる場合、使用するレンズに魚眼レンズなどを用いて、各乗車者を確認しやすくするとより好ましい。
【0068】
また、図7の(A)では、1台のカメラ12によってカメラ映像を撮像する場合について説明したが、つづいて、4台のカメラ12によってカメラ映像を撮像する場合について説明する。
【0069】
図7の(B)に示すように、着座位置1に着座する乗車者を撮像するカメラ1、着座位置2に着座する乗車者を撮像するカメラ2というように、車内には、着座位置に着座する乗車者を撮像するカメラがそれぞれ設置されているとする。
【0070】
具体的には、カメラ2およびカメラ4は、ダッシュボードやフロントウィンドウの近傍などに設置され、また、カメラ1およびカメラ3は着座位置2や着座位置4の背面、たとえば、運転席および助手席のヘッドレストの背面などに設置されるものとする。
【0071】
この場合、ジェスチャー受付部15eは、位置情報14bに記憶されている操作許可者の着座位置に設置されたカメラによって撮像されたカメラ映像からジェスチャーを検知し、車内機器に対する操作として受け付けることとなる。これにより、カメラ映像から操作許可者の着座位置に対応するエリアを検索することなく、操作許可者のジェスチャーを検知することができる。
【0072】
さてこれまでは、操作許可者の着座位置に対応するエリア以外に撮像されているジェスチャーを検知した場合に、検知されたジェスチャーでの操作を無効とすることとした。しかし、例外処理として、ジェスチャー受付部15eは、以下に説明するジェスチャー検知手法を行うこととしてもよい。ジェスチャー受付部15eが行うジェスチャー検知手法の例外処理の詳細について図8を用いて説明する。
【0073】
図8は、ジェスチャー検知手法を説明するための図である。図8の(A)および(B)は、カメラ12によって撮像されたカメラ映像であり、着座位置1で示したエリアは、操作許可者の着座位置を示し、また、着座位置2で示したエリアは、操作許可者以外の乗車者の着座位置を示す。
【0074】
ここで、図8の(A)に示したように、操作許可者以外の着座位置2内にジェスチャーを検知した場合、ジェスチャー受付部15eは、検知されたジェスチャーの手が操作許可者の手であるか否かを判定する。
【0075】
具体的には、ジェスチャー受付部15eは、所定の画像処理を行い、着座位置1内の操作許可者の映像と着座位置2に映るジェスチャーの手とが繋がっているか否かを、判定する。
【0076】
そして、ジェスチャー受付部15eは、着座位置1内の操作許可者と着座位置2に映るジェスチャーの手とが繋がっていると判定した場合、かかるジェスチャーを操作許可者のジェスチャーとして受け付けることとする。
【0077】
一方、図8の(B)に示したように、ジェスチャー受付部15eは、操作許可者の着座位置1内にジェスチャーを検知した場合であっても、着座位置1内の操作許可者とジェスチャーの手とが繋がっていないと判定したならば、ジェスチャーの操作を無効とする。このようにすることによって、車載装置10は、高精度に操作許可者のジェスチャーを検知することができる。
【0078】
つぎに、本実施例に係る車載装置10が実行するジェスチャー操作処理手順の詳細について図9〜図11を用いて説明する。図9は、車載装置10が実行する操作許可者認証処理手順の概要を示すフローチャートであり、図10は、車載装置10が実行するジェスチャー受付処理手順の概要を示すフローチャートであり、図11は、車載装置10が実行する操作許可者監視処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0079】
まず、図9に示すように、画像取得部15aは、認証対象者の認証用画像を取得し(ステップS101)、認証部15bは、画像取得部15aによって取得された認証用画像を認証情報14aに記憶される認証条件と比較する(ステップS102)。
【0080】
そして、認証部15bは、認証用画像と認証情報14aに記憶される認証条件とが一致するか否かを判定し(ステップS103)、一致すると判定した場合(ステップS103,Yes)に、操作許可者であると認証する(ステップS104)。
【0081】
その後、位置特定部15cは、認証部15bによって認証された操作許可者の着座位置を特定し(ステップS105)、位置情報登録部15dは、操作許可者の識別IDと特定された着座位置を位置情報14bへ登録し(ステップS106)、一連の操作許可者認証処理を終了する。
【0082】
一方、認証部15bは、ステップS103で、認証用画像と認証情報14aに記憶される認証条件とが一致しないと判定した場合(ステップS103,No)、操作許可者と認証しないで(ステップS107)、一連の操作許可者認証処理を終了する。
【0083】
なお、図6の(B)で説明したように、ステップS102において認証部15bが個人を特定しないで認証処理を行う場合には、ステップS106では、着座位置のみを位置情報14bへ登録することとする。
【0084】
つづいて、車載装置10が実行するジェスチャー受付処理手順の詳細について図10を用いて説明する。図10に示すように、ジェスチャー受付部15eは、カメラ12によって撮像されたカメラ映像を取得する(ステップS201)。
【0085】
そして、ジェスチャー受付部15eは、取得したカメラ映像からジェスチャーを検知し(ステップS202)、ジェスチャーの検知位置が位置情報14bに記憶される着座位置の範囲であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0086】
ジェスチャー受付部15eは、ジェスチャーの検知位置が位置情報14bに記憶される着座位置の範囲であると判定した場合(ステップS203,Yes)、検知されたジェスチャーによる操作を許可する(ステップS204)。
【0087】
一方、ジェスチャー受付部15eは、ジェスチャーの検知位置が位置情報14bに記憶される着座位置の範囲ではないと判定した場合(ステップS203,No)、検知されたジェスチャーによる操作を無効として(ステップS208)、一連のジェスチャー受付処理を終了する。
【0088】
そして、ジェスチャー受付部15eは、検知されたジェスチャーをジェスチャー情報14cに記憶されるジェスチャーと比較して(ステップS205)、一致するか否かを判定する(ステップS206)。
【0089】
ジェスチャー受付部15eは、ステップS206で一致すると判定した場合(ステップS206,Yes)、操作指示部15fは、検知されたジェスチャーに対応した車内機器に対する操作指示をDA13へ送信して(ステップS207)、一連のジェスチャー受付処理を終了する。
【0090】
一方、ジェスチャー受付部15eは、ステップS206で一致しないと判定した場合(ステップS206,No)、対応する操作がないため、その旨を報知する等を行って処理を終了する。
【0091】
つづいて、車載装置10がバックグラウンド処理として実行する操作許可者監視処理手順の詳細について図11を用いて説明する。図11に示すように、制御部15は、エンジンONの動作が行われたか否かを判定する(ステップS301)。
【0092】
制御部15は、エンジンONの動作が行われていないと判定した場合(ステップS301,No)、エンジンOFFの動作が行われたか否かを判定する(ステップS302)。
【0093】
そして、制御部15は、エンジンOFFの動作が行われていないと判定した場合(ステップS302,No)、操作許可者の席移動を検知したか否かを判定し(ステップS303)、操作許可者の席移動を検知していない場合(ステップS303,No)、一連の操作許可者監視処理を終了する。
【0094】
一方、制御部15は、ステップS301で、エンジンONの動作が行われたと判定した場合(ステップS301,Yes)、位置情報14bを初期化して(ステップS304)、一連の操作許可者監視処理を終了する。
【0095】
また、制御部15は、ステップS302で、エンジンOFFの動作が行われたと判定した場合(ステップS302,Yes)、位置情報14bを初期化して(ステップS304)、一連の操作許可者監視処理を終了する。
【0096】
さらに、制御部15は、ステップS303で、操作許可者の席移動を検知した場合(ステップS303,Yes)、当該操作許可者の位置情報14bを削除して(ステップS305)、一連の操作許可者監視処理を終了する。
【0097】
制御部15は、一連の操作許可者監視処理を終了したならば、ステップS301〜ステップS305までの処理を繰り返す。
【0098】
このように、本発明に係る車載装置は、ジェスチャーによって車内機器の所定の操作指示を行うことができ、操作許可者として認証された乗車者の着座位置を特定し、特定された着座位置方向からのジェスチャーのみを受け付けることとした。
【0099】
これによって、本発明に係る車載装置は、車内機器に対して所定の操作指示を行うことを許可された乗車者からの操作指示のみを精度良く受け付けることができるとともに、環境の変化といった影響に左右されず、運転の安全性を確保することができる。
【符号の説明】
【0100】
10 車載装置
11 センサ
12 カメラ
13 DA
14 記憶部
14a 認証情報
14b 位置情報
14c ジェスチャー情報
15 制御部
15a 画像取得部
15b 認証部
15c 位置特定部
15d 位置情報登録部
15e ジェスチャー受付部
15f 操作指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
車内機器に対して所定のジェスチャーによる操作を許可された操作許可者を認証する認証手段と、
前記認証手段によって認証された前記操作許可者の着座位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段によって特定された前記着座位置に対応する映像に基づいて前記操作許可者の前記ジェスチャーを受け付けるジェスチャー受付手段と
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記認証手段は、
前記操作許可者それぞれを個人として認証し、
前記位置特定手段は、
個人の前記着座位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記認証手段は、
予め記憶された動作と認証対象者のジェスチャーとが一致すると判定された場合に、前記認証対象者を前記操作許可者として認証することを特徴とする請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記認証手段によって認証された前記操作許可者を所定のタイミングによって解除する解除手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の車載装置。
【請求項5】
記録媒体の媒体識別子を取得する識別子取得手段
をさらに備え、
前記認証手段は、
予め記憶された識別子と前記識別子取得手段によって取得された前記媒体識別子とが一致すると判定された場合に、前記認証対象者を前記操作許可者として認証することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−121386(P2012−121386A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272057(P2010−272057)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】