説明

車載警報音発生装置および方法

【課題】運転者が警報音から警報内容を的確に把握することを可能とする車載警報音発生装置を提供すること。
【解決手段】警報対象の状態を検出する各種のセンサー(111〜120)と、センサーの検出結果に応じて警報音の発音を指示する発音制御部(101)と、発音制御部の指示に従い警報音を発音する音源システム(102)とを具備し、発音制御部は、警報音として、センサーの検出結果が警報を要する第1状態値に達したときに開始音の発音を指示し、該開始音の発音後に、センサーの検出結果に応じて態様が変化する経過音の発音を指示し、センサーの検出結果が警報を要しない第2状態値に達したときに終了音の発音を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に対して警報音を発生する車載警報音発生装置および方法に関し、特に、警報対象の状況の変化に関する情報を警報音に持たせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、車両異常、ライトの消し忘れ、半ドア状態等を運転者に警報するための警報装置が搭載されている。また、近年では、車両の四隅に設けられたコーナーセンサにより障害物を検出し、障害物に接触しそうな位置にあるコーナーセンサと同じ方向に位置するスピーカから警報音を発生させることにより、運転操作の円滑化を図るための技術も提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−203275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の従来技術によれば、警報音は警報内容と無関係な単調音(ピープ音など)が多い。このため、運転者は、警報音から異常の有無を知ることはできるが、それがどの程度の緊急性を要するのか等、その状況や変化を把握することができないという問題がある。
また、この種の警報音では、警報の開始と終了は、ただ単に音の発生が始まった事又は音の発生が終わった事だけしか表さないので、いつ警報が始まり、いつ警報が終わったのかが分かりにくいという問題もある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、運転者が警報対象の状況変化を的確に把握することを可能とする車載警報音発生装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車載警報音発生装置は、警報対象の状態を検出する検出手段(例えばセンサー111〜120)と、前記検出手段の検出結果に応じて警報音の発音を指示する発音制御手段(例えば発音制御部101)と、前記発音制御手段の指示に従い前記警報音を発音する発音手段(音源システム102及びスピーカ103)とを具備し、前記発音制御手段は、前記警報音として、前記検出手段の検出結果が警報を要する第1状態値に達したときに開始音の発音を指示し、該開始音の発音後に前記検出手段の検出結果に応じて態様が変化する経過音の発音を指示し、前記検出手段の検出結果が警報を要しない第2状態値に達したときに終了音の発音を指示することを特徴とする。
前記経過音の態様は、例えば、音量、テンポ、音色、音高のうちの何れか1つ、または2つ以上の組み合わせである。
【0006】
この構成によれば、運転者に、開始音により警報の開始を知らせ、経過音により警報対象の状況の変化を知らせ、終了音により警報の終了を知らせる。従って、運転者は、警報の有無のみならず、その内容までも把握することが可能になる。
【0007】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、車両前方に位置する障害物との距離を検出するセンサーからなり、前記発音制御手段は、前記距離が前記第1状態値に達したときに前記開始音の発音を指示し、該開始音の発音後に前記距離の変化に応じて前記経過音の態様を変化させ、前記距離が第2状態値に達したときに前記終了音の発音を指示することを特徴とする。
【0008】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、ドアのロック状態と車速を検出するセンサー群からなり、前記第1状態値は、前記ドアがロック状態になく且つ車速が所定値を上回ったことを示す値であり、前記第2状態値は、前記車速が所定値を下回ったこと又はドアがロック状態になったことを示す値であり、前記発音制御手段は、前記開始音の発音後に前記車速の変化に応じて前記経過音の態様を変化させることを特徴とする。
【0009】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、半ドア状態とエンジンの作動状態と車速と経過時間を検出するセンサー群からなり、前記第1状態値は、前記エンジンが作動状態であり且つドアが半ドア状態になったことを示す値であり、前記第2状態値は、前記半ドア状態が解消されたことを示す値であり、前記発音制御手段は、前記半ドア状態が検出されてからの経過時間及び車速に応じて前記経過音の態様を変化させることを特徴とする。
【0010】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、タイヤの空気圧を検出するセンサーからなり、前記第1状態値は、前記空気圧の異常を示す値であり、前記発音制御手段は、前記開始音に続いて前記経過音と前記終了音とを一定時間内に発音させる所定の発音シーケンスを実行することを特徴とする。
【0011】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、ルームライトの点灯状態を検出するセンサーからなり、前記第1状態値は、前記ルームライトが点灯したことを示す値であり、前記第2状態値は、前記ルームライトが消灯したことを示す値であることを特徴とする。
【0012】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、方向指示灯の作動状態を検出するセンサーからなり、前記第1状態値は、前記方向指示灯が作動を開始したことを示す値であり、前記第2状態値は、前記方向指示灯が作動を停止したことを示す値であり、前記発音制御手段は、前記開始音の発音後に前記経過音として定期的な作動音の発音を指示することを特徴とする。
【0013】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、キーの装着状態とエンジンの作動状態とドアの開閉状態を検出するセンサー群からなり、前記第1状態値は、前記エンジンが作動状態になく且つ前記ドアが開状態にあり且つ前記キーが装着状態にあることを示す値であり、前記第2状態値は、前記キーの装着状態が解消されたことを示す値であることを特徴とする。
【0014】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、シートベルトの装着状態とエンジンの作動状態を検出するセンサー群であって、前記第1状態値は、前記シートベルトが装着状態になく且つ前記エンジンが作動状態にあることを示す値であり、前記第2状態値は、前記シートベルトが装着状態になったことを示す値であることを特徴とする。
【0015】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、前照灯の点灯状態とエンジンの作動状態を検出するセンサー群であって、前記第1状態値は、前記前照灯が点灯状態にあり且つ前記エンジンが作動状態にないことを示す値であり、前記第2状態値は、前記前照灯が消灯状態にあることを示す値であることを特徴とする。
【0016】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、車速を検出するセンサーであり、前記第1状態値は、前記車速が第1所定値を上回ったことを示す値であり、前記第2状態値は、前記車速が第2所定値を下回ったことを示す値であり、前記発音制御部は、前記開始音の発音後に、前記車速に応じて前記経過音の態様を変化させることを特徴とする。
【0017】
上記車載警報音発生装置において、例えば、前記検出手段は、車載用ナビゲーションシステムによる探索経路と車両との間の位置関係を検出するセンサーであり、前記第1状態値は、前記車両が前記探索経路から逸脱したことを示す値であり、前記第2状態値は、前記車両が前記探索経路に復帰したことを示す値であり、前記発音制御部は、前記開始音の発音後に、前記車両の現在位置から前記探索経路の合流点までの距離に応じて前記経過音の態様を変化させることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る車載警報音発生方法は、警報対象の状態を検出する第1ステップと、前記検出手段の検出結果に応じて警報音の発音を指示する第2ステップと、前記指示に従って前記警報音を発音する第3ステップとを含み、前記第2ステップでは、前記警報音として、前記第1ステップでの検出結果が警報を要する第1状態値に達したときに開始音の発音を指示し、該開始音の発音後に前記検出結果に応じて態様が変化する経過音の発音を指示し、前記検出結果が警報を要しない第2状態値に達したときに終了音の発音を指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、警報対象に関する情報を警報音に持たせて運転者に伝えることができるので、運転者は警報音から警報内容や状況変化を的確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1に、本実施形態に係る車載警報音発生装置の構成を示す。同図に示すように、この車載警報音発生装置は、発音制御部101、音源システム102、スピーカ103、ドアロックセンサー111、ドア開閉センサー112、タイヤ空気圧センサー113、エンジンセンサー114、衝突レーダーセンサー115、操作スイッチ状態センサー116、シートベルト状態センサー117、前照灯状態センサー118、車速センサー119、計時カウンター120を備え、これらはバス121を介して相互に接続されている。
【0021】
ここで、上記各センサーは、警報対象の状態を検出するためのものであり、車両の適切な位置に取り付けられている。発音制御部101はCPUから構成され、本装置の全体動作を制御するものであると共に、上記各センサーの検出結果に基づき警報音の発音を指示するものである。発音制御部101は、上記各センサーの検出結果に応じて発音処理を実行し、発音データ(例えばMIDI形式の楽音データ)を生成する。この発音データには、音の態様を指定するための情報として、音量、テンポ、音色、音高(ピッチ)等の各データが含まれている。
【0022】
音源システム102は、発音制御部101の指示に従い警報音を発音するものであり、発音制御部101から発音データを入力して警報音となる楽音の波形信号を生成してスピーカ103を駆動する。この音源システム102は、内部に音色データ等を保持しており、発音制御部101から指定された音色に対応する音色データを元に、指定の音量および音高等で発音させるための楽音波形信号を生成する。
【0023】
図2に、発音制御部101が生成する発音データの構成を示す。
同図に示すように、この発音データは、開始音データDSと、経過音データD1〜Dn(nは自然数)と、終了音データDEとから構成され、この順に生成されて音源システム102に供給される。ここで、開始音データDSは、警報音の開始音を発音するためのデータであり、経過音データD1〜D3は警報対象の状況の変化を表すデータであり、終了音データDEは警報音の終了音を発音するためのデータである。何れのデータにも、上述の発音に必要とされる情報が規定されている。
【0024】
次に、図3に示すフローに沿って、本車載警報音発生装置の各種警報動作(警報音発生方法)を説明する。
(1)衝突警報動作
衝突警報動作では、上記各センサーのうち、衝突レーダーセンサー115を使用して前方を走行する他車との車間距離を検出し、この車間距離が不十分になると、衝突の危険を知らせる警報音を発音する。
【0025】
詳細に説明すると、車両の走行中、衝突レーダーセンサー115は、前方を走行する他車(障害物)との車間距離(警報対象の状態)を継続的に検出している。発音制御部101は、衝突レーダーセンサー115の検出値(距離値)を入力し(ステップS1)、この検出値が、警報を要する第1状態値に達したか否かを判定する(ステップS2)。本実施形態では、上記第1状態値は、前方を走行する他車に対し車速に応じて確保すべき最小車間距離として予め適切に定められた値であり、例えば時速100キロメートルの場合に100メートルに設定される。衝突レーダーセンサー115の検出値が第1状態値に達していなければ(ステップS2;N)、処理をステップS1に戻して同様の処理を繰り返す。
【0026】
上記検出値が第1状態値に達し(ステップS2;Y)、最小車間距離が確保されなくなった場合、発音制御部101は、警報音の開始音データDSを生成して音源システム102に供給し、これにより開始音「ピピッ」の発音を指示する(ステップS3)。この開始音により警報音に対する運転者の注意を引く。
続いて、発音制御部101は、衝突レーダーセンサー115の上記検出値に応じて経過音データD1を生成し、これにより最初の経過音「ピッ」の発音を音源システム102に指示する(ステップS4)。
【0027】
続いて、発音制御部101は、衝突レーダーセンサー115の検出値を新たに入力し(ステップS5)、この新たな検出値で示される車間距離が、警報を要しない第2状態値に達したか否かを判定する(ステップS6)。本実施形態では、上記第2の所定値は、前方を走行する他車に対して車速に応じた適切な車間距離であり、予め適切に定められた値である。上記第2状態値は、例えば時速100キロメートルの場合に130メートルに設定される。この検出値が第2の所定値に達していなければ(ステップS6;N)、処理を上述のステップS4に戻し、この新たな検出値に応じて音の態様(音量、音色、テンポ、音高等)を変化させて経過音データD2を生成し、これにより、態様が変化した経過音の発音を音源システム102に指示する。
【0028】
ここで、上述のステップS5で衝突レーダーセンサー115から入力した検出値によって示される車間距離が以前に検出された車間距離(ステップS1で入力した検出値で示される車間距離)よりも短くなっている場合、ステップS4では、車間距離に応じた緊迫感を表現するように経過音の態様を変化させて2番目の経過音データD2を生成する。この例では、車間距離が短縮するにつれて、経過音の音量、テンポ、音高を上げる。逆に、車間距離が拡大するにつれて、経過音の音量、テンポ、音高を下げる。発音制御部101は、ステップS5で衝突レーダーセンサー115から入力する検出値が第2の所定値に達するまで、その時々の検出値で示される車間距離に応じて音の態様を変化させて経過音データD1〜Dnを順次生成して音源システム102にする。
【0029】
このように、衝突レーダーセンサー115の検出値に応じて経過音の態様を変化させることにより、他車との車間距離が時々刻々変化(短縮/拡大)する状況を表現する。運転者は、経過音の態様の変化から状況変化を直感的に把握することができ、その状況に応じて適切な運転操作を行うことができる。運転者は、十分な車間距離を確保する必要があると判断すれば、例えば減速操作を行って車間距離を拡大する。
【0030】
減速操作により車間距離が徐々に拡大し、衝突レーダーセンサー115の検出値が第2の所定値に達すると(ステップS6;Y)、即ち、適正な車間距離が確保されると、発音制御部101は、終了音データDEを生成して音源システム102に供給し、これにより終了音「ピー」の発音を指示する(ステップS7)。運転者は、この終了音から、適正な車間距離が確保されたことを把握する。
【0031】
この動作例によれば、警報音の経過音が車間距離の状況変化に関する情報を含んでいるので、運転者は、この警報音から、適正な車間距離が確保されていないことのみならず、その状況変化を適格に把握することができる。従って、例えば視界が不良な状況であっても、時々刻々変化する前方の他車との車間距離の状況変化を的確に把握することができ、その状況に応じた適切な運転操作を行うことができる。
【0032】
なお、上記の「第1状態値」および「第2状態値」は、衝突レーダーセンサー115の検出値である距離に対応する量として定められるが、後述するように、複数のセンサーを使用する場合には、各検出値の組み合わせに対応する量として定められる。
【0033】
(2)ドアロック警報動作
ドアロック警報動作では、上記各センサーのうち、ドアロックセンサー111と車速センサー119からなるセンサー群を使用する。
発音制御部101は、各センサーから検出値を入力し(ステップS1)、この検出値が、ドアがロックされていない状態で車速が所定値(例えば時速80キロメートル)を上回ったことを示す第1状態値に達すると(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示する(ステップS3)。
【0034】
その後、経過音の発音を指示するが(ステップS4〜S6)、このドアロック警報動作では、音の態様を変えずに、一定時間だけ経過音を発音させる。そして、車速が低下して、検出値が、車速が所定値を下回ったことを示す第2状態値に達したときに、発音制御部101は、終了音の発音を指示する(ステップS7)。或いは、上記第2状態値は、ドアがロック状態になったことを示す値でもよい。
【0035】
(3)半ドア警報動作
半ドア警報動作では、上記各センサーのうち、ドア開閉センサー112、エンジンセンサー114、車速センサー119、及び計時カウンター120からなるセンサー群を使用する。なお、エンジンセンサー114は、エンジンの作動を検出するものであるが、エンジンキーの操作を検出するものであってもよい。
【0036】
発音制御部101は、各センサーから検出値を入力し(ステップS1)、これらの検出値が、エンジンが作動状態にあり且つドアが半ドア状態にあることを示す第1状態値に達したときに(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示する(ステップS3)。その後、状況の変化に応じた経過音の発音を指示する(ステップS4〜S6)。即ち、この半ドア警報動作では、発音制御部101は、半ドア状態が検出されてからの経過時間(計時カウンター120の値)及び車速に応じて緊張感を高めるように、音の態様を変えて経過音を発音させる。また、半ドア状態で車速が上がると、更に緊張感を高める経過音を発音させる。そして、発音制御部101は、検出値が、半ドア状態が解消されたことを示す第2状態値に達したときに終了音の発音を指示する(ステップS7)。即ち、半ドア状態が検出されてから解消されるまで警報音が継続される。
【0037】
(4)タイヤ空気圧警報動作
このタイヤ空気圧警報動作では、上記各センサーのうち、タイヤ空気圧センサー113と車速センサー119からなるセンサー群を使用する。
発音制御部101は、各センサーから検出値を入力し(ステップS1)、タイヤ空気圧センサー113の検出値が空気圧の異常を示す第1状態値に達すると(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示し(ステップS3)、続いて一定時間にわたって経過音の発音を指示し(ステップS4〜S6)、終了音の発音を指示する(ステップS7)。その後、一定の時間間隔(例えば10分)で同様の発音シーケンスを繰り返す。即ち、タイヤ空気圧警報動作では、予め全体の発音時間が決められた所定の発音シーケンスを実行し、一定時間内に開始音・経過音・終了音の一連の発音を行う。車速が所定値(例えば時速60キロメートル)を超えると、再度、上記発音シーケンスを実行する。
【0038】
(5)ルームライト消し忘れ警報動作
ルームライト消し忘れ警報動作では、上記各センサーのうち、操作スイッチ状態センサー116を使用する。発音制御部101は、操作スイッチ状態センサー116の検出値を入力し(ステップS1)、この検出値が、ルームライトが点灯状態にあることを示す第1状態値であれば(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示し(ステップS3)、続いて一定時間にわたって所定の経過音の発音を指示する(ステップS4〜S6)。その後、検出値が、ルームライトの消灯を示す第2状態値に達したときに終了音の発音を指示する(ステップS7)。
【0039】
(6)方向指示灯(ウィンカー)警報動作
方向指示灯警報動作では、上記各センサーのうち、ウィンカーレバーと連動する操作スイッチ状態センサー116を使用する。発音制御部101は、操作スイッチ状態センサー116の検出値を入力し(ステップS1)、この検出値が、方向指示灯が作動を開始したことを示す第1状態値に達したときに(ステップS2;Y)、開始音「カチカチ」の発音を指示し(ステップS3)、続いて経過音として、一定時間にわたって経過音として定期的な作動音「カチ」の発音を指示し(ステップS4〜S6)、その後、上記検出値が、方向指示灯が作動を停止したことを示す第2状態値に達したときに、終了音「カチー」の発音を指示する(ステップS7)。
【0040】
(7)キー取り忘れ警報動作
キー取り忘れ警報動作では、上記各センサーのうち、ドア開閉センサー112とエンジンセンサー114と操作スイッチ状態センサー116からなるセンサー群を使用する。発音制御部101は、各センサーから検出値を入力し(ステップS1)、これらの検出値が、キーが取り忘れられた状態にあることを示す値、即ち、エンジンが作動状態になく、且つドアが開放された状態にあり、且つキーが装着された状態にあることを示す第1状態値に達したときに(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示する(ステップS3)。この場合の開始音は、運転者が、即座に気づく程度の比較的大きな音量であり、しかも不快感を伴わない音色を有する。続いて経過音の発音を指示し(ステップS4〜S6)、その後、上記検出値が、キーの装着状態が解消されたことを示す第2状態値に達したときに、解決感のある軽快な終了音の発音を指示する(ステップS7)。
【0041】
(8)シートベルト警報動作
シートベルト警報動作では、シートベルト状態センサー117とエンジンセンサー114からなるセンサー群を使用する。発音制御部101は、各センサーから検出値を入力し(ステップS1)、これらの検出値が、シートベルトが装着状態になく、且つエンジンが作動状態にあることを示す第1状態値に達したときに(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示する(ステップS3)。続いて経過音の発音を指示し(ステップS4〜S6)、その後、上記検出値が、シートベルトが装着状態になったことを示す第2状態値に達したときに、終了音の発音を指示する(ステップS7)。
【0042】
(9)前照灯警報動作
前照灯警報動作では、前照灯状態センサー118とエンジンセンサー114からなるセンサー群を使用する。発音制御部101は、上記各センサーから検出値を入力し(ステップS1)、これらの検出値が、前照灯が点灯状態にあり且つエンジンが作動状態にないことを示す第1状態値に達したときに(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示する(ステップS3)。続いて経過音の発音を指示し(ステップS4〜S6)、その後、上記検出値が、前照灯が消灯状態にあることを示す第2状態値に達したときに、終了音の発音を指示する(ステップS7)。
【0043】
(10)車速警報動作
車速警報動作では、車速センサー119を使用する。発音制御部101は、上記センサーから検出値を入力し(ステップS1)、この検出値が、車速が第1所定値(例えば指定速度+α)を上回ったことを示す第1状態値に達したときに(ステップS2;Y)、開始音の発音を指示する(ステップS3)。続いて、開始音の発音後に、車速に応じた態様の経過音を指示し(ステップS4〜S6)、その後、上記検出値が、車速が第2所定値(例えば指定速度)を下回ったことを示す第2状態値に達したときに終了音の発音を指示する(ステップS7)。
【0044】
上述の実施形態によれば、運転者は、警報対象の状況の変化や重要度を、警報音で直感的に確認することができる。
また、運転者は、警報を要する状況が発生したこと、その状況が変化したこと、その状況が去ったことを警報音によりスムーズに把握することができる。
また、警報音の発音内容をきめ細かに設定することができ、車両の高級感を演出することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態では、図3に示すステップ2の第1状態値とステップS6の第2状態値は異なるものとしたが、これらは同一の値であってもよく、これらの値は警報内容に応じて適切に設定すればよい。
【0046】
また、図3に示すステップS1のセンサーとステップS5のセンサーは、同一である必要はなく、異なるセンサーであってもよく、もちろん同一のセンサーであってもよい。どのようなセンサーの検出値を採用するかは、警報内容に応じて適切に決定すればよい。
また、上述の衝突警報動作では、前方の車両を障害物として説明したが、この障害物を歩行者に置き換え、歩行者との間の安全距離を確保するように構成してもよい。
【0047】
また、本車載警報音発生装置を車載用ナビゲーションシステムと連動させてもよい。この場合、例えば、検出手段として、車載用ナビゲーションシステムによる探索経路と車両との間の位置関係を検出するセンサーを装備し、そして、発音制御部101の制御の下に、例えば、検出値が、探索経路から車両が逸脱したことを示す第1状態値に達したときに、開始音の発音を指示し、開始音の発音後に、車両の現在位置から探索経路の合流点までの距離に応じて経過音の態様を変化させ、検出値が、探索経路に車両が復帰したことを示す第2状態値に達したときに終了音の発音を指示する。
また、探索経路上の車両の現在位置に応じて経過音の態様を変化させてもよい。これにより、運転者は、経過音の態様から現在位置を直感的に把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る車載警報音発生装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発音データの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載警報音発生装置の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
101;発音制御部、102;音源システム、103;スピーカ、111;ドアロックサンサー、112;ドア開閉センサー、113;タイヤ空気圧センサー、114;エンジンセンサー、115;衝突レーダーセンサー、116;操作スイッチ状態センサー、117;シートベルト状態センサー、118;前照灯状態センサー、119;車速センサー、120;計時カウンター、121;バス、DS;開始音データ、D1〜Dn;経過音データ、DE;終了音データ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報対象の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて警報音の発音を指示する発音制御手段と、
前記発音制御手段の指示に従い前記警報音を発音する発音手段と
を具備し、
前記発音制御手段は、前記警報音として、前記検出手段の検出結果が警報を要する第1状態値に達したときに開始音の発音を指示し、該開始音の発音後に前記検出手段の検出結果に応じて態様が変化する経過音の発音を指示し、前記検出手段の検出結果が警報を要しない第2状態値に達したときに終了音の発音を指示することを特徴とする車載警報音発生装置。
【請求項2】
前記経過音の態様は、音量、テンポ、音色、音高のうちの何れか1つ、または2つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の車載警報音発生装置。
【請求項3】
前記検出手段は、車両前方に位置する障害物との距離を検出するセンサーからなり、
前記発音制御手段は、前記距離が前記第1状態値に達したときに前記開始音の発音を指示し、該開始音の発音後に前記距離の変化に応じて前記経過音の態様を変化させ、前記距離が第2状態値に達したときに前記終了音の発音を指示することを特徴とする請求項1または2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項4】
前記検出手段は、ドアのロック状態と車速を検出するセンサー群からなり、
前記第1状態値は、前記ドアがロック状態になく且つ車速が所定値を上回ったことを示す値であり、
前記第2状態値は、前記車速が所定値を下回ったこと又はドアがロック状態になったことを示す値であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項5】
前記検出手段は、半ドア状態とエンジンの作動状態と車速と経過時間を検出するセンサー群からなり、
前記第1状態値は、前記エンジンが作動状態であり且つドアが半ドア状態になったことを示す値であり、
前記第2状態値は、前記半ドア状態が解消されたことを示す値であり、
前記発音制御手段は、前記半ドア状態が検出されてからの経過時間及び車速に応じて前記経過音の態様を変化させることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項6】
前記検出手段は、タイヤの空気圧を検出するセンサーからなり、
前記第1状態値は、前記空気圧の異常を示す値であり、
前記発音制御手段は、前記開始音に続いて前記経過音と前記終了音とを一定時間内に発音させる所定の発音シーケンスを実行することを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項7】
前記検出手段は、ルームライトの点灯状態を検出するセンサーからなり、
前記第1状態値は、前記ルームライトが点灯したことを示す値であり、
前記第2状態値は、前記ルームライトが消灯したことを示す値であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項8】
前記検出手段は、方向指示灯の作動状態を検出するセンサーからなり、
前記第1状態値は、前記方向指示灯が作動を開始したことを示す値であり、
前記第2状態値は、前記方向指示灯が作動を停止したことを示す値であり、
前記発音制御手段は、前記開始音の発音後に前記経過音として定期的な作動音の発音を指示することを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項9】
前記検出手段は、キーの装着状態とエンジンの作動状態とドアの開閉状態を検出するセンサー群からなり、
前記第1状態値は、前記エンジンが作動状態になく且つ前記ドアが開状態にあり且つ前記キーが装着状態にあることを示す値であり、
前記第2状態値は、前記キーの装着状態が解消されたことを示す値であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項10】
前記検出手段は、シートベルトの装着状態とエンジンの作動状態を検出するセンサー群であって、
前記第1状態値は、前記シートベルトが装着状態になく且つ前記エンジンが作動状態にあることを示す値であり、
前記第2状態値は、前記シートベルトが装着状態になったことを示す値であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項11】
前記検出手段は、前照灯の点灯状態とエンジンの作動状態を検出するセンサー群であって、
前記第1状態値は、前記前照灯が点灯状態にあり且つ前記エンジンが作動状態にないことを示す値であり、
前記第2状態値は、前記前照灯が消灯状態にあることを示す値であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項12】
前記検出手段は、車速を検出するセンサーであり、
前記第1状態値は、前記車速が第1所定値を上回ったことを示す値であり、
前記第2状態値は、前記車速が第2所定値を下回ったことを示す値であり、
前記発音制御部は、前記開始音の発音後に、前記車速に応じて前記経過音の態様を変化させることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項13】
前記検出手段は、車載用ナビゲーションシステムによる探索経路と車両との間の位置関係を検出するセンサーであり、
前記第1状態値は、前記車両が前記探索経路から逸脱したことを示す値であり、
前記第2状態値は、前記車両が前記探索経路に復帰したことを示す値であり、
前記発音制御部は、前記開始音の発音後に、前記車両の現在位置から前記探索経路の合流点までの距離に応じて前記経過音の態様を変化させることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項記載の車載警報音発生装置。
【請求項14】
警報対象の状態を検出する第1ステップと、
前記検出手段の検出結果に応じて警報音の発音を指示する第2ステップと、
前記指示に従って前記警報音を発音する第3ステップと
を含み、
前記第2ステップでは、前記警報音として、前記第1ステップでの検出結果が警報を要する第1状態値に達したときに開始音の発音を指示し、該開始音の発音後に前記検出結果に応じて態様が変化する経過音の発音を指示し、前記検出結果が警報を要しない第2状態値に達したときに終了音の発音を指示することを特徴とする車載警報音発生方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−207068(P2007−207068A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26764(P2006−26764)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】