説明

車輪位置検出装置、それを備えたタイヤ空気圧検出装置および送受信機

【課題】強いノイズによって車輪に取り付けられた送受信機側でトリガ信号を受信できなくなったときに、システム異常ではないのにシステム異常と判定してしまうことを防止する。
【解決手段】車輪位置検出時に第1トリガ機5aもしくは第2トリガ機5bからトリガ信号を出力しても2つの送受信機2からの応答が無いとき、ノイズ強度測定を行わせるトリガ信号を再び出力し、送受信機2に周辺のノイズ強度を測定させる。これにより、2つの送受信機2からの応答がない理由が強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためなのか、それとも送受信機2の故障や電池切れなどのシステム異常が発生によるものなのかを調べられる。したがって、システム異常ではないのにシステム異常と判定してしまうことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪が車両のどの位置に取り付けられているかを検出する車輪位置検出装置やその送受信機に関するもので、特に、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送受信機を直接取り付け、その圧力センサからの検出信号を送受信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送受信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送受信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われるようになっている。
【0003】
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信されてきたデータが自車両のものであるかどうか、および送受信機がどの車輪に取り付けられたものかを判別できるようにすることが重要になる。
【0004】
このため、特許文献1において、各送信機までの距離が異なったものとなるようトリガ機を設置し、トリガ機からトリガ信号を出力したときにトリガ信号の強度が距離に応じて減衰することを利用して各送信機がどの車輪に取り付けられたものかを特定する車輪位置検出装置が提案されている。具体的には、トリガ機からトリガ信号を送信させると共に、各送信機でトリガ信号の受信強度を測定させたのち、各送信機で測定されたトリガ信号の受信強度を示したデータを車体に備えられた受信機側に送信させ、受信機側で各送受信機で測定されたトリガ信号の受信強度の大きさに基づいて、各送信機がどの車輪に取り付けられたものかを特定する。
【特許文献1】特開2007−15491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トリガ信号の強度がノイズ強度よりも弱い場合、送受信機側でトリガ信号を受信することができなくなる。このため、ノイズ強度が大きい場合、トリガ機から遠くに配置された送受信機でトリガ信号が受信できなくなることが懸念される。このように送受信機はトリガ信号を受信できないと、送受信機はトリガ信号の受信強度を示すデータを受信機側に送ることができなくなる。
【0006】
この場合、送受信機からトリガ信号の受信強度を示すデータが送られてくるまで受信機側でトリガ機からトリガ信号を出力させる処理を繰り返すことになるが、それでも送受信機からトリガ信号の受信強度を示すデータが送られてこなければ、受信機でシステム異常が発生していると判定されることになる。これにより、受信機でシステム異常を示す警報が出力され、ドライバに対してシステム異常が通知される。
【0007】
ところが、このように強いノイズによって送受信機でトリガ信号が受信できなくなった場合、実際にはシステム異常ではないため、車両が強いノイズを受ける環境から抜け出した後、再び通常通り車輪位置検出を行うことが可能になる。それにも拘わらず、上記のように受信機でシステム異常が発生していると判定してシステム異常を示す警報を出力することになるため、誤警報した事になるという問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、強いノイズによって車輪に取り付けられた送受信機側でトリガ信号を受信できなくなったときに、システム異常ではないのにシステム異常と判定してしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明では、車輪位置検出装置において、受信機(3)の第2制御部(33)は、トリガ機(5)からトリガ信号を出力させたときに受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、該ノイズ強度測定指令信号を送受信機(2)に受信させることでノイズ強度を測定させると共に、送受信機からノイズ強度データを格納したフレームを出力させ、該フレームに格納されたノイズ強度データが示すノイズ強度が予め記憶しておいた閾値以下であれば警報部にてシステム異常であると警報させ、ノイズ強度が閾値を超えていれば警報部(4)によるシステム異常であるとの警報を行わないことを第1の特徴としている。
【0010】
このように、車輪位置検出時にトリガ機からトリガ信号を出力しても送受信機からの応答が無かったときには、ノイズ強度測定を行わせ、送受信機に周辺のノイズ強度を測定させるようにしている。これにより、送受信機からの応答がない理由が強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためなのか、それとも送受信機の故障や電池切れなどのシステム異常が発生によるものなのかを調べることが可能となる。したがって、強いノイズによって車輪に取り付けられた送受信機側でトリガ信号を受信できなくなったときに、システム異常ではないのにシステム異常と判定してしまうことを防止できる。
【0011】
例えば、後輪2輪よりも前輪2輪側に配置されると共に前輪2輪を構成する右前輪(6a)と左前輪(6b)から異なる距離に配置された第1トリガ機(5a)と、前輪2輪よりも後輪2輪側に配置されると共に後輪2輪を構成する右後輪(6c)と左後輪(6d)から異なる距離に配置された第2トリガ機(5b)とを有したものとしてトリガ機を構成する場合、受信機の第2制御部は、第1トリガ機からトリガ信号を出力しても前輪2輪に取り付けられた送受信機のいずれかから受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、第1トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、第2トリガ機からトリガ信号を出力しても後輪2輪に取り付けられた送受信機のいずれかから受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、第2トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させることができる。
【0012】
この場合、受信機の第2制御部は、第1トリガ機および第2トリガ機の双方に対してノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させても良い。
【0013】
また、本発明では、車輪位置検出装置において、受信機の第2制御部は、車輪位置検出に先立ち、トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、該ノイズ強度測定指令信号を送受信機に受信させることでノイズ強度を測定させると共に、送受信機からノイズ強度データを格納したフレームを出力させ、該フレームに格納されたノイズ強度データが示すノイズ強度が予め記憶しておいた閾値以下であれば車輪位置検出を行うべくトリガ機からトリガ信号を出力させ、ノイズ強度が閾値を超えていれば車輪位置検出を行わないことを第2の特徴としている。
【0014】
このように、車輪位置検出に先立ち、予めノイズ強度測定処理を行うようにしている。そして、ノイズ強度測定処理により、強いノイズが発生していると判定された場合には車輪位置検出処理を行わないようにし、強いノイズが発生していないと判定された場合にのみ車輪位置検出処理を行うようにしている。このため、車輪位置検出を的確に行うことが可能となり、この場合に送受信機からトリガ信号に対する応答が戻ってこなかった場合にはシステム異常に起因するものであると判定できる。このため、結果的に、強いノイズによって車輪に取り付けられた送受信機側でトリガ信号を受信できなくなるような状況を防ぐことができ、システム異常ではないのにシステム異常と判定してしまうことを防止できる。
【0015】
例えば、受信機の第2制御部は、車輪位置検出に先立ち、第1トリガ機および第2トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させることができる。
【0016】
さらに、本発明では、車輪位置検出装置において、受信機の第2制御部は、トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、該ノイズ強度測定指令信号を送受信機に受信させることでノイズ強度を測定させると共に、送受信機からノイズ強度データを格納したフレームを出力させ、該フレームに格納されたノイズ強度データが示すノイズ強度が予め記憶しておいた閾値以下であるか否かに基づいて車輪位置検出が行えない強いノイズが発生しているか否かを判定することを第3の特徴としている。
【0017】
このように、送受信機に周辺のノイズ強度を測定させ、このノイズ強度データを受信機の第2制御部に伝えることで、車輪位置検出が行えない強いノイズが発生しているか否かを判定することが可能となる。したがって、この判定結果に基づいて、システム異常であるという警報を行うか否かの判定や、車輪位置検出を行って良いか否かの判定を行うことが可能である。
【0018】
なお、ここで説明したノイズとしては、例えば、100〜200kHz帯域のノイズが特に送受信機でのトリガ信号受信に影響を与えると考えられるため、この帯域のノイズ強度を送受信機に測定させるのが好ましい。
【0019】
以上の説明では、本発明を車輪位置検出装置として示したが、この車輪位置検出装置を
タイヤ空気圧検出装置に組み込むことも可能である。
【0020】
また、このような車輪位置検出装置に適用される送受信機として、車体(7)側に備えられたトリガ機(5)から出力されたノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を受信すると、ノイズ強度を測定すると共に、ノイズ強度データを格納したフレームを出力するものを用いることができる。
【0021】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0024】
図1に示されるように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送受信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機5を備えて構成されている。本実施形態では、これら送受信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機5が本発明の車輪位置検出装置を構成している。
【0025】
送受信機2は、車両1における4つの車輪6a〜6dそれぞれに取り付けられるもので、各車輪6a〜6dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信するフレーム内に格納して送信するものである。また、受信機3は、車両1における車体7側に取り付けられるもので、送受信機2から送信されるフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。図2(a)、(b)に、これら送受信機2と受信機3のブロック構成を示す。
【0026】
図2(a)に示されるように、送受信機2は、センシング部21、制御部22、RF送信部23、電池24、トリガ信号受信部25、送信アンテナ26および受信アンテナ27を備えて構成されている。
【0027】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号をタイヤ空気圧に関する検出信号として出力するようになっている。
【0028】
制御部(第1制御部)22は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0029】
具体的には、制御部22は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、検出結果を示すデータ(以下、タイヤ空気圧に関するデータという)として各送受信機2のID情報と共に送信するフレーム内に格納し、その後、フレームをRF送信部23に送るものである。このRF送信部23へ信号を送る処理は、上記プログラムに従って所定の周期毎に実行される。
【0030】
この制御部22は、イグニッションスイッチがオフの際には通常時はSleep状態になっているが、トリガ信号を受け取り、トリガ信号に含まれる起動コマンドが入力されると、Wake−up状態に切り替わる。また、制御部22には、信号強度測定部22aが備えられており、この信号強度測定部22aにてトリガ信号や周辺のノイズの強度を測定する。例えば、受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じてトリガ機5からのトリガ信号を受け取り、Wake−up状態になると、信号強度測定部22aにてトリガ信号の受信強度を測定する。そして、制御部22は、必要に応じて受信強度データを加工し、その受信強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納した後、フレームをRF送信部23に送る。これらトリガ信号の受信強度の測定や受信強度データをRF送信部23へ送る処理も、上記プログラムに従って行われる。
【0031】
また、制御部22は、フレームをRF送信部23に送るタイミングを制御する。これは、各送受信機2からの送信データ同士でのバッティングを防ぐためである。例えば、トリガ信号を受け取ってから何秒後にフレームを送るかという送信タイミングが、予め各送受信機2毎に異なるもので設定されている。このため、各車輪6a〜6dの送受信機2から、それぞれ異なったタイミングでフレームが送信されるようになっている。
【0032】
ただし、各車輪6a〜6dの送受信機2から異なるタイミングでフレームが送信されるようにするために、単に、各送受信機2の制御部22に異なった送信タイミングを記憶させただけでは、各送受信機2の記憶内容が異なったものとなってしまう。このため、受信強度に応じてフレームの送信タイミングがずらされるように、例えば、受信強度に応じて送信タイミングが選択できるマップ、もしくは、送信強度を変数として送信タイミングを求める関数式を制御部22に記憶させておき、受信強度の相違により必然的に各送受信機2の送信タイミングが異なるようにすれば、すべての送受信機2の制御部22のプログラムを共通にすることが可能となる。
【0033】
また、送信タイミングが毎回ランダムに変更されるように、制御部22に記憶させるプログラムを設定しても良い。このように、毎回ランダムに変更されるようにすれば、高い確率で各送受信機2の送信タイミングがすべて異なったものになるようにすることが可能である。
【0034】
RF送信部23は、送信アンテナ26を通じて、制御部22から送られてきたフレームを受信機3に向けてRF帯、例えば315MHzの電波で送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0035】
トリガ信号受信部25は、受信アンテナ27を通じて、トリガ信号を受け取り、制御部22に送る入力部としての機能を果たすものである。
【0036】
電池24は、制御部22などに対して電力供給を行うものであり、この電池24からの電力供給を受けて、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22での各種演算などが実行される。
【0037】
このように構成される送受信機2は、例えば、各車輪6a〜6dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、各送受信機2に備えられた送信アンテナ26を通じて、所定周期毎(例えば、1分毎)にフレームを送信するようになっている。
【0038】
また、図2(b)に示されるように、受信機3は、アンテナ31とRF受信部32および制御部33を備えた構成となっている。
【0039】
アンテナ31は、各送受信機2から送られてくるフレームを総括的に受け取る1本の共通アンテナとなっており、車体7に固定されている。
【0040】
RF受信部32は、各送受信機2から送信されたフレームがアンテナ31で受信されると、それを入力して制御部33に送る入力部としての機能を果たすものである。
【0041】
制御部33は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0042】
具体的には、制御部33は、トリガ機5に対してトリガ信号を出力させることを指令するトリガ指令信号を出力すると共に、RF受信部32が受信したフレームを受け取り、フレームに格納された各送受信機2でのトリガ信号の受信強度データに基づいて、送られてきたフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送受信機2のものかを特定する車輪位置検出を行う。そして、制御部33は、トリガ機5からトリガ信号を出力させたのち、送受信機2からトリガ信号の受信強度データが格納されたフレームが返ってこないことが複数回繰り返されると、それがノイズのためかシステム異常のためかを検証し、システム異常のためであった場合にはその旨を表示器4に出力する。
【0043】
さらに、制御部33では、受け取ったフレームに格納された検出結果を示すデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部33は、求めたタイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較し、タイヤ空気圧が低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。これにより、4つの車輪6a〜6dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0044】
表示器4は、警報部に相当するものであり、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部33からシステム異常であることを示す信号やタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにシステム異常が発生していることやタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0045】
トリガ機5は、受信機3の制御部33から送られてくるトリガ指令信号が入力されると、例えば、125〜135kHzのLF帯であって、所定の信号強度を有するトリガ信号を出力するものである。本実施形態では、トリガ機5は、前輪側に配置された第1トリガ機5aと、後輪側に配置された第2トリガ機5bの2台により構成されている。
【0046】
図3(a)は、車輪位置検出時のトリガ信号を構成するフレーム構造の一例を示した図である。この図に示されるように、例えば、トリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、コマンド部とトリガ信号の強度測定用の信号とを並べた形態とされる。コマンド部には、起動コマンドと実行コマンドが含まれる。起動コマンドは、送受信機2内の制御部22をSleep状態からWake−up状態に切り替えるためのコマンドとして予め取り決められる。実行コマンドは、受け取ったトリガ信号の受信強度を測定させると共に、必要に応じて受信強度データを加工させ、その受信強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納させた後、フレームをRF送信部23に送らせるという動作指示を行う。図3(b)は、車輪位置検出時に各送受信機2で作成される応答用のフレーム構造の一例を示した図である。この図に示すように、各送受信機2のID情報と共に、トリガ信号の受信強度データやタイヤ空気圧に関するデータ(タイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータ)がフレームに格納される。このフレームが各送受信機2から受信機3に送信されることで、受信機3側でノイズ強度を把握することが可能となる。強度測定用の信号は、コマンドを付していないダミー信号であり、変調されている信号でも変調されていない単なるキャリア信号でも良い。
【0047】
なお、ここで示したトリガ信号は一例であり、トリガ信号が他の形態とされていても良い。
【0048】
各トリガ機5a、5bは、対応する各車輪に対して異なる距離となるように、車両1を左右対称に分断する中心線に対してオフセットされて配置される。本実施形態では、第1トリガ機5aは左前輪6bの近傍に配置され、第2トリガ機5bは左後輪6dの近傍に配置されており、両者は共に中心線よりも左側に配置されている。このため、第1トリガ機5aから右前輪6aまでの距離の方が、第1トリガ機5aから左前輪6bまでの距離よりも長く、第2トリガ機5bから右後輪6cまでの距離の方が、第2トリガ機5bから左後輪6dまでの距離よりも長くなっている。
【0049】
また、両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2から第1トリガ機5aまでの距離は、両前輪6a、6bが回転したとしても、第2トリガ機5bまでの距離よりも必ず短くなり、両後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2から第2トリガ機5bまでの距離は、両後輪6c、6dが回転したとしても、第1トリガ機5aまでの距離よりも必ず短くなるように、第1、第2トリガ機5a、5bの搭載位置が決められている。
【0050】
なお、トリガ機5は、周囲すべてが金属で覆われていない場所であればどこに搭載されていても構わないが、できるだけ金属で覆われないような場所、かつ、走行中に石等が当らないような例えばライナー内や車室内などに搭載されているのが好ましい。
【0051】
以上のようにして、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0052】
続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。タイヤ空気圧検出装置は、まず、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わってから所定時間後に車輪位置検出を行う。この車輪位置検出は、受信機3の制御部33が車輪位置検出処理を実行することにより行われる。
【0053】
図4は、受信機3の制御部33が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。この車輪位置検出処理は、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わり、受信機3の制御部33に対して電源投入が行われたときに実行される。
【0054】
ステップ100では、電源投入から所定時間経過後に、第1トリガ機5aに向けてトリガ指令信号を出力する。このトリガ指令信号が第1トリガ機5aに入力されると、第1トリガ機5aから左右前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2に向けて、所定の信号強度を有するトリガ信号が出力される。
【0055】
このトリガ信号が左右前輪6a、6bに取り付けられた各送受信機2の受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じて、制御部22に入力されると、制御部22がWake−up状態となり、信号強度測定部22aにて、受け取ったトリガ信号の受信強度を測定する。
【0056】
また、各送受信機2は、トリガ信号の受信強度を求めると、それを各送受信機2の区別のために付けられるID情報と共に送信するフレームに格納し、そのフレームを受信機3に向けて送信する。このとき、各送受信機2の送信タイミングは、それぞれ異なったものとされていることから、受信機3により各送受信機2から送られてくるフレームを混信することなく確実に受信できる。
【0057】
続いて、ステップ110では、第1トリガ機5aから出力されたトリガ信号に対して、2個の送受信機2が応答したか否かを判定する。ここでいう2個の送受信機2とは、両前輪6a、6bに取り付けられたもののことを意味する。
【0058】
基本的には、第1トリガ機5aからトリガ信号を出力した場合、両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2でトリガ信号が受信される。しかしながら、強いノイズが発生しているような環境下、例えば妨害電波を放射している施設・設備近くに駐車しているなど、車両の周辺環境から送受信機2でトリガ信号を受信できなくなる可能性がある。そして、両前輪6a、6bに取り付けられた2個の送受信機2のうち少なくとも一方がトリガ信号を受信できなくなると、2個のフレームを受信できなくなり、2個の送受信機2からの応答が有ると判定できなくなる。この場合には、ステップ110で否定判定され、上記各処理をリトライすべく、ステップ120に進むと共に、制御部33に内蔵された図示しないカウンタのカウント値を1つインクリメントしてリトライ回数を記憶しておく。
【0059】
そして、ステップ120において、リトライ回数が5回以下であるか否かを判定し、5回以下であればステップ100に戻ってリトライし、5回を超えていればリトライせずに、ステップ180に進み、2つの送受信機2からの応答がない理由を調べる処理を行う。この処理に関しては後で詳細に説明する。
【0060】
一方、ステップ110で肯定判定されると、ステップ130に進み、受信したフレームに格納された受信強度データに基づいて輪位置を割り付ける。具体的には、ステップ110において受信した2個のフレームから受信強度データおよびID情報を読み出し、受信強度の高い順にID情報を並べ、受信強度が高い方のID情報を左前輪6bに取り付けられた送受信機2のもの、受信強度が低い方のID情報を右前輪6aに取り付けられた送受信機2のものであると判別する。そして、各フレームに格納されたID情報を送受信機2が取り付けられた右前輪6a、左前輪6bと対応付けて、制御部33内のメモリに記憶(登録)する。
【0061】
その後、ステップ140に進む。そして、ステップ140において第2トリガ機5bに向けてトリガ指令信号を出力することにより、ステップ150、160の各処理で後輪6c、6d側に関して上記ステップ110、120に示した各処理と同様のことを実行する。これら各処理については前輪6a、6b側に対して実行したものと全く同じことであるため、ここでは説明を省略するが、これら各処理を実行することにより、両後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2から正常にトリガ信号の受信強度データが送られてきているか否かを確認することができる。
【0062】
そして、上記ステップ130と同様に、ステップ170において、受信した2個のフレームから受信強度データおよびID情報を読み出し、受信強度の高い順にID情報を並べ、受信強度が高い方のID情報を左後輪6dに取り付けられた送受信機2のもの、受信強度が低い方のID情報を右後輪6cに取り付けられた送受信機2のものであると判別する。そして、各フレームに格納されたID情報を送受信機2が取り付けられた右後輪6c、左後輪6dと対応付けて、制御部33内のメモリに記憶(登録)する。このようにして、車輪位置検出が行える。
【0063】
ただし、上述したステップ120やステップ160において、リトライ回数が5回に到達しても2つの送受信機2から応答が無いと判定された場合には、ステップ180以降において、2つの送受信機2からの応答がない理由を調べる処理を行う。
【0064】
具体的には、ステップ180では、2つの送受信機2からの応答がない理由が強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためなのか、それとも送受信機2の故障や電池切れなどのシステム異常が発生によるものなのかを調べるべく、第1、第2トリガ機5a、5bに対してノイズ強度測定コマンドを含んだトリガ信号(ノイズ強度測定指令信号)を送信する指示を出す。これにより、送受信機2の制御部22に備えられた信号強度測定部22aにて周囲のノイズ強度を測定させる。特に、車輪位置検出時に用いるトリガ信号を125〜135kHzとする場合、100〜200kHz帯域のノイズによる影響を受けやすいため、この帯域のノイズ強度を測定させる。
【0065】
このとき、2つの送受信機2からの応答がない理由が強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためであれば、ノイズ強度測定コマンドを含んだトリガ信号も受信されない可能性が高い。しかしながら、ノイズが原因でトリガ信号を受信できないのは第1、第2トリガ機5a、5bから遠い位置にある右前輪6aおよび右後輪6cに取り付けられた送受信機2である可能性が高く、少なくとも第1、第2トリガ機5a、5bから近い位置にある左前輪6bおよび左後輪6dに取り付けられた送受信機2にトリガ信号を受信させることができる。また、ノイズが原因の場合、特に走行中の場合には、そのノイズが広範囲にわたって発生している可能性が高く、第1、第2トリガ機5a、5bから近い位置にある左前輪6bおよび左後輪6dに取り付けられた送受信機2でノイズ強度測定を行えば、第1、第2トリガ機5a、5bから遠い位置にある左前輪6bおよび左後輪6dに取り付けられた送受信機2に影響を与えるノイズを測定することと同義に捉えることができる。
【0066】
図5(a)は、ノイズ強度測定時のトリガ信号を構成するフレーム構造の一例を示した図である。この図に示されるように、例えば、トリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、コマンド部のみが含まれた形態とされる。コマンド部には、起動コマンドと実行コマンドが含まれる。起動コマンドは、車輪位置検出時と同様であり、実行コマンドは周辺のノイズの強度を測定させると共に、必要に応じてノイズ強度データを加工させ、そのノイズ強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納させた後、フレームをRF送信部23に送らせるという動作指示を行う。図5(b)は、ノイズ強度測定時に各送受信機2で作成される応答用のフレーム構造の一例を示した図である。この図に示すように、各送受信機2のID情報と共に、ノイズ強度データやタイヤ空気圧に関するデータ(タイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータ)がフレームに格納される。このフレームが各送受信機2から受信機3に送信されることで、受信機3側でノイズ強度を把握することが可能となる。
【0067】
なお、ここで示したトリガ信号も一例であり、トリガ信号が他の形態とされていても良い。
【0068】
このように各送受信機2にノイズ強度測定を行わせたのち、ステップ190に進み、各送受信機2が送信してきたフレームを受信し、フレーム内に格納されたノイズ強度データを読み出して、ノイズ強度が閾値以下であるか否かを判定する。ここでいう閾値は、2つの送受信機2からの応答がない理由が強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためであるか、それとも送受信機2の故障や電池切れなどのシステム異常が発生によるものなのかの判定基準に相当する。
【0069】
ノイズ強度が強ければ、2つの送受信機2からの応答がない理由が強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためと考えられる。このため、このステップで否定判定された場合には、上記各処理をリトライすべくステップ200に進むと共に、制御部33に内蔵された図示しないカウンタのカウント値を1つインクリメントしてリトライ回数を記憶しておく。そして、ステップ200において、リトライ回数が5回以下であるか否かを判定し、5回以下であればステップ180に戻ってリトライし、5回を超えていれば2つの送受信機2からの応答がない理由が確実に強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためであるとしてリトライを止め、システム異常との表示を行うことなく処理を終了する。
【0070】
逆に、ノイズ強度が強くなければ、2つの送受信機2からの応答がない理由が送受信機2の故障や電池切れなどのシステム異常が発生によるものと考えられる。このため、このステップで肯定判定された場合には、ステップ210に進み、表示器4に対してシステム異常であることを示す信号を出力する。
【0071】
このようにして、車輪位置検出処理が完了する。このような車輪位置検出処理により、車輪位置検出を的確に行えると共に、車輪位置検出が行えない場合に、それが強いノイズが発生しているためかシステム異常が発生しているためかを判定することが可能となる。そして、受信機3は、後述するタイヤ空気圧検出を行う場合に、タイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームが送信されてくると、そのフレーム内に格納されたID情報からフレームを送った送受信機2が4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものであるかを判別し、各車輪6a〜6dのタイヤ空気圧を求めることが可能となる。
【0072】
これに基づき、タイヤ空気圧検出装置は、以下のようにしてタイヤ空気圧検出を行う。具体的には、タイヤ空気圧検出装置は車輪位置検出処理終了後に定期送信モードとなり、上述したように、各送受信機2では、制御部22に、センシング部21からのタイヤ空気圧やタイヤ内の温度を示す検出信号が入力される。そして、この検出信号が必要に応じて信号処理されることでタイヤ空気圧に関するデータとされ、各送受信機2のID情報と共に送信するフレームに格納されたのち、所定周期毎にRF送信部23を通じて受信機3側に送信される。
【0073】
一方、送受信機2からフレームが送信されると、それが受信機3のアンテナ31にて受信され、受信部32を通じて制御部33に入力される。そして、制御部33において、受信したフレームからタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータが抽出され、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正がなされ、タイヤ空気圧が求められる。このとき、フレーム内にID情報が格納されているため、車輪位置検出の際に記憶されたID情報と照合され、そのフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送受信機2から送られてきたものかが判別される。
【0074】
そして、求められたタイヤ空気圧と前回求められたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えていないようなタイヤ空気圧の変化が少ない場合には、タイヤ空気圧を検出する周期がそのまま(例えば1分間毎)とされ、所定のしきい値を超えてタイヤ空気圧の変化が大きい場合には、その周期が早められる(例えば5秒間毎)。
【0075】
この後、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部33から表示器4にその旨を示す信号が出力され、タイヤ空気圧が低下したのが4つの車輪6a〜6dのいずれであるかが特定できる形態で、表示器4に表示される。これにより、ドライバに車輪6a〜6dのいずれのタイヤ空気圧が低下したかを知らせることが可能となる。
【0076】
最後に、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わると、再び受信機3の制御部33からトリガ機5にトリガ指令信号が出力され、トリガ機5からトリガ信号が出力される。このトリガ信号が受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じて制御部22に入力されると、送受信機2がSleep状態に切り替わる。これにより、タイヤ空気圧検出装置のタイヤ空気圧検出が終了になる。
【0077】
以上説明した本実施形態の車輪位置検出装置を備えたタイヤ空気圧検出装置によれば、車輪位置検出時に第1トリガ機5aもしくは第2トリガ機5bからトリガ信号を出力した際に、2つの送受信機2からの応答が無かった場合、ノイズ強度測定を行わせるトリガ信号を再び出力し、送受信機2に周辺のノイズ強度を測定させるようにしている。これにより、2つの送受信機2からの応答がない理由が強いノイズが発生しているような環境下に継続的に曝されているためなのか、それとも送受信機2の故障や電池切れなどのシステム異常が発生によるものなのかを調べることが可能となる。したがって、強いノイズによって車輪6a〜6dに取り付けられた送受信機2側でトリガ信号を受信できなくなったときに、システム異常ではないのにシステム異常と判定してしまうことを防止できる。
【0078】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、車輪位置検出時に第1トリガ機5aもしくは第2トリガ機5bからトリガ信号を出力し、2つの送受信機2からの応答が無かった場合に、ノイズ強度測定を行わせるようにした。これに対し、本実施形態では、車輪位置検出前に予めノイズ強度測定を行わせるようにする。なお、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、受信機3の制御部33で実行するノイズ強度測定に関する処理のみが第1実施形態と異なるものであるため、その部分についてのみ説明する。
【0079】
図6は、受信機3の制御部33が実行する車輪位置検出前のノイズ強度測定処理のフローチャートである。このノイズ強度測定処理は、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わり、受信機3の制御部33に対して電源投入が行われたときに実行される。
【0080】
ステップ300では、電源投入から所定時間経過後に、第1、第2トリガ機5a、5bに向けてトリガ指令信号を出力する。このトリガ指令信号が第1、第2トリガ機5a、5bに入力されると、第1、第2トリガ機5a、5bから左右前輪6a、6bおよび左右後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2に向けて、所定の信号強度を有するトリガ信号が出力される。このときのトリガ信号は、上記第1実施形態で説明したトリガ測定コマンドを含んだものとされ、例えば上記した図5(a)に示すものが用いられる。これにより、各送受信機2にノイズ強度測定を行わせることができる。そして、各送受信機2からトリガ信号に対する応答として例えば図5(b)に示すフレームが送信される。
【0081】
この後、ステップ310に進み、各送受信機2が送信してきたフレームを受信し、フレーム内に格納されたノイズ強度データを読み出して、ノイズ強度が閾値以下であるか否かを判定する。ここでいう閾値は、強いノイズが発生していて車輪位置検出を行った場合に送受信機2から応答が戻ってこない可能性があるか否かの判定基準に相当する。
【0082】
ノイズ強度が強く、ステップ310で否定判定されれば、車輪位置検出を行った場合に送受信機2から応答が戻ってこない可能性がある。このため、このステップで否定判定された場合には、上記各処理をリトライすべく、ステップ320に進むと共に、制御部33に内蔵された図示しないカウンタのカウント値を1つインクリメントしてリトライ回数を記憶しておく。そして、ステップ320において、リトライ回数が5回以下であるか否かを判定し、5回以下であればステップ300に戻ってリトライし、5回を超えていればリトライを止め、車輪位置検出を行わないようにする。
【0083】
一方、ノイズ強度が弱く、ステップ310で肯定判定されれば、車輪位置検出を行うべく、ステップ330に進む。そして、車輪位置検出処理を実行する。なお、本実施形態の車輪位置検出処理は、第1実施形態で説明した車輪位置検出処理のうちのステップ180、190の処理を無くし、ステップ120、160で否定判定されたときに直接ステップ200におけるシステム異常を示す信号を表示機4に出力すれば良い。
【0084】
以上説明した本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、車輪位置検出に先立ち、予めノイズ強度測定処理を行うようにしている。そして、ノイズ強度測定処理により、強いノイズが発生していると判定された場合には車輪位置検出処理を行わないようにし、強いノイズが発生していないと判定された場合にのみ車輪位置検出処理を行うようにしている。このため、車輪位置検出を的確に行うことが可能となり、この場合に送受信機2からトリガ信号に対する応答が戻ってこなかった場合にはシステム異常に起因するものであると判定できる。このため、結果的に、強いノイズによって車輪6a〜6dに取り付けられた送受信機2側でトリガ信号を受信できなくなるような状況を防ぐことができ、システム異常ではないのにシステム異常と判定してしまうことを防止できる。
【0085】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、第1、第2トリガ機5a、5bからトリガ信号を出力したときに、前輪2輪6a、6bに取付けられた送受信機2のいずれか、もしくは、後輪2輪6c、6dに取付けられた送受信機2のいずれかから応答が戻ってこなかった場合に、第1、第2トリガ機5a、5bの双方からノイズ強度測定コマンドを含むトリガ信号を出力させているが、応答が戻ってこなかった側のトリガ機5のみからノイズ強度測定コマンドを含むトリガ信号を出力させるようにしても良い。
【0086】
上記実施形態では、アンテナ31が1本の共通アンテナとされる形態について説明したが、各車輪6a〜6dそれぞれに対応して4本設けられるような形態であっても構わない。ただし、アンテナ31が共通アンテナとされた場合に、特に、送受信機2が取り付けられた車輪6a〜6dの特定が困難となることから、共有アンテナとされる場合に本発明を適用すると有効である。
【0087】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わってから所定時間後に車輪位置検出を行うようにしている。このため、運転者が車両1の走行を行う前に、仮に見た目は何もタイヤに変化が無かったとしても、前以てタイヤがパンクしていること、もしくは、タイヤ空気圧が以上に減少していることを検出することが可能となる。しかしながら、これ以外のときに車輪位置検出を行っても良い。例えば、タイヤローテーション後やタイヤ交換後などに行っても良い。タイヤローテーションやタイヤ交換したことは、例えば車両に設置された図示しない車輪位置検出用のスイッチが押されたり、車体に傾斜センサを設置して、車体7の傾斜を検出したことに基づいて判別できる。
【0088】
また、上記第1実施形態では、第1、第2トリガ機5a、5bという2つのトリガ機5を用いた場合について説明したが、トリガ機5を1つとして、そのトリガ機5を4つの車輪6a〜6dそれぞれに取り付けられた送受信機2から異なる距離となるように配置する形態に対して本発明を適用しても良い。また、第1実施形態では、第1、第2トリガ機5bを両方とも車両1の左側に配置した場合を示したが、右側に配置しても良い。
【0089】
さらに、上記実施形態では、第1トリガ機5aを両前輪6a、6b側に配置し、第2トリガ機5bを両後輪6c、6d側に配置している。そして、左右前輪6a、6bを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、左右後輪6c、6dを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにした。これに対して、第1トリガ機5aを両左車輪6b、6d側に配置すると共に、第2トリガ機5bを両右車輪6a、6c側に配置し、両左車輪6b、6dを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、両右車輪6a、6cを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにしても構わない。この場合、第1トリガ機5aを両左車輪6b、6dのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置し、第2トリガ機5bが両右車輪6a、6cのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置するようにすれば、第1、第2トリガ機5a、5bからトリガ信号を出力したときに、その受信強度が異なった値となるため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、上記実施形態では、4輪車両に対して本発明の一実施形態を適用したものについて説明したが、4輪車両に限るものではなく、大型車両のようにそれ以上の車輪が備えられた車両の車輪位置検出装置やタイヤ空気圧検出装置に対して本発明を適用することもできる。
【0091】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置の送受信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図3】(a)は、車輪位置検出時のトリガ信号を構成するフレーム構造の一例を示した図であり、(b)は、車輪位置検出時に各送受信機で作成される応答用のフレーム構造の一例を示した図である。
【図4】受信機の制御部が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。
【図5】(a)は、ノイズ強度測定時のトリガ信号を構成するフレーム構造の一例を示した図であり、(b)は、ノイズ強度測定時に各送受信機で作成される応答用のフレーム構造の一例を示した図である。
【図6】受信機3の制御部33が実行する車輪位置検出前のノイズ強度測定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1…車両、2…送受信機、3…受信機、4…表示器、5…トリガ機、5a…第1トリガ機、5b…第2トリガ機、6a…右前輪、6b…左前輪、6c…右後輪、6d…左後輪、7…車体、21…センシング部、22…制御部、22a…トリガ信号強度測定部、23…RF送信部、24…電池、25…トリガ信号受信部、26…送信アンテナ、27…受信アンテナ、31…アンテナ、32…RF受信部、33…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を求めると共に、求めた受信強度を表す受信強度データをフレームに格納する第1制御部(22)と、前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有してなる送受信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32)と、該フレームに格納された前記受信強度データが表す前記受信強度に基づいて、前記送受信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する車輪位置検出を行う第2制御部(33)を備えた受信機(3)と、
システム異常が発生したことを警報する警報部(4)と、を有し、
前記受信機の前記第2制御部は、前記トリガ機から前記トリガ信号を出力させたときに前記受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、前記トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、該ノイズ強度測定指令信号を前記送受信機に受信させることでノイズ強度を測定させると共に、前記送受信機から前記ノイズ強度データを格納したフレームを出力させ、該フレームに格納されたノイズ強度データが示すノイズ強度が予め記憶しておいた閾値以下であれば前記警報部にてシステム異常であると警報させ、前記ノイズ強度が前記閾値を超えていれば前記警報部によるシステム異常であるとの警報を行わないことを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項2】
前記複数個の車輪は前輪2輪(6a、6b)と後輪2輪(6c、6d)を含み、
前記トリガ機は、前記後輪2輪よりも前記前輪2輪側に配置されると共に前記前輪2輪を構成する右前輪(6a)と左前輪(6b)から異なる距離に配置された第1トリガ機(5a)と、前記前輪2輪よりも前記後輪2輪側に配置されると共に前記後輪2輪を構成する右後輪(6c)と左後輪(6d)から異なる距離に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、
前記受信機の前記第2制御部は、前記第1トリガ機から前記トリガ信号を出力しても前記前輪2輪に取り付けられた前記送受信機のいずれかから前記受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、前記第1トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、前記第2トリガ機から前記トリガ信号を出力しても前記後輪2輪に取り付けられた前記送受信機のいずれかから前記受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、前記第2トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させることを特徴とする請求項1に記載の車輪位置検出装置。
【請求項3】
前記受信機の前記第2制御部は、前記第1トリガ機から前記トリガ信号を出力しても前記前輪2輪に取り付けられた前記送受信機のいずれかから前記受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、もしくは、前記第2トリガ機から前記トリガ信号を出力しても前記後輪2輪に取り付けられた前記送受信機のいずれかから前記受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、前記第1トリガ機および前記第2トリガ機の双方に対してノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させることを特徴とする請求項2に記載の車輪位置検出装置。
【請求項4】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を求めると共に、求めた受信強度を表す受信強度データをフレームに格納する第1制御部(22)と、前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有してなる送受信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32)と、該フレームに格納された前記受信強度データが表す前記受信強度に基づいて、前記送受信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する車輪位置検出を行う第2制御部(33)を備えた受信機(3)と、
システム異常が発生したことを警報する警報部(4)と、を有し、
前記受信機の前記第2制御部は、前記トリガ機から前記トリガ信号を出力させたときに前記受信強度データが格納されたフレームが戻ってこないとき、前記警報部にてシステム異常であると警報を行うようになっており、
前記受信機の前記第2制御部は、前記車輪位置検出に先立ち、前記トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、該ノイズ強度測定指令信号を前記送受信機に受信させることでノイズ強度を測定させると共に、前記送受信機から前記ノイズ強度データを格納したフレームを出力させ、該フレームに格納されたノイズ強度データが示すノイズ強度が予め記憶しておいた閾値以下であれば前記車輪位置検出を行うべく前記トリガ機から前記トリガ信号を出力させ、前記ノイズ強度が前記閾値を超えていれば前記車輪位置検出を行わないことを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項5】
前記複数個の車輪は前輪2輪(6a、6b)と後輪2輪(6c、6d)を含み、
前記トリガ機は、前記後輪2輪よりも前記前輪2輪側に配置されると共に前記前輪2輪を構成する右前輪(6a)と左前輪(6b)から異なる距離に配置された第1トリガ機(5a)と、前記前輪2輪よりも前記後輪2輪側に配置されると共に前記後輪2輪を構成する右後輪(6c)と左後輪(6d)から異なる距離に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、
前記受信機の前記第2制御部は、前記車輪位置検出に先立ち、前記第1トリガ機および前記第2トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させることを特徴とする請求項4に記載の車輪位置検出装置。
【請求項6】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を求めると共に、求めた受信強度を表す受信強度データをフレームに格納する第1制御部(22)と、前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有してなる送受信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32)と、該フレームに格納された前記受信強度データが表す前記受信強度に基づいて、前記送受信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する車輪位置検出を行う第2制御部(33)を備えた受信機(3)と、を有し、
前記受信機の前記第2制御部は、前記トリガ機からノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を出力させ、該ノイズ強度測定指令信号を前記送受信機に受信させることでノイズ強度を測定させると共に、前記送受信機から前記ノイズ強度データを格納したフレームを出力させ、該フレームに格納されたノイズ強度データが示すノイズ強度が予め記憶しておいた閾値以下であるか否かに基づいて車輪位置検出が行えない強いノイズが発生しているか否かを判定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項7】
前記受信機の前記第2制御部は、前記送受信機に対して100〜200kHz帯域のノイズ強度を測定させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置を含むタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送受信機は、前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に関する検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、前記第1制御部によって前記センシング部の検出信号が信号処理されたのち、前記送信部を介して送信されるようになっており、
前記受信機は、前記第2制御部にて、該検出信号に基づいて前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求めるようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
【請求項9】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を求めると共に、求めた受信強度を表す受信強度データをフレームに格納する第1制御部(22)と、前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有してなる車輪位置検出装置に適用される送受信機であって、
車体(7)側に備えられたトリガ機(5)から出力されたノイズ強度測定コマンドを含むノイズ強度測定指令信号を受信すると、ノイズ強度を測定すると共に、該ノイズ強度データを格納したフレームを出力することを特徴とする車輪位置検出装置に適用される送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−20655(P2009−20655A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181963(P2007−181963)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】