説明

転動体転動面の熱処理方法と転動体転動面の熱処理装置

【課題】 熱的影響を低減させて矯正作業を不要とすることができ、且つ、十分な焼き入れ深さと硬度を得ることができる転動体転動面の熱処理方法と転動体転動面の熱処理装置を提供すること。
【解決手段】 転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に予めプレヒート処理を施すようにしたものであり、それによって、素材の深部まで焼き入れ温度に加熱することができ、十分な焼き入れ深さを得ることができるものであり、また、レーザー焼き入れを施しているので熱的影響が大幅に軽減し、矯正作業を不要とすることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アクチュエータにおいてボール或いはローラ等の転動体が転動する転動体転動面に焼き入れを施して所望の焼き入れ深さと硬度を備えた転動体転動面を得るための転動体転動面の熱処理方法と転動体転動面の熱処理装置に係り、特に、レーザー光を使用したレーザー焼き入れを施すものにおいて熱的影響を低減させて矯正作業を不要とすることができ、且つ、十分な焼き入れ深さと硬度を得ることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
一軸アクチュエータを例に挙げて従来例を説明する。一軸アクチュエータは、例えば、次のような構成をなしている。まず、ベースがあり、このベースはその横断面形状が略U字形状をなしている。このベースの内側にはスライダが移動可能な状態で内装されている。又、上記ベース内にはボールネジ・ボールナット機構が内装されていて、ボールナットは上記スライダに固着されている。又、上記ボールネジは、例えば、サーボモータによって回転駆動されるように構成されている。そして、上記サーボモータが回転することにより、ボールネジが回転駆動され、それによって、ボールナットひいてはスライダが移動することになる。
【0003】
上記ボールナットはその回転を規制された状態で上記ボールネジに螺合・配置されていて、両者間には動作を円滑化させるためにボールが転動するように構成されている。又、上記スライダとベースの間にも動作を円滑化させるためのボールが転動するように構成されている。
【0004】
上記ボールネジとボールナットにはボールが転動するためのボール転動面が形成されている。又、上記ベースにも同様にボールが転動するためのボール転動面が設けられていると共に上記スライダ側においてもボールが転動するボール転動面が設けられている。
【0005】
上記各ボール転動面はボールが繰り返し転動することになるので高い機械的強度が要求されていて、その為、製作時において焼き入れ等の所定の熱処理が施され、その機械的強度を高める処理がなされている。そこで、リニアガイドを例に挙げて上記熱処理を含めた一連の製造工程について説明する。
【0006】
図14は従来のリニアガイドの製造工程を示す図であり、まず、素材101があり(工程0)、この素材101としては、例えば、引抜加工によりラフ形状に成形された鋼材が使用される。素材101の材質としては、例えば、中炭素鋼や軸受鋼等が使用される。一般的に、引抜素材は球状セメンタイト組織となっているために焼き入れ性が悪く、そのまま焼き入れした場合には硬度むらが発生してしまう。
【0007】
そこで、上記素材101に対して必要に応じて焼き入れを施す前に事前熱処理を施すようにしている(工程0.5)。この種の熱処理としては、例えば、焼きならし、焼き鈍し等がある。このような熱処理を施すことにより組織を微細化し、それによって、焼き入れ性を向上させるものである。具体的には硬度むらがなくなり均一な焼き入れが可能になる。
【0008】
次に、工程1に移行して、素材101の反りや捩れを矯正する。素材101に反りや捩れがあると高精度で加工することができないからである。次に、工程2に移行して、加工機により所定の切削加工が施される。次に、工程3に移行して焼き入れが施される。この焼き入れには、電気炉等の炉を使用した焼き入れ、高周波焼き入れ、レーザー焼き入れ等がある。これについては追って詳細に説明する。
【0009】
次に、工程4に移行して、必要に応じていわゆる「サブゼロ処理」を施す。すなわち、焼き入れされた素材101を0℃以下に冷却して組織を安定化させるものである。仮に、このようなサブゼロ処理を行わない場合には、残留オーステナイトという不安定組織が残留してしまうことになる。次に、工程5に移行して、焼き戻し処理を施す。すなわち、工程3、工程4を経た素材101は十分な硬さを備えてはいるが脆い状態にある。そこで、このような素材101にじん性(粘り)を付与するために、再度200℃前後まで加熱する処理を施すものである。
尚、この処理によって硬度は低下するが加熱温度を適宜調整することにより低下の度合いを抑制して必要な硬度を得ることができる。
【0010】
次に、工程6に移行して矯正を行う。それによって、工程3〜行程5の熱処理によって発生した反りや捩れを矯正するものである。そして、工程7に移行して、所定の転動体転動面の仕上げ加工を施すものである。
【0011】
次に、工程3の焼き入れについて説明する。まず、電気炉等の炉を使用した焼き入れ(バッチ処理)から説明する。この焼き入れ法は電気炉等の炉の中に素材101を入れて所定の焼き入れ温度まで加熱した後、水や油などの冷媒に浸漬する方法である。ところが、この焼き入れ法の場合には、素材101の全体が加熱されることになるので熱的影響が大きく、その結果、焼き入れ歪、つまり反りや捩れが大きくなってしまうという問題があった。
【0012】
その様子を図15〜図17に示す。例えば、図15に示すような素材101に対して、電気炉等の炉を使用した焼き入れを加えると、その熱的影響によって、図16に示すように、素材101が反ってしまうようなことがあった。又、図17に示すように、素材101が捩れてしまうようなこともあった。そのため、前述したように、焼き入れを施した後、反りや捩れを直すための矯正作業が必要となるものである。これに対しては、仕上げ加工代を大きくとり、矯正することなく仕上げ加工により歪みを除去することも考えられるが、それでは、材料費と加工工数が増大してしまう等コスト的な問題があった。
又、別の問題として処理時間が長くなってしまうという問題があった。すなわち、炉内で素材101を所定温度まで加熱するためには長い時間を要してしまうものである。
【0013】
又、別の焼き入れ法として高周波焼き入れがある。これは高周波誘導加熱を利用した焼き入れ法である。この場合には、既に説明した電気炉等の炉を使用した焼き入れと異なり、比較的狭い範囲で焼き入れを施すことができるので、熱的影響を軽減させて焼き入れ歪を比較的小さなものとすることができる。しかしながら、それでも、素材101に反りや捩れが発生してしまうものであり、その後の矯正に多くの労力を要してしまうことになる。
尚、高周波焼き入れを開示したものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等がある。
【0014】
そこで、提案されているのがレーザー焼き入れ法である。これはレーザー光を熱源とした焼き入れ法であり、この場合には、局所的な熱処理になるので熱的影響を大幅に軽減させて焼き入れ歪を小さなものとすることができる。
尚、レーザー焼き入れを開示したものとして、例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−303320号公報
【特許文献2】特開2003−307263号公報
【特許文献3】特開2006−21307号公報
【特許文献4】特開2004−231978号公報
【特許文献5】特開2000−54027号公報
【特許文献6】特開2004−35953号公報
【特許文献7】特開平05−43940号公報
【特許文献8】特開平06−330156号公報
【特許文献9】特開2002−130417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記従来の構成によると次のような問題があった。既に説明したように、電気炉等の炉を使用した焼き入れ法や高周波焼き入れ法の場合には、熱的影響に起因した歪の問題があり、それに起因して面倒な矯正作業が必要になってしまうという問題があった。その点、レーザー焼き入れ法の場合には、局所的な熱処理になるので熱的影響を大幅に軽減させて歪みを小さなものとすることができる。その結果、矯正作業を大幅に軽減させる又は不要とすることができる。ところが、レーザー焼き入れ法の場合には、焼き入れ深さが浅いという問題があった。具体的には、電気炉等の炉を使用した焼き入れ法や高周波焼き入れ法の場合には、数mm〜数10mm程度の焼き入れ深さを確保することができるのに対して、レーザー焼き入れの場合には0.1〜0.4mm程度の焼き入れ深さとなり十分な焼き入れ深さを得ることができないという問題があった。
【0017】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、熱的影響を低減させて矯正作業を不要とすることができ、且つ、十分な焼き入れ深さと硬度を得ることができる転動体転動面の熱処理方法と転動体転動面の熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に予めプレヒート処理(予熱)を施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記プレヒート処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項3による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、レーザー焼き入れの対象部位を突出・配置させるようにしたことを特徴とするものでる。
又、請求項4による転動体転動面の熱処理方法は、請求項3記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記転動体転動面の最深部に凹溝を形成して、さらに肩部を除去しておくようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項5による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に事前熱処理を施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項6による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項7による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理は焼きならし又は焼き鈍し又は浸炭処理であることを特徴とするものである。
又、請求項8による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法おいて、レーザー焼き戻しを行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項9による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを複数回行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項10による転動体転動面の熱処理装置は、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを複数台設置することにより又はレーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台又は複数台設置すると共に分光手段を設けることにより、レーザー焼き入れや他の処理を同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項11による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項12による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項13による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項14による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本願発明の請求項1の転動体転動面の熱処理方法によると、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に予めプレヒート処理を施すようにした構成になっているので、素材の深部まで焼き入れ温度に加熱することができ、十分な焼き入れ深さを得ることができるものである。また、レーザー焼き入れを施しているので熱的影響が大幅に軽減し、矯正作業を不要とすることができるものである。
又、請求項2による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記プレヒート処理をレーザー光の照射により行うようにした構成になっているので、例えば、共通のレーザー発振装置によって、プレヒート処理とレーザー焼入れを連続的に行うことができる等の効果を得ることができる。
尚、ここで規定する「プレヒート処理」とは、レーザー焼き入れを施す前の鋼に対して、レーザー光の照射により予備加熱を施し、それによって、レーザー焼き入れの焼き入れ深さを深くするものである。
又、請求項3による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、レーザー焼き入れの対象部位を突出・配置させるように構成しているので、対象部位に熱が溜まり易くなり、この場合にも十分な焼き入れ深さを得ることができるものである。また、この場合にも対象部位以外の箇所への熱的影響が軽減し、矯正作業を不要とすることができるものである。
又、請求項4による転動体転動面の熱処理方法は、請求項3記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記転動体転動面の最深部に凹溝を形成して、さらに肩部(符号)を除去しておくように構成したので、比較的簡単な構成で上記効果を得ることができる。
又、請求項5による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に事前熱処理を施すように構成しているので、硬度むらがなくなり均一な焼き入れが可能になる。またこの場合には不完全焼き入れ部の発生が低減されるうえ、十分な焼き入れ深さを得ることができるものである。
又、請求項6による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理をレーザー光の照射により行うようにした構成になっているので、例えば、共通のレーザー発振装置によって、事前熱処理とレーザー焼入れを連続的に行うことができる等の効果を得ることができる。
又、請求項7による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理は焼きならし又は焼き鈍し又は浸炭処理であるので、上記効果を確実に得ることができる。
又、請求項8による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法おいて、レーザー焼き戻しを行うように構成しているので、比較的簡単な構成で組織が安定化し、且つ、じん性が高く機械的特性に優れた組織を得ることができる。
尚、ここで規定する「レーザー焼き戻し」とは、レーザー焼き入れした鋼をレーザー光の照射によってA変態点以下の温度に再加熱して、主に硬さを下げて粘り強さを増大させる処理を意味するものである。
又、請求項9による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを複数回行うように構成しているので、事前処理を行うことなく、硬度むらがなくなり均一な焼き入れが可能になる。
又、請求項10による転動体転動面の熱処理装置は、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを複数台設置することにより又はレーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台又は複数台設置すると共に分光手段を設けることにより、レーザー焼き入れや他の処理を同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
又、請求項11による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
又、請求項12による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すように構成しているので、装置を安価に構成でき、且つ、小型化が可能である。
又、請求項13による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
又、請求項14による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、レーザー焼き入れを行っている様子を示す正面図である。
【図2】比較例を示す図で、ボール転動面にレーザー焼き入れを施した状態を示す断面図である。
【図3】比較例を示す図で、ボール転動面にレーザー焼き入れを施した結果を示す顕微鏡写真を図面化したものである。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ボール転動面にレーザー焼き入れを施した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ボール転動面にレーザー焼き入れを施した結果を示す顕微鏡写真を図面化したものである。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図6のVI部を拡大して示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、硬度と表面からの距離の関係を示す特性図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、硬度と表面からの距離の関係を示す特性図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す図で、ボール転動面にレーザー焼き入れを施した結果を示す顕微鏡写真を図面化したものである。
【図10】本発明の第2の実施の形態を示す図で、硬度と表面からの距離の関係を示す特性図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態を示す図で、硬度と表面からの距離の関係を示す特性図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態を示す図で、レーザー焼き入れを行っている様子を示す正面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態を示す図で、レーザー焼き入れを行っている様子を示す正面図である。
【図14】従来例を説明するための図で、リニアガイドの製造工程を示す図である。
【図15】従来の問題点を説明するための図で、ベースの斜視図である。
【図16】従来の問題点を説明するための図で、ベースが反った状態を示す斜視図である。
【図17】従来の問題点を説明するための図で、ベースが捩れた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1乃至図8を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。この実施の形態は、本願発明をアクチュエータのベースに形成されているボール転動面の熱処理に適用したものであり、又、レーザー焼き入れに際して、焼き入れ対象部位を突出・配置させる構成とプレヒート処理を施す構成を組み合わせた例を説明するものである。
図1は熱処理を行っている状態を示す正断面であり、まず、レーザー発振装置1がある。このレーザー発振装置1は、ヘッド3と、このヘッド3の先端に取り付けられたガスフード5等から構成されている。上記ガスフード5はコーン形状をなしていて、先端に向かって縮径されるように形成されていて、圧縮空気を先端に向かって吹き付ける構成となっている。又、上記ガスフード5の先端部であって内側の所定位置には反射鏡7が内装にされている。この反射鏡7を介してレーザー光9を90°屈曲させて反射させるものである。
【0022】
一方、熱処理の対象になっているベース11がある。このベース11は一軸アクチュエータの構成部材であり、炭素鋼製となっている。上記ベース11はその横断面形状が略U字形状をなしていて、その左右側壁の内側にはボール転動面13、13が対向した状態で形成されている。この実施の形態の場合には、上記ボール転動面13、13の部分に所定の焼き入れをレーザー光によって施すようにしているものである。
【0023】
図2及び図3は本実施の形態に対する比較例を示すものである。図2は上記ボール転動面13の部位を拡大して示す部分断面図であり、ボール転動面13内にはボール15が転動することになる。通常、熱処理後にボール転動面13に対しては仕上げの研削加工が施されることになるが、その研削加工代は0.1〜0.15mm程度である。一方、焼き入れ深さであるが、最終的には(仕上げの研削加工後)0.6mm程度は必要となる。よって、0.6mmに切削加工代の0.1〜0.15mmを加えて、例えば、0.8mm程度の焼き入れ深さを目標としているものである。
【0024】
又、レーザー焼き入れによって得られる硬度であるが、ビッカーズ硬度換算で、例えば、653〜746HV程度の硬度を目標としている。
【0025】
以下、レーザー焼き入れを中心とした製造工程を順次説明していく。
まず、ボール転動面13の粗加工を行う。次いで、レーザー焼き入れを行う。その際、レーザー出力、走査速度、ワークディスタンス(WD)は適切な条件とする。
次に、サブゼロ処理(深冷処理、0℃以下の温度に冷やす処理)を行う。
次に、レーザー焼き戻しを行う。
【0026】
その結果、図3に示すような結果を得ることができた。図3は一連の熱処理後のボール転動面13の該当部位を切断して顕微鏡により写真撮影したものを図面化したものである。図中符号21で示す部分がレーザー焼き入れされた部分である。計測では、0.4mm程度の焼き入れ深さを得ることができたものである。
尚、この焼き入れ深さは当初目標としていた焼き入れ深さ、例えば、0.8mmに対してそれを下回るものである。
【0027】
次に、図4乃至図6を参照して本実施の形態の場合を説明する。この場合には、まず、ボール転動面13側の最深部に溝31を形成し、さらに肩部12を除去し、焼き入れ対象部位、すなわち、上記ボール転動面13を突出・配置させるようにしている。図中突出・配置された部位を13a、13bで示す。又、プレヒート処理を施すようにしているものである。その温度は素材のMs点温度以下の適切な条件としている。又、ベース11の材料としては、炭素鋼製である。又、レーザー出力、走査速度、ワークディスタンス(WD)は適切な条件とするものである。
尚、その他の構成は前記比較例の場合と同じである。
【0028】
その結果、図5に示すような結果を得ることができた。図5は一連の熱処理後のボール転動面13の該当部位を切断して顕微鏡により写真撮影したものを図面化したものである。図中符号41で示す部分がレーザー焼き入れされた部分である。計測では、0.8mm程度の焼き入れ深さを得ることができたものである。
【0029】
その結果について図7及び図8を参照してさらに詳しく説明する。図7は図5における左側の焼き入れ部位13bに関してのデータであり、横軸に表面からの距離をとり、縦軸に硬度をとり、その関係を示した特性図である。同様に、図8は図5における右側の焼き入れ部位13aに関してのデータであり、横軸に表面からの距離をとり、縦軸に硬度をとり、その関係を示した特性図である。これら図7、図8から明らかなように、0.8mm程度の深さに至る部位まで略必要な硬度、すなわち、653〜746(HV)の硬度を得ることができたものであり、つまり、目標としている焼き入れ深さ0.8mmを略達成できているものである。
【0030】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、焼き入れによる熱的影響を大幅に軽減させることができる。これはレーザー焼き入れを行っているからである。すなわち、レーザー焼き入れの場合には、局所的に焼き入れをするからである。このように、熱的影響が大幅に軽減されたことにより、ベース11の反りや捩れを防止することができ、その結果、従来必要とされていた矯正作業を不要とすることができる。
又、この実施の形態の場合には、ボール転動面13側の最深部に溝31を形成し、さらに肩部12を除去し、焼き入れ対象部位13a、13bを突出・配置させるようにしているので、上記効果をより確実なものとすることができ、焼き入れ対象部位13a、13bに熱が溜まり易くなり、所望の焼き入れ深さを確実に確保することができるものである。
又、この実施の形態の場合には、プレヒート処理を行うようにしているので、それによっても、上記効果をより確実なものとしている。
又、この実施の形態の場合には、レーザー焼き戻しを行うようにしているので、比較的簡単な構成で組織が安定化し、且つ、じん性が高く機械的特性に優れた組織を得ることができる。
【0031】
尚、図6に示すように、この第2の実施の形態の場合には、部分的に必要な硬度が得られていない部位がある。図6は図5のVI部を拡大して示す図である。硬度測定痕51a、51b,51cのうち、硬度測定痕51bのみ硬度低下しており、硬度むらが発生しているものである。これについては、次に説明する第2の実施の形態により解決するものである。
尚、図8において、硬度測定痕51a、51b,51cに該当する部位にそれぞれ符号51a、51b,51cを付しておく。
【0032】
次に、図9乃至図11を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態の場合には、前記第1の実施の形態の構成、すなわち、焼き入れ対象部位を突出・配置させる構成とプレヒート処理を施す構成を組み合わせたものに、さらに、事前熱処理(具体的には、焼きならし)を組み合わせた例を説明するものである。
この第2の実施の形態の場合には、材料として焼きならし処理をしている炭素鋼を使用しているものである。又、この実施の形態の場合にも、既に説明したように、上記材料に対してプレヒート処理を施しているものである。その温度は第1の実施の形態の場合と同様に適切な条件としているものである。又、レーザー出力、走査速度、ワークディスタンス(WD)は適切な条件とするものである。
その他構成は前記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0033】
その結果、図9に示すような結果を得ることができた。図9は一連の熱処理後のボール転動面13の該当部位を切断して顕微鏡により写真撮影したものを図面化したものである。図中符号61で示す部分がレーザー焼き入れされた部分である。計測では、0.9mm程度の焼き入れ深さを得ることができたものである。
【0034】
その結果について図10及び図11を参照してさらに詳しく説明する。図10は図9における左側の焼き入れ部位13aに関してのデータであり、横軸に表面からの距離をとり、縦軸に硬度をとり、その関係を示した特性図である。同様に、図11は図9における右側の焼き入れ部位13bに関してのデータであり、横軸に表面からの距離をとり、縦軸に硬度をとり、その関係を示した特性図である。これら図10、図11から明らかなように、0.9mm程度の深さに至る部位まで略必要な硬度、すなわち、653〜746(HV)の硬度を得ることができたものであり、つまり、目標としている焼き入れ深さ0.8mmは勿論のこと、さらにそれ以上の焼き入れ深さを達成できているものである。又、前記第1の実施の形態において問題となっていた部分的な硬度むらについても発生していないものである。
【0035】
次に、図12を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。この第3の実施の形態の場合には、二台のレーザー発振装置1、1を設置し、これら二台のレーザー発振装置1、1によって、プレヒート処理とその後のレーザー焼き入れ処理を連続的に同時に行っていくように構成したものである。すなわち、図12において、仮に、ベース11を図中左側から右側に移動させていくとした場合、まず、左側のレーザー発振装置1によってプレヒート処理を施し、次いで、右側のレーザー発振装置1によってレーザー焼き入れを施していくものである。
尚、その他の構成は前記第1、第2の実施の形態の場合と同様である。
【0036】
よって、前記第1、第2の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができると共に、一連の熱処理に要する時間を短縮することができると共に労力の軽減を図ることができる。
【0037】
次に、図13を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。前記第3の実施の形態の場合には、レーザー発振装置1を2台設置して、プレヒート処理とその後のレーザー焼き入れを連続的に同時に施すように構成したが、この第4の実施の形態の場合には、レーザー発振装置1を1台設置し、ハーフミラ71、反射鏡73、反射鏡75からなる分光手段を設置して、レーザー発振装置1より出力されるレーザー光9を分光し、それによって、プレヒート処理とその後のレーザー焼き入れを連続的に同時に施すように構成したものである。
尚、その他の構成は前記第1〜第3の実施の形態の場合と同様である。
【0038】
よって、前記第3の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができると共に、レーザー発振装置1が一台で済むので構成の簡略化を図って装置の小型化を図ることができる。
【0039】
次に、本願発明の第5の実施の形態を説明する。前記第3の実施の形態、第4の実施の形態の場合には、ベース11の片側のボール転動面13に対するプレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を連続的に同時に行うように構成した場合を例に挙げて説明したが、例えば、左右に設けられている一対のボール転動面13、13に対するレーザー焼き入れを同時に行うように構成してもよい。すなわち、この第5の実施の形態の場合には、二台のレーザー発振装置1、1を所定の場所に設置し、夫々のレーザー発振装置1、1によって、対向・配置されたボール転動面13、13に対してレーザー焼き入れを同時に施すように構成したものである。具体的には、図1に示したレーザー発振装置1を左右逆向きにした別のレーザー発振装置1を設置し、図1中右側のボール転動面13に対してもレーザー焼き入れを施すようにすればよい。
【0040】
次に、本願発明の第6の実施の形態を説明する。前記第3の実施の形態の場合には、ベース11の片側のボール転動面13に対するプレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を、二台のレーザー発振装置1、1によって同時に行うように場合を例に挙げて説明したが、この第6の実施の形態の場合には、それを反対側のボール転動面13に対しても同じように施すことができるように構成したものである。具体的には、図12に示す二台のレーザー発振装置1、1と同じ別の二台のレーザー発振装置1、1を設置して、反対側のボール転動面13に対しても、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すように構成するものである。
【0041】
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。前記第4の実施の形態の場合には、ベース11の片側のボール転動面13に対するプレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を、一台のレーザー発振装置1と分光手段とによって同時に行うように場合を例に挙げて説明したが、この第7の実施の形態の場合には、これと同様のことを反対側のボール転動面13に対しても施すように構成したものである。具体的には、図13に示す一台のレーザー発振装置1と、ハーフミラ71、反射鏡73、反射鏡75とからなる分光手段を、反対側のボール転動面13用として別途設置し、それによって、反対側のボール転動面13に対しても、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を連続的に同時に施すように構成するものである。
【0042】
尚、本発明は前記第1〜第7の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、レーザー焼き入れの各種条件はこれを特に限定するものではない。
又、前記各実施の形態の場合には、レーザー焼き入れに関しては1回とした場合を例に挙げて説明しているが、これを二回以上とすることも考えられる。
又、レーザー焼き戻しについては、これを複数回繰り返すようにしてもよい。
又、サブゼロ(深冷処理)とレーザー焼き戻しを行わないものについても本願発明の範囲である。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、焼き入れ対象部位を突出・配置させる構成とプレヒート処理を施す構成の組み合わせ、それにさらに事前熱処理(例えば、焼きならし)を施す構成を組み合わせた場合を例に挙げて説明したが、プレヒート処理、焼き入れ対象部位の突出・配置、事前熱処理を単独で又は任意の組み合わせで実施することが考えられ、何れも本願発明の範囲である。
前記第1〜第7の実施の形態の場合には、ベースのボール転動面を例に挙げて説明しているが、その他の部材、部位についても同様に適用可能である。
その他、図示したものはあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば、アクチュエータにおいてボール或いはローラ等の転動体が転動する転動体転動面に焼き入れを施して所望の焼き入れ深さと硬度を備えた転動体転動面を得るための転動体転動面の熱処理方法と転動体転動面の熱処理装置に係り、特に、レーザー光を使用したレーザー焼き入れを施すものにおいて熱的影響を低減させた状態で所望の焼き入れ深さと硬度を得ることができるように工夫したものに関し、例えば、アクチュエータのベースのボール転動面に対する熱処理に好適である。
【符号の説明】
【0044】
1 レーザー発振装置
3 ヘッド
5 ガスフード
7 反射鏡
9 レーザー光
11 ベース
13 ボール転動面
15 ボール
21 焼き入れ部位
31 溝
41 焼き入れ部位
61 焼き入れ部位


【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、
上記レーザー焼き入れを施す前に予めプレヒート処理を施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記プレヒート処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項3】
転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、
レーザー焼き入れの対象部位を突出・配置させるようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項4】
請求項3記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記転動体転動面の最深部に凹溝を形成して、さらに肩部(符号)を除去しておくようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項5】
転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、
上記レーザー焼き入れを施す前に事前熱処理を施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項6】
請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記事前熱処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項7】
請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記事前熱処理は浸炭処理又は焼きならし又は焼き鈍しであることを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、
レーザー焼き戻しを行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記レーザー焼き入れを複数回行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。
【請求項10】
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを複数台設置することにより又はレーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台又は複数台設置すると共に分光手段を設けることにより、レーザー焼き入れや他の処理を同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。
【請求項11】
請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。
【請求項12】
請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。
【請求項13】
請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。
【請求項14】
請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−256423(P2011−256423A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131111(P2010−131111)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(391008515)株式会社アイエイアイ (107)
【Fターム(参考)】