説明

軸方向ピストンエンジン、軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法、および軸方向ピストンエンジンの熱交換器を製造するための方法

本発明の目的は、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮燃料を圧縮機シリンダから作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路を備える軸方向ピストンモータの効率を向上させることである。これを目的として、軸方向ピストンモータは環状のカバーを有する少なくとも1個の圧縮機シリンダ入口弁を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軸方向ピストンエンジンに関する。本発明はまた、軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法および軸方向ピストンエンジンの熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸方向ピストンエンジンは少なくとも1個のピストンを用いて機械的回転エネルギを出力側において供給する従来技術から十分に公知のエネルギ変換機であり、ピストンはその配置構造が回転エネルギの回転軸と略同軸上に配置される線形の往復運動を実行する。
【0003】
例えば圧縮空気のみを用いて動作する軸方向ピストンエンジンに加えて、燃焼媒介が供給される軸方向ピストンエンジンもまた公知である。この燃焼媒介は例えば燃料と空気等複数の部材からなっていてもよく、これらの部材は一緒に又は個別に少なくとも1個の燃焼室に供給される。
【0004】
したがって本発明において用語「燃焼媒介」は、軸方向ピストンエンジンを流れる燃焼に関与する物質、又は燃焼に関与する部材が含む物質を指す。燃焼媒介は少なくとも可燃性物質又は燃料を含み、本文脈において用語「燃料」は化学反応又はその他の反応、詳細には酸化還元反応により発熱する材料を指す。更に、燃焼媒介は燃料又は燃焼媒介が反応するための材料を供給する例えば空気等の部材を含んでいてもよい。
【0005】
詳細には、軸方向ピストンエンジンは可燃燃料すなわち燃料および空気等が連続して1個又は複数の燃焼室に供給される内部連続燃焼(ICC:Internal Continuous Combustion)の原理に基づいて動作するようにしてもよい。
【0006】
更に、軸方向ピストンエンジンは一方で回転ピストンと連動してもよく、したがって回転シリンダが燃焼室を通過する。
【0007】
他方で軸方向ピストンエンジンは固定シリンダを備えていてもよく、これにより作動媒体が任意の充填手順で連続的にシリンダに供給される。
【0008】
例えば、上記のような固定シリンダを有するICC軸方向ピストンエンジンは特許文献1および特許文献2により公知であり、特許文献1に開示の軸方向ピストンエンジンは燃焼媒介の供給および排ガスの排出は熱伝達により相互に結合される。
【0009】
特許文献1および特許文献2に開示の軸方向ピストンエンジンにおいて、作動シリンダおよび対応する作動ピストンと、圧縮機シリンダおよび対応する圧縮機ピストンとは分離されており、圧縮機シリンダは軸方向ピストンエンジンの作動シリンダとは反対方向の側に設けられる。この点において、上記のような軸方向ピストンエンジンには圧縮機側と作動側が設けられる。
【0010】
用語「作動シリンダ」、「作動ピストン」および「作動側」は、用語「膨張シリンダ」、「膨張ピストン」および「膨張側」又は「膨張機シリンダ」、「膨張機ピストン」および「膨張機側」、および用語「膨張段」又は「膨張機段」と同義語として使われ、この場合「膨張機段」又は「膨張段」は配置される全ての「膨張シリンダ」又は「膨張機シリンダ」全体を指すものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許公開第1035310A2号公報
【特許文献2】国際公開第2009/062473A2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は軸方向ピストンエンジンの効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、環状の入口弁カバーを有する少なくとも1個の圧縮機シリンダ入口弁を備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0014】
少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備える本発明による前記軸方向ピストンエンジンは、環状の入口弁カバーを有する少なくとも1個の圧縮機シリンダ入口弁を備えるため、非常に大きい体積の燃焼媒介、特に引き込み燃焼空気が前記圧縮機シリンダを通過できる。この点において、例えば燃焼空気又はその他の燃焼媒介をほとんど損失することなく前記圧縮機シリンダ内に吸引でき、これにより前記軸方向ピストンエンジンの効率が同時に向上する。
【0015】
更に、圧縮機シリンダヘッドに関して、通常は前記圧縮機シリンダ入口弁に隣接して配置することになってしまう部材を取付けるための更なる空間が、好都合には、前記環状の入口弁カバーの中央の領域内に保持される。この点において、軸方向ピストンエンジンを更に小型化できる。
【0016】
環状の入口弁カバーは上記に引用した公報には記載がなく、上記のような環状の入口弁カバーが軸方向ピストンエンジンに利点を与え得るという示唆もない。
【0017】
本発明において、環状の入口弁カバーを有する前記圧縮機シリンダ入口弁は能動的に又は受動的に作動する弁として構成される。この点について、能動的に作動する弁は弁の作動に更なる駆動が用いられることを特徴とする。この駆動は例えば前記弁用の電動機又は電磁駆動であってもよい。同様に、カムシャフト又はカムプレート又はカムディスクであってもよい。同様に、必要に応じて、能動的作動に空気式又は油圧式駆動を用いてもよい。受動的に作動する弁は各弁の外界における圧力状況により開放又は閉鎖され、適切な開放力および閉鎖力が詳細には前記弁の入力側および出力側における圧力差により付加される。必要に応じて、受動的に作動する弁の特性を、更に克服することになる適切なばねおよび類似のバイアスストレスにより、又は各弁の細部における適切な構成、例えば前記弁カバー内の傾斜又は寸法比率の適応によりに変化させることができる。
【0018】
前記入口弁カバーを非常に好ましい形態で前記シリンダヘッド上に配置するため、好ましい別の実施の形態は三点ホルダを有する前記入口弁カバーを提供する。3個の保持点上に前記入口弁カバーを配置することにより、前記入口弁カバーが決定的にずれる、または入口弁座に対して不正に配置されるリスクを軽減することが可能である。更に、前記入口弁カバーが動作運動中に非常に均一に移動できる。更に、三点ホルダは非常に安定しており、耐用期間が非常に長い。
【0019】
更に、好都合には前記入口弁カバーが少なくとも1個のばねを介して入口弁座に対向して固定される。当然のことながら、上述の特許文献1から圧縮機シリンダ内の弁カバーはばねにより弁座に対向して引かれることは公知である。しかしながら、この開示は環状の入口弁カバーには関連付けられていない。
【0020】
詳細には、入口弁カバーの固定のための複数のばねは公知ではなく、この場合、前記入口弁カバーを前記入口弁座に対向して非常に均一に固定するするため、3個の上記のようなばねが理想的には前記入口弁カバーの当該三点ホルダに関連付けて設けられる。上記のような固定により、前記圧縮機シリンダ入口弁を非常に強固に封止できる。
【0021】
詳細には、少なくとも軸方向ピストンエンジンの圧縮機シリンダ入口弁に関して、入口弁カバーに関連付けた偏心ばねは公知ではない。しかしながら、本発明においては好ましくは上記のような結合する偏心ばねを設け、これにより特に直径が大きい弁についても均一な固定を保証できる。
【0022】
軸方向ピストンエンジンの更に別の非常に好ましい実施の形態に関して、前記入口弁カバーが形成する輪の内側に前記圧縮機シリンダへの吸入口又は前記圧縮機シリンダからの排出口を設けることを提案する。上述した通り、環状の入口弁カバー中央には、前記圧縮機シリンダの更なる部材又は部材群を配置可能な十分な空間が保持される。詳細には、前記圧縮機シリンダへの出入りはここで行われ、これにより前記圧縮機シリンダヘッドにおける利用可能空間は非常に効率的に利用される。
【0023】
理想的には、上記のような吸入口は吸水口であり、これにより前記圧縮機シリンダに水を注入できる。これにより、詳細には水は主に前記圧縮機シリンダ内で供給され、これにより水は前記圧縮機シリンダ入口弁を介して引き込まれる燃焼空気と非常に均一に混合される。例えば、これは圧縮機ピストンの吸気行程運動に関連付けて実行される。なお、前記吸入口を介してその他の燃焼媒介を前記圧縮機シリンダに注入してもよいものとする。
【0024】
そのため、本発明の課題は、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記圧縮機シリンダ内に配置される圧縮機ピストンの吸気行程中に前記圧縮機シリンダに水又は水蒸気が供給されることを特徴とする軸方向ピストンエンジンにより、上述した特性について追加的又は選択的に達成される。
【0025】
これにより、一方で燃焼媒介内で水を確実に最適に分布させることができる。他方で、水の供給により前記軸方向ピストンエンジン全体のエネルギバランスに不都合な影響を与えることなく、水により変更された圧縮エンタルピが非決定的に燃焼媒介内に導入される。詳細には、これにより圧縮工程を等温圧縮に近い状態とすることができ、その場合、圧縮中にエネルギバランスが最適化される。前記燃焼室内の温度を調整するため、および/又は水の化学反応又は触媒反応による汚染を軽減するため、実際の実施例に合わせて水を補助的に用いてもよい。当然のことながら、その他の位置で水を供給することも可能である。
【0026】
本発明の実際の実施例によって、水の供給は例えば定量ポンプにより実行可能である。定量ポンプは逆止め弁に替えてもよく、その場合、前記圧縮機ピストンがその吸気行程中に前記逆止め弁を介して水を引き込むことができ、前記逆止め弁は圧縮中は閉鎖される。この実施例において、特に好ましくはエンジン停止中のリークを防止するために水供給管路内に電磁弁等の安全弁が設けられる。
【0027】
前記圧縮機シリンダにおいて前記入口弁カバーにより形成される輪の内側に排出口が設けられている場合、前記出口周囲の高い熱負荷が加わる領域を、新たな燃焼空気が前記圧縮機シリンダ入口弁を介して前記圧縮機シリンダ内に引き込まれる際に十分に冷却できるため、前記排出口は好都合には出口弁である。
【0028】
本発明の課題はまた、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、少なくとも2個の圧縮機シリンダ出口弁を備えることを特徴とする軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0029】
2個の圧縮機シリンダ出口弁により、特に前記出口弁カバーのストローク運動に関して反応時間をかなり短くできるという非常に有効な利点が得られ、その結果、前記圧縮機シリンダの処理能力を同一に保持しながら、より小さい出口弁を設けることができる。前記出口弁の構造はより小さいながら、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから最適に排出できる。
【0030】
この点において、2個の以上の圧縮機シリンダ出口弁を備えることにより、摩擦損失を低く抑えたまま圧縮された燃焼媒介を非常に高速に排出できる。したがって、効率が追加的又は選択的に更に向上する。上記のような、軸方向ピストンエンジンに2個以上の圧縮機シリンダ出口弁を好都合に配置することは上述した従来技術から想達することはできない。
【0031】
更に、本発明の課題は、少なくとも1個の圧縮シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、弁座の方向に凸に形成され、前記弁座に対向する側に比べて前記弁座の逆側においてより少ない材料を有する弁カバーを有する少なくとも1個の圧縮機シリンダ出口弁を備えることを特徴とする軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0032】
凸に形成される弁カバー内において、対応する弁座に対して間隙が存在する場合でも、良好な配置および最適な封止がほぼ常時保証される。この点において、対応して閉鎖時間又は開放時間が短くなるため、本発明による軸方向ピストンエンジンの効率が更に向上する。例えば、凸に形成される前記弁カバーは好ましくは球体又は錐体として構成される。
【0033】
好ましくは凸に形成される前記弁カバーが前記弁座に対向する側に比べて前記弁座の逆側においてより少ない材料を有する場合、前記弁カバーを極めて軽量に構成することができ、これにより反応時間を非常に短くできる。
【0034】
前記弁座に対向する側は好ましくは、前記弁カバーの動作方向又は作動方向と垂直又は前記圧縮機シリンダ出口弁の長さ方向への延伸と垂直な、前記弁カバーの最大直径部分により規定されてもよく、したがって前記弁座の逆側とは明確に区別される。
【0035】
好ましい別の実施の形態によれば、前記弁カバー、特に前記圧縮機シリンダ出口弁は半球からなる。半球形状からなることにより、このように形成される弁カバーは好ましくは封止領域は球状にも関わらず例えば弁カバー押圧ばね用の平らな固定面を有し、これにより前記弁カバーは弁座に対して常に最適に配置される。これにより前記圧縮機シリンダ出口弁を常に理想的に最大限封止できる。そのため、平らな固定面の特性および対応する利点から逸脱することなく、例えばばね座等の更なる構造を前記弁カバーの封止領域から離れる側に設けてもよいものとする。
【0036】
上述した特徴に対して追加的又は選択的に前記弁カバーが中空構造である場合、さらに軽量に構成することができるため好ましい。
【0037】
凸に形成される前記弁カバーは多様な材料から製造されていてもよいものとする。好ましくは前記弁カバーはセラミックからなる。圧縮機シリンダ出口弁上に設けられるセラミック球体は特許文献1から公知であるが、好ましい半球形状ではない。
【0038】
上記に追加的又は選択的に、好ましくは弁カバー押圧ばねと連動する前記弁カバーの位置合わせ手段が設けられる。前記弁カバーの意図的な配置に基づいて、好ましくは前記弁カバーに対して材料削減効果を有する非対称が動作上確実に設けられる。
【0039】
弁カバー押圧ばねと前記弁カバーの位置合わせ手段の組合せからなる構造は、構造的に非常に単純に得られる。更に、上記のような構造により、非常にコスト効率よく設けられる高速作動する出口弁閉鎖装置を前記軸方向ピストンエンジン上に設けてもよい。例えば、前記弁カバー押圧ばねは前記圧縮機シリンダの弁カバー内のステム内に案内され、これにより前記弁カバー押圧ばねが半径方向に対して決定的に偏向されるのを抑制する。これにより前記弁カバーを少なくとも間接的に配置できる。前記弁カバー自体が選択的又は追加的に類似の方法により直接に案内される場合、直接的な配置が可能となる。前記圧縮機シリンダ出口弁の上述の実施の形態は詳細には、受動的および能動的に作動する圧縮機シリンダ出口弁の両方について用いることができる。この点において、受動的に作動する圧縮機シリンダ出口弁は構造上単純に実施可能であり、前記圧縮機シリンダ内の圧力状況により前記圧縮機シリンダ出口弁および前記圧縮機シリンダ入口弁を単純および正確に作動させることができるため、非常に適切であると考えられる。
【0040】
本発明の更なる様態によれば、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備える軸方向ピストンエンジンが提案されており、この場合、前記軸方向ピストンエンジンは往復運動し流量断面を解放するガス交換弁を含み、前記ガス交換弁は前記ガス交換弁に作用する前記弁スプリングのばね力によりこの流量断面を閉鎖し、前記軸方向ピストンエンジンは衝突スプリングを有する前記ガス交換弁を備えることを特徴とする。圧力差に反応して開放する自律作動型、すなわちカム作動型ではないガス交換弁は圧力差により非常に大きい開放力が発生した場合、強力に加速されて、前記ガス交換弁の前記弁スプリングを完全に圧縮したり、前記弁スプリング板又はその他の部材の同様な固定リングに衝突する可能性がある。上記のような許容を超える好ましくない2個の部材の接触はこれらの部材を非常に速く破損させる可能性がある。したがって前記弁スプリング板の衝突を効率的に防止するため、好都合には前記ガス交換弁の過剰な運動エネルギを放散させ、前記ガス交換弁を停止させる衝突スプリングとして構成される更なるばねが設けられる。
【0041】
詳細には、前記衝突スプリングは前記弁スプリングのばね長より短いばね長を有していてもよい。2個のばねである前記弁スプリングおよび前記衝突スプリングが共通の座面を有するため、前記衝突スプリングは好都合には取付けられた弁スプリングのばね長が常に前記衝突スプリングのばね長より短くなるよう構成され、これにより前記弁スプリングは、前記ガス交換弁を開放する際、最初に前記ガス交換弁を閉鎖するために必要な力のみを付加し、実行された最大弁ストロークに到達すると、前記ガス交換弁が更に開放されることを即座に防止するため前記衝突スプリングが前記ガス交換弁に接触する。
【0042】
上記に追加的に、前記衝突スプリングのばね長は前記ガス交換弁の弁ストロークにより短縮された前記弁スプリングのばね長と同一でもよい。便宜上好ましくは、この場合、前記2個のばねのばね長の差が前記弁ストロークの量と正確に同一であるという状況が利用される。
【0043】
この場合、用語「弁ストローク」は、放前記ガス交換弁により解放される流量断面がそこから略最大になる前記ガス交換弁のストロークを意味する。エンジン構造において一般的に用いられる板弁は通常、少しの開放で線形に増幅し、その後前記弁が更に開放されると一定値で直線形状となる流量断面を有する。通常、前記弁ストロークが内部弁座の直径の25%に到達すると、開口断面が最大となる。内部弁座の直径は前記弁座における最小の直径である。
【0044】
用語「ばね長」はこの場合、前記衝突スプリング又は取付けられた状態の前記弁スプリングの最大可能長さを意味する。したがって前記衝突スプリングのばね長は非展張状態のばね長と同一であり、前記弁スプリングのばね長は前記ガス交換弁が閉鎖された状態で取付けられた前記弁スプリングが有する長さと同一である。
【0045】
上記に選択的又は追加的に、前記衝突スプリングのばね長を前記衝突スプリングのばね運動により高くなった弁ガイドの高さと同一とすることを更に提案する。これにより、前記衝突スプリングはたわんだとしても接触が発生しない程には圧縮されないため、弁ガイドおよび前記弁制御装置の運動する部材と接触し得るその他の固定部材が、絶対に前記弁制御装置の運動部材と接触しないという利点を有する。
【0046】
用語「ばね運動」はこの場合、ばね長から最大負荷が与えられた状態のばね長を引いたものを意味する。最大負荷は同様に安全係数を考慮して計算された弁駆動の構成により規定される。したがってばね運動は、前記軸方向ピストンエンジンの動作中に発生する最大負荷又は軸方向ピストンエンジンの動作中に実行される最大弁ストロークが異常負荷中に発生する時にばねが圧縮される長さである。この場合、最大弁ストロークは、上述のように規定される前記弁ストロークに、運動部材および固定部材間の接触が発生する前記ガス交換弁のストロークを足したものを意味する。
【0047】
前記弁の運動部分と接触するその他の部材で弁ガイドを代替してもよい。
【0048】
更に、前記衝突スプリングにばね運動が発生すると、前記衝突スプリングは流量断面が解放された時に動作上発生する前記ガス交換弁の最大運動エネルギと同一のポテンシャルエネルギを有する可能性がある。この物理的又は動的条件が正確に満たされると、2個の部材がまだ接触していない場合、好都合には前記ガス交換弁は制動される。上述した通り、動作上発生する最大の運動エネルギは、安全係数を考慮して計算された構成の弁駆動に対して発生する前記ガス交換弁の運動エネルギである。動作上発生する最大の運動エネルギは前記ガス交換弁における最大圧力又は圧力差により発生し、これにより前記ガス交換弁はその質量に基づいて加速され、この加速の減衰後に運動の最大速度が得られる。前記ガス交換弁内に蓄積される過剰な運動エネルギは前記衝突スプリングを介して吸収され、これにより前記衝突スプリングは圧縮されてポテンシャルエネルギを得る。前記衝突スプリングにばね運動が発生すると、又は前記衝突スプリングの圧縮が最大になると、好都合には前記ガス交換弁又は前記弁群の運動エネルギがゼロまで放散され、これにより2個の部材は接触しない。用語「動作上発生する最大の運動エネルギ」はしたがって、例えばバルブキー、弁スプリング板又は弁スプリング等の前記ガス交換弁と共に移動する全ての部材の運動エネルギも含む。
【0049】
導入部で目的とされた課題を達成するため、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室を備える軸方向ピストンエンジンが更に提案されており、前記軸方向ピストンエンジンは軽金属からなる少なくとも1個のガス交換弁を有する少なくとも1個のシリンダを備えることを特徴とする。軽金属は、特に運動部材の使用中にこの軽金属を含む部材の慣性を低減させ、低密度なために、前記軸方向ピストンエンジンの摩擦損失を軽減することができ、前記ガス交換弁の制御駆動がより低い慣性力に対応するよう構成される。同様に、軽金属からなる部材を用いて摩擦損失を軽減することにより、前記軸方向ピストンエンジンにおける総損失がより小さくなり、同時に全体効率が向上する。
【0050】
上記に追加的に、軽金属はアルミニウム又はアルミニウム合金、特にジュラルミンからなることを特徴とする前記軸方向ピストンエンジンを提案する。アルミニウム、ジュラルミンのような特に強度が高い又は強度が非常に高いアルミニウム合金には、材料密度に対応するガス交換弁の重量だけでなく、ガス交換弁の強度も向上又は高レベルに保持されるため、ガス交換弁の構成に対して特別に利点を有する。また当然のことながら、アルミニウム又はアルミニウム合金に替えて、チタン又はマグネシウム又はアルミニウム、チタン、マグネシウムおよび/又はその他の成分の合金からなる材料も考えられる。詳細には、対応して軽量なガス交換弁は、既により大きい慣性を有する重量の重い又は高密度のガス交換弁に比べてより高速で負荷の交換に対応することができる。
【0051】
詳細には、前記ガス交換弁は入口弁からなっていてもよい。前記軸方向ピストンエンジンのこの部分はアルミニウム又はアルミニウム合金の融点に十分余裕のある低温度となるため、軽量なガス交換弁および対応して得られる前記軸方向ピストンエンジンのより低い平均摩擦圧力又はより小さい摩擦損失の利点は、特に軽量な材料からなる入口弁の使用中に実行される。一方、軽金属からなるガス交換弁の利点は好都合には同様に前記圧縮機シリンダ出口弁および前記圧縮機シリンダ入口弁に関して上述した構成に追加的に用いてもよいものとする。
【0052】
本発明の別の様態により、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備え、前記膨張機段とは異なるストローク体積を有する前記圧縮機段を備えることを特徴とする軸方向ピストンエンジンを提案する。
【0053】
詳細には、上記に追加的に、前記圧縮機段のストローク体積を前記膨張機段のストローク体積より小さくすることを提案する。
【0054】
更に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室を備え、燃焼媒介又は排ガスとしての燃焼した燃焼媒介は、前記膨張機段内における膨張中に前記圧縮機段内における圧縮中の圧力比より大きい圧力比で膨張させられることを特徴とする軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法を提案する。
【0055】
例えば特許文献2のような上述の従来技術とは対照的に、軸方向ピストンエンジン内で実行される動作サイクルの理論的熱力学的ポテンシャルが長時間の膨張により最大限活用できるため、好都合には前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率は各場合において、特に好都合には上述の手段により最大化することができる。外界から吸気し、同一の外界に排気するエンジンにおいて、外界圧力まで膨張が実行された場合、上述の手段により熱力学効率は最大効率となる。
【0056】
したがって、前記膨張機段内で燃焼媒介を外界圧力近くまで膨張させる軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法を更に提案する。
【0057】
「近く」という言葉は、軸方向燃焼エンジンの平均摩擦圧力量により最大となった外圧を意味する。平均摩擦圧力量までの膨張に比べて、外圧そのものまでの膨張には平均摩擦圧力が0バールではない場合の効率に関して実質的な利点はない。平均摩擦圧力量は通常の前記ピストンに対する作用において一定な圧力として解釈してもよく、この場合前記ピストンは、前記ピストンの上部側に作用する前記シリンダ内部の圧力が前記ピストンの底部側に作用する外圧に平均摩擦圧力を足したものと同等である場合、力を受けていないと考えられる。したがって平均摩擦圧力に対応する相対膨張圧力が得られた時点で、燃焼エンジンの全体効率はより好ましいものとなる。
【0058】
好都合には、上記の利点を実現するための軸方向ピストンエンジンは更に、前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダの各ストローク体積が、前記膨張機段の少なくとも1個のシリンダの各ストローク体積より小さくなるよう構成される。詳細には、前記膨張機段および前記圧縮機段のシリンダ数が同一に保持される場合に前記膨張機段の前記シリンダの各ストローク体積を大きくすることにより、表面積対体積率を好ましく変化させることにより熱力学効率を変化させることが考えられ、これにより前記膨張機段の壁における熱損失をより小さくできる。この場合、上述の構成は、本発明のその他の特徴とは別に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備える軸方向ピストンエンジンおいて好ましいものとする。
【0059】
選択的又は追加的に、前記圧縮機段のシリンダ数を前記膨張機段のシリンダ数と同等又はより小さくすることを提案する。
【0060】
上述の利点に加えて、前記軸方向ピストンエンジンの機械的効率、およびすなわち前記軸方向ピストンエンジンの全体効率はまた、前記膨張機および圧縮機段のシリンダの各ストローク体積を同一に保ったまま適切なシリンダ数を選択する、特にシリンダ数を減らすことにより最大化してもよく、この場合膨張を持続させるため前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダが省略され、したがって当該省略されたシリンダの摩擦損失が発生することもない。ピストン又はシリンダを上記のように非対称に配置することにより発生する可能性のある不均衡は所定の状況において許容可能又は補助的手段により防止可能である。
【0061】
本発明の課題は、熱伝達により相互に結合される燃焼媒介供給装置と排ガス排出装置を備え、少なくとも1個の熱交換器断熱装置を備えることを特徴とする軸方向ピストンエンジンにより、本発明のその他の特徴に追加的又は選択的に達成される。これにより、可能な限り多くの熱エネルギが前記軸方向ピストンエンジン内に保持され、前記1個又は複数の熱交換器により燃焼媒介へ再伝達されるようにすることが可能となる。
【0062】
そのため、廃熱は好都合には前記軸方向ピストンエンジンにおける別の場所で利用できる可能性があるため、前記熱交換器の断熱は必ずしも前記熱交換器を完全に囲っている必要がないものとする。しかしながら、詳細には前記熱交換器の断熱は外部に向かって設けられる必要がある。
【0063】
好ましくは、前記熱交換器の断熱は、前記熱交換器と前記軸方向ピストンエンジン周囲との間の温度勾配が最大400℃になるよう、詳細には少なくとも380℃となるよう構成される。詳細には、伝熱が進行するにしたがって、すなわち圧縮機側に向かって、温度勾配は急激に非常に小さくなっていく。上記に追加的又は選択的に、前記熱交換器の断熱は好ましくは、前記軸方向ピストンエンジンの前記熱交換器の断熱領域における外部温度が500℃又は480℃を超えないよう構成されてもよい。これにより、損失は温度又は温度勾配の上昇に比例して増加する訳ではないため、熱放射および熱伝導を介して失われるエネルギ量を最小とすることができる。更に、前記熱交換器の温度は前記圧縮機側に向かってどんどん低くなるため、最高温度又は最大温度勾配は小さい場所でのみ発生する。
【0064】
好ましくは、前記熱交換器の断熱は前記熱交換器とは異なる材料からなる少なくとも1個の部材を含む。この材料は断熱を目的として最適に構成されてもよく、例えばアスベスト、アスベスト代替部材、水、排ガス、燃焼媒介又は空気等を備えていてもよく、この場合、前記熱交換器の断熱は液体断熱材料である場合、特に材料の移動が原因の熱除去を最低限にするするため、ハウジングを必要とし、固体断熱材料の場合には安定化又は保護のためにハウジングを設けてもよい。詳細には、ハウジングは前記熱交換器の外装材と同一の材料から形成されてもよい。
【0065】
更に、本発明の課題はまた、熱伝達により相互に結合される燃焼媒介供給装置および排ガス排出装置を備え、少なくとも2個の熱交換器を有する軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0066】
特に複数又は少なくとも2個の圧縮機シリンダ出口弁に関して、排ガスが少なくとも2個の熱交換器に供給されることにより除去される場合、非常に高速で良好な排ガス排出が保証される。これにより効率が更に向上する。この点において、2個以上の熱交換器を公知の軸方向ピストンエンジンに設けることは非常に好ましい。
【0067】
2個の熱交換器を設けることにより当初はコストが上がり流動条件もより複雑になるが、2個の熱交換器を用いることにより前記熱交換器への経路を大幅に短くし、前記熱交換器におけるエネルギ配置をより好ましいものにできる。これにより、前記軸方向ピストンエンジンの効率が想像以上に大幅に向上する。
【0068】
上記は詳細には、シリンダを案内する1個の排ガス管路のみを必要とする、シリンダおよび、したがってピストンが回転軸の周囲を回転する軸方向ピストンエンジンとは対照的に、各場合においてピストンがその中で動作する固定シリンダを備える軸方向ピストンエンジンについて適用される。
【0069】
好ましくは、前記熱交換器は略軸方向に配置され、この場合本文脈において用語「軸方向に」は前記軸方向ピストンエンジンの主回転軸と平行又は回転エネルギの回転軸と平行な方向を指す。これにより、非常に小型の、したがって省エネルギな構成が可能となり、これは詳細には1個の熱交換器のみが用いられる場合にも言え、特に断熱された熱交換器が用いられる場合もそうである。
【0070】
前記軸方向ピストンエンジンが少なくとも4個のピストンを有する場合、好ましくは少なくとも2個の隣接するピストンからの排ガスは各場合において1個の熱交換器内に誘導される。これにより、ピストンおよび熱交換器間の排ガス経路を最短にすることができ、これにより前記熱交換器により回復できない廃熱という形の損失を最小にすることができる。
【0071】
上記は、3個の隣接するピストンからの排ガスが各場合において1個の共通の熱交換器内に誘導される場合にも達成される。
【0072】
一方、少なくとも2個のピストンを備える軸方向ピストンエンジンも考えられ、この場合各ピストンからの排ガスは各自の熱交換器内に誘導される。この点において、本発明の実際の実施例によって、好都合には各ピストンに対して熱交換器が設けられる。これにより製造コストが上昇することは確かであるが、一方で、前記熱交換器の各々はより小型に構成されていてもよく、したがってより単純な構造が可能となり、これにより前記軸方向ピストンエンジン全体がより小型に形成され、損失がより小さくなる。詳細には、上述の構成だけでなく、2個の以上のピストン毎に熱交換器が設けられる場合も、各熱交換器は必要に応じて2個のピストン間の三角小間に一体に設けられていてもよく、これにより対応して前記軸方向ピストンエンジン全体を小型に構成できる。
【0073】
その他の本発明の様態によって、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、少なくとも1個の熱交換器とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置され、前記熱交換器の前記吸熱部および/又は放熱部は下流および/又は上流に少なくとも1個の液体を供給する手段を有することを特徴とする軸方向ピストンエンジンを提案する。
【0074】
例えば燃焼媒介流の所定の熱容量を適切な液体の供給により排ガス流の所定の熱容量に調節してもよく、又は排ガス流の所定の熱容量を超えて増加させてもよいため、燃焼媒介流に液体を供給することにより前記熱交換器の伝達容量を増加できる。変更された排ガス流から燃焼媒介流への伝熱は、例えば好都合には前記熱交換器の構造寸法を同一に保持したままより高い熱量を燃焼媒介流および動作サイクルに結合させることができ、これにより熱力学効率が向上する。選択的又は追加的に、排ガス流に液体を供給してもよい。供給される液体はこの場合、例えば理想的には前記熱交換器内で形成される乱流により排ガス流と混合される下りにおける処理後排ガスに不可欠な支援であってもよく、これにより下流の排ガス後処理装置を最大効率で動作させることができる。
【0075】
「下流」はこの場合、前記熱交換器の各液体が排出される側、又は燃焼媒介を輸送する排ガス管路又は配管の前記液体が前記熱交換器から排出された後に流入する部分を指す。
【0076】
同様に、「上流」は前記熱交換器の所定の液体が流入する側、又は燃焼媒介を輸送する排ガス管路又は配管の前記液体が前記熱交換器に流入する部分を指す。
【0077】
この点において、前記液体の供給が前記熱交換器のすぐ近傍の空間で実行されるか、又は空間的距離がより大きい位置で実行されるかは重要ではない。
【0078】
水および/又は可燃性物質は例えば液体として適切に供給されてもよい。これにより、一方で燃焼媒介流の熱容量が水および/又は可燃性物質の供給により所定値まで増加するという上述の利点を有し、他方で前記熱交換器内又は前記予熱室で事前に混合体を準備でき、燃焼が前記燃焼室内で可能な限り最良の局所的均質性を有する燃焼空気比率で実行されるという利点が得られる。詳細には上記はまた、燃焼作用において効率の低下、不完全燃焼がほとんど又は全く見られないという利点を有する。
【0079】
軸方向ピストンエンジンのその他の構成について、排水器を前記熱交換器の前記放熱部内又は前記熱交換器の前記放熱部の下流に配置することを提案する。前記熱交換器における温度の低下により、蒸気質の水が凝結し、続く排ガス管路を腐食して損傷する可能性がある。排ガス管路の損傷は好ましくは上述の手段により軽減される。
【0080】
更に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、少なくとも1個の熱交換器とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置される軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法を提案し、前記方法は前記熱交換器を流れる燃焼媒介流および/又は前記熱交換器を流れる排ガス流に少なくとも1個の液体が供給されることを特徴とする。これにより、上述した通り、外界に誘導される排ガス流からの燃焼媒介流内への効率向上効果のある伝熱を、燃焼媒介流の所定の熱容量を液体の供給により増大させることにより、またしたがって燃焼媒介流への熱流を増大させることにより、向上させることが可能である。この場合、前記軸方向ピストンエンジンの動作サイクルにおけるエネルギ流の再生結合により、工程が適切に実行された場合、同様に効率を向上させることができ、詳細には熱力学効率を向上できる。
【0081】
好ましくは、前記軸方向ピストンエンジンは水および/又は可燃性物質が供給されるよう動作してもよい。その結果、同様に効率、詳細には燃焼工程の効率が前記熱交換器内および前記予熱室での理想的な混合により向上する。
【0082】
可燃性物質は例えば排ガス後処理に好都合であれば同様に排ガス流に供給されてもよく、これにより排ガス温度は前記熱交換器内又は前記熱交換器後において更に上昇する。必要に応じて、好ましい方法で排ガスを後処理し汚染物質を最低限にする後燃焼をこのように実行してもよい。したがって、前記熱交換器の前記放熱部内に放出される熱も燃焼媒介流を更に暖めるために間接的に利用することもでき、これにより前記軸方向ピストンエンジンの効率が不都合な影響を受けることはない。
【0083】
上述の利点を更に実施するため、前記液体を前記熱交換器の下流および/又は上流で供給することを更に提案する。
【0084】
上記に追加的又は選択的に、水を分離した形で燃焼媒介流および/又は排ガス流内に再度供給してもよい。最も好ましくは、これにより外部から更に水を供給する必要のない閉じた水回路が形成される。したがって、この構造からなる軸方向ピストンエンジンを備える車両又は定置装置には水、詳細には蒸留水を補充する必要がないという更なる利点が得られる。
【0085】
好ましくは、水および/又は可燃性物質の供給は前記軸方向ピストンエンジンが停止する前の所定の時点で停止され、前記軸方向ピストンエンジンは停止するまで水および/又は可燃性物質の供給なしで動作する。上述の方法により、排ガス管路を損傷させる可能性のある水が詳細には冷却される際に排ガス管路内に堆積するのを防止する。好都合には、前記軸方向ピストンエンジンが停止する前に前記軸方向ピストンエンジン自体から全ての水が除去され、これにより特に停止動作中の前記軸方向ピストンエンジンの部材に対する水又は水蒸気が原因の損傷が抑制される。
【0086】
本発明の課題はまた、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、圧縮された媒介を一時的に貯蔵する燃焼媒介用容器を備えることを特徴とする軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0087】
上記のような燃焼媒介用容器により、前記圧縮機により最初に供給する必要のある燃焼媒介の量を対応して増加させることなく、非常に短時間の間、出力が増大される。上記は詳細には、他の方法では最終的には燃料を増加することでしか実現できない燃焼媒介の増加を単に作動出力を増加することにより実現できるため、前記圧縮機の前記圧縮機ピストンは好ましくは直接作動ピストンに接続される。この点において、これにより燃料も削減される。
【0088】
前記燃焼媒介用容器内に貯蔵される燃焼媒介はまた、例えば前記軸方向ピストンエンジンの始動工程に用いてもよい。
【0089】
好ましくは、前記燃焼媒介用容器は前記圧縮機シリンダと熱交換器との間に設けられ、これにより燃焼のために供給される燃焼媒介、詳細には空気はまだ低温のまま、又は前記熱交換器からエネルギを抽出する前に前記燃焼媒介用容器内に一時的に貯蔵される。これにより、以上から分かるように前記軸方向ピストンエンジンのエネルギバランスに好都合な効果を与える。
【0090】
好ましくは、詳細にはより長い耐用年数のために、前記圧縮機シリンダと前記燃焼媒介用容器との間、および/又は前記燃焼媒介用容器と前記作動シリンダとの間に弁が配置される。これにより、リークの危険性を最小限にできる。詳細には、好ましくは前記燃焼媒介用容器は、前記圧力管路から弁を介して分離、又は通常の動作中に燃焼媒介を搬送するアセンブリから弁によって分離される。これにより、前記軸方向ピストンエンジンのその他の動作条件から影響を受けることなく、燃焼媒介を前記燃焼媒介用容器内に貯蔵できる。
【0091】
更に、好ましくは、本発明のその他の特徴とは別に、前記圧縮機シリンダと前記作動シリンダとの間前記圧力管路は弁を有し、これにより詳細には前記軸方向ピストンエンジンの運動により圧縮された燃焼媒介が前記圧縮機により利用可能であるにも関わらず、例えば交通信号機で停止する際又は制動工程の最中など燃焼媒介が必要とされない条件下で前記燃焼媒介用容器からの燃焼媒介の供給を動作上確実に停止できる。詳細には、例えば走行および加速工程のために遅延なく即座に利用可能とするため、対応する遮断を実行して前記圧縮機が利用可能な燃焼媒介を即座に直接前記燃焼媒介用容器内に送ってもよい。
【0092】
そのため、前記軸方向ピストンエンジンの実際の実施の形態によって、燃焼媒介用容器に対して適切に遮断又は接続される複数の圧力管路を個別又は共に設けてもよいものとする。
【0093】
非常に好ましい別の実施の形態によれば、少なくとも2個の上記のような燃焼燃料容器が設けられ、これにより前記軸方向ピストンエンジンの異なる動作状態を、差異がより大きい場合でも制御することができる。
【0094】
前記少なくとも2個の燃焼媒介用容器に異なる圧力が充填されている場合、例えば調整弁の固有の応答挙動による遅延を許容する必要なく前記燃焼室内の動作状態を特に高速に変化させることができる。詳細には、容器の充填時間を最短にすることが可能であり、詳細には一方の容器が高い圧力で燃焼媒介を含み、同時に他方の容器で燃焼媒介を低い圧力で貯蔵できる。
【0095】
燃焼媒介用容器を加圧する範囲である第1の燃焼媒介用容器用の第1の圧力下限および第1の圧力上限、および第2の燃焼媒介用容器用の第2の圧力下限および第2の圧力上限を規定する圧力調整装置を設け、前記第1の圧力上限が好ましくは前記第2の圧力上限より低く、前記第1の圧力下限が好ましくは前記第2の圧力下限より低くなるよう設定することで、特に多様で相互に連動するような調整が可能となる。詳細には、用いられる前記燃焼媒介用容器はさまざまな圧力範囲で動作させることができ、これにより燃焼媒介圧力の形で前記軸方向ピストンエンジンにより供給されるエネルギをより効率的に利用することができる。
【0096】
例えば前記軸方向ピストンエンジンにおいて、詳細には非常に広範囲の動作に関して特に高速な応答挙動を実現するため、好都合には前記第1の圧力上限は前記第2の圧力下限以下である。このように選択される圧力範囲により、好ましくは特に広い範囲の圧力を利用可能である。
【0097】
既に詳述した通り、前記軸方向ピストンエンジンに水を供給してもよい。しかしながら、これには詳細には燃焼生成物が既に存在する領域における腐食が促進されるリスクが伴う。これを防止するため、本発明のその他の特徴とは独立して、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備える軸方向ピストンエンジンであって、燃焼媒介、すなわち前記燃焼室を流れる材料としての水が所定の場所で前記軸方向ピストンエンジンに供給され、前記水の供給は前記軸方向ピストンエンジンの動作終了前に停止され、前記軸方向ピストンエンジンは任意の時間水の供給なしで動作することを特徴とする軸方向ピストンエンジンを提案する。
【0098】
上記の時間は、使用者はエンジンが停止まで不必要に待つことを望まないため、また、この時間中において実際にはエンジンは不必要であるため、可能な限り短くなるよう決定してもよいものとする。一方、この時間は詳細には高温な又は燃焼生成物と接触する領域から水を十分に除去するのに十分長くなるよう決定される。この時間中に例えば燃焼媒介用容器を充填してもよい。またこの時間中において、エンジンから供給される最終的にはバッテリを補助することになるエネルギはまだ利用可能なため、例えば全ての窓を動作上確実に閉める等車両に対してその他の停止工程を実行してもよい。
【0099】
この場合、一方で水は前記燃焼室内に直接供給されてもよい。また他方で、上述した通り、水は例えば圧縮中又は圧縮前に事前に燃焼媒介と混合されてもよい。燃焼空気又は可燃性物質又はその他の燃焼媒介との混合はまた、異なる場所で実行されてもよい。
【0100】
上述の課題はまた、特に特許文献2とは対照的に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、前記燃焼室と前記膨張機段との間の少なくとも1個の制御ピストンおよび導管とを備え、前記制御ピストンおよび前記導管は前記制御ピストンの運動により解放される主流れ方向を有する流量断面を有し、前記制御ピストンは前記主流れ方向と平行な案内面および/又は前記主流れ方向と垂直な衝突面を有し、前記制御ピストンおよび前記導管は前記制御ピストンの運動により解放される流量断面を有し、前記前記制御ピストンの運動は前記制御ピストンの長さ方向の軸に沿って実行され、前記制御ピストンは案内面および/又は前記制御ピストンの前記長さ方向の軸に対して鋭角を成す衝突面を有する軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0101】
通常、体積が付加された燃焼エンジンの2個の部材間での給気の交換は、スロットルポイントを介して流動損失を伴って結合される。この場合前記導管および前記制御ピストンにより形成される上記のようなスロットルポイントは、この流動損失により効率を低下させる。したがって、前記導管および/又は前記制御ピストンを流体的に好ましく構成することにより効率を向上できる。
【0102】
したがって、前記制御ピストンの案内面を前記主流れ方向と平行に配置することにより、流動損失を防止して効率を最大にする利点が得られる。詳細には、流れを前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直には発生しないよう構成することにより、前記制御ピストンの前記長さ方向の軸に対して鋭角に配置される案内面により、前記案内面をこの案内面上を流れる流れに対して好ましい角度に配置することが可能である。好都合には、前記案内面又は前記制御ピストンにおける流動損失を最小限にできるため、前記軸方向ピストンエンジンの効率が上記の手段により更に向上する。
【0103】
本発明において「主流れ方向」は、燃焼媒介の層流又は乱流について測定および図示可能な、燃焼媒介が前記導管を流れる方向を意味する。したがって「平行」という特性はこの主流れ方向に関して数学的幾何学的観点から理解されるべきであり、前記主流れ方向と平行な制御ピストンの案内面は可燃性物質の流れにより運動量を吸収することは全くなく、又は流れの運動量を変化させることも全くない。
【0104】
前記制御ピストンが前記制御ピストンが解放された流量断面を閉鎖する位置に到達すると、前記主流れ方向と垂直に形成される衝突面は好ましくは前記燃焼室に対して最小表面で配置され、これにより前記燃焼室内の燃焼媒介により前記制御ピストン内に伝達される熱流量が最小となる。したがって、このように前記主流れ方向に対する衝突面を最小寸法とすることにより、壁における熱損失を最小にすることが可能であり、これにより同様に前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率を最大にできる。
【0105】
上述の前記案内面と同様に、前記衝突面も鋭角に配置してもよく、また燃焼媒介流において、流れは前記制御ピストン又は前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直に発生しなければ、前記衝突面が流れに対して最小表面を有するよう配置してもよい。衝突面を最小に構成することにより同様に、壁における熱損失を軽減でき、また渦が形成させることによる好ましくない流れの偏向を最小限にすることができ、対応して前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率を最大にできるという利点が得られる。
【0106】
前記案内面および/又は前記衝突面は平面、球状の面、筒状の面又は円錐状の面からなっていてもよい。前記案内面および/又は前記衝突面を平面に構成することにより、一方で前記制御ピストンを非常に単純且つコスト効率良く製造でき、他方で前記案内面と連動するシール面を単純な構造で構成することができ、この案内面における封止効果が最大となるという利点を有する。前記案内面および/又は前記衝突面を球状に構成することにより、前記導管もまた円形又は楕円形の断面を有する場合、前記案内面を続く前記導管に幾何学的に非常に良く適応させることができるという更なる利点が得られる。したがって、前記制御ピストン又は前記前記制御ピストンの案内面から前記導管への移行部において、好ましくない離脱流又は乱流は発生しない。同様に、案内面および/又は衝突面を円筒状に形成することにより、前記制御ピストンと前記導管との間の移行部、又は前記制御ピストンと前記燃焼室との間の移行部において離脱流又は乱流の発生が抑制されるという利点が得られる。あるいは、好都合には前記案内面および/又は前記衝突面を円錐状に形成してもよく、この場合前記制御ピストンに続く前記導管は前記導管の長さに対応して変更可能な断面を有する。前記導管がディフューザ又はノズルとして形成される場合も、前記制御ピストンの円錐形に構成される案内面により、流れにおいて離脱流又は乱流を発生させないようにできる。上述の手段はいずれも、その他の手段とは独立して、本質的に効率を最大化する効果を有する又は有していてもよいものとする。
【0107】
前記軸方向ピストンエンジンは前記燃焼室と前記膨張機段との間に案内面シール面を有していてもよく、この場合前記案内面シール面は前記案内面と平行に形成され、前記制御ピストンの上死点において前記案内面と連動する。前記制御ピストンはまたその上死点において封止効果を有するため、前記案内面シール面は好ましくは前記制御ピストンの上死点において前記案内面と大きい領域で連動するよう形成され、したがって可能な限り最適な封止効果が得られる。前記案内面シール面の全ての地点が前記案内面に対して同一の距離を有する場合、好ましくは前記案内面に対する距離がゼロの場合、前記案内面シール面の封止効果が最大になる。案内面シール面を前記案内面に対して補完的に形成することにより、前記案内面の形状に関わらず上記の条件を満たすことができる。
【0108】
上記に追加的に、前記案内面シール面を前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直な表面において前記導管側に結合することを提案する。非常に単純な構成により、前記案内面シール面の、前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直な表面への移行部は鋭角な折曲部を含んでいてもよく、これにより前記案内面シール面を流れる流れはこの鋭角な折曲部又は変形部において離脱し、これにより燃焼媒介流は可能な限り少ない流動損失で前記制御ピストンから続く前記導管内に流れることができる。
【0109】
上述の特徴に選択的又は追加的に、前記燃焼室と前記膨張機段との間にステムシール面を備え、前記ステムシール面は前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と平行に形成され、前記制御ピストンのステムの表面と連動する軸方向ピストンエンジンを提案する。前記制御ピストンがその上死点に到達すると、前記制御ピストンの前記ステムおよび対応するステムシール面の相互作用として、前記制御ピストンは前記燃焼室に対して封止を行うだけでなく、好ましくは前記膨張機段に対しても封止を行う。これにより前記制御ピストンにおけるリークによる損失が更に軽減され、これにより前記軸方向ピストンエンジンの全体効率を同様に最大化することができる。
【0110】
更に、前記制御ピストンの前記ステムの前記案内面、前記衝突面、前記案内面シール面、前記ステムシール面および/又は前記表面を反射性表面を有するよう構成することを提案する。上記の各表面は燃焼媒介と接触してもよいため、上記面の各々を介して壁において熱流が発生し、その結果として効率損失が発生する可能性がある。したがって、反射性表面は熱放射が原因の不必要な損失を防止し、これにより対応して前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率が向上するという利点が得られる。
【0111】
上述した課題はまた、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置され、前記熱交換器は2個の材料流を分離するため前記放熱部を前記熱交換器の前記吸熱部から分割する少なくとも1個のパイプ壁を含み、製造工程において前記パイプは前記パイプと同一の材料を含む少なくとも1個のマトリクス内に配置され、前記マトリクスに物質的および/又は摩擦的に接続されることを特徴とする軸方向ピストンエンジンの熱交換器の製造方法により達成される。
【0112】
上述した軸方向ピストンエンジン内で熱交換器を用いることにより、一方では前記熱交換器の入力および出力間で、また他方では前記熱交換器の吸熱部および放熱部間で発生する高い温度差により、材料が損傷を受けて耐用年数が制限され、不都合が発生する場合がある。上記により発生する熱応力および損傷が原因で発生する燃焼媒介又は排ガスの損失に適切な構成で対抗するため、上述の提案によれば、熱交換器の限界応力を受ける地点は好ましくはほぼ1個の材料のみで製造されてもよい。それ以外の場合でも好都合には、材料応力は上述の解決手段により軽減される。
【0113】
前記熱交換器を固定又取付けるためのはんだ付け又はその他の手段は、特に高い熱応力又は高い封止強さが求められる領域が対象ではない場合、異なる材料を含んでいてもよいものとする。
【0114】
同一の熱膨張係数を有する2個の以上の材料を用いることも考えられ、これにより材料において発生する熱応力に類似の方法で対抗できる。
【0115】
前記パイプおよび前記マトリクス間に材料接続および/又は摩擦接続を構築するため、前記パイプおよび前記マトリクス間の材料接続を溶接又ははんだ付けにより実行することを更に提案する。熱交換器の封止強さは単純な方法、特に好ましくは類似の方法により保証される。この場合もまた、溶接又ははんだ付け材料として前記パイプ又は前記マトリクスと同一の材料を用いてもよい。
【0116】
選択的又は上記に追加的に、前記パイプおよび前記マトリクス間の摩擦結合は収縮により構築してもよい。これにより同様に、前記パイプ又は前記マトリクスの材料とは異なる材料を用いて例えば物質的に接着して接続すること避けられるため、前記パイプおよび前記マトリクス間の熱応力が防止できるという利点が得られる。その結果、接続を高速で動作上確実に実行することができる。
【0117】
軸方向ピストンエンジンの多様なアセンブリの実施例を図示した以下の添付の図面の記載に基づいて、本発明の更なる利点、目的および特性を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、軸方向ピストンエンジンの圧縮機シリンダのシリンダヘッドにおける入口弁および出口弁の配置の概略断面図である。
【図2】図2は、図1に記載の配置の前記圧縮機シリンダの方向における部分切欠き概略平面図である。
【図3】図3は、好ましくは図1および図2のアセンブリを用いた2個の熱交換器を備える軸方向ピストンエンジンの概略断面図である。
【図4】図4は、図3に記載の前記軸方向ピストンエンジンの概略平面図である。
【図5】図5は、図4に類似した図示の、好ましくは図1および図2に示すアセンブリを備える別の軸方向ピストンエンジンの概略平面図である。
【図6】図6は、好ましくは図1および図2のアセンブリを用いた燃焼媒介用容器を備える軸方向ピストンエンジンの概略断面図である。
【図7】図7は、好ましくは図1および図2のアセンブリを用いた更に別の軸方向ピストンエンジンの概略側面図である。
【図8】図8は、圧力空間として形成される制御室を備える更に別の軸方向ピストンエンジンの概略断面図、オイル回路および別の構成からなる制御ピストンの切欠き図である。
【図9】図9は、圧力空間を形成する制御室を備える更に別の軸方向ピストンエンジンの概略断面図、オイル回路および別の構成からなる制御ピストンの切欠き図である。
【図10】図10は、熱交換器のパイプを終了するために配置されるマトリクスを備える熱交換器用のフランジの概略図である。
【図11】図11は、弁スプリングおよび衝突スプリングを備えるガス交換弁の概略断面図である。
【図12】図12は、弁スプリングおよび衝突スプリングを備えるガス交換弁の別の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図1に記載の軸方向ピストンエンジン1101の圧縮機側の詳細図において、前記軸方向ピストンエンジン1101の圧縮機シリンダ1160におけるシリンダヘッド1151の略図を示す。
【0120】
前記シリンダヘッド1151には圧縮機シリンダ入口弁1152および複数の圧縮機シリンダ出口弁1153(数は単なる例示)が嵌合している。本発明によれば、前記圧縮機シリンダ入口弁1152は環状の入口弁カバー1154を備え、前記環状の入口弁カバー1154は前記シリンダヘッド1151上の三点ホルダ1158(図2参照)に配置される。
【0121】
前記環状の入口弁カバー1154は計3個の渦巻ばね1159(数は単なる例示)により入口弁座1161に対向して引かれ、これにより、対応する前記圧縮機シリンダ入口弁1152において環状に配置される開口部1162(数は単なる例示)をしっかりと閉鎖することが可能となる。
【0122】
更に、図1に記載の詳細図から明らかなように、前記渦巻ばね1159の一方端は前記環状の入口弁カバー1154に、他方端は前記三点ホルダ1158の保持アーム1163に締着されており、これにより展張された状態においてバイアスを受ける。
【0123】
本実施例において、前記入口弁カバー1154により形成される輪の内側の領域1164内には吸水口1165が配置されており、これにより前記圧縮機シリンダ1160に水又は水蒸気を注入可能である。これは例えば、圧縮機ピストン(図示せず)が前記シリンダヘッド1151から離れる方向に移動し、燃焼空気が開放状態の前記圧縮機シリンダ入口弁1152の前記開口部1162を介して前記圧縮機シリンダ1160に流入する、吸気行程の最中に実行される。
【0124】
前記開口部1162は前記吸水口1165の周囲に同心円状に配置されるため、前記吸気行程において、水又は水蒸気は前記開口部1162を流れる燃焼空気と非常に急速、均一、且つしっかりと混合され、これにより前記圧縮機シリンダ1160には燃焼空気および水の混合物を備える非常に均質な燃焼媒介が存在することになるが、この燃焼媒介は、圧縮中に断熱的ではなく等温的に圧縮してもよい。これにより前記軸方向ピストンエンジン1101の効率も向上する。この場合、燃焼空気は適切な供給管路1157を介して前記渦巻ばね1159から前記開口部1162まで流れる。
【0125】
前記圧縮機シリンダ入口弁1152に隣接して、圧縮機シリンダ出口弁1153(数は単なる例示)が配置されており、前記圧縮機シリンダ1160内で圧縮された燃焼媒介は、前記圧縮機シリンダ出口弁1153を介して前記圧縮機シリンダ1160から排出可能である。
【0126】
前記圧縮機シリンダ出口弁は相対的に小型に構成され、詳細には前記圧縮機シリンダ入口弁1152より小さいため、前記圧縮機シリンダ出口弁1153は反応時間が極めて短く、これにより燃焼媒介をかなり高速に前記圧縮機シリンダ1160から確実に排出できる。
【0127】
本実施例において、前記圧縮機シリンダ出口弁1153の各々は出口弁カバー1166を有し、前記出口弁カバー1166は半球体1167からなり、対応する形状の出口弁座1168に押圧される。これを目的として、前記圧縮機シリンダ出口弁1153の各々は圧縮ばね1169を含み、前記圧縮ばね1169は前記出口弁カバー1166および前記半球体1167を前記出口弁座1168に押圧する。
【0128】
前記出口弁カバー1166は半球体1167からなるため、前記出口弁カバー1166は対応する前記出口弁座1168に対向して前記圧縮機シリンダ出口弁1153を封止する。これにより、前記出口弁カバー1166の案内の不正確さ、および/又は前記出口弁カバー1166又は前記出口弁座1168の製造公差を非常に良く相殺することができ、前記圧縮機シリンダ出口弁1153を常にしっかりと封止することが可能となる。摩耗現象も前記出口弁カバー1166の前記半球体1167により十分に補うことができ、前記圧縮機シリンダ出口弁1153のメンテナンスの必要性がほとんど無くなる。
【0129】
前記出口弁カバー1166を確実に十分な平滑さおよび速度で移動させるため、前記圧縮機シリンダ出口弁1153は更にを前記出口弁カバー1166の位置合わせ手段を含み、前記位置合わせ手段は前記圧縮ばね1169と相互作用し、これにより前記出口弁カバー1166を確実に案内する。仮に前記出口弁カバー1166が作用方向1179に対して非対称に配置されていたとしても、同様である。
【0130】
本実施例において、前記出口弁カバー1166の前記位置合わせ手段は、前記圧縮ばね1169が挿入されるガイドブッシュ1189からなる。前記半球体1167の平らな座面は、前記圧縮ばね1169がこの座面に対して対応する配置による効果を直接的に与えるため、対応する配置にも役立つ。
【0131】
前記出口弁カバー1166が更に少なくとも部分的に中空になるよう構成されている場合、前記出口弁カバー1166をかなり軽量化でき、これにより移動する前記圧縮機シリンダ出口弁1153の質量を更に軽減できる。その結果、前記圧縮機シリンダ出口弁1153の反応時間を更に短縮でき好ましい。
【0132】
圧縮機シリンダ入口弁および圧縮機シリンダ出口弁を好ましい形態で形成可能な軸方向ピストンエンジンの例を以下に説明する。
【0133】
図3および図4に記載の軸方向ピストンエンジン201の実施例は連続動作燃焼室210を有し、前記燃焼室210から、作動媒体が注入管215(数は例示)を介して作動シリンダ220(数は例示)に連続的に供給される。前記作動シリンダ220の各々には作動ピストン230(数は例示)がそれぞれ配置され、前記作動ピストン230の一方は、直線状の連接棒235により本実施例において出力軸241上に配置される曲線軌道240を支持するスペーサ242からなる出力に接続され、他方は圧縮機ピストン250に接続され、それぞれが以下に詳述する方法で、前記圧縮機シリンダ260内で駆動する。
【0134】
作動媒体は、作動シリンダ220内で作用して作動ピストン230に負荷を与えた後、排ガス管225を介して前記作動シリンダ220から排出される。図示しないが、前記排ガス管225上には排ガスの温度を計測する温度センサが設けられる。
【0135】
前記排ガス管225は各場合において熱交換器270内に放出し、続いて公知の方法により適切な排出口227から前記軸方向ピストンエンジン201を出ていく。前記排出口227自体は詳細には図示しない環状水管に接続可能であり、これにより最終的には排ガスによって前記エンジン201は1個所又は2個所にのみ配置される。詳細には前記熱交換器270の実際の構造によっては、前記熱交換器270自体が既に弱音効果を有するため弱音ダンパを備えなくてもよい。
【0136】
前記熱交換器270は予熱燃焼媒介の役割を果たし、前記圧縮機シリンダ260内で前記圧縮機ピストン250により圧縮された後、圧力管路255を介して前記燃焼室210に導入される。この場合、圧縮は公知の方法で実行され、供給空気が前記圧縮機ピストン250により供給管路257(数は例示)を介して引き込まれ、前記圧縮機シリンダ260内で圧縮される。そのために、適切利用が容易に可能な公知の弁機構が用いられる。上述した弁機構を用いてもよい。
【0137】
図4から明らかなように、前記軸方向ピストンエンジン201は2個の熱交換器270を有し、前記熱交換器270の各々は前記軸方向ピストンエンジン201に対して軸方向に配置される。このような配置により、各場合において排ガスが前記排ガス管225を介して前記熱交換器270まで移動するための経路を従来技術による軸方向ピストンエンジンに比べて大幅に減少させることができる。その結果、最終的には排ガスは前記熱交換器270の各々に大幅に高い温度で到達し、これにより最終的には燃焼媒介をより高い温度に対応して予熱することができる。実際には、このような構成により燃料を少なくとも20%削減できることが確認されている。そのため、最適設計により30%以上の削減も可能と考えられる。
【0138】
更に、前記熱交換器は、図示しないアスベスト代替部材からなる断熱材により断熱される。これにより、本実施例において、ほぼ全ての動作条件下において前記軸方向ピストンエンジンの外部温度が前記熱交換器270の近傍で450℃を超えないようにすることができる。唯一の例外は過負荷条件にある場合だが、過負荷条件は発生したとしても短時間である。この場合、断熱材は、前記熱交換器における温度勾配が最高温度を有する位置で350℃となるよう構成される。
【0139】
そのため、前記軸方向ピストンエンジン201の効率は他の方法で向上させることができることが分かる。例えば、燃焼媒介を公知の方法で前記燃焼室210を冷却又は断熱するために用いてもよく、これにより燃焼媒介の温度を、燃焼媒介が前記燃焼室210に流入する前に更に上昇させることができる。なお、燃焼空気に関する本実施例の場合と同様に、対応する温度調節は燃焼媒介の成分のみに制限してもよい。また、燃焼空気の圧縮前又は圧縮中に予め水を供給することも考えられるが、これは例えば前記圧力管路255内で等、以降においても容易に可能である。
【0140】
特に好ましくは、前記圧縮機シリンダ260への水の供給は前記対応する圧縮機ピストン250の吸気行程の最中に実行され、これにより等温圧縮、又は限りなく等温圧縮に近い圧縮が可能となる。容易に分かるとおり、前記圧縮機ピストン250の各動作サイクルは吸気行程および圧縮行程を有し、吸気行程の最中に前記圧縮機シリンダ260に燃焼媒介が流入し、燃焼媒介はその後圧縮、すなわち圧縮行程の最中に圧縮され、前記圧力管路255に搬送される。吸気行程の最中に水を供給することにより、動作上単純な方法で水を均一に分布させることができる。
【0141】
同様に燃料を適宜温度調節することも考えられるが、燃焼空気に関して燃料の量は通常相対的に少なく非常に速く高温になるため、必ずしも必要ではない。
【0142】
同様に、本構成において水の供給は前記圧力管路255内で実行してもよく、その場合、流れを適切に偏向させることにより水は前記熱交換器内で燃焼媒介と均一に混合される。また、水、又は例えば燃料又は排ガスを後処理する手段等のその他の液体の供給に前記排ガス管225を用いてもよく、これにより前記熱交換器270内での均一な混合が保証される。例示した熱交換器270の構成は更に、前記熱交換器内での排ガスの後処理を可能にし、その際、後処理により放出された熱は前記圧力管路255内の燃焼媒介に直接供給される。前記排出口227には、排ガスに含まれる凝縮水を新たに供給するために前記軸方向ピストンエンジン201に戻す図示しない排水器が配置される。前記排水器は復水器に関連付けて構成してもよい。更に、前記排水器は同様の構造からなる軸方向ピストンエンジンに用いてもよいが、前記排出口227内に排水器を備えていなくても、前記軸方向ピストンエンジン201又は類似の軸方向ピストンエンジンのその他の利点は有効なままである。
【0143】
図5に記載の軸方向ピストンエンジン301は、その構造および機能様式について図3および図4に記載の前記軸方向ピストンエンジン201と略同一である。そのため、詳細な説明を省略するが、図5において、同様に動作するアセンブリには1桁目が異なるだけの類似の参照符号が与えられている。前記軸方向ピストンエンジン301も中央燃焼室310を有し、前記軸方向ピストンエンジン301の動作順序に合わせて、作動シリンダ320内の作動媒体が注入管315(数は例示)を介して前記中央燃焼室310から導入される。作動媒体は、動作を終了すると、各場合において、排ガス管325を介して熱交換器370に供給される。
【0144】
この場合、前記軸方向ピストンエンジン201とは対照的に、前記軸方向ピストンエンジン301は2個の作動シリンダ320に対して正確に1個の熱交換器370を有し、これにより導管325の長さが最小となる。容易に分かるとおり、本実施例において前記熱交換器370は前記軸方向ピストンエンジン301の筐体305に部分的に挿入されており、図3および図4に記載の前記軸方向ピストンエンジン201の構造より更に構造を小型化することができる。この場合、前記筐体305に対して前記熱交換器370をどの程度挿入するかは、例えば前記作動シリンダ220用の水冷装置等、その他のアセンブリの配置により制限される。
【0145】
図6に記載の軸方向ピストンエンジン401もまた、図3から図5に記載の前記軸方向ピストンエンジン201および301と略同一である。したがって、同一又は同様に動作アセンブリは1桁目が異なるだけの同様の符号が与えられている。したがって、その他の点について、作動形態の詳細な説明は図3および図4に記載の前記軸方向ピストンエンジン201について既に上述しており、本実施例においては省略する。
【0146】
前記軸方向ピストンエンジン401はまた筐体405を含み、前記筐体405上には連続動作燃焼室410、6個の作動シリンダ420および6個の圧縮機シリンダ460が設けられる。この場合、各場合において前記燃焼室410は注入管415を介して前記作動シリンダ420に接続され、これにより前記軸方向ピストンエンジン401のタイミングレートに合わせて作動媒体を前記作動シリンダ420に供給可能である。
【0147】
動作が終了すると、各場合において作動媒体は、本実施例において図3および図4に記載の前記軸方向ピストンエンジン201の前記熱交換器270と同一に配置される、熱交換器470に接続する排ガス管425を介して前記作動シリンダ420から排出される。なお、他の実施の形態においては、前記熱交換器470はその他形態で配置可能とする。作動媒体は排出口427(数は例示)を介して前記熱交換器470から排出される。
【0148】
前記作動シリンダ420および前記圧縮機シリンダ460内にはそれぞれ作動ピストン430および圧縮機ピストン450が配置されており、前記作動ピストン430および前記圧縮機ピストン450は剛体からなる連接棒435により相互に接続されている。前記連接棒435は、最終的に出力軸441を駆動するスペーサ424上に設けられる曲線軌道440を公知の方法により備える。
【0149】
本実施例においてもまた、燃焼空気は供給管路457を介して引き込まれ、前記圧縮機シリンダ460内で圧縮されて、圧力管路455を介して前記燃焼室410内に供給されるが、実際の実施例によっては、上述の実施例について記載した手段を同様に用いてもよい。
【0150】
更に、前記軸方向ピストンエンジン401の場合には、前記圧力管路455は環状水管456を介して相互に接続されており、これにより公知の方法で圧力管路455全体の圧力を均一にすることができる。前記環状水管456および前記圧力管路455の各々間には弁485が設けられ、これにより燃焼媒介の供給は前記圧力管路455により制御又は設定できる。更に、前記環状水管456には燃焼媒介用容器480が貯蔵管路481を介して接続され、前記貯蔵管路481内には弁482が同様に配置される。
【0151】
前記弁482および485は、前記軸方向ピストンエンジン401の動作状態に合わせて開放又は閉鎖可能である。したがって、例えば前記軸方向ピストンエンジン401が必要とする燃焼媒介が少ない場合に前記弁485のうち1個を閉鎖することが考えられる。また、上記のような動作条件下では、全ての弁485の一部を閉鎖し、スロットルとして動作させることも考えられる。また、弁482が解放状態である時、余剰な燃焼媒介を前記燃焼媒介用容器480に供給することができる。これは詳細には、前記軸方向ピストンエンジン401が減速下で稼動している場合、すなわち燃焼媒介を全く必要せず前記出力軸441により駆動されている場合に可能となる。同様に前記圧縮機ピストン450の運動が原因で発生する余剰な燃焼媒介は、上記のような動作条件下では容易に前記燃焼媒介用容器480内に貯蔵できる。
【0152】
このように貯蔵される燃焼媒介は必要に応じて、すなわち詳細には走行又は加速条件下、および始動時に前記軸方向ピストンエンジン401に補助的に供給されてもよく、これにより前記圧縮機ピストン450を更に速い速度で運動させることなく燃焼媒介の余剰が供給できる。
【0153】
上記を保証するため、前記弁482および485はまた適宜省略してもよい。リークが避けられないため、上述のような圧縮された燃焼媒介を長期貯蔵する弁は適切とは言い難い。
【0154】
前記軸方向ピストンエンジン401の別の実施の形態においては前記環状水管456を省略してもよく、その場合前記圧縮機シリンダ460の前記排出口は、圧力管路455の数に対応して例えば環状水管の断面により結合されてもよい。このような構成においては、前記圧力管路455のうち1個のみを結合、又は圧力管路455の一部を前記燃焼媒介用容器480に結合、又は接続不可能として備えることが理に適っているかもしれない。このような構成においては、減速の最中に全ての圧縮機ピストン450が前記燃焼媒介用容器480を充填することは難しい。一方、十分な燃焼媒介が前記燃焼室410に供給されており、これにより更なる調整又は制御装置手段なしに燃焼を継続可能である。同時に、前記燃焼媒介用容器480はその他の圧縮機ピストン450により充填され、これにより燃焼媒介は適宜備蓄され、詳細には始動、走行又は加速時において即座に利用可能である。
【0155】
前記軸方向ピストンエンジン401の具体的には図示しない更に別の実施の形態においては、2個の燃焼媒介用容器480を備えていてもよく、この場合また前記2個の燃焼媒介用容器480には異なる圧力が付加されていてもよく、これにより前記2個の燃焼媒介用容器480を備えることで異なる圧力範囲でリアルタイムに動作することが常に可能となるものとする。この場合、好ましくは圧力調整装置が設けられ、前記圧力調整装置は第1の燃焼媒介用容器480に対して第1の圧力下限および第1の圧力上限を設定し、および第2の燃焼媒介用容器(図示せず)に対して第2の圧力下限および第2の圧力上限を設定し、前記上限および下限内で燃焼媒介用容器480に圧力が付加されることになり、前記第1の圧力上限は前記第2の圧力上限より低く、前記第1の圧力下限は前記第2の圧力下限より低い。詳細には、前記第1の圧力上限は前記第2の圧力下限は以下に設定してもよい。
【0156】
図3から図6に記載の前記軸方向ピストンエンジン201、301、401内において、排ガス又は前記燃焼室内の温度を計測する温度センサは図示しない。このような温度センサとしては、800℃から1,100℃の間の温度を動作上確実に計測できる全ての温度センサが考えられる。詳細には、前記燃焼室が予熱室および主燃焼室を備える場合、前記予熱室の温度も上記のような温度センサにより計測できる。この点において、上述の前記軸方向ピストンエンジン201、301および401の各々は、前記作動シリンダ220、320、420から排出される時の排ガス温度は約900℃、および、もし備える場合は前記予熱室内の温度は約1,000℃となるよう前記温度センサにより制御可能である。
【0157】
図7に記載の他の軸方向ピストンエンジン501の実施例の場合には、上記のような温度センサは例えば予熱室温度センサ592および2個の排ガス温度センサ593として構成されており、その概略図を示す。詳細には、本実施例において、前記他の軸方向ピストンエンジン501の予備燃焼器517に近接していることから予備燃焼器温度センサ592とも言える前記予熱室温度センサ592について、燃焼品質、又は前記他の軸方向ピストンエンジン501の稼動安定性に関して利点があることが確認された。例えば、前記予備燃焼器517内の火炎温度を計測して、燃焼室調整装置により前記他の軸方向ピストンエンジン501内の異なる動作状態を調整できるようにしてもよい。前記作動シリンダ520の各々の排出口又は排ガス管525に配置される前記排ガス温度センサ593により、詳細には前記燃焼室510の動作状態を追加的にチェックし、必要に応じて制御することができ、これにより燃焼媒介の燃焼を常に最適な状態にできる。
【0158】
その他については、前記他の軸方向ピストンエンジン501の構造および動作原理は上述した前記軸方向ピストンエンジンと略同一である。この点において、前記他の軸方向ピストンエンジン501は筐体505を有し、前記筐体505上には連続動作燃焼室510、6個の作動シリンダ520および6個の圧縮機シリンダ560が設けられる。
【0159】
前記燃焼室510内においては燃焼媒介を点火および燃焼させることができるが、その場合、上述した方法で前記燃焼室510に燃焼媒介を充填してもよい。前記他の軸方向ピストンエンジン501は二段階燃焼装置と連動しており、そのため前記燃焼室510は上述した予備燃焼器517および主燃焼器518を有しており好都合である。燃焼媒介は前記予備燃焼器517内および前記主燃焼器518内に注入され、前記軸方向ピストンエンジン501の燃焼空気の一部、詳細には本実施例において全燃焼空気の15%未満が詳細には前記予備燃焼器517内に導入される。
【0160】
前記予備燃焼器517は前記主燃焼器518より小さい直径を有し、前記主燃焼器518において前記燃焼室510は円錐チャンバ513および円筒チャンバ514を備える移行部を有する。
【0161】
燃焼媒介又は燃焼空気を供給するため、一方では主ノズル511が、他方では処理ノズル512が前記燃焼室510、詳細には対応する前記円錐チャンバ513に排出する。前記主ノズル511および前記処理ノズル512により、燃焼媒介又は可燃性物質が前記燃焼室510に注入される。
【0162】
前記主ノズル511は前記燃焼室510の主燃焼方向502と略平行に配置される。更に、前記主ノズル511は前記燃焼室510の対称軸503と同軸上に配置され、前記燃焼室510において前記対称軸503は前記主燃焼方向502と平行に配置される。
【0163】
更に、前記処理ノズル512は前記主ノズル511に対して任意の角度(明確には図示しない)で配置され、これにより前記主ノズル511の噴射方向516および前記処理ノズル512の噴射方向519が前記円錐チャンバ513でそれぞれの交点で公差する。
【0164】
可燃性物質又は燃料は本実施例においては更なる空気の供給なしで前記主ノズル511から前記主燃焼器518内に注入されるが、この場合可燃性物質は前記予備燃焼器517により既に予熱され、理想的には熱分解されている。これを目的として、前記主ノズル511を流れる可燃性物質の量に対応する体積を有する燃焼空気が前記予備燃焼器517又は前記主燃焼器518後方の燃焼空間526内に導入され、そのために前記燃焼空間526内に排出を行う燃焼空気供給装置504が別途設けられる。
【0165】
これを目的として、前記別途設けられる予燃焼空気供給装置504は処理空気供給装置521に接続され、前記処理空気供給521において更なる燃焼空気供給装置522に前記別途設けられる燃焼空気供給装置504から燃焼空気が供給されるが、この場合、前記予備燃焼器517の有孔リング523に燃焼空気が供給される。この場合、前記有孔リング523は前記処理ノズル512に割当てられる。この点において、前記処理ノズル512に注入された処理空気が混合された可燃性物質は前記主燃焼器518の前記円錐チャンバ513内に注入される。
【0166】
更に、前記燃焼室510、詳細には前記燃焼空間526は、好都合には空冷式のセラミック組立体506を含む。燃焼空気および水の組合せによる水冷又は冷却を備えていてもよい。この場合、前記セラミック組立体506は成形パイプ508により周囲を囲まれるセラミック燃焼室壁507を含む。前記成形パイプ508の周囲には、冷却空気室供給装置524により前記処理空気供給装置521に接続される冷却空気室509が延伸する。
【0167】
各場合において、前記公知の作動シリンダ520は対応する作動ピストン530を支持し、前記対応する作動ピストン530は連接棒535により圧縮機ピストン550に機械的に接続される。
【0168】
本実施例において前記連接棒535は、前記作動ピストン530又は前記圧縮機ピストン550の移動に伴って曲線軌道540に沿って移動する連接棒走行輪536を含む。これにより出力軸541が回転し、駆動曲線軌道支持体537により前記曲線軌道540に接続される。前記軸方向ピストンエンジン501からの出力は前記出力軸541を介して伝動される。
【0169】
公知の方法においては、上述した通り、処理空気の圧縮は前記圧縮機ピストン550により実行され、また注水も適宜実行される。対応する前記圧縮機ピストン550の吸気行程の最中に水又は水蒸気が供給されると、限りなく等温に近い燃焼媒介の圧縮が特に促進される。水の供給を伴う吸気行程により、動作上単純な方法で、燃焼媒介内での水の非常に均一な分布を確実にすることができる。
【0170】
特に図3から図6を参照して説明した実施例において詳細に記述した通り、処理空気を少なくとも1個の熱交換器により余熱した後、前記燃焼室510に燃焼媒介として供給する場合、必要に応じて、図示しない少なくとも1個の熱交換器内で排ガスを大幅によりしっかりと冷却してもよい。排ガスは前記排ガス管525を介して前記少なくとも1個の熱交換器に供給してもよく、前記排ガス管525において前記熱交換器は前記他の軸方向ピストンエンジン501に対して軸方向に配置される。
【0171】
前記軸方向ピストンエンジン201に対応して、前記軸方向ピストンエンジン501内、もしくは前記軸方向ピストンエンジン301および401内に熱交換器断熱装置を設けてもよい。
【0172】
更に、上述した通り、処理空気は、冷却する必要のある前記軸方向ピストンエンジン501の他のアセンブリとの接触により更に余熱又は加熱してもよい。このように圧縮および加熱された処理空気はその後上述した方法で前記燃焼室510内に供給され、これにより前記他の軸方向ピストンエンジン501の効率を更に向上できる。
【0173】
前記軸方向ピストンエンジン501の前記作動シリンダ520の各々は注入管515を介して前記燃焼室510に接続されるため、点火された燃焼媒介および燃焼空気からなる混合体は前記燃焼室510から前記注入管515を介して前記作動シリンダ520の各々内に排出され、作動媒体として前記作動ピストン530に作用する。
【0174】
この点において、前記燃焼室510からの前記作動媒体は、少なくとも1個の注入管515を介して、少なくとも2個の作動シリンダ520に連続的に供給してもよく、この場合、各作動シリンダ520に対して、制御ピストン531により開閉可能な1個の注入管515が設けられる。同様に、各作動シリンダに対して複数の注入管を設けてもよい。したがって、前記他の軸方向ピストンエンジン501の前記制御ピストン531の数は、前記作動シリンダ520の数および各作動シリンダ520に対する注入管の数により決まる。この場合、前記注入管515の閉鎖は制御ピストンカバー532を備える前記制御ピストン531により行われる。前記制御ピストン531は制御ピストン曲線軌道533により駆動され、前記制御ピストン曲線軌道533には前記出力軸541に対して、断熱の機能も果たすスペーサ534が設けられる。前記他の軸方向ピストンエンジン501の本実施例において、前記制御ピストン531は略軸方向に向けたストローク動作543のみ可能である。これを目的として、前記制御ピストン531の各々は、前記制御ピストン曲線軌道533内で支持される、詳細には説明しない摺動体により案内され、前記摺動体の各々は詳細には説明しない安全カム案内路内で前後に摺動し、前記制御ピストン531の回転を防止する。
【0175】
前記制御ピストン531は前記注入管515内で前記燃焼室510からの高温な作動媒体に接触するため、前記制御ピストン531を水冷するのが効果的である。これを目的として、前記他の軸方向ピストンエンジン501は、詳細には前記制御ピストン531内に水冷装置538を有し、前記水冷装置538は内部冷却水管545、中央冷却水管546および外部冷却水管547を含む。これにより十分に冷却された前記制御ピストン531は、対応する制御ピストンシリンダ内には動作上確実に移動できる。
【0176】
更に、前記制御ピストン531の燃焼媒介と接触する表面は反射性を有するか、又は反射コーティングされており、これにより前記制御ピストン531内での熱放射からの入熱を最小限にする。更に、本実施例においては、前記注入管515および前記燃焼室510の燃焼媒介と接触する表面にも高い分光反射率を有するコーティング(同様に図示しない)がなされている。これは、詳細には燃焼室床(特に参照番号を付さない)、および前記セラミック燃焼室壁507も同様である。この燃焼媒介と接触する表面の構成は、軸方向ピストンエンジン内においてその他の構成的特性と独立していてもよいものとする。他の実施の形態においては、更に他のアセンブリを反射性にしてもよく、又は上述の反射構造は少なくとも部分的に省略してもよいものとする。
【0177】
前記他の軸方向ピストンエンジン501が注入管リング539を有する場合、前記噴射水管注入管515および前記制御ピストン531は非常に単純な構造を用いて設けることができる。この場合、前記注入管リング539は中央に軸を有し、詳細には前記軸の周囲には前記作動シリンダ520および前記制御ピストンシリンダの一部が同心円状に配置される。各作動シリンダ520および制御ピストンシリンダ間には注入管515が設けられ、各注入管515が前記燃焼室510の燃焼室床548の切欠き(特に部材名を与えない)に空間的に接続される。この点において、前記作動媒体は前記燃焼室510から前記注入管515を介して前記作動シリンダ520内に移動し動作でき、これにより前記圧縮機ピストン550も運動可能となる。実際の構成によっては、腐食性の燃焼生成物又は過度に高い温度への直接の接触から詳細には前記注入管リング539又はその材料を保護するため、コーティングおよびインサートを設けてもよいものとする。同様に、前記燃焼室床548の表面にもセラミック又は金属製コーティング、特に反射コーティングを設けてもよく、これにより、一方で反射率を向上させることにより前記燃焼室510からの熱放射を軽減し、他方で熱伝導率を低下させることにより熱伝導を軽減する。
【0178】
同様に、図6に記載の実施例内には明確には図示していないが、前記他の軸方向ピストンエンジン501は少なくとも1個の燃焼媒介用容器および対応する弁を備えていてもよい。更に、前記他の軸方向ピストンエンジン501の場合には、異なる圧力で圧縮された燃焼媒介を収容可能にするため、前記燃焼媒介用容器を複数設けてもよい。
【0179】
この場合、前記燃焼媒介用容器は前記燃焼室510の対応する圧力管路に接続されていてもよく、その場合、前記燃焼媒介用容器内の流体は弁により前記圧力管路に対して分離接続可能である。詳細には、前記作動シリンダ520又は圧縮機シリンダ560および前記燃焼媒介用容器の間に、停止弁又はスロットル弁、又は調整又は制御弁を設けてもよい。例えば、上述の弁は、燃焼媒介の余剰が少なくとも限られた時間において前記燃焼室510において利用可能となる走行又は加速、又は始動条件の最中に適切に開放又は閉鎖されてもよい。前記燃焼媒介用容器は、好ましくは1個の前記圧縮機シリンダおよび1個の前記熱交換器間において流体的に相互接続される。
【0180】
前記他の軸方向ピストンエンジン501により圧力の形で供給されるエネルギを非常に有効に活用するため、前記2個の燃焼媒介用容器は理想的には異なる圧力で動作する。これを目的として、適切な圧力調整装置により設けられる第1の燃焼媒介用容器用の圧力上限および圧力下限は、第2の燃焼媒介用容器用の圧力上限および圧力下限より低くてもよい。この場合、前記燃焼媒介用容器に対する動作は異なる圧力範囲で実行されてもよいものとする。
【0181】
図8および図9に記載の他の軸方向ピストンエンジンは前記軸方向ピストンエンジン501と略同一であり、この点において作用および動作形態についての説明は繰り返さない。図8および図9に記載の軸方向ピストンエンジンと前記軸方向ピストンエンジン501との大きな違いは前記円筒チャンバ1314を介して燃焼媒介が充填された前記燃焼空間1326の冷却方法であり、図示の軸方向ピストンエンジンにおいては水を介して補助的に実行される。この水冷方法又は類似の方法は、前記軸方向ピストンエンジン501又は本明細書に図示のその他の軸方向ピストンエンジンに設けられてもよいものとする。これを目的として、前記2個の軸方向ピストンエンジンの各々は水室1309Aを有し、前記は前記燃焼空間1326の周囲に配置され、供給管路を介して液体水が供給される。これを目的として、各場合において特に参照番号を付さない前記供給管路を介して燃焼室圧力を伴う水が供給される。
【0182】
この水は各場合において鋼管(参照番号は付さない)と接触する環状水管1309Dに分岐管を介して供給され、この鋼管は前記燃焼空間1326の各々の前記成形パイプ1308周囲を囲むよう配置され、また、環状の間隙(参照番号は付さない)が各場合において一方では前記成形パイプ1308と前記鋼管との間に、また他方では前記鋼管および前記分岐管を収容するハウジング部との間に配置されるよう、且つ、前記2個の環状の間隙が前記鋼管における前記環状水管1309Dと反対方向の先端を介して相互に接続されるような寸法に設定される。この場合、前記パイプは鋼鉄以外の材料からなっていてもよいものとする。
【0183】
図示した前記軸方向ピストンエンジンには更なる環状水管1309Eが前記成形パイプ1308上方に設けられ、前記環状水管1309Eは一方で半径方向に内向きの環状の間隙の各々に接続され、他方で前記燃焼空間1326の各々内に接続される環状ノズル(参照番号は付さない)内に導管1309Fを介して解放されている。この場合、前記環状ノズルは前記燃焼室壁又は前記セラミック燃焼室壁1307に対して軸方向に配置され、これにより水は前記燃焼室側においてでも前記セラミック燃焼室壁1307から保護される。
【0184】
水は各場合において前記供給管路から前記燃焼空間1326に向かう途中で気化してもよく、必要に応じて水に更なる添加剤を加えてもよいものとする。また、必要に応じて、水は前記軸方向ピストンエンジンの各々の排ガスから再生および再利用してもよい。
【0185】
その他の点について前記軸方向ピストンエンジンは上述の実施例と略同一であり、燃焼空間1326、制御ピストン1331、注入管1315および作動ピストン1330を含む。上述した通り、前記対称軸1303周囲の回転対称と共に配置される前記燃焼空間1326はセラミック燃焼室壁1307および成形鋼管1308を有するセラミック組立体1306を有する。燃焼媒介が前記注入管1315および作動シリンダ1320の方向に流れる前記主燃焼方向1302は、前記対称軸1303に沿って延伸する。前記燃焼空間1326は、前記対称軸1303と平行に配置される前記制御ピストン1331により前記作動シリンダ1320から分離される。前記制御ピストン1331のその長さ方向の軸1315Bに沿った往復運動により、制御ピストンが備える注入管1315は各場合において前記作動シリンダ1320内の前記作動ピストン1330がその上死点方向に運動を実行するとすぐ、又は上死点に配置されるとすぐに周期的に開放される。前記注入管1315は前記対称軸1315Aを有し、前記前記対称軸1315Aに沿って案内面1332Aが配置される。この対称軸1315Aと平行に配置される前記案内面1332Aはしたがって、前記制御ピストン1331がその下死点に配置されるとすぐに前記注入管1315の壁と同一平面で重なり、これにより、燃焼媒介が偏向することなく前記作動シリンダ1320の方向に流れる。同様に、案内面シール面1332Eは前記案内面1332Aと平行に配置され、これによりこの案内面シール面1332Eは、前記制御ピストン1331がその上死点に到達するとすぐに前記案内面1332Aを略封止する。前記制御ピストン1331の円筒状のジャケット面は更に、ステムシール面1332Dを封止し、したがって前記燃焼空間1326および前記作動シリンダ1320間の封止作用を補強する。更に、前記制御ピストン1331は、前記注入管の前記対称軸1315Aに対して略直角に配置される衝突面1332Bを有する。したがって、燃焼媒介の流れる方向が前記燃焼空間1326から生じて前記注入管1315に流入する場合、燃焼媒介の流れる方向に略垂直に、通常この配置が得られる。その結果、前記衝突面1332Bが前記燃焼空間1326に対して有する表面は最小となるため、前記制御ピストン1331のこの部分の熱流量は最小限となる。
【0186】
前記制御ピストン1331は前記制御ピストン曲線軌道1333を介して制御される。この制御ピストン曲線軌道1333は必ずしも正弦波的に成形された外形を有する必要はない。正弦波形状とは異なる形状の制御ピストン曲線軌道1333は前記制御ピストン1331を一定時間それぞれ上死点又は下死点に保持可能であり、これにより、一方で前記注入管1315が解放状態である間の開口断面を最大に保持し、他方で注入管の開放および閉鎖の最中に燃焼媒介の臨界流量速度から生じる制御ピストン表面の熱応力を最低限に保持し、これにより開放時の可能な最大開放速度を前記制御ピストン曲線軌道1333の構成により選択できる。
【0187】
図8は前記制御ピストン1331内の制御ピストンオイル空間1362を含み、前記制御ピストンオイル空間1362はピストンシール1363にオイルを供給、又は前記ピストンシール1363から逆流するオイルを受ける。前記制御ピストンオイル空間1362はプレッシャオイル回路1361を介して供給を受ける。前記制御ピストン1331の底部側は圧力空間として形成される制御室1364の方向に向けられる。同時に、前記制御室1364は前記制御ピストン1331および前記プレッシャオイル回路1361からのオイルを回収する。また、前記燃焼空間1326の前記底部側を冷却するために、任意で水回路の替わりに前記プレッシャオイル回路1361を介して内部冷却水管1345にオイルを充填するもよい。
【0188】
図9に記載の本実施例において、放射状の軸封リングとして構成される第1の制御室シール1365および第2の制御室シール1366が設けられ、前記第1の制御室シール1365および前記第2の制御室シール1366は前記制御室1364を封止するが、この際、ほぼ外圧以下で封止される前記軸方向ピストンエンジンのその他の部分に比べて、より高圧で封止してもよい。前記第1の制御室シール1365および第2の制御室シール1366はシールスリーブ1367を介して前記制御室1364を封止する。このシールスリーブ1367は、部分的に前記プレッシャオイル回路1361を含む前記軸方向ピストンエンジンの回転中心軸上に圧入により設けられる。当然のことながら、前記シールスリーブ1367は異なる方法で回転軸に接続してもよい。材料を用いた接続又は前記軸および前記シールスリーブ1367間の更なるシール材が考えられる。自明のことながら、これらのシール材は相対的に小さい半径上に設けられており、これにより効率損失を最小限にできる。同様に、これらのシール材は前記軸方向ピストンエンジンの相対的に低温な領域に配置されており、従来のシール材を用いることもできる。
【0189】
図9はまた、前記注入管1315を封止するための制御ピストン表面の他の構成を示す。ここにおいて、前記衝突面1332Bは必ずしも平面である必要がなく、球状、円筒状又は円錐状の表面の一部からなっていてもよく、したがって前記対称軸1303に対して回転対称形状を有していてもよいことは明らかである。案内面1332Aおよび案内面シール面1332Eもまた平面形状以外の形状を有していてもよい。この場合、図9は前記案内面1332Aおよび前記案内面シール面1332Eの構成を示し、これらの面は少なくとも断面について角度を成す線を形成する。
【0190】
本実施の形態において図示した前記制御ピストン1331における表面、例えば、前記案内面1332A又は前記衝突面1332B、前記シール面、前記案内面シール面1332E又は前記ステムシール面1332D等もまた反射性を有し、これにより熱放射が原因で制御ピストンを介して発生する熱損失を抑制又は最低限にする。更に、これらの表面に塗布される反射コーティングもまた前記制御ピストンへの熱伝導率又は熱伝達を低減するセラミックコーティングを含んでいてもよい。前記制御ピストン1331の表面と同様に、燃焼室床1348(図6に例示)の表面も反射性を有し、これにより壁内の熱損失を最低限にする。更に、任意で水又はオイルにより前記燃焼空間1326から熱を除去する内部冷却水管が前記燃焼室床1348の底部側に配置される。
【0191】
図9に記載の前記制御ピストン1331の冷却室1334には、前記軸方向ピストンエンジンの動作温度において液状である金属、本実施例においてはナトリウムが充填され、前記制御ピストンの表面から対流および熱伝導により熱を除去し、プレッシャオイル回路1361内のオイルに放出する。
【0192】
図10は、軸方向ピストンエンジンの熱交換器に用いるために配置される熱交換器ヘッドプレート3020を示す。軸方向ピストンエンジンの出力多岐管への取付けおよび接続を目的として、前記熱交換器ヘッドプレート3020は対応する孔3022を有するフランジ3021を備え、前記孔3022は前記熱交換器ヘッドプレート3020の半径方向に外側の領域に円状に配置される。前記フランジ3021の半径方向に内側の領域は、パイプを収容するためのパイプ座3024として構成される多数の孔を有するマトリクス3023である。
【0193】
前記熱交換器ヘッドプレート3020全体は好ましくは同一の材料からなっており、前記パイプもまた同一の材料からなっており、これにより前記熱交換器全体における熱膨張係数を可能な限り均一にでき、その結果、前記熱交換器内の熱応力が最小限になる。加えて、前記熱交換器のジャケットハウジングも同様に前記熱交換器ヘッドプレート3020又は前記パイプと同一の材料からなっていてもよい。前記パイプ座3024は例えば、前記パイプ座3024内に配置される前記パイプが圧入により挿入されるような嵌合を伴って構成されていてもよい。
【0194】
若しくは、前記パイプ座3024はまた、すきま嵌め又は中間嵌めが可能となるよう構成してもよい。これにより、前記パイプ座3024へのパイプの配置は摩擦接続ではなく物質的接着による接続により行うことができる。この場合好ましくは材料接続は溶接又ははんだ付けにより実行され、前記熱交換器ヘッドプレート3020又はパイプと同一の材料がはんだ用又は溶接用材料として用いられる。これはまた、均一な熱膨張係数により前記パイプ座3024内の熱応力が最小限となるという利点を有する。
【0195】
また、このようにパイプを前記パイプ座3024内に取付ける場合、圧入により取付け、更にはんだ付け又は溶接してもよい。圧入のみ行われていた場合、1,000℃を超える非常に高い温度の発生によって、異なる熱膨張係数が原因で所定の状況において圧入し損なう可能性があるため、このような取付け方法によって、パイプと前記熱交換器ヘッドプレート3020とで異なる材料が使われている場合でも前記熱交換器の封止強さが保証される。
【0196】
図11は、弁スプリング1411および衝突スプリング1412を有するガス交換弁1401の概略断面図を示す。この場合、前記ガス交換弁1401はカム制御なしで自動的に開放弁として構成され、前記シリンダの吸気工程中の前記シリンダ内部の圧力が、対応する前記シリンダが燃焼媒介を吸入するための吸入管内の圧力より低いという条件下で、所定の圧力差において開放する。前記ガス交換弁1401は好ましくは圧縮機段おいて入口弁として用いられる。この場合、前記弁スプリング1411は前記ガス交換弁1401に閉鎖力を供給し、これにより前記弁スプリング1411の構成により開放時間が決定される。この場合、前記ガス交換弁1401の弁軸1404周囲に嵌合する前記弁スプリング1411は弁ガイド1405内に配置され、弁スプリング板1413に固定される。
【0197】
同様に、前記弁スプリング板1413は前記ガス交換弁1401の前記弁軸1404上に少なくとも2個の円錐部材1414により確実に固定される。
【0198】
前記ガス交換弁1401の開放が小さい圧力差で実行されてしまうように精密に構成されている前記弁スプリング1411は、所定の動作条件において、前記ガス交換弁1401が弁板1402における圧力差により高加速し、前記ガス交換弁1401が規定される弁ストロークを超えて過度に開放してしまうことがある。
【0199】
前記ガス交換弁1401が開放されると前記弁板1402はその弁座1403において流量断面を解放するが、この流量断面は所定の弁ストロークから幾何学的に大幅には増加しない。前記弁座1403における最大流量断面は通常前記弁板1402の直径により規定される。最大流量断面における前記ガス交換弁1401のストロークは前記弁板1402の直径の内部弁座における約4分の1に相当する。最大流量断面において前記弁ストローク又は計算された弁ストロークが過度に行われると、一方で前記弁座1403および前記弁板1402間の流量断面を流れる空気質量は大幅には増加しないが、他方で前記弁スプリング板1413が例えばこの場合前記弁スプリングガイド1406からなる、前記シリンダヘッドの固定部材と接触することになり、したがって前記弁スプリング板1413又は前記弁スプリングガイド1406が破損する可能性がある。
【0200】
このように前記ガス交換弁1401が過度に開放するのを防止又は制限するため、前記弁スプリング板1403は前記衝突スプリング1412に対向して上昇し、これにより前記弁スプリング1411および前記衝突スプリング1412の総ばね力が急激に増大し、前記ガス交換弁1401は強力に減速される。本実施例において、前記衝突スプリング1412の剛性は、前記ガス交換弁1401の最大開放速度において前記ガス交換弁1401が前記衝突スプリング1412に対向して上昇することで十分強力に減速され、前記弁ユニットの例えば前記弁スプリング板1413等の運動する部材と、例えば前記弁スプリングガイド1406等の固定される部材とが接触しないよう決定される。
【0201】
更に、本実施の形態においてばね力を2つの段に付加することにより、前記ガス交換弁1401を開放および閉鎖する前記弁スプリング1411は過度に高いばね力を発生させないよう精密に構成されるため、前記ガス交換弁1401の閉鎖工程中に前記ガス交換弁1401が逆方向に過度に加速されず、前記弁板1402内で過度な速度で前記弁座1403に衝突しないという利点が得られる。
【0202】
図12は弁スプリング1411および衝突スプリング1412を有するガス交換弁1401の別の概略断面図を示し、2個の部材からなる弁スプリング板1413が固定リング1415と共に用いられている。本実施の形態において、前記分割弁スプリング板1413は円錐部材1414を使用することなく前記弁軸1404と接触し、前記弁スプリング1411および前記衝突スプリング1412のばね力を確実に吸収する。この場合、前記固定リング1415は一方で拘束用の予防手段として機能し、他方で前記弁軸の前記軸から見た半径方向において力を吸収する。留めリング1416も同様に前記固定リング1415を固定して抜けを防止する。
【0203】
前記ガス交換弁を平滑に開放および閉鎖するため、本実施の形態において、すなわち前記圧縮機段内で自動開放弁として用いるため、ガス交換弁1401は軽金属からなる。軽金属からなる低慣性のガス交換弁1401は前記ガス交換弁1401の高速な開放および高速で緩やかな閉鎖に有利に働く。また、本実施の形態において前記ガス交換弁1401は前記弁座1403内へ配置される際に過度に高い運動エネルギを解放しないため、前記弁座1403は低慣性でも保持される。図示の前記ガス交換弁1401は好ましくは高力なアルミニウム合金であるジュラルミンからなり、これにより前記ガス交換弁1401は低密度であるにもかかわらず十分な高力価を有する。
【符号の説明】
【0204】
201 軸方向ピストンエンジン
205 筐体
210 燃焼室
215 注入管
220 作動シリンダ
225 排ガス管
227 排出口
230 作動ピストン
235 連接棒
240 曲線軌道
241 出力軸
242 スペーサ
250 圧縮機ピストン
255 圧力管路
257 供給管路
260 圧縮機シリンダ
270 熱交換器
301 軸方向ピストンエンジン
305 筐体
310 燃焼室
315 注入管
320 作動シリンダ
325 排ガス管
370 熱交換器
401 軸方向ピストンエンジン
405 筐体
410 燃焼室
415 注入管
420 作動シリンダ
425 排ガス管
427 排出口
430 作動ピストン
435 連接棒
440 曲線軌道
441 出力軸
442 スペーサ
450 圧縮機ピストン
455 圧力管路
456 環状水管
457 供給管路
460 圧縮機シリンダ
470 熱交換器
480 燃焼媒介用容器
481 貯蔵管路
485 弁
501 軸方向ピストンエンジン
502 主燃焼方向
503 対称軸
504 燃焼空気供給装置
505 筐体
506 セラミック組立体
507 セラミック燃焼室壁
508 成形パイプ
509 冷却空気室
510 燃焼室
511 主ノズル
512 処理ノズル
513 円錐チャンバ
514 円筒チャンバ
515 注入管
516 第1の噴射方向
517 予備燃焼器
518 主燃焼器
519 別の噴射方向
520 作動シリンダ
521 処理空気供給装置
522 別の燃焼空気供給装置
523 有孔リング
524 冷却空気室供給装置
525 排ガス管
526 燃焼空間
530 作動ピストン
531 制御ピストン
532 制御ピストンカバー
533 制御ピストン曲線軌道
534 スペーサ
535 連接棒
536 連接棒走行輪
537 駆動曲線軌道支持体
538 水冷装置
539 注入管リング
540 曲線軌道
541 出力軸
543 ストローク動作
545 内部冷却水管
546 中央冷却水管
547 外部冷却水管
548 燃焼室床
550 圧縮機ピストン
560 圧縮機シリンダ
592 予熱室温度センサ
593 排ガス温度センサ
1302 主燃焼方向
1101 軸方向ピストンエンジン
1151 シリンダヘッド
1152 圧縮機シリンダ入口弁
1153 圧縮機シリンダ出口弁
1154 環状の入口弁カバー
1157 供給管路
1158 三点ホルダ
1159 渦巻ばね
1160 圧縮機シリンダ
1161 弁座
1162 開口部
1163 保持アーム
1164 領域
1165 吸水口
1166 出口弁カバー
1167 半球
1168 出口弁座
1169 圧縮ばね
1179 作用方向
1189 ガイドブッシュ
1302 主燃焼方向
1303 対称軸
1306 セラミック組立体
1307 セラミック燃焼室壁
1308 成形鋼管
1309A 水室
1309D 環状水管
1309E 環状水管
1309F 導管
1314 円筒チャンバ
1315 注入管
1315A 注入管の対称軸
1315B 制御ピストンの長さ方向の軸
1320 作動シリンダ
1326 燃焼空間
1330 作動ピストン
1331 制御ピストン
1332A 案内面
1332B 衝突面
1332D ステムシール面
1332E 案内面シール面
1333 制御ピストン曲線軌道
1334 冷却室
1345 内部冷却水管
1348 燃焼室床
1361 プレッシャオイル回路
1362 制御ピストンオイル空間
1363 ピストンシール
1364 制御室
1365 第1の制御室シール
1366 第2の制御室シール
1367 シールスリーブ
1401 ガス交換弁
1402 弁板
1403 弁座
1404 弁軸
1405 弁ガイド
1406 弁スプリングガイド
1411 弁スプリング
1412 衝突スプリング
1413 弁スプリング板
1414 円錐部材
1415 固定リング
1416 留めリング
3020 熱交換器ヘッドプレート
3021 フランジ
3022 取付け孔
3023 マトリクス
3024 パイプ座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、環状の入口弁カバーを有する少なくとも1個の圧縮機シリンダ入口弁を備えることを特徴とする軸方向ピストンエンジン。
【請求項2】
前記入口弁カバーは三点ホルダを有することを特徴とする、請求項1に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項3】
前記入口弁カバーは少なくとも1個のばねを介して入口弁座に対向して固定されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項4】
前記圧縮機シリンダへの吸入口又は前記圧縮機シリンダからの排出口が前記入口弁カバーにより形成される輪の内側に設けられることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項5】
前記吸入口は吸水口であることを特徴とする、請求項4に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項6】
前記排出口は出口弁であることを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項7】
少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、特に請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の、少なくとも2個の圧縮機シリンダ出口弁を備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項8】
少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、特に請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の、前記弁座の逆側において前記弁座に対向する側に比べてより少ない材料からなる、弁座の方向に凸を形成する弁カバーを有する少なくとも1個の圧縮機シリンダ出口弁を備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項9】
前記弁カバーは半球状であることを特徴とする、請求項8に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項10】
前記弁カバーは中空構造からなることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項11】
弁カバー押圧ばねと連動する前記弁カバーの位置合わせ手段を備えることを特徴とする、請求項8〜10のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項12】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備える軸方向ピストンエンジンであって、前記軸方向ピストンエンジンは往復運動し且つ流量断面を解放するガス交換弁を含み、前記ガス交換弁は前記ガス交換弁に作用する前記弁スプリングのばね力によりこの流量断面を閉鎖し、特に請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の、前記ガス交換弁は衝突スプリングを有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項13】
前記衝突スプリングは前記弁スプリングのばね長より短いばね長を有することを特徴とする、請求項12に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項14】
前記衝突スプリングの前記ばね長は前記ガス交換弁の弁ストロークにより短縮された前記弁スプリングのばね長に対応することを特徴とする、請求項13に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項15】
前記衝突スプリングの前記ばね長は前記衝突スプリングのばね運動により高くなった弁ガイドの高さに対応することを特徴とする、請求項12〜14のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項16】
前記衝突スプリングは、そのばね運動発生時に、前記流量断面の解放により動作上発生する前記ガス交換弁の最大運動エネルギに対応するポテンシャルエネルギを有することを特徴とする、請求項12〜15のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項17】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備え、特に請求項1〜16のうちいずれか1項に記載の、前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダは軽金属からなる少なくとも1個のガス交換弁を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項18】
前記軽金属はアルミニウム又はアルミニウム合金、特にジュラルミンであることを特徴とする、請求項17に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項19】
前記ガス交換弁は入口弁であることを特徴とする、請求項17又は請求項18に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項20】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室を備え、特に請求項1〜19のうちいずれか1項に記載の、前記圧縮機段は前記膨張機段とは異なるストローク体積を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項21】
前記圧縮機段の前記ストローク体積は前記膨張機段の前記ストローク体積より小さいことを特徴とする、請求項20に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項22】
前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダの個々のストローク体積は前記膨張機段の少なくとも1個のシリンダの個々のストローク体積より小さいことを特徴とする、請求項20又は請求項21に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項23】
前記圧縮機段のシリンダの数は前記膨張機段のシリンダの数と同一又はより少ないことを特徴とする、請求項20〜22のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項24】
熱伝達により相互に結合される燃焼媒介供給装置および排ガス排出装置を備え、特に請求項1〜23のうちいずれか1項に記載の、少なくとも1個の熱交換器断熱装置を備える特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項25】
前記熱交換器と前記軸方向ピストンエンジンの外界との間での前記熱交換器の断熱において、最大400℃の温度勾配が可能であることを特徴とする、請求項24に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項26】
前記熱交換器の断熱領域における前記軸方向ピストンエンジンの外部温度は500℃を超えないことを特徴とする、請求項24又は請求項25に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項27】
前記熱交換器の断熱は前記熱交換器とは異なる材料からなる少なくとも1個の部材を含むことを特徴とする、請求項24〜26のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項28】
熱伝達により相互に結合される燃焼媒介供給装置および排ガス排出装置を備え、特に請求項1〜27のうちいずれか1項に記載の、少なくとも2個の熱交換器を備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項29】
前記熱交換器は軸方向に配置されることを特徴とする、請求項28に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項30】
少なくとも4個のピストンを備え、各場合において少なくとも2個の隣接するピストンからの排ガスが1個の熱交換器内に誘導されることを特徴とする、請求項28又は29に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項31】
3個のピストンからの排ガスが1個の共通の熱交換器内に誘導されることを特徴とする、請求項28〜30のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項32】
少なくとも2個のピストンを備え、各場合において各ピストンからの排ガスが1個の熱交換器内に誘導されることを特徴とする、請求項28又は29に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項33】
少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、特に請求項1〜32のうちいずれか1項に記載の、前記圧縮機シリンダ内に配置される圧縮機ピストンの吸気行程中に、水又は水蒸気が前記圧縮機シリンダに供給されることを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項34】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、少なくとも1個の熱交換器とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置され、特に請求項1〜33のうちいずれか1項に記載の、前記熱交換器の前記吸熱部および/又は前記放熱部は少なくとも1個の液体を供給する手段を下流側および/又は上流側に有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項35】
前記液体は水および/又は可燃性物質であることを特徴とする、請求項34に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項36】
前記熱交換器の前記放熱部内又は前記熱交換器の前記放熱部の下流に排水器が配置されることを特徴とする、請求項34又は請求項35に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項37】
少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、特に請求項1〜36のうちいずれか1項に記載の、圧縮された媒介を一時的に貯蔵可能な燃焼媒介用容器を備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項38】
前記燃焼媒介用容器は前記圧縮機シリンダと熱交換器との間に設けられることを特徴とする、請求項37に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項39】
前記圧縮機シリンダと前記燃焼媒介用容器との間に弁が配置されることを特徴とする、請求項37又は請求項38に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項40】
前記燃焼媒介用容器と前記作動シリンダとの間に弁が配置されることを特徴とする、請求項37〜39のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項41】
少なくとも2個の燃焼媒介用容器を備えることを特徴とする、請求項37〜40のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項42】
前記少なくとも2個の燃焼媒介用容器には異なる圧力が付加されることを特徴とする、請求項41に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項43】
燃焼媒介用容器に付加される圧力の範囲として、第1の燃焼媒介用容器用の第1の圧力下限および第1の圧力上限、および第2の燃焼媒介用容器用の第2の圧力下限および第2の圧力上限を設定する圧力調整装置を備え、前記第1の圧力上限は前記第2の圧力上限より低く、前記第1の圧力下限は前記第2の圧力下限より低いことを特徴とする、請求項42に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項44】
前記第1の圧力上限は前記第2の圧力下限以下であることを特徴とする、請求項43に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項45】
少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備える軸方向ピストンエンジンであって、水が前記軸方向ピストンエンジンに供給され、特に請求項1〜44のうちいずれか1項に記載の、前記水の供給は前記軸方向ピストンエンジンの動作終了前に停止され、前記軸方向ピストンエンジンは水の供給無しで所定の時間動作することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項46】
前記水の供給は水蒸気として直接燃焼室内へ実行されることを特徴とする、請求項45に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項47】
前記水の供給は水を燃焼媒介と混合することにより実行されることを特徴とする、請求項45又は請求項46に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項48】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、前記燃焼室と前記膨張機段との間の少なくとも1個の制御ピストンおよび導管とを備え、前記制御ピストンおよび前記導管は主流れ方向を有し前記制御ピストンの運動により解放される流量断面を有し、特に請求項1〜47のうちいずれか1項に記載の、前記制御ピストンは前記主流れ方向と平行な案内面を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項49】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、前記燃焼室と前記膨張機段との間の少なくとも1個の制御ピストンおよび導管とを備え、前記制御ピストンおよび前記導管は前記制御ピストンの運動により解放される主流れ方向を有する流量断面を有し、特に請求項1〜48のうちいずれか1項に記載の、前記制御ピストンは前記主流れ方向と垂直な衝突面を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項50】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、前記燃焼室と前記膨張機段との間の少なくとも1個の制御ピストンおよび導管とを備え、前記制御ピストンおよび前記導管は前記制御ピストンの運動により解放される流量断面を有し、前記制御ピストンの前記運動は前記制御ピストンの長さ方向の軸に沿って実行され、特に請求項1〜49のうちいずれか1項に記載の、前記制御ピストンは前記制御ピストンの前記長さ方向の軸に対して鋭角を成す案内面を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項51】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、前記燃焼室と前記膨張機段との間の少なくとも1個の制御ピストンおよび導管とを備え、前記制御ピストンおよび前記導管は前記制御ピストンの運動により解放される流量断面を有し、前記制御ピストンの前記運動は前記制御ピストンの長さ方向の軸に沿って実行され、特に請求項1〜50のうちいずれか1項に記載の、前記制御ピストンは前記制御ピストンの前記長さ方向の軸に対して鋭角を成す衝突面を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジン。
【請求項52】
前記案内面および/又は前記衝突面は平面、球状の面、円筒状の面又は円錐状の面からなることを特徴とする、請求項48〜51のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項53】
前記軸方向ピストンエンジンは前記燃焼室と前記膨張機段との間に案内面シール面を有し、前記案内面シール面は前記案内面と平行に形成され、前記制御ピストンの上死点において前記案内面と連動することを特徴とする、請求項48〜52のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項54】
前記案内面シール面は前記導管側において前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直な表面に結合することを特徴とする、請求項53に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項55】
前記軸方向ピストンエンジンは前記燃焼室と前記膨張機段との間にステムシール面を有し、前記ステムシール面は前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と平行に形成され、前記制御ピストンのステムの表面と連動することを特徴とする、請求項48〜54のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項56】
前記制御ピストンの前記案内面、前記衝突面、前記案内面シール面、前記ステムシール面および/又は前記ステムの前記表面は反射性表面を有することを特徴とする、請求項48〜55のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジン。
【請求項57】
内部連続燃焼(ICC:Internal Continuous Combustion)を特徴とする、請求項1〜56のうちいずれか1項による軸方向ピストンエンジン。
【請求項58】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室および少なくとも1個の熱交換器とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置される軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法であって、特に請求項1〜57のうちいずれか1項に記載の、少なくとも1個の液体が前記熱交換器を流れる燃焼媒介流および/又は排ガス流に供給されることを特徴とする、方法。
【請求項59】
水および/又は可燃性物質が供給されることを特徴とする、請求項57に記載の軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法。
【請求項60】
前記液体は前記熱交換器の下流および/又は上流で供給されることを特徴とする、請求項57又は59に記載の軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法。
【請求項61】
前記燃焼媒介流および/又は前記排ガス流に水が分離された形で再度供給されることを特徴とする、請求項57〜60のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法。
【請求項62】
前記水および/又は可燃性物質の供給は前記軸方向ピストンエンジンが停止する前の所定の時点に停止され、前記軸方向ピストンエンジンは停止するまで水および/又は燃料の供給なしで動作することを特徴とする、請求項57〜61のうちいずれか1項に記載の軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法。
【請求項63】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備える軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法であって、特に請求項1〜62のうちいずれか1項に記載の、燃焼媒介は前記膨張機段内での膨張中に、前記圧縮機段内での圧縮中の圧力比より大きい圧力比で膨張させられることを特徴とする、方法。
【請求項64】
前記膨張機段内の前記燃焼媒介はほぼ外界の圧力まで膨張させられることを特徴とする、請求項63に記載の軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法。
【請求項65】
少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを有する軸方向ピストンエンジンの熱交換器の製造方法であって、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置され、また2つの材料流を分離するために前記熱交換器の前記吸熱部から前記放熱部を分割する少なくとも1個のパイプ壁を備え、特に請求項1〜64のうちいずれか1項に記載の、前記パイプは前記パイプと同一の材料を含む少なくとも1個のマトリクス内に配置され、このマトリクスに材料接着および/又は摩擦により接続されることを特徴とする、方法。
【請求項66】
前記パイプおよび前記マトリクス間の前記材料接続は溶接又ははんだ付けにより行われることを特徴とする、請求項65に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項67】
前記パイプおよび前記マトリクス間の前記摩擦結合は収縮により行われることを特徴とする、請求項65又は66に記載の熱交換器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−500417(P2013−500417A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520907(P2012−520907)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000876
【国際公開番号】WO2011/009453
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512003973)ゲタス ゲゼルシャフト フル サーモダイナミシェ アントリーブッシステメ エムベーハー (3)
【Fターム(参考)】