説明

輻輳制御システム、サービスエッジノード、ガイダンスサーバ、輻輳制御方法、そのプログラム及び記録媒体

【課題】IP電話網へのトラフィック集中を防止し、輻輳の影響範囲を最小限に抑止可能な輻輳制御システムを提供する。
【解決手段】加入者の電話機10,PC11などのIP通信端末をゲートウェイ9を介して接続するアクセス網8と加入者にIP電話サービスを提供するコア網6との間のエッジ領域に、コア網6の輻輳状態と加入者の優先度とに応じて加入者の発信要求を制御するサービスエッジノード1と加入者へコア網6を介さずにガイダンスを送信するガイダンスサーバ2とを配置する。サービスエッジノード1は、コア網6の軽輻輳時は、優先加入者の発信要求を呼制御サーバ5に接続を行い、低優先度の一般加入者の発信要求はガイダンスサーバ2に転送する。コア網6が重輻輳時は、加入者の優先度如何によらず、加入者の発信要求をすべてガイダンスサーバ2に転送する。ガイダンスサーバ2は、輻輳状態を示すガイダンスを発信元の加入者へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻輳制御システム、サービスエッジノード、ガイダンスサーバ、輻輳制御方法、輻輳制御プログラム及びプログラム記録媒体に関し、特に、IP網に適用する輻輳制御システム、サービスエッジノード、ガイダンスサーバ、輻輳制御方法、輻輳制御プログラム及びプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1の特開2005−269197号公報「IP電話システムおよびその方法」などにも記載されているように、音声情報をIPパケットを用いて送受信する通信形態であっても、音声品質が格段に向上してきており、電話網として、従来の電話交換網(PSTN)に代わって、IP電話サービスネットワーク(IPネットワーク上のサービスネットワーク)が急速に普及する状況になってきている。
【特許文献1】特開2005−269197号公報(第7−9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の電話交換機ベースの電話網(PSTN:Public Switching Telephone Network)とは異なり、IP電話網の場合、一般的に、加入者を収容する装置つまり呼制御サーバが複数の箇所に分散配置されているのではなく、1箇所あるいは多くても数箇所のサーバに集中的に配置されて構成している場合が多い。また、1台の呼制御サーバが収容する加入者数は、従来の電話交換機の場合よりもはるかに多い加入者を収容し、かつ、1台の呼制御サーバ内には様々な地域の加入者情報が混在しているために、輻輳などといった障害が発生すると、その影響範囲が、広範囲に及んでしまう。
【0004】
すなわち、IP電話網では、加入者を収容する呼制御サーバのように、IP電話用の制御信号をやり取りする装置が集中配置されており、IP電話呼が大量に発生すると、広範囲の地域の加入者を収容している呼制御サーバ等にトラフィックが集中してしまうため、呼制御サーバ等に輻輳状態が発生し、IP電話呼がつながりにくくなる、あるいは、IP電話呼が全くできなくなるという状態に陥る。
【0005】
また、加入者への音声案内などの各種のガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバつまり案内装置も、加入者を収容する呼制御サーバと連携して動作しているため、呼制御サーバが加入者の発信要求に対して処理できないような輻輳状態に陥っている場合には、該案内装置も、輻輳状態の発生等のガイダンスサービスを提供することができなくなる。
【0006】
この結果、加入者は、何が起きているかが分からず、何度も、IP電話をかけ直すといった行為を繰り返すことになり、輻輳状態がさらに加速することになる。そのために、IP電話網全体に輻輳が波及してしまい、輻輳状態がいつまでも継続して、回復にかなりの時間を要するという重大事態に陥ってしまう。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、IP電話網の輻輳状態を監視し、IPトラフィックの流れを制御する輻輳制御システムを備え、該輻輳制御システムとして、加入者を収容する呼制御サーバ等の上位装置がトラフィックの集中により輻輳状態に陥ったことを検出した場合、加入者からの発信要求を制御するサービスエッジノードを、加入者を接続するアクセス網と加入者を収容しIP電話サービスを提供するコア網との境界領域つまりエッジ領域に設置することによって、呼制御サーバ等の上位装置へのトラフィック集中を防止し、輻輳の影響範囲を最小限に抑止することを可能とすることを目的としている。
【0008】
さらに、輻輳制御システムとして、加入者への各種ガイダンスサービス(音声ガイダンスや映像ガイダンス等のサービス)を提供するガイダンスサーバつまり案内装置を、加入者を収容するための入口となる前記エッジ領域に設置することによって、呼制御サーバ等の上位装置と連携動作をすることなく、ガイダンスサービスを、電話機やPCなどのIP通信端末に対して、確実に通知することを可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明による輻輳制御システム、サービスエッジノード、ガイダンスサーバ、輻輳制御方法、輻輳制御プログラム及びプログラム記録媒体は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御システムにおいて、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に、前記コア網の輻輳状態に応じて前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御するサービスエッジノードと、前記コア網を介することなく、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバとを少なくとも配置している輻輳制御システム。
(2)前記サービスエッジノードは、前記コア網の輻輳状態とIP電話用の加入者の優先度とに応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(1)の輻輳制御システム。
(3)前記サービスエッジノードは、前記コア網が輻輳状態ではない通常状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記コア網内にあって、当該加入者を収容してIP電話の接続制御を行う呼制御サーバに対して接続を行う上記(2)の輻輳制御システム。
(4)前記サービスエッジノードは、前記コア網が軽輻輳状態にある場合には、優先度が高い優先加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記呼制御サーバに対して接続を行う一方、優先度が低い一般加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンスを発信元の前記IP通信端末へ送信する上記(2)または(3)の輻輳制御システム。
(5)前記サービスエッジノードは、前記コア網が重輻輳状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンス情報を発信元の前記IP通信端末へ送信する上記(2)ないし(4)のいずれかの輻輳制御システム。
(6)前記サービスエッジノードは、前記コア網を構成する各装置の輻輳状態を検出する輻輳制御ノードを含む外部から、前記コア網の輻輳状態の通知を受信することにより、受信した前記コア網の輻輳状態に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(1)ないし(5)のいずれかの輻輳制御システム。
(7)前記サービスエッジノードは、ユーザによって入力されるコマンドの指示に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(1)ないし(6)のいずれかの輻輳制御システム。
(8)前記サービスエッジノードは、当該サービスエッジノードのトラフィック量があらかじめ定めた閾値を超えたか否かに応じて、自律的に、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(1)ないし(7)のいずれかの輻輳制御システム。
(9)前記サービスエッジノードのトラフィック量の閾値として、単位時間当たりの呼数、呼量、あるいは、同時接続数のいずれかを少なくとも含む上記(8)の輻輳制御システム。
(10)前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ送信する前記ガイダンス情報として、前記コア網の輻輳状態を示す音声または映像のいずれかを用いたガイダンスを送信する上記(1)ないし(9)のいずれかの輻輳制御システム。
(11)前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ接続を拒否した旨を示す接続不可通知信号を送信する上記(1)ないし(10)のいずれかの輻輳制御システム。
(12)前記IP通信端末は、前記ガイダンスサーバから前記接続不可通知信号を受信した際に、IP電話用の発信動作を抑止する発信規制状態に設定する上記(11)の輻輳制御システム。
(13)前記IP通信端末は、前記ガイダンスサーバから前記接続不可通知信号を受信した際に、受信した接続不可通信信号が示す接続拒否の内容をユーザへ通知可能な情報に編集して、当該IP通信端末のディスプレイに画面表示する上記(11)または(12)の輻輳制御システム。
(14)前記ガイダンスサーバから発信元の前記IP通信端末へ送信される前記接続不可通知信号を中継転送する前記アクセス網または該アクセス網へのゲートウェイ機能を有するゲートウェイ装置は、該接続不可通知信号を受信した際に、前記コア網に対する発信要求を抑止する発信規制状態に設定する上記(11)ないし(13)のいずれかの輻輳制御システム。
(15)前記ガイダンスサーバから発信元の前記IP通信端末へ送信される前記接続不可通知信号を中継転送する前記アクセス網または該アクセス網へのゲートウェイ機能を有するゲートウェイ装置は、前記接続不可通知信号を終端させ、前記接続不可通知信号が示す接続不可の内容を音声または映像によるメッセージとして生成して、発信元の前記IP通信端末に対して送信する上記(11)ないし(14)のいずれかの輻輳制御システム。
(16)IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御システムを構成するサービスエッジノードであって、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に配置されて、前記コア網の輻輳状態に応じて前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御するサービスエッジノード。
(17)前記コア網の輻輳状態とIP電話用の加入者の優先度とに応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(16)のサービスエッジノード。
(18)前記コア網が輻輳状態ではない通常状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記コア網内にあって、当該加入者を収容してIP電話の接続制御を行う呼制御サーバに対して接続を行う上記(17)のサービスエッジノード。
(19)前記コア網が軽輻輳状態にある場合には、優先度が高い優先加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記呼制御サーバに対して接続を行う一方、優先度が低い一般加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を、前記エッジ領域に配置されて、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンスを発信元の前記IP通信端末へ送信する上記(17)または(18)のサービスエッジノード。
(20)前記コア網が重輻輳状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記エッジ領域に配置されて、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンス情報を発信元の前記IP通信端末へ送信する上記(17)ないし(19)のいずれかのサービスエッジノード。
(21)前記コア網を構成する各装置の輻輳状態を検出する輻輳制御ノードからの通知を受信することにより、受信した前記コア網の輻輳状態に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(16)ないし(20)のいずれかのサービスエッジノード。
(22)ユーザによって入力されるコマンドの指示に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(16)ないし(21)のいずれかのサービスエッジノード。
(23)当該サービスエッジノードのトラフィック量があらかじめ定めた閾値を超えたか否かに応じて、自律的に、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(16)ないし(22)のいずれかのサービスエッジノード。
(24)当該サービスエッジノードのトラフィック量の閾値として、単位時間当たりの呼数、呼量、あるいは、同時接続数のいずれかを少なくとも含む上記(23)のサービスエッジノード。
(25)IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御システムを構成するガイダンスサーバであって、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に配置されて、前記コア網を介することなく、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバ。
(26)前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ送信する前記ガイダンス情報として、前記コア網の輻輳状態を示す音声または映像のいずれかを用いたガイダンスを送信する上記(25)のガイダンスサーバ。
(27)前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ接続を拒否した旨を示す接続不可通知信号を送信する上記(25)または(26)のガイダンスサーバ。
(28)IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御方法であって、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に配置されたサービスエッジノードにより前記コア網の輻輳状態に応じて前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御し、前記エッジ領域に配置されたガイダンスサーバにより前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供する輻輳制御方法。
(29)前記サービスエッジノードは、前記コア網の輻輳状態とIP電話用の加入者の優先度とに応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御する上記(28)の輻輳制御方法。
(30)前記サービスエッジノードは、前記コア網が輻輳状態ではない通常状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記コア網内にあって、当該加入者を収容してIP電話の接続制御を行う呼制御サーバに対して接続を行う上記(29)の輻輳制御方法。
(31)前記サービスエッジノードは、前記コア網が軽輻輳状態にある場合には、優先度が高い優先加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記呼制御サーバに対して接続を行う一方、優先度が低い一般加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンスを発信元の前記IP通信端末へ送信する上記(29)または(30)の輻輳制御方法。
(32)前記サービスエッジノードは、前記コア網が重輻輳状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンス情報を発信元の前記IP通信端末へ送信する上記(29)ないし(31)のいずれかの輻輳制御方法。
(33)前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ送信する前記ガイダンス情報として、前記コア網の輻輳状態を示す音声または映像のいずれかを用いたガイダンスを送信する上記(28)ないし(32)のいずれかの輻輳制御方法。
(34)前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ接続を拒否した旨を示す接続不可通知信号を送信する上記(28)ないし(33)のいずれかの輻輳制御方法。
(35)上記(28)ないし(34)のいずれかの輻輳制御方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施する輻輳制御プログラム。
(36)上記(35)の輻輳制御プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録しているプログラム記録媒体。
【発明の効果】
【0011】
本発明の輻輳制御システム、サービスエッジノード、ガイダンスサーバ、輻輳制御方法、輻輳制御プログラム及びプログラム記録媒体によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0012】
IP電話網では、一般に、従来の電話交換機ベースの電話網とは異なり、加入者を収容する呼制御サーバを分散配置していないため、トラフィックが集中的に発生した場合、輻輳状態が発生し易く、IP電話がつながりにくくなる、あるいは、IP電話が全くできなくなるという状態に陥る。さらに、輻輳状態が進行すると、IP電話網のシステム全体に影響が広がり、輻輳要因(障害箇所)の特定や通常状態への回復にかなりの時間を要することになる。
【0013】
本発明においては、輻輳制御システムとして、アクセス網とコア網との接続部であるエッジ領域に、輻輳状態に応じて加入者のIP電話の発信動作を制御するサービスエッジノードと、加入者に対して各種ガイダンス(音声ガイダンスや映像ガイダンス)を送信するガイダンスサーバとを配置し、加入者側の電話機やPCなどのIP通信端末からの発信要求を、輻輳状態に応じて、IP電話網の入口で適宜規制することを可能としている。
【0014】
而して、IP電話用の加入者を収容する上位のコア網や呼制御サーバ等へのトラフィックの集中を入口で防止することができ、IP電話網のシステム全体への輻輳状態の波及を防止することが可能となる。また、ガイダンスサーバにより、加入者に対して、輻輳発生を通知する音声ガイダンスを再生したり、あるいは、加入者所有のIP通信端末のディスプレイに対して案内情報(映像ガイダンス)を表示したりすることにより、加入者へ適切な情報を確実に提供することを可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による輻輳制御システム、サービスエッジノード、ガイダンスサーバ、輻輳制御方法、輻輳制御プログラム及びプログラム記録媒体の好適な実施例について添付図を参照して説明する。以下の説明においては、本発明による輻輳制御システム、輻輳制御方法の実施例について説明するが、かかる輻輳制御方法の1ないし複数の工程(シーケンス)を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施する輻輳制御プログラムとして実現するようにしても良いし、該輻輳制御プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に格納して提供するようにしても良い。
【0016】
(本発明の特徴)
本発明の実施例の説明に先立って、まず、本発明の特徴について、その概要を説明する。本発明は、IP電話網において、加入者へIP電話サービスを提供するコア網と、加入者からのコア網へのアクセスを仲介するアクセス網との間に位置するエッジ領域に、コア網の輻輳状態に応じて加入者からの発信動作を規制するサービスエッジノードと加入者へ各種ガイダンス(音声ガイダンスや映像ガイダンス)を送信するガイダンスサーバとを少なくとも含んで構成される輻輳制御システムを配備することにより、コア網の輻輳状態に応じて、さらには、加入者の優先度に応じて、加入者からの発信要求を制御することを可能としている点に、その特徴を有している。
【0017】
すなわち、本発明は、次のような仕組みを提供することにより、IP電話網が輻輳状態に陥った場合、IP電話網の入口となるエッジ領域に配備した輻輳制御システムのサービスエッジノードにおいて、加入者の優先度に応じて、加入者の発信要求を制御する処理を行う。
【0018】
つまり、サービスエッジノードは、呼制御サーバ等コア網の輻輳状態を検知する輻輳制御ノード等の外部からの輻輳情報を受け取ることにより、当該サービスエッジノードが扱う加入者を収容する呼制御サーバが、通常状態か輻輳状態か、さらに、輻輳状態の場合には、軽輻輳状態であるのかあるいは重輻輳状態であるのかを判断し、加入者からの発信要求を受け取った際に、該加入者の優先度を参照して、加入者からの発信要求の転送先の切替制御を行う。
【0019】
上位のコア網の呼制御サーバが輻輳した場合の動作の一例について、図2、図3を用いてさらに説明する。ここで、緊急を要する優先加入者例えば警察や消防などの優先加入者を加入者Aと表現し、緊急性が低い一般的な加入者を加入者Bと表現することにする。図2は、本発明による輻輳制御システムにおける軽輻輳時の動作の一例を示す説明図であり、図3は、本発明による輻輳制御システムにおける重輻輳時の動作の一例を示す説明図である。
【0020】
図2、図3のいずれにおいても、IP電話呼用の呼制御サーバ5を接続するコア網6と加入者A(優先加入者)12、加入者B(一般加入者)13を接続するアクセス網8との間に位置するエッジ領域に、加入者A 12、加入者B 13とコア網6との接続サービスを、コア網6や呼制御サーバ5等の輻輳状態及び加入者種別に応じて制御するサービスエッジノード1と加入者A 12、加入者B 13への各種ガイダンス(音声ガイダンスや映像ガイダンス)や接続不可通知信号などの制御信号を送信するガイダンスサーバ2とを少なくとも含む輻輳制御システム3が配置された状態で構成されている。
【0021】
例えば、加入者を収容する上位の呼制御サーバ5に軽輻輳状態が発生していた場合に、図2に示すように、輻輳制御システム3において、サービスエッジノード1は、発信要求の加入者が優先加入者の加入者A 12であることを識別した場合には、通常通り、該呼制御サーバ5への接続を実施するために、通常の経路に発信要求の呼を転送する。しかし、発信要求の加入者が一般加入者の加入者B 13であることを識別した場合には、通常通りの処理を行うと、該呼制御サーバ5の負荷がさらに上がり、輻輳状態をさらに助長するため、ガイダンスサーバ2への接続に切り替える。
【0022】
この結果、一般加入者の加入者B 13に対しては、ガイダンスサーバ2から「ただいま電話が混み合っていますので、しばらく時間を置いてからお掛け直しください。」といった案内情報が音声ガイダンスや映像ガイダンスとして提供される。従来のIP電話網においても、ガイダンスサーバ(案内装置)による案内サービスは提供されているが、従来のIP電話網の場合には、ガイダンスサーバ(案内装置)を呼制御サーバと接続を行った後に、該呼制御サーバを介して加入者に対して接続するように構成しているため、呼制御サーバへの負荷の軽減にはならないし、また、加入者への案内サービスを確実に提供することができるという保証はない。
【0023】
一方、本発明においては、呼制御サーバ5等の上位装置への負荷を軽減するとともに、輻輳状態のさらなる助長を防止するために、ガイダンスサーバ2を、コア網6への入口となるエッジ領域に配備し、上位装置の呼制御サーバ5を介することなく、加入者例えば加入者B 13へのガイダンスサービスを提供することを可能としている。
【0024】
さらに、ガイダンスサーバ2は、加入者側への音声や映像によるガイダンスサービスを提供するだけではなく、IP電話の発信を拒否したことを示す接続不可通知信号を、発信要求をした加入者B 13などのIP通信端末に送信することも可能としている。IP通信端末は、接続不可通知信号を受け取った際に、「IP電話が混み合っており、10分間は発信要求を受け付けることができません。」といった情報に編集して、当該IP通信端末のディスプレイに表示を行うことも可能である。
【0025】
また、加入者を接続するアクセス網8や該アクセス網8へのゲートウェイ機能を司るゲートウェイが、加入者向けの接続不可通知信号を受信することによって、アクセス網8やゲートウェイ自体が、IP電話網への発信を規制することも可能である。あるいは、加入者側に接続不可通知信号を転送する代わりに、アクセス網8やゲートウェイにて接続不可通知信号を終端させて、アクセス網8やゲートウェイにて「IP電話が混み合っており、10分間は発信要求を受け付けることができません。」といったテキスト情報や図形情報などに編集して、編集したテキスト情報や図形情報を加入者側に送信するようにしても良い。
【0026】
一方、呼制御サーバ5の負荷がさらに上がり、接続要求に対して応答することができないような重輻輳状態に陥った場合には、図3に示すように、輻輳制御システム3において、サービスエッジノード1は、当該呼制御サーバ5に対する一切の発信要求を受付けない状態に移行して、優先加入者を含め全ての加入者からの発信要求をガイダンスサーバ2へ接続する状態に切り替える。このような重輻輳の場合も、図2の軽輻輳の場合と同様に、ガイダンスサーバ2は、前述したように、加入者側への音声や映像によるガイダンスサービスの提供だけではなく、IP電話の発信を拒否したことを示す接続不可通知信号を、加入者A 12、加入者B 13などのIP通信端末やアクセス網8やゲートウェイに対して送信することが可能である。
【0027】
(実施例の構成)
図1は、本発明による輻輳制御システムを適用したネットワーク構成の一例を示すシステム構成図である。図1に示すように、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網8と加入者へIP電話サービスを提供するコア網6との間のエッジ領域に、サービスエッジノード1とガイダンスサーバ2とを少なくとも含んで構成される輻輳制御システム3を設置することにより、電話機10やPC11などのIP通信端末からの発信要求に対して、コア網6や加入者を収容する呼制御サーバ5等の上位装置の輻輳状態に応じて、規制をかけることができるように構成している。
【0028】
かくのごとき輻輳制御システム3の構成により、サービスエッジノード1は、上位のコア網6や呼制御サーバ5の輻輳状態を示す情報が例えば輻輳制御ノード4等の外部から通知されると、IP電話サービスを提供するコア網6への入口となるエッジ領域において、電話機10やPC11などのIP通信端末からの発信要求を規制することが可能であり、呼制御サーバ5等の上位の装置へのトラフィックの集中を確実に回避することが可能となる。さらには、ガイダンスサーバ2は、輻輳状態に陥った上位のコア網6や呼制御サーバ5を経由することなく、コア網6への入口となるエッジ領域から、ルータ7を介して、アクセス網8、ゲートウェイ機能を司るゲートウェイ9(またはモデム)を経由して、加入者側の電話機10やPC11などのIP通信端末に対して、輻輳通知用の音声や映像のガイダンスや接続不可通知信号を確実に送信することが可能となる。
【0029】
サービスエッジノード1は、SBC(Session Border Controller:セッションボーダコントローラ)機能などのVoIP(Voice over IP)サービスの制御機能を有する装置であり、コア網6や呼制御サーバ5等の上位装置の輻輳状態と加入者種別とに応じて、加入者からの発信要求を制御する。ガイダンスサーバ2は、音声ガイダンスや映像ガイダンスを電話機10やPC11などのIP通信端末に対して提供する装置である。また、ガイダンスサーバ2は、電話機10やPC11などのIP通信端末への音声や映像などのガイダンス再生だけではなく、電話機10やPC11などのIP通信端末に対して、あるいは、アクセス網8やゲートウェイ9に対して、接続が不可能である旨を示す接続不可通知信号などの制御信号も送信する。
【0030】
また、本実施例においては、サービスエッジノード1とガイダンスサーバ2とは、機能上、分離した形で説明をしているが、別々の装置として構成しても、あるいは、両者の機能を兼ね備えた一つの装置として構成しても良い。なお、図1に示す輻輳制御ノード4は、コア網6や呼制御サーバ5等の上位の装置の輻輳状態を監視し、呼制御サーバ5自身に通知したり、輻輳制御システム3を構成するサービスエッジノード1やガイダンスサーバ2へ輻輳状態の発生を通知したりするための装置である。
【0031】
(実施例の動作の説明)
次に、図1に示す本発明の一例の輻輳制御システム3の動作について、図4〜図6のシーケンス図を参照して、従来のIP電話網の輻輳制御の動作と比較しながら説明する。図4は、本発明の輻輳制御システムにおける軽輻輳時の場合の動作の一例を示すシーケンス図であり、図5は、本発明の輻輳制御システムにおける重輻輳時の場合の動作の一例を示すシーケンス図であり、いずれも、図1の輻輳制御システム3の動作を例にとって示している。また、図6は、従来のIP電話網における輻輳制御動作を説明するためのシーケンス図である。
【0032】
まず、従来のIP電話網における輻輳制御動作について説明する。図6で示すように、従来のIP電話網の場合、通常時は、電話機10などのIP通信端末からの発信要求により、呼制御サーバ5への接続を行う(シーケンスSQ21)。一方、輻輳時においても、電話機10などのIP通信端末からの発信要求があると、呼制御サーバ5へ接続を行っている(シーケンスSQ22)。しかる後、輻輳状態にある旨の通知を行うために、ガイダンスサーバとの接続を行い(シーケンスSQ23),ガイダンスサーバから呼制御サーバ5を経由した経路で、発信要求元の電話機10などのIP通信端末に対して、ガイダンス再生サービスを提供する(シーケンスSQ24)。つまり、通常時や輻輳時の如何に関わらず、全ての発信要求について、呼制御サーバ5を経由した通信を行うように制御している。
【0033】
一方、本発明による輻輳制御システム3においては、図4に示すように、通常時は、従来のIP電話網と同様、電話機10などのIP通信端末からの発信要求があると、サービスエッジノード1を介して呼制御サーバ5への接続を行う(シーケンスSQ1)。しかし、呼制御サーバ5等の上位の装置の輻輳状態を監視する輻輳制御ノード4等の外部から軽輻輳の状態通知を、サービスエッジノード1が受け取った場合(シーケンスSQ2)、通知された輻輳状態の内容と発信要求を行うIP通信端末の優先度に応じて、発信要求の接続先を変更する。なお、輻輳の状態通知に関しては、輻輳制御ノード4等の外部装置からの指示だけではなく、ユーザによる発信規制用のコマンドなどのコマンド投入といった人的介入も含む。また、サービスエッジノード1が、当該サービスエッジノード1が処理しているトラフィック処理の閾値(単位時間当たりあらかじめ定めた一定の呼数や呼量あるいは同時接続数など)により、自律的に、接続先を切り替える場合も存在する。
【0034】
また、サービスエッジノード1が接続先をガイダンスサーバ2へ切替を行う状態に設定しても、優先加入者の加入者AのIP通信端末(電話機10など)からなされた発信要求の場合には、通常時と同様に、呼制御サーバ5への接続を行う(シーケンスSQ3)。一方、一般加入者である加入者BのIP通信端末(電話機10など)からなされた発信要求の場合には(シーケンスSQ4)、サービスエッジノード1は、発信要求をガイダンスサーバ2へ転送する(シーケンスSQ5)。ガイダンスサーバ2は、サービスエッジノード1から発信要求を受け取ると、一般加入者である加入者BのIP通信端末(電話機10など)に対して、輻輳状態を通知するためのガイダンス再生を行う(シーケンスSQ6)。
【0035】
また、ガイダンスサーバ2は、呼制御サーバ5への発信要求のトラフィックが集中して、処理可能な呼数としてあらかじめ定めた閾値を超えた場合や輻輳制御ノード4等からの輻輳の状態通知の指示内容などに応じて、電話機10などのIP通信端末に対して、接続不可通知信号を通知する(シーケンスSQ7)。なお、接続不可通知信号を終端する装置は、電話機10などのIP通信端末であっても良いし、アクセス網8やゲートウェイ9等であっても構わない。
【0036】
電話機10などのIP通信端末やアクセス網8やゲートウェイ9等が接続不可通知信号をガイダンスサーバ2から受信すると、接続不可通知信号の内容を基にして、電話機10などのIP通信端末のディスプレイに接続不可の旨を表示させたり、電話機10などのIP通信端末に対して音声ガイダンスや映像ガイダンスを流したりすることができる。また、電話機10などのIP通信端末やアクセス網8やゲートウェイ9等は、いずれも、以降の発信要求を受け付けないように発信規制をかける仕組みを有しており、ガイダンスサーバ2からの接続不可通知信号を受け取ることにより、以降、発信規制を行うことができる。
【0037】
次に、呼制御サーバ5等の上位装置が重輻輳状態に陥った場合について説明する。図5に示すように、本発明による輻輳制御システム3においては、通常時は、従来のIP電話網と同様、電話機10などのIP通信端末からの発信要求があると、呼制御サーバ5への接続を行う(シーケンスSQ11)。しかし、呼制御サーバ5等の上位の装置の輻輳などの状態を監視する輻輳制御ノード4等の外部から重輻輳の状態通知を、サービスエッジノード1が受け取った場合(シーケンスSQ12)、加入者からの発信要求があると(シーケンスSQ13,SQ17)、優先加入者も含め全ての加入者からの発信要求をガイダンスサーバ2に転送する(シーケンスSQ14,SQ18)。その結果、電話機10などのIP通信端末は、加入者が優先か否かの区別なく、ガイダンスサーバ2からガイダンス再生および/または接続不可通知信号を受け取ることになる(シーケンスSQ15,SQ19および/またはSQ16,SQ20)。
【0038】
(効果の説明)
IP電話網では、一般に、従来の電話交換機ベースの電話網とは異なり、加入者を収容する呼制御サーバ5を分散配置していないため、トラフィックが集中的に発生した場合、輻輳状態が発生し易く、IP電話がつながりにくくなる、あるいは、IP電話が全くできなくなるという状態に陥る。さらに、輻輳状態が進行すると、IP電話網のシステム全体に影響が広がり、輻輳要因(障害箇所)の特定や通常状態への回復にかなりの時間を要することになる。
【0039】
これに対して、本実施例においては、輻輳制御システムとして、アクセス網8とコア網6との接続部であるエッジ領域に、輻輳状態に応じて加入者のIP電話の発信動作を制御するサービスエッジノード1と、加入者に対して各種ガイダンス(音声ガイダンスや映像ガイダンス)を送信するガイダンスサーバ2とを配置し、加入者側の電話機10やPC11などのIP通信端末からの発信要求を、輻輳状態に応じて、IP電話網の入口で適宜規制することを可能としている。
【0040】
而して、IP電話用の加入者を収容する上位のコア網6や呼制御サーバ5等へのトラフィックの集中を入口で防止することができ、IP電話網のシステム全体への輻輳状態の波及を防止することが可能となる。また、ガイダンスサーバ2により、加入者に対して、輻輳発生を通知する音声ガイダンスを再生したり、あるいは、加入者所有のIP通信端末のディスプレイに対して案内情報(映像ガイダンス)を表示したりすることにより、加入者へ適切な情報を確実に提供することを可能としている。
【0041】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による輻輳制御システムを適用したネットワーク構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明による輻輳制御システムにおける軽輻輳時の動作の一例を示す説明図である。
【図3】本発明による輻輳制御システムにおける軽輻輳時の動作の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の輻輳制御システムにおける軽輻輳時の場合の動作の一例を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の輻輳制御システムにおける重輻輳時の場合の動作の一例を示すシーケンス図である。
【図6】従来のIP電話網における輻輳制御動作を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0043】
1 サービスエッジノード
2 ガイダンスサーバ
3 輻輳制御システム
4 輻輳制御ノード
5 呼制御サーバ
6 コア網
7 ルータ
8 アクセス網
9 ゲートウェイ
10 電話機
11 PC
12 加入者A(優先加入者)
13 加入者B(一般加入者)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御システムにおいて、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に、前記コア網の輻輳状態に応じて前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御するサービスエッジノードと、前記コア網を介することなく、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバとを少なくとも配置していることを特徴とする輻輳制御システム。
【請求項2】
前記サービスエッジノードは、前記コア網の輻輳状態とIP電話用の加入者の優先度とに応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項1に記載の輻輳制御システム。
【請求項3】
前記サービスエッジノードは、前記コア網が輻輳状態ではない通常状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記コア網内にあって、当該加入者を収容してIP電話の接続制御を行う呼制御サーバに対して接続を行うことを特徴とする請求項2に記載の輻輳制御システム。
【請求項4】
前記サービスエッジノードは、前記コア網が軽輻輳状態にある場合には、優先度が高い優先加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記呼制御サーバに対して接続を行う一方、優先度が低い一般加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンスを発信元の前記IP通信端末へ送信することを特徴とする請求項2または3に記載の輻輳制御システム。
【請求項5】
前記サービスエッジノードは、前記コア網が重輻輳状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンス情報を発信元の前記IP通信端末へ送信することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項6】
前記サービスエッジノードは、前記コア網を構成する各装置の輻輳状態を検出する輻輳制御ノードを含む外部から、前記コア網の輻輳状態の通知を受信することにより、受信した前記コア網の輻輳状態に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項7】
前記サービスエッジノードは、ユーザによって入力されるコマンドの指示に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項8】
前記サービスエッジノードは、当該サービスエッジノードのトラフィック量があらかじめ定めた閾値を超えたか否かに応じて、自律的に、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項9】
前記サービスエッジノードのトラフィック量の閾値として、単位時間当たりの呼数、呼量、あるいは、同時接続数のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする請求項8に記載の輻輳制御システム。
【請求項10】
前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ送信する前記ガイダンス情報として、前記コア網の輻輳状態を示す音声または映像のいずれかを用いたガイダンスを送信することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項11】
前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ接続を拒否した旨を示す接続不可通知信号を送信することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項12】
前記IP通信端末は、前記ガイダンスサーバから前記接続不可通知信号を受信した際に、IP電話用の発信動作を抑止する発信規制状態に設定することを特徴とする請求項11に記載の輻輳制御システム。
【請求項13】
前記IP通信端末は、前記ガイダンスサーバから前記接続不可通知信号を受信した際に、受信した接続不可通信信号が示す接続拒否の内容をユーザへ通知可能な情報に編集して、当該IP通信端末のディスプレイに画面表示することを特徴とする請求項11または12に記載の輻輳制御システム。
【請求項14】
前記ガイダンスサーバから発信元の前記IP通信端末へ送信される前記接続不可通知信号を中継転送する前記アクセス網または該アクセス網へのゲートウェイ機能を有するゲートウェイ装置は、該接続不可通知信号を受信した際に、前記コア網に対する発信要求を抑止する発信規制状態に設定することを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項15】
前記ガイダンスサーバから発信元の前記IP通信端末へ送信される前記接続不可通知信号を中継転送する前記アクセス網または該アクセス網へのゲートウェイ機能を有するゲートウェイ装置は、前記接続不可通知信号を終端させ、前記接続不可通知信号が示す接続不可の内容を音声または映像によるメッセージとして生成して、発信元の前記IP通信端末に対して送信することを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載の輻輳制御システム。
【請求項16】
IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御システムを構成するサービスエッジノードであって、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に配置されて、前記コア網の輻輳状態に応じて前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とするサービスエッジノード。
【請求項17】
前記コア網の輻輳状態とIP電話用の加入者の優先度とに応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項16に記載のサービスエッジノード。
【請求項18】
前記コア網が輻輳状態ではない通常状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記コア網内にあって、当該加入者を収容してIP電話の接続制御を行う呼制御サーバに対して接続を行うことを特徴とする請求項17に記載のサービスエッジノード。
【請求項19】
前記コア網が軽輻輳状態にある場合には、優先度が高い優先加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記呼制御サーバに対して接続を行う一方、優先度が低い一般加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を、前記エッジ領域に配置されて、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンスを発信元の前記IP通信端末へ送信することを特徴とする請求項17または18に記載のサービスエッジノード。
【請求項20】
前記コア網が重輻輳状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記エッジ領域に配置されて、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供するガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンス情報を発信元の前記IP通信端末へ送信することを特徴とする請求項17ないし19のいずれかに記載のサービスエッジノード。
【請求項21】
前記コア網を構成する各装置の輻輳状態を検出する輻輳制御ノードからの通知を受信することにより、受信した前記コア網の輻輳状態に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項16ないし20のいずれかに記載のサービスエッジノード。
【請求項22】
ユーザによって入力されるコマンドの指示に応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項16ないし21のいずれかに記載のサービスエッジノード。
【請求項23】
当該サービスエッジノードのトラフィック量があらかじめ定めた閾値を超えたか否かに応じて、自律的に、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項16ないし22のいずれかに記載のサービスエッジノード。
【請求項24】
当該サービスエッジノードのトラフィック量の閾値として、単位時間当たりの呼数、呼量、あるいは、同時接続数のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする請求項23に記載のサービスエッジノード。
【請求項25】
IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御システムを構成するガイダンスサーバであって、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に配置されて、前記コア網を介することなく、前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供することを特徴とするガイダンスサーバ。
【請求項26】
前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ送信する前記ガイダンス情報として、前記コア網の輻輳状態を示す音声または映像のいずれかを用いたガイダンスを送信することを特徴とする請求項25に記載のガイダンスサーバ。
【請求項27】
前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ接続を拒否した旨を示す接続不可通知信号を送信することを特徴とする請求項25または26に記載のガイダンスサーバ。
【請求項28】
IPパケットを用いて電話呼の通話処理を行うIP電話網の輻輳を制御する輻輳制御方法であって、加入者のIP通信端末を接続するアクセス網と、該加入者に対するIP電話サービスを提供するコア網との間に位置するエッジ領域に配置されたサービスエッジノードにより前記コア網の輻輳状態に応じて前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御し、前記エッジ領域に配置されたガイダンスサーバにより前記IP通信端末へガイダンスサービスを提供することを特徴とする輻輳制御方法。
【請求項29】
前記サービスエッジノードは、前記コア網の輻輳状態とIP電話用の加入者の優先度とに応じて、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を制御することを特徴とする請求項28に記載の輻輳制御方法。
【請求項30】
前記サービスエッジノードは、前記コア網が輻輳状態ではない通常状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記コア網内にあって、当該加入者を収容してIP電話の接続制御を行う呼制御サーバに対して接続を行うことを特徴とする請求項29に記載の輻輳制御方法。
【請求項31】
前記サービスエッジノードは、前記コア網が軽輻輳状態にある場合には、優先度が高い優先加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記呼制御サーバに対して接続を行う一方、優先度が低い一般加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求を前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンスを発信元の前記IP通信端末へ送信することを特徴とする請求項29または30に記載の輻輳制御方法。
【請求項32】
前記サービスエッジノードは、前記コア網が重輻輳状態にある場合には、加入者の優先度如何によらず、加入者の前記IP通信端末からのIP電話の発信要求をすべて、前記ガイダンスサーバに転送し、該ガイダンスサーバから輻輳状態にある旨のガイダンス情報を発信元の前記IP通信端末へ送信することを特徴とする請求項29ないし31のいずれかに記載の輻輳制御方法。
【請求項33】
前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ送信する前記ガイダンス情報として、前記コア網の輻輳状態を示す音声または映像のいずれかを用いたガイダンスを送信することを特徴とする請求項28ないし32のいずれかに記載の輻輳制御方法。
【請求項34】
前記ガイダンスサーバは、前記IP通信端末からのIP電話の発信要求が転送されてきた際に、発信元の前記IP通信端末へ接続を拒否した旨を示す接続不可通知信号を送信することを特徴とする請求項28ないし33のいずれかに記載の輻輳制御方法。
【請求項35】
請求項28ないし34のいずれかに記載の輻輳制御方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施することを特徴とする輻輳制御プログラム。
【請求項36】
請求項35に記載の輻輳制御プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−244685(P2008−244685A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80467(P2007−80467)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】