説明

送信装置及びこれを用いた通信システム

【課題】主に自動車のドアの施解錠や開閉等の遠隔操作に用いられる送信装置、及びこれを用いた通信システムに関し、操作の確認が容易に行え、確実な遠隔操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】受信装置17が送信装置16からの施錠や解錠の操作信号に応じた応答信号を送信すると共に、受信手段14が受信した応答信号に応じて、制御手段15が操作手段12近傍の発光手段13を発光させることによって、携帯した送信装置16の発光手段13によって操作の確認が行えるため、操作の確認が容易で、確実な遠隔操作が可能な送信装置、及びこれを用いた通信システムを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車のドアの施解錠や開閉等の遠隔操作に使用される送信装置、及びこれを用いた通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のドアの施解錠や開閉等を、機械式キーにより直接操作することに加え、運転者が携帯した送信装置によって、離れた箇所から遠隔操作することが一般的に行われており、誤操作がなく確実な操作の可能なものが求められている。
【0003】
このような従来の送信装置及びこれを用いた通信システムについて、図3を用いて説明する。
【0004】
図3は従来の通信システムの平面図であり、同図において、1は略箱型で絶縁樹脂製のケースで、このケース1上面の開口孔には複数の操作キー2Aや2Bが配列され、これらが上下動可能に突出して操作手段2が形成されている。
【0005】
そして、ケース1内には上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納されると共に、操作手段2下方の配線基板上面には、複数の操作キー2Aや2Bの上下動によって電気的接離を行う、複数のスイッチ接点(図示せず)が形成されている。
【0006】
さらに、この配線基板にはアンテナ等によって送信手段3や、マイコン等によって制御手段4が形成されると共に、この送信手段3や複数のスイッチ接点が配線パターンを介して制御手段4に接続されて、送信装置5が構成されている。
【0007】
また、6は自動車7の前方に装着された受信装置で、アンテナ等の受信手段8、及びこれに接続されたマイコン等の制御手段9から形成されると共に、この制御手段9が駆動手段(図示せず)等を介して、ハザードランプ10やモータ、ソレノイド(図示せず)等に接続されている。
【0008】
そして、受信装置6の制御手段9がコネクタやリード線(図示せず)等によって、車両の電子回路やバッテリ(図示せず)に電気的に接続されると共に、このような自動車7に装着された受信装置6と、運転者が機械式キーと共に携帯する送信装置5によって、通信システムが構成される。
【0009】
以上の構成において、送信装置5を持った運転者が、自動車7とはある程度離れた場所から、例えば解錠用の操作キー2Aを押圧操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気的接離に応じて制御手段4が、解錠用の操作信号を送信手段3から電波として送信する。
【0010】
そして、この操作信号を受信装置6の受信手段8が受信して、制御手段9が操作信号内の識別コード等によって運転者を確認すると、制御手段9から駆動信号が出力され、駆動手段がモータやソレノイド等を駆動して、ドアのロックが解除される。
【0011】
また、施錠用の操作キー2Bを押圧操作した場合には、この下方のスイッチ接点の電気的接離を制御手段4が検出して、施錠用の操作信号を電波として送信し、これを受信装置6が受信して、制御手段9が運転者を確認した後、駆動手段を駆動してドアがロックされる。
【0012】
さらに、このドアの施錠や解錠操作が行われた際に、制御手段9が駆動手段を駆動して、施錠時にはハザードランプ10を例えば1回、解錠時には2回点滅させることによって、受信装置6がこれらの操作信号を受信し、ドアの施錠や解錠が行われたことを、離れた場所にいる運転者に知らせるようになっている。
【0013】
つまり、車両に接近し機械式キーによって、ドアの施錠や解錠を直接行うことに加え、携帯した送信装置5を操作することによって、ある程度離れた場所からでも、ドアの施錠や解錠を遠隔操作できるように構成されているものであった。
【0014】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2008−177813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来の送信装置5及びこれを用いた通信システムにおいては、ドアの施錠や解錠を遠隔操作した際、間違いなく施錠や解錠を行ったかどうかを確認するには、離れたハザードランプ10の点滅回数を数える必要があり、また、駐車場等で他の車によってハザードランプ10が隠れて見えない場合には、確認が行いづらくなってしまうという課題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、操作の確認が容易に行え、確実な遠隔操作が可能な送信装置、及びこれを用いた通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0018】
本発明の請求項1に記載の発明は、制御手段に接続された受信手段と発光手段を設けると共に、受信手段が受信した応答信号に応じて、制御手段が発光手段を発光させるようにして送信装置を構成したものであり、遠隔操作の際、制御手段が受信した応答信号に応じて発光手段を発光させることで、離れた車両のランプ等を確認する必要はなく、携帯した送信装置の発光手段によって操作の確認が行えるため、操作の確認が容易で、確実な遠隔操作が可能な送信装置を得ることができるという作用を有する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、操作手段の所定の操作に応じて、制御手段が発光手段を発光するものであり、遠隔操作時に受信した応答信号を制御手段が記憶し、操作手段の所定の操作に応じて発光手段を発光させることで、車両から遠く離れ通信の不可能な場所でも、操作の確認を容易に行うことができるという作用を有する。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の送信装置からの操作信号に応じて所定の駆動信号を出力する受信装置が、送信装置からの操作信号に応じて応答信号を送信するようにして通信システムを構成したものであり、操作の確認が容易に行え、確実な遠隔操作が可能な通信システムを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、操作の確認が容易に行え、確実な遠隔操作が可能な送信装置、及びこれを用いた通信システムを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0023】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0024】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による通信システムのブロック回路図、図2は同平面図であり、同図において、11は略箱型でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケースで、このケース11上面の開口孔にはゴムや絶縁樹脂製の複数の操作キー12Aや12B、12Cが配列され、これらが上下動可能に突出して操作手段12が形成されている。
【0025】
そして、ケース11内には上下面に銅箔等によって複数の配線パターンが形成された、紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板(図示せず)が収納されると共に、操作手段12下方の配線基板上面には、複数の操作キー12Aや12B等の上下動によって電気的接離を行う、複数のスイッチ接点(図示せず)が形成されている。
【0026】
また、13Aと13Bは発光ダイオード等の発光素子で、配線基板上面に実装接続されると共に、発光素子13Aが操作キー12A近傍のケース11上面に、発光素子13Bが同じく操作キー12B近傍に各々配置されて、発光手段13が形成されている。
【0027】
さらに、ケース11内の配線基板にはアンテナ等によって送信手段3や受信手段14、マイコン等によって制御手段15が形成されると共に、この送信手段3や受信手段14、複数のスイッチ接点や発光手段13が配線パターンを介して、制御手段15に接続されて送信装置16が構成されている。
【0028】
また、17は自動車7の前方に装着された受信装置で、アンテナ等の送信手段18や受信手段8、及びこれらに接続されたマイコン等の制御手段19から形成されると共に、この制御手段19が駆動手段20を介して、ハザードランプ10やモータ21、ソレノイド(図示せず)等に接続されている。
【0029】
そして、受信装置17の制御手段19がコネクタやリード線(図示せず)等によって、車両の電子回路やバッテリ(図示せず)に電気的に接続されると共に、このような自動車7に装着された受信装置17と、運転者が機械式キーと共に携帯する送信装置16によって、通信システムが構成される。
【0030】
以上の構成において、送信装置16を持った運転者が、自動車7とはある程度離れた場所から、例えば解錠用の操作キー12Aを押圧操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気的接離に応じて制御手段15が、解錠用の操作信号を送信手段3から電波として送信する。
【0031】
そして、この操作信号を受信装置17の受信手段8が受信して、制御手段19が操作信号内の識別コード等によって運転者を確認すると、制御手段19から所定の駆動信号が出力され、駆動手段20がモータ21やソレノイド等を駆動して、ドアのロックが解除される。
【0032】
さらに、この時、制御手段19が駆動手段20を駆動して、ドアの解錠が行われたことを運転者に知らせるために、ハザードランプ10を例えば2回点滅させると共に、送信装置16からの操作信号を受信しドアの解錠を行ったことを知らせるための、応答信号を送信手段18から電波として送信する。
【0033】
そして、この応答信号を送信装置16の受信手段14が受信して、これを制御手段15が記憶すると共に、制御手段15が所定の発光手段13、例えば押圧操作した操作キー12A近傍の発光素子13Aを発光させる。
【0034】
また、施錠用の操作キー12Bを押圧操作した場合には、この下方のスイッチ接点の電気的接離を制御手段15が検出して、施錠用の操作信号を電波として送信し、これを受信装置17が受信して、制御手段19が運転者を確認した後、駆動手段20を駆動してドアがロックされる。
【0035】
そして、同時に、制御手段19がハザードランプ10を例えば1回点滅させると共に、ドアの施錠を行ったことを知らせるための、応答信号を送信手段18から送信し、これを送信装置16の制御手段15が記憶すると共に、押圧操作した操作キー12B近傍の発光素子13Bを発光させる。
【0036】
なお、この時、半ドア等でドアが完全に閉じていない場合には、制御手段19から駆動信号が出力されてもドアがロックされないため、制御手段19がこれを検出し、ハザードランプ10の点滅は行われず、また、応答信号も送信手段18から送信されないため、発光素子13Bも発光しない。
【0037】
つまり、車両に接近し機械式キーによって、ドアの施錠や解錠を直接行うことに加え、携帯した送信装置16を操作することによって、ある程度離れた場所からでも、ドアの施錠や解錠を遠隔操作できると共に、ハザードランプ10の点滅やその回数によって、ドアの施錠や解錠が行われたことを、離れた場所にいる運転者に知らせるように構成されている。
【0038】
さらに、この時、受信装置17が送信装置16からの施錠や解錠の操作信号に応じた応答信号を送信すると共に、送信装置16の受信手段14が受信した応答信号に応じて、制御手段15が操作手段12近傍の発光手段13、発光素子13Aや発光素子13Bを発光させることによって、操作の確認が容易で、確実な遠隔操作が可能なようになっている。
【0039】
すなわち、送信装置16によってドアの施錠や解錠を遠隔操作した際、離れたハザードランプ10の点滅回数を数える必要はなく、また、駐車場等で他の車によりハザードランプ10が隠れて見えない場合でも、手に持った送信装置16の発光手段13の発光箇所によって、直前に行った操作の確認が容易に行えるように構成されている。
【0040】
また、この時、解錠用の操作キー12Aの近傍に発光素子13Aを、施錠用の操作キー12Bの近傍に発光素子13Bを各々配置することで、直前に押圧操作した操作キー近傍の発光素子、例えば解錠用の操作キー12Aを押圧操作した場合には、この近傍の発光素子13Aが、施錠用の操作キー12Bを押圧操作した場合には、この近傍の発光素子13Bが光るため、より判り易く操作の確認を行うことができるようになっている。
【0041】
なお、これらの操作キーや発光素子を、例えば操作キー12Aを青色に着色し、発光素子13Aの発光色を青色にすると共に、操作キー12Bと発光素子13Bはこれとは異なる例えば赤色とすることによって、操作キーと発光素子の関係がより明確になるため、解錠操作をしたのか施錠操作をしたのかを、さらに判り易く確認することが可能となる。
【0042】
あるいは、操作キー12Aと発光素子13Aを円形に、操作キー12Bと発光素子13Bを三角形に、というように各々を異なる形状に形成して、解錠と施錠の操作を区別するようにしてもよい。
【0043】
さらに、ドアの施錠や解錠の遠隔操作時に、受信装置17からの応答信号を制御手段15が記憶しているため、運転者がドアの施錠や解錠を遠隔操作した後、自動車7から遠く離れ受信装置17と通信の不可能な場所にいる場合でも、送信装置16の操作手段12の所定の操作によって、発光手段13を発光させて、自動車7から離れた際に行った操作の確認を行うことができるように構成されている。
【0044】
つまり、受信装置17からの応答信号を制御手段15が記憶すると共に、操作手段12の所定の操作に応じて、制御手段15が発光手段13を発光させることによって、自動車7から離れた場所で、例えば操作キー12Cを押圧操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離を制御手段15が検出して、離れた際に操作した、例えば施錠用の発光素子13Bを発光させる。
【0045】
すなわち、ドアの施錠や解錠を遠隔操作した後、自動車7から離れある程度時間が経った後でも、操作手段12の所定の操作によって、自動車7から離れた際の、操作の確認を容易に行うことが可能なようになっている。
【0046】
なお、自動車7に近い場所でドアの施錠や解錠を遠隔操作した場合と、遠く離れて操作キー12Cを押圧操作した場合とでは、発光素子13Aや13Bの発光を異なるものとすれば、操作の確認をより誤りがなく容易に行うことができる。
【0047】
つまり、自動車7に近い場所で操作キー12Aや12Bが押圧操作された場合には、制御手段15が発光素子13Aや13Bを所定時間、例えば2秒間連続して点灯させ、離れた場所で操作キー12Cが押圧操作された場合には、発光素子13Aや13Bを数回点滅させることによって、施解錠のための操作か確認のための操作かを、運転者が区別することが可能になる。
【0048】
さらに、半ドア等でドアが完全に閉じておらず、ドアがロックされていないにも係わらず、運転者がこれに気づかずに自動車7から離れ、後で確認のために操作キー12Cを押圧操作した場合には、制御手段15が上記とは異なる発光、例えば発光素子13Aと13Bの両方を交互に点滅させるようにすれば、運転者にこのような誤りを確実に知らせることができる。
【0049】
このように本実施の形態によれば、受信装置17が送信装置16からの施錠や解錠の操作信号に応じた応答信号を送信すると共に、受信手段14が受信した応答信号に応じて、制御手段15が操作手段12近傍の発光手段13を発光させることによって、ハザードランプ10の点滅だけではなく、携帯した送信装置16の発光手段13によって操作の確認が行えるため、操作の確認が容易で、確実な遠隔操作が可能な送信装置、及びこれを用いた通信システムを得ることができるものである。
【0050】
また、遠隔操作時に受信した応答信号を制御手段15が記憶し、操作手段12の所定の操作、例えば操作キー12Cの操作に応じて、制御手段15が発光手段12を発光させることによって、車両7から遠く離れ通信の不可能な場所でも、操作の確認を容易に行うことができる。
【0051】
なお、以上の説明では、操作キー12Aや12B近傍に発光素子13Aや13Bを配置した構成について説明したが、操作キー12Aや12Bを部分的に透光部が形成されたゴムや絶縁樹脂から形成すると共に、これらの下方に発光素子13Aや13Bを配置し、下方の発光素子13Aや13Bの発光によって、操作キー12Aや12Bが照光されるようにした構成としても、本発明の実施は可能である。
【0052】
また、以上の説明では、操作手段12の操作によって送信装置16から受信装置17へ操作信号を送信し、ドアの施錠や解錠を遠隔操作する、所謂キーレスエントリシステムについて説明したが、送信装置と受信装置が所定間隔で互いに通信を行い、運転者が自動車に近づいた場合にはドアを解錠し、離れた場合にはドアを自動的に施錠する、所謂スマートエントリシステムにおいても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明による送信装置及びこれを用いた通信システムは、操作の確認が容易に行え、確実な遠隔操作が可能なものが得られ、主に自動車のドアの施解錠や開閉等の遠隔操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態による通信システムのブロック回路図
【図2】同平面図
【図3】従来の通信システムの平面図
【符号の説明】
【0055】
3 送信手段
7 自動車
8 受信手段
10 ハザードランプ
11 ケース
12 操作手段
12A、12B、12C 操作キー
13 発光手段
13A、13B 発光素子
14 受信手段
15 制御手段
16 送信装置
17 受信装置
18 送信手段
19 制御手段
20 駆動手段
21 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース上面に形成された操作手段と、この操作手段の操作に応じて送信手段から操作信号を送信する制御手段からなり、上記制御手段に接続された受信手段と発光手段を設けると共に、上記受信手段が受信した応答信号に応じて、上記制御手段が上記発光手段を発光する送信装置。
【請求項2】
操作手段の所定の操作に応じて、制御手段が発光手段を発光する請求項1記載の送信装置。
【請求項3】
請求項1記載の送信装置と、この送信装置からの操作信号に応じて所定の駆動信号を出力する受信装置からなり、上記受信装置が上記送信装置からの操作信号に応じて応答信号を送信する通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−189950(P2010−189950A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36176(P2009−36176)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】