説明

送風装置

【課題】 回転ファン30による吸気と排気の切り換えが可能な送風装置をコンパクトに、かつ、塵埃が多くても切り換え不良が発生しにくい状態に得る。
【解決手段】 回転ファン30の送風羽根34が、支軸36を介して回転輪体32に吸気向きと排気向きに向き変更自在に支持されている。送風羽根34の操作部39に、操作体42、中継体43、連動リンク44を介して操作部材41が連動している。操作部材41が揺動操作されると、操作部材41のフォーク部41aが連動リンク44、中継体43を介して操作体42を回転駆動軸21の軸芯方向に移動操作し、操作体42が操作部39を揺動操作して送風羽根34の向き変更操作を行なう。回転輪体32に一体回転自在に設けたカバー部71と、操作体42に一体回転自在に設けた筒形ガイド部73とが、回転輪体32の操作部39が位置する内部空間38を覆い、カバー部71と筒形ガイド部73の間をシール材75によってシールしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動軸によって回転駆動自在に支持される回転ファンを備えた送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、回転ファンによってエンジン冷却風を吸引供給するようになった送風装置において、殊にコンバインなどの作業車において、回転ファンに排気機能をも備えさせると、回転ファンの排気によってエンジンボンネットの吸気口に送風し、エンジン冷却風の吸引の際に吸気口の除塵具に付着したワラ屑などを吹き落として、吸気口を冷却風が流入しやすくなるように清掃することが可能になる。
【0003】
従来、特許文献1に示されるように、回転ファン13に対して一体回転自在に連結しているファン駆動プーリ13aと、遊転プーリ19とを支軸18に相対回転自在に支持させ、遊転プーリ19とエンジン出力プーリ9aとに伝動ベルト14を巻回し、前記支軸18が揺動自在に支持する切換え体31によって遊転自在に支持される正転プーリ32の小径側プーリ32bと、前記切換え体31によって遊転自在に支持される逆転プーリ33の小径側プーリ33bと、前記ファン駆動プーリ13aとにわたってファンベルト34を巻回したものがある。
これにより、切換え体31が支軸18のまわりで揺動操作されて冷却位置(図4)に操作されると、伝動ベルト14が正転プーリ32の大径側プーリ32aに巻回した状態になり、エンジン出力プーリ9aの駆動力が伝動ベルト14、正転プーリ32、ファンベルト34を介してファン駆動プーリ13aに対して正転駆動力として伝達され、回転ファン13が吸気側に回転駆動されて除塵網10を有する吸気口からエンジン冷却風を吸引する。
切換え体31が支軸18のまわりで揺動操作されて除塵位置(図3)に操作されると、伝動ベルト14が逆転プーリ33の大径側プーリ33aに巻回した状態になり、エンジン出力プーリ9aの駆動力が伝動ベルト14、逆転プーリ33、ファンベルト34を介してファン駆動プーリ13aに対して逆転駆動力として伝達され、回転ファン13が排気側に回転駆動されて除塵網10に送風する。
【0004】
【特許文献1】特開2001−65347号公報(〔0022〕−〔0024〕段、図2−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の送風装置の場合、殊に伝動構造が大型化し、送風装置全体も大型になっていた。
【0006】
本発明の目的は、吸気も排気もできながら小型に得ることができるとともに塵埃が多くても吸気と排気の切り換え不良が発生しにくい送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明にあっては、回転駆動軸によって回転駆動自在に支持される回転ファンを備えた送風装置において、
前記回転ファンの送風羽根を、前記回転ファンの前記回転駆動軸に装着される回転輪体に一体回転自在に、かつ、吸気向きと排気向きとに向き変更自在に支持させるとともに、前記送風羽根を向き変更操作する操作部を前記回転輪体に設け、前記操作部に対して係合するとともに前記回転駆動軸に対してこの回転駆動軸の軸芯方向に相対移動自在に外嵌する操作体と、前記操作体に対して連動された操作部材とを備えさせて、操作部材が操作されることにより、操作体を回転駆動軸の軸芯方向に移動操作して送風羽根を吸気向きと排気向きとに向き変更操作するように構成した送風切換え操作機構を備え、前記回転輪体の前記操作部が位置する内部空間を覆うカバー部を、前記回転輪体に一体回転自在に備えさせ、前記回転駆動軸に同心状に外嵌するとともに前記カバー部を相対移動自在に貫通する筒形ガイド部を、前記操作体に一体回転自在に備えさせ、前記カバー部と前記筒形ガイド部の間にシール材を設けてある。
【0008】
すなわち、操作部材が揺動操作されると、この操作部材が操作体を回転駆動軸の軸芯方向に移動操作し、操作体が回転羽根の操作部を操作して回転羽根を吸気向きと排気向きとに切り換え操作する。回転羽根が吸気向きになると、回転駆動軸によって駆動される回転ファンが吸気向きの回転羽根のために吸気側に送風し、回転羽根が排気向きになると、回転駆動軸によって駆動される回転ファンが排気向きの回転羽根のために排気側に送風する。これにより、回転ファンに対する伝動構造を、回転ファンの一回転方向のみの駆動を可能にする構造簡単なものにしても、送風切換え操作機構を回転ファンの回転輪体の付近に位置するコンパクトなものにしながら、回転ファンが吸気動作する状態になって吸気側に送風される状態に切り換えたり、回転ファンが排気動作する状態になって排気側に送風される状態に切り換えたりすることができる。
【0009】
送風羽根の向き変更のための操作部や、この操作部に係合する操作体部分が位置する部位が、カバー部や筒形ガイド部、及びシール材によって封鎖された状態になる。さらに、送風羽根の向き変更を行なうべく操作体が移動操作されると、筒形ガイド部が操作体と共に移動するが、このとき、操作体と回転ファンの回転輪体とは一体回転することから、筒形ガイド部とカバー部との間には相対回転が発生せず、筒形ガイド部とカバー部との間に回転駆動軸の軸芯方向での相対移動のみが発生するだけで、シール材が劣化しにくくなり、かつ、筒形ガイド部とカバー部の間のシール不良が発生しにくくなる。
【0010】
従って、本第1発明によれば、操作部材を人為的に操作したり自動的に操作させたりすることによって吸気側に送風する状態と、排気側に送風する状態とに切り換わり、吸気口の除塵具に清掃風を供給することが可能なエンジン冷却用に使用することができるなど有利に使用することができるものでありながら、回転ファンを一回転方向のみに駆動するだけで済むとともに送風切換え操作機構をコンパクト化して、伝動構造の面からも送風切換え操作機構の面からもコンパクトに得ることができる。
【0011】
さらに、送風羽根の向き変更のための操作部や、この操作部に係合する操作体部分が、塵埃が入り込みにくように精度よく封鎖され、コンバインのエンジン冷却の場合であっても、送風羽根の向き変更ための可動部にワラ屑などが入り込んで詰まる事態が発生しにくくなり、塵埃が多い場合でも塵埃つまりが発生しにくくて吸気と排気の切り換えがスムーズに行なえるように信頼性の高い状態に得ることができる。
【0012】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記回転ファンがエンジン冷却ファンであり、前記送風羽根の前記吸気向きが、エンジンボンネットの吸気口の除塵具を介してエンジン冷却風を吸引するための取り付け向きであり、前記送風羽根の前記排気向きが、前記除塵具に向けて送風する取り付け向きである。
【0013】
すなわち、送風切換え操作機構の人為操作や自動操作によって送風羽根が吸気向き切り換え操作されると、回転ファンは、エンジン冷却風を吸引供給する状態になり、送風羽根が排気向きに切り換え操作されると、回転ファンは、吸気口の除塵具に対して送風する状態になるものである。
【0014】
従って、本第2発明によれば、送風切換え操作機構を人為的に操作したり自動的に操作させたりすることにより、通常時は、回転ファンによってエンジン冷却風を供給してエンジン冷却を行なうことができながら、必要が生じた際や設定時になった際、回転ファンによって除塵具に送風し、冷却風供給の際に除塵具に付着した塵埃を吹き落として吸気口を清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示すように、クローラ式の走行装置1よって自走するように構成し、かつ、運転座席2が装備された運転部を備え、さらに、運転座席2の支持台に兼用したエンジンボンネット3や、このエンジンボンネット3の内部に位置するエンジン4が装備された原動部を備えた自走機体の機体フレーム5の前部に、刈取り前処理装置6を連結し、前記機体フレーム5の後部側に脱穀装置7及び穀粒タンク8を設けて、稲、麦などを収穫するようにコンバインを構成してある。
【0016】
すなわち、刈取り前処理装置6は、この刈取り前処理装置6のフレームに連動されたシリンダ(図示せず)により、分草具6aなどが地面上近くに位置した下降作業状態と、分草具6aなどが地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに機体フレーム5に対して揺動昇降操作するようになっている。刈取り前処理装置6を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り前処理装置6は、分草具6aによって植立穀稈を刈取り対象と非刈取り対象とに分草し、刈取り対象の植立穀稈を引起し装置6bによって引起し処理しながらバリカン形の刈取装置6cによって刈取り処理し、刈取穀稈を搬送装置(図示せず)によって機体後方向きに搬送して脱穀装置7に供給する。脱穀装置7は、刈取り前処理装置6からの刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン(図示せず)によって機体後方向きに挟持搬送しながら、その穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。穀粒タンク8は、脱穀装置7からの脱穀粒を回収して貯留していくようになっている。
【0017】
図2,3に示すように、前記エンジンボンネット3の横壁3aの下部に、自走機体横外側に向いて開口するとともに通気孔付きの板金で成る除塵具9を備えた吸気口10を設け、前記横壁3aの上部に、運転座席2の後方に位置する吸気ケース11に連通する開口15、及び、自走機体横外側に向いて開口し、かつ、前記下部吸気口10の除塵具9と同一構造の除塵具9を備えた吸気口12を設け、前記エンジンボンネット3の前壁3bに、運転部の足元付近で自走機体前方側に向いて開口するとともに前記下部吸気口10の除塵具9と同一構造の除塵具9を備えた吸気口13を設け、前記エンジンボンネット3の内部の前記エンジン4と、エンジンボンネット3の前記下部吸気口10との間に、エンジン冷却用のラジエータ14を機体フレーム5に固定した状態で設け、前記ラジエータ14とエンジン4との間に、エンジン冷却ファン30を備えた送風装置Aを設けてある。
【0018】
図5に示すように、前記送風装置Aは、エンジン4の前部に位置する支持部20から延出する回転駆動軸21の先端部によって支持される前記エンジン冷却ファン30、このエンジン冷却ファン30の後側近くに位置する操作部材41を有した送風切換え操作機構40を備えて構成してある。
【0019】
図4,5に示すように、前記回転駆動軸21は、この回転駆動軸21の基端側に一体回動自在に設けた入力プーリ22、及び、この入力プーリ22と、前記エンジン4の出力プーリ23と、エンジン4に装備されたオルタネータ24の入力プーリ24aとにわたって巻回したファンベルト25を介してエンジン4の出力軸4aに連動されている。
【0020】
図5,7に示すように、エンジン冷却ファン30は、前記回転駆動軸21の先端部に取付けボス部31で外嵌されている回転輪体32、及び、この回転輪体32の周部に放射状に並んでいる複数個の支持部33に設けた送風羽根34を備えて構成してある。
【0021】
図6に示すように、回転駆動軸21は断面形状が円形の丸軸によって構成してあるが、この回転駆動軸21と、エンジン冷却ファン30の回転輪体32における取付けボス部31との間に設けた係合連動手段としてのキー35の作用によって回転駆動軸21と回転輪体32とが一体回転自在に係合し合っており、これにより、エンジン冷却ファン30は、回転駆動軸21に対して一体回転自在に連結している。
【0022】
図6に示すように、前記各送風羽根34は、送風羽根34の基部から延出した支軸36が前記支持部33の支持孔にブシュ37と共に組み付けられていることにより、回転輪体32と一体回転するように回転輪体32によって支持されている。
【0023】
各送風羽根34の前記支軸36の前記支持部33から回転輪体32の内部空間38に突出した端部に一体回動自在に連結した操作アームにより、その送風羽根34の向き変更のための操作部39を構成してある。すなわち、各送風羽根34において、操作部39は、回転輪体32に支軸36の軸芯まわりで揺動操作自在に設けた状態になっており、揺動操作されると、支軸36を回転操作することにより、送風羽根34を、図10(ロ)、図11(ロ)に示す吸気向きで回転輪体32に一体回転自在に支持された状態と、図10(イ)、図11(イ)に示す排気向きで回転輪体32に一体回転自在に支持された状態とに切り換え操作するようになっている。
【0024】
これにより、エンジン冷却ファン30は、エンジン4の出力軸4aの駆動力によってファンベルト25を介して駆動される回転駆動軸21によって一体回転自在に支持されていて、各送風羽根34が回転輪体32と共に回転駆動軸21の軸芯まわりで一回転方向のみに回転する状態に回転駆動軸21によって回転駆動されるようになっており、各送風羽根34が前記吸気向きに切り換え操作されていると、各送風羽根34の吸引作用により、エンジンボンネット3の各吸気口10,12,13や吸気ケース11からエンジンボンネット外の空気を除塵具9を通してエンジンボンネット内に吸引してエンジン冷却風を発生させ、各吸気口10,12,13や吸気ケース11からのエンジン冷却風をエンジンボンネット内のラジエータ14の表面側で合流させてラジエータ14に供給するようになっている。各送風羽根34が前記排気向きに切り換え操作されていると、各送風羽根34の排気作用により、エンジンボンネット内の空気をラジエータ14の背面側から表面側に送出して清掃風を発生させ、この清掃風を前記各吸気口10,12,13のうちのラジエータ14の直前方に位置する吸気口10に対してこの吸気口10の除塵具9を清掃するべく供給するようになっている。
【0025】
図5,8に示すように、送風切換え操作機構40は、前記回転駆動軸21のエンジン冷却ファン30の前記取付けボス部31が連結している部位より基端側の部位に取り付け筒部42aが外嵌している操作体42、この操作体42の前記取り付け筒部42aに対して連結筒部43aが外嵌している中継体43、この中継体43の回転駆動軸21の両横側に分かれて位置する一対の連結部43bに対して連動リンク44を介してフォーク部41aが連結している前記操作部材41を備えて構成してある。
【0026】
操作体42の前記取り付け筒部42aは、回転駆動軸21に対してブシュ45を介して相対回転自在に、かつ、回転駆動軸21の軸芯方向に相対移動自在に外嵌しており、操作体42は、回転駆動軸21に対して相対回転するように、かつ、回転駆動軸21の軸芯方向に相対移動するようになっている。
【0027】
操作体41の外周部の周方向に並ぶ複数箇所に操作作用部46を設け、この複数の操作作用部46を、エンジン冷却ファン30の前記複数の送風羽根34の前記操作部39に各別に係合させてある。すなわち、各操作作部46は、操作体41の外周縁部に回転駆動軸21の軸芯方向に並ぶ配置で一体成形した一対の操作片46aを備えており、この一対の操作片46aで操作部39に対して係合している。つまり、一対の操作片46aの間に前記操作部39の係止ピン39aが摺動自在に入り込み、操作体42が回転駆動軸21の軸芯方向に移動操作されると、その操作力が操作片46aによって係止ピン39aに伝達されて操作部39が支軸36の軸芯まわりで揺動操作されるように係合している。
【0028】
エンジン冷却ファン30の回転輪体32の前記内部空間38に回転輪体32の回転方向に並んで位置する複数本のガイドピン51、及び、操作体42の前記取り付け筒部42aと操作作用部46との間に操作体42の周方向に並べて設けた複数本の貫通孔で成るとともにブシュ52を有した係合部53を備えた係合手段50を、回転輪体32と操作体42の間に設けてある。
【0029】
図6に示すように、前記各ガイドピン51は、回転駆動軸21と平行に並ぶ姿勢で回転輪体32の組み付け孔32aに貫設され、各ガイドピン51の頭部に連結されるとともに回転輪体32に連結ボルト54によって止着された固定板55によって回転輪体32に固定されている。各ガイドピン51は、操作体42の前記係合部53を挿通している。これにより、係合手段50は、係合部53とガイドピン51との係合によって操作体42とエンジン冷却ファン30の回転輪体32とを一体回転するように係合させ合い、かつ、操作体42を回転駆動軸21の軸芯に沿う方向に移動するようにガイドピン51によって移動案内するようになっている。
【0030】
従って、操作体42と回転駆動軸21とは相対回転する状態になっているが、操作体42は、これの各操作作用部46が送風羽根34の操作部39から外れることがないように、前記係合手段50による係合作用によってエンジン冷却ファン30と一体回転しながら、かつ、前記係合手段50のガイドピン51によって移動案内されながら回転駆動軸21の軸芯方向の往復移動するようになっている。
【0031】
中継体43の前記連結筒部43aは、操作体42の前記取り付け筒部42aに対してボールベアリング47を介して外嵌している。中継体43の連結筒部43aの一端部にストッパー部43cを、中間部にストッパーリング48をそれぞれ前記ボールベアリング47の一端部に対してストッパー作用するように構成して設けてあり、操作体42の取り付け筒部42aの中間部にストッパー部42bを、一端部にストッパーリング48をそれぞれ前記ボールベアリング47の他端部に対してストップ作用するように構成して設けてあり、中継体43は、操作体42に対してボールベアリング47の作用で相対回転しながら、各ストッパー部43c,42b及び各ストッパーリング48の作用で回転駆動軸21の軸芯方向に操作体42と一体に移動するようになっている。
【0032】
図5,8に示すように、操作部材41は、エンジン4の前部に設けた固定部としてのブラケット49の支持筒部49aに連結ピン49aを介して一対の取り付け部41bが回動自在に連結された前記フォーク部41aと、前記一対の取り付け部41bの一方に連設された操作アーム部41cとを備えて構成してある。
【0033】
前記フォーク部41aの一方の先端部を、前記連動リンク44を介して前記中継体43の前記一方の連結部43bに対して連結し、前記フォーク部41aの他方の先端部を、前記連動リンク44を介して前記中継体43の前記他方の連結部43bに対して連結してある。前記両連動リンク44,44は、別部材に構成してあり、いずれの連動リンク44においても、連動リンク44の一端側は、中継体43の連結部43bに対してボルトで成る連結ピン44aを介して相対回動自在に連結され、連動リンク44の他端側は、フォーク部41aの先端部に対してボルトで成る連結ピン44bを介して相対回動自在に連結されている。従って、操作部材41は、フォーク部41aによる操作力を各別に揺動作動し得る一対の連動リンク44を介して中継体43に伝達し、中継体43及び操作体42にこじれを発生しにくくしながら、中継体43を介して操作体42を移動操作する。
【0034】
これにより、送風切り換え機構40は、操作部材41の操作アーム部41cをブラケット49の支持筒部49aの軸芯Pまわりで揺動操作することにより、操作部材41を揺動操作することができ、操作部材41がこのように揺動操作されると、この操作部材41のフォーク部41aが軸芯Pまわりで揺動して一対の連動リンク44,44を介して中継体43を回転駆動軸21の軸芯方向に移動操作し、この中継体43がボールベアリング47を介して操作体42を係合手段50のガイドピン51によって移動案内させながら回転駆動軸21の軸芯方向に移動操作する。すると、操作体42がその移動のために各操作作用部46によってこれに係合している操作部39を支軸36の軸芯まわり回転操作し、全ての送風羽根34を吸気向きに切り換え操作したり、排気向きに切り換え操作したりする。つまり、操作体41の揺動操作によって送風羽根34を吸気向きと排気向きとに切り換え操作することにより、エンジン冷却ファン30の送風向きをラジエータ14に冷却風を供給する冷却向きと、エンジンボンネット3の吸気口10の除塵具9に清掃風を供給する清掃向きとに切り換えるようになっている。
【0035】
図2,9に示すように、操作部材41の前記操作アーム部41cに一端側が連結されたプッシュプル伝動可能な操作ケーブル59のインナーケーブル59aの他端側を、前記吸気ケース11の後面側に設けた送風制御装置60の出力アーム61に連結してある。
【0036】
図9に示すように、前記送風制御装置60は、前記出力アーム61の回転支軸62にボス部が一体回動自在に連結されていることによって、その出力アーム61を一体回動自在に備えている扇形ギヤ63、この扇形ギヤ63に出力ギヤ64aが噛合っている電動モータ64、この電動モータ64を操作するマイクロコンピュータ利用の制御手段65を備えて構成してある。制御手段65が約3分の設定冷却時間、約5秒の設定清掃時間を計測してこの計測結果に基いて電動モータ64を冷却側と清掃側とに自動的に繰り返して切り換え駆動することにより、送風制御装置60は、電動モータ64の駆動力によって扇形ギヤ63を介して出力アーム61を揺動操作し、この出力アーム61によって操作ケーブル59のインナーケーブル59aを引っ張り側や押し側に操作して送風切換え操作機構40の操作部材41を揺動操作することにより、送風切換え操作機構60を自動的に切り換え操作するようになっている。すなわち、送風切換え操作機構60がエンジン冷却ファン30の送風向きを冷却向きに操作する冷却操作状態と、清掃向きに操作する清掃操作状態とに繰り返して切り換わるように、かつ、冷却操作状態に切り換わってから前記設定冷却時間が経過すると清掃操作状態に切り換わり、清掃操作状態に切り換わってから前記設定清掃時間が経過すると冷却操作状態に切り換わるように操作するようになっている。
【0037】
つまり、エンジン4が駆動されると、エンジン冷却ファン30がエンジン4の駆動力によって一回転方向のみに回転する状態に駆動されるとともに、送風制御装置60が送風切換え操作機構40を冷却操作状態と清掃操作状態とに繰り返して切り換え操作し、送風切換え操作機構40が冷却操作状態に操作されている前記設定冷却時間(約3分)の間、エンジン冷却ファン30は、送風切換え操作機構40によって吸気向きに切り換え操作された各送風羽根34による吸気作用により、エンジンボンネット3の各吸気口10,12,13や吸気ケース11から外気をエンジンボンネット3の内部に吸引して冷却風を発生させ、この冷却風をラジエータ14に供給してエンジン4の冷却を行なうようになっている。送風切換え操作機構40が清掃操作状態に操作されている前記設定清掃時間(約5秒)の間、エンジン冷却ファン30は、送風切換え操作機構40によって排気向きに切り換え操作された各送風羽根34による排気作用により、エンジンボンネット内の空気をラジエータ14の背面側から表面側に送り出して清掃風を発生させ、この清掃風をエンジンボンネット3の前記下部吸気口10に主として供給し、この吸気口10の除塵具9に付着しているワラ屑などを吹き落として清掃するようになっている。
【0038】
図6に示すように、エンジン冷却ファン30の前記回転輪体32の裏面側に、リング形の円板部材を連結ねじ70によって止着して、回転輪体32の前記各操作部39が位置する前記内部空間38を覆うカバー部71を一体回転自在に備えさせ、前記操作体42の前記中継体43に面する側面がわに、筒状体を取り付けねじ72によって止着して、中継体43の前記取り付け筒部43aに対してこの取り付け筒部43a及び回転駆動軸21の軸芯と同心状に外嵌するとともに前記カバー部71の中心部の貫通孔71aを挿通した筒形ガイド部73を一体回転自在に備えさせ、回転輪体32の前記カバー部71の中心部に前記貫通孔71aの全周囲にわたって位置する環状の組み付け溝74に、前記筒形ガイド部73に外嵌した環状のシール材75を組み付けてある。
【0039】
つまり、操作体42が移動操作されると、筒形ガイド部73は操作体42と共に移動してカバー部71の貫通孔71aの内部を移動するが、筒形ガイド部73と前記カバー部71との間をシール材75によってシールされた状態のままで移動するとともに、図10(イ)の如く操作体42が回転輪体32の取付けボス部31に接近したストロークエンドに位置しても筒形ガイド部73がカバー部71から抜け外れることがなく、各送風羽根34の操作部39や、操作体42の操作作用部46をワラ屑などが付着しないようにカバー部71や筒形ガイド部73、及びシール材74によって封鎖しながら送風羽根34の向き変更操作が行なわれるようになっている。
【0040】
〔別の実施形態〕
【0041】
エンジン冷却ファン30を備える送風装置Aの他、運転キャビン内を換気する換気ファンを備える送風装置などにも本発明は適用できるのであり、これらエンジン回転ファン30や換気ファンなどを総称して回転ファン30と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】原動部の縦断後面図
【図3】原動部の横断平面図
【図4】エンジン冷却ファンの駆動構造の正面図
【図5】送風装置の断面図
【図6】送風装置の操作体及び中継体の配設部の断面図
【図7】送風羽根の操作部、操作体の配設部を示す正面図
【図8】操作体と中継体の連動構造の正面図
【図9】送風制御装置及びエンジン冷却ファンの側面図
【図10】(イ)は、エンジン冷却ファンの送風羽根が排気向き状態での縦断側面図、(ロ)は、エンジン冷却ファンの送風羽根が吸気向き状態での縦断側面図
【図11】(イ)は、エンジン冷却ファンの送風羽根が排気向き状態での平面図、(ロ)は、エンジン冷却ファンの送風羽根が吸気向き状態での平面図
【符号の説明】
【0043】
3 エンジンボンネット
9 除塵具
10 吸気口
21 回転駆動軸
30 回転ファン
32 回転輪体
34 送風羽根
38 内部空間
39 操作部
40 送風切換え操作機構
41 操作部材
42 操作体
71 カバー部
73 筒形ガイド部
75 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動軸によって回転駆動自在に支持される回転ファンを備えた送風装置であって、
前記回転ファンの送風羽根を、前記回転ファンの前記回転駆動軸に装着される回転輪体に一体回転自在に、かつ、吸気向きと排気向きとに向き変更自在に支持させるとともに、前記送風羽根を向き変更操作する操作部を前記回転輪体に設け、
前記操作部に対して係合するとともに前記回転駆動軸に対してこの回転駆動軸の軸芯方向に相対移動自在に外嵌する操作体と、前記操作体に対して連動された操作部材とを備えさせて、操作部材が操作されることにより、操作体を回転駆動軸の軸芯方向に移動操作して送風羽根を吸気向きと排気向きとに向き変更操作するように構成した送風切換え操作機構を備え、
前記回転輪体の前記操作部が位置する内部空間を覆うカバー部を、前記回転輪体に一体回転自在に備えさせ、前記回転駆動軸に同心状に外嵌するとともに前記カバー部を相対移動自在に貫通する筒形ガイド部を、前記操作体に一体回転自在に備えさせ、前記カバー部と前記筒形ガイド部の間にシール材を設けてある送風装置。
【請求項2】
前記回転ファンがエンジン冷却ファンであり、前記送風羽根の前記吸気向きが、エンジンボンネットの吸気口の除塵具を介してエンジン冷却風を吸引するための取り付け向きであり、前記送風羽根の前記排気向きが、前記除塵具に向けて送風する取り付け向きである請求項1記載の送風装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−2693(P2006−2693A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181217(P2004−181217)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】