説明

逆に装着されたデバイスウェーハーをキャリヤー基板から分離する方法および装置

【課題】デバイスウェーハーの破損およびデバイス内部の損傷を低減または排除できるものおよび方法の提供。
【解決手段】暫定的、恒久的、または半恒久的に接合された基板を分離する新しい方法および装置、ならびにこれらの方法および装置から形成された物品を提供する。本方法はその外側周縁でのみ強く接合されているキャリヤーウェーハーまたは基板からデバイスウェーハーを取外すことから構成される。エッジボンドは化学的、機械的、音響学的、または熱的に軟化、熔解、または破壊されウェーハーを非常に低い力で、かつ室温またはその付近で製造処理工程中の適切な段階で容易に分離できる。さらに接合された基板の分離を促進するためのクランプも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暫定ウェーハーを分離する新規の方法および装置に広く関係しこれによりウェーハーを薄膜化および他の背面処理工程を行った後にデバイスウェーハーをキャリヤー基板から分離することができる。
【背景技術】
【0002】
集積回路、動力半導体、発光ダイオード、フォトニック回路、マイクロマシン技術(MEMS)、埋込受動アレイ、パッケージング、インタポーザー、ならびに多くの他のシリコンおよび化合物半導体をベースとしたマイクロデバイスは直径1〜12インチの範囲のウェーハー基板上の配列内に集合的に製造される。次いでデバイスは個々のデバイスまたはダイスに分けられ肉眼で見える環境と実用的に接合するように、例えば、プリント基板と配線することにより、実装される。ダイスが未だウェーハー配列の一部である内にその上または周辺にデバイスパッケージを構築することが益々流行りになってきている。この様なやり方はウェーハーレベル実装と称され、全体の実装コストを削減するとともに通常なら実際のデバイスの数倍の外形寸法となる従来的な実装に比べデバイスとマイクロエレクトロニック環境の間の配線密度をより高くできる。
【0003】
最近まで、一般に配線の基本構想は2次元に限定され、つまりデバイスとこれに対応して装着される基板または実装面との間の電気的接続はすべて水平、またはx−y 面に配置されてきた。いまやマイクロエレクトロニックス産業はデバイスを垂直に、すなわち、z方向にスタックおよび配線することにより大幅にデバイス配線密度の増加および該当する信号遅延を低減できることに気付いた(電気接点間の距離を短縮することにより)。デバイスをスタックするために要求される2つの一般的な事項は:(1)ウェーハー貫通方向に背面側からデバイスを薄くすること;および(2)続けてデバイスの背面で完結するウェーハー貫通の電気接続、一般にはシリコン貫通バイアスまたは「TSVs」と称されるもの、を形成することである。さらに言うなら、半導体デバイスの薄層化は例えデバイスがスタック配置で実装されない場合でも、放熱を促進するとともに携帯電話のような小型電子製品でずっと小さな形状因子を可能にするため今や標準的技法となってきている。
【0004】
半導体デバイスを100ミクロン未満まで薄くしその断面を削減することに関心が高まっているが、とりわけこれらまたはこれらが属する該当パッケージがスタックされる場合、およびデバイスの背面の電気接続の構成を単純化したい場合にそうである。高容量集積回路の生産に用いられるシリコンウェーハーは一般に直径が200または300mmでウェーハー貫通厚みが約750ミクロンある。薄層化無しでは、表側の回路網と接続する背面側の電気接点をウェーハーを介した接続により形成することはほとんど不可能である。今や、機械研削(背面研削)および研磨に基づく半導体グレードシリコンおよび化合物半導体の非常に効率的な薄層化処理工程が化学エッチングと同様に商業的に利用されている。これらの処理によりデバイスウェーハーの厚みはウェーハー厚みの横断的な均一性を精密に制御しながら数分で100ミクロン未満まで下げられる。
【0005】
100ミクロン未満まで薄層化されたデバイスウェーハー、とりわけ60ミクロン未満まで薄層化されたものは非常に脆いため割れや破損を防ぐためにその全面積に亘って支持しなくてはならない。極薄層のデバイスウェーハーを移動するために各種のウェーハーワンドおよびチャックが開発されてきているが、化学的−機械的研磨(CMP)、リソグラフィー、エッチング、蒸着、アニーリング、および洗浄のような処置を含む背面研削およびTSV形成処理工程の間にどの様にウェーハーを支持するかという問題がまだ存在し、それはこれらの処理がデバイスウェーハーを薄層化する際またはその後に高い熱的および機械的ストレスをこれに強いるためである。極薄ウェーハーの取扱いに対する取組方法で益々流行ってきているのは十分に厚いデバイスウェーハーを面を下にして高分子接着剤が付いた剛性キャリヤーに装着することを伴うものである。その後これは背面から薄層化および処理がなされる。完全に処理された極薄ウェーハーは背面処理が完了してそれから熱的、熱機械的または化学的処理によりキャリヤーから取外され、または剥離される。
【0006】
通常のキャリヤー素材にはシリコン(例えば、ブランクのデバイスウェーハー)、ソーダ石灰ガラス、硼珪酸ガラス、サファイヤ、ならびに種々の金属およびセラミックスが含まれる。キャリヤーは方形または矩形でもよいがより一般的にはデバイスウェーハーに合う寸法の円形で、このため接合したアセンブリーは従来の処理工具およびカセットで取り扱える。取外す手段として液体化学薬品を用いて高分子接着剤を溶解または分解する場合には、時にはキャリヤーに穿孔して剥離処理工程を速める場合もある。
【0007】
ウェーハーを暫定接合させるために用いられる高分子接着剤は一般に溶液からスピンコートまたはスプレーコートにより塗布されるかもしくはドライフィルムのテープとしてラミネートされる。スピンまたはスプレーにより塗布される接着剤の方が益々好まれているのはテープが提供できるものに比べ厚みの均一性がより高い塗膜を形成できるためである。厚みの均一性がより高いということは結果的に薄層化の後のウェーハー横断方向の厚みの均一性をよりよく制御できることを意味する。高分子接着剤はデバイスウェーハーおよびキャリヤーに対し高い接着力を示す。
【0008】
高分子接着剤は必要とされる厚みおよび塗膜の平面性(平坦性)によりデバイスウェーハー、キャリヤー、または両方の上にスピン塗工することができる。塗布されたウェーハーは高分子接着剤層から塗膜溶媒を完全に除去するために焼かれる。次に塗工されたウェーハーおよびキャリヤーは接合のために接触したまま加熱した機械プレス内に置かれる。十分な温度および圧力が加えられ接着剤はデバイスウェーハーの構造要所に流れ込みかつ満たしデバイスウェーハーおよびキャリヤー面の全域と緊密に接触するようにされる。
【0009】
背面処理工程の後でデバイスウェーハーをキャリヤーから剥離する作業は通常4つの方法の内の1つで行われる。
(1)化学的・・接合したウェーハースタックを溶媒または化学薬品中に浸漬、またはスプレーし高分子接着剤を溶解または分解する。
(2)光分解・・接合したウェーハースタックに透明のキャリヤーを透して光源を照射しキャリヤーに隣接した接着剤境界層を光分解する。これでキャリヤーをスタックから分離でき、残りの高分子接着剤はデバイスウェーハーがチャックに固定されている間に除去される。
(3)熱機械的・・接合したウェーハースタックを高分子接着剤の軟化点を超えて加熱し、次いでデバイスウェーハーを全ウェーハー保持チャックで支えられている状態でキャリヤーからずらすかまたは引き離す。
(4)熱分解・・接合したウェーハースタックを高分子接着剤の分解温度より高く加熱し、これを気化させてデバイスウェーハーとキャリヤーに対する接着性を失わせる。
【0010】
これらそれぞれの剥離方法には製造環境において使用をひどく制約する欠点がある。例えば、高分子接着剤を溶解する化学的剥離は解除を有効にするためには溶媒が粘稠なポリマー媒体中を長距離拡散しなくてはならず、時間のかかる処理方法である。すなわち、溶媒は接合された基板の縁、またはキャリヤーの貫通部から局所的な接着剤の地域まで拡散しなければならない。どちらの場合でも溶媒拡散および浸透を必要とする距離は少なくとも3〜5mmで、例え接着剤層と溶媒の接触を増す貫通孔があったとしてもずっと長いこともあり得る。例え高い温度(>600℃)でも、剥離が起きるまでには通常数時間の処理時間が必要となり、ウェーハーの処理能力が低いことを意味する。
【0011】
光分解も接着した基板全体を同時に暴露することができないため、同様に遅い処理方法である。それどころか、暴露光源は通常はビームの横断面が数ミリメートルしかないレーザーであり、接着剤ラインの分解を引き起こすための十分なエネルギーを送り込むためには小さな面積毎に集中させなくてはならない。ビームはそうしてから基板を横切って連続的にスキャン(またはラスター)して全表面を剥離するが、このことが長い剥離時間につながる。
【0012】
熱機械的(TM)剥離は通常数分で実施できる一方で、これにはデバイスの歩留まりを下げかねない他の制約がある。暫定接合したデバイスの背面処理にはしばしば200℃または300℃すらも超える作業温度を伴う。TM剥離に用いる高分子接着剤は作業温度またはその近辺では絶対に分解も過度の軟化もしてはならず、さもなければ剥離が時期尚早に起きてしまう。このため、普通は接着剤を作業温度より20〜50℃上で十分に軟化するように設計して剥離を起こすようにしている。剥離のために必要となる高温は接合したペアに熱膨張による著しいストレスを負わせる。同時に、デバイスウェーハーをキャリヤーから離すために必要となるずらし、持ち上げ、または捻りの動作による大きな機械的な力は付加的なストレスを作り出し、デバイスウェーハーを壊すかまたは個々のデバイスの微細な回路網に損傷を引き起こしかねず、これがデバイス不良そして歩留まり損失につながる。
【0013】
熱分解(TD)剥離にもまたウェーハー破損の傾向がある。高分子接着剤が分解する際にガスが発生し、このガスが接着剤の大半が除去される前にデバイスウェーハーとキャリヤーの間に閉じ込められてしまうことがある。閉じ込められたガスの集積により薄いデバイスウェーハーが膨らんだりヒビが入ったり破裂さえしかねない。TD剥離のもう一つの問題はポリマーの分解がしばしば扱いにくい炭化残渣物を伴うことで、これは通常の清浄化処理ではデバイスウェーハーから取り除くことができない。
【0014】
これら先行技術による高分子接着剤の剥離方法には限界があることから、キャリヤー支援薄層ウェーハー取扱いの新しい方式で高いウェーハーの処理能力を提供すると共にデバイスウェーハーの破損およびデバイス内部の損傷を低減または排除できるものが必要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
キャリヤー支援薄層ウェーハー取扱いの新しい方式で、デバイスウェーハーの破損およびデバイス内部の損傷を低減または排除できるものおよび方法の提供。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は接合した基板を分離するための新規のリングクランプを広く提供するものである。リングクランプはほぼ円形で中央に開口部を伴った平らなボディーを持っている。ボディーは環状の内側側壁;環状の外側側壁;内側側壁および外側側壁の間に延びる上面;ウェーハーはめ込み面で内側側壁から外側に上面とほぼ平行に延び、ここにウェーハーはめ込み面外側側壁から離れたボディー内の地点で終わっている;および内側に延びる環状の棟で、これはその地点から内側に、かつウェーハーはめ込み面から遠ざかるように傾斜している;を備えている。ウェーハーはめ込み面および環状の棟が協同して環状のウェーハー受入れ溝を形成する。
【0017】
本発明はさらに、ほぼ円形で平らなボディーを持ち、かつ環状のウェーハー受入れ溝を備えたクランプ;および基板の周縁を規定する最外側端部を持つ平らな基板、との組合せにも向けられ、ここではこの周縁の少なくとも一部がウェーハー受入れ溝に受入れられている。
【0018】
さらに本発明は広く新規の暫定接合方法も提供する。本方法は第1基板および第1基板に接合された第2基板を備えたスタックの供給および剥ぎ取り動作を用いた第1基板および第2基板の分離から構成される。第1基板には背面およびデバイス面があり、デバイス面には周縁域および中央域がある。第2基板にはキャリヤー面、背側面、および第2基板の周縁を規定する最外側端部があり、キャリヤー面には周縁域および中央域がある。第1および第2基板は第2基板の周縁部の一部に力を加えることにより第2基板をスタックから遠ざかる角度で曲げて分離し、これにより第1基板および第2基板は本方法により分離される。
【0019】
本発明はさらに広く暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法にも関係する。本方法は、前面および背面を持つ第1基板を供給する;第1基板の前面上に接合層を形成する;前面および背面を持ち、その前面には表面改質域、非改質域および随意的に非改質域に隣接するマスクがある第2基板を供給する;および第2基板の前面と第1基板の接合層を接触することにより暫定接合構造体を形成する、ことから構成される。都合のよいことに、接合層と第2基板の表面改質域とはその間に低接合面を含む。
【0020】
本発明はさらに接合した基板を分離するためのディスク形状のクランプを提供する。クランプは無垢の、ほぼ円形の平らなボディーを持つ。ボディーはボディーの外径を規定する環状の外側側壁;外側側壁の間の全直径に亘る上面;ボディーの外側側壁から離れた点の間に延びるウェーハーはめ込み面;および、前記の点から内側に、かつウェーハーはめ込み面から遠ざかるように傾斜して内側に延びる環状の棟から構成される。都合のよいことに、ウェーハーはめ込み面および環状の溝が協調して環状のウェーハー受入れ溝を形成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、接合した基板を分離するための新規のリングクランプを提供し、デバイスウェーハーの破損およびデバイス内部の損傷を低減または排除できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ウェーハースタックの略断面図である。
【図2】本発明による基板の接合のための代替実施態様を示す略図である。
【図3】本発明による基板の接合のための別の代替実施態様を示す略図である。
【図4】本発明による基板の接合のためのさらに別の代替実施態様を示す略図である。
【図5a】本発明の実施態様による接合された基板を分離するためのリングクランプの上正面図である。
【図5b】本発明の別の実施態様による接合された基板を分離するためのディスク形状クランプの上正面図である。
【図6a】本発明の実施態様による接合された基板を分離するためのリングクランプ装置の図5aの切断線6(a)に沿った部分断面図である。
【図6b】本発明の実施態様による接合されたスタックのウェーハーをはめ込んだ図6によるリングクランプ(a)の拡大切取り部分断面図である。
【図6c】本発明の別の実施態様による接合された基板を分離するための図5(b)の切断線6(c)に沿ったディスク形状クランプ装置の部分断面図である。
【図7】本発明の実施態様による断面略図で接合された基板を分離するためにリングクランプおよび真空チャックを使用した断面略図である。
【図8】本発明の実施態様による断面略図で接合された基板を分離するためにリングクランプおよび接着性フィルムで覆ったチャックを使用した断面略図である。
【図9】本発明の実施態様による本発明による分離処理を描いた断面略図である。
【図10】本発明の実施態様による接合された基板を分離するためにフレキシブルチャックおよび真空チャックを使用した断面略図である。
【図11】本発明の実施態様による接合された基板を分離するためにフレキシブルチャックおよび粘着性被覆チャックを使用した断面略図である。
【図12】本発明の実施態様による接合された基板を分離するために粘着性フィルムおよび真空チャックを使用した断面略図である。
【図13】本発明による実施態様の接合された基板を分離するために粘着性フィルムおよび粘着性被覆チャックを使用した断面略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
より具体的には、本発明はウェーハースタックの場合のような暫定的、恒久的、または半恒久的な接合基板を剥ぎ取り動作を用いて分離する新しい取外し方法および装置を提供する。ここに用いた「剥ぎ取り」、「剥ぎ取られた」、または「剥ぎ取り動作」に対する全ての言及は分離される基板の接合面の連続的な剥離が基板の周縁の一部の最外側端部に始まり横断的に基板面に沿って基板の反対の端部ないし側部まで連続していることを意味している。ここに用いた周縁の「一部」に対する言及は周縁全体より少ない周縁の部分(さらに好ましくは周縁の1/2または1/4より少ない)を意味し、剥ぎ取りが始まる基板の周縁周りの場所の1ヶ所を超える場合を含む(4ヶ所以下が好ましく、2ヶ所以下がより好ましく、そして1ヶ所であることがさらにより好ましい)。一般に、基板を剥ぎ取るためには、基板の周縁の一部に上向きの力を加えることにより基板を曲げスタックから遠ざかる角度で反らせ、最外側端部で先ず基板をスタックから分離し、その後その最初の端部から反対側の端部まで連続的に基板の分離が続き、ついにはスタックから全ての基板面が分離する(すなわち剥ぎ取られる)。この剥がし動作を容易にする種々の方法および器具について新規のリングクランプを含め、本発明に用いられた暫定的、恒久的、または半恒久的な接合基板を形成する幾つかの好適な方法ととともに以下に詳細に記載する。
【0024】
図1は逆に接合された2枚のウェーハーから完成したスタック10の1つの実施態様を描いている。この様なスタックを形成する好適な方法は2009年1月23日に出願された米国特許第2009/0218560号に開示され、本出願と矛盾しない範囲で全体を本願に引用して本明細書とする。ウェーハースタック10を形成するための組立または構成要素を塗工する順序は、米国特許出願公開第2009/0218560号に開示されているように変化し、かつ図1に描かれているようにスタック10を達成するために適切などのような順番で実施することもできることは言うまでもない。
【0025】
スタック構造体10は第1基板12を含む。この実施態様においては、第1基板12はデバイスウェーハーである。すなわち、基板12には前面またはデバイス面14、背面16、および基板の周縁(周囲)を規定する最外側端部17がある。基板12はどの様な形状でもとれるが、一般には円形であり、それでもウェーハーフラットを用いることもできる(ウェーハーの外周に1ヶ所以上の直線的な端部を持っている円形ウェーハー)。形状に拘わらず、前面またはデバイス面14には周縁域18および中央域20がある。周縁域18の巾は約0.05mmから約10mmであることが好ましく、約0.5mmから約5mmがより好ましく、約1mmから約2.5mmがなおより好ましい。
【0026】
好適な第1基板12はデバイスウェーハーを含み、そのデバイス面は集積回路、MEMS、マイクロセンサー、動力半導体、発光ダイオード、フォトニック回路、インタポーザー、埋込受動素子、および他のマイクロデバイスでシリコンおよびシリコンゲルマニウム、ガリウム砒素、および窒化ガリウムの様な他の半導体の上に、またはこれから、製造されたもの、から成る群から選択されたデバイスの配列を含む。これらのデバイスの表面はよく1種類以上の次のような素材から形成された構造体を含む:シリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、(オキシ)窒化ケイ素、金属類(例えば、銅、アルミニウム、金、タングステン、タンタルム)、低k 誘電体、高分子誘電体、および各種金属窒化物類および金属シリサイド類。デバイス面14はさらにハンダの盛上がりおよび金属ポストおよびピラーのような持ち上がった構造体を含む場合もある。
【0027】
スタック10はさらに第2基板22を含む。この特別な実施態様では、第2基板22はキャリヤー基板である。第2基板22はキャリヤー面24および背面26、ならびに基板22の周縁を規定する外側端部27を含む。第1基板12の場合と同様に、第2基板22はどの様な形状でもとれるが、一般には円形および/または少なくとも1つの平坦部を持つ。さらに、第2基板22は第1基板12とほぼ同じ寸法であることが好ましく、これにより第2基板22の外側端部27が第1基板12の外側端部17とほぼ同じ面に沿って並ぶことができる。形状に拘わらず、キャリヤー面24には周縁域28および中央域30がある。周縁域28の巾は約0.05mmから約10mmであることが好ましく、約0.5mmから約5mmがより好ましく、約1mmから約2.5mmがなおより好ましい。
【0028】
好ましい基板22は、ケイ素、サファイヤ、水晶、金属類(例えば、アルミニウム、銅、鋼)、ならびに種々のガラス類およびセラミックス類から成る群から選択された素材から構成される。基板22はさらにその面24に堆積された他の素材を含むこともできる。例えば、シリコンウェーハー上に窒化ケイ素を蒸着して面24の接合特性を変えることも可能である。
【0029】
第1基板12および第2基板22の間の中間層内には充填材料の層32がデバイス面14およびキャリヤー面24それぞれに隣接して存在する。層32の厚み(その最も厚い点で測定)は第1基板12上の微細構造の高さによるが、約5μmから約150μmの範囲となり得る。幾つかの実施態様においては、好まれる厚みの範囲は約5μmから100μmで、約5μmから50μmがより好ましく、約10μmから30μmがさらにより好ましい。
【0030】
スタック10を形成する際に、充填材料は基板12または基板22の何れにも在来のどのような手段によってでも塗工することが可能で、スピンコート、溶液からの流し込み(例えば、メニスカスコートまたはローラーコート)、インクジェット、およびスプレーコートも含まれる。充填層32は約5μmから約100μmの厚み(その最も厚い地点で測定)になるように塗工されることが好まれ、約5μmから約50μmがより好ましく、約10μmから約30μmがさらにより好ましい。スピンコートにより塗工される場合、充填層32を形成する材料は一般に約100rpmから約5000rpmの速度で約15秒から約300秒の間スピンコートされる。次いで層は充填層32内に存在する溶媒の沸点近くまたはこれを超える温度(例えば、約80℃から約250℃)で約1分から約15分の間焼かれ充填層32内の残存溶媒含有量を重量で約1%未満まで削減する。
【0031】
充填層32は一般にモノマー類、オリゴマー類、および/または溶媒系に分散または溶解したポリマー類から構成された材料で形成される。充填層32がスピンコートにより塗工される場合、この材料の固形分含有量は重量で約1%から重量で約50%が好まれ、重量で約5%から重量で約40%がより好ましく、重量で約10%から重量で約30%がさらにより好ましい。好適なモノマー類、オリゴマー類、および/またはポリマー類の例には、環状オレフィンポリマー類およびコポリマー類および原子状フッ素含有量が高い(重量で約30%超)フッ化シロキサンポリマー類のような非晶形フルオロポリマー類、フッ化エチレン−プロピレンコポリマー類、ペンダントペルフルオロアルコキシ基を持つポリマー類から成る群から選択されたものが含まれ、なかでもテトラフルオロエチレンおよび2,2−ビス−トリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−l,3−ジオキソールのコポリマー類がとりわけ好まれる。これらの材料の接合力はその固有の化学構造およびこれを塗布するのに用いられる塗工および焼き条件によって決まることは言うまでもない。
【0032】
環状オレフィンポリマー類およびコポリマー類のための好適な溶媒系の例にはヘキサン、デカン、ドデカン、およびドデセンのような脂肪族溶媒;メシチレンのようなアルキル置換芳香族溶媒;およびこれらの混合物から成る群から選択された溶媒が含まれる。非晶形フルオロポリマー類に好適な溶媒系には、例えば3M社からFLUORINERTTMの商標で売られているフッ化炭素溶媒が含まれる。
【0033】
別の実施態様において、充填層32はさらに分散されたナノ粒子を含む高分子材料で形成することもできる。好適なナノ粒子にはアルミナ、セリア、チタニア、シリカ、ジルコニア、グラファイト、およびこれらの混合物から成る群から選択されたものが含まれる。
【0034】
充填層32が形成される材料は約150℃から約350℃の温度で、好ましくは約200℃から約300℃で安定を保つべきである。さらに、この材料は背面が受ける特定の背面処理工程で直面する化学的な暴露条件下でも安定でなくてはならない。充填層32は分解してはならず(すなわち、重量減が約1%未満)、そうでなければ例えばこれらの条件の下で溶けるなど、その機械的な完全性を失ってしまう。充填層32はさらに薄いデバイスウェーハーに膨れや変形を起こすガス放出をしてはならず、とりわけCVD誘電層の蒸着のような高真空処理を受けている際にはそうである。
【0035】
この実施態様において、充填層32は強い接着性を形成しないことが好ましく、これにより後の分離が容易になる。一般論として、望ましい材料としては非晶形高分子材料で:(1)表面自由エネルギーが低く;(2)非粘着性でガラス、シリコン、および金属面に強くは接合しないことが知られ(すなわち、一般に水酸基またはカルボン酸基の濃度が非常に低いか、そのような基が全くないことが好ましい);(3)溶液から流し込めるかまたはラミネート用に薄いフィルムに形成でき;(4)代表的な接合条件の下で流れ、デバイスウェーハー面の微細構造を満たし、基板間に空洞の無い接合線を形成し;さらに(5)背面処理工程中に、例え高温または高真空条件下で実施されたとしても、遭遇する機械的応力の下で割れず、流れず、または再分配しない、ものが含まれる。ここに用いた低い表面自由エネルギーとは水との接触角が少なくとも約90°および臨界表面張力が約40ダイン/cm未満、好ましくは約30ダイン/cm未満、より好ましくは約12ダイン/cmから約25ダイン/cm、を示す高分子材料と定義され、接触角測定により判定される。
【0036】
低接着力とはベタ付かずまたは接着剤付の便箋を剥がすのに用いる程度の軽い手の圧力だけで基板から剥がせる高分子材料を指している。かくして、何であれ接着力が約50psig未満、好ましくは約35psig未満、より好ましくは約1psigから約30psigのものが充填層32として用いるのに望ましい。ここに用いた接着力は、ASTMD4541/D7234 により判定される。上の特性を示す好適な高分子材料の例には幾つかの環状オレフィンポリマー類およびコポリマー類が含まれ、三井からAPELTM、Ticonaから TOPASTM、および Zeon ブランドから ZEONORTM として販売されているもの、ならびに溶媒可溶フッ化ポリマーの、旭硝子から販売されている CYTOPTM および Du Pont から販売されているTEFLONTM AF ポリマー類が含まれる。これらの材料の接着力はこれらを塗布するのに用いられる塗工および焼き条件によって決まる。
【0037】
図1に示すように、充填層32の最外側部は取除かれてしまっていてデバイス面14およびキャリヤー面24の中央域20および30にそれぞれ隣接しているだけである。これは第1基板12を損なうことなく希望する量を除去することができるどの様な手段で達成してもよく、充填層32を形成する材料の良好な溶媒として知られる溶媒で最外側部を溶解することも含まれる。そのような溶媒の例には、脂肪族溶媒(例えば、ヘキサン、デカン、ドデカン、およびドデセン)、フッ化カーボン溶媒、およびこれらの混合物から成る群から選択されたものが含まれる。エッジ除去後に、充填層32には最外側エッジ33があり、これは第1基板12の外側エッジ17で規定される面からから距離「D」だけ離れている。「D」は一般に約0.05mmから約10mmで、約0.5mm から約5mmがより好ましく、約1mmから約2.5mm がさらにより好ましい。エッジ除去溶媒との接触は希望する量の充填層32を溶解して希望する距離「D」を達成するために十分な時間維持されるが、一般的な接触時間は約5秒から約60秒である。
【0038】
充填層32の最外側部は基板12、22が向かい合わせに接合される前または後の何れにでも除去できる。前に除去されるなら、スタック10は第2基板22を充填層32と接触させ第1基板12の周縁域18および第2基板22の周縁域18の間に隙間を残しておくことにより形成される。この接触は熱および圧力の下で実施されることが好ましく、これにより充填層を形成している材料が第1基板12の前面14に沿って、第2基板22のキャリヤー面24に沿ってと同様にほぼ均一に分布する。圧力および熱は充填層32の化学的構成に基づき調整され、距離「D」が第2基板22を第1基板12にプレスした後でもこの様に一緒にプレスする前とほぼ同じままに保たれるように選択される。すなわち、充填層32は層が除去された隙間へはほんの少しから全く流れ込むことが無く、このため一緒にプレスした後の距離「D」の減少率は一緒にプレスする前の距離「D」の約10%以下である。この処理段階の一般的な温度は約150℃から約375℃の範囲で、約160℃から約350℃が好ましく、通常の圧力は約1000Nから約5000Nの範囲で、約2000Nから約4000Nが好ましい。もしも充填層32の最外側部が基板12、22を向かい合わせに接合した後で除去されるなら、スタック10は第2基板22を充填層32と上述したように熱および圧力の下で接触して形成される。充填層32の最外側部はそれから除去され第1基板12の周縁域18および第2基板22の周縁域28の間に隙間を残す。
【0039】
代替案として、充填層32はラミネートとして供給され、これは特定の材料に必要な熱、圧力、および/または真空の下で第1基板12に接着され充填層32および前面14の間に空洞がないことを確かなものにしている。ラミネートは適切な形状(例えば、円形)に予め切断されるかまたは貼付後に機械的に切り整えられ、このため上で論じたように適正な寸法をした隙間「D」が作られる。
【0040】
充填層32の最外側部が除去された後の充填層32の最外側端33の周縁の周りには、接合材料がエッジボンド34を第1基板12および第2基板22の間に形成し、その厚みは充填層32に関連して上述した厚みに対応したものになる。エッジボンド34は第1基板12および第2基板22の外周に限定され(すなわち、デバイス面14およびキャリヤー面24それぞれの周縁域18および28に隣接する)。基板12の形が円形の場合、エッジボンド34はリング状となる。かくして、この実施態様においては基板12、22を横切って不均一な材料分布が存在する。
【0041】
この場合もやはり、充填層32の最外側部の除去のように、エッジボンド34は基板12、22が互いに向き合うように接合される前、後の何れにでも塗工することができる。例えば、充填層32がTEFLONTM AF のような低接合力の材料で構成される場合、エッジボンドは充填層32の塗布および部分的な除去の後に、しかし第2基板22を充填層32と接触させて基板を接合する前に塗工することが都合好い。この選択的な処理は塗工された基板12をキャリヤーウェーハーとして供給された第1基板で製造できるのでとりわけ好都合である。この基板12は次いでエンドユーザーに供給されそこで塗工した基板12にデバイスウェーハーを接合し、完成したスタック10にさらなる処理を受けさせる。かくして、エンドユーザーは接着剤処理済みのキャリヤーを入手可能となり利便性が付加され、エンドユーザーの処理工程を省略できる。充填層32およびエッジボンド34が共に基板12、22を接合する前に塗工される場合、上述したように充填層32およびエッジボンド34は同じ基板に塗布することができる。別の方法として、充填層32を塗布し、次いで一方の基板(例えば、第1基板12)から最外側部を除去し、同時に他方の基板(例えば、第2基板22)の周縁域28にエッジボンド34を、スピンコートなどにより塗布することもできる。基板12、22はそれから向かい合わせに接合することができる。エッジ接合用の材料は幾つもの手段で導入することができる。例えば、基板が向かい合わせに接合された後に適用する場合、好適な手段の一つは針、注射器または先端分注器具を用いることで、第1基板12の周縁域18および第2基板12の周縁域28の間の隙間に材料を分注し、同時に構造体10を周縁域が接合材料で満たされるまでゆっくり回転し、かくしてエッジボンド34が形成される。エッジボンド34はさらに隙間44をキャビラリ充填することで、または化学蒸気蒸着により適用することもできる。さらに進んだ応用処理では、基板12および22を接触させる前に液体(100%固体または溶液)のエッジ接合材料を、端部包みバッフルシステムを用いてキャリヤーまたはデバイスウェーハーの端部上にスピン塗工することもできる。この様なシステムの一つはDalvi−Malhotra他の「湿式エッチング中の端部保護塗膜の接着を促すため、シリコンウェーハー上にシランをベースとしたプライマーの使用:TALONWrapTM 処理の応用」、SPIE会報、vol.6462.2007、pp.64620B−1〜64620B−7に発表され、本願に引用して本明細書とする。エッジボンド34は次いで適切な硬化なりハードニニング(例えば、UV硬化)を受ける。
【0042】
エッジボンド34を形成する材料は基板12および22と強力な接着を形成できるものでなくてはならない。接着力が約50psigより大きなもの、好ましくは約80psigから約250psig、そしてより好ましくは約100psigから約150psig のものなら何でもエッジボンド34としての使用に望ましい。さらに、エッジボンド34の接着力は充填層32の接着力より少なくとも約0.5psig、好ましくは少なくとも約20psig、そしてより好ましくは約50psigから約250psig 大きい。さらに、エッジボンド34を形成する材料は背面処理工程で求められる熱的および化学的安定性を満たさなくてはならない。エッジボンド34は約150℃から約350℃までの温度で、そして好ましくは約200℃から約300℃まで安定を保たなければならない。さらに、この材料は接合スタックが受ける背面処理工程で直面する化学的暴露条件の下で安定でなくてはならない。エッジボンド34は分解してはならず(すなわち、約1%未満の重量減)、そうでなければ上述した背面処理温度でその機械的完全性が失われてしまう。これらの材料もまた、薄いデバイスウェーハーに膨れを起こすような揮発性の化合物を放出してはならず、とりわけCVD誘電体の蒸着のような高真空処理を受けているときにそうである。
【0043】
好まれるエッジ封止またはエッジ接合材料にはWaferBONDTM 材料(DrewerScience社、ミズーリー州ローラから入手可能)のような市販されている暫定ウェーハー接合組成物、幾つかの市販されているフォトレジスト組成物が、半導体素材、ガラス、および金属に対し高い接着力を示すレジン類およびポリマー類と共に含まれる。とりわけ好まれるものは:(1)高固形分、UV硬化レジン系の反応性エポキシ類およびアクリル系など:(2)同族の熱硬化レジン系の2液性エポキシおよびシリコン接着剤など:(3)熱可塑性アクリル系、スチレン系、ハロゲン化ビニル(フッ素系不含)、ならびにビニルエステルのポリマー類およびコポリマー類、と共にポリアミド類、ポリイミド類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、およびポリウレタン類を、溶融状態または溶液塗膜として塗布し、塗工の後で焼くことにより乾燥して周縁域18および28を一層緻密にする;および(4)環状オレフィン類、ポリオレフィンゴム類(例えばポリイソブチレン)、および炭化水素をベースとした粘着付与樹脂類、である。充填層32を形成するために用いられた材料の場合と同様に、エッジボンド材料の接着強度もまたその化学構造特性ならびにこれを塗布するために用いられた塗工および焼き条件によって決まることは言うまでもない。
【0044】
別の実施態様においては、第1基板12および第2基板22の間にエッジボンド34しか使用されない。すなわち、上述した充填材料の代わりに図1で充填層32を表した層は空(すなわち、空気)でもよい。かくして、第1基板12の中央域20および第2基板22の中央域30には空気しか隣接していないことになる。
【0045】
図2に言及すると、スタック10を形成する別の方法では、中間層内の低接合力充填材料の代わりに表面改質を用いて接合材料および第1基板12または第2基板22の間の接合力界面を変えることができる。図2(a)〜(d)を参照すると、類似部分には図1のように番号がつけられ、保護組成物が第2基板22のキャリヤー面24の周縁域28に塗工され周縁域28に隣接してマスク層36を形成している。かくして、第2基板22が円形なら、マスク36はリング状になる。マスク36を形成するためには多くの好適な組成物を用いることができる。マスク36は表面改質および後に続く他の処理中に使用される溶媒に対し耐性がなくてはならないが、同時に表面処理を劣化させたり反対に第2基板22に影響を与えたりせずにキャリヤー面24から簡単に除去または溶解できる組成物から形成されることが好ましい。マスク36は通常モノマー類、オリゴマー類、および/または溶媒系に分散または溶解したポリマー類を含む材料で形成される。好適なモノマー類、オリゴマー類、および/またはポリマー類にはエポキシ類、ポリアミド類、エーテル類、エステル類、環状オレフィンポリマー類およびコポリマー類、非晶形フッ化ポリマー類、およびこれらの組合せから成る群から選択されたものが含まれる。好まれる組成物は上述したエッジ接合材料(例えば、WaferBONDTMのような市販されている暫定ウェーハー接合組成物)、上述したような充填材料、およびフォトレジスト組成物(例えば、SU−82002、Microchem社、マサチューセッツ州ニュートン)から成る群から選択される。マスク36は約0.05mmから約10mmの巾があることが好ましく、約0.5mmから約5mmがより好ましく、約1mmから約2.5mmがさらにより好ましい。マスクの厚みは約0.05μmから約5μmあることが好ましく、約0.5μmから約2.5μmがより好ましく、約0.5μmから約1μmがさらにより好ましい。
【0046】
図2(b)に示すように、第2基板22のキャリヤー面24のマスク36で覆われていない領域は次いで化学的に改質されて低接合面(すなわち、非粘着面もしくは充填材料または接合材料が強くは接着できない面)となっている。キャリヤー面24の中央域30は表面改質の対象となる領域で、接合材料に接して置かれた際に低接着力界面をもたらすことが好ましい。好適な表面改質には例えば、上述したように、基板面24と反応して表面自由エネルギーを減らすことができる疎水性溶液による基板面24の化学的処理を含むことができる。より好ましくは、疎水性有機シラン溶液が使用される。とりわけ好まれる表面改質組成物38は、(フルオロ)アルキルシラン(例えば、ペルフルオロアルキルトリクロロシラン)、(フルオロ)アルキルフォスフォナート)、イソシアネートシラン、アクリレートシラン、およびこれらの組合せから成る群から選択される。表面改質組成物38は全ての適切な方法で塗工可能で、例えば少なくとも約1000rpmで約100秒(さらには約2000rpmで約60秒が好ましい)のスピンコートなどによる。かくして、表面改質組成物38はFLUORINERTM(3M社)のような溶媒で、基板面24に塗布する前に希釈することができる。第2基板22はそれから約50℃から約150℃で約30秒から約5分(さらには約100℃で約1分が好ましい)焼いて溶媒を蒸発させることができる。基板22はそれから追加の溶媒で濯ぎ再び上述のように焼き、溶媒を蒸発させ未反応の表面改質溶液38を除去し図2(c)に示すようにマスク36から表面改質溶液38を濯ぎ去る。マスク36はこの実施態様の表面改質組成物と反応しないことが好ましく、このためマスク36もまた表面改質剤により「非粘着」状態にされない。表面改質によるやり方の利点は、図1に関連して上述したように、基板と非粘着または低接着力界面をもたらすこと以外にも、中間層をどの様な特性の組合せにも選択できるということである(例えば、厚み、溶解性、熱安定性)。もう一つの利点は別個の充填材料32およびエッジボンド34の代わりに中間層全体に均一な接合組成物を使用することができることである。
【0047】
第1基板12(デバイスウェーハー)の表面14は次いで接合組成物を塗工され表面14上の全域に接合層を作り出し、そして第1基板12および処理済みの第2基板22は次に図2(d)に示すように、今は第2基板22がスタック10の上側として、向かい合わせに接合される。この接触は熱および圧力の下で実施されることが好ましく、これにより接合層40が形成されている材料は第1基板12の前面14に沿って、第2基板22のキャリヤー面24に沿ってと同様にほぼ均一に分布させることができる。より好ましくは、基板12、22は真空下で、かつ加熱、加圧されたチャンバー内で接合されることである(約100から300℃で、約1から10分が好ましく、約100から200℃で、約2から5分がより好ましい)。本実施態様においては、マスク36は2枚の基板12、22を向かい合わせに接合する前には除去されない。かくして、マスク36を形成するために用いた保護材料は接合層40が形成されている材料と同じ材料、もしくは類似または互換性のある材料であることが好ましく、これにより上述したように基板12、22を接合する際にマスク36および接合材料が一緒に再流動し、図2(d)に示すように均一な接合層40を形成する。接合層40の厚みはデバイスウェーハー上の微細構造の高さに依存し、このため約5μmから約150μmの範囲となる。幾つかの実施態様においては、好まれる厚みは約5μmから約100μmの範囲で、約5μmから約50μmがより好ましく、約10μmから約30μmがさらにより好ましい。
【0048】
接合層40が形成されている材料は表面改質組成物38で処理された場所を除き、基板12および22と強い接着を形成できなくてはならない。好適な接合材料には 接着力が約50psigより大きなもの、好ましくは約80psigから約250psig、そしてより好ましくは約100psigから約150psig のもの全てが含まれる。さらに、接合層40が形成されている材料は背面処理工程が求める熱的および化学的安定性を満たさなくてはならない。接合層40は約150℃から約350℃の温度で、好ましくは約200℃から約300℃で安定を保たなくてはならない。さらに、この材料は接合スタックが受ける背面処理工程で直面する化学的な暴露条件下でも安定でなくてはならない。接合層40は分解してはならず(すなわち、約1%未満の重量減)、そうでなければ上述の背面処理工程温度でその機械的な完全性を失ってしまう。これらの材料はさらに薄いデバイスウェーハーに膨れを起こす揮発性化合物を放出してはならず、とりわけCVD誘電層の蒸着のような高真空処理を受けている際にはそうである。
【0049】
好適な接合材料には WaferBONDTM 材料(BrewerScience社、ミズーリー州ローラ、から入手可能)のような市販されている暫定ウェーハー接合組成物、幾つかの市販されているフォトレジスト組成物が、他のレジン類およびポリマー類で半導体素材、ガラス、および金属に対し高い接着力を示すものと共に含まれる。とりわけ好まれるものは:(1)高固形分、UV硬化レジン系で反応性エポキシ類およびアクリル系のようなもの:(2)同族の熱硬化レジン系で加熱により硬化または架橋する、2液性エポキシおよびシリコン接着剤、環状オレフィンポリマー類およびコポリマー類で熱触媒開始剤を伴ったもの、およびCYCLOTENETM(DowChemical)のようなもの:(3)熱可塑性のアクリル系、スチレン系、ハロゲン化ビニル(フッ素系不含)、ならびにビニルエステルのポリマー類およびコポリマー類と共に、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、およびポリウレタン類で、溶融状態または溶液塗膜として塗布し、塗工の後で焼くことにより乾燥したもの;および(4)環状オレフィン類、ポリオレフィンゴム類(例えばポリイソブチレン)、および炭化水素をベースとした粘着付与樹脂類、である。ここにより具体的に記述するように、熱硬化性材料もまた架橋を引き起こす処置と同様に架橋剤およびシステム内に触媒を潜在的に必要とする。この実施態様においてこれらの材料はさらにマスク36を形成するためにも有用である。
【0050】
完成したスタック10では、接合層40がキャリヤー面24の改質された中央域30および非改質の周縁域28に接触している。都合のよいことに、接合層40およびキャリヤー面24の中央域30の間の接合界面は接合層40およびキャリヤー面24の周縁域28の間の接合界面よりも弱い。かくして、接合層40には高接着力域「B」および低接着力域「b」が形成される。接合層40およびキャリヤー面24の間の境界に沿った高接着力域「B」および低接着力域「b」の間の境い目が2枚の基板12、22が分離の際に引き剥がされ始める最初の位置を示す。マスク36の巾は高接着力域「B」が必要とする寸法および位置にしたがって処理中に変えられることは言うまでもない。同様に、とりわけマスク36がフォトレジスト組成物または他のパターン化可能な層の場合、マスク36はさらにキャリヤー面24の上に均一な層として塗布し種々の方向にパターン化し現像することもできる(格子、線、形状、その他を形成するなど)。これに続く表面改質によりパターン化された非粘着面処理ができる。したがって、基板12および22の分離の位置およびやり方はユーザーの希望仕様によりカスタマイズできる。
【0051】
図3に言及すると、別の代替実施態様が描かれていて、類似部分には図2と同様に番号が付けられている。この図に描かれているように、基板12、22、マスク36、および接合層40、は図2に関連して上述したものと同じ材料で形成されているが、但し図3のステップ(c)では、マスク36はキャリヤー面24から取除かれているためキャリヤー面24の周縁域28は露出し、ここは表面改質組成物38には処理されないままになっている。マスク36は溶媒溶解、酸または塩基による湿式現像処理、またはプラズマエッチングにより除去できる。第1基板12および処理された第2基板22は次いで向かい合わせに、図3(d)ではここでは第2基板22が上側になって接合される。この接触は熱および圧力の下で実施されることが好ましく、これで接合層40を形成している材料は第1基板12の前面14に沿って、同様に第2基板22のキャリヤー面24に沿ってほぼ均一に分布させられ、このため接合層40は上述したようにキャリヤー面24の改質中央域30および非改質周縁域28に接触する。この実施態様におけるマスク36もまた上述したようにパターン化することが可能で、次いで表面改質およびマスクの除去をおこない、結果としてマスク36の除去後にパターン化された非粘着面処理となる。このマスク36は除去されるため、マスク36はマスキングに好適などのような材料で作ることもでき、さらには接合層40を形成するために用いられる材料と互換性を持つ必要もない。同様に、マスク36は表面改質組成物38と反応性があってもよいが、これがキャリヤー面24から引き続き除去可能で第2基板22の未処理周縁域28を露呈できる限りにおいてである。
【0052】
図4は本発明に基づくスタック10を形成するもう一つの実施態様を描いている。第2基板22の面24に接合組成物を塗工し接合層40を形成する。接合層40は図2に関連して先に述べたように、全ての好適な材料で形成することができるが、それでも熱硬化性材料がとりわけ好まれる。接合層40の厚みは第1基板12上の微細構造の高さに依存するが、約5μmから150μmの範囲となり得る。幾つかの実施態様においては、好まれる厚みは約5μmから100μmの範囲で、約5μmから50μmがより好ましく、約10μmから30μmがさらにより好ましい。図2(b)に示すように接合層40には充填材料の層が塗工され充填層32が形成される。充填層32の厚みは約0.05μmから約5μmあり、約0.5μmから約2.5μmが好ましく、約0.5μmから約1μmがより好ましい。この実施態様においては、充填層32は強い接着は形成せず、かつ図1に関連して上述したように低接合力材料で形成されていることが好ましい。かくして、充填層32を形成するためのこの実施態様における好適な材料には上述した特性を持つ組成物が含まれ、環状オレフィンポリマー類およびコポリマー類で三井からAPELTM、TicomaからTOPASTM、およびZeonブランドからZEONORTMとして市販されているもの、および溶媒可溶なフルオロポリマー類の旭硝子が販売するCYTOPTMおよびDuPontが販売するTEFLONTM AFのようなものが含まれる。しかしながらこれらの材料の接合力はこれを塗るために用いた塗膜および焼き条件よって決まることは言うまでもない。
【0053】
次に、図4(c)に示すように、充填層32の最外側域が除去される。これは接合層40の完全性を損なうこと無しに希望する量の除去を可能とする全ての方法により達成することができ、充填層32が形成されている材料の良好な溶媒として知られる溶媒で最外側部を溶解することが含まれる。そのような溶媒の例には、脂肪族溶媒(例えば、ヘキサン、デカン、ドデカン、およびドデセン)、フッ化カーボン溶媒、およびこれらの混合物から成る群から選択されたものが含まれる。エッジの除去後、充填層32の最外側エッジ33は、第2基板22の最外側エッジ27で規定される面から距離「D」離れている。「D」は一般に約0.05mmから約10mmで、約0.5mm から約5mmが好ましく、約1mmから約2.5mm がより好ましい。エッジ除去溶媒との接触は希望する量の充填層32を溶解して希望する距離「D」を達成するために必要な時間維持されるが、一般的な接触時間は約5秒から約120秒である。
【0054】
図4(d)に言及すると、第2基板22は第1基板12と向かい合わせに接合されている。この接触は熱および圧力の下で実施されることが好ましく、これにより接合層40が形成されている材料が充填層32の周りおよびエッジの除去により残った空間内に再流動し第1基板12の前面14の周縁域18を均一に接触させることができる。より好ましくは、基板12、22を真空下でかつ加熱、加圧されたチャンバー内で接合することである(約100から約300℃で、約1から約10分が好ましく、約100から約200℃で、約2から約5分がより好ましい)。この実施態様においては、接合層40はエポキシをベースとしたフォトレジスト組成物のような、加熱により硬化または架橋する組成物から形成することができる。かくして、一つの態様においては、第1基板12および第2基板22を熱および圧力の下で接触させた後、次いでスタック10を放射線(すなわち、光)に暴露し層40の架橋(硬化)を開始させ、その後に暴露後の焼き(PEB)を約75℃から約300℃の温度で、より好ましくは約100℃から約250℃、そしてより好ましくは約100℃から約175℃で、約15秒から約120秒の時間の間おこなう。かくして、この実施態様において接合層40を形成する材料は系内に架橋剤、および随意的に触媒を含まなくてはならない。
【0055】
都合のよいことに、デバイス面14の中央域20および充填層32の間の接合界面は接合層40およびデバイス面14の周縁域18の間の接合界面より弱い。かくして、高接着力域「B」および低接着力域「b」が形成される。第1基板12の面14、ならびに接合層40および充填層32間の界面に沿った高接着力域Bおよび低接着力域bの間の境い目が2枚の基板12、22が分離の際に引き剥がされ始める最初の位置を示す。
【0056】
図1、2(d)、3(d)、および4(d)に形成されているスタックに言及すれば、この時点でスタック10の第1基板12は安全に取り扱うことができさらなる処理にかけられるが、そうでなく第2基板22に接合されていなければ第1基板を損傷していたかも知れない。かくして、構造体10の第1基板12は安全に背面処理工程の、背面研削、CMP、エッチング、金属および誘電体の蒸着、パターニング(例えば、エッチングによるフォトリソグラフィー)、不動態化、アニーリング、およびこれらの組合せのようなものに基板12および22の分離を起こすことなく、およびこれら後続の処理段階中に基板12および22の間の中央域20および30内に如何なる化学薬品の侵入に会うこともなく、掛けることができる。
【0057】
都合のよいことに、この実施態様および全ての実施態様におけるスタックされた構造体10の乾燥または硬化された層は幾つかの非常に望ましい特性を持つことになる。例えば、加熱および/または真空蒸着処理中に層はほとんどガス放出を示さない。つまり、150〜300℃で約60分まで加熱した結果、充填層およびエッジボンドのフィルム厚みの変化は約5%未満、好ましくは2%未満、さらにより好ましくは約1%未満である。また乾燥した層は層内で化学反応を起こさずに350℃の温度まで加熱可能だが、320℃までが好ましく、さらに300℃までがより好ましい。さらに幾つかの実施態様においては接合したスタックの層は約80℃の温度で約15分間反応または溶解せずに極性溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)に曝すこともできる。
【0058】
エッジボンド34または接合層40の接合の完全性は酸または塩基に曝した場合でも維持される。つまり、厚みが約15μmある乾燥エッジボンド34は接合の完全性を維持したまま酸性媒体(例えば、濃硫酸)に室温で約10分間または塩基性媒体(例えば、30wt%KOH)に約85℃で約45分間浸漬することができる。接合の完全性はガラス製のキャリヤー基板を用い目視によりガラスキャリヤー基板を透して泡、空洞、その他を観察して評価できる。
【0059】
ひとたび要望する処理工程が完了したら、第1基板12および第2基板22は直ちに分離できる。エッジボンド34または接合層40の周縁域(「B」に対応)は基板12、22の分離の前にそのままにしておくこともできるが、好ましい方法では、接合層40のエッジボンド34または周縁域「B」は先ず化学的、機械的、音響学的、または熱的に軟化、溶解、または壊されウェーハーが非常に小さな力で概ね室温(≒23℃)で簡単に分離できるようにする。例えば、エッジボンド34または接合層40の周縁域は先ず溶媒または他の化学薬品の助けにより溶解される。これは溶媒中に浸すこと、またはこれを溶解するために溶媒のジェットをエッジボンドまたは接合層40の周縁域にスプレーすることにより達成できる。エッジボンド34または接合層40の周縁域を壊すために溶媒溶解が用いられる場合には熱可塑性材料の使用がとりわけ望ましい。一般にこの除去処理中に用いることができる溶媒には、乳酸エチル、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、脂肪族溶媒(例えば、ヘキサン、デカン、ドデカン、およびドデセン)、およびこれらの混合物から成る群から選択されるものが含まれる。エッジボンドまたは接合層40は溶媒により少なくとも部分的に(約50%)除去されることが好ましく、大幅に(約85%)除去されることがより好ましい。
【0060】
さらに基板12および22は先ずレーザー切断、プラズマエッチング、ウォータージェット、または他の高エネルギー技法でエッジボンド34または接合層40の周縁域を効果的にエッチングまたは分解できるものを用いて機械的にエッジボンド34または接合層40の周縁域の連続性を崩壊または破壊することによっても分離することができる。さらに先ずエッジボンド34または接合層40の周縁域を破砕または壊して分断するか、もしくはエッジボンド34または接合層40の周縁域を同様の手段でノコ挽きまたは切断または切り裂くことも好適である。
【0061】
上のどの手段を用いるかには拘わらず、次に低い機械的力(例えば、指の圧力、穏やかな割裂き)を加えることにより基板12および22を完全に分離できる。都合のよいことに第1基板12および第2基板22は剥ぎ取り動作を用いることにより分離できるため、基板12または22の一方はスタックから剥ぎ取ることができる。剥ぎ取りを開始するために分離される基板の周縁の一部(例えば、1/2未満、好ましくは1/3未満、より好ましくは1/4未満、さらにより好ましくは1/10未満)に力が加えられる。上で論じたように、最初の分離の位置は接合層および/または充填層ならびに基板面の間に沿った高接着力域「B」および低接着力域「b」の間の境い目の位置によって決まる。基板の周縁の最初の一部が持ち上げられまたは上方にさらに押されると、基板の曲がりの位置が徐々に基板面ならびに接合層および/または充填層の間の界面に沿って力を加えた周縁の最初の一部からやがて基板面全体がスタックから分離するまで移動する。分離を促進するため、分離される基板に、好ましくは上方方向の、力を加えながら同時にスタックを遠ざける(すなわち、下方向に下げる)こともできる。基板の周縁に加えられる力は変化するが、基板周縁の力が加わる部分で測定した場合、約0.25ニュートンから約100ニュートンの範囲であることが好ましく、約2ニュートンから約75ニュートンがより好ましく、約5ニュートンから約50ニュートンがさらにより好ましい。
【0062】
好まれる方法において、基板12、22を分離するために環状クランプ41が分割リングクランプの形で提供される。図5(a)に言及すると、リングクランプ41にはほぼ円形の形状を伴った平面的なボディー42があり周縁および中央開口部43を規定している。リングクランプボディー42は単一形成であることが好ましく、一箇所に分割部があり2つの自由端44aおよび44bを伴い、肩部の形状であることが好ましい。ここに用いた「単一形成」という用語は「一体形成」という用語に置き換えることができ、その意味はこの様な単一形成の部品は「総体」であり互いに別の段階でくっついたものでも互いに取り外し可能なものでもなくただ一片の材料から形成されているという意味である。リングボディー42に好適な材料は金属類、セラミックス類、ポリマー類、複合材料、およびこれらの組合せから成る群から選択される。端末44aおよび44bは互いに遠ざけられる開いた配置(すなわち、広げられる)または互い方向に引きよせられる閉じた配置に移動することによりスタック10から分離すべきウェーハーを押さえるようにはめ込む。つまり、自由端44aおよび44bは近接して締め付けるように適合することによりリングがウェーハーの円周(周囲)周りに合う。閉じた配置では、端末44aおよび44bは互い方向に駆り立てられるが、接触しないままであることが好ましいが(すなわち、端末間にギャップが残りリングは不連続な円形ボディーを形成する)、端末44aおよび44bは合わさってギャップ無しの連続形になることもできる。使用時には、端末44aおよび44bを近づけるまたは広げることにより中央開口部43を縮小または拡大でき、スタック10から分離すべきウェーハー周りにボディー42による締付け動作をもたらすと共に、種々の寸法のウェーハーに対する適応を可能にし、同時にリングにはめ込まれたウェーハーの全円周(周縁)に均一な圧力を維持している。別の実施態様においては、リングクランプ41は各部品が単一形成された複数部品系の場合もある。部品は纏められ、ウェーハーの円周まわりにリングを形成し上述したようにこれをはめ込む。複数部品系は約2から約25部品から構成されることもあるが、約2から約10部品がより好ましく、約2から約4部品がさらにより好ましく、そして約2部品が最も好ましい。都合のよいことに、実施態様に拘わらず、リングクランプ41はスタックを効果的に分離するために基板の周縁の360°全てをはめ込む必要はない。むしろ、リングクランプボディー42は以下で詳細に説明するように、1つ以上の平坦端部を持つウェーハーフラットに使用するのに適している。
【0063】
図6(a)に言及すると、リングクランプボディー42はリングボディー42の内側直径「d」を規定する環状の内側側壁45、およびリングボディー42の外側直径「D」を規定する環状の外側側壁46を持っている。内側直径「d」は約10mmから約400mmの範囲で、約75mmから約350mmが好ましく、約100mmから約275mmがより好ましい。外側直径「D」は約25mmから約550mmの範囲で、約100mmから約400mmが好ましく、約250mmから約350mmがより好ましい。しかしながら、リングボディー42は分離するウェーハーの寸法により事実上どの様な寸法にもできることは言うまでもない。内側側壁45、および外側側壁46は互いにほぼ平行である。リングボディー42には内側側壁45から外側側壁46まで計った巾「W」があり、約0.1から約50mmで、約0.5から約25mmが好ましく、さらには約1から約12mmがより好ましい。内側側壁45にはさらに厚み「t」があり、これは約0.1から約15mmの範囲で、約0.5から約10mmがより好ましく、約1から約5mmがさらにより好ましい。外側側壁46には厚み「T」があり、これは約0.15から約16mmの範囲であることが好ましく、約0.55から約11mmがより好ましく、約1.5から約6mmがさらにより好ましい。t:Tの比は約1:20から約1:1であることが好ましく、約1:10から約1:5がより好ましく、約2:3がさらにより好ましい。
【0064】
リングボディー42にはさらに内側側壁45および外側側壁46の間に延びる上面48、および内側側壁45から外側へ上面48とほぼ平行に並ぶウェーハーはめ込み面50がある。ウェーハーはめ込み面50は外側側壁46までずっと延びているのではなく、「p」地点で終わり、これは外側側壁46から巾「w」だけ離れているが「p」地点から外側側壁46まで計ったものである。巾w は約0.01から約45mmの範囲であるが、約0.1から約20mmが好ましく、さらには約0.5から約10mmがより好ましい。リングボディー42には内側に延びる環状の棟52があり、ウェーハーはめ込み面50の「p」地点から内側および下側へ傾斜し、上面48およびウェーハーはめ込み面50が規定する平面から遠ざかり、自由端54で終わる。棟52には自由端54およびリングボディー42内のウェーハーはめ込み面50が終結する「p」地点の間に延びる傾斜した肩面56がある。かくして、外側に延びるウェーハーはめ込み面50および内側かつ下側へ延びる棟52が協同的に鋭角(θ)の環状ウェーハー受入れ溝58を形成する。ウェーハーはめ込み面から肩面までを測定した溝の角度(θ)は好ましくは約10°から約90°で、約20°から約75°が好ましく、約30°から約60°がより好ましい。環状の棟52にもまた下側面60があり、これはウェーハーはめ込み面50および上面48で規定される平面に平行に延びることが好ましい。さらにリングボディー42にも下面62があり、これは上面48で規定される平面から下方にかつ離れるように傾斜し、外側側壁46および環状の棟52の下側面60の間に延びる。
【0065】
環状の棟52の自由端54は内側側壁45で規定される面「P」を越えて内側に延びないことが好ましい。かくして、環状の棟52および溝58は内側側壁45から外側にずれているため、ウェーハーが溝58に受入れられた時、ウェーハーの背側面26はリングボディー42のウェーハーはめ込み面50にはめ込まれ、さらにウェーハーの外側端27および周縁域28は肩56および棟52の自由端54にはめ込まれる。これは第2基板22を例として用いて図6(b)に示されている。次いでリングクランプ42は閉じた配置に移動することにより、ウェーハー22を溝58内に保持する。より正確には、ウェーハー22の周縁の少なくとも一部が溝58にはめ込まれる。ウェーハー端27が丸められているかまたは斜角がある場合、肩56および自由端54が、「x」で指定したウェーハー端27および周縁域28により作られたウェーハーの丸くなった角部をはめ込む。
【0066】
本発明によるほかの実施態様においては、図5(b)に示したようにクランプボディー42には中央開口部43がない。それどころか、図5(a)および図6(a)に描かれていた中央開口部43に対応する空間は中空ではなくクランプボディー42は円盤形状である。したがって、図5(b)および図6(c)に示すように、上面48は外側側壁46の間の全直径「D」に延び、さらにウェーハーはめ込み面50は「p」地点の間の全距離に延びる。
【0067】
使用の際は、図7を参照して、スタック10は後に続く処理中に第1基板12を固定できる十分な押しつける力をもたらすことができるチャック64の上に据えられる。チャック64は真空力、静電力、磁力、機械的力、物理的拘束、または他の全ての好適な手段で損傷することなく第1基板12を支持する間の適切な押しつけ力をもたらすことができるものを用いることができる。リングクランプボディー42は第2基板22の周縁まわりに置かれ、そのため上述したように、基板22はウェーハー受入れ溝58に受け入れられる。ボディー42の自由端44a、44bは互いの方に引かれ第2基板22の周縁に圧力を掛けるようにはめ込む(非表示)。リングクランプ41は第2基板22の周囲全体に均一な圧力を与えることが好ましいが、第2基板がウェーハーフラットの場合の実施態様の場合は除く。その場合は、ウェーハーの外周の一部(すなわち、フラット側)はクランプにはめ込まれない。上に註記したように、リングクランプはスタック10を効果的に分離するために基板の周縁(外周)の360°全てをはめ込む必要はない。それどころか、リングクランプにとっては、状況によっては基板22の周縁の約1°だけをはめ込むことが効果的な分離のために好適である場合もある。より具体的には、リングクランプは基板の周縁の少なくとも約25°をはめ込むことが好ましく、約45°から約90°がより好ましく、基板周縁の約90°から約180°がさらにより好ましい。ウェーハーフラットが用いられる場合、フラットエッジは最初の剥ぎ取り位置からは外され、接合剥がし処置の間にウェーハーの最後に剥がされる部分になるようにする。
【0068】
大切なことは、リングクランプボディー42がクランプする際、第2基板22のみをはめ込む、つまり第1基板には全く接触しないことである。かくして、第1基板がデバイスウェーハーの場合、独創的な方法および装置はデバイスウェーハーに全く機械的な力またはストレスを与えることなくスタック10を効果的に分離することを可能にし、デバイスを壊したり損傷するリスクを最小にしている。 上で説明したとおり、エッジボンド34または接合層40の周縁域は部分的にまたはほとんどが基板の分離の前に除去されていることが好ましい。しかしながら、エッジボンド34または接合層40の周縁域は除去されていなければならない訳でもない。かくして、エッジボンド34または接合層40の周縁域が存在する場合には、リングクランプボディー42がさらにエッジボンド34または接合層40の周縁域と接触する場合もある。
【0069】
図8に示されている別の実施態様においては、第1基板12をチャック64に固定するために粘着フィルムまたはテープ66がチャック64に近接して貼付けられている。スタック10は次いで粘着フィルム層66に隣接して置かれる。粘着フィルムまたはテープ層66に好適な材料には比較的接着性が低いもの、接着剤の転移が無いもの、および破れることなく伸縮する能力があるものが含まれる。粘着フィルム層66はダイシングテープで形成されていることが好ましく、これは一般に低温処理中の取扱い目的で暫定的にデバイス基板を支えるために当業者間で用いられているものである。ここでは、粘着フィルム層66は分離後の第1基板12に、とりわけデバイス基板12がその上にデリケートな機能が構築されていたりまたは薄層化されている場合に付加的な支えをもたらす。好まれるダイシングテープは、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリオレフィン、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる。粘着フィルム層66の厚みは約0.01から約3mmであることが好ましく、約0.05から約1mmがより好ましく、約0.07から約0.2mmがさらにより好ましい。
【0070】
図9に言及すると、実施態様に関係なく、分離の間にはリングクランプボディー42の周縁の一部(例えば、1/2未満、好ましくは1/3未満、より好ましくは1/4未満、そしてさらにより好ましくは1/10未満)にのみ力(上向きが好ましい)が加えられ、これにより端部27で規定される第2基板22の周縁の該当する部分を基板22の周縁域28から始まり、デバイスウェーハー12から離れる方向へ持ち上げる。基板の端に加える力の量は変化するものであるが基板の端で測って、約0.25ニュートンから約100ニュートンの間の範囲であることが好ましく、約2ニュートンから約75ニュートンがより好ましく、約5ニュートンから約50ニュートンがさらにより好ましい。かくして、先に述べたように、第2基板22はスタック10から剥ぎ取り動作により分離される。図9に描かれた分離の最初の位置は単なる一例であることは言うまでもなく、実際の分離の位置は上述したように、スタックに含まれる非粘着表面改質または低接合力層の位置および/またはパターンを含め、スタックを形成するために用いた材料および表面処理(あるとしたら)によって決まる。先に説明したように、接着が破綻する位置、これが分離の最初の位置を決めるが、はエンドユーザーが望むように修正できる。
【0071】
さらに、リングボディー42は柔軟であることが好ましく、このためリングクランプ41の周縁の一部が持ち上げられた時、その位置のボディー42はその力により、好ましくは上方に、たわみまたは曲がる。リングボディー42のこの反りは基板22の周縁の該当場所にスタック10から遠ざかる角度で同様の曲がりまたは反りを起こす。つまり、図9に示すように、リングボディー42の周縁の一部が持ち上げられる際に、リングボディー42の反対側部分はほぼ静止していて、他の部分が持ち上げられることに対応してスタック10を下方へ押しつけることがないことが好ましい。さらに分離を促進するため、第1基板12を固定しているチャック64を分離中に第2基板22から徐々に遠ざけ、それも下方へ下げることが好ましい。チャック64を下げることはリングクランプ42に力を加えるのと同時に行うことができる。一方で、第2基板22に加える力およびこれによる剥ぎ取り動作はスタック10が引き離されてもほぼ静止を保っている第2基板22から遠ざかるチャック64の動きに影響される。
【0072】
都合のよいことに、かつ先行技術による接合方法とは異なり、分離は充填層32、エッジボンド34、または接合層40および基板12または基板22の全面との間の強い接着に打ち勝つ必要はない。代わりに、分離を起こすためには周縁域18および28と接触しているエッジボンド34または接合層40の周縁域の接着剤を解除する必要があるだけである。一端分離すれば、第1基板12の面は次に適切な溶媒できれいに濯ぐかまたは必要な全ての湿式または乾式エッチング技法によりエッジボンド34、充填層32または接合層40の材料の残渣を規定通りに、取り除く。
【0073】
図10に描かれている別の実施態様においては、類似の部分には類似の番号が付けられているが、リングクランプ42は周縁を持つフレキシブルチャック68に置き換えられている。フレキシブルチャックは後続の処理中に第2基板22を固定するための適切な引っ張り力をもたらすことができる。このフレキシブルチャック68は真空力、静電力、または他の全ての適切な手段を用いることができ、これにより第2基板22に支持を与えながら剥ぎ取り動作を作り出すために損傷を起こさせずに曲げられる適切な力をもたらすことができる。フレキシブルチャック68のための適切な材料には、シリコン類、ポリイミド類、ポリアミド類、オレフィン類、フッ化ポリマー類、ニトリル類、他のゴム類、および全ての柔軟性のある材料から成る群から選ばれたものが含まれる。リングクランプの実施態様の場合と同様に、図11に示すように粘着フィルム66もまたスタック内の第1基板を支えるために用いることができる。何れの実施態様においても、次いでフレキシブルチャック68の周縁の一部に力を加え、これにより第2基板22の周縁の該当場所を持ち上げ、述べたように剥ぎ取り動作によりこれをスタック10から取り除く。この場合もやはり、基板22の周縁域28および中央域30の材料の間の最初の分離の実際の位置は使用された材料ならびに表面処理(あるとしたら)、充填層32、エッジボンド34,および/または接合層40の位置によって決まる。次いで基板12は残ったエッジボンド34、充填層32、または接合層40の材料を除去するために必要な適切な溶媒できれいに濯がれる。都合のよいことに、第1基板がデバイスウェーハーの場合、この独創的な分離方法においてはデバイスウェーハーには全く機械的力またはストレスが加えられず、分離の間にウェーハーが壊れたり損傷する危険性を最小にしている。
【0074】
図12に示すさらに別の実施態様においては、リングクランプ42は後続の処理中に第2基板22を固定する十分な力をもたらすことができる粘着フィルム70に置き換えられている。この粘着フィルム70は一連の裏当て材および高接合力から低接合力まで、および種々の支持力を伴った粘着材から成ることが可能で、これは中央域30および周縁域28に作り出されている接合力に打ち勝つ十分な保持力をもたらす一方で第2基板にはまだ剥ぎ取り動作を作り出すために曲がることを許しながら損傷を起こさない限定的な支持をもたらすことが可能である。粘着フィルム70に好まれる材料にはポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリオレフィン、およびこれらの組合せが含まれる。粘着フィルム70は約0.01から約3mmの厚みであることが好ましく、約0.05から約1mmがより好ましく、約0.07から約0.2mmがさらにより好ましい。リングクランプ実施態様の場合と同様に、図13に示すようにスタック内の第1基板12を支持するために粘着フィルム66もまた用いることができる。何れの実施態様においても、力は粘着フィルム70の周縁の一部に加えられ第2基板22の周縁域の該当場所を持ち上げ、かくして述べたように剥ぎ取り動作によりこれをスタック10から取り外す。この場合もやはり、周縁域28および基板の中央域30の材料の間の実際の分離の位置は使用された材料および表面処理(あるとすれば)、充填層32,エッジボンド34、および/または接合層40の位置により決まる。
【0075】
上では本発明を実施する基礎的な方法を述べたが、一方で本発明による幾つかの代替実施態様がある。例えば、上の実施態様においては第1基板12をデバイスウェーハーさらに第2基板22をキャリヤー基板として記載した。第1基板12がキャリヤー基板および第2基板22がデバイスウェーハーということも容認できる。その場合、第1基板12の前面14はデバイス面ではなく、むしろキャリヤー面となる。同様に、第2基板22の面24はキャリヤー面ではなく、代わりにデバイス面となる。言い換えれば、充填層32はデバイスウェーハーよりむしろキャリヤーに塗工しても、または表面処理38はキャリヤーよりむしろデバイスウェーハー上に実施することもでき、続く接合段階の間に同品質のスタック構造体が形成できるということである。さらに、図7〜13の実施態様ではスタック10をエッジボンド34または接合層40の周縁域を省いて描いているが、エッジボンド34または接合層40の周縁域はウェーハーの分離を実施する前に取り除かれねばならないものではない。
【0076】
さらに、充填層32、エッジボンド34、表面改質38、および/または接合層40を同じ基板12に連続して塗工する代わりに、充填層32、エッジボンド34、表面改質38、および/または接合層40を第1基板12に、および充填層32、エッジボンド34、表面改質組成物38、および/または接合層40以外の物を第2基板22に塗布することも適切である。それから上述したように第1および第2基板12、22を熱および/または圧力の下で2つを接合するために向かい合わせに一緒に押しつけることができる。
【0077】
最後に、幾つかの実施態様においては充填層32はデバイス面14またはキャリヤー面24のいずれとも強い接着を形成しないことが好まれるが、他の実施態様においてはデバイス面14またはキャリヤー面24の一方のみとは強い接着を形成しないように充填層32を調合することが望ましいかも知れない。先に論じた実施態様の場合でもまたそうであったように、基板12および22を逆にして第1基板12がキャリヤー基板に、および第2基板22がデバイスウェーハーになるようにすることもできる。この場合もやはり、第1基板12の前面14はデバイス面ではなく、それどころかキャリヤー面となる。さらに、第2基板22の面24はキャリヤー面ではなく、代わりにデバイス面となる。
【0078】
これらの材料をハードニングまたは硬化する手順は通常の当業者により直ちに選択および調整できることは言うまでもない。例えば、幾つかの実施態様においては、非硬化組成物を用いた方が後の除去および洗浄処理工程でより容易に溶解できるために望ましいかも知れない。これらそれぞれの材料には、熱可塑性またはゴム様組成物(一般的に重量平均分子量が少なくとも約5000ダルトン)、樹脂またはロジンタイプ組成物(一般的に重量平均分子量が約5000ダルトン未満)、およびこれらの混合物が好適である。
【0079】
上のことを用いて、シリコンベースの半導体デバイス、化合物半導体ベースのデバイス、埋込受動素子の配列(例えば、抵抗器、コンデンサー、インダクター)、MEMSデバイス、マイクロセンサー、フォトニック回路デバイス、発光ダイオード、熱管理デバイス、および前述の一つ以上のデバイスが取り付けられてきたか取り付けられるであろう平面実装基板(例えば、インタポーザー)から成る群から選択されたものを含む幾つもの集積マイクロデバイスを製造することができることは言うまでもない。
【0080】
次に示す実施例は本発明に伴う好適な方法を示す。しかしながら、これらの実施例は説明のために提供するものでその中の何物も本発明の総合的範囲を制約するものと受け取るべきではないものとする。
【0081】
<実施例1>
[改質された中央面を持つエッジボンドされたウェーハーの外側端から接合材料の除去を伴う手動式剥ぎ取り器を用いた分離]
【0082】
この手順において、ウェーハースタックは本発明の方法に従って準備され、それから手動の剥ぎ取り分離器を用いて分離した。2枚のウェーハーを一緒に接着する前に、一方のウェーハーの中央接触面はフッ化シラン溶液を用いて化学的に改質されウェーハー面を横切って接着力に格差を作り出した。接合材料(WaferBONDTMHT10.10、Brewer Science社、ミズーリー州ローラから入手可能)を200mmシリコンウェーハー(ウェーハー1)の面上の外側端に分注しウェーハー面の周縁域の周りに約2.5mm巾でおよそ0.5μm厚みの非常に薄い塗膜を形成した。表面改質組成物はフッ化シラン((ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドラデシル)トリクロロシラン;Gelest社.ペンシルバニア州モリスビル)をFC−40溶媒(主にC12を伴ったペルフルオロ化合物、FLUORINERTTMの商品名で販売、AMS MaterialsLLC、フロリダ州ジャクソンビルから入手)を用い1%溶液まで希釈して形成した。完成した溶液をウェーハー1の表面上にスピンコートし、続いてホットプレート上で100℃で1分焼いた。ウェーハーは次いでスピンコーター内で追加のFC−40溶媒で濯がれ中央面から未反応シランを除去し、100℃でさらに1分焼いた。接合材料により表面改質組成物がウェーハー1の端部と接触することを妨げ中央部が処理される間ここを未処理のまま残した。接合材料は濯ぎ段階で洗い流されたシランとは反応せず、かくして接合材料の面もまた未処理のまま残る。接合材料は後続の処理段階のためにウェーハー1の端部に残された(すなわち、ウェーハーを接着する前には除去されなかった)。
【0083】
次に、別の200mmシリコンウェーハー(ウェーハー2)に同じ接合組成物(WaferBONDTMHT10.10)をスピンコートにより厚みが約15μmの層に塗工した。ウェーハー2は次いで110℃で2分焼かれ、さらに160℃で追加で2分焼かれた。塗工されたウェーハーは次いで向かい合わせに、加熱した真空および加熱チャンバー内で220℃および15psigで3分接合することにより、ウェーハー1上の接合材料およびウェーハー2上の接合材料が一緒に再流動して1つの接合層を作り上げた。
【0084】
次に、接合層の周縁端を取除くため、接合されたウェーハーは接合材料の除去剤(WaferBONDTMRemover、Brewer Science社、ミズーリー州ローラから入手可能)に約1時間浸漬して外側部から接合材料を除去した。除去処理工程はウェーハー1の中央のフッ化シラン塗膜に除去処理が到達したら完了である。除去時間は接合層の厚みにより変化するが、実験的に決定できる。一般的には接合層が厚いほど、ウェーハー間の隙間が大きくなり溶媒接触を大きくできるため除去速度が速くなる。都合のよいことに、処理した中央面もまた疎水性であるため、溶媒もひとたび中央に達すると層を透して濡らすことを効果的に止める。理想的には、接合層の端部の完全な除去が起こるが、しかしながらウェーハーを効果的に分離するためには接合層の端の周りを横方向に層を切り裂く必要があるだけである(すなわち、ギャップを作ること)。かくして、ウェーハー1およびウェーハー2の周縁端のいくらかの接合材料の残渣は許容できるのである。
【0085】
完成した積重ねウェーハーは次に手動分離のために自由端に握りを取り付けたリングクランプ(図5(a)参照)を用いて分離された。ウェーハー2は真空チャックにより所定位置に保持され、リングクランプの保持リングはウェーハー1の周縁周りを囲むように位置しウェーハー端に(すなわち、ウェーハーの周囲全体に)均等な圧力を加えるようにリングの端部が近接してクランプした。次にリングクランプに取り付けられている握りが傾けられたことにより、握りの自由端がスタックの横断面から遠ざかるように上方へ持ち上げられ、リングクランプを反らせ、これによりウェーハー1の端を剥ぎ取り動作によりウェーハー2から上方および遠ざかるように持ち上げた。分離のあと、ウェーハー1上の接合組成物の唯一の残渣はウェーハー1の周縁域の上にあった(2.5mm巾の未処理面)。ウェーハー1の処理された中央面への接合材料の転移はなかった。接合材料塗膜はウェーハー2の中央に残り周縁域には残渣があった。この実施例の何れのウェーハーもデバイスウェーハーまたはキャリヤーウェーハーと見なすことができる。
【0086】
<実施例2>
[接着されたウェーハースタックの手動の剥ぎ取り分離器を用いた分離]
この手順では、ウェーハースタックは本発明による別の方法にしたがって準備され次いで手動の剥ぎ取り分離器を用いて分離される。2枚のウェーハーを一緒に接着する前に、1枚のシリコンウェーハーの中央面はフッ化シラン溶液を用いて化学的に改質しウェーハー面を横切って接着力の格差を作り出す。ウェーハーの中央面を改質するため、ウェーハーの端部を先ずエポキシベースのフォトレジスト(SU−82002、Microchem社、マサチューセッツ州ニュートン)を用いてマスクした。フォトレジスト組成物は200mmシリコンウェーハー(ウェーハー1)の外側端面に分注しウェーハー面の周縁リング形状の部分に塗工しその巾は約2.5mmであった。
【0087】
次に、フッ化シラン((ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドラデシル)トリクロロシラン;Gelest社、ペンシルバニア州モリスビル)をFC−40溶媒(主にC12を伴ったペルフルオロ−アルキル化合物、FLUORINERTTMの商品名で販売、AMS MaterialsLLC、フロリダ州ジャクソンから入手)を用い1%溶液まで希釈した。希釈溶液をウェーハー1の表面上にスピンコートした。ウェーハーをホットプレート上で100℃で1分焼き、次いでスピンコーター内でFC−40溶媒で濯ぎ、その後で100℃でさらに1分焼いた。それからエポキシベースのフォトレジストマスクはスピンコーター内でアセトンを用いて除去しウェーハーの未処理の端部を露わにした。かくして、ウェーハー1の中央部のみがフッ化シラン溶液で処理され「非粘着」の状態となり、一方でウェーハーの端部は接合可能面を維持した。
【0088】
別の200mmシリコンウェーハー(ウェーハー2)に接合組成物(WaferBONDTMHT10.10)をスピンコートにより塗工した。次いでこのウェーハーを110℃で2分、引き続き160℃で2分焼いた。塗工されたウェーハーは次いで向かい合わせに、真空下で加熱した真空および加圧チャンバー内で220℃および10psigで3分接合された。
【0089】
次に、完成した積重ねウェーハーはそれから手動分離のために自由端に握りを取り付けたリングクランプ(図5(a)参照)を用いて分離された。この手順の間、接合組成物の周縁域は分離に先立って除去されてはいない。ウェーハー2は真空チャックにより所定位置に保持され、さらにリングクランプの保持リングをウェーハー1の周縁周りに位置しウェーハーの周縁に(すなわち、ウェーハーの周囲全体に)均等な圧力を加えるようにリングの端部をクランプした。次にリングクランプに取り付けられている握りが傾けられることにより、握りの自由端がスタックの横断面から遠ざかるように上方へ持ち上げられ、リングクランプを反らせ、これによりウェーハー1の端を剥ぎ取り動作によりウェーハー2から上方および遠ざかるように持ち上げた。分離の後、接合組成物塗膜の約2.5mm巾のリングだけがウェーハー1の端に転移し、一方で残りの接合材料はウェーハー2の上に残った。つまり、接合材料はウェーハー1の外側端面に付着しただけで化学的に改質されたウェーハー1の中央面には付着しなかった。この実施例の何れのウェーハーもデバイスウェーハーまたはキャリヤーウェーハーと見なすことができる。
【0090】
<実施例3>
[中央接触面が剥離材料で塗膜されたウェーハースタックを分離するために使用された手動式剥ぎ取り分離器]
この手順において、ウェーハースタックは本発明による別の方法により準備されさらにこの場合もやはり手動式剥ぎ取り分離器を用いて分離する。2枚のウェーハーを一緒に接着する前に、一方のウェーハーの中央面に剥離材料を塗膜しウェーハー面の中央層界面を横切って接着力格差を作りだす。先ず、エポキシベースのネガティブフォトレジスト(SU−82010の商品名で販売されている、Microchem社から入手)を200mmガラスウェーハー(ウェーハー1)上の全面にスピンコートし、次に110℃で2分焼いて溶媒の除去をおこなった。次にTeflonTMAF溶液(FC−40内のTeflonTM AF2400、Du Pontから入手)をフォトレジスト層の上にスピンコートして非粘着層を作りだした。次いで、FC−40溶媒をウェーハー面の外側端に分注しウェーハー面の周縁端から1〜3mm巾の部分のTeflonTMAF塗膜を除去し、その後110℃で2分焼いで溶媒を除去した。
【0091】
次にウェーハーをブランクの200mmシリコンウェーハー(ウェーハー2)と向かい合わせに、真空下で加熱した真空および加圧チャンバー内で120℃および10psigで3分接合した。この処理の間にフォトレジスト層はTeflonTM層周りに再流動しウェーハーの周縁端の上で除去されたTeflonTM層の隙間を充填し、かくしてウェーハー2の周縁端に接合した。接合されたウェーハーは次いでガラスウェーハーの外側から広域UV光に暴露され、その後120℃で2分焼かれSU−82010塗膜を架橋および硬化させた。
【0092】
完成した積重ねウェーハーは次に手動分離のために自由端に握りを取り付けたリングクランプ(図5(a)参照)を用いて分離された。ウェーハー2は真空チャックにより所定位置に保持され、さらにリングクランプの保持リングをウェーハー1の周縁周りに位置しウェーハーの周縁に(すなわち、ウェーハーの周囲全体に)均等な圧力を加えるようにリングの端部をクランプする。次にリングクランプに取り付けられている握りを持ち上げることにより、リングクランプを反らせ、これにより実施例1で述べたように、ウェーハー1の端を剥ぎ取り動作によりウェーハー2から上方および遠ざかるように持ち上げた。この手順では、接合組成物の周縁域は分離に先立って除去されてはいない。それどころか、フォトレジスト層はリングクランプの反る動きの自然の結果として最初の分離点で横断的に裂かれ、このためフォトレジスト材料の一部はガラスウェーハー(ウェーハー1)上に残り同時に層の一部はシリコンウェーハー(ウェーハー2)の未処理域に転移した。分離後、ウェーハー2には外側の1〜3mmにリング状の材料があっただけで、一方でウェーハー1のTeflonTM離型層に接触していたウェーハーの中央域には材料は転移されていなかった。この実施例の何れのウェーハーもデバイスウェーハーまたはキャリヤーウェーハーと見なすことができる。
【0093】
<実施例4>
[何れの基板にも低接着性の材料を中央面に充填されたウェーハースタックを分離するのに使用された手動式剥ぎ取り分離器]
この手順では、ウェーハースタックは本発明による別の方法にしたがって準備されそれからこの場合もやはり手動の剥ぎ取り分離器を用いて分離される。2枚のウェーハーを一緒に接着する前に、1枚のシリコンウェーハーの中央面に離型剤を塗膜しウェーハー面を横切って接着力の格差を作り出す。実施例3で用いたTeflonTM AF溶液を200mmシリコンウェーハー(ウェーハー1)にスピンコートして厚みが約10μmの塗膜を形成した。次に、FC−40溶媒をウェーハー面の外側端に分注しウェーハー面から約3〜5mm巾部分のTeflonTMAF塗膜を除去した。ウェーハーをそれから110℃で2分焼いた。次に、ウェーハーの端部に約3〜5mm巾でおよそ10μm厚さの層を形成するように端部のみに材料が分注されるようにスピンコートでWaferbondTMHT10.10接合組成物を塗工した。かくして、TeflonTMAF塗膜および接合材料はウェーハー面を横断して均一ではない単層を形成した。ウェーハーはそれからブランクの200mmシリコンウェーハー(ウェーハー2)と向かい合わせに、真空下で加熱した真空および加圧チャンバー内で220℃および10psigで2分接合した。
【0094】
完成した積重ねウェーハーは次に手動分離のために自由端に握りを取り付けたリングクランプ(図5(a)参照)を用いて分離された。ウェーハー2は真空チャックにより所定位置に保持され、さらにリングクランプの保持リングをウェーハー1の周縁に位置決めしウェーハーの周縁に(すなわち、ウェーハーの周囲全体に)均等な圧力を加えるようにリングの端部をクランプした。次にリングクランプに取り付けられている握りが持ち上げることによりリングクランプを反らせ、これにより実施例1で述べたように、ウェーハー1の端を剥ぎ取り動作によりウェーハー2から上方および遠ざかるように持ち上げた。この手順の間、接合組成物の周縁域は分離に先立って除去されてはいない。分離後、ウェーハー2には外側の3〜5mmにリング状の接合材料があっただけで、一方中央には材料の転移はなかった。ウェーハー1は外側の3〜5mmにリング状の接合材料があり、さらにTeflonTM塗膜は中央に残っていた。接合材料はその断面部で裂かれていて2枚のウェーハーの間で引き裂かれた。この実施例の何れのウェーハーもデバイスウェーハーまたはキャリヤーウェーハーと見なすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合された基板を分離するリングクランプで、前記リングクランプがほぼ円形でかつ中央に開口部を伴う平らなボディーを持ち、前記ボディーが次のものから構成されるリングクランプ:
環状の内側側壁;
環状の外側側壁;
内側側壁および外側側壁の間に延びる上面;
内側側壁から外側に延びるウェーハーはめ込み面で、ボディー内の外側壁面から離れた地点で終わっている前記ウェーハーはめ込み面;および
内側に延びる環状の棟で、前記地点から内側に、およびウェーハーはめ込み面から離れるように傾斜する、内側に延びる環状の棟、
ここに前記ウェーハーはめ込み面および環状の棟が協同して環状のウェーハー受入れ溝を形成する。
【請求項2】
前記ボディーが2つの自由端を持つ単一形成の分割リングクランプである、請求項1に記載のリングクランプ。
【請求項3】
前記環状の棟が自由端で終わりかつ自由端およびボディー内のウェーハーはめ込み面が終わる地点の間に延びる傾斜した肩面を持つ、請求項1または2に記載のリングクランプ。
【請求項4】
前記溝がウェーハーはめ込み面から棟の肩面までを測って約10°から約90°の角度(θ)を持つ、請求項1〜3のいずれかに記載のリングクランプ。
【請求項5】
環状の棟の自由端が内側側壁で規定される面を越えて内側へ延びることが無く、環状の棟が内側側壁より外側にずれている、請求項3または4に記載のリングクランプ。
【請求項6】
前記ボディーが複数部品から構成され、各部品が単一形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載のリングクランプ。
【請求項7】
前記ボディーが金属類、セラミックス類、ポリマー類、複合材料、およびこれらの組合せから成る群から選択された素材から形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載のリングクランプ。
【請求項8】
前記ボディーの内側側壁から外側側壁まで測った巾「W」が、約0.1から約50mmである、請求項1〜7のいずれかに記載のリングクランプ。
【請求項9】
内側側壁の厚み「t」が約0.1から約15mmである、請求項1〜8のいずれかに記載のリングクランプ。
【請求項10】
外側側壁の厚み「T」が約0.15から約16mmである、請求項1〜9のいずれかに記載のリングクランプ。
【請求項11】
組合せで:
ほぼ円形の平らなボディーを持ち、前記ボディーが環状のウェーハー受入れ溝を備えたクランプ;および
平らな基板で、前記基板の周縁を規定する最外側端を持ち、前記周縁の少なくとも一部が前記ウェーハー受入れ溝に受け入れられている、平らな基板、
の組合せ。
【請求項12】
前記クランプがさらに以下のものから構成される、請求項11に記載の組合せ:
中央開口部;
環状の内側側壁;
環状の外側側壁;
内側側壁および外側側壁の間に延びる上面;
内側側壁から外側に延び、ボディー内の外側壁面から離れた地点で終わっているウェーハーはめ込み面;および
前記地点から内側に、かつウェーハーはめ込み面から離れるように傾斜する内側に延びる環状の棟、
ここに前記ウェーハーはめ込み面および環状の棟が協同して前記環状のウェーハー受入れ溝を形成する。
【請求項13】
前記基板がさらに前面および背面を含み、前記前面が中央域および周縁域から構成される、請求項11または12に記載の組合せ。
【請求項14】
前記環状の棟が自由端で終わり、前記環状の棟には棟の自由端およびウェーハーはめ込み面がボディー内で終わる地点との間に延びる傾斜した肩面があり、前記基板の背面がボディーのウェーハーはめ込み面にはめ込まれ、かつ基板の最外側端および周縁域が棟の肩および自由端にはめ込まれている、請求項11〜13のいずれかに記載の組合せ。
【請求項15】
前記基板がシリコン、サファイヤ、水晶、金属、ガラス、およびセラミックスから成る群から選択された素材を含む、請求項11〜14のいずれかに記載の組合せ。
【請求項16】
暫定接合方法で次のことから構成される、暫定接合方法:
次のものから構成されるスタックの供給:
背面およびデバイス面を持ち、前記基板面には周縁域および中央域がある第1基板;
第2基板で、前記第1基板に接合され、前記第2基板にはキャリヤー面、背側面、および第2基板の周縁を規定する最外側端があり、前記キャリヤー面には周縁域および中央域がある第2基板;および
前記第1および第2基板を前記第2基板の周縁の一部に力を加えることにより前記第2基板をスタックから遠ざかる角度に曲げることによる剥ぎ取り動作を用いて分離し、これにより前記第1基板および第2基板を分離する。
【請求項17】
前記スタックが前記第1基板および前記第2基板の間にさらに中間層を備える、請求項16に記載の暫定接合方法。
【請求項18】
前記中間層が前記デバイス面および前記キャリヤー面の前記周縁域に接合され、ここに前記中間層および前記キャリヤー面の前記中央域がその間に低接合界面を含む、請求項17に記載の暫定接合方法。
【請求項19】
前記低接合界面が前記キャリヤー面の前記中央域の表面改質を含む、請求項18に記載の暫定接合方法。
【請求項20】
前記低接合界面が前記中間層および前記キャリヤー面の前記中央域の間に第2層を含む、請求項18に記載の暫定接合方法。
【請求項21】
前記第2層が低接着力層およびポリマー層から成る群から選択される、請求項20に記載の暫定接合方法。
【請求項22】
前記中間層が前記中央域に隣接して充填材料を、および前記周縁域に隣接してエッジボンドを備える、請求項17〜21のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項23】
前記中間層が均一な接合層から構成される、請求項17〜21のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項24】
さらに機械的または化学的に前記周縁域に隣接する前記中間層を壊し、前記分離の前に前記中間層の少なくとも一部を除去することを含む、請求項17〜23のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項25】
前記キャリヤー面がパターン化した表面改質を含み、前記中間層が前記デバイス面および前記キャリヤー面の非改質部分に接合され、ここに前記中間層および前記キャリヤー面の前記表面改質部分がその間に低接合界面を含む、請求項17〜24のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項26】
前記デバイス面が集積回路、MEMS;マイクロセンサー;動力半導体;発光ダイオード;フォトニック回路;インタポーザー;埋込受動素子;およびマイクロデバイスでシリコン、シリコンゲルマニウム、ガリウム砒素、および窒化ガリウムの上に製造されたものまたはこれから製造されたもの、から成る群から選択されたデバイスの配列を含む、請求項16〜25のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項27】
前記デバイス面が:ハンダの盛上がり;金属ポスト;金属ピラー;および構造体でシリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、(オキシ)窒化ケイ素、金属、低k 誘電体、高分子誘電体、窒化金属類および金属シリサイド類から成る群から選択された素材から形成されたもの、から成る群から選択された少なくとも1つの構造体を含む、請求項16〜26のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項28】
前記第2基板がシリコン、サファイヤ、水晶、金属、ガラス、およびセラミックスから成る群から選択された素材を含む、請求項16〜27のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項29】
さらに前記スタックを、前記第1および第2基板を分離する前に、背面研削、化学的機械的研磨、エッチング、金属および誘電体蒸着、パターニング、不動態化、アニーリング、およびこれらの組合せから成る群から選択された処理工程に掛けることを含む、請求項16〜28のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項30】
前記分離がリングクランプを用いて実施され、該リングクランプには前記リングクランプの周縁および中央開口部を規定するほぼ円形の平らなボディーがあり、前記リングクランプが第2基板の周縁の周りに締め付けられ、さらに前記の力が前記リングクランプの周縁の一部のみに加えられこれにより第2基板の周縁の該当部分を前記剥ぎ取り動作によりスタックから遠ざかるように持ち上げる、請求項16〜29のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項31】
前記ボディーが次のものから構成される、請求項30に記載の暫定接合方法:
環状の内側側壁;
環状の外側側壁;
内側側壁および外側側壁の間に延びる上面;
内側側壁から外側に延びるウェーハーはめ込み面で、ボディー内の外側壁面から離れた地点で終わっている前記ウェーハーはめ込み面;および
内側に延びる環状の棟で、前記地点から内側に、およびウェーハーはめ込み面から離れるように傾斜する、内側に延びる環状の棟、
ここに前記ウェーハーはめ込み面および環状の棟が協同して環状のウェーハー受入れ溝を形成し、前記第2基板の周縁の少なくとも一部が前記溝に受け入れられている。
【請求項32】
前記ボディーが2つの自由端を持つ分割リングクランプの形状である、請求項30または31に記載の暫定接合方法。
【請求項33】
前記リングクランプが前記第2基板の周縁の周りに次のようにして締め付けられている、請求項32に記載の暫定接合方法:
前記自由端を互いから離れるように動かし、これにより前記ボディーの中央開口部を拡大する;
前記リングクランプを第2基板の周縁の周りに配置する;および
前記自由端を互いの方向に引き、前記分離の前に第2基板を押さえるようにはめ込む。
ここに前記リングクランプの環状の棟は自由端で終わりかつ棟の自由端およびウェーハーはめ込み面がボディー内で終わる地点との間に延びる傾斜した肩面を持ち、前記第2基板の背側面がボディーのウェーハーはめ込み面にはめ込まれ、および第2基板の最外側端および基板の周縁域が棟の肩および自由端にはめ込まれている。
【請求項34】
前記リングクランプが前記第2基板の周縁の少なくとも約1°をはめ込む、請求項33に記載の暫定接合方法。
【請求項35】
前記リングクランプが前記第1基板に接触しない、請求項30〜34のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項36】
前記スタックの第1基板が前記基板を分離する前にチャックに固定されている、請求項16〜35のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項37】
前記第1基板が前記チャックに静電気力、真空力、磁力、機械的力、物理的拘束、または前記チャックおよび前記第1基板の間の粘着フィルム層を介して固定されている、請求項36に記載の暫定接合方法。
【請求項38】
前記チャックが前記分離中に第2基板から遠ざけられる、請求項36または37に記載の暫定接合方法。
【請求項39】
前記分離が、周縁を持つフレキシブルチャックを用い、前記第2基板を前記フレキシブルチャックに固定し、前記力を前記フレキシブルチャックの周縁の一部のみに加えることにより第2基板の周縁の該当部分を前記剥ぎ取り動作でスタックから遠ざけることにより実施される、請求項16〜38のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項40】
前記分離が、周縁を持つ粘着フィルムを用い、前記第2基板を前記粘着フィルムに固定し、前記力を前記粘着フィルムの周縁の一部のみに加えることにより第2基板の周縁の該当部分を前記剥ぎ取り動作でスタックから遠ざけることにより実施される、請求項16〜38のいずれかに記載の暫定接合方法。
【請求項41】
暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法で、前記方法が次のものから構成される方法:
前面および背面がある第1基板を供給する;
前記第1基板の前記前面に接合層を形成する;
前面および背面がある第2基板で、前記前面に表面改質域、非改質域、および前記非改質域に隣接して随意的なマスクを持つ前面および背面がある第2基板を供給する;および
前記第2基板の前記前面を前記第1基板上の前記接合層と接触させることにより前記暫定接合構造体を形成し、ここに前記接合層および前記第2基板の前記表面改質域がその間に低接合界面を構成する。
【請求項42】
前記表面改質域がパターンを構成する、請求項41に記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法。
【請求項43】
前記パターンがグリッド類、線分類、および形状類から成る群から選択される、請求項42に記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法。
【請求項44】
前記前面が周縁域および中央域を持ち、前記中央域には前記表面改質域を備え、ここに前記マスクが前記周縁域に隣接している、請求項41〜43のいずれかに記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法。
【請求項45】
前記表面改質域がパターンで構成されている、請求項44に記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法。
【請求項46】
前記第2基板の前記供給が次のものを含む、請求項44または45に記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法:
前記周縁域にマスクを形成する;
表面改質組成物を前記中央域内に堆積し前記表面改質中央域を得る;および
随意的に前記マスクを除去することにより前記周縁域を暴露する。
【請求項47】
前記マスクが存在し、前記接合層が前記マスクと接合されている、請求項41〜46のいずれかに記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法。
【請求項48】
前記接触が熱および圧力の下で実施され、前記マスクが前記接合層内に再流動し均一な接合層を作り出す、請求項41〜47のいずれかに記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法。
【請求項49】
前記マスクが存在せず、前記接合層が前記第2基板の前記非改質域と接合されている、請求項41〜48のいずれかに記載の暫定ウェーハー接合構造体を形成する方法。
【請求項50】
接合された基板を分離するディスク形状のクランプで、前記クランプは無垢の、ほぼ円形の平らなボディーを持ち、前記ボディーは次のものから構成されている:
前記ボディーの外側直径を規定する環状の外側側壁;
前記外側側壁の直径全体に延びる上面;
ボディー内の外側側壁から離れた地点の間に延びるウェーハーはめ込み面;および
内側へ延びる環状の棟で、これは前記地点から内側に、かつウェーハーはめ込み面から遠ざかるように傾斜する環状の棟、
ここに前記ウェーハーはめ込み面および環状の棟は協同して環状のウェーハー受入れ溝を形成する、クランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−4522(P2012−4522A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183931(P2010−183931)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(500499508)ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー. (45)
【Fターム(参考)】