説明

透明反射防止板

【課題】透明性、耐熱性、密着性及び耐傷つき性に優れた反射防止板を提供する。
【解決手段】本発明のアリルエステル樹脂硬化物を基材として用いることにより、耐熱性、透明性に優れた反射防止透明板を提供することができる。また、密着性、耐傷つき性も優れているため、反射防止層形成時において、ハードコートや接着層を設けることなく反射防止板を製造することが可能となり、生産性も向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、耐熱性、密着性及び耐傷つき性に優れた反射防止板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットパネルディスプレイなどに用いられている透明電極基板、保護板、偏向板などの透明性基材は、光の反射を防止する目的で、基材の表面に反射防止層が設けられている。この反射防止層は、基材表面に光の波長程度の厚みの薄膜を形成し、光の干渉効果により反射率を下げるものである。
【0003】
このような反射防止層には、低屈折率の材料を単層で使用する単層構造と、高屈折率と低屈折率の膜を交互に組み合わせた多層構造がある。多層構造にすると広い波長領域の反射防止が可能になるが、層が多くなると、透明性が低下する傾向にある。
そのため、反射防止層を施した反射防止板の基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどの透明性の高い樹脂が用いられている。
【0004】
また、このような反射防止板の基材として用いられる樹脂には、透明性以外に耐熱性、反射防止膜との密着性、耐傷つき性などが求められ、これらの具体的な値としては、ガラス転移温度は200℃以上、鉛筆硬度は3H以上であることが望ましい。
基材に耐熱性が求められる理由としては、反射防止層の形成時に熱がかかること、さらに、自動車に搭載するための液晶ディスプレイなどのように、高温の環境下で使用される場合があることが挙げられる。
【0005】
しかし、従来基材として使用されている樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度は70℃、ポリメチルメタクリレートのガラス転移温度は100℃程度であり、耐熱性が必ずしも十分ではない。
一方、ポリカーボネートのガラス転移温度は140℃程度であり、ポリエチレンテレフタレートやポリメチルメタクリレートに比べると比較的耐熱性に優れている。しかし、ポリカーボネートは表面硬度が低く、反射防止膜形成時に傷つきやすいため、更にハードコート処理をする必要がある。
【0006】
さらに、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートは反射防止膜との密着性が必ずしも十分とは言えず、場合によっては基材と反射防止膜の間に接着層を設ける必要があり、この点も生産工程上で問題となっていた。
【0007】
上述したような問題点を解決するために、特開平9−120002号公報(特許文献1)ではノルボルネン系樹脂を用いた基材が提案されている。ノルボルネン系樹脂は耐熱性及び反射防止膜との密着性に優れ、ハードコート処理をすることなく反射防止板とすることができる。
しかし、ノルボルネン系樹脂自体の鉛筆硬度はHであり、必ずしも十分な表面硬度を有しているとは言えない。また、ガラス転移温度は160℃であり、耐熱性においても十分とは言えない。
【0008】
【特許文献1】特開平9−120002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決し、透明性、耐熱性、密着性及び耐傷つき性に優れた反射防止板を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、基材としてアリルエステル樹脂を用いることにより、従来の反射防止板用樹脂組成物を用いる場合よりも高い耐熱性のみならず、反射防止膜との密着性、透明性及び耐傷つき性の優れた特性を与えることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、以下の[1]〜[9]の事項からなる。
[1]アリルエステル樹脂組成物を硬化して得られるアリルエステル樹脂板上に反射防止層を形成したことを特徴とする透明反射防止板。
[2]アリルエステル樹脂組成物が、アリル基及び/またはメタリル基を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物を含む前記1に記載の透明反射防止板。
[3]アリルエステル樹脂組成物が、さらに一般式(1)
【化1】

(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してアリル基またはメタリル基のいずれかの基を表し、A1はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表す。)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含む前記2に記載の透明反射防止板。
[4]アリルエステル化合物の少なくとも一種が一般式(2)
【化2】

(式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表す。)
で表される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
【化3】

(式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することが出来る。)
で表される構造を構成単位として有する前記2に記載の透明反射防止板。
[5]前記一般式(1)、(2)及び(3)におけるジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である前記4に記載の透明反射防止板。
[6]アリルエステル樹脂組成物が、さらに反応性モノマーを含む前記1〜5のいずれかに記載の透明反射防止板。
[7]反射防止層の少なくとも一つがSiO2またはZrO2からなる前記1〜6のいずれかに記載の透明反射防止板。
[8]前記1〜7のいずれかに記載の透明反射防止板を使用したディスプレイ装置。
[9]前記1〜7のいずれかに記載の透明反射防止板を使用した窓板。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアリルエステル樹脂硬化物を基材として用いることにより、耐熱性、透明性に優れた反射防止透明板を提供することができる。また、密着性、耐傷つき性も優れているため、反射防止層形成時において、ハードコートや接着層を設けることなく反射防止板を製造することが可能となり、生産性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の透明反射防止板についてより詳細に説明する。
【0014】
[アリルエステル樹脂]
本発明のアリルエステル樹脂は、熱硬化性樹脂の一種である。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む)を指す場合と、その硬化物を示す場合の二通りの場合があるが、本明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
【0015】
[アリルエステル樹脂組成物]
本発明の反射防止板に用いるアリルエステル樹脂組成物は、アリル基またはメタリル基(以降、この両者をあわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
【0016】
(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物は、
(1)(メタ)アリル基及び水酸基を含む化合物(ここではアリルアルコールと総称する)とカルボキシル基を含む化合物とのエステル化反応、
(2)(メタ)アリル基及びカルボキシル基を含む化合物と水酸基を含む化合物とのエステル化反応、または
(3)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物と多価アルコールとのエステル交換反応により得ることができる。
(1)及び(2)中の「カルボキシル基を含む化合物」がジカルボン酸とジオールとのポリエステルオリゴマーである場合には、末端のみアリルアルコールとのエステルとすることもできる。
【0017】
また、(3)中の「アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物」の具体例としては、下記一般式(1)
【化4】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立してアリル基またはメタリル基のいずれかの基を表し、A1はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表す。)
で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。この化合物は後述するアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)として本発明のアリルエステル樹脂組成物に含まれてもよい。一般式(1)中のA1は後述の一般式(2)及び(3)におけるA2、A3と同様のものが好ましい。
【0018】
本発明のアリルエステル樹脂組成物の主な硬化成分である(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物としては、アリル基及び/またはメタリル基を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物(以下、これを「アリルエステルオリゴマー」と記載することがある。)であることが好ましい。
また、その他の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
【0019】
[アリルエステルオリゴマー]
本発明のアリルエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)
【化5】

(式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表す。)
で示される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)
【化6】

(式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することが出来る。)
で示される構造を構成単位として有する化合物が好ましい。
【0020】
本発明のアリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(2)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(3)においてXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のR3も複数個存在することになるが、これらの各R3は必ずしも同じ種類でなくてもよく、ある末端はアリル基、他の末端はメタリル基という構造であっても構わない。
また、全てのR3がアリル基またはメタリル基でなければならないということはなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部がメチル基またはエチル基等の非重合性基であってもよい。
【0021】
2で表される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のA2はベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造であってもよい。
一般式(2)におけるA2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA2に隣接するカルボニル構造で示されている。したがって、A2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
【0022】
2構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、中でもテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の非環状のジカルボン酸を使用してもよい。
【0023】
前記一般式(3)で示される構造単位は、アリルエステルオリゴマー中に少なくとも1つは必要であるが、この構造をくり返してアリルエステルオリゴマー全体の分子量をある程度大きくした方が適切な粘度が得られるので作業性が向上し、また硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎるため、ガラス転移温度(Tg)が低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。
アリルエステルオリゴマーの重量平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000が更に好ましい。
【0024】
また、一般式(3)におけるA3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるA2と同様である。
【0025】
一般式(3)中のXは、多価アルコールから誘導された有機残基を表す。
多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、好ましくは2個の水酸基を有する化合物である。X自体は多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。
また、多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が結合していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
【0026】
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、イソシアヌル酸のエチレンオキシド付加体、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド付加体、D−ソルビトール及び水素化ビスフェノールA等が挙げられる。
【0027】
アリルエステルオリゴマー中の一般式(3)で示される構造単位としては、同一の構造単位が繰り返されていてもよいが、異なる構造単位が含まれていてもよい。つまり、アリルエステルオリゴマーは共重合タイプであってもよい。この場合、一つのアリルエステルオリゴマーには数種類のXが存在することになる。例えば、Xの一つがプロピレングリコール由来の残基、もう一つのXがトリメチロールプロパン由来の残基であるというような構造でもよい。この場合、アリルエステルオリゴマーはトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。A3も同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にR3がアリル基、A2,A3がイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式の一例を示す。
【0028】
【化7】

【0029】
[硬化剤]
本発明のアリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。中でも、本発明のアリルエステル樹脂組成物を熱硬化させる点からは有機過酸化物が特に好ましい。
【0030】
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の公知のものが使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
【0031】
また、上記の光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は1種でもよく、2種以上を混合ないし組み合わせて用いてもよい。
【0032】
これらの硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物100質量部中、0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することがより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと充分な硬化速度を得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物がもろくなり、機械強度が低下する場合がある。
【0033】
[反応性モノマー]
本発明のアリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。
【0034】
これらの反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
【0035】
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
更に、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0036】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
【0037】
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−(ω−(メタ)アクリロイロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;
シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;
トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;
更にペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の四官能の架橋性モノマー等が挙げられる。
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。
【0038】
これらの反応性モノマーの使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5質量部〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下効果が小さく、作業性が悪化したり、また、反応性モノマーとして単官能モノマーを多量に使用した場合には、架橋密度が低くなり耐熱性が不十分になることがあるため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性が発現されなかったり、アリルエステル樹脂由来の機械強度が低下する場合があり好ましくない。
【0039】
[ラジカル反応性の樹脂成分]
本発明のアリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
【0040】
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、必要に応じてスチレン等の重合性不飽和化合物に溶解したもので、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1988年発行)第16〜18頁及び第29〜37頁などに記載されている樹脂を挙げることができる。この不飽和ポリエステル樹脂は公知の方法で製造することができる。
【0041】
ビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレートとも呼ばれ、一般にエポキシ樹脂に代表されるエポキシ基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂、またはカルボキシル基を有する化合物と、グリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物のエポキシ基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂を指す。詳しくは「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1988年発行)第336〜第357頁などに記載されている。このビニルエステル樹脂は公知の方法により製造することができる。
【0042】
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。
【0043】
これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。
ラジカル反応性の樹脂成分の使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
【0044】
[添加剤]
本発明の反射防止板用アリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0045】
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
【0046】
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いてもよい。
【0047】
紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
しかし、これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
【0048】
[溶媒]
また、本発明の反射防止板用アリルエステル樹脂組成物を硬化する際、硬化方法により粘度を低下させる必要があれば、溶剤を使用しても構わない。ただし、後で溶媒の除去が必要となるので、粘度は前述した反応性モノマーで調整することが好ましい。
粘度調整に使用することのできる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、エチルアルコール、(イソ)プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。
【0049】
[アリルエステル樹脂組成物の粘度]
当該硬化性樹脂の粘度の測定方法は、JIS K6901に準拠した方法で測定することができる。
本発明の反射防止板用アリルエステル樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、成形する際の方法に適した粘度であることが好ましい。
例えば、注型成形においては、25℃における粘度が0.01〜1,000Pa・sの範囲であることが好ましい。粘度が0.01Pa・sより低い、または、1,000Pa・sより高いと作業性が悪くなり好ましくない。
【0050】
また、例えば、トランスファー成形においては、80℃における粘度が0.01〜1,000Pa・sの範囲であることが好ましい。80℃における粘度が0.01Pa・sより低い、または1,000Pa・sより高いと成形不良となる可能性が高く好ましくない。
【0051】
[アリルエステル樹脂硬化物]
アリルエステル樹脂組成物は前記のアリルエステルオリゴマー、反応性モノマー、硬化剤、各種添加剤を公知の方法で混合することにより得ることができる。当該組成物は熱や紫外線、電子線を用いて、ロールコーター、スピンコーター等のコーティング、注型成形法、光造形法等の硬化方法により硬化させることができる。
また、アリルエステル樹脂硬化物の形状は、その成形方法により、フィルム状あるいはシート状になり得る。厚さについては特に制限はないが、通常0.001〜10mmであり、好ましくは0.005〜3mmである。
【0052】
本発明のアリルエステル樹脂組成物を成形する際の硬化温度は約30〜150℃、好ましくは40〜130℃である。硬化時の収縮やひずみを考慮すると、徐々に昇温しながら硬化する方法が好ましい。
硬化に要する時間は、一般的には0.5〜100時間、好ましくは2〜30時間かけて硬化するのが良い。
【0053】
[反射防止板]
本発明の反射防止板は、前記アリルエステル樹脂硬化物からなる基材上に反射防止層が形成されたものである。
反射防止層は、反射防止膜を単層で成形する場合もあるが、一般的には、目的の反射防止特性を得るために所定の光学膜厚nd(屈折率n×形状膜厚d)の層から構成され、高屈折率層と低屈折率層を交互に複数積層されて使用される。
【0054】
上記反射防止層の厚みは、反射防止性能が発現されるものであれば、特に限定されることはないが、好ましくは0.005〜5μmである。皮膜の厚みが0.005μm未満の場合では、基材に完全に密着させることが難しくなり、均一性に問題が生じる。また、厚みが5μmを超えると膜が厚すぎて透明性が低下する傾向がある。
【0055】
反射防止膜としては、公知の膜がすべて適用できるが、構成される成分として、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化珪素、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウムなどが用いられる。
これらのうち、アリルエステル樹脂組成物との密着性に優れている点で、酸化珪素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の反射防止膜がより好ましい。
【0056】
反射防止膜を形成する方法としてはスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等が挙げられる。また、成膜時の基材加熱温度は、基材の熱変形温度以下で行うことが好ましい。
【0057】
スパッタリング法としては、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基材に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
【0058】
本発明の反射防止板は、液晶ディスプレイ等各種ディスプレイ素子フィルム、保護板、偏光板、防眩フィルム、位相差フィルム、透明導電性板や自動車のメーターの保護ガラス代替板などとして使用することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
なお、本実施例及び比較例に記載している測定値は、以下の方法で測定した。
【0060】
[ガラス転移温度の測定]
ガラス転移温度(Tg)の測定は、サーモアナライザー TMA−50(島津製作所(株)製)を用いてTMA法(熱機械分析法)の圧縮モードで測定を行った。試験片のサイズは、3×8×8(mm)を用い、窒素の雰囲気下(流量50mL/分)で、昇温速度5℃/分で260℃まで温度を上げた後、30℃まで冷却し、再度昇温速度5℃/分で30〜300℃の間で線膨張係数を測定し、その不連続点を求めることにより決定した。
【0061】
[テープ剥離試験]
反射防止板の表面に1mm×1mmの大きさのマス目をカッターナイフで100マス作製し、JIS−D−0202に準じてテープを基材表面に密着させた後剥離するテープ剥離試験を行った。判定は100マスの内、剥離しないマス目の数で表し、反射防止膜が剥離しない場合を100/100、完全に剥離する場合を0/100として表した。
【0062】
[鉛筆硬度]
反射防止板の鉛筆硬度をJIS−K6894に準じて評価した。
【0063】
[全光線透過率]
反射防止板(30mm×30mm×3mm)の試験片を日本電色工業(株)製の濁度計NDH200を用いて、JIS K7361−1に従い測定をした。
【0064】
[合成例1]
蒸留装置のついた容量2リットルの三つ口フラスコに、ジアリルテレフタレート1625g、プロピレングリコール167g、ジブチル錫オキサイド0.813gを仕込み、窒素気流下、180℃に加熱し、生成してくるアリルアルコールを留去しながら反応させた。留去したアルコールが約170gになったところで反応系内を約4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アルコールの留出速度を速めた。留出液が殆ど出なくなったところで、反応系内を0.5kPaに減圧し、更に1時間反応させた後、反応物を冷却した。この反応式を下記に示す。
【化8】

以下、これにより得られた反応物を「オリゴマー(1)」とする。
【0065】
[合成例2]
蒸留装置のついた容量2リットルの三つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1400g、トリメチロールプロパン165.4g、ジブチル錫オキサイド1.40gを仕込み、窒素気流下、180℃に加熱し、生成してくるアリルアルコールを留去しながら反応させた。留去したアルコールが約150gになったところで反応系内を約4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アルコールの留出速度を速めた。留出液が殆ど出なくなったところで、反応系内を0.5kPaに減圧し、更に1時間反応させた後、反応物を冷却した。以下、これにより得られた反応物を「オリゴマー(2)」とする。
【0066】
[実施例1]
合成例1で作製したオリゴマー(1)100質量部に対しパーヘキサTMH(商品名:日本油脂株式会社製)3質量部を加え十分撹拌し、2枚のガラス板の間に3mmのシリコンゴムスペーサーを挟み込んだ鋳型に流し込み、空気雰囲気下のオーブン中、80℃で2時間保持、80℃から100℃まで8時間かけて昇温、100℃で2時間保持、100℃から120℃まで4時間かけて昇温、120℃で2時間保持という昇温条件で硬化させ、樹脂板を作製した。この硬化物のTgを測定したところ、273℃であった。
【0067】
この樹脂板を真空蒸着器内にセットし、真空蒸着法により反射防止膜を2層形成した。第一層はZrO2層(膜厚120nm)、第二層はSiO2層(膜厚85nm)とした。
尚、各層の蒸着材料の加熱・蒸発は電子ビームで行い、真空槽内部が常に真空度1×10-3Paとなるように真空計と連動させて電磁弁をコントロールしながら、導入酸素量を調整した。
得られた反射防止板のテープ剥離試験は100/100であり、密着性は良好であった。また、鉛筆硬度は4H、全光線透過率は95.7%であった。
【0068】
[実施例2]
オリゴマー(1)の代わりに合成例2で作製したオリゴマー(2)を用いた以外、実施例1と同様の方法で樹脂板を作製した。この硬化物のTgを測定したところ、313℃であった。
【0069】
さらに、実施例1と同様の方法で、その樹脂板に2層の反射防止膜を積層した。第一層はZrO2層(膜厚90nm)、第二層はSiO2層(膜厚85nm)とした。
得られた反射防止板のテープ剥離試験は100/100であり、密着性は良好であった。また、鉛筆硬度は4H、全光線透過率は97.7%であった。
【0070】
[比較例1]
市販のポリカーボネート製樹脂板(Tg:145℃)に実施例1と同様の方法で2層の反射防止膜を積層した。第一層はZrO2層(膜厚75nm)、第二層はSiO2層(膜厚83nm)とした。
得られた反射防止板のテープ剥離試験で0/100であり、鉛筆硬度はHBであった。全光線透過率は93.8%であった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の反射防止板は、液晶ディスプレイ等各種ディスプレイ素子フィルム、保護板、偏光板、防眩フィルム、位相差フィルム、透明導電性板や自動車のメーターの保護ガラス代替板などとして使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリルエステル樹脂組成物を硬化して得られるアリルエステル樹脂板上に反射防止層を形成したことを特徴とする透明反射防止板。
【請求項2】
アリルエステル樹脂組成物が、アリル基及び/またはメタリル基を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物を含む請求項1に記載の透明反射防止板。
【請求項3】
アリルエステル樹脂組成物が、さらに一般式(1)
【化1】

(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してアリル基またはメタリル基のいずれかの基を表し、A1はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表す。)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含む請求項2に記載の透明反射防止板。
【請求項4】
アリルエステル化合物の少なくとも一種が一般式(2)
【化2】

(式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表す。)
で表される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
【化3】

(式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することが出来る。)
で表される構造を構成単位として有する請求項2に記載の透明反射防止板。
【請求項5】
前記一般式(1)、(2)及び(3)におけるジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項4に記載の透明反射防止板。
【請求項6】
アリルエステル樹脂組成物が、さらに反応性モノマーを含む請求項1〜5のいずれかに記載の透明反射防止板。
【請求項7】
反射防止層の少なくとも一つがSiO2またはZrO2からなる請求項1〜6のいずれかに記載の透明反射防止板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の透明反射防止板を使用したディスプレイ装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の透明反射防止板を使用した窓板。

【公開番号】特開2008−44357(P2008−44357A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185130(P2007−185130)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】