説明

通信システムおよび端末装置

【課題】各拠点間の遅延時間を制御することで、ネットワーク全体の遅延時間の最適化を図ること。
【解決手段】各拠点A,B,Cのテレビ会議端末110によって取得される映像または音声を、ネットワークNWを介して通信するテレビ会議システム100であって、テレビ会議端末110は、各拠点間の通信に関する遅延時間Tab,Tac,Tbcを取得する。そして、拠点間のうち、対話をおこなっている拠点間を検出する。テレビ会議端末110は、取得された遅延時間に基づいて、対話が検出された拠点間以外の拠点間の遅延時間のうち、少なくとも、対話が検出された拠点間における二拠点と、当該二拠点に接続された拠点との拠点間の遅延時間が、対話が検出された拠点間の遅延時間以上になるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末装置間で情報の送受信をおこなう通信システムおよび端末装置に関し、特に、各拠点の端末装置によって取得される映像または音声を、ネットワークを介して各拠点間で通信により会議をおこなう通信システムおよび端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ会議システムは、複数の拠点間で会議をおこなう際、各拠点間で相互に映像または音声などのメディアを送受信する。各拠点間の遅延時間は、ネットワークの状況によって異なる。近年では、相手拠点への転送遅延量と、相手拠点の端末装置の受信用バッファ遅延量に基づいて、各端末装置で新たなバッファ遅延量を決定することで、多拠点間で常にメディアの遅延を同期させる提案がされている(特許文献1)。
【0003】
具体的には、図7を用いて遅延時間の同期について説明する。図7は、従来技術における遅延時間制御の概要を示す説明図である。図7において、テレビ会議システム700は、拠点A,B,Cに設置された端末装置によってテレビ会議がおこなわれている。各拠点A,B,Cの端末装置間で映像および音声のパケットなどを送受信する場合、介在するネットワークNWの帯域幅や混雑などの環境、各端末の性能などによって、それぞれネットワークNWに遅延時間Tab,Tac,Tbcが発生する。
【0004】
図7では、遅延時間の制御をおこなっていない場合、遅延時間一覧710に示すように、拠点Aと拠点Bの拠点間の遅延時間Tabは0.1(s)、拠点Aと拠点Cの拠点間の遅延時間Tacは0.2(s)、拠点Bと拠点Cの拠点間の遅延時間Tbcは0.3(s)である。従来技術では、遅延時間一覧720に示すように、遅延時間Tab,Tac,Tbcについて、最も大きな遅延時間Tbcに揃えて遅延の同期をおこなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−354351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の従来技術では、接続されたすべての端末装置間の遅延時間を同期させる構成であるため、各拠点間の遅延時間のうち最大の遅延時間にあわせて、各拠点間の遅延時間を制御しなければならない。したがって、対話をおこなう拠点間の遅延時間が小さくても、他の拠点間の遅延時間が大きい場合、無駄に遅延時間を増大させることになるという問題が一例として挙げられる。具体的には、たとえば、図7に示した例では、拠点Aと拠点Cとの間で対話があった場合であっても、拠点Bと拠点Cとの遅延時間Tbcに揃えて他の遅延時間Tab,Tacを大きな値としなければならなかった。
【0007】
この発明は、上述した問題を解決するため、対話をおこなっている拠点間の遅延時間に基づいて、各拠点間の遅延時間を制御することで、ネットワーク全体の遅延時間の最適化を図ることのできる通信システムおよび端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる通信システムは、各拠点の端末装置によって取得される映像または音声を、ネットワークを介して各拠点間で通信する通信システムであって、前記各拠点間の通信に関する遅延時間を取得する取得手段と、前記拠点間のうち、対話をおこなっている拠点間を検出する検出手段と、前記取得手段によって取得された遅延時間に基づいて、前記対話が検出された拠点間以外の拠点間の遅延時間のうち、少なくとも、前記対話が検出された拠点間における二拠点と、前記二拠点に接続された拠点との拠点間の遅延時間が、前記対話が検出された拠点間の遅延時間以上になるように制御する遅延制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明にかかる通信システムは、請求項1に記載の発明において、前記遅延制御手段は、前記各拠点間の通信に関する遅延時間のうち、前記対話が検出された拠点間の遅延時間より短い遅延時間を、前記対話が検出された拠点間の遅延時間以上に制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明にかかる通信システムは、請求項1または2に記載の発明において、前記遅延制御手段は、前記対話が検出された拠点間の二拠点と、前記二拠点と接続された拠点との拠点間の遅延時間を、前記対話が検出された拠点間の遅延時間以上に制御することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明にかかる通信システムは、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記遅延制御手段は、前記対話が検出された拠点間の遅延時間と、前記対話が検出された拠点間以外の拠点間の遅延時間との差分に基づいて、前記映像または音声の送信を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明にかかる通信システムは、請求項4に記載の発明において、前記遅延制御手段は、前記差分に基づいて、前記端末装置のバッファメモリを用いて、前記映像または音声の送信タイミングまたは再生タイミングを変更することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明にかかる端末装置は、各拠点から取得される映像または音声を、ネットワークを介して各拠点間で通信する端末装置であって、前記各拠点間の通信に関する遅延時間を取得する取得手段と、一の端末装置と対話をおこなう他の端末装置を検出する検出手段と、前記取得手段によって取得された遅延時間に基づいて、少なくとも、前記他の端末装置と当該他の端末装置に接続される前記一の端末装置以外の端末装置との拠点間および前記一の端末装置と当該一の端末装置に接続される前記他の端末装置以外の端末装置との拠点間の遅延時間が、前記対話が検出された前記一の端末装置と前記他の端末装置との拠点間の遅延時間以上になるように、前記各拠点の端末装置に遅延時間制御信号を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明によれば、対話が検出された拠点間以外の拠点間のうち、対話が検出された二拠点と当該二拠点に接続されている拠点間の遅延時間が、対話が検出された拠点間の遅延時間以上になるように制御することができる。したがって、対話に関連する拠点間の遅延時間を適切に制御することができる。換言すれば、対話をおこなっている拠点間と、対話をおこなっている拠点と当該拠点に接続された拠点間の遅延時間のみ制御し、それ以外の対話とは無関係の拠点間の遅延時間を無駄に制御することなく、最適な遅延時間の制御をおこなうことができる。
【0015】
また、対話している拠点間では、一方からの話が他方に到達するのに、対話が検出された拠点間の遅延時間が経過する必要がある。したがって、一方の話が終了した後に他方が話し始めるタイミングは、対話が検出された拠点間の遅延時間分遅れることとなる。上記発明によれば、対話が検出された二拠点に接続されている拠点間の遅延時間は、対話が検出された拠点間の遅延時間以上となるため、一方の話が当該二拠点に接続されている拠点間に到達するのは、他方が話し始めるタイミングよりさらに遅くなる。したがって、対話をしている拠点間以外の拠点から不用意に対話に割り込むことを防止でき、円滑な対話を妨げてしまうことを防止できる
請求項2にかかる発明によれば、対話が検出された拠点間の遅延時間よりも短い遅延時間を制御することができる。したがって、対話のない拠点間における遅延時間のうち、遅延時間を制御する必要のある遅延時間を適切に選択することで、遅延時間の制御の効率化を図ることができる。
【0016】
請求項3にかかる発明によれば、対話が検出された拠点間の遅延時間よりも短い遅延時間を制御することができる。したがって、対話のない拠点間の遅延時間のうち、対話がおこなわれている拠点との新たな対話が開始される可能性のある拠点間を適切に選択することで、遅延時間の制御の効率化を図ることができる。
【0017】
請求項4にかかる発明によれば、遅延時間との差分に基づき、遅延時間を制御することができるため、適切な時間幅で遅延時間を制御することができる。
【0018】
請求項5にかかる発明によれば、バッファメモリを用いて映像または音声の送信タイミングや再生タイミングを変更することができるため、簡易な構成で遅延時間を制御することができる。
【0019】
請求項6にかかる発明によれば、対話が検出された拠点間以外の拠点間のうち、対話が検出された二拠点と当該二拠点に接続されている拠点間の遅延時間が、対話が検出された拠点間の遅延時間になるように制御することができる。したがって、対話に関連する拠点間の遅延時間を適切に制御することができる。
【0020】
以上説明したように、本発明にかかる通信システムおよび端末装置よれば、対話をおこなっている拠点間の遅延時間に基づいて、各拠点間の遅延時間を制御することで、ネットワーク全体の遅延時間の最適化を図ることのできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態にかかるテレビ会議システムの一例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるテレビ会議端末の機能的構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる各拠点間の音声パケット量を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる遅延時間制御の概要を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態にかかるテレビ会議システムの処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態にかかる変形例について、4拠点のテレビ会議の一例を示す説明図である。
【図7】従来技術における遅延時間制御の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる通信システムおよび端末装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(実施形態)
(全体構成)
図1を用いて、本発明の実施形態にかかる通信システムを、複数拠点に設置されたテレビ会議端末によってテレビ会議をおこなうテレビ会議システムに適用した場合について説明する。図1は、本発明の実施形態にかかるテレビ会議システムの一例を示す説明図である。なお、本実施形態1では、各拠点(拠点A,拠点B,拠点C)に設置されたテレビ会議端末110(110a,110b,110c)によって、本発明にかかる端末装置を実現し、テレビ会議端末110を利用して参加者同士がテレビ会議をおこなうテレビ会議システム100によって、本発明にかかる通信システムを実現する場合について説明する。
【0024】
図1において、テレビ会議システム100は、各拠点A,B,Cに設置されたテレビ会議端末110a,110b,110cがネットワークNWを介して接続されて構成されている。具体的には、テレビ会議システム100は、地理的に離れた各拠点A,B,Cに設置されたテレビ会議端末110a,110b,110cがインターネットなどのネットワークNWを介して接続されたり、建物内の離れた各拠点A,B,Cに設置されたテレビ会議端末110a,110b,110cがLAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワークNWを介して接続されたりしている。なお、図1では、テレビ会議端末110a,110b,110cがネットワークを介して相互に接続されることとして説明するが、ネットワーク上の任意の位置に設置された管理サーバなどを介して相互に接続される構成でもよい。また、ネットワークNWは、公衆電話回線網などであってもよい。
【0025】
テレビ会議システム100は、各拠点A,B,Cでテレビ会議に参加する参加者a,b,cの映像および音声をテレビ会議端末110によって送受信させる。テレビ会議端末110aは、カメラ212やマイク214によって自拠点Aにおける参加者aの映像および音声を取得する。テレビ会議端末110aは、取得した参加者aの映像および音声をパケット化して、ネットワークNWを介して他拠点B,Cのテレビ会議端末110b,110cに送信する。
【0026】
テレビ会議端末110aは、他拠点B,Cのテレビ会議端末110b,110cから送信される参加者b,cの映像および音声のパケットをネットワークNWを介して受信する。テレビ会議端末110aは、受信したパケットから参加者b,cの映像および音声をディスプレイ211やスピーカ213によって再生する。
【0027】
各テレビ会議端末110a,110b,110c間で、映像および音声のパケットなどを送受信する場合、介在するネットワークNWの帯域幅や混雑などの環境や、各テレビ会議端末110a,110b,110cの性能などによって、それぞれネットワークNWに遅延時間Tab,Tac,Tbcが発生する。
【0028】
テレビ会議端末110aは、遅延時間Tab,Tac,Tbcを取得する。テレビ会議端末110aは、自拠点のテレビ会議端末110aと接続されているテレビ会議端末110b,110cとの拠点間については、PINGコマンドをテレビ会議端末110b,110cに出力して、応答するまでの時間に基づいて拠点A,B間および拠点A,C間のネットワークNWにおける遅延時間Tab,Tacを取得する。テレビ会議端末110aは、テレビ会議端末110b,110cの拠点間については、テレビ会議端末110aがテレビ会議端末110bまたはテレビ会議端末110cに対して遅延時間Tbcの問合せをおこなうことで拠点B,C間のネットワークNWにおける遅延時間Tbcを取得する。
【0029】
テレビ会議端末110aは、対話をおこなっている拠点間を検出する。詳細は図3を用いて説明するが、テレビ会議端末110aは、他拠点B,Cのテレビ会議端末110b,110cからネットワークNWを介して自拠点Aに送信される音声パケットや自拠点Aから他拠点B,CへネットワークNWを介して送信する音声パケットを監視し、所定時間単位の中で音声パケット量が多い上位二拠点を、対話をおこなっている拠点間として検出する。
【0030】
テレビ会議端末110aは、対話が検出された拠点間以外の拠点間の遅延時間のうち、少なくとも、対話が検出された拠点間における二拠点と当該二拠点に接続された拠点との拠点間の遅延時間が、対話が検出された拠点間の遅延時間以上になるように制御する。これにより、遅延時間を制御する必要のある拠点間を適切に選択することができる。
【0031】
各拠点A,B,C間のネットワークNWにおける各遅延時間Tab,Tac,Tbcの大小関係をTab<Tac<Tbcとして説明する。テレビ会議端末110aは、拠点Aと拠点Cとの対話を検出すると、拠点A,B間、拠点B,C間の遅延時間Tab,Tbcが、遅延時間Tac以上になるよう制御する。遅延時間Tbcは遅延時間Tacよりも大きいため、テレビ会議端末110aは、遅延時間Tabのみ遅延時間Tac以上となるよう映像および音声のパケットの送信タイミングを制御すればよい。
【0032】
同様にして、テレビ会議端末110aは、拠点Aと拠点Bとの対話を検出した場合、遅延時間Tac,Tbcが、遅延時間Tab以上になるように制御する。この場合、テレビ会議端末110aは、遅延時間Tabが最も小さい時間であるため遅延時間Tac,Tbcを変更しなくてもよい。
【0033】
テレビ会議端末110aは、拠点Bと拠点Cとの対話を検出した場合、遅延時間Tab,Tacが、遅延時間Tbc以上になるように制御する。この場合、テレビ会議端末110aは、遅延時間Tab,Tacが、最も大きな時間である遅延時間Tbc以上になるように制御する。
【0034】
遅延時間Tab,Tac,Tbcの制御は、各テレビ会議端末110a,110b,110cの有するバッファメモリ(たとえば、図2における記憶媒体208)によっておこなう。テレビ会議端末110aは、遅延時間Tabが遅延時間Tac以上となるように制御する場合、拠点Bに送信する映像および音声のパケットを、バッファメモリによって遅延時間Tacと遅延時間Tabの差分だけ遅らせて、ネットワークNWを介して送信する。そして、拠点Bに対して、拠点Bが拠点Aに送信する映像および音声のパケットを、遅延時間Tacと遅延時間Tabの差分だけ遅らせるように指示する遅延時間制御信号を、ネットワークNWを介して拠点Bに送信する。
【0035】
テレビ会議端末110aは、遅延時間Tbcの制御をおこなう場合、遅延時間の差分を指示する遅延時間制御信号をテレビ会議端末110b,110cに、ネットワークNWを介して送信する。テレビ会議端末110b,110cは、ネットワークNWを介して受信した遅延時間制御信号に応じて、バッファメモリによって遅延時間Tbcを制御することとなる。
【0036】
なお、本発明の実施形態では、テレビ会議端末110aを例に挙げてネットワークNWの遅延時間を取得して、各遅延時間Tab,Tac,Tbcを制御する構成として説明するが、これに限ることはない。すなわち、他のテレビ会議端末110b,110cによってネットワークNWの遅延時間の取得、各遅延時間Tab,Tac,Tbcの制御をおこなう構成でもよい。また、複数のテレビ会議端末110のうち、ネットワークNWの遅延時間の取得、各遅延時間Tab,Tac,Tbcの制御をおこなう機器を選択する構成でもよい。たとえば、テレビ会議に最初に参加した機器や、参加者の優先順位などによって、ネットワークNWの遅延時間の取得、各遅延時間Tab,Tac,Tbcの制御をおこなう機器を選択できることとしてもよい。
【0037】
(機能的構成)
図2を用いて、テレビ会議端末110の機能的構成について説明する。図2は、本発明の実施形態にかかるテレビ会議端末の機能的構成の一例を示す説明図である。
【0038】
図2において、テレビ会議端末110は、CPU(セントラルプロセッシングユニット)201と、RAM(ランダムアクセスメモリ)202と、ROM(リードオンリーメモリ)203と、ディスプレイ211やカメラ212に対して映像の入出力を制御する映像I/F204と、スピーカ213やマイク214に対して音声の入出力を制御する音声I/F205と、各種情報の入力を受け付ける操作部206と、外部機器との通信を制御する通信I/F207と、各種情報を記憶する記憶媒体208とを備えている。また、テレビ会議端末110の各構成部は、バス200によってそれぞれ接続されている。
【0039】
CPU201は、テレビ会議端末110全体の制御をおこなう。CPU201は、RAM202をワークエリアとして、ROM203から読み込まれる各種プログラムを実行する。
【0040】
CPU201は、自拠点とネットワークNWを介して接続されている他拠点のテレビ会議端末110との遅延時間を取得する。CPU201は、ネットワークNWを介してPINGコマンドを他拠点のテレビ会議端末110に送信して、図示しないタイマによって応答時間を測定する。テレビ会議端末110は、測定された応答時間に基づいて、自拠点と接続された他拠点のテレビ会議端末110との拠点間ネットワークNWにおける遅延時間を取得して、記憶媒体208に記憶する。
【0041】
CPU201は、自拠点のテレビ会議端末110以外の拠点同士間の遅延時間について、他拠点のテレビ会議端末110に対して遅延時間の取得要求をおこなう。取得要求は、自拠点のテレビ会議端末110以外の拠点のテレビ会議端末110同士でPINGコマンドによって遅延時間を取得するように要求し、取得された遅延時間を自拠点のテレビ会議端末110へ送信させる。CPU201は、取得要求に応じて他拠点のテレビ会議端末110から送信される遅延時間を取得して、記憶媒体208に記憶する。
【0042】
遅延時間の取得は、任意のタイミングでおこなう構成でもよく、たとえば、テレビ会議が開始されたタイミングや、新たにテレビ会議端末110が接続されたり、切断されたりして参加者に変動があったタイミングや、所定周期でおこなう。
【0043】
CPU201は、テレビ会議をおこなっている複数のテレビ会議端末110の拠点間のうち、対話をおこなっている拠点間を検出する。CPU201は、所定時間に各拠点で送受信される音声パケットの容量(音声パケット量)に基づいて、音声パケット量の多い上位二拠点を、対話をおこなっている対話拠点として検出する。
【0044】
すなわち、CPU201は、後述するマイク214から集音された音声に基づく音声パケットについて、所定時間T(図5参照)にネットワークNWを介して他拠点に送信する音声パケット量を監視する。CPU201は、所定時間Tに他拠点からネットワークNWを介して受信される音声パケット量を監視する。CPU201は、直接接続されていないテレビ会議端末110がある場合、直接接続されたテレビ会議端末110を介して、直接接続されていないテレビ会議端末110が所定時間TにネットワークNWを介して送信している音声パケット量を監視する。
【0045】
なお、本実施形態では、CPU201によって音声パケット量を監視する構成としたが、これに限ることはない。具体的には、通信I/F207によって、自装置で送受信される音声パケット量を監視する構成としてもよい。
【0046】
ここで、図3を用いて、対話をおこなっている拠点間の検出について説明する。図3は、本発明の実施形態にかかる各拠点間の音声パケット量を示す説明図である。図3では、拠点Aのテレビ会議端末110aにおいて各拠点の音声パケット量を監視する場合について説明する。
【0047】
音声パケット量301は、所定時間Tに拠点Aから拠点B(または拠点C)に対してネットワークNWを介して送信した音声パケットの容量を示す。音声パケット量302は、所定時間Tに拠点Aが拠点BからネットワークNWを介して受信した音声パケットの容量を示す。音声パケット量303は、所定時間Tに拠点Aが他拠点CからネットワークNWを介して受信した音声パケットの容量を示す。なお、音声パケット量302については、拠点Bが拠点A(または拠点C)に送信した音声パケットの容量をテレビ会議端末110bから取得する構成でもよい。同様に、拠点Cが拠点A(または拠点B)に送信した音声パケットの容量をテレビ会議端末110cから取得する構成でもよい。
【0048】
CPU201は、所定時間T継続して監視した各拠点A,B,Cの音声パケット量301,302,303のうち、容量の多い上位の二拠点A,Cについて、対話をおこなっている拠点間として検出する。
【0049】
図2に戻って、映像I/F204は、CPU201の制御にしたがって、ディスプレイ211に各種情報を表示させる。映像I/F204は、たとえば、カメラ212によって撮像された自拠点の映像や、他拠点のテレビ会議端末110から受信された映像パケットをデコードした映像や、他拠点とのテレビ会議に関する処理画面などをディスプレイ211に表示させる。
【0050】
映像I/F204は、CPU201の制御にしたがって、カメラ212によって自拠点の参加者の映像を撮像する。映像I/F204は、CPU201の制御にしたがって、カメラ212によって撮像された映像を記憶媒体208に出力する。
【0051】
音声I/F205は、CPU201の制御にしたがって、スピーカ213に各種音声を出力させる。音声I/F205は、他拠点のテレビ会議端末110から受信された音声パケットをデコードした音声や、他拠点とのテレビ会議に関する案内音声などをスピーカ213に出力させる。
【0052】
音声I/F205は、CPU201の制御にしたがって、マイク214によって自拠点の参加者の音声を集音する。音声I/F205は、CPU201の制御にしたがって、マイク214によって集音された音声を記憶媒体208に出力する。
【0053】
操作部206は、参加者などから各種情報の入力を受け付ける。操作部206は、タッチパネルや操作ボタンなどによって構成され、テレビ会議に関する情報の入力を受け付けて、入力された信号をCPU201へ出力する。
【0054】
通信I/F207は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワークNWに接続され、このネットワークNWを介して他のテレビ会議端末110やその他外部機器に接続される。通信I/F207は、ネットワークとテレビ会議端末110内部のインターフェースをつかさどり、外部機器に対するデータの入出力を制御する。通信I/F207には、たとえば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0055】
通信I/F207は、CPU201の制御にしたがって、記憶媒体208に記憶された自拠点の映像および音声を、他拠点のテレビ会議端末110へネットワークNWを介して送信する。通信I/F207は、CPU201の制御にしたがって、映像および音声を映像パケットおよび音声パケットとして所定のタイミングでネットワークNWを介して送信する。
【0056】
CPU201は、対話をおこなっている拠点間が検出された場合、記憶媒体208に記憶されている各拠点間の遅延時間に基づいて、少なくとも対話が検出された拠点間における二拠点と、当該二拠点に接続された拠点との拠点間の遅延時間が、対話が検出された拠点間の遅延時間以上になるように映像パケットおよび音声パケットの送信タイミングを制御する。
【0057】
ここで、図4を用いて、本発明の実施形態にかかる遅延時間の制御について説明する。図4は、本発明の実施形態にかかる遅延時間制御の概要を示す説明図である。図4では、拠点Aのテレビ会議端末110aによって、拠点Aと拠点Cで対話がおこなわれていること検出された場合について説明する。
【0058】
テレビ会議端末110aのCPU201は、各拠点間の遅延時間Tab,Tac,Tbcを取得する。図4では、対話がない場合の遅延時間は、遅延時間一覧410に示すように、拠点Aと拠点Bの拠点間の遅延時間Tabは0.1(s)、拠点Aと拠点Cの拠点間の遅延時間Tacは0.2(s)、拠点Bと拠点Cの拠点間の遅延時間Tbcは0.3(s)である。
【0059】
テレビ会議端末110aのCPU201は、拠点A,Cの拠点間で対話が検出された場合について遅延時間一覧420が示すように、拠点Aと拠点Bの拠点間の遅延時間Tabは0.2(s)、拠点Aと拠点Cの拠点間の遅延時間Tacは0.2(s)、拠点Bと拠点Cの拠点間の遅延時間Tbcは0.3(s)となるよう映像パケットおよび音声パケットの送信タイミングを制御する。
【0060】
具体的には、テレビ会議端末110aのCPU201は、記憶媒体208に記憶された映像および音声について、拠点Bに対して、対話がおこなわれていない状態に比べて、遅延が0.1(s)加算されるように一時的に記憶してから各パケットを送信するように制御する。テレビ会議端末110aのCPU201は、記憶媒体208に記憶された映像および音声について、拠点Cに対して、対話がおこなわれていない状態に比べて、遅延を増減させずにネットワークNWを介して各パケットを送信するように制御する。
【0061】
すなわち、テレビ会議端末110aのCPU201は、対話がおこなわれている拠点間の遅延時間Tac以外の拠点間の遅延時間Tab,Tbcのうち、対話がおこなわれている拠点A,Cに接続された拠点B間の遅延時間Tab,Tbcが遅延時間Tac以上となるように制御する。このように、対話に関連する遅延時間Tab,Tbcを適切に選択し、対話している拠点間の遅延時間Tacが最小の時間となるように制御することができる。したがって、効率的に遅延時間を制御しつつ、現在おこなわれている対話に対して時間的に逆行する割り込みの発生を防ぎ円滑なテレビ会議を実現することができる。
【0062】
図2に戻って、記憶媒体208は、HD(ハードディスク)や着脱可能な記録媒体の一例としてのFD(フレキシブルディスク)などである。記憶媒体208は、それぞれのドライブデバイスを有し、CPU201の制御にしたがって各種データが記録される。また、記憶媒体208からは、それぞれのドライブデバイスの制御にしたがってデータが読み取られる。
【0063】
なお、各構成要素と、各機能を対応付けて説明すると、図2に示したCPU201、通信I/F207および記憶媒体208によって、本発明にかかる取得手段、検出手段および遅延制御手段の機能を実現する。また、CPU201および通信I/F207によって、本発明にかかる送信手段の機能を実現する。
【0064】
(テレビ会議システム100の処理の内容)
図5を用いて、本発明の実施形態にかかるテレビ会議システム100の処理の内容について説明する。図5は、本発明の実施形態にかかるテレビ会議システムの処理の内容を示すフローチャートである。図5のフローチャートでは、テレビ会議端末110aの処理の内容について説明する。図5のフローチャートでは、テレビ会議端末110aによって、遅延時間Tab,Tac,Tbcを取得して、対話拠点を検出し、遅延時間Tab,Tac,Tbcの制御をおこなう場合について説明する。
【0065】
図5のフローチャートにおいて、まず、CPU201は、テレビ会議が開始されたか否かを判断する(ステップS501)。テレビ会議の開始は、たとえば、参加者aによる操作部206の操作に基づいて、通信I/F207を介して他のテレビ会議端末110b,110cに対して接続要求をおこなう。通信I/F207を介して他のテレビ会議端末110b,110cから応答を受信することによって判断される。
【0066】
ステップS501において、テレビ会議が開始されるのを待って、開始された場合(ステップS501:Yes)は、CPU201は、ステップS501において開始されたテレビ会議の参加者a,b,cのいる拠点間の遅延時間を取得し、記憶媒体208に記憶する(ステップS502)。
【0067】
遅延時間は、たとえば、PINGコマンドを他拠点B,Cのテレビ会議端末110b,cに送信して、応答時間を測定する。CPU201は、測定された応答時間に基づいて、自拠点Aと接続された他拠点B,Cのテレビ会議端末110b,110cとの拠点間の遅延時間Tab,Tacを取得して、記憶媒体208に記憶する。
【0068】
CPU201は、自拠点Aのテレビ会議端末110a以外の拠点端末間の遅延時間について、他拠点B,Cのテレビ会議端末110b,110cに対して取得要求をおこなう。CPU201は、取得要求に応じて他拠点B,Cのテレビ会議端末110b,110cから送信される遅延時間Tbcを取得して、記憶媒体208に記憶する。
【0069】
CPU201は、図示しないタイマをリセットして、経過時間tを0に設定し(ステップS503)、ステップS501において開始されたテレビ会議に参加している各拠点B,Cに対して、通信I/F207を介して、映像および音声の各パケットをネットワークNWを介して送受信し、再生する(ステップS504)。拠点Aの参加者aは、ステップS504において再生された映像および音声によって、他拠点B,Cの参加者b,cと遠隔でテレビ会議をおこなうこととなる。
【0070】
CPU201は、ステップS503においてリセットされたタイマをカウントして、ステップS504において各拠点A,B,Cで送受信される音声パケット量を監視する(ステップS505)。
【0071】
CPU201は、ステップS505において音声パケット量が監視されている間に、所定時間Tが経過したか否かを判断する(ステップS506)。すなわち、ステップS503,504,505,506において、CPU201は、マイク214から集音された音声に基づく音声パケットについて、所定時間Tに他拠点B,CにネットワークNWを介して送信する音声パケット量と、他拠点B,CからネットワークNWを介して受信される音声パケット量を監視する。
【0072】
ステップS506において、所定時間Tが経過時間t以上の場合(ステップS506:No)は、CPU201は、ステップS504へ戻って処理を繰り返す。
【0073】
ステップS506において、所定時間Tが経過時間tよりも小さくなった場合(ステップS506:Yes)は、CPU201は、ステップS505において監視されていた各拠点A,B,CでネットワークNWを介して送受信される音声パケット量から対話をおこなっている対話拠点を検出する(ステップS507)。
【0074】
対話拠点の検出は、たとえば、所定時間T継続して監視した各拠点A,B,Cの音声パケット量のうち、音声パケット量の多い上位の二拠点A,Cについて、対話をおこなっている拠点として検出する。
【0075】
CPU201は、ステップS507において検出された対話拠点に接続している拠点の遅延時間を制御する(ステップS508)。CPU201は、対話が検出された拠点間における二拠点と、当該二拠点に接続された拠点との拠点間の遅延時間が、対話が検出された拠点間の遅延時間以上になるように映像パケットおよび音声パケットの送信タイミングを制御する。
【0076】
CPU201は、ステップS501で開始されたテレビ会議が終了するか否かを判断する(ステップS509)。テレビ会議の終了は、たとえば、参加者aによる操作部206の操作に基づいて、通信I/F207を介して他のテレビ会議端末110b,110cに対して切断要求をおこなう。通信I/F207を介して他のテレビ会議端末110b,110cから応答を受信することによって判断される。
【0077】
ステップS509において、テレビ会議が継続される場合(ステップS509:No)は、ステップS503へ戻って処理を繰り返す。ステップS509において、テレビ会議が終了される場合(ステップS509:Yes)は、そのまま一連の処理を終了する。
【0078】
なお、本発明の各構成要素における処理と、本発明の実施形態の各処理または各機能とを関連付けて説明すると、ステップS502におけるCPU201および通信I/F207の処理によって、本発明にかかる取得手段の処理が実行される。ステップS507におけるCPU201の処理によって、本発明にかかる検出手段の処理が実行される。ステップS508におけるCPU201および通信I/F207の処理によって、本発明にかかる遅延制御手段の処理が実行される。
【0079】
以上説明したように、本発明の実施形態にかかるテレビ会議システムおよびテレビ会議端末によれば、テレビ会議をおこなっている拠点のうち、対話をおこなっている拠点と当該拠点に接続された拠点との間の遅延時間を、対話をおこなっている拠点間の遅延時間以上に制御することができる。したがって、遅延時間を制御すべき拠点間を適切に選択することで、効率的な遅延時間の制御を図ることができる。
【0080】
換言すれば、本発明の実施形態にかかるテレビ会議システムおよびテレビ会議端末によれば、遅延時間を制御する対象を必要最小限にとどめつつ、円滑なテレビ会議を実現することができる。
【0081】
(その他の一部の変形例)
本発明の実施形態では特に、遅延時間Tab,Tac,TbcをPINGコマンドによって取得することとして説明したが、これに限ることはない。具体的には、各テレビ会議端末110a,110b,110cは、ネットワークNWを介して送受信する映像や音声にタイムスタンプを付与する。各テレビ会議端末110a,110b,110cは、相手側から受信した映像や音声のタイムスタンプと、再生した映像や音声の時刻とを比較することで遅延時間Tab,Tac,Tbcを取得する。このようにすれば、PINGコマンドを送受信する機能を有していなくても容易に遅延時間Tab,Tac,Tbcを取得することができる。
【0082】
本発明の実施形態では特に、対話をおこなっている拠点間について、ネットワークNWを介して送受信される音声を監視することで検出することとして説明したが、これに限ることはない。具体的には、各テレビ会議端末110a,110b,110cのカメラ212によって撮像される各参加者a,b,cの口の動きから、口の動きが多い参加者a,b,cの上位二拠点を対話がおこなわれている拠点間として検出する構成でもよい。
【0083】
本発明の実施形態では特に、各テレビ会議端末110a,110b,110cのバッファメモリ(記憶媒体208)によって、映像および音声の各パケットの送信タイミングを変更することで遅延時間Tab,Tac,Tbcを制御することとして説明したが、これに限ることはない。具体的には、テレビ会議端末110a,110b,110cのバッファメモリ(記憶媒体208)によって、再生タイミングを変更する構成でもよい。
【0084】
すなわち、テレビ会議端末110aは、拠点B,CからネットワークNWを介して受信した映像および音声を、バッファメモリによって遅延時間の差分だけ遅らせて再生する。また、テレビ会議端末110aは、拠点B,Cに対して、拠点AからネットワークNWを介して送信された映像および音声の各パケットを、遅延時間の差分だけ遅らせて再生するように指示する遅延時間制御信号を送信する。なお、再生タイミングによって遅延時間を制御する場合、CPU201によって制御される映像I/F204および音声I/F205によって、本発明にかかる遅延時間制御手段の機能を実現する。
【0085】
また、映像および音声の送信タイミング、再生タイミングのいずれか一方によって遅延時間を制御する構成であればよく、このようにすることで、各端末の機能に応じて確実に遅延時間を制御することができる。
【0086】
本発明の実施形態では特に、テレビ会議端末110aによって、遅延時間Tab,Tac,Tbcを制御することとして説明したが、これに限ることはない。具体的には、各テレビ会議端末110a,110b,110cのそれぞれが接続された拠点間の遅延時間を制御することとしてもよい。すなわち、自端末が、他端末と対話をした場合に、対話をした当該他端末以外の拠点間の遅延時間を制御することとなる。このようにすれば、1つの端末によってテレビ会議システム100全体を制御する必要がなくなるため、システム全体の処理負荷の分散を図ることができる。
【0087】
また、図示しない管理サーバを設けて、管理サーバによって遅延時間を制御する構成としてもよい。このようにすれば、テレビ会議に使用するテレビ会議端末110に対する負荷を低減させることができる。
【0088】
また、本発明の実施形態では特に、3つの拠点A,B,Cにおけるテレビ会議について説明したがこれに限ることはない。具体的には、4つ以上の拠点のテレビ会議についても適用可能である。
【0089】
ここで、4つ以上の拠点のテレビ会議の一例を、図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態にかかる変形例について、4拠点のテレビ会議の一例を示す説明図である。図6では、拠点Aのテレビ会議端末110aによって、拠点Aと拠点Cで対話がおこなわれていることが検出された場合について説明する。
【0090】
テレビ会議端末110aのCPU201は、各拠点間のネットワークNWにおける遅延時間Tab,Tac,Tad,Tbc,Tbd,Tcdを取得する。図6では、対話がない場合について遅延時間一覧610に示すように、拠点Aと拠点Bの拠点間の遅延時間Tabは0.1(s)、拠点Bと拠点Cの拠点間の遅延時間Tbcは0.2(s)、拠点Cと拠点Dの拠点間の遅延時間Tcdは0.3(s)、拠点Aと拠点Dの拠点間の遅延時間Tadは0.4(s)、拠点Aと拠点Cの拠点間の遅延時間Tacは0.5(s)、拠点Bと拠点Dの拠点間の遅延時間Tbdは0.6(s)である。
【0091】
テレビ会議端末110aのCPU201は、拠点A,Cの拠点間で対話が検出された場合について遅延時間一覧620が示すように、拠点Aと拠点Bの拠点間の遅延時間Tabは0.5(s)、拠点Bと拠点Cの拠点間の遅延時間Tbcは0.5(s)、拠点Cと拠点Dの拠点間の遅延時間Tcdは0.5(s)、拠点Aと拠点Dの拠点間の遅延時間Tadは0.5(s)、拠点Aと拠点Cの拠点間の遅延時間Tacは0.5(s)、拠点Bと拠点Dの拠点間の遅延時間Tbdは0.6(s)となるよう映像パケットおよび音声パケットの送信タイミングを制御する。
【0092】
すなわち、拠点A,Cと接続される拠点B,Dの拠点間の遅延時間Tab,Tad,Tbc,Tcdを、拠点A,Cの拠点間の遅延時間Tac以上になるように、各拠点での映像および音声の各パケットの送信タイミングを制御する。換言すれば、拠点A,C以外の拠点同士間である拠点Bと拠点Dの拠点間の遅延時間Tbdの制御はおこなわない。このようにすれば、対話に関連しない拠点間の遅延時間を制御することなく、対話に関連する拠点間の遅延時間のみを選択的に揃えることができるため、円滑な会議を実現することができる。
【0093】
また、もともと対話が検出された拠点A,Cの拠点間の遅延時間Tacよりも大きな遅延時間について制御をおこなわない構成としてもよい。このようにすれば、対話をおこなっている拠点間の対話を優先することとなるため、対話に対して時間的に逆行する割り込みの発生を防ぐことができる。
【0094】
また、上述した説明では、実施形態および一部の変形例について別々の例として説明したが、これに限ることはない。すなわち、それぞれを組み合わせた構成として、実施形態および一部の変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
【符号の説明】
【0095】
100 テレビ会議システム
110(110a,110b,110c) テレビ会議端末
A,B,C 拠点
a,b,c 参加者
Tab,Tac,Tbc 遅延時間
200 バス
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 映像I/F
205 音声I/F
206 操作部
207 通信I/F
208 記憶媒体
211 ディスプレイ
212 カメラ
213 スピーカ
214 マイク
301,302,303 音声パケット量


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各拠点の端末装置によって取得される映像または音声を、ネットワークを介して各拠点間で通信する通信システムであって、
前記各拠点間の通信に関する遅延時間を取得する取得手段と、
前記拠点間のうち、対話をおこなっている拠点間を検出する検出手段と、
前記取得手段によって取得された遅延時間に基づいて、前記対話が検出された拠点間以外の拠点間の遅延時間のうち、少なくとも、前記対話が検出された拠点間における二拠点と、前記二拠点に接続された拠点との拠点間の遅延時間が、前記対話が検出された拠点間の遅延時間以上になるように制御する遅延制御手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記遅延制御手段は、前記各拠点間の通信に関する遅延時間のうち、前記対話が検出された拠点間の遅延時間より短い遅延時間を、前記対話が検出された拠点間の遅延時間以上に制御することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記遅延制御手段は、前記対話が検出された拠点間の二拠点と、前記二拠点と接続された拠点との拠点間の遅延時間を、前記対話が検出された拠点間の遅延時間以上に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記遅延制御手段は、前記対話が検出された拠点間の遅延時間と、前記対話が検出された拠点間以外の拠点間の遅延時間との差分に基づいて、前記映像または音声の送信を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項5】
前記遅延制御手段は、前記差分に基づいて、前記端末装置のバッファメモリを用いて、前記映像または音声の送信タイミングまたは再生タイミングを変更することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
各拠点から取得される映像または音声を、ネットワークを介して各拠点間で通信する端末装置であって、
前記各拠点間の通信に関する遅延時間を取得する取得手段と、
一の端末装置と対話をおこなう他の端末装置を検出する検出手段と、
前記取得手段によって取得された遅延時間に基づいて、少なくとも、前記他の端末装置と当該他の端末装置に接続される前記一の端末装置以外の端末装置との拠点間および前記一の端末装置と当該一の端末装置に接続される前記他の端末装置以外の端末装置との拠点間の遅延時間が、前記対話が検出された前記一の端末装置と前記他の端末装置との拠点間の遅延時間以上になるように、前記各拠点の端末装置に遅延時間制御信号を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66480(P2011−66480A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212833(P2009−212833)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】