説明

通信システム及び通信端末

【課題】 商品としての価値を低下させることなく、使い勝手を向上させる通信システム及び通信端末を提供する。
【解決手段】 通信システム10は、無線の第1の伝送路300を介して情報を送信する第1の通信端末100と、第1の伝送路300を介して情報を受信すると共に、第1の伝送路300より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路400を介して情報を送信する第2の通信端末200とを含む。第1の通信端末100が、送信すべき情報の情報量を圧縮して圧縮後の情報を第2の通信端末200に送信する手段を有する。第2の通信端末200が、第1の通信端末100からの情報を伸張して伸張後の情報を第2の伝送路300を介して送信する手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術や実装技術の進歩によって、携帯可能な電子機器に種々の機能を具備させることができるようになっている。このような電子機器として、例えばウェアラブルコンピュータは、人間が身に付けて利用することを目的としている。
【0003】
例えば特許文献1には、携帯可能な電子機器を組み合わせて相互にリンクさせ、ローカルなネットワークを形成する使用形態が開示されている。
【特許文献1】特開2002−9879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の機能は、携帯可能な電子機器の本来の機能に付加されるものである。従って、特許文献1に開示されているようにネットワークを形成できる機能を電子機器に備えさせることができたとしても、該電子機器を購入する消費者にとって商品としての価値を低下させるものであっては意味がない。例えば電子機器として腕時計を考えた場合、腕時計に通信機能を持たせることができたとしても、腕時計の厚みや重さが消費者にとって耐えられない場合には、その腕時計の商品としての価値が低下してしまうことになる。これは、軽量且つ小型化により携帯性を特徴とする電子機器では、顕著となる。
【0005】
このように電子機器の商品としての価値を低下させずに、使い勝手を向上させた通信システムを構築できることが望ましい。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、商品としての価値を低下させることなく、使い勝手を向上させる通信システム及び通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、
無線の第1の伝送路を介して情報を送信する第1の通信端末と、
前記第1の伝送路を介して情報を受信すると共に、前記第1の伝送路より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路を介して情報を送信する第2の通信端末とを含み、
前記第1の通信端末が、送信すべき情報の情報量を圧縮して圧縮後の情報を前記第2の通信端末に送信する手段を有し、
前記第2の通信端末が、前記第1の通信端末からの情報を伸張して伸張後の情報を前記第2の伝送路を介して送信する手段を有する通信システムに関係する。
【0008】
また本発明に係る通信システムでは、
前記第1の通信端末が、
送信すべき情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された情報の情報量を圧縮する情報圧縮手段と、
前記情報圧縮手段により圧縮された情報を前記第1の伝送路を介して送信する第1の送信手段とを含むことができる。
【0009】
また本発明に係る通信システムでは、
前記第2の通信端末が、
前記第1の伝送路を介して前記第1の通信端末からの情報の受信処理を行う第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信処理された情報を伸張する情報伸張手段と、
前記情報伸張手段によって伸張された情報を前記第2の伝送路を介して送信するための送信処理を行う第2の送信手段とを含むことができる。
【0010】
また本発明に係る通信システムでは、
前記情報伸張手段が、
前記第1の受信手段によって受信処理されたテキスト情報を音声情報に変換し、
前記第2の送信手段が、
前記第2の伝送路を介して前記音声情報の送信処理を行うことができる。
【0011】
また本発明に係る通信システムでは、
前記第1の通信端末が、
所与の座標系において指定された座標情報を前記第1の伝送路を介して送信し、
前記第2の通信端末が、
前記情報伸張手段において前記座標情報に基づいて生成した画像の情報を前記第2の伝送路を介して送信することができる。
【0012】
また本発明に係る通信システムでは、
前記第1の通信端末が、
前記送信すべき情報として生体情報を検出し、該生体情報を所定時間内で集計することで情報量を圧縮し、
前記第2の通信端末が、
前記情報伸張手段において前記第1の通信端末からの情報に時間情報を付加することで情報の伸張を行うことができる。
【0013】
上記のいずれかの発明によれば、第1の通信端末が第1の伝送路を介して情報を送信できる最低限の機能を付加するのみで、例えば第1の通信端末からの情報を見やすく整形する機能は第2の通信端末に行わせることができる。これにより、第1の通信端末は、超低消費電力の通信機能等の必要最小限の機能のみを備えさせるだけでよいので、第1の通信端末の本来の商品としての価値を低下させることなく、使い勝手の良い通信システム及び通信端末を提供できるようになる。
【0014】
上記のいずれかのによれば、第1の通信端末が第1の伝送路を介して情報の受信を行ったことを通知させたり、或いはその情報量が圧縮された情報の内容を表示させたりするだけの機能を第2の通信端末に備えさせることができる。そして、詳細な情報については第1の通信端末でのみ表示等を行わせることができる。これにより、第1の通信端末は、通知機能等の必要最小限の機能のみを備えさせるだけでよいので、第1の通信端末の本来の商品としての価値を低下させることなく、使い勝手の良い通信システム及び通信端末を提供できるようになる。
【0015】
また本発明に係る通信システムでは、
前記第1の伝送路における伝送到達距離の最大値が、前記第2の伝送路における伝送到達距離の最大値より小さくてもよい。
【0016】
本発明によれば、第1の通信端末は超低消費電力の通信機能を備えれば済むため、第1の通信端末の低消費電力化を図り、第1の通信端末の本来の商品としての価値を低下させることなく、使い勝手の良い通信システム及び通信端末を提供できるようになる。
【0017】
また本発明は、
送信すべき情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された情報の情報量を圧縮する情報圧縮手段と、
無線の第1の伝送路を介して、前記情報圧縮手段により圧縮された情報を、前記第1の伝送路より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路を介して情報を送信する端末に対して送信するための送信処理を行う第1の送信手段とを含む通信端末に関係する。
【0018】
また本発明に係る通信端末では、
前記情報圧縮手段が、
所与の座標系において指定された座標情報を抽出することで、送信すべき情報の情報量を圧縮することができる。
【0019】
また本発明に係る通信端末では、
前記情報圧縮手段が、
検出された生体情報を所定時間内で集計することで情報量を圧縮することができる。
【0020】
また本発明は、
無線の第1の伝送路を介して端末からの情報の受信処理を行う第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信処理された情報を伸張する情報伸張手段と、
前記情報伸張手段によって伸張された情報を、前記第1の伝送路より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路を介して送信するための送信処理を行う第2の送信手段とを含む通信端末に関係する。
【0021】
また本発明に係る通信端末では、
前記情報伸張手段が、
前記第1の受信手段によって受信処理されたテキスト情報を音声情報に変換し、
前記第2の送信手段が、
前記第2の伝送路を介して前記音声情報の送信処理を行うことができる。
【0022】
また本発明に係る通信端末では、
前記情報伸張手段が、
所与の座標系において指定された座標情報に基づいて生成した画像の情報を前記第2の伝送路を介して送信することができる。
【0023】
また本発明に係る通信端末では、
前記情報伸張手段が、
検出された生体情報を所定時間内で集計することで情報量が圧縮された情報に、時間情報を付加することで情報の伸張を行うことができる。
【0024】
また本発明に係る通信端末では、
前記第1の伝送路における伝送到達距離の最大値が、前記第2の伝送路における伝送到達距離の最大値より小さくてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
1. 通信システム
図1に、本実施形態の通信システムの構成の概要を示す。
【0027】
通信システム10は、大容量通信網12と、小容量通信網14とを含む。大容量通信網12には、有線又は無線の伝送路が形成される。小容量通信網14には、無線の伝送路が形成される。大容量通信網12内で形成される伝送路の通信容量は、小容量通信網14内で形成される伝送路の通信容量より大きい。また大容量通信網12内で形成される伝送路における伝送到達距離の最大値は、小容量通信網14内で形成される伝送路における伝送到達距離の最大値より大きい。
【0028】
小容量通信網14内では、第1の通信端末(広義には通信端末、端末)100が、第2の通信端末200との間で第1の伝送路300を形成する。また大容量通信網12内では、第2の通信端末(広義には通信端末、端末)200が、図示しない端末、サーバ、基地局又は交換機との間で第2の伝送路400を形成する。
【0029】
即ち、第1の通信端末100は、無線の第1の伝送路300を介して情報を送信する。また第2の通信端末200は、第1の伝送路300を介して情報を受信すると共に、第1の伝送路300より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路400を介して情報を送信する。そして第1の通信端末100が、送信すべき情報の情報量を圧縮して圧縮後の情報を第2の通信端末200に送信する手段を有する。また第2の通信端末200が、第1の通信端末100からの情報を伸張して伸張後の情報を第2の伝送路400を介して送信する手段を有するということができる。
【0030】
通信容量の大きい伝送路を介して情報を送受信する場合、通信端末には高い処理能力が必要となる。一方、通信容量の小さい伝送路を介して情報を送受信する場合、通信端末にはそれほど高い処理能力が必要とされない。そのため、第2の伝送路400を介して情報を送受信するとき第2の通信端末200には高い処理能力が必要とされる一方、第1の伝送路300を介して情報を送信するとき第2の通信端末200にはそれ程高い処理能力が必要とされない。また第1の通信端末100もまた、高い処理能力が必要とされない。
【0031】
更に、伝送路における伝送到達距離の最大値が大きいほど、通信端末の消費電力は大きくなる。一方、伝送路における伝送到達距離の最大値が小さいほど、通信端末の消費電力は小さくなる。そのため、第2の伝送路400を介して情報を送受信するとき第2の通信端末200の消費電力が大きくなる一方、第1の伝送路300を介して情報を送信するとき第1の通信端末100の消費電力は小さくて済む。
【0032】
従って、高い処理能力が不要で、弱い電波を送信さえできれば良い第1の通信端末100は、小型化及び軽量化を図ることができ、携帯型の電子機器として最適なものを提供できるようになる。
【0033】
図2に、図1の通信システムの使用形態の一例の説明図を示す。
【0034】
第1の通信端末100は、例えば脈波や体温等の生体情報を検出する生体情報検出センサや、所定の座標系における座標を指定ためにペン等の形状を有する座標指定手段等の比較的処理能力が低くて済む電子機器を採用できる。この座標指定手段は、ボード上の各位置に座標が割り当てられ、ペンによりボード上の位置を指定することで、該位置に対応した座標情報が得られるようになっている。
【0035】
また第2の通信端末200として、携帯電話機、携帯型情報端末(Personal Digital Assistants:PDA)、パーソナルコンピュータ等の比較的処理能力が高い電子機器を採用できる。
【0036】
図2では、第1の通信端末100として、人間の脈波を検出し、生体情報として送信可能な生体情報検出センサを含む腕時計が採用される例を示している。また第2の通信端末200として、携帯電話機が採用される例を示している。
【0037】
情報の送信者500が所有する第2の通信端末200としての携帯電話機510は、送信者500が同じく所有する鞄520内に収められている。送信者500の身体には第1の通信端末100としての生体情報検出センサ530が装着されている。第1の通信端末100が腕時計の場合には送信者500の腕に装着される。
【0038】
ここで、生体情報検出センサ530は送信者500の脈波を検出し、例えば1分間の脈拍数や所定時間内の毎分の平均脈拍数という形式で集計することで情報量を脈拍数のみに圧縮(削減)できる。そして、生体情報検出センサ530を中心に所定の伝送到達距離内に、携帯電話機510が存在する場合、携帯電話機510は、第2の伝送路400を介して脈拍数等の情報を送信できる。この結果、鞄520から携帯電話機510を取り出して送信者500が操作等を行うことなく、送信者500の脈波の情報を第2の伝送路を介して送信できるようになる。従って、送信者500は、携帯電話機510を常時所持しておく必要はなく、送信者500に関する生体情報を送信できるようになる。
【0039】
このように、第1の通信端末100が第1の伝送路300を介して情報を送信できる最低限の機能を付加するのみで、第1の通信端末100からの情報を見やすく整形する機能は第2の通信端末200に行わせる。これにより、第1の通信端末100(生体情報検出センサ530)は、超低消費電力の通信機能等の必要最小限の機能のみを備えさせるだけでよいので、第1の通信端末100(生体情報検出センサ530)の本来の商品としての価値を低下させることなく、使い勝手の良い通信システム及び通信端末を提供できるようになる。
【0040】
2. 通信端末
図3に、図1の第1の通信端末100の構成の概要を示すブロック図を示す。
【0041】
第1の通信端末100は、送信情報生成部(送信情報生成手段)110と、情報圧縮部(情報圧縮手段)120と、送信部(第1の送信手段)130とを含む。
【0042】
送信情報生成部110は、第1の通信端末100が送信すべき情報を生成する。情報圧縮部120は、送信情報生成部110によって生成された情報の情報量を圧縮する。例えば送信情報生成部110が、送信すべき情報として生体情報を検出することで該生体情報を送信情報として生成し、情報圧縮部120が該生体情報を所定時間内で集計することで情報量を圧縮する。或いは送信情報生成部110が、送信すべき情報として、例えば各位置に座標が割り当てられるボード上においてペンで描かれた画像の情報を生成し、該ペンで指定された座標情報を抽出することで情報量を圧縮する。
【0043】
送信部130は、情報圧縮部120により圧縮された情報を第1の伝送路300を介して送信する。即ち、送信部130は、送信すべき情報の送信処理を行うことができる。
【0044】
図4に、図3の第1の通信端末100の動作フローの一例を示す。
【0045】
第1の通信端末100は、図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)及びメモリを有し、該メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUが以下のフローを実現する。
【0046】
まず所定時間が経過したか否かの監視を行い(ステップS10:N)、所定時間が経過したとき(ステップS10:Y)、送信情報生成部110が生体情報を検出する(ステップS11)。そして、前回検出した生体情報と共に蓄積し、所定時間内の毎分の平均脈拍数を集計することで、送信すべき情報の情報量を圧縮する(ステップS12)。そして再度、生体情報を検出するとき(ステップS13:Y)、ステップS10に戻る。
【0047】
一方、ステップS13において、再度、生体情報を検出しないとき(ステップS13:N)、送信部130が第1の伝送路300を介して第1の通信端末100との間の通信経路の確立を行うための処理を行い(ステップS14)、情報圧縮部120において情報量が圧縮された情報を送信情報として第1の伝送路300を介し第2の通信端末200に送信する(ステップS15)。
【0048】
その後、通信処理を終了しないとき(ステップS16:N)、ステップS10に戻る。通信処理を終了するとき(ステップS16:Y)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0049】
このような処理を行う第1の通信端末100として、例えば腕時計を採用できる。
【0050】
図5に、図3の第1の通信端末100としての腕時計のハードウェア構成例を示す。
【0051】
腕時計は、生体情報検出センサ530、アンテナ531、変復調部532、表示部533、534、時計部535、制御部536を含む。
【0052】
制御部536は、変復調部532、表示部533、時計部535の制御を司る。このような制御部536は図示しないCPU及びメモリを有し、該メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUが各部を制御するようになっている。
【0053】
生体情報検出センサ530は、腕時計を装着する腕の表面から脈波を検出できるものや、腕時計を装着する者の指のはら部分から脈拍を検出できるものとすることができる。生体情報検出センサ530によって検出された生体情報(脈波に対応したパルス)は、制御部536において所定時間内の毎分の平均脈拍数を集計するための情報として用いられる。制御部536によって生成された情報は、変復調部532によって変調処理された後、アンテナ531を介して第2の通信端末200に送信される。
【0054】
また第2の伝送路400からの信号はアンテナ531で受信され、変復調部532に供給される。この変復調部532は、第2の伝送路400を介してアンテナ531から送信する信号の復調処理を行うようになっている。
【0055】
制御部536は、アンテナ531を介して受信された信号、又は上述の平均脈拍数を表示部533に出力できる。表示部533は、液晶表示(Liquid Crystal Display:LCD)パネルを有し、制御部536からの制御信号に基づいて表示駆動される。
【0056】
時計部535は、時計機能を実現し、秒針、分針、時針の駆動制御、或いは時刻のデジタル表示制御を行う。この場合、表示部534において、デジタル表示制御された時刻が表示されるようになっている。表示部534は、LCDパネルを有し、時計部535からの制御信号に基づいて表示駆動される。
【0057】
ここで制御部518及び生体情報検出センサ530が、図3における送信情報生成部110の機能を実現できる。また制御部518が、図3における情報圧縮部120の機能を実現できる。またアンテナ531及び変復調部532が、図3における送信部130の機能を実現できる。
【0058】
図6に、図1の第2の通信端末200の構成の概要を示すブロック図を示す。
【0059】
第2の通信端末200は、受信部(第1の受信手段)210と、情報伸張部(情報伸張手段)220と、送信部(第2の送信手段)230とを含む。
【0060】
受信部210は、第1の伝送路300を介して送信された情報の受信処理を行う。例えば受信部210は、第1の伝送路300を介して送信された信号の増幅処理及び復調処理を行い、送信された情報を抽出する。
【0061】
情報伸張部220は、受信部210によって受信処理された情報を伸張する。情報伸張部220が行う伸張処理は、第1の通信端末100における情報圧縮部120の圧縮処理に対応している。即ち、情報伸張部220は、情報圧縮部120によって情報量が圧縮された情報を伸張して、その情報量を増加させる処理を行う。
【0062】
送信部230は、情報伸張部220によって情報量が伸張された情報を第2の伝送路400を介して送信する処理を行う。
【0063】
情報伸張部220は、例えば公知のText-to-Speech技術により、受信部210によって受信処理されたテキスト情報を音声情報に変換し、送信部230が第2の伝送路400を介して音声情報の送信処理を行ってもよい。
【0064】
また図7に示すように、情報伸張部220は、第1の通信端末100から第1の伝送路300を介して受信した生体情報に、該生体情報の検出時間である時間情報を付加する処理を行ってもよい。即ち、第1の通信端末100が、送信すべき情報として生体情報を検出し、該生体情報を所定時間内で集計することで情報量を圧縮する。そして第2の通信端末200が、情報伸張部220において第1の通信端末100からの情報に時間情報を付加することで情報の伸張を行うことができる。
【0065】
或いは第1の通信端末100が、図8(A)に示すように所与の座標系において指定された座標情報を第1の伝送路300を介して第2の通信端末200に対して送信し、第2の通信端末100の情報伸張部220が、該座標情報に基づいて生成した画像の画像情報を第2の伝送路400を介して送信するようにしてもよい。この場合、情報伸張部220は、図8(B)に示すように、図8(A)の座標情報で指定された位置を直線で結んだ画像を生成することで情報量を多くすることができる。
【0066】
図9に、図6の第2の通信端末200の動作フローの一例を示す。
【0067】
第2の通信端末200は、図示しないCPU及びメモリを有し、該メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUが以下のフローを実現する。
【0068】
まず、受信部210において第1の伝送路300を介して情報が受信されたか否かの監視を行い(ステップS30:N)、第1の伝送路300を介して情報が受信されたことが検出されたとき(ステップS30:Y)、情報伸張部220において上述のように受信情報の情報量の伸張処理が行われる(ステップS31)。
【0069】
その後、送信部230が第2の伝送路400を介して図示しない基地局、交換機、或いはサーバを介して他の携帯電話機等との間の通信経路の確立を行うための処理を行い(ステップS32)、情報伸張部220において情報量が伸張された情報を送信情報として第2の伝送路400を介し送信する処理行った後(ステップS33)、ステップS30に戻る(リターン)。
【0070】
このような処理を行う第2の通信端末200として、例えば携帯電話機を採用できる。
【0071】
図10に、図6の第2の通信端末200としての携帯電話機510のハードウェア構成例を示す。
【0072】
携帯電話機510は、アンテナ511、512、変復調部513、514、表示部515、操作入力部516、電話部517、制御部518を含む。
【0073】
制御部518は、変復調部513、514、表示部515、操作入力部516、電話部517の制御を司る。このような制御部518は図示しないCPU及びメモリを有し、該メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUが各部を制御するようになっている。
【0074】
第1の伝送路300からの信号はアンテナ511で受信され、変復調部513に供給される。この変復調部513は、第1の伝送路300を介してアンテナ511から送信する信号の復調処理を行うようになっている。またアンテナ511を介して、変復調部513からの信号を第1の伝送路300を介して送信できる。この場合、変復調部513は、第1の伝送路300を介して送信する信号の変調処理を行うようになっている。
【0075】
またアンテナ512を介して、変復調部514からの信号を第2の伝送路400を介して送信できる。この変復調部514は、第2の伝送路400を介して送信する信号の変調処理を行うようになっている。更に第2の伝送路400からの信号はアンテナ512で受信され、変復調部514に供給される。この変復調部514は、第2の伝送路300を介してアンテナ512から送信する信号の復調処理を行うようになっている。
【0076】
制御部518は、アンテナ511を介して受信された信号から、所定の音声情報を抽出して電話部517に出力したり、該信号から所定の画像情報を抽出して表示部515に出力したりする。また制御部518は、Text-to-Speech技術により、テキスト情報を音声情報に変換し、変換後の音声情報を送信信号として変復調部514に出力し、アンテナ512を介して送信できる。
【0077】
電話部517は、携帯電話機としての発呼処理、着呼処理を行う。表示部515は、LCDパネルを有し、制御部518からの制御信号に基づいて表示駆動される。
【0078】
このような制御部518は、操作入力部516からの入力指示に対応した制御を行うことができるようになっている。
【0079】
ここで制御部518が、図6における情報伸張部220の機能を実現できる。またアンテナ511及び変復調部513が、図6における受信部210としての機能を実現し、アンテナ512及び変復調部514が、図6における送信部230としての機能を実現する。
【0080】
図11に、本実施形態の第1及び第2の通信端末100、200による通信処理のシーケンスの一例を示す。
【0081】
まず第1の通信端末100が、上述のように生体情報の検出を行って送信情報の生成700を行う。この送信情報は、第1の通信端末100において集計等が行われて情報量の圧縮処理710が行われて、圧縮処理後の情報720が第1の伝送路300を介して第2の通信端末200に送信される。
【0082】
第2の通信端末200は、第1の通信端末100からの情報の伸張処理730を行って、伸張処理後の情報を第2の伝送路400を介して他の端末に送信できるようになっている。
【0083】
以上説明したように、第1の通信端末100が第2の通信端末200に代行して生体情報の検出等を行うと共に、該生体情報を受信した第2の通信端末200が情報の整形を行って、第2の伝送路400を介して送信できる。これにより、第1の通信端末100は、超低消費電力の通信機能及び通知機能等の必要最小限の機能のみを備えさせるだけでよいので、第1の通信端末100の本来の商品としての価値を低下させることなく、使い勝手の良い通信システム及び通信端末を提供できるようになる。
【0084】
なお第1の通信端末100は、第1の伝送路300を介した送信機能のみを有していてもよい。また第2の通信端末200は、第2の伝送路400を介した送信機能及び受信機能の他に、第1の伝送路300を介した受信機能のみを有していてもよい。また第2の通信端末200は、第1の伝送路400を介した受信機能のみを有していてもよい。なおこの場合であっても、第1及び第2の通信端末100、200は、通信路を確立するための最低限の受信機能及び送信機能を有してもよい。
【0085】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば第1の通信端末100として主として腕時計を例に説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。また例えば第2の通信端末200として主として携帯電話機を例に説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0086】
また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態の通信システムの構成の概要を示す図。
【図2】図1の通信システムの使用形態の一例の説明図。
【図3】図1の第1の通信端末の構成の概要を示すブロック図。
【図4】図3の第1の通信端末の動作フローの一例を示す図。
【図5】第1の通信端末としての腕時計のハードウェア構成例を示す図。
【図6】図1の第2の通信端末の構成の概要を示すブロック図。
【図7】図6の情報伸張部の処理の一例の説明図。
【図8】図8(A)、図8(B)は図6の情報伸張部の処理の他の例の説明図。
【図9】図6の第2の通信端末の動作フローの一例を示す図。
【図10】第2の通信端末としての携帯電話機のハードウェア構成例を示す図。
【図11】本実施形態の第1及び第2の通信端末による通信処理のシーケンスの一例を示す図。
【符号の説明】
【0088】
10 通信システム、 12 大容量通信網、 14 小容量通信網、
100 第1の通信端末、 110 送信情報生成部、 120 情報圧縮部、
130、230 送信部、 200 第2の通信端末、 210 受信部、
220 情報伸張部、 300 第1の伝送路、 400 第2の伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線の第1の伝送路を介して情報を送信する第1の通信端末と、
前記第1の伝送路を介して情報を受信すると共に、前記第1の伝送路より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路を介して情報を送信する第2の通信端末とを含み、
前記第1の通信端末が、送信すべき情報の情報量を圧縮して圧縮後の情報を前記第2の通信端末に送信する手段を有し、
前記第2の通信端末が、前記第1の通信端末からの情報を伸張して伸張後の情報を前記第2の伝送路を介して送信する手段を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の通信端末が、
送信すべき情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された情報の情報量を圧縮する情報圧縮手段と、
前記情報圧縮手段により圧縮された情報を前記第1の伝送路を介して送信する第1の送信手段とを含むことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2の通信端末が、
前記第1の伝送路を介して前記第1の通信端末からの情報の受信処理を行う第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信処理された情報を伸張する情報伸張手段と、
前記情報伸張手段によって伸張された情報を前記第2の伝送路を介して送信するための送信処理を行う第2の送信手段とを含むことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記情報伸張手段が、
前記第1の受信手段によって受信処理されたテキスト情報を音声情報に変換し、
前記第2の送信手段が、
前記第2の伝送路を介して前記音声情報の送信処理を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項3において、
前記第1の通信端末が、
所与の座標系において指定された座標情報を前記第1の伝送路を介して送信し、
前記第2の通信端末が、
前記情報伸張手段において前記座標情報に基づいて生成した画像の情報を前記第2の伝送路を介して送信することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項3において、
前記第1の通信端末が、
前記送信すべき情報として生体情報を検出し、該生体情報を所定時間内で集計することで情報量を圧縮し、
前記第2の通信端末が、
前記情報伸張手段において前記第1の通信端末からの情報に時間情報を付加することで情報の伸張を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記第1の伝送路における伝送到達距離の最大値が、前記第2の伝送路における伝送到達距離の最大値より小さいことを特徴とする通信システム。
【請求項8】
送信すべき情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された情報の情報量を圧縮する情報圧縮手段と、
無線の第1の伝送路を介して、前記情報圧縮手段により圧縮された情報を、前記第1の伝送路より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路を介して情報を送信する端末に対して送信するための送信処理を行う第1の送信手段とを含むことを特徴とする通信端末。
【請求項9】
請求項7において、
前記情報圧縮手段が、
所与の座標系において指定された座標情報を抽出することで、送信すべき情報の情報量を圧縮することを特徴とする通信端末。
【請求項10】
請求項7において、
前記情報圧縮手段が、
検出された生体情報を所定時間内で集計することで情報量を圧縮することを特徴とする通信端末。
【請求項11】
無線の第1の伝送路を介して端末からの情報の受信処理を行う第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信処理された情報を伸張する情報伸張手段と、
前記情報伸張手段によって伸張された情報を、前記第1の伝送路より通信容量が大きい有線又は無線の第2の伝送路を介して送信するための送信処理を行う第2の送信手段とを含むことを特徴とする通信端末。
【請求項12】
請求項11において、
前記情報伸張手段が、
前記第1の受信手段によって受信処理されたテキスト情報を音声情報に変換し、
前記第2の送信手段が、
前記第2の伝送路を介して前記音声情報の送信処理を行うことを特徴とする通信端末。
【請求項13】
請求項11において、
前記情報伸張手段が、
所与の座標系において指定された座標情報に基づいて生成した画像の情報を前記第2の伝送路を介して送信することを特徴とする通信端末。
【請求項14】
請求項11において、
前記情報伸張手段が、
検出された生体情報を所定時間内で集計することで情報量が圧縮された情報に、時間情報を付加することで情報の伸張を行うことを特徴とする通信端末。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれかにおいて、
前記第1の伝送路における伝送到達距離の最大値が、前記第2の伝送路における伝送到達距離の最大値より小さいことを特徴とする通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−74509(P2007−74509A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260639(P2005−260639)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】