通信装置、無線通信システムおよび推定情報のフィードバック方法ならびにプログラム
【課題】通信装置へのフィードバック情報の計算量を低減させること。
【解決手段】受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする通信装置において、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択する判定部32と、このN個のサブバンドに基づきプリコーディング行列を推定するEffective SNR推定部33と、を備える。
【解決手段】受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする通信装置において、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択する判定部32と、このN個のサブバンドに基づきプリコーディング行列を推定するEffective SNR推定部33と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、無線通信システムおよび推定情報のフィードバック方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の通信方式として、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化されているLTE(Long Term Evolution)などのMIMO(Multi Input Multi Output)−OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing) が注目されている。MIMO−OFDMでは、受信特性を改善するための技術としてMIMOプリコーディング(Precoding)が用いられている。ここで、プリコーディング(Precoding)とは、送受信間のチャネル状態に適した線形処理を送信側で事前に行うことにより、受信信号特性を改善する技術を意味する。
【0003】
MIMOプリコーディングでは、受信装置においてチャネル状態に応じて最適なPrecoding Matrix(以下では、プリコーディング行列と記す)を推定し、その推定結果を送信装置にフィードバック情報として伝送する。このフィードバック情報を受け取った送信装置では、これを元にプリコーディング行列を送信信号に乗算する。このようにして、送信装置と受信装置とが協働することによって伝送チャネルの歪みを補償し、受信特性を改善することができる。MIMOプリコーディングに関する文献としては、特許文献1または特許文献2などがある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−214995
【特許文献2】特表2005−502223
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MIMOプリコーディングではチャネル状態に応じて最適なプリコーディング行列を計算する必要がある。このため、受信装置における計算量が増加してしまうという問題がある。
【0006】
以下、この問題をLTEの場合を例として説明する。LTEの場合、受信装置から送信装置へのフィードバック情報としては主に3つの情報がある。すなわち、受信帯域における受信品質を表すCQI(Channel Quality Indicator )、チャネル状態に対して最適なプリコーディング行列のIndicatorを表すPMI(Precoding Matrix Indicator ) 、送信装置から受信装置へ情報を送信する際に最適なランク情報を表すRI(Rank
Indicator )である。
【0007】
3GPP TS36.213 v8.3.0において、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)でフィードバック情報を送信する場合について、それぞれ図11および図12のように、各受信装置から送信装置への報告モードが規定されている。すなわち、図11および図12における横方向がモードの種類である。例えば、1−0、1−1、2−0、2−1、2−2、3−0、3−1などと記されている。これに対し、縦方向がフィードバック情報の種類である。図11および図12に示すWideband
CQI(PMI)は全帯域で共通のCQI(PMI)情報、図11に示すSubband CQI(PMI)はある特定のサブバンドにおけるCQI(PMI)情報、図11に示すBest−M CQIは全帯域中で良い方からM個のCQIを抽出した情報、図12に示すUE Selected
Subband CQIはUE(User Equipment)が選択したサブバンドにおけるCQI情報、図11に示すBest−M
PMIはBest−M CQI報告に選択されたサブバンドにおけるPMI情報、図11に示すIndex
rはBest−Mで選択された帯域の情報、図12に示すIndex jはUEが選択した帯域の情報を表す。ここで、2重丸で示すものが報告を必要とするフィードバック情報を示している。
【0008】
図11、図12を見れば分かるとおり、Wideband PMIおよびRIは多くのモードにおいて報告が必要であり、この演算量を削減することは、受信装置におけるフィードバック情報の算出演算量の削減に大きく寄与する。
【0009】
すなわち、MIMOプリコーディングではチャネル状態に応じて最適なプリコーディング行列を計算する必要があるため、受信装置における計算量が増加してしまう。特に、受信装置からのフィードバック情報のうち、Wideband PMIおよびRIについては、全帯域において、あらかじめ用意されたCodebookが示すそれぞれのPMIが適用された場合のSNR(以下、Effective SNRと称する)を算出する必要がある。このため、受信装置における計算量が膨大になってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、フィードバック情報の計算量を低減させることができる通信装置、無線通信システムおよび推定情報のフィードバック方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の通信装置は、受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする通信装置において、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)のサブバンドを選択する手段と、このN個のサブバンドに基づきプリコーディング行列を推定する手段と、を備えるものである。
【0012】
あるいは、本発明の通信装置は、受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする制御部を有する通信装置において、制御部は、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)のサブバンドを選択し、このN個の上記サブバンドに基づきプリコーディング行列を推定するものである。
【0013】
本発明の無線通信システムは、本発明の通信装置と、この通信装置からフィードバックされたプリコーディング行列を送信信号に乗算して通信装置に送信する他の通信装置と、を備えるものである。
【0014】
本発明の推定情報のフィードバック方法は、受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、MIMOプリコーディングを用いる無線通信システムの送信装置にフィードバックする通信装置に適用される推定情報のフィードバック方法において、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定基準に基づいてN個(M>N)のサブバンドを選択するステップと、このN個のサブバンドに基づきプリコーディング行列を推定するステップと、を有するものである。
【0015】
本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の通信装置の機能を実現することを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、MIMOプリコーディングにおいて、フィードバック情報の計算量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの構成)
本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システム1の構成を図1を参照して説明する。図1は、無線通信システム1のブロック構成図である。無線通信装置となる送信装置10は、チャネル符号化部11、変調部12、レイヤマッピング部13、プリコーディング部14、RE(Resource Element)マッピング部15、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部16を具備する。また、無線通信装置となる受信装置20は、FFT(Fast Fourier Transform)部21、REデマッピング部22、チャネル推定部23、復調部24、チャネル復号部25、CQI/PMI/RI推定部30を具備する。
【0018】
なお、チャネル符号化部11、変調部12、REマッピング部15、IFFT部16、FFT部21、REデマッピング部22、復調部24、チャネル復号化部25がそれぞれ2つずつ有るのは、データ中の2つのコードワード(Codeword)の異なる成分を並列処理するためである。
【0019】
また、図2はCQI/PMI/RI推定部30の構成例を表したものである。CQI/PMI/RI推定部30は、SNR推定部31、判定部32、Effective SNR推定部33、CQI/PMI/RI推定部34を具備する。
【0020】
なお、送信装置10、受信装置20の各部は、所定のソフトウェアにより動作する汎用のコンピュータ装置(CPU、DSP、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)などによって構成されてもよい。また、送信装置10、受信装置20において、各部を制御するための制御部については図示を省略してある。
【0021】
(本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの動作の説明)
本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの送信装置10および受信装置20の動作を説明する。送信装置10では、送信データは、まずチャネル符号化部11において、所望の符号化操作が行われる。例えば、誤り検出符号化および誤り訂正符号化が施される。続いて、変調部12において、指定された変調方式に基づいてI成分(同相成分)およびQ成分(直交位相成分)へとマッピングされる。変調されたデータは、受信装置20からのフィードバック情報40に基づいて、レイヤマッピング部13で送信レイヤにマッピングされる。そして、送信レイヤにマッピングされたデータは、プリコーディング部14において、指定されたプリコーディング行列が乗算される。続いて、REマッピング部15で、DFT(Discrete Fourier transform)処理され、 周波数リソース上のREにマッピングされる。続いて、IFFT部16で時間領域の信号に変換された後、送信アンテナから送信信号として送信される。
【0022】
一方、受信装置20では、受信アンテナで受信した信号は、まずFFT部21においてフーリエ変換により周波数成分のデータに分けられた後、REデマッピング部22で周波数リソースからデマッピングされる。すなわち、REデマッピング部22は、REマッピング部15と逆の処理を行う。チャネル推定部23では、周波数リソース上に予めマッピングされていた既知信号(Reference Signal)を用いてチャネル状態を表すチャネル推定行列を推定する。復調部24では、チャネル推定部23で推定したチャネル推定行列などを元に、I成分とQ成分から尤度情報へと復調され、チャネル復号化部25で誤り訂正復号化および誤り検出が行われる。
【0023】
また、受信装置20中のCQI/PMI/RI推定部30では、チャネル推定部23で推定したチャネル推定行列を元にCQI/PMI/RIを推定し、フィードバック情報40として送信装置10に送信する。フィードバック情報40は送信装置10におけるレイヤマッピング部13およびプリコーディング部14での処理に反映される。
【0024】
次に、CQI/PMI/RI推定部30の動作を、閉ループ空間多重(Closed Loop Spatial Multiplexing)のケースについて、図2および図3を用いて説明する。まず、SNR推定部31では、全帯域を定められた数の細かい帯域に分割する。以下、分割されたそれぞれの帯域のことをサブバンド(Subband)と称する。そして、チャネル推定部23で算出されたチャネル推定行列を元に、サブバンド毎のSNR(Signal to Noise power Ratio)を算出する(ステップS1)。
【0025】
判定部32では、SNR推定部31で算出したサブバンド毎のSNR情報を元に、Effective SNR算出に用いるサブバンドを判定する(ステップS2)。本判定処理の詳細については後ほど述べる。
【0026】
Effective SNR推定部33では、選択されたサブバンドに対して、あらかじめ用意されたCodebookのIndicatorが示すそれぞれのPMIが適用された場合のSNRの値を表すEffective SNRを推定する(ステップS3)。図4はLTEにおけるCodebookのうち、送信アンテナ数が1もしくは2の場合に関する例を表しており、詳細は3GPP TS36.211 v8.3.0において規定されている。ここで、Effective SNR(=SINR(PR,L,f,K))は、式1に従って算出される。
SINR(PR,L,f,K)=(SNR(K)/[SNR(K)-1IR+VHPRH(f)HH(f)VPR]LL-1)−1 …(1)
【0027】
ただし、PRはランクRの場合のP番目のCodebookが表すPMIを表し、Lはレイヤ番号を表し、fは周波数軸上のRS(Reference Signal)がマッピングされているサブキャリア番号を表し、Kはサブバンド番号を表し、IRはR×Rの単位行列を表し、VPRはランクRの場合のP番目のCodebookが表すプリコーディング行列を表し、H(f)はf番目のサブキャリアにおけるチャネル推定値を表す。また、[]LLは行列におけるL行L列の成分を表す。
【0028】
CQI/PMI/RI選択部34では、まずShannonの定理に従って、それぞれのPMIが適用された場合のシステム全体の通信容量C(PR,L,f,K)を次の式2に従って算出する(ステップS4)。なお、ステップS3、S4は全てのPMI、全てのレイヤ、選択したサブバンドおよび全てのRSに対して行われる。
C(PR,L,f,K)=log2(1+SINR(PR,L,f,K))…(2)
【0029】
次に、上記で算出した通信容量が最大になるようなWideband PMI =P^wおよびRI=R^を、式3に従って選択する(ステップS5)。
R^,P^w=arg maxRe(1,2)maxPR∈ΩRΣKΣfΣL=1toRC(PR,L,f,K)…(3)
ただし、ΩRはランクRにおける全てのPMIの集合を表す。
【0030】
ここで、Effective SNR推定部33では、図3に示すように、全てのPMI(ループ2)、全てのレイヤ(ループ3)、選択したサブバンド(ループ4)および全てのRS(ループ5)についてEffective SNRの算出処理を行うため、PMIの最大数をPmax、レイヤ最大数をLmax、RSを含むサブキャリアの最大数をKmaxとすると、最大で(Pmax×Lmax×Kmax)回の処理が必要となる。実施の形態として用いているLTEのシステムにおいて4×2MIMOが適用されている場合には、ランク1についてPmax=16、Lmax=1、Kmax=200、ランク2についてPmax=16、Lmax=2、Kmax=200となるため、最大で16×(1+2)×200=9600回のEffective SNR計算処理が必要となる。また、通信容量の算出も全てのPMI、全てのレイヤ等に対して行われるため、膨大な処理が必要となる。以上の処理(ステップS1、S3〜S5)は後ほど詳述する判定部32における処理、すなわちステップS2の算出に用いるサブバンドを選択する処理を除いて周知の技術である。
【0031】
以下に、無線通信システム1の特徴を説明する。従来はステップS2が無く、全てのサブバンドに対してEffective SNRの算出を行っている。しかし、無線通信システム1は、判定部32においてEffective SNR算出に使用するサブバンドを削減する。これにより、Wideband PMIおよびRI算出における演算量を削減することができる。
【0032】
高SNRのサブバンドについては、受信特性が良いため選択されたPMIによる受信特性への影響が少ない。また、低SNRのサブバンドについては、元々受信特性が悪いため全体の特性に与える影響は小さい。よって、帯域の平均に近いサブバンドのみを選択してWideband PMIおよびRIを算出した場合と、全帯域について算出した場合では、結果としてシステム全体の受信特性に大きな違いはない。よって、本手法により受信特性を劣化させることなく演算量を削減することができる。
【0033】
図5に、判定部32における具体的な判定処理(ステップS2の処理)の概要を示す。まず、判定部32は、SNR推定部31からのSNR情報に基づき、全帯域における平均SNRを算出する(ステップS10)。次に、判定部32は、全サブバンドの中から、平均SNRに近いN個のサブバンドを選択する(ステップS11)。サブバンドの選択のイメージを図6に示す。図6では、サブバンド(B1〜B10)におけるSNRが平均SNRに近いものから順に6個のサブバンド(すなわち、B2、B8、B9、B4、B10、B6)を選択している。
【0034】
最後に、判定部32は、選択したサブバンドをEffective SNR推定部33に通知する(ステップS12)。既述のように、Effective SNR推定部33では選択されたサブバンドについてのみEffective SNR算出処理(ステップS3)を行うため、全てのサブバンドを使う場合に比べて演算量を削減することができる。
【0035】
(本発明の第二の実施の形態に係る動作の説明)
本発明の第一の実施の形態では、判定部32で抽出するサブバンドの数を固定としているが、本発明の第二の実施の形態では、この数を動的に制御する。なお、第二の実施の形態に係る無線通信システムの構成は、第一の実施の形態と同様であり、図1、図2に示す構成となっている。
【0036】
動的制御のためのパラメータとしては、帯域中のサブバンドにおけるSNRのバラツキ度合いを用いる。本実施の形態のイメージを図7に示す。すなわち、図7中の(b)のケースのように帯域中のSNRのバラツキが大きい場合は、Effective SNR算出に用いるサブバンド数Nを多くすることで(N=6)、受信特性の劣化を防ぐ。また、図7中の(a)のケースのようにSNRのバラツキが小さい場合は、Effective SNR算出に用いるサブバンド数Nを少なくすることで(N=3)、無駄なEffective SNR算出処理を省くことができ、受信装置20における演算量を削減する。バラツキ度合いの指標としては、例えば図7に示すような標準偏差を用いる構成が考えられるが、他の指標を用いても構わない。
【0037】
(本発明の第三の実施の形態に係る動作の説明)
本発明の第二の実施の形態では、サブバンド数の動的制御を行うが、その際には、平均SNRに近いサブバンドを抽出してEffective SNR算出処理に用いている。これに対し、本発明の第三の実施の形態では、全サブバンドを高、中、低SNR領域に分割し、それぞれからA個、B個、C個ずつのサブバンドを抽出してEffective SNR算出処理に用いるような構成にする。これにより、各領域の値をWideband PMIおよびRIに反映することで受信特性の劣化を防ぎつつ、受信機における演算量を削減することができる。なお、第三の実施の形態に係る無線通信システムの構成は、第一の実施の形態と同様であり、図1、図2に示す構成となっている。
【0038】
本発明の第三の実施の形態のイメージを図8に示す。この際、高、中、低SNR領域は、例えばそれぞれの領域に含まれるサブバンド数があらかじめ決められた数となるように分割する。図8の例では、高、中、低SNR領域のそれぞれが3個、4個、3個となっている。そして図8の例では、各領域から2個ずつのサブバンドを選択している。すなわち、高SNR領域では、サブバンドB6、B8が、中SNR領域では、サブバンドB2、B9が、低SNR領域では、サブバンドB4、B10がそれぞれ選択されている。しかし、2個ずつではなく、高中低で2個、3個、2個を選択したり、また、各領域のサブバンド数を同一数としたり、他の異なる数としてもよい。
【0039】
また、図9に示すように、SNRが上位A個のサブバンドを高SNR領域、SNRが下位C個のサブバンドを低SNR領域に分割する。そして、高、低SNR領域のいずれにも含まれないサブバンドからB個を選ぶようにする。または、このように決めた各領域から、A、B、C個(A=B=C、A=B、A=C、B=Cとなってもよい)のサブバンドを選ぶようにしてもよい。また、予め決められた閾値によって高、中、低SNR領域を分割してもよい。この閾値は、常に固定値としてもよいし、帯域全体での平均SNRの値によって動的に制御してもよい。動的に制御する場合の実施の形態のイメージを図10に示す。
【0040】
すなわち、平均SNRが高い場合には閾値が大きく、平均SNRが低い場合には閾値が小さくなるように制御する。また、A、B、Cの値は固定としてもよいし、可変としてもよい。可変とする場合には、例えば帯域幅に基づいて制御する手法が考えられる。すなわち、サブバンドの帯域幅が大きければ、A、B、Cの値を小さくし、反対に、サブバンドの帯域幅が小さければ、A、B、Cの値を大きくする。もちろん、他の指標を用いても構わない。また、領域は複数であればよく、領域を高、中、低ではなく、高高、高低、中高、中低、低高、低低の6つの領域に分け、中央の3つの領域または4つの領域から選択したりしてもよい。
【0041】
(プログラムの実施の形態)
次に、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の実施の形態の送信装置10、受信装置20の機能を実現するプログラムの実施の形態を説明する。ここで、情報処理装置とは、例えば、汎用のコンピュータ装置であり、CPUやDSP(Digital Signal Processor)あるいはマイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)などが含まれる。
【0042】
例えば、マイクロプロセッサは、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。マイクロプロセッサのCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、マイクロプロセッサにより、送信装置10、受信装置20の各部の機能としてチャネル符号化部11、変調部12、レイヤマッピング部13、プリコーディング部14、REマッピング部15、IFFT部16、FFT部21、REデマッピング部22、チャネル推定部23、復調部24、チャネル復号化部25、CQI/PMI/RI推定部30が実現される。
【0043】
なお、マイクロプロセッサが実行する制御プログラムは、送信装置10、受信装置20の出荷前に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶されたものであっても、送信装置10、受信装置20の出荷後に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、送信装置10、受信装置20の出荷後に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶されたものであってもよい。送信装置10、受信装置20の出荷後に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0044】
なお、本実施の形態のプログラムは、情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0045】
(本発明の実施の形態に係る効果)
無線通信システム1によれば、受信帯域内における平均受信品質に近い一定の幅の帯域を抽出し、あるいは、受信帯域内における高、中、低受信品質から一定の帯域を抽出し、抽出した帯域についてのみの情報から算出したPMIおよびRIを、Wideband PMIおよびRIとして報告する。これにより、Wideband PMIおよびRIの算出演算量を削減することができる。
【0046】
(変形例)
上述した本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。例えば、上述の実施の形態では、Wideband PMIとRIの両者の算出演算量を削減しているが、いずれか一方のみを上述した方法で削減するようにしてもよい。
【0047】
また、全サブバンドを高、中、低SNR領域に分割した場合、中SNR領域に入る全てのサブバンドを選択してもよい。このように全帯域内における平均受信品質に近い一定の幅の範囲内にある領域を抽出し、その領域内にある全てのサブバンドを選択するようにしてもよい。また、所定の基準は、M個のサブバンドの平均受信品質に近いものから順にN個(M>N)のサブバンドを選択してもよい。
【0048】
さらに、サブバンドのSNRのバラツキが大きい場合には、高、中、低の同数の領域中から選択してくるサブバンドの数を、中位を多くし、高低位を少なくするようにしたり、逆にバラツキが小さい場合には、各領域から選んでくるサブバンドの数を同一とするようにしたりしてもよい。また、バラツキ具合いを考慮して領域を分割する際の、平均SNRの値による動的制御などは、組み合わせて使用してもよく、また、このような動的制御は、平均SNRを算出する場合と算出しない場合とに適宜使用することができる。
【0049】
また、以上の説明はLTEを利用した携帯電話機における通信について説明したが、FDM、OFDMを利用した携帯電話機やWireless LANなどのMIMOプリコーディングを用いた無線通信システムにおいても同様の手法を適用することが可能である。あるいは、受信装置における受信品質に基づき、送信装置にフィードバック情報を通知するあらゆる通信システムに本発明の実施の形態の手法を適用することができる。この場合、必ずしも無線通信システムでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムのブロック構成図である。
【図2】図1に示す通信装置(受信装置)のCQI/PMI/RI推定部のブロック構成図である。
【図3】図2に示すCQI/PMI/RI推定部の最適なPMI/RI選択動作を示すフローチャートである。
【図4】図2に示すEffective SNR推定部に用いられるLTEにおけるCodebookのうち、送信アンテナ数が1もしくは2の場合に関する例を表す図である。
【図5】図2に示すCQI/PMI/RI推定部のフィードバック情報送出動作を示すフローチャートである。
【図6】図2に示すCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択を説明するための図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際のSNRのバラツキによってサブバンドの選択数を変える例を説明するための図である。
【図8】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際の高、中、低SNR領域を設ける例を説明するための図である。
【図9】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際の高、中、低SNR領域におけるサブバンド選択を説明するための図である。
【図10】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際の高、中、低SNR領域を設ける場合の閾値を変える例を説明するための図である。
【図11】LTEのPUSCHにおける受信装置から送信装置への報告モードの規定を示す図であり、WidebandCQI、Subband CQI、Best−MCQI、Wideband PMI、SubbandPMI、Best−M PMI、RI、Indexrを示す図である。
【図12】LTEのPUCCHにおける受信装置から送信装置への報告モードの規定を示す図であり、WidebandCQI、UE Selected Subband CQI、Wideband PMI、RI、Index jを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…無線通信システム、10…送信装置(通信装置)、11…チャネル復号化部、12…変調部、13…レイヤマッピング部、14…プリコーディング部、15…REマッピング部、16…IFFT部、20…受信装置(通信装置)、21…FFT部、22…REデマッピング部、23…チャネル推定部、24…復調部、25…チャネル復号化部、30…CQI/PMI/RI推定部30(算出する手段、選択する手段、推定する手段、判定する手段、分類する手段)、31…SNR推定部、32…判定部(算出する手段、選択する手段、判定する手段、分類する手段)、33…Effective SNR推定部(推定する手段)、34…CQI/PMI/RI選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、無線通信システムおよび推定情報のフィードバック方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の通信方式として、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化されているLTE(Long Term Evolution)などのMIMO(Multi Input Multi Output)−OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing) が注目されている。MIMO−OFDMでは、受信特性を改善するための技術としてMIMOプリコーディング(Precoding)が用いられている。ここで、プリコーディング(Precoding)とは、送受信間のチャネル状態に適した線形処理を送信側で事前に行うことにより、受信信号特性を改善する技術を意味する。
【0003】
MIMOプリコーディングでは、受信装置においてチャネル状態に応じて最適なPrecoding Matrix(以下では、プリコーディング行列と記す)を推定し、その推定結果を送信装置にフィードバック情報として伝送する。このフィードバック情報を受け取った送信装置では、これを元にプリコーディング行列を送信信号に乗算する。このようにして、送信装置と受信装置とが協働することによって伝送チャネルの歪みを補償し、受信特性を改善することができる。MIMOプリコーディングに関する文献としては、特許文献1または特許文献2などがある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−214995
【特許文献2】特表2005−502223
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MIMOプリコーディングではチャネル状態に応じて最適なプリコーディング行列を計算する必要がある。このため、受信装置における計算量が増加してしまうという問題がある。
【0006】
以下、この問題をLTEの場合を例として説明する。LTEの場合、受信装置から送信装置へのフィードバック情報としては主に3つの情報がある。すなわち、受信帯域における受信品質を表すCQI(Channel Quality Indicator )、チャネル状態に対して最適なプリコーディング行列のIndicatorを表すPMI(Precoding Matrix Indicator ) 、送信装置から受信装置へ情報を送信する際に最適なランク情報を表すRI(Rank
Indicator )である。
【0007】
3GPP TS36.213 v8.3.0において、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)でフィードバック情報を送信する場合について、それぞれ図11および図12のように、各受信装置から送信装置への報告モードが規定されている。すなわち、図11および図12における横方向がモードの種類である。例えば、1−0、1−1、2−0、2−1、2−2、3−0、3−1などと記されている。これに対し、縦方向がフィードバック情報の種類である。図11および図12に示すWideband
CQI(PMI)は全帯域で共通のCQI(PMI)情報、図11に示すSubband CQI(PMI)はある特定のサブバンドにおけるCQI(PMI)情報、図11に示すBest−M CQIは全帯域中で良い方からM個のCQIを抽出した情報、図12に示すUE Selected
Subband CQIはUE(User Equipment)が選択したサブバンドにおけるCQI情報、図11に示すBest−M
PMIはBest−M CQI報告に選択されたサブバンドにおけるPMI情報、図11に示すIndex
rはBest−Mで選択された帯域の情報、図12に示すIndex jはUEが選択した帯域の情報を表す。ここで、2重丸で示すものが報告を必要とするフィードバック情報を示している。
【0008】
図11、図12を見れば分かるとおり、Wideband PMIおよびRIは多くのモードにおいて報告が必要であり、この演算量を削減することは、受信装置におけるフィードバック情報の算出演算量の削減に大きく寄与する。
【0009】
すなわち、MIMOプリコーディングではチャネル状態に応じて最適なプリコーディング行列を計算する必要があるため、受信装置における計算量が増加してしまう。特に、受信装置からのフィードバック情報のうち、Wideband PMIおよびRIについては、全帯域において、あらかじめ用意されたCodebookが示すそれぞれのPMIが適用された場合のSNR(以下、Effective SNRと称する)を算出する必要がある。このため、受信装置における計算量が膨大になってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、フィードバック情報の計算量を低減させることができる通信装置、無線通信システムおよび推定情報のフィードバック方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の通信装置は、受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする通信装置において、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)のサブバンドを選択する手段と、このN個のサブバンドに基づきプリコーディング行列を推定する手段と、を備えるものである。
【0012】
あるいは、本発明の通信装置は、受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする制御部を有する通信装置において、制御部は、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)のサブバンドを選択し、このN個の上記サブバンドに基づきプリコーディング行列を推定するものである。
【0013】
本発明の無線通信システムは、本発明の通信装置と、この通信装置からフィードバックされたプリコーディング行列を送信信号に乗算して通信装置に送信する他の通信装置と、を備えるものである。
【0014】
本発明の推定情報のフィードバック方法は、受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、MIMOプリコーディングを用いる無線通信システムの送信装置にフィードバックする通信装置に適用される推定情報のフィードバック方法において、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定基準に基づいてN個(M>N)のサブバンドを選択するステップと、このN個のサブバンドに基づきプリコーディング行列を推定するステップと、を有するものである。
【0015】
本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の通信装置の機能を実現することを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、MIMOプリコーディングにおいて、フィードバック情報の計算量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの構成)
本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システム1の構成を図1を参照して説明する。図1は、無線通信システム1のブロック構成図である。無線通信装置となる送信装置10は、チャネル符号化部11、変調部12、レイヤマッピング部13、プリコーディング部14、RE(Resource Element)マッピング部15、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部16を具備する。また、無線通信装置となる受信装置20は、FFT(Fast Fourier Transform)部21、REデマッピング部22、チャネル推定部23、復調部24、チャネル復号部25、CQI/PMI/RI推定部30を具備する。
【0018】
なお、チャネル符号化部11、変調部12、REマッピング部15、IFFT部16、FFT部21、REデマッピング部22、復調部24、チャネル復号化部25がそれぞれ2つずつ有るのは、データ中の2つのコードワード(Codeword)の異なる成分を並列処理するためである。
【0019】
また、図2はCQI/PMI/RI推定部30の構成例を表したものである。CQI/PMI/RI推定部30は、SNR推定部31、判定部32、Effective SNR推定部33、CQI/PMI/RI推定部34を具備する。
【0020】
なお、送信装置10、受信装置20の各部は、所定のソフトウェアにより動作する汎用のコンピュータ装置(CPU、DSP、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)などによって構成されてもよい。また、送信装置10、受信装置20において、各部を制御するための制御部については図示を省略してある。
【0021】
(本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの動作の説明)
本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの送信装置10および受信装置20の動作を説明する。送信装置10では、送信データは、まずチャネル符号化部11において、所望の符号化操作が行われる。例えば、誤り検出符号化および誤り訂正符号化が施される。続いて、変調部12において、指定された変調方式に基づいてI成分(同相成分)およびQ成分(直交位相成分)へとマッピングされる。変調されたデータは、受信装置20からのフィードバック情報40に基づいて、レイヤマッピング部13で送信レイヤにマッピングされる。そして、送信レイヤにマッピングされたデータは、プリコーディング部14において、指定されたプリコーディング行列が乗算される。続いて、REマッピング部15で、DFT(Discrete Fourier transform)処理され、 周波数リソース上のREにマッピングされる。続いて、IFFT部16で時間領域の信号に変換された後、送信アンテナから送信信号として送信される。
【0022】
一方、受信装置20では、受信アンテナで受信した信号は、まずFFT部21においてフーリエ変換により周波数成分のデータに分けられた後、REデマッピング部22で周波数リソースからデマッピングされる。すなわち、REデマッピング部22は、REマッピング部15と逆の処理を行う。チャネル推定部23では、周波数リソース上に予めマッピングされていた既知信号(Reference Signal)を用いてチャネル状態を表すチャネル推定行列を推定する。復調部24では、チャネル推定部23で推定したチャネル推定行列などを元に、I成分とQ成分から尤度情報へと復調され、チャネル復号化部25で誤り訂正復号化および誤り検出が行われる。
【0023】
また、受信装置20中のCQI/PMI/RI推定部30では、チャネル推定部23で推定したチャネル推定行列を元にCQI/PMI/RIを推定し、フィードバック情報40として送信装置10に送信する。フィードバック情報40は送信装置10におけるレイヤマッピング部13およびプリコーディング部14での処理に反映される。
【0024】
次に、CQI/PMI/RI推定部30の動作を、閉ループ空間多重(Closed Loop Spatial Multiplexing)のケースについて、図2および図3を用いて説明する。まず、SNR推定部31では、全帯域を定められた数の細かい帯域に分割する。以下、分割されたそれぞれの帯域のことをサブバンド(Subband)と称する。そして、チャネル推定部23で算出されたチャネル推定行列を元に、サブバンド毎のSNR(Signal to Noise power Ratio)を算出する(ステップS1)。
【0025】
判定部32では、SNR推定部31で算出したサブバンド毎のSNR情報を元に、Effective SNR算出に用いるサブバンドを判定する(ステップS2)。本判定処理の詳細については後ほど述べる。
【0026】
Effective SNR推定部33では、選択されたサブバンドに対して、あらかじめ用意されたCodebookのIndicatorが示すそれぞれのPMIが適用された場合のSNRの値を表すEffective SNRを推定する(ステップS3)。図4はLTEにおけるCodebookのうち、送信アンテナ数が1もしくは2の場合に関する例を表しており、詳細は3GPP TS36.211 v8.3.0において規定されている。ここで、Effective SNR(=SINR(PR,L,f,K))は、式1に従って算出される。
SINR(PR,L,f,K)=(SNR(K)/[SNR(K)-1IR+VHPRH(f)HH(f)VPR]LL-1)−1 …(1)
【0027】
ただし、PRはランクRの場合のP番目のCodebookが表すPMIを表し、Lはレイヤ番号を表し、fは周波数軸上のRS(Reference Signal)がマッピングされているサブキャリア番号を表し、Kはサブバンド番号を表し、IRはR×Rの単位行列を表し、VPRはランクRの場合のP番目のCodebookが表すプリコーディング行列を表し、H(f)はf番目のサブキャリアにおけるチャネル推定値を表す。また、[]LLは行列におけるL行L列の成分を表す。
【0028】
CQI/PMI/RI選択部34では、まずShannonの定理に従って、それぞれのPMIが適用された場合のシステム全体の通信容量C(PR,L,f,K)を次の式2に従って算出する(ステップS4)。なお、ステップS3、S4は全てのPMI、全てのレイヤ、選択したサブバンドおよび全てのRSに対して行われる。
C(PR,L,f,K)=log2(1+SINR(PR,L,f,K))…(2)
【0029】
次に、上記で算出した通信容量が最大になるようなWideband PMI =P^wおよびRI=R^を、式3に従って選択する(ステップS5)。
R^,P^w=arg maxRe(1,2)maxPR∈ΩRΣKΣfΣL=1toRC(PR,L,f,K)…(3)
ただし、ΩRはランクRにおける全てのPMIの集合を表す。
【0030】
ここで、Effective SNR推定部33では、図3に示すように、全てのPMI(ループ2)、全てのレイヤ(ループ3)、選択したサブバンド(ループ4)および全てのRS(ループ5)についてEffective SNRの算出処理を行うため、PMIの最大数をPmax、レイヤ最大数をLmax、RSを含むサブキャリアの最大数をKmaxとすると、最大で(Pmax×Lmax×Kmax)回の処理が必要となる。実施の形態として用いているLTEのシステムにおいて4×2MIMOが適用されている場合には、ランク1についてPmax=16、Lmax=1、Kmax=200、ランク2についてPmax=16、Lmax=2、Kmax=200となるため、最大で16×(1+2)×200=9600回のEffective SNR計算処理が必要となる。また、通信容量の算出も全てのPMI、全てのレイヤ等に対して行われるため、膨大な処理が必要となる。以上の処理(ステップS1、S3〜S5)は後ほど詳述する判定部32における処理、すなわちステップS2の算出に用いるサブバンドを選択する処理を除いて周知の技術である。
【0031】
以下に、無線通信システム1の特徴を説明する。従来はステップS2が無く、全てのサブバンドに対してEffective SNRの算出を行っている。しかし、無線通信システム1は、判定部32においてEffective SNR算出に使用するサブバンドを削減する。これにより、Wideband PMIおよびRI算出における演算量を削減することができる。
【0032】
高SNRのサブバンドについては、受信特性が良いため選択されたPMIによる受信特性への影響が少ない。また、低SNRのサブバンドについては、元々受信特性が悪いため全体の特性に与える影響は小さい。よって、帯域の平均に近いサブバンドのみを選択してWideband PMIおよびRIを算出した場合と、全帯域について算出した場合では、結果としてシステム全体の受信特性に大きな違いはない。よって、本手法により受信特性を劣化させることなく演算量を削減することができる。
【0033】
図5に、判定部32における具体的な判定処理(ステップS2の処理)の概要を示す。まず、判定部32は、SNR推定部31からのSNR情報に基づき、全帯域における平均SNRを算出する(ステップS10)。次に、判定部32は、全サブバンドの中から、平均SNRに近いN個のサブバンドを選択する(ステップS11)。サブバンドの選択のイメージを図6に示す。図6では、サブバンド(B1〜B10)におけるSNRが平均SNRに近いものから順に6個のサブバンド(すなわち、B2、B8、B9、B4、B10、B6)を選択している。
【0034】
最後に、判定部32は、選択したサブバンドをEffective SNR推定部33に通知する(ステップS12)。既述のように、Effective SNR推定部33では選択されたサブバンドについてのみEffective SNR算出処理(ステップS3)を行うため、全てのサブバンドを使う場合に比べて演算量を削減することができる。
【0035】
(本発明の第二の実施の形態に係る動作の説明)
本発明の第一の実施の形態では、判定部32で抽出するサブバンドの数を固定としているが、本発明の第二の実施の形態では、この数を動的に制御する。なお、第二の実施の形態に係る無線通信システムの構成は、第一の実施の形態と同様であり、図1、図2に示す構成となっている。
【0036】
動的制御のためのパラメータとしては、帯域中のサブバンドにおけるSNRのバラツキ度合いを用いる。本実施の形態のイメージを図7に示す。すなわち、図7中の(b)のケースのように帯域中のSNRのバラツキが大きい場合は、Effective SNR算出に用いるサブバンド数Nを多くすることで(N=6)、受信特性の劣化を防ぐ。また、図7中の(a)のケースのようにSNRのバラツキが小さい場合は、Effective SNR算出に用いるサブバンド数Nを少なくすることで(N=3)、無駄なEffective SNR算出処理を省くことができ、受信装置20における演算量を削減する。バラツキ度合いの指標としては、例えば図7に示すような標準偏差を用いる構成が考えられるが、他の指標を用いても構わない。
【0037】
(本発明の第三の実施の形態に係る動作の説明)
本発明の第二の実施の形態では、サブバンド数の動的制御を行うが、その際には、平均SNRに近いサブバンドを抽出してEffective SNR算出処理に用いている。これに対し、本発明の第三の実施の形態では、全サブバンドを高、中、低SNR領域に分割し、それぞれからA個、B個、C個ずつのサブバンドを抽出してEffective SNR算出処理に用いるような構成にする。これにより、各領域の値をWideband PMIおよびRIに反映することで受信特性の劣化を防ぎつつ、受信機における演算量を削減することができる。なお、第三の実施の形態に係る無線通信システムの構成は、第一の実施の形態と同様であり、図1、図2に示す構成となっている。
【0038】
本発明の第三の実施の形態のイメージを図8に示す。この際、高、中、低SNR領域は、例えばそれぞれの領域に含まれるサブバンド数があらかじめ決められた数となるように分割する。図8の例では、高、中、低SNR領域のそれぞれが3個、4個、3個となっている。そして図8の例では、各領域から2個ずつのサブバンドを選択している。すなわち、高SNR領域では、サブバンドB6、B8が、中SNR領域では、サブバンドB2、B9が、低SNR領域では、サブバンドB4、B10がそれぞれ選択されている。しかし、2個ずつではなく、高中低で2個、3個、2個を選択したり、また、各領域のサブバンド数を同一数としたり、他の異なる数としてもよい。
【0039】
また、図9に示すように、SNRが上位A個のサブバンドを高SNR領域、SNRが下位C個のサブバンドを低SNR領域に分割する。そして、高、低SNR領域のいずれにも含まれないサブバンドからB個を選ぶようにする。または、このように決めた各領域から、A、B、C個(A=B=C、A=B、A=C、B=Cとなってもよい)のサブバンドを選ぶようにしてもよい。また、予め決められた閾値によって高、中、低SNR領域を分割してもよい。この閾値は、常に固定値としてもよいし、帯域全体での平均SNRの値によって動的に制御してもよい。動的に制御する場合の実施の形態のイメージを図10に示す。
【0040】
すなわち、平均SNRが高い場合には閾値が大きく、平均SNRが低い場合には閾値が小さくなるように制御する。また、A、B、Cの値は固定としてもよいし、可変としてもよい。可変とする場合には、例えば帯域幅に基づいて制御する手法が考えられる。すなわち、サブバンドの帯域幅が大きければ、A、B、Cの値を小さくし、反対に、サブバンドの帯域幅が小さければ、A、B、Cの値を大きくする。もちろん、他の指標を用いても構わない。また、領域は複数であればよく、領域を高、中、低ではなく、高高、高低、中高、中低、低高、低低の6つの領域に分け、中央の3つの領域または4つの領域から選択したりしてもよい。
【0041】
(プログラムの実施の形態)
次に、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の実施の形態の送信装置10、受信装置20の機能を実現するプログラムの実施の形態を説明する。ここで、情報処理装置とは、例えば、汎用のコンピュータ装置であり、CPUやDSP(Digital Signal Processor)あるいはマイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)などが含まれる。
【0042】
例えば、マイクロプロセッサは、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。マイクロプロセッサのCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、マイクロプロセッサにより、送信装置10、受信装置20の各部の機能としてチャネル符号化部11、変調部12、レイヤマッピング部13、プリコーディング部14、REマッピング部15、IFFT部16、FFT部21、REデマッピング部22、チャネル推定部23、復調部24、チャネル復号化部25、CQI/PMI/RI推定部30が実現される。
【0043】
なお、マイクロプロセッサが実行する制御プログラムは、送信装置10、受信装置20の出荷前に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶されたものであっても、送信装置10、受信装置20の出荷後に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、送信装置10、受信装置20の出荷後に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶されたものであってもよい。送信装置10、受信装置20の出荷後に、マイクロプロセッサのメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0044】
なお、本実施の形態のプログラムは、情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0045】
(本発明の実施の形態に係る効果)
無線通信システム1によれば、受信帯域内における平均受信品質に近い一定の幅の帯域を抽出し、あるいは、受信帯域内における高、中、低受信品質から一定の帯域を抽出し、抽出した帯域についてのみの情報から算出したPMIおよびRIを、Wideband PMIおよびRIとして報告する。これにより、Wideband PMIおよびRIの算出演算量を削減することができる。
【0046】
(変形例)
上述した本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。例えば、上述の実施の形態では、Wideband PMIとRIの両者の算出演算量を削減しているが、いずれか一方のみを上述した方法で削減するようにしてもよい。
【0047】
また、全サブバンドを高、中、低SNR領域に分割した場合、中SNR領域に入る全てのサブバンドを選択してもよい。このように全帯域内における平均受信品質に近い一定の幅の範囲内にある領域を抽出し、その領域内にある全てのサブバンドを選択するようにしてもよい。また、所定の基準は、M個のサブバンドの平均受信品質に近いものから順にN個(M>N)のサブバンドを選択してもよい。
【0048】
さらに、サブバンドのSNRのバラツキが大きい場合には、高、中、低の同数の領域中から選択してくるサブバンドの数を、中位を多くし、高低位を少なくするようにしたり、逆にバラツキが小さい場合には、各領域から選んでくるサブバンドの数を同一とするようにしたりしてもよい。また、バラツキ具合いを考慮して領域を分割する際の、平均SNRの値による動的制御などは、組み合わせて使用してもよく、また、このような動的制御は、平均SNRを算出する場合と算出しない場合とに適宜使用することができる。
【0049】
また、以上の説明はLTEを利用した携帯電話機における通信について説明したが、FDM、OFDMを利用した携帯電話機やWireless LANなどのMIMOプリコーディングを用いた無線通信システムにおいても同様の手法を適用することが可能である。あるいは、受信装置における受信品質に基づき、送信装置にフィードバック情報を通知するあらゆる通信システムに本発明の実施の形態の手法を適用することができる。この場合、必ずしも無線通信システムでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムのブロック構成図である。
【図2】図1に示す通信装置(受信装置)のCQI/PMI/RI推定部のブロック構成図である。
【図3】図2に示すCQI/PMI/RI推定部の最適なPMI/RI選択動作を示すフローチャートである。
【図4】図2に示すEffective SNR推定部に用いられるLTEにおけるCodebookのうち、送信アンテナ数が1もしくは2の場合に関する例を表す図である。
【図5】図2に示すCQI/PMI/RI推定部のフィードバック情報送出動作を示すフローチャートである。
【図6】図2に示すCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択を説明するための図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際のSNRのバラツキによってサブバンドの選択数を変える例を説明するための図である。
【図8】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際の高、中、低SNR領域を設ける例を説明するための図である。
【図9】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際の高、中、低SNR領域におけるサブバンド選択を説明するための図である。
【図10】本発明の第二の実施の形態に係る無線通信システムにおいてCQI/PMI/RI推定部におけるサブバンド選択の際の高、中、低SNR領域を設ける場合の閾値を変える例を説明するための図である。
【図11】LTEのPUSCHにおける受信装置から送信装置への報告モードの規定を示す図であり、WidebandCQI、Subband CQI、Best−MCQI、Wideband PMI、SubbandPMI、Best−M PMI、RI、Indexrを示す図である。
【図12】LTEのPUCCHにおける受信装置から送信装置への報告モードの規定を示す図であり、WidebandCQI、UE Selected Subband CQI、Wideband PMI、RI、Index jを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…無線通信システム、10…送信装置(通信装置)、11…チャネル復号化部、12…変調部、13…レイヤマッピング部、14…プリコーディング部、15…REマッピング部、16…IFFT部、20…受信装置(通信装置)、21…FFT部、22…REデマッピング部、23…チャネル推定部、24…復調部、25…チャネル復号化部、30…CQI/PMI/RI推定部30(算出する手段、選択する手段、推定する手段、判定する手段、分類する手段)、31…SNR推定部、32…判定部(算出する手段、選択する手段、判定する手段、分類する手段)、33…Effective SNR推定部(推定する手段)、34…CQI/PMI/RI選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする通信装置において、
受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択する手段と、
このN個の上記サブバンドに基づき上記プリコーディング行列を推定する手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置において、
受信帯域内の平均受信品質を算出する手段を備え、
前記サブバンドを選択する手段は、上記平均受信品質に近い受信品質を有する前記N個の前記サブバンドを選択する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の通信装置において、
前記サブバンド間における受信品質のバラツキ具合を判定する手段を備え、
前記選択する手段は、上記判定する手段によりバラツキ具合が大きいと判定されたときには、バラツキ具合が小さいと判定されたときに比べて前記Nの値を大きく設定する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の通信装置において、
前記サブバンド毎に受信品質を複数のランクに分類する手段を備え、
前記選択する手段は、前記サブバンドの中から上記ランク毎に所定数の前記サブバンドをそれぞれ選択する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項4記載の通信装置において、
前記分類する手段は、帯域全体の平均受信品質が高いときには、帯域全体の平均受信品質が低いときに比べて、前記ランクに分類する際の受信品質の閾値を高く設定する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の通信装置において、
前記分類する手段により分類された前記ランク毎の前記サブバンド数に応じて前記ランク毎に選択するサブバンドの選択数を変化させる、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする制御部を有する通信装置において、
上記制御部は、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択し、
このN個の上記サブバンドに基づき上記プリコーディング行列を推定する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項7記載の通信装置において、
前記所定の基準は、前記M個のサブバンドの平均受信品質に近いものから順にN個のサブバンドを選択するものであることを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の通信装置において、
前記所定の基準は、受信品質によって前記M個のサブバンドを複数の分類に分け、その各分類の全部または受信品質が中位の領域から少なくとも1個以上のサブバンドを選択するものであること特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の通信装置と、
この通信装置からフィードバックされたプリコーディング行列を送信信号に乗算して上記通信装置に送信する他の通信装置と、
を備えることを特徴とするMIMOプリコーディングを用いる無線通信システム。
【請求項11】
受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、MIMOプリコーディングを用いる無線通信システムの送信装置にフィードバックする通信装置に適用される推定情報のフィードバック方法において、
受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択するステップと、
このN個の上記サブバンドに基づき上記プリコーディング行列を推定するステップと、
を有することを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項12】
請求項11記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記サブバンド間における受信品質のバラツキ具合を判定するステップを有し、
前記選択するステップは、上記判定するステップの処理によりバラツキ具合が大きいと判定されたときには、バラツキ具合が小さいと判定されたときに比べて前記Nの値を大きく設定する、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項13】
請求項11または12記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記サブバンド毎に受信品質を複数のランクに分類するステップを有し、
前記選択するステップは、前記サブバンドの中から上記ランク毎に所定数の前記サブバンドをそれぞれ選択する、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項14】
請求項13記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記分類するステップは、帯域全体の平均受信品質が高いときには、帯域全体の平均受信品質が低いときに比べて、前記ランクに分類する際の受信品質の閾値を高く設定する、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項15】
請求項13または14記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記分類するステップの処理により分類された前記ランク毎の前記サブバンド数に応じて前記ランク毎に選択するサブバンドの選択数を変化させる、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項16】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、請求項1から9のいずれか1項記載の通信装置の機能を実現することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする通信装置において、
受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択する手段と、
このN個の上記サブバンドに基づき上記プリコーディング行列を推定する手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置において、
受信帯域内の平均受信品質を算出する手段を備え、
前記サブバンドを選択する手段は、上記平均受信品質に近い受信品質を有する前記N個の前記サブバンドを選択する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の通信装置において、
前記サブバンド間における受信品質のバラツキ具合を判定する手段を備え、
前記選択する手段は、上記判定する手段によりバラツキ具合が大きいと判定されたときには、バラツキ具合が小さいと判定されたときに比べて前記Nの値を大きく設定する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の通信装置において、
前記サブバンド毎に受信品質を複数のランクに分類する手段を備え、
前記選択する手段は、前記サブバンドの中から上記ランク毎に所定数の前記サブバンドをそれぞれ選択する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項4記載の通信装置において、
前記分類する手段は、帯域全体の平均受信品質が高いときには、帯域全体の平均受信品質が低いときに比べて、前記ランクに分類する際の受信品質の閾値を高く設定する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の通信装置において、
前記分類する手段により分類された前記ランク毎の前記サブバンド数に応じて前記ランク毎に選択するサブバンドの選択数を変化させる、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、その値を他の通信装置にフィードバックする制御部を有する通信装置において、
上記制御部は、受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定の基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択し、
このN個の上記サブバンドに基づき上記プリコーディング行列を推定する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項7記載の通信装置において、
前記所定の基準は、前記M個のサブバンドの平均受信品質に近いものから順にN個のサブバンドを選択するものであることを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の通信装置において、
前記所定の基準は、受信品質によって前記M個のサブバンドを複数の分類に分け、その各分類の全部または受信品質が中位の領域から少なくとも1個以上のサブバンドを選択するものであること特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の通信装置と、
この通信装置からフィードバックされたプリコーディング行列を送信信号に乗算して上記通信装置に送信する他の通信装置と、
を備えることを特徴とするMIMOプリコーディングを用いる無線通信システム。
【請求項11】
受信信号のチャネル状態に応じてプリコーディング行列を推定し、MIMOプリコーディングを用いる無線通信システムの送信装置にフィードバックする通信装置に適用される推定情報のフィードバック方法において、
受信帯域を所定数に分割して生成された複数のM個のサブバンドの中から所定基準に基づいてN個(M>N)の上記サブバンドを選択するステップと、
このN個の上記サブバンドに基づき上記プリコーディング行列を推定するステップと、
を有することを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項12】
請求項11記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記サブバンド間における受信品質のバラツキ具合を判定するステップを有し、
前記選択するステップは、上記判定するステップの処理によりバラツキ具合が大きいと判定されたときには、バラツキ具合が小さいと判定されたときに比べて前記Nの値を大きく設定する、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項13】
請求項11または12記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記サブバンド毎に受信品質を複数のランクに分類するステップを有し、
前記選択するステップは、前記サブバンドの中から上記ランク毎に所定数の前記サブバンドをそれぞれ選択する、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項14】
請求項13記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記分類するステップは、帯域全体の平均受信品質が高いときには、帯域全体の平均受信品質が低いときに比べて、前記ランクに分類する際の受信品質の閾値を高く設定する、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項15】
請求項13または14記載の推定情報のフィードバック方法において、
前記分類するステップの処理により分類された前記ランク毎の前記サブバンド数に応じて前記ランク毎に選択するサブバンドの選択数を変化させる、
ことを特徴とする推定情報のフィードバック方法。
【請求項16】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、請求項1から9のいずれか1項記載の通信装置の機能を実現することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−118779(P2010−118779A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289063(P2008−289063)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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