説明

通信装置、画像形成装置、制御方法、プログラム、記憶媒体

【課題】組み込み機器のメモリにユーザの個別情報が記憶容量の上限まで記憶されていても、メモリの個別情報を削除することなく、新たなユーザの個別情報を登録できる通信装置等を提供すること。
【解決手段】通信管理情報を用いて端末200と有線又は無線にて通信する通信装置17において、通信管理情報を記憶する通信管理情報記憶手段43と、端末200と通信するための通信管理情報を通信管理情報記憶手段43に記憶する際、通信管理情報記憶手段43の残メモリ量を検出する残メモリ検出手段61と、通信管理情報記憶手段42の残メモリ量が所定値未満の場合、通信管理情報記憶手段43に記憶されている1以上の通信管理情報を外部メモリ200、30、15に退避する退避手段62と、退避により生じた空き領域に、端末200と通信するための通信管理情報を通信管理情報記憶手段43に記憶させる通信管理情報登録手段63と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末と通信する通信装置等に関し、特に、通信に必要な通信管理情報を登録する通信装置、画像形成装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや学校、工場など、多数の人間が共同で使用する機器がある。例えば、複写機、ファクシミリ、サーバにアクセスするための端末等である。このように共用される機器は、機器の配置先に属するユーザであれば自由に使用できるものであるが、想定していないユーザが使用するおそれもある。また、機器の配置先に属するユーザのみが使用する場合でも、使用したユーザを特定したい場合もある。本来であれば、例えばこれら機器の管理者等に許可を得て使用することが考えられるが、使用の度に許可を得るのでは煩わしい。そこで、予め定めたユーザのみが機器を使用できるように、使用前に機器が各ユーザを認証し、認証が成立した場合にのみ、機器を使用可能とする技術が考えられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、USBメモリに記憶した鍵情報によりPC(パーソナルコンピュータ)から認証を受ける技術が記載されている。特許文献1記載の認証方法は、鍵情報を乱数により決定することで、鍵情報の予測を困難にしてユーザを確実に認証することとしている。
【0004】
また、特許文献2には、ICカードを用いてユーザを認証する認証装置において、認証装置が予め記憶してる認証情報を外部に出力する認証装置が記載されている。外部のクライアント装置などで個人認証情報を取り扱う際、画像形成装置から出力された認証情報を利用できるので、ユーザはICカードにより外部のクライアント機器を使用できるようになる。
【特許文献1】特開2006−018545号公報
【特許文献2】特開2008−003782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように、多数の人間が共同で使用する機器を考慮した場合、機器はこの多数のユーザ分の認証情報を記憶している必要がある。しかし、認証情報を複数保持できる機器、特に組み込み用通信機器においては、メモリの制約が厳しいため、保持できる認証情報の個数(容量)には上限があり、所望の人数の認証情報を保持しきれない事態が生じうる。この点について、特許文献1及び2では、多数のユーザの認証情報を効率的に保持する点についてなんら考慮されていない。
【0006】
認証情報をメモリの上限まで記憶している状態で新たに認証情報を追加する場合、単に機器のメモリに保存されている認証情報を削除することが考えらえる。しかし、認証情報を削除してしまうと、認証情報が削除されたユーザが機器を使用する時に、再度、認証情報を機器に登録する処理が必要になってしまう。機器に接続する前にこのような処理を強いることは、ユーザの利便性や機器の操作性を低下させてしまう。
【0007】
かかる問題は、認証情報に限られず、組み込み用通信機器のように無線通信する通信装置が通信のために必要とする情報についても同様に生じる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、組み込み機器のメモリにユーザの個別情報が記憶容量の上限まで記憶されていても、メモリの個別情報を削除することなく、新たなユーザの個別情報を登録できる通信装置、画像形成装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、通信管理情報を用いて端末と有線又は無線にて通信する通信装置において、通信管理情報を記憶する通信管理情報記憶手段と、端末と通信するための通信管理情報を通信管理情報記憶手段に記憶する際、通信管理情報記憶手段の残メモリ量を検出する残メモリ検出手段と、通信管理情報記憶手段の残メモリ量が所定値未満の場合、通信管理情報記憶手段に記憶されている1以上の通信管理情報を外部メモリに退避する退避手段と、退避により生じた空き領域に、端末と通信するための通信管理情報を通信管理情報記憶手段に記憶させる通信管理情報登録手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、通信機器のアソシエーション情報を外部メモリに退避させるので、そのアソシエーション情報を削除することなく、これから接続したい端末のアソシエーション情報を新たに登録することができる。
【0011】
また、本発明の一形態において、端末との通信が終了した際、外部メモリに退避された通信管理情報を、通信管理情報記憶手段に再度、記憶させる退避情報処理手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
退避させたアソシエーション情報を通信装置に戻すことで、新規に通信機器に追加したアソシエーション情報が一度だけしか使わないものであった場合、それを機器にいつまでも存在させておくことを防ぎ、通信管理情報記憶手段の記憶容量を有効に活用できる。また、アソシエーション情報を通信管理情報記憶手段に戻すだけで済むので、再びそのアソシエーション情報を作り直す手間もなくすことができる。
【0013】
また、本発明の一形態において、当該通信装置に接続された表示手段に、退避する通信管理情報を前記外部メモリに退避した後、通信管理情報記憶手段に再度、記憶させるか否かを設定する設定画面を表示し、当該通信装置に接続された操作手段の操作に基づき、退避情報処理手段が外部メモリに退避された通信管理情報を、通信管理情報記憶手段に再度、記憶させるか否を設定する処理設定部、を有することを特徴とする。
【0014】
外部メモリに退避したアソシエーション情報を復帰させるか否かをユーザが選択することができる。
【0015】
また、本発明の一形態において、退避手段は、当該通信装置に接続された表示手段に、通信管理情報記憶手段に記憶されている通信管理情報を表示し、当該通信装置に接続された操作手段により選択された、通信管理情報を退避させる、ことを特徴とする。
【0016】
どのアソシエーション情報を退避させるかを手動で指定できるので、ユーザ自身が重要ではないと認識しているアソシエーション情報を選択して外部メモリに蓄積することができる。
【0017】
また、本発明の一形態において、退避手段は、退避させる通信管理情報を所定の決定方法に従い決定する、ことを特徴とする。
【0018】
退避するアソシエーション情報を自動的に決定できるので、退避させるアソシエーション情報を選択する煩わしさを低減させることができる。
【0019】
また、本発明の一形態において、退避手段は、最長時間未使用順に退避させる通信管理情報を決定する、ことを特徴とする。
【0020】
最も使用していないアソシエーション情報を退避させることができる。
【0021】
また、本発明の一形態において、通信管理情報はワイヤレスUSBのアソシエーション情報であって、ワイヤレスUSBにより端末と無線にて通信する、ことを特徴とする。
【0022】
ワイヤレスUSBやUWBを用いて通信することができる。
【0023】
また、本発明の一形態において、外部メモリは、端末と同体の可搬な記憶手段である、ことを特徴とする。
【0024】
端末を外部メモリとすることで、通信のために通信管理情報を必要とする端末に通信管理情報を退避することができる。
【0025】
また、本発明の一形態において、外部メモリは、USBメモリ又はSDカードである、ことを特徴とする。
【0026】
USBメモリ等に退避することで、USBメモリを鍵のかかった机にしまう等、容易に管理できるので、セキュリティが向上する。
【発明の効果】
【0027】
組み込み機器のメモリにユーザの個別情報が記憶容量の上限まで記憶されていても、メモリの個別情報を削除することなく、新たなユーザの個別情報を登録できる通信装置、画像形成装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置100による認証情報の取り扱いを模式的に説明する図の一例である。本実施例の画像形成装置100は、ワイヤレスUSBの通信規格に従いUSBホストとして通信するワイヤレスUSBホストを有し、USBメモリ200のようなUSB装置と無線で通信する。以下では、USBメモリ200をUSB装置の一例として説明するが、メモリのような記憶媒体に限らず、ワイヤレスUSBにより通信するキーボード、マウス、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等、どのような機器がワイヤレスUSBによる通信機能を有していてもよい(特許請求の範囲の「端末」に相当する。)。
【0029】
後述するようにワイヤレスUSBでは、アソシエーション情報を用いてUSBメモリ200と通信する。図1(a)では、画像形成装置100に既にアソシエーション情報記憶メモリ(以下、ASC記憶メモリという)の上限まで、1以上のアソシエーション情報が記憶されている。
【0030】
図1(a)の状態では、ユーザAのアソシエーション情報は画像形成装置100に記憶されていない。このため、ユーザAがUSBメモリ200を画像形成装置100に近づけても通信することができない。
【0031】
そこで、画像形成装置100は、アソシエーション情報を画像形成装置100に登録する際、すでにASC記憶メモリに記憶されているアソシエーション情報を外部メモリに退避する。図1(b)では、ユーザAが画像形成装置100に装着したUSBメモリ200に退避した。
【0032】
これによりASC記憶メモリには空き容量が生じるので、ユーザAは所有するUSBメモリ200のアソシエーション情報を画像形成装置100に登録することができる。アソシエーション情報を登録した後は、画像形成装置100に装着されていたUSBメモリ200を取り外しても、ワイヤレスUSBにより画像形成装置100とUSBメモリ200が通信することができる。なお、USBメモリ200のアソシエーション情報については後述する。
【0033】
USBメモリ200に退避されたアソシエーション情報はUSBメモリ200から画像形成装置100に復帰させることができる。この場合、ユーザAが登録したアソシエーション情報をASC記憶メモリから削除して、ASC記憶メモリに再度、記憶させる。したがて、既存のユーザは携帯するUSB機器で画像形成装置100と通信することができる。
【0034】
また、アソシエーション情報をUSBメモリ200に退避したままとしてもよい。この場合、次回、画像形成装置100と通信する場合、ユーザAはアソシエーション情報を登録することなく、画像形成装置100とUSBメモリとが通信することができる。
【0035】
図2は、画像形成装置100のハードウェア構成図の一例を示す。画像形成装置100は、コントローラ50と、プロッタ27、スキャナ28、ファックス制御ユニット26、及びその他ハードウェアリソース29とがPCIバス、PCI−Xバス又はPCI−Express等のシリアルインターバスで接続された構成となる。また、コントローラ50には操作部24が接続されている。なお、図では、認証の対象となるUSBメモリ200を示した。
【0036】
コントローラ50は、画像形成装置100全体の制御、すなわち、ファックス制御ユニット26、プロッタ27,スキャナ28及びその他ハードウェアリソース29を用いて、原稿の読み取り、印刷、ファクシミリ送受信、操作部24からの入力等を処理する制御部である。
【0037】
プロッタ27は、白黒プロッタ及び/又は1ドラムカラープロッタであり、印刷ジョブデータやスキャナ28が読み取った画像データに基づき、1ページ毎の画像を形成し、用紙に転写する。例えば、レーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、感光ドラム等に形成したトナー画像を用紙に転写し、定着装置により熱と圧力により定着して出力する。
【0038】
また、スキャナ28は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に走査して、その反射光をA/D変換して誤差拡散やガンマ変換などの画像処理を施し所定の解像度のデジタルデータに変換し画像データを生成する。
【0039】
ファックス制御ユニット26は、NCU(Network Control Unit)を介して公衆通信網に接続し、例えばG3、G4規格のファクシミリに対応した通信手順(通信プロトコル)等に従いファクシミリの送受信を行う。ファックス制御ユニット26は、画像データにデータ圧縮や変調等の信号処理を施して送信すると共に、相手先から受信した画像データにデータの伸長やエラー訂正等を施し画像データを復元する。
【0040】
コントローラ50は、CPU11と、ノースブリッジ (以下、NB13という)と、システムメモリ(以下、MEM−P12という)と、サウスブリッジ (以下、SBという)と、ローカルメモリ(以下、MEM−C14という)と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(以下、HDD15という)と、ワイヤレスUSBホスト17と、NIC(Network Interface Card)18と、無線LANI/F19と、USBホスト22と、メモリカードI/F23と、を有する。なお、ASIC16とNB13の間はAGP(Accelerated GraphicsPort)で接続されている。
【0041】
CPU11は、MEM−P12、ASIC16、及び、ワイヤレスUSBホスト17等を結ぶバスに流通するデータの送信制御を行うNB13を介して、画像形成装置の全体を制御する。
【0042】
NB13は、CPU11とMEM−P12、AGPとを接続するためのブリッジICであり、MEM−P12は、画像形成装置100の描画用メモリなどとして用いるシステムメモリである。
【0043】
MEM−C14は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いられるローカルメモリであり、ASIC16は、多数のレジスタや論理回路を備え、各モータドライバの制御部の他、ヘッドパルス生成部等として機能する。また、ASIC16は、AGP、HDD15およびMEM−C14をそれぞれ接続するブリッジの役割も果たす。
【0044】
操作部24は、ユーザAからの入力操作の受け付け並びにユーザAに向けた表示をおこなう操作部24であり、本実施形態では、ASC記憶メモリの設定、アソシエーション情報の登録等に使用される。なお、操作部24は、キーボードの他にタッチパネルを入力手段として有し、LCD(液晶ディスプレイ)等の表示部と兼用されている。
【0045】
HDD15は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うための記憶手段(ストレージ)である。本実施例ではHDD15に、アソシエーション情報を格納するASC記憶メモリを管理する通信情報管理プログラム20が記憶されているが、通信情報管理プログラム20はMEM−P12やMEM−C14その他の記憶手段に記憶されていてもよい。
【0046】
AGPは、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、システムメモリに高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードの処理を高速化する。
【0047】
ワイヤレスUSBホスト17は、USBメモリ200と無線で通信する通信装置である(特許請求の範囲の通信装置に対応する。)。ワイヤレスUSBについて詳細は後述する。NIC18は、例えばイーサネット(登録商標)に適合したLANインターフェイスであり、通信相手との間にデータリンクを構築し、上位のネットワーク層、トランスポート層にそれぞれ適合したプロトコル(TCP、IP等)を利用してデータを送受信する。
【0048】
無線LANI/F19は、例えばIEEE 802.11a/b/g等の通信規格に準拠し、アクセスポイントに介してLAN等のネットワークに接続する。
【0049】
IEEE1394I/F21は、IEEE1394の通信規格を備えた機器と通信するインターフェイスであり、複数台の機器をデイジーチェーン接続することができる。動画などのサイズの大きなデータを送信するのに適しており、接続される機器は、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等である。
【0050】
USBホスト22はUSBコントローラと呼ばれるICで、これをCPU11が実行するデバイスドライバ(ドライバソフトウェア)が制御してUSBI/Fを構成し、接続された例えばUSBメモリ200と通信する。同様に、メモリーカードI/F23は、メモリカード30からデータを読み出しまた記録媒体にデータを書き込むインターフェイスである。メモリカード30は、例えばSDカード、マルチメディアカード、xDカード等である
〔ワイヤレスUSB〕
ワイヤレスUSBについて説明する。ワイヤレスUSBは、有線によるUSBと下位互換性を有し、有線のUSBと同じようにホスト・スレーブ・アーキテクチャを採用している。また、USB2.0でサポートされている四つの転送タイプ(コントロール転送、バルク転送、インタラプト転送、アイソクロナス転送)のすべてに対応している。また、有線のUSBはハブに接続することで複数のUSB装置が接続されるツリー型のトポロジーを有していたが、ワイヤレスUSBは物理的な接続インターフェイスが不要なのでスター型のトポロジーとなる。
【0051】
図3は、ワイヤレスUSBホスト17のブロック図の一例を示す。ワイヤレスUSBは、アナログ無線電波を受信するためのアンテナと、周波数のフィルタリング、中間波の生成、増幅等を無線電波に施すRF部42と、無線電波をデジタル信号に変換するベースバンド部41とを有する。
【0052】
ワイヤレスUSBは、UWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる通信方法の一形態であり、ワイヤレスUSB(Certified Wireless USB)はUWDと同義又はUWBの下位概念である。
【0053】
RF部42は、通信方式としてMB−OFDM(Multi-band Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式またはDS−UWB(UltraWide Band)方式を使用する(IEEE802.15TG3a)。アンテナとRF部42はUWB物理層及びUWBMAC層に相当し、上述したMB−OFDMまたはDS−UWBに対応した無線電波を受信する。
【0054】
RF部42はシンセサイザを備えていて、バンド、チャネルの周波数を識別し、周波数割当データによるバンド、チャネルを制御する。RF部42は、MB−OFDMでは、3.1GHz〜10.6GHzの範囲の周波数帯を1〜5の5チャネルに分割し、各チャネルを3バンドまたは2バンドに分けて合計14バンドに分けて、各バンドをホッピングする方式で通信する。なお、UWBMAC層は、OSI基本参照モデルにおける、データリンク層の一部に相当する。
【0055】
ベースバンド部41は、RF部42が変換した低周波領域の無線電波をデジタル信号に復調する。復調されたデジタル信号はPCIバスを介してMEM−P12に格納され、CPU11が実行する通信ソフトウェアにより、より上位のプロトコル層のプロトコルに対応した処理を施される。例えば、トランスポート層のTCP、ネットワーク層のIP等である。
【0056】
ASC記憶メモリ43は例えばEEPROMで構成され、UWBMAC層における媒体識別値やUWBMAC層を構成するハードウェアのレジスタ設定値などを格納する。すなわち、ASC記憶メモリ43にアソシエーション情報が記憶される。
【0057】
なお、図2のIEEE1394I/F21には、IEEE1394のインターフェイスを備えた機器が有線で接続することを想定したが、IEEE1394とワイヤレスUSBとは、UWB物理層及びUWBMAC層を共通にできる。すなわち、複数の通信装置(ワイヤレスUSB、IEEE1394等)に共通にUWB物理層及びUWBMAC層を設け、コンバージェンス層を構築することで、ワイヤレスUSBだけでなくIEEE1394等についても、高速シリアル伝送を可能とするワイヤレスバスを提供することができる。
【0058】
続いて、アソシエーション情報について説明する。ワイヤレスUSBではUSB装置とワイヤレスUSBホスト17との間での通信を始める前に、アソシエーションという手続きを行なう。通信を行なう前に、機器とホストはお互いに、アソシエーション情報を保持しなければならない。
【0059】
ワイヤレスUSBの場合、アソシエーション情報は、
1)通信元(つまり自分)のID、
2)通信先(つまり通信相手)のID、
3)暗号鍵
の3つである。
【0060】
そのアソシエーションは、先にIDを互いに交換しそのIDを用いて暗号鍵を交換することで行われる。アソシエーションが完了した後は、その鍵を用いて暗号化通信を行なう。
【0061】
アソシエーションの態様には、Numeric AssociationとCable Associationとが考えられている。図4はNumeric AssociationとCable Associationをそれぞれ模式的に示す図の一例である。
【0062】
各USBメモリ200は、固有のIDを不揮発メモリに記憶している。固有のIDは例えば4桁の数字である。また、Numeric Associationの場合、固有のIDは不揮発メモリに記憶されているだけでなく、シール等により目視できる形態でUSBメモリ200に貼付又は添付されている。
【0063】
Numeric Associationでは、画像形成装置100にUSBメモリ200がもつ固有のIDを入力することで行う。例えば、USBメモリ200の固有のIDが「1234」の場合、USBメモリ200のユーザAは操作部24を操作して「1234」を入力する。これにより、画像形成装置100のワイヤレスUSBホスト17は、USBメモリ200を識別できるようになり、USBメモリ200に記憶されている暗号鍵を交換できるようになる。暗号鍵が交換されれば、画像形成装置100は、通信元のID、通信先のID、及び暗号鍵を記憶したことになる。
【0064】
Cable Associationでは、画像形成装置100とUSBメモリ200をUSBホスト22にケーブルを介し又は直接接続して、例えば画像形成装置100又はUSBメモリ200に所定の操作を入力することで、固有のIDを登録する。所定の操作とは、画像形成装置100であれば、例えば操作部24から予め定められた一連の操作を入力することであり、USBメモリでは、例えばリセットボタンの長押し等である。
【0065】
したがって、いったん物理的に接続した後は、画像形成装置100にアソシエーション情報が記憶された状態となるので、物理的な接続を解消しても、画像形成装置100とUSBメモリ200は無線で通信することができる。
【0066】
アソシエーション情報を取得した後は、画像形成装置100は、USBメモリ200から取得した暗号鍵により送信するデータを暗号化して送信し、USBメモリ200は受信したデータを元々記憶している暗号鍵で復号化する。また、USBメモリ200は、元々記憶している暗号鍵により送信するデータを暗号化して送信し、画像形成装置100は受信したデータをUSBメモリ200から取得した暗号鍵により復号化する。
【0067】
〔ソフトウェアモジュール〕
図5は、画像形成装置100のソフトウェアモジュールの一例を示す図である。ソフトウェアモジュールは、上記のプロッタ27、スキャナ28、その他ハードウェアリソース29とHW(Hard Ware) I/Fを介して接続された構成となり、主に、プラットホーム80とアプリケーション70とから構成される。
【0068】
プラットホーム80は、アプリケーション70からの処理要求を解釈してハードウェア資源の獲得要求を発生させるコントロールサービス55と、1以上のハードウェア資源の管理を行い、コントロールサービス55からの獲得要求を調停するシステムリソースマネージャ(SRM63)と、OS64と、認証情報管理部60と、を有する。
【0069】
コントロールサービス55は、複数のサービスモジュールから形成され、SCS(システムコントロールサービス)62と、ECS(エンジンコントロールサービス)56と、MCS(メモリコントロールサービス)57と、OCS(オペレーションパネルコントロールサービス)58と、FCS(ファックスコントロールサービス)59と、NCS(ネットワークコントロールサービス)61とから構成される。なお、プラットホーム80は、あらかじめ定義されたプログラムによりアプリケーション70から処理要求を受け取るAPI(プリケーションプログラムインタフェース)を有する。
【0070】
OS64は、LINUX(登録商標)やUNIX(登録商標)などの汎用オペレーティングシステムであり、プラットホーム80及びアプリケーション70の各ソフトウェアをそれぞれプロセスとして並列に実行することができる。OS64には、ワイヤレスUSBホスト17、NIC18、無線LANI/F19、IEEE1394I/F21、USBホスト22、及び、メモリカードI/F23と通信する各種のデバイスドライバを有する。
【0071】
SRM63は、SCS62とともにシステムの制御およびリソースの管理を行う。SRM63のプロセスは、上位層からの要求に対してハードウェア資源の利用スケジューリングを行い、ハードウェアリソースによる動作を制御する。
【0072】
SCS62は、アプリ管理、操作部24の制御、システム画面表示、LED表示、リソース管理、割り込みアプリ制御等を行う。ECS56は、ハードウェアリソースのエンジンの制御を行う。
【0073】
MCS57は、画像メモリの取得および解放、HDD15の利用、画像データの圧縮および伸張などを行う。FCS59は、システムコントローラの各アプリ層からPSTN/ISDN網を利用したファクシミリ送受信、バックアップSRAMに記憶されている各種ファクシミリデータの登録/引用、ファクシミリ読みとり、ファクシミリ受信印刷、融合送受信を行うためのAPIを提供する。
【0074】
NCS61は、ネットワークI/Oを必要とするアプリケーション70に対して共通に利用できるサービスを提供するためのプロセスであり、ネットワーク側から各プロトコルによって受信したデータを各アプリケーション70に振り分けたり、アプリケーション70からデータをネットワーク側に送信する際の仲介を行う。具体的には、FTP等のプロトコルの各種デーモンや、同プロトコルのクライアント機能などを有している。
【0075】
OCS58は、ユーザAと本体制御間の情報伝達手段となる操作部(オペレーションパネル)24の制御を行う。OCS58は、操作部24からキー押下をキーイベントとして取得し、取得したキーに対応したキーイベント関数をSCS62に送信する部分と、アプリケーション70またはコントロールサービス55からの要求により表示部25に各種画面を描画出力する描画関数やその他操作部に対する制御を行う関数などがあらかじめ登録されたOCS関数ライブラリの部分とから構成される。
【0076】
アプリケーション70は、プリンタ用のプリンタアプリ51と、コピー用のコピーアプリ52と、ファクシミリ用のファックスアプリ53と、スキャナ28用のスキャナアプリ54と、を有している。
【0077】
コントロールサービス55には、認証情報を管理する認証情報管理部60が設けられる。認証情報管理部60は、コントロールサービス55でプロセスとして動作し、他のプロセスやアプリケーション70と通信して、ASC記憶メモリ43に記憶されたアソシエーション情報を退避及び復帰(再度、記憶させる)させる。
【0078】
〔認証情報管理部60〕
図6は、認証情報管理部60のブロック図の一例を、図7は、ASC記憶メモリ43とアソシエーション情報とを模式的に示す図の一例を、それぞれ示す。認証情報管理部60は、ASC記憶メモリ43にアソシエーション情報を記憶する空きメモリがない場合に、ASC記憶メモリ43の一部を退避する。このため、ASC記憶メモリ43の空きメモリ容量(以下、単に残メモリという)を検出する残メモリ検出部61を有する。残メモリ検出部61は、アソシエーション情報をワイヤレスUSBホスト17のASC記憶メモリ43に登録する状況になると、デバイスドライバを介してASC記憶メモリ43にアクセスし、アソシエーション情報を記憶するだけの残メモリがあるか否かを判定する。
【0079】
図7(a)のように、例えば4つのアソシエーション情報を記憶するとASC記憶メモリ43の記憶容量の上限まで達する場合、残メモリ検出部61はアソシエーション情報を記憶するだけの残メモリがないことを検出する。
【0080】
なお、残メモリがゼロでなくても、アソシエーション情報を記憶するだけの残メモリがなければ、ASC記憶メモリ43の記憶容量の上限まで記憶されていると判定される。また、アソシエーション情報を記憶するだけの残メモリがある場合に、アソシエーション情報の退避を禁止するものではない。
【0081】
退避部62は、ASC記憶メモリ43に残メモリがない場合、ASC記憶メモリ43のアソシエーション情報を外部メモリに退避する。図7(a)では、A1〜A4の4つのうちいずれか1以上を退避すれば、新しいアソシエーション情報をASC記憶メモリ43に記憶できるので、退避部62はA1〜A4のいずれかのアソシエーション情報を外部メモリに退避させる。退避させるアソシエーション情報の数は1つであるが、例えば、頻繁に新しいアソシエーション情報が登録される画像形成装置100の場合、そのような頻度に応じて2個ずつ又は3以上ずつのアソシエーション情報を退避してもよい。一度に退避するアソシエーション情報の数は、予め設定されている。
【0082】
退避するアソシエーション情報の選択について説明する。退避するアソシエーション情報は、使用されていない又は使用されないことが予想されるアソシエーション情報である。したがって、例えば、LRU(Least Recently Used )方式に基づき、最も最近使われなかったアソシエーション情報をASC記憶メモリ43から退避する。このため、図7(a)に示すように、ASC記憶メモリ43には、各アソシエーション情報に対応づけて最後に使用した日時が記憶されている。
【0083】
また、LURでなく、FIFO(First In First Out)方式で退避するアソシエーション情報を決定してもよい。この場合、ASC記憶メモリ43には、各アソシエーション情報に対応づけて登録した日時が記憶される。また、一度、アソシエーション情報を登録したユーザAが、もう一度、そのアソシエーション情報を使用する可能性が低いような画像形成装置100では、LRUやFIFOでなく、無作為に退避するアソシエーション情報を選択してもよい。また、画像形成装置100の使用権限にランクを設け、ランクの低い者から先にアソシエーション情報を退避するとしてもよい。この場合、ASC記憶メモリ43には、各アソシエーション情報に対応づけて各ユーザのランクが記憶される。
【0084】
なお、アソシエーション情報を登録するユーザAが、退避するアソシエーション情報を操作部24から選択してもよい。この場合、退避部62は、図7(a)のA1〜A4のアソシエーション情報をASC記憶メモリ43から読み出し表示部25に一覧表示する。そして、ユーザAが選択したアソシエーション情報を退避する。例えば、ASC記憶メモリ43にユーザAの識別が可能な情報(例えば、社員番号、氏名、所属部署等)が記憶されていることとすれば、ユーザAはどのアソシエーション情報であれば削除してよいか選択できるので、LRUやFIFOよりも確実によく使用するアソシエーション情報を残して、自分のアソシエーション情報を登録することができる。
【0085】
退避先について説明する。退避先はASC記憶メモリ43以外あればよく、例えば、USBメモリ200、SDカードのようなメモリカード30、HDD(画像形成装置100に内蔵されていてもワイヤレスUSBホスト17から見ると外部メモリとなる)15等が外部メモリに相当する。好適な退避先の外部メモリは、退避したアソシエーション情報を最終的にどうするかによって変わると考えられる。
【0086】
例えば、退避したアソシエーション情報を、通信終了後にASC記憶メモリ43に復帰させる場合、原則的にはどの外部メモリに退避してもよいが、脱着可能な外部メモリでは、退避や復帰中に取り外されるおそれがあることを考慮すると、HDD15に退避することが好ましい。
【0087】
また、例えば、退避したアソシエーション情報を、通信終了後にASC記憶メモリ43に復帰させない場合(退避したままの場合)、画像形成装置100のHDD15はアプリケーション70からアクセスしうる記憶手段であるため、HDD15にアソシエーション情報を記憶することが好ましいとは限らない。このため、通信終了後にASC記憶メモリ43に復帰させない場合は、USBメモリ200やメモリカード30の様に着脱可能な外部メモリに退避することが好ましい。この場合、USBメモリ200に退避されるアソシエーション情報は、第三者のアソシエーション情報であって、その人物(ユーザB)を特定することは困難なので、ユーザAがユーザBのアソシエーション情報を記憶したUSBメモリ200を携帯していても、セキュリティ上の大きなハードルとはならない。すなわち、アソシエーション情報、画像形成装置100及びユーザBのUSBメモリ200が同時に同じ場所に存在しなければ、USBメモリ200と画像形成装置100は通信できないので、ユーザBのUSBメモリ200が悪用されるおそれは少ない。
【0088】
図7(b)では、LRUにより退避するアソシエーション情報を選択し、USBメモリ200にアソシエーション情報を退避した。したがって、最も最後に使用されたA4のアソシエーション情報がUSBメモリ200に退避されている。
【0089】
図6に戻り、アソシエーション情報登録部63は、アソシエーション情報をASC記憶メモリ43に登録する。Cable Associationでは、USBメモリ200の固有のIDはUSBメモリ200からアソシエーション情報登録部63が読み出すことができる。例えば、初めて画像形成装置100にUSBメモリ200が装着される場合は、プラグアンドプレイの仕組みを利用して、USBメモリ200がUSBホスト22に装着されたことをOS64が検出すると、デバイスドライバをインストールする。デバイスドライバは、ワイヤレスUSBの通信装置を備えたUSBメモリ200が装着されたことを検出する。
【0090】
また、既に、USBメモリ200のデバイスドライバがインストールされている場合、デバイスドライバは、ワイヤレスUSBの通信装置を備えたUSBメモリ200が装着されたことを検出する。
【0091】
そして、アソシエーション情報登録部63は、デバイスドライバを介して固有のIDを読み出す。また、Numeric Associationでは操作部24から固有のIDが入力されるので、OCS58及びSCS62を介して、アソシエーション情報登録部63は固有のIDを取得する。
【0092】
固有のIDを取得したアソシエーション情報登録部63は、固有のIDに基づきUSBメモリ200と無線又は有線で通信し、USBメモリ200から暗号鍵を受信する。
【0093】
画像形成装置100にとって、自分の固有のIDは既知であるので、これにより上記の3つの情報から成るアソシエーション情報を取得したことになる。
【0094】
図7(c)では、ユーザAのUSBメモリ200のアソシエーション情報A5がASC記憶メモリ43に記憶された。
【0095】
処理設定部64は、退避したアソシエーション情報を復帰させるか否かを退避情報処理部65に設定する。処理設定部64は、表示部25に処理方法の選択画面を表示するようOCS58に要求する。図8は、表示部25に表示された処理方法の選択画面の一例を示す。処理方法の選択画面には、「通信完了後のアソシエーション情報の処理方法を選択してください。」というメッセージと共に、2つのボタン「通信完了後に、退避したアソシエーション情報をメモリに戻す」「メモリに戻さず、退避したままにする」が表示されている。
【0096】
このボタンの選択が、ユーザAのアソシエーション情報を画像形成装置100に残すか否かを設定することになるので、例えば、今後もワイヤレスUSBにより通信すると考えた場合には、「メモリに戻さず、退避したままにする」を選択すればよい。
【0097】
ユーザAが選択したボタンをOCS58がキーイベントとして取得しSCS62に送出すると、SCS62から処理設定部64に選択したボタンが通知される。処理設定部64は、いずれのボタンが選択されたかによって、退避情報処理部65に処理方法を設定する。
「通信完了後に、退避したアソシエーション情報をメモリに戻す」が選択された場合、退避情報処理部65は、通信終了後、通信に使用したアソシエーション情報をASC記憶メモリ43から削除する。図7(d)に示すように、A5のアソシエーション情報がASC記憶メモリ43から削除される。したがって、ユーザAが次にワイヤレス通信する場合には、再度、アソシエーション情報を登録する。
【0098】
退避情報処理部65は、ASC記憶メモリ43からアソシエーション情報を削除すると、USBメモリ200に退避しておいたアソシエーション情報を読み出し、ASC記憶メモリ43に記憶する。以上により、ASC記憶メモリ43の状態は、図7(a)に示した元の状態に戻る。
【0099】
〔画像形成装置100の動作手順〕
画像形成装置100の動作手順について図9のフローチャート図に基づき説明する。図9のフローチャート図は、例えば、アソシエーションがスタートするとスタートするので、Numeric Associationでは操作部24から所定の操作が入力された場合、Cable AssociationではUSBメモリ200が装着された場合や操作部24から所定の操作が入力された場合にスタートする。
【0100】
まず、残メモリ検出部61は、ASC記憶メモリ43にアクセスし、ASC記憶メモリ43の残メモリを検出する(S10)。本実施形態では、ASC記憶メモリ43にアソシエーション情報を記録する残メモリがないものとする。
【0101】
したがって、残メモリ検出部61は、ASC記憶メモリ43にアソシエーション情報を記録するだけの残メモリがないことを検出する(S20)。
【0102】
続いて、退避部62は退避するアソシエーション情報を決定する(S30)。
図10(a)(b)は退避にかかる処理の手順を示すフローチャート図の一例である。このうち、図10(a)はユーザAが退避するアソシエーション情報を選択する場合のフローチャート図を、図10(b)は退避部62が退避するアソシエーション情報を選択する場合のフローチャート図をそれぞれ示す。
【0103】
ユーザAが操作部24から選択する場合には、退避部62がASC記憶メモリ43に記憶されているアソシエーション情報を一覧に表示し、退避部62はその中からユーザAが選択したアソシエーション情報を取得する(S310)。ステップS310の後、図9のステップS40に戻る。
【0104】
また、退避するアソシエーション情報を自動で選択すると設定されていれば、退避部62は、例えばLRU、FIFO又は無作為の方式のいずれかで、アソシエーション情報を選択する。図10(b)ではLRUにより退避するアソシエーション情報を退避するとした。
【0105】
このため、退避部62は、まず、ASC記憶メモリ43内の全てのアソシエーション情報について、最後にワイヤレス通信のために使用された時刻を読み出す(S410)。
【0106】
そして、退避部62は、時刻が最も早い(使われてから最も時間が経過している)アソシエーション情報を退避するアソシエーション情報に決定する(S420)。ステップS310の後、図9のステップS40に戻る。
【0107】
なお、図10(a)(b)では、予め手動でアソシエーション情報を選択するか、自動で選択するかが設定されていることとしたが、一連の手順の中で退避するアソシエーション情報の選択の仕方まで設定してもよい。この場合、退避部62はマニュアル選択又は自動選択の選択画面を表示し、ユーザAがマニュアル選択を設定した場合にはASC記憶メモリ43に記憶されているアソシエーション情報を一覧に表示し、ユーザAに選択を促す。また、ユーザAが自動選択を設定した場合には、LRU、FIFO又は無作為の方式のいずれかで、アソシエーション情報を選択する。
【0108】
図9に戻り、退避部62は、ユーザAが選択したアソシエーション情報又は自動的に選択したアソシエーション情報をASC記憶メモリ43から退避する(S40)。退避先の外部メモリは、例えば、USBメモリ200である。Cable Associationでは、既にUSBメモリ200が装着されているものとしてよく、Numeric Associationでは退避部62がUSBメモリ200を接続するよう表示部25にメッセージを表示してもよい。
【0109】
退避により、ASC記憶メモリ43にアソシエーション情報を記憶する空き容量が生じると、アソシエーション情報登録部63は、通信しようとするUSBメモリ200のアソシエーション情報をASC記憶メモリ43に記憶する(S50)。すなわち、USBメモリ200から読み出した又はユーザAが入力した固有のID及び暗号鍵、それに、ワイヤレスUSBホスト17の固有のIDを加えてアソシエーション情報を生成し、ASC記憶メモリ43に記憶する。これにより、USBメモリ200とワイヤレスUSBホスト17とが通信可能となる。
【0110】
通信が終了したか否かは、USBメモリ200の使用方法に応じて定まると考えられるが、必ずしも実際に終了したか否かを画像形成装置100が検出する必要はない。通信の終了の検出には、USBメモリ200の役割が完了したことで検出する方法と、通信が切断されたことで検出する方法がある。
【0111】
例えば、USBメモリ200の役割として、ユーザAの認証に用いる場合が想定されるが、この場合、認証が成立又は不成立となった時点で通信が終了する。また、USBメモリ200に記憶されたデータを画像形成装置100で印刷するような場合では、データの転送が終了しユーザAがUSBメモリ200から転送するデータはないと判断した時点で通信が終了する。後者の場合には、ユーザAが画像形成装置100の操作部24に通信の終了を入力することで、画像形成装置100が通信の終了を検出できる。
【0112】
また、通信が切断されたことで通信の終了を検出する場合は、アソシエーションの態様によって検出方法が異なる。すなわち、通信が終了した時点では、USBメモリ200が画像形成装置100に装着された状態(主に、Cable Associationの場合)と、USBメモリ200が画像形成装置100に装着されていない状態(主に、Numeric Associationの場合)とが考えられる。したがって、USBメモリ200が画像形成装置100に装着されている場合は、ユーザAがUSBメモリ200を取り出すための操作により通信の終了が検出でき、USBメモリ200が画像形成装置100に装着されていない場合は、USBメモリ200を携帯したユーザAが画像形成装置100から通信可能な距離以上に離れた場合に、画像形成装置100が通信の終了を検出できる。
【0113】
以上のような方法で、避難情報処理部が通信の終了を検出すると、避難情報処理部は後処理を実行する(S60)。図11は、ステップS60の後処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【0114】
まず、避難情報処理部は、通信終了後に退避したアソシエーション情報をASC記憶メモリ43に復帰させる設定となっているか否かを判定する(S610)。すなわち、図8の処理方法の選択画面によりユーザAが設定した処理方法に従い、ASC記憶メモリ43に復帰させる設定となっているか否かを判定する。
【0115】
ASC記憶メモリ43に復帰させる設定となっていない場合(S610のNo)、ASC記憶メモリ43に記憶されたアソシエーション情報はそのままでよいので、図11の処理は終了する。
【0116】
また、ASC記憶メモリ43に復帰させる設定となっている場合(S610のYes)、退避情報処理部65は、新たにASC記憶メモリ43に記録したアソシエーション情報を削除する(S620)。すなわち、使用した日時が最も遅いアソシエーション情報が削除される。
【0117】
そして、空き容量が生じたASC記憶メモリ43に、ASC記憶メモリ43に退避したアソシエーション情報を復帰させる(S630)。これにより、ASC記憶メモリ43は、USBメモリ200とワイヤレスUSBホスト17とが通信する前の状態に戻った。ステップS630の後は、図9に戻り図9の処理も終了する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、ワイヤレスUSBホスト17に記憶されているアソシエーション情報を退避させることができるため、これから接続したいUSBメモリ200のアソシエーション情報を通信機器に登録することができる。
【0119】
また、アソシエーション情報を脱着可能なリムーバブルな記憶媒体に退避することで、その記憶媒体を鍵のかかった机にしまう等、容易に管理でき、退避したアソシエーション情報が非常に重要なものであってもセキュリティを確保しやすい。
【0120】
また、退避させたアソシエーション情報を画像形成装置100に戻すことができるため、ASC記憶メモリ43に新たに登録したアソシエーション情報が一度だけしか使わないものであった場合、それを削除することで、ASC記憶メモリ43を効率的に使用できる。
【0121】
この場合、退避したアソシエーション情報をASC記憶メモリ43に戻すので、再びそのアソシエーション情報を作り直す手間もなく、再度、接続することができる。
【0122】
また、どのアソシエーション情報を退避させるかを手動で指定することができるため、ユーザA自身が重要ではないと認識しているアソシエーション情報を選択し、外部メモリに選択的に退避しておくことができる。
また、アソシエーション情報を自動的に退避させることもできるため、退避させるアソシエーション情報を選択する煩わしさを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】画像形成装置による認証情報の取り扱いを模式的に説明する図の一例である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
【図3】ワイヤレスUSBホストのブロック図の一例である。
【図4】Numeric AssociationとCable Associationをそれぞれ模式的に示す図の一例である。
【図5】画像形成装置のソフトウェアモジュールの一例を示す図である。
【図6】認証情報管理部のブロック図の一例である。
【図7】ASC記憶メモリとアソシエーション情報とを模式的に示す図の一例である。
【図8】操作部に表示された処理方法の選択画面の一例を示す図である。
【図9】画像形成装置の動作手順を示すフローチャート図の一例である。
【図10】退避にかかる処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【図11】後処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【符号の説明】
【0124】
11 CPU
17 ワイヤレスUSBホスト
20 通信情報管理プログラム
22 USBホスト
24 操作部
25 表示部
43 ASC記憶メモリ
50 コントローラ
60 認証情報管理部
61 残メモリ検出部
62 退避部
63 アソシエーション情報登録部
64 処理設定部
70 アプリケーション
80 プラットホーム
100 画像形成装置
200 USBメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信管理情報を用いて端末と有線又は無線にて通信する通信装置において、
前記通信管理情報を記憶する通信管理情報記憶手段と、
前記端末と通信するための前記通信管理情報を前記通信管理情報記憶手段に記憶する際、前記通信管理情報記憶手段の残メモリ量を検出する残メモリ検出手段と、
前記通信管理情報記憶手段の残メモリ量が所定値未満の場合、前記通信管理情報記憶手段に記憶されている1以上の前記通信管理情報を外部メモリに退避する退避手段と、
退避により生じた空き領域に、前記端末と通信するための前記通信管理情報を前記通信管理情報記憶手段に記憶させる通信管理情報登録手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記端末との通信が終了した際、前記外部メモリに退避された前記通信管理情報を、前記通信管理情報記憶手段に再度、記憶させる退避情報処理手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
当該通信装置に接続された表示手段に、退避する前記通信管理情報を前記外部メモリに退避した後、前記通信管理情報記憶手段に再度、記憶させるか否かを設定する設定画面を表示し、
当該通信装置に接続された操作手段の操作に基づき、前記退避情報処理手段が前記外部メモリに退避された前記通信管理情報を、前記通信管理情報記憶手段に再度、記憶させるか否を設定する処理設定部、
を有することを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記退避手段は、当該通信装置に接続された表示手段に、前記通信管理情報記憶手段に記憶されている前記通信管理情報を表示し、
当該通信装置に接続された操作手段により選択された、前記通信管理情報を退避させる、ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
前記退避手段は、退避させる前記通信管理情報を所定の決定方法に従い決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
前記退避手段は、最長時間未使用順に退避させる前記通信管理情報を決定する、
ことを特徴とする請求項5記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信管理情報はワイヤレスUSBのアソシエーション情報であって、
ワイヤレスUSBにより前記端末と無線にて通信する、
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の通信装置。
【請求項8】
前記外部メモリは、前記端末と同体の可搬な記憶手段である、
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の通信装置。
【請求項9】
前記外部メモリは、USBメモリ又はSDカードである、
ことを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか1項記載の通信装置と、
印刷ジョブデータ又は光学的に読み取られた画像データに基づき、1ページ毎の画像を形成し、用紙に転写するプロッタと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
通信管理情報を用いて端末と有線又は無線にて通信する通信装置の制御方法において、
残メモリ検出手段が、前記端末と通信するための前記通信管理情報を、通信管理情報記憶手段に記憶する際、前記通信管理情報記憶手段の残メモリ量を検出するステップと、
退避手段が、前記通信管理情報記憶手段の残メモリ量が所定値未満の場合、前記通信管理情報記憶手段に記憶されている1以上の前記通信管理情報を外部メモリに退避するステップと、
通信管理情報登録手段が、退避により生じた空き領域に、前記端末と通信するための前記通信管理情報を前記通信管理情報記憶手段に記憶させるステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
通信管理情報を用いて端末と有線又は無線にて通信する通信装置と接続されたコンピュータに、
前記端末と通信するための前記通信管理情報を、通信管理情報記憶手段に記憶する際、前記通信管理情報記憶手段の残メモリ量を検出するステップと、
前記通信管理情報記憶手段の残メモリ量が所定値未満の場合、前記通信管理情報記憶手段に記憶されている1以上の前記通信管理情報を外部メモリに退避するステップと、
退避により生じた空き領域に、前記端末と通信するための前記通信管理情報を前記通信管理情報記憶手段に記憶させるステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−302677(P2009−302677A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152170(P2008−152170)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】