説明

通信装置

【課題】災害発生時に、一般の通信の利用を制限して、これに代えて緊急時通信サービスを案内することができる通信装置を実現することを課題とする。
【解決手段】放送波を受信可能な通信装置は、受信部(11)と制御部(15)とを備えている。受信部(11)は、緊急警報放送を受信したとき、当該緊急警報放送から警報対象地域を特定する。制御部(15)は、通信装置の所在位置及び当該通信装置が通信しようとする通信対象が所在する地域の少なくとも一方が警報対象地域に含まれている場合であって、通信対象の識別番号が入力されたとき、所定の案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、特に、緊急警報放送を受信可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大地震や津波などの災害発生時には、放送事業者等から緊急警報放送が行われる。緊急警報放送を利用した技術として、緊急警報放送を受信したとき、当該緊急警報放送の災害情報を記録するとともに、所定の電話機に接続して記録した災害情報を伝達する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3092680号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
災害等が発生すると、被災地への、また被災地からの電話が集中するため輻輳状態となりやすい。災害発生時の輻輳状態を緩和するため、通信事業者から、「災害伝言ダイヤル171」や「iモード災害伝言板」等の緊急時通信サービスが提供されている。しかし、緊急時通信サービスは、災害発生時にのみ利用可能なサービスであるため周知されていない。このため、災害発生時には、これらの緊急時通信サービスがあまり活用されずに、従来通り一般の通信が行われる。したがって、相変わらず輻輳状態は緩和されない。
【0004】
上記問題に鑑み、本発明は、災害発生時に、一般の通信の利用を制限し、これに代えて緊急時通信サービスの案内をすることができる通信装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、放送波を受信可能な通信装置として、緊急警報放送を受信したとき、当該緊急警報放送から警報対象地域を特定する受信部と、当該通信装置の所在位置及び当該通信装置が通信しようとする通信対象が所在する地域の少なくとも一方が前記警報対象地域に含まれている場合であって、前記通信対象の識別番号が入力されたとき、所定の案内を行う制御部とを備えたものとする。
【0006】
これによると、通信装置又はその通信対象が受信部によって特定された警報対象地域にある場合において、当該通信対象の識別番号が入力されたとき、制御部によって所定の案内が行われる。したがって、緊急警報放送を受信したとき、一般の通信の利用を制限し、これに代えて所定の案内、例えば、緊急時通信サービスの案内をすることができる。
【0007】
好ましくは、前記制御部は、前記受信部によって特定された警報対象地域を示す情報を保持し、所定期間経過したとき当該情報を削除するものとする。これにより、過去の警報を無効にして、最新の警報に基づいた適切な案内をすることができる。
【0008】
また、好ましくは、上記の通信装置は、当該通信装置の所在位置を検出する位置検出部を備えたものとする。
【0009】
より好ましくは、前記制御部は、前記通信対象の識別番号が入力されたとき及びオフフックされたときのいずれか早い方で、前記所定の案内を行うものとする。
【0010】
また、好ましくは、上記の通信装置は、前記識別番号に基づいて、前記通信対象が所在する地域を特定する相手地域特定部を備えたものとする。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明によると、災害発生時に、一般の通信の利用を制限して、ユーザに緊急時通信サービスの利用を促すことが可能となる。これにより、災害時における輻輳状態を緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る通信装置1の構成の一例を示す。本通信装置1は、アンテナ10、受信部11、番号入力部12、相手地域特定部13、位置検出部14、制御部15、ユーザインタフェース16及び通信部17を備えている。
【0013】
受信部11は、アンテナ10を介して放送事業者から発せられた緊急警報放送を受信したとき、当該緊急警報放送から警報対象地域を特定する。番号入力部12は、キー操作又は電話帳機能を用いて、ユーザが通信しようとする機器すなわち通信対象の電話番号を入力するための手段である。電話帳には、名前、住所、電話番号等の通信相手に関する情報が格納されている。
【0014】
相手地域特定部13は、番号入力部12から入力された電話番号に基づいて、通信対象が所在する地域を特定する。具体的には、相手地域特定部13は、入力された電話番号が固定電話である場合は、市外局番等から通信対象の所在地域を特定する。また、入力された電話番号が携帯電話等であって電話番号から地域が直ちに特定できない場合は、電話帳に格納された当該電話番号に対応する住所から通信対象の所在地域を特定してもよい。
【0015】
位置検出部14は、通信装置1の所在位置を、例えば、GPS(Global Positioning System)や通信基地局からの電波等を用いて検出する。また、ユーザが予め位置情報を登録しておいてもよい。
【0016】
制御部15は、相手地域特定部13によって特定された通信対象の所在地域及び位置検出部14によって検出された通信装置1の所在位置の少なくとも一方が、受信部11によって特定された警報対象地域に含まれている場合であって、通信対象の電話番号が入力されたとき、緊急時通信サービスをユーザインタフェース16を介して案内する。また、制御部15は、受信部11によって特定された警報対象地域を示す情報及び当該情報を受けた時間を記憶して、所定時間経過したとき当該情報を削除する。具体的には、制御部15は、ユーザによって番号入力部12から通信対象の電話番号が入力されると、所定時間内に受信した緊急警報放送があるか否かを判定する。また、制御部15は、通信対象の所在地域及び通信装置1の所在位置がそれぞれ警報対象地域に含まれているか否かを判定し、少なくとも一方が警報対象地域に含まれているとき、通信対象への通信をさせずに、緊急時通信サービスをユーザインタフェース16を介して提示する。それ以外の場合は、通信部17に通信対象の電話番号を出力して通信を行う。ユーザインタフェース16は、例えば、液晶画面やスピーカ等であって、ユーザに緊急時通信サービスを提示するための手段である。
【0017】
次に、制御部15における処理について説明する。図2は、制御部15の処理フローを示す。通信対象の電話番号が入力されると、所定時間内に受信した緊急警報放送があるか否かが判定される(S21)。所定時間内に受信した緊急警報放送がある場合は(S21のYES肢)、通信装置1の所在位置を示す情報と警報対象地域を示す情報との比較によって、通信装置1の所在位置すなわち発信場所が警報対象地域に含まれているか否かが判定される(S22)。発信場所が警報対象地域に含まれている場合は(S22のYES肢)、緊急時通信サービスの案内が行われる(S23)。一方、発信場所が警報対象地域に含まれない場合は(S22のNO肢)、通信対象の所在地域の情報と警報対象地域の情報との比較によって、通信対象の所在地域が警報対象地域に含まれているか否かが判定される(S24)。通信対象の所在地域が警報対象地域に含まれている場合は(S24のYES肢)、緊急時通信サービスの案内が行われる(S23)。
【0018】
一方、所定時間内に受信した緊急警報放送がない場合(S21のNO肢)又は、通信対象の所在地域が警報対象地域に含まれていない場合は(S24のNO肢)、通信対象の電話番号を通信部17に出力して電話をかける(S25)。緊急時通信サービスが案内される(S23)か、電話をかける(S25)ことにより、処理は終了する。
【0019】
以上のように、本実施形態によると、緊急警報放送を受信した場合、一般の通信の利用を制限し、これに代えて緊急時通信サービスの利用をユーザに促すことができる。この結果として輻輳状態が緩和される。
【0020】
なお、通信装置1は、電話機に限定されるものではなく、その他の通信機器であってもよい。また、オフフックした時点で制御部15による処理を開始して、発信場所が警報対象地域に含まれている場合には直ちに緊急時通信サービスの案内を行うようにしてもよい。
【0021】
図2のステップS21において、緊急警報放送が受信された後1回目の通信であるか否かが判断されるものとしてもよい。また、制御部15は、発信場所が警報対象地域に含まれるか否かを判定しなくてもよいし、通信対象の所在地域が警報対象地域に含まれるか否かを判定しなくてもよい。前者を実施しない場合は位置検出部14が省略可能であり、後者を実施しない場合は相手地域特定部13が省略可能である。さらに両方を実施せず、所定時間内に受信した緊急警報放送があるとき、緊急時通信サービスの案内を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係る通信装置は、緊急警報放送を受信した場合に、一般の通信の利用を制限して、ユーザに緊急時通信サービスの利用を促すことができるため、通信が集中する可能性のあるシステムにおける通信装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
【図2】制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1 通信装置
11 受信部
13 相手地域特定部
14 位置検出部
15 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波を受信可能な通信装置であって、
緊急警報放送を受信したとき、当該緊急警報放送から警報対象地域を特定する受信部と、
当該通信装置の所在位置及び当該通信装置が通信しようとする通信対象が所在する地域の少なくとも一方が前記警報対象地域に含まれている場合であって、前記通信対象の識別番号が入力されたとき、所定の案内を行う制御部とを備えた
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記制御部は、前記受信部によって特定された警報対象地域を示す情報を保持し、所定期間経過したとき当該情報を削除するものである
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信装置において、
当該通信装置の所在位置を検出する位置検出部を備えた
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置において、
前記制御部は、前記通信対象の識別番号が入力されたとき及びオフフックされたときのいずれか早い方で、前記所定の案内を行うものである
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の通信装置において、
前記識別番号に基づいて、前記通信対象が所在する地域を特定する相手地域特定部を備えた
ことを特徴とする通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−16917(P2008−16917A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183154(P2006−183154)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】