説明

造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法

【課題】蒸気タービンを起動させる際、ミスマッチ温度を抑制させるとともに、ガスタービン系列の負荷と造水プラントの負荷とを低下させることなく高いバランス状態に維持させる造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントは、造水コンバインドサイクル発電系列50Aの蒸気タービン52Aの入口側と他の造水コンバインドサイクル発電系列50Bの蒸気タービン52Bの入口側とを互いに接続させる高圧蒸気ヘッダ69に、造水コンバインドサイクル発電系列50Aからの蒸気と前記他の造水コンバインドサイクル発電系列50Bからの蒸気とを区分けして蒸気タービン52A供給する高圧蒸気ヘッダ仕切弁71A,71Bを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電量と造水量をバランスさせながら、蒸気タービンを良好に起動させる造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
造水コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンで膨張仕事を終えたガスタービン排気を排熱回収ボイラに熱源として供給し、ここで蒸気を生成し、生成した蒸気を蒸気タービンに供給して膨張仕事をさせ、膨張仕事後の蒸気タービン排気を造水プラントに供給し、供給された蒸気タービン排気を熱源として海水を蒸発させて淡水化するものであり、その構成として図2に示すものがある。
【0003】
この造水コンバインドサイクル発電プラントは、並列配置の第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aおよび第2の造水コンバインドサイクル発電系列1Bに、並列配置の複数の造水プラント群2A,2Bを組み合わせている。
【0004】
また、この造水コンバインドサイクル発電プラントは、第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aと第2の造水コンバインドサイクル発電系列1Bとの間に横断して配置された高圧蒸気ヘッダ3および低圧蒸気ヘッダ4を備え、第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aおよび第2の造水コンバインドサイクル発電系列1Bのそれぞれから複数の造水プラント群2A,2Bのそれぞれに自在に蒸気が供給できる構成になっている。
【0005】
第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aは、第1−1のガスタービン系列1A1−1に、並列配置の第1−2のガスタービン系列1A1−2と一つの第1の蒸気タービン5Aとを組み合わせている。
【0006】
また、第2の造水コンバインドサイクル発電系列1Bも、第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aと同様に、第2−1のガスタービン系列1B2−1に、並列配置の第2−2のガスタービン系列1B2−2と一つの第2の蒸気タービン5Bとを組み合わせている。
【0007】
第1−1のガスタービン系列1Aは、第1−1の発電機6A1−1、第1−1の空気圧縮機7A1−1、第1−1のガスタービン燃焼器8A1−1、第1−1のガスタービン9A1−1および第1−1の排熱回収ボイラ10A1−1を備えている。
【0008】
第1−1の排熱回収ボイラ10A1−1は、第1−1の高圧ドラム11A1−1に接続する第1−1の蒸発器12A1−1と第1−1の高圧過熱器13A1−1とを備えている。
【0009】
一方、第1の蒸気タービン5Aは、第1の蒸気タービン入口弁14A、第1の蒸気タービン発電機15Aを備えるとともに、第1−1の排熱回収ボイラ10A1−1の出口側とを互いに接続する第1−1の主蒸気管16A1−1と、この第1−1の主蒸気管16A1−1の途中に第1−1のタービンバイパス弁17A1−1を介装させて第1の蒸気タービン出口側に接続する第1−1のタービンバイパス管18A1−1とを備えている。
【0010】
また、第1−1の主蒸気管16A1−1は、第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aの第1−2のガスタービン系列1A1−2における第1−2の排熱回収ボイラ10A1−2の出口から延設する第1−2の主蒸気管16A1−2を主蒸気合流点P(P)に接続させている。
【0011】
なお、第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aにおける第1−2のガスタービン系列1A1−2の他の各構成要素および第2の造水コンバインドサイクル発電系列1Bにおける第2−1のガスタービン系列1B2−1および第2−2のガスタービン系列1B2−2の各構成要素と機能、内容的に同じなので、各構成要素に添字「1−2」、「2−1」、「2−2」を付すにとどめ、重複説明を省略する。
【0012】
このような構成を備える第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aの第1−1ガスタービン系列1A1−1において、第1−1空気圧縮機6A1−1で吸い込んだ大気(空気)を圧縮して高圧化し、この高圧空気を燃料とともに第1−1のガスタービン燃焼器8A1−1に供給し、ここで燃焼ガスを生成し、生成した燃焼ガスを第1−1ガスタービン9A1−1で膨張仕事をさせ、その際発生する動力で第1−1発電機6A1−1を駆動するとともに、膨張仕事を終えたガスタービン排気を第1−1排熱回収ボイラ10A1−1に熱源として供給する。
【0013】
ガスタービン排気を熱源として供給された第1−1の排熱回収ボイラ10A1−1は、第1−1の高圧ドラム11A1−1および第1−1の蒸発器12A1−1のそれぞれで給水を蒸発、気液分離させた後、第1−1の高圧過熱器13A1−1で過熱蒸気にし、この過熱蒸気を第1−1の主蒸気管16A1−1、第1−1の蒸気タービン入口側止め弁19A1−1、第1の蒸気タービン入口弁14Aを介して第1の蒸気タービン5Aに供給する間に第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aの第1−2ガスタービン系列1A1−2における第1−2の排熱回収ボイラ10A1−2の第1−2主蒸気管16A1−2からの過熱蒸気と合流点Pで合流させる。
【0014】
合流後の過熱蒸気は、高圧蒸気ヘッダ20を介して第1の蒸気タービン入口弁14Aで流量制御され、第1の蒸気タービン5Aで膨張仕事をし、その際、発生する動力(トルク)で第1の蒸気タービン発電機21Aを駆動する。
【0015】
膨張仕事を終えた蒸気タービン排気は、第1の蒸気タービン出口側止め弁22A、低圧蒸気ヘッダ23を介して造水プラント群2A,2Bに熱源として供給され、ここで海洋等から供給された海水を蒸発させて淡水化させる。
【0016】
海水を淡水化させた蒸気タービン排気は、凝縮し、復水ポンプ群24A,24Bで昇圧され、復水・給水として復水給水系25A,25Bを介して第1−1,第1−2の排熱回収ボイラ10A1−1,10A1−2の第1−1,第1−2の高圧ドラム11A1−1,11A1−2および第2−1,2−2の排熱回収ボイラ10B2−1,10B2−2の高圧ドラム11B2−1,11B2−2のそれぞれに戻される。
【0017】
他方、造水コンバインドサイクル発電プラントは、例えば、発電運転、造水運転の併用運転中、造水量「高」の指令を受けたとき、第1−1のタービンバイパス弁17A1−1を開弁させ、第1−1の排熱回収ボイラ10A1−1からの主蒸気を第1−1のタービンバイパス管18A1−1を介して造水プラント群2A,2Bに供給する。
【0018】
その際、低圧蒸気ヘッダ23に供給される蒸気の圧力が低い場合、あるいは圧力変動が激しい等、淡水化の生成に悪影響を与える場合、検出した蒸気圧信号を基に第1−1のタービンバイパス弁17A1−1は、開閉制御される。
【0019】
なお、図2に示した造水コンバインドサイクル発電プラントは、第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aの第1−1のガスタービン系列1A1−1を説明の便宜上、代表例として説明したが、第1の造水コンバインドサイクル発電系列1Aの第1−2のガスタービン系列1A1−2および第2造水コンバインドサイクル発電系列1Bの第2−1のガスタービン系列1B2−1、第2−2のガスタービン系列1B2−2の各構成要素も上述と同様に挙動するので、重複説明を省略する。
【0020】
さらに、この種の技術には、造水、発電併用運転中、発電量が「高」または「低」に切り替わったときの運転が、例えば特開平5−293460号公報(特許文献1)が開示されている。
【特許文献1】特開平5−293460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
図2に示した従来の造水コンバインドサイクル発電プラントには、幾つかの問題点を持っているが、その中でも蒸気タービン起動の際、ガスタービン系列および造水プラントの負荷バランス維持の問題がある。
【0022】
例えば、ガスタービン系列のガスタービンおよび排熱回収ボイラが定格負荷運転中で、造水プラントも定格負荷運転中のとき、造水コンバインドサイクル発電プラントは、主蒸気管の蒸気タービン入口弁を閉弁させるとともに、タービンバイパス系のタービンバイパス弁を開弁させ、排熱回収ボイラから発生した過熱蒸気をタービンバイパス系を介して造水プラントに供給し、ここで海洋等から取水した海水等を蒸発させて淡水化させている。
【0023】
このとき、蒸気タービンに電力需要「増」による負荷指令があったとき、造水コンバインドサイクル発電プラントは、タービンバイパス弁の弁開度を絞り、蒸気タービン入口弁を開弁させ、排熱回収ボイラから発生する過熱蒸気をそのまま蒸気タービンに供給すると、タービンノズル、タービンケーシング等の静止部品、部材の許容メタル(金属)温度を超えることがある。
【0024】
過熱蒸気の温度が許容メタル温度を超えたミスマッチ温度になると、蒸気タービンは、静止部品、部材に熱変形を生じさせる。ミスマッチ温度が高ければ高いほど熱変形は大きくなる。
【0025】
熱変形が大きくなると、静止部品、部材はタービンロータ等の回転部品、部材に接触する、いわゆるラビングが発生し、振動等事故発生の要因になる。
【0026】
このため、造水コンバインドサイクル発電プラントは、蒸気タービンから検出したメタル温度と排熱ン回収ボイラの過熱蒸気から検出した蒸気温度とを突き合わせ、偏差が生じたとき、その偏差を演算し、演算信号でガスタービン系列の負荷を下げ、具体的にはガスタービン燃焼器に燃料を供給する燃料弁の弁開度を絞っている。
【0027】
しかし、この場合、ミスマッチ温度の問題は解決できるものの、その反面、排熱回収ボイラから発生する過熱蒸気の蒸気温度が低くなるため、造水プラントの負荷が低下し、これに伴って淡水化量も低下する等の問題を抱えていた。
【0028】
このような問題点に対し、造水コンバインドサイクル発電プラントでは、蒸気タービンに負荷指令があったとき、ガスタービン系列の負荷と造水プラントの負荷とを高く維持させつつ、ミスマッチ温度問題をクリアにさせる改善が求められていた。
【0029】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、蒸気タービンを起動させる際、ミスマッチ温度を抑制させるとともに、ガスタービン系列の負荷と造水プラントの負荷とを低下させることなく高いバランス状態に維持させる造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントは、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にして備えた造水コンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記に任意の造水コンバインドサイクル発電系列の前記蒸気タービンの入口側と他の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンの入口側とを互いに接続させる高圧蒸気ヘッダに、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気と前記他の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気とを区分けして前記蒸気タービンに供給する高圧蒸気ヘッダ仕切弁を備えたものである。
【0031】
本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントは、上述の目的を達成するために、請求項2に記載したように、ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にして備えた造水コンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列の前記蒸気タービンの入口側と他の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンの入口側とを互いに接続させる高圧蒸気ヘッダに、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気と前記他の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気とを区分けして前記蒸気タービンに供給する高圧蒸気ヘッダ仕切弁を備えるとともに、前記蒸気タービンの出口側と、前記他の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンの出口側とを互いに接続させる低圧蒸気ヘッダを備えたものである。
【0032】
本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントは、上述の目的を達成するために、請求項3に記載したように、ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にして備えた造水コンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列の前記排熱回収ボイラと前記蒸気タービンとを互いに接続させる主蒸気管から分岐し、前記蒸気タービンの出口側に接続させるタービンバイパス管を備えたものである。
【0033】
本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントの運転方法は、上述の目的を達成するために、請求項4に記載したように、ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にし、これら複数系列のうち、一方の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンに負荷指令があったとき、負荷指令のあった蒸気タービン側の造水コンバインドサイクル発電系列から供給される蒸気と他方の残りの造水コンバインドサイクル発電系列から供給される蒸気とを互いに区分けして前記造水プラントに流す高圧蒸気ヘッダ仕切弁を閉弁させる一方、前記負荷指令のあった蒸気タービン側の前記造水コンバインドサイクル発電系列の発電負荷を低下させるとともに、この発電負荷の低下および前記造水プラントの造水負荷の低下に伴って前記他方の残りの造水コンバインドサイクル発電系列に発電負荷および造水負荷を補完させる方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法は、複数の造水コンバインドサイクル発電系列のそれぞれに組み込まれた蒸気タービンの入口側を互いに接続させる高圧蒸気ヘッダに高圧蒸気ヘッダ仕切弁を設け、この高圧蒸気ヘッダ仕切弁により複数の各造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気の流れを区分けするとともに、起動が求められた造水コンバインドサイクル発電系列側の負荷を低下させて、低い蒸気温度を起動が求められ蒸気タービン供給し、発電負荷と造水負荷とが低下した分、残りの造水コンバインドサイクル発電系列側で補完させるので、蒸気タービンのメタルミスマッチ温度を抑制することができ、発電量と造水量を高くバランスさせて維持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法の実施形態を図面および図面に付した符号を引用して説明する。
【0036】
図1は、本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法の実施形態を示す概略図である。
【0037】
本実施形態に係る造水コンバインドサイクル発電プラントは、並列配置の第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aおよび第2の造水コンバインドサイクル発電系列50Bに、並列配置の複数の造水プラント群51A,51Bを組み合わせたものである。
【0038】
なお、造水コンバインドサイクル発電系列を第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aと第2の造水コンバインドサイクル発電系列50Bとに留めたのは、説明の便宜上、一つの例として抜き出したもので、実際には、一系列のみ、あるいは三系列以上のものもある。
【0039】
第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aは、第1−1のガスタービン系列50A1−1に、並列配置の第1−2のガスタービン系列50A1−2と一つの第1の蒸気タービン52Aとを組み合わせている。
【0040】
また、第2の造水コンバインドサイクル発電系列50Bも、第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aと同様に、第2−1のガスタービン系列50B2−1に並列配置の第2−2と一つの第2の蒸気タービン52Bとを組み合わせている。
【0041】
第1−1のガスタービン系列50A1−1は、第1−1の発電機53A1−1、第1−1の空気圧縮機54A1−1、第1−1のガスタービン燃焼器55A1−1、第1−1のガスタービン56A1−1を備え、第1−1の空気圧縮機53A1−1で吸い込んだ空気(大気)を圧縮して高圧化し、この高圧空気を燃料とともに第1−1のガスタービン燃焼器55A1−1に供給して燃焼ガスを生成し、生成した燃焼ガスを第1−1のガスタービン56A1−1で膨張仕事をさせ、その際に発生する動力(トルク)で第1−1の発電機53A1−1を駆動する。
【0042】
また、第1−1のガスタービン系列50A1−1は、第1−1の高圧ドラム58A1−1に接続する第1−1の蒸発器59A1−1と第1−1の高圧過熱器60A1−1とを収容する第1−1の排熱回収ボイラ57A1−1を備え、第1−1のガスタービン56A1−1で膨張仕事を終えたガスタービン排熱を熱源として第1−1の蒸発器59A1−1に供給し、給水を蒸発させ、蒸発させた蒸気を第1−1の高圧ドラム58A1−1で気液分離させ、気液分離後の蒸気を第1−1の高圧過熱器60A1−1で過熱蒸気にしている。
【0043】
一方、第1の蒸気タービン52Aは、第1の蒸気タービン発電機61Aを備えるとともに、その入口側を途中に止め弁62A、第1の蒸気タービン入口弁63Aを介装して第1−1の排熱回収ボイラ57A1−1の出口側に接続する第1−1の主蒸気管64A1−1と、その出口側を途中に止め弁65Aを介装して造水プラント群51A,51Bに接続する第1の蒸気タービン排気管66Aとを備えている。
【0044】
また、第1の蒸気タービン52Aは、第1−1の主蒸気管64A1−1の途中から分岐し、途中に第1−1のタービンバイパス弁67A1−1を介装して第1の蒸気タービン排気管66Aに接続する第1−1のタービンバイパス管68A1−1を備えている。
【0045】
なお、第1−2のガスタービン系列50A1−2は、第1−2の排熱回収ボイラ57A1−2の出口側から延設し、第1−1のガスタービン系列501−1における第1−1の主蒸気管64A1−1に接続し、途中に止め弁62Bを介装する第1−2の主蒸気管64A1−2と、この第1−2の主蒸気管64A1−2の途中から分岐し、途中に第1−2のタービンバイパス弁67A1−2を介装して第1−1のタービンバイパス管68A1−1に接続する第1−2のタービンバイパス管68A1−2を備えている点が第1−1のガスタービン系列50A1−1と異なる構成要素になっている。このため、第1−2のガスタービン系列50A1−2の他の構成要素は、第1−1のガスタービン系列50A1−1の構成要素と機能、内容的に同一なので、添字「1−2」を付し、重複説明を省略する。
【0046】
また、第2の造水コンバインドサイクル発電系列5Bにおける第2−1のガスタービン系列50B2−1、第2−2のガスタービン系列50B2−2、第2−1の排熱回収ボイラ57B2−1、第2−2の排熱回収ボイラ57B2−2および第2の蒸気タービン52Bのそれぞれの構成要素も、第1の造水コンバインドサイクル発電系列5Aにおける第1−1のガスタービン系列50A1−1、第1−2のガスタービン系列A1−2、第1−1の排熱回収ボイラ57A1−1、第1−2の排熱回収ボイラ57A1−2および第1の蒸気タービン52Aのそれぞれの構成要素と機能、内容的に同じなので、添字「2−1」、「2−2」を付し、重複説明を省略する。
【0047】
このような構成を備えた造水コンバインドサイクル発電プラントに対し、本実施形態は、第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aの第1の蒸気タービン50Aと第2の造水コンバインドサイクル発電系列50Bの第2の蒸気タービン5Bとのそれぞれの入口側およびそれぞれの出口側を互いに接続させる高圧蒸気ヘッダ69および低圧蒸気ヘッダ70のうち、高圧蒸気ヘッダ69に高圧蒸気ヘッダ仕切弁71A,71Bを設けたものである。
【0048】
次に、本実施形態に係る造水コンバインドサイクル発電プラントの運転方法を説明する。
【0049】
例えば、第1−1の主蒸気管64A1−1に設けた第1の蒸気タービン入口弁63Aを閉弁させるとともに、高圧蒸気ヘッダ69に設けた高圧蒸気ヘッダ仕切弁71A,71Bを閉弁させ、第1−1のタービンバイパス管68A1−1の第1−1のタービンバイパス弁67A1−1、第1−2のタービンバイパス弁68A1−2の第1−2のタービンバイパス弁67A1−2、第2−1のタービンバイパス管68B2−1の第2−1のタービンバイパス弁67B2−2のそれぞれを開弁させて造水運転を行っているときに、第1の蒸気タービン52Aに負荷指令があった場合、本実施形態は、第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aの第1−1のガスタービン系列50A1−1および第1−2のガスタービン系列50A1−2の負荷を低下させ、具体的には燃料弁(図示せず)を絞るとともに、第1−1の排熱回収ボイラ57A1−1および第1−2の排熱回収ボイラ5のA1−2のそれぞれから発生する蒸気の蒸気温度を低下させた後、第1の蒸気タービン入口弁63Aを開弁させ、第1の蒸気タービン52Aの許容メタル温度以下に蒸気温度を調整し、第2−1の排熱回収ボイラ57B2−1の主蒸気管64B2−1および第2−2の排熱回収ボイラ57B2−2の第2−2の主蒸気管64B2−2のそれぞれから第1の蒸気タービン52Aに供給する蒸気をカットする。
【0050】
この間、第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aの第1−1の排熱回収ボイラ57A1−1および第1−2の排熱回収ボイラ57A1−2のにそれぞれから発生した蒸気の一部は、第1−1のタービンバイパス管68A1−1、第1−2のタービンバイパス管68A2−1および第1の蒸気タービン排気管66Aを介して低圧蒸気ヘッダ70に集められる。
【0051】
また、第2の造水コンバインドサイクル発電系列5Bの第2−1の排熱回収ボイラ57B2−1および第2−2の排熱回収ボイラ57B2−2のそれぞれから発生した蒸気は、第2−1の主蒸気管64B2−1および第2−2の主蒸気管64B2−2、第2の蒸気タービン52B、または第2−1のタービンバイパス管68B2−1、第2−2のタービンバイパス管68B2−2および第2の蒸気タービン排気管66Bを介して低圧蒸気ヘッダ70に集められる。
【0052】
低圧蒸気ヘッダ70に集められた蒸気タービン排気は、造水プラント群51A,51Bのそれぞれに熱源として供給され、ここで海洋等からの海水を蒸発させて淡水化させた後、凝縮し、この凝縮水を復水給水として復水ポンプ群72A,72B、復水給水系73A,73Bのそれぞれを介して第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aにおける第1−1の排熱回収ボイラ57A1−1の第1−1の高圧ドラム58A1−1、第1−2の排熱回収ボイラ57A1−2の第1−2の高圧ドラム58A1−2および第2の造水コンバインドサイクル発電系列50Bにおける第2−1の排熱回収ボイラ57B2−1の第2−1の高圧ドラム58B2−1、第2−2の排熱回収ボイラ57B2−2の第2−2の高圧ドラム58B2−2のそれぞれに戻される。
【0053】
なお、第1の蒸気タービン52Aを起動させる際、第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aの第1−1のガスタービン系列50A1−1、第1−2のガスタービン系列50A1−2の負荷を低下させるので、その分だけ発電負荷および造水負荷は低下する。
【0054】
しかし、本実施形態は、第1の造水コンバインドサイクル発電系列50Aの第1−1のガスタービン系列50A1−1、第1−2のガスタービン系列50A1−2の負荷低下分を第2の造水コンバインドサイクル発電系列50Bの第2−1のガスタービン系列50B2−1、第2−2のガスタービン系列50B2−2の負荷を増加させて補完するので、発電量と造水量を高くバランスさせた状態で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る造水コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法の実施形態を説明する際に使用するプラント概略図。
【図2】従来の造水コンバインドサイクル発電プラントを示す概略図。
【符号の説明】
【0056】
1A 第1の造水コンバインドサイクル発電系列
1A1−1 第1−1のガスタービン系列
1A1−2 第1−2のガスタービン系列
1B 第2のガスタービン系列
1B1−2 第2−1のガスタービン系列
1B2−2 第2−2のガスタービン系列
2A,2B 造水プラント群
3 高圧蒸気ヘッダ
4 低圧蒸気ヘッダ
5A 第1の蒸気タービン
5B 第2の蒸気タービン
6A1−1 第1−1の発電機
6A1−2 第1−2の発電機
6B2−1 第2−1の発電機
6B2−2 第2−2の発電機
7A1−1 第1−1の空気圧縮機
7A1−2 第1−2の空気圧縮機
7B2−1 第2−1の空気圧縮機
7B2−2 第2−2の空気圧縮機
8A1−1 第1−1のガスタービン燃焼器
8A1−2 第1−2のガスタービン燃焼器
8B2−1 第2−1のガスタービン燃焼器
8B2−2 第2−2のガスタービン燃焼器
9A1−1 第1−1のガスタービン
9A1−2 第1−2のガスタービン
9B2−1 第2−1のガスタービン
9B2−2 第2−2のガスタービン
10A1−1 第1−1の排熱回収ボイラ
10A1−2 第1−2の排熱回収ボイラ
10B2−1 第2−1の排熱回収ボイラ
10B2−2 第2−2の排熱回収ボイラ
11A1−1 第1−1の高圧ドラム
11A1−2 第1−2の高圧ドラム
11B2−1 第2−1の高圧ドラム
11B2−2 第2−2の高圧ドラム
12A1−1 第1−1の蒸発器
12A1−2 第1−2の蒸発器
12B2−1 第2−1の蒸発器
12B2−2 第2−2の蒸発器
13A1−1 第1−1の高圧過熱器
13A1−2 第1−2の高圧過熱器
13B2−1 第2−1の高圧過熱器
13B2−2 第2−2の高圧過熱器
14A 第1の蒸気タービン入口弁
14B 第2の蒸気タービン入口弁
15A 第1の蒸気タービン発電機
15B 第2の蒸気タービン発電機
16A1−1 第1−1の主蒸気管
16A1−2 第1−2の主蒸気管
16B2−1 第2−1の主蒸気管
16B2−2 第2−2の主蒸気管
17A1−1 第1−1のタービンバイパス弁
17A1−2 第1−2のタービンバイパス弁
17B2−1 第2−1のタービンバイパス弁
17B2−2 第2−2のタービンバイパス弁
18A1−1 第1−1のタービンバイパス管
18A1−2 第1−2のタービンバイパス管
18B2−1 第2−1のタービンバイパス管
18B2−2 第2−2のタービンバイパス管
19A1−1 第1−1の蒸気タービン入口側止め弁
19A1−2 第1−2の蒸気タービン入口側止め弁
19B2−1 第2−1の蒸気タービン入口側止め弁
19B2−2 第2−2の蒸気タービン入口側止め弁
22A 第1の蒸気タービン出口側止め弁
22B 第2蒸気タービン出口側止め弁
24A,24B 復水ポンプ群
24A,24B 復水給水系
50A 第1の造水コンバインドサイクル発電系列
50A1−1 第1−1のガスタービン系列
50A1−2 第1−2のガスタービン系列
50B 第2のガスタービン系列
50B1−2 第2−1のガスタービン系列
50B2−2 第2−2のガスタービン系列
51A,51B 造水プラント群
52A 第1の蒸気タービン
52B 第2の蒸気タービン
53A1−1 第1−1の発電機
53A1−2 第1−2の発電機
53B2−1 第2−1の発電機
53B2−2 第2−2の発電機
54A1−1 第1−1の空気圧縮機
54A1−2 第1−2の空気圧縮機
54B2−1 第2−1の空気圧縮機
54B2−2 第2−2の空気圧縮機
55A1−1 第1−1のガスタービン燃焼器
55A1−2 第1−2のガスタービン燃焼器
55B2−1 第2−1のガスタービン燃焼器
55B2−2 第2−2のガスタービン燃焼器
56A1−1 第1−1のガスタービン
56A1−2 第1−2のガスタービン
56B2−1 第2−1のガスタービン
56B2−2 第2−2のガスタービン
57A1−1 第1−1の排熱回収ボイラ
57A1−2 第1−2の排熱回収ボイラ
57B2−1 第2−1の排熱回収ボイラ
57B2−2 第2−2の排熱回収ボイラ
58A1−1 第1−1の高圧ドラム
58A1−2 第1−2の高圧ドラム
58B2−1 第2−1の高圧ドラム
58B2−2 第2−2の高圧ドラム
59A1−1 第1−1の蒸発器
59A1−2 第1−2の蒸発器
59B2−1 第2−1の蒸発器
59B2−2 第2−2の蒸発器
60A1−1 第1−1の高圧過熱器
60A1−2 第1−2の高圧過熱器
60B2−1 第2−1の高圧過熱器
60B2−2 第2−2の高圧過熱器
61A 第1の蒸気タービン発電機
61B 第2の蒸気タービン発電機
62A,62B,62C,62D 止め弁
63A 第1の蒸気タービン入口弁
63B 第1の蒸気タービン入口弁
64A1−1 第1−1の主蒸気管
64A1−2 第1−2の主蒸気管
64B2−1 第2−1の主蒸気管
64B2−2 第2−2の主蒸気管
65A,65B 止め弁
66A 第1の蒸気タービン排気管
66B 第2の蒸気タービン排気管
67A1−1 第1−1のタービンバイパス弁
67A1−2 第1−2のタービンバイパス弁
67B2−1 第2−1のタービンバイパス弁
67B2−2 第2−2のタービンバイパス弁
68A1−1 第1−1のタービンバイパス管
68A1−2 第1−2のタービンバイパス管
68B2−1 第2−1のタービンバイパス管
68B2−2 第2−2のタービンバイパス管
69 高圧蒸気ヘッダ
70 低圧蒸気ヘッダ
71A,71B 高圧蒸気ヘッダ仕切弁
72A,72B 復水ポンプ群
73A,73B 復水給水系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にして備えた造水コンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列の前記蒸気タービンの入口側と他の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンの入口側とを互いに接続させる高圧蒸気ヘッダに、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気と前記他の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気とを区分けして前記蒸気タービンに供給する高圧蒸気ヘッダ仕切弁を備えたことを特徴とする造水コンバインドサイクル発電プラント。
【請求項2】
ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にして備えた造水コンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列の前記蒸気タービンの入口側と他の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンの入口側とを互いに接続させる高圧蒸気ヘッダに、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気と前記他の造水コンバインドサイクル発電系列からの蒸気とを区分けして前記蒸気タービンに供給する高圧蒸気ヘッダ仕切弁を備えるとともに、前記蒸気タービンの出口側と、前記他の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンの出口側とを互いに接続させる低圧蒸気ヘッダを備えたことを特徴とする造水コンバインドサイクル発電プラント。
【請求項3】
ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にして備えた造水コンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記任意の造水コンバインドサイクル発電系列の前記排熱回収ボイラと前記蒸気タービンとを互いに接続させる主蒸気管から分岐し、前記蒸気タービンの出口側に接続させるタービンバイパス管を備えたことを特徴とする造水コンバインドサイクル発電プラント。
【請求項4】
ガスタービン系列に排熱回収ボイラ、蒸気タービン、造水プラントを組み合わせた造水コンバインドサイクル発電系列を複数系列にし、これら複数系列のうち、一方の造水コンバインドサイクル発電系列の蒸気タービンに負荷指令があったとき、負荷指令のあった蒸気タービン側の造水コンバインドサイクル発電系列から供給される蒸気と他方の残りの造水コンバインドサイクル発電系列から供給される蒸気とを互いに区分けして前記造水プラントに流す高圧蒸気ヘッダ仕切弁を閉弁させる一方、前記負荷指令のあった蒸気タービン側の前記造水コンバインドサイクル発電系列の発電負荷を低下させるとともに、この発電負荷の低下および前記造水プラントの造水負荷の低下に伴って前記他方の残りの造水コンバインドサイクル発電系列に発電負荷および造水負荷を補完させることを特徴とする造水コンバインドサイクル発電プラントの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−46087(P2006−46087A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224825(P2004−224825)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】