説明

連結装置

【課題】 連結装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、連結装置の第1の端部に連結することができる手術装置、好ましくは頭部支持部を、連結装置の第2の端部に連結することができる固定装置の取付部、好ましくは手術台に調整可能に連結するための連結装置であって、第1の保持アーム(12.1)と、第1の保持アームにヒンジ式に連結された第2の保持アーム(12.2)であって、ボールソケットジョイントの収容部(18)が第1の保持アームに割り当てられ、ボールソケットジョイントのボール(16)が第2の保持アームに割り当てられ、前記ボールソケットジョイントの収容部(18)および前記ボールソケットジョイントのボール(16)がボールソケットジョイント(14)を共に形成する第2の保持アーム(12.2)と、ボールソケットジョイントのボール(16)をボールソケットジョイントの収容部(18)内に着脱可能に締め付けるためのクランプ装置であって、前記ボールソケットジョイントの収容部(18)がクランプ式ソケット(80)を有し、このクランプ式ソケット(80)が、ボールソケットジョイントのボールに割り当てられ、締め付けを達成するために、プレテンション要素(68)による締め付け力で作用するクランプ装置と、作動させることができ、クランプ装置に割り当てられ、そして動作時に、締め付け力に抗する力でクランプ装置に負荷をかける第1の液圧装置(30)であって、液圧シリンダ(42)と、前記液圧シリンダ(42)内で移動させてクランプ装置に連結することができるように配置される液圧ピストン(46)とを有する第1の液圧装置(30)とを有する連結装置において、プレテンション要素(68)とクランプ式ソケット(80)との間に配置され、かつプレテンション要素によって加えられた力を、クランプ式ソケット(80)に作用するより大きな締め付け力に変換する締め付け力変換装置(74、82、86)を特徴とする連結装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結装置の第1の端部に連結することができる手術装置、好ましくは頭部支持部を、連結装置の第2の端部に連結することができる固定装置の取付部、好ましくは手術台に調整可能に連結するための連結装置であって、第1の保持アームと、第1の保持アームにヒンジ式に連結された第2の保持アームであって、ボールソケットジョイントの収容部が第1の保持アームに割り当てられ、ボールソケットジョイントのボールが第2の保持アームに割り当てられ、前記ボールソケットジョイントの収容部および前記ボールソケットジョイントのボールがボールソケットジョイントを共に形成する第2の保持アームと、ボールソケットジョイントのボールをボールソケットジョイントの収容部内に着脱可能に締め付けるためのクランプ装置であって、前記ボールソケットジョイントの収容部がクランプ式ソケットを有し、このクランプ式ソケットが、ボールソケットジョイントのボールに割り当てられ、締め付けを達成するために、プレテンション要素による締め付け力で作用するクランプ装置と、作動させることができ、クランプ装置に割り当てられ、そして動作時に、締め付け力に抗する力でクランプ装置に負荷をかける第1の液圧装置であって、液圧シリンダと、前記液圧シリンダ内で移動させてクランプ装置に連結することができるように配置される液圧ピストンとを有する第1の液圧装置とを有する連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の連結装置が知られている。例えば、特許文献1はこのような装置を記載している。特許文献2または特許文献3も、ボールソケットジョイントを有する連結装置を記載している。最後に、同様に連結装置を開示している特許文献4を参照されたい。特許文献5も連結装置を記載している。
【0003】
このような連結装置を使用して、手術台に取り付けられる取付部に手術用頭部支持部を固定することができる。神経外科的介入中に患者の頭部を手術台の規定位置に保持するために、頭部支持部自体が使用される。
【0004】
一般に、手術用頭部支持部は2つの軸を中心に回転することができるように支持部に取り付けられ、次に、その支持部は1つの回転軸を中心に回転することができるように連結装置に取り付けられる。さらに、手術台に取り付けられた取付部は1つの軸を中心に回転することができるように連結装置に保持される。
【0005】
(上記)特許文献5では、手動で作動させることができるレバーを使用した締め付けによって、連結装置内の取付部および支持部の締め付けが機械的に達成される。
【0006】
一方、例えば本出願人の特許文献4によって、液圧クランプがさらに開示されている。
【0007】
機械的なことまたは液圧的なことについて、クランプの信頼性が非常に重要であるが、その理由は、クランプの意図しない解除が致命的な結果をもたらすことがあり、最悪の場合のシナリオでは、患者が死亡する場合があるからである。さらに、連結装置の操作は、操作者が安心して行えるように簡単にしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第10234271A1号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2660714A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0868885A1号明細書
【特許文献4】独国特許第102005027882号明細書
【特許文献5】独国特許発明第19845625C1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この背景に対して、本発明の目的は、一方では、非常に大きな締め付け力、したがって、確実な連結が可能であり、他方では、操作者が容易に取り扱うことができるような冒頭に記載した連結装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
連結装置により、プレテンション要素とクランプ式ソケットとの間に配置され、かつプレテンション要素によって加えられた力を、クランプ式ソケットに作用するより大きな締め付け力に変換する締め付け力変換装置が提供されることによって、上記目的が達成される。
【0011】
言い換えれば、このことは、先の従来技術とは異なり、ばねにより、締め付け力が2つの保持アームをそれらの設定位置に互いに保持するのに十分であることが保証されるだけでなく、締め付け力変換装置が、前記締め付け力を、クランプ式ソケットに、したがって、ボールおよびソケットジョイントのボールに作用するより大きな力に変換することも保証されることを意味する。力の変換は、通常、クランプ式ソケットの経路と比較して、ばね経路が著しく長くなることを意味する。
【0012】
この締め付け力変換装置の利点は、ばねが大きくなくても、ボールソケットジョイントのボールに作用する非常に大きな締め付け力を発生させることが可能であること、このようにして、保持アーム全体がはるかに大きくなることである。したがって、連結装置は、依然として非常に小さくコンパクトな構造を有する。
【0013】
第1の液圧装置は、この固定されたクランプを解除するために設けられ、操作者が例えばフットペダルを使用することによって作動され、締め付け力に抗する力を発生する。
【0014】
プレテンション要素、通常は、ばねだけで、締め付け力を加えることを不要にすることにより、非常に大きな締め付け力を実現することができ、このようにして、クランプ自体の信頼性が極めて高くなる。操作者が多くの作業を行う必要なしに、液圧装置を使用してクランプを容易に分離することができ、このようにして、頭部支持部の再位置決めを容易かつ迅速に行うことができる。特に、操作者は、レバーを使用して締め付け力を連結装置に手動で加える必要がなく、このため、前記操作者は、通常、両手を使用することができる。逆に、本発明による連結装置により、操作者が(仮に)液圧装置を作動させるとしても片手のみで済ませることが可能になる。
【0015】
さらに、これにより、液圧装置は解除のためにのみ設けられるので、第1の液圧装置が故障したとしても、ボールソケットジョイントの収容部内におけるボールソケットジョイントのボールの締め付けが失われないことが保証される。
【0016】
好ましい発展形態では、締め付け力変換装置は、シリンダと、前記シリンダ内で移動させることができるように配置されるピストンとを有する第2の液圧装置を有し、クランプ式ソケットはピストンを形成し、クランプ装置は、シリンダ内に突出する作動要素を有し、この作動要素の移動により、クランプ式ソケットの移動が生じる。
【0017】
言い換えれば、このことは、液圧シリンダに基づいて、締め付け力変換装置が動作し、この場合、液圧流体を使用して、作動要素とクランプ式ソケットとが連結されることを意味する。作動要素およびクランプ式ソケットの寸法により、少量の力を有する長手方向の作動要素の長い経路は、長手方向の短い経路を有するが多量の力を有するクランプ式ソケットの移動に変換される。作動要素をシリンダの内部空間に埋め込むことによって、シリンダの内部空間の容積増大が、その空間内に突出する作動要素の容積に対応するように、クランプ式ソケットが遠方に移動される。
【0018】
好ましい発展形態では、第1の液圧装置は、液圧シリンダ内に突出しかつピストンの移動経路を制限するストッパ要素を有する。
【0019】
言い換えれば、このことは、クランプ式ソケットを解除するための経路がストッパ要素によって制限されることを意味する。この利点は、クランプ式ソケットを解除するための経路を制限して最小値に設定することができ、このようにして、一方では、ほんの少量の液圧流体を第1の液圧装置に流入させればよく、他方では、液圧が除去される場合に、締め付けも非常に迅速に達成されることである。
【0020】
これにより、非常に正確かつ迅速な位置決めを達成することができる。
【0021】
好ましい発展形態では、ストッパ要素は、外部から調整されることができ、雌ねじ部を有する管状外側部分と、雄ねじ部を有する内側部分とを有し、内側部分の回転により外側部分が長手方向に移動されるように、前記管状外側部分と前記内側部分とが相互作用する。さらに、ウォーム駆動装置を設けることも好ましく、このウォーム駆動装置のウォームは外部から作動させられ、ストッパ要素の内側部分に取り付けられた歯車と相互作用することができる。
【0022】
これらの手段を使用して、外部から、ストッパ要素を長手方向に特に容易かつ正確に調整することが可能である。
【0023】
好ましい発展形態では、各保持アームは、円筒状のハウジングを有し、この円筒状のハウジングには、クランプ装置ならびに第1および第2の液圧装置が収容される。クランプ装置は、好ましくは、フランジ状部を有し、このフランジ状部にはプレテンション要素、特にばねの一端が支持され、一方、ハウジングにはプレテンション要素の他端が支持される。
【0024】
これらの手段は構造の観点から特に有利であることが見出された。
【0025】
好ましい発展形態では、ボールソケットジョイントの収容部を保持アームの一端に取り付け、特にねじ込むことができる。さらに、ボールソケットジョイントのボールを保持アームの他端に取り付け、特にねじ込むことができることが好ましい。
【0026】
これらの手段の利点は、例えば、保持アームの一端において、ボールソケットジョイントのボールを他の構成要素に、例えば頭部支持部を取り付けるための構成要素に迅速に置き換えることができるので、保持アームを異なる状況に迅速に適合させることができることである。
【0027】
好ましい発展形態では、少なくとも3つの保持アームがヒンジ式に相互連結される。
【0028】
ヒンジ式に相互連結された複数の保持アームを使用して、例えば頭部支持部の調整の程度を向上させることができる。
【0029】
本発明の別の利点および改良形態は説明および添付図面から明らかになる。
【0030】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述したおよびさらに以下に説明する特徴を、それぞれ指定された組み合わせだけでなく、他の組み合わせでまたは単独でも用いることができることは言うまでもない。
【0031】
特に、これに関連して、本発明による締め付け力変換装置なしに、第1の液圧装置の上記ストッパ要素を使用することもできることに留意されたい。すなわち、上記ストッパ要素は、締め付け力変換装置の必要な構成要素ではなく、有利には、上記締め付け力変換装置なしに連結装置に使用することもできる。
【0032】
次に、例示的な実施形態を参照しておよび添付図面を参照して、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ヒンジ式に相互連結される3つの保持アームを有する連結装置の概略斜視図である。
【図2】締め付けられた状態の連結装置の保持アームの断面図である。
【図3】開放状態、すなわち、締め付けられていない状態の保持アームの概略断面図である。
【図4】代替改良形態による開放状態の保持アームの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、参照番号10で示されている連結装置の概略図を示している。連結装置10は、典型的に、ヒンジ式に相互連結される3つの保持アーム12.1、12.2および12.3を備える。利用される保持アーム12の数は、2つであっても、4つ以上であってもよい。
【0035】
個々の保持アーム12のヒンジ連結部によって、頭部支持部を調整して位置決めすることができるように、手術装置、好ましくはいわゆる頭部支持部を、固定装置の取付部、好ましくは手術台に取り付けるために、連結装置10が使用される。頭部支持部は、例えば、連結装置の一端22に取り付けることができ、一方、次に、連結装置10の反対端24は手術台に連結される。
【0036】
個々の保持アーム12のヒンジ式の相互連結は、隣接する保持アームのボールソケットジョイントの収容部18に配置されたボールソケットジョイントのボール16を備えるボールソケットジョイント14によって行われる。保持アーム12のそれぞれは、その長手方向軸線を中心に回転され、円筒状のハウジング20によって画定され、このボールソケットジョイント14によって全方向に旋回されることができる。装置は、保持アームの円筒状のハウジング20の内部に設けられ、対応する保持アームが固定されるように調整され、もはや移動されることができないようにボールおよびソケットジョイント14を締め付ける。上記装置については、図2および図3を参照して以下に説明する。
【0037】
最後に、図1は、接続部26が各保持アーム12の円筒状のハウジング20に設けられることも示している。前記接続部は、液圧接続部として機能し、液圧管の取り付けを可能にする。この液圧部は、ボールソケットジョイントのクランプの上記締め付けまたは解除を行うことができる。このため、通常、フットスイッチが設けられるが、それは図面に示されていない。フットスイッチにより、連結装置の使用者が、液圧接続部26を介して、対応する保持アーム12に導入された液圧を増大させ、これによって、クランプを解除することが可能になる。このことは、連結装置の端部22に取り付けられた手術装置を調整して設定するために必要とされる。液圧が除去されると、ボールソケットジョイントが締め付けられ、このようにして、設定位置を維持することができる。図1に示した3つの全ての液圧接続部26は1つのフットスイッチに接続されることが通例であるが、他の解決策も可能である。
【0038】
図2および図3を参照して、保持アーム12.1に関連する保持アーム12の構造について以下に例示的に説明する。これに関連して、他の保持アーム12.2と12.3の構造が保持アーム12.1の構造と同一であることに留意されたい。
【0039】
図2および図3には、2つの異なる状態の、すなわち、締め付け位置(図2)にあるおよび調整位置(図3)にある保持アーム12.1が断面図で示されている。
【0040】
図2は、保持アーム12.1が円筒状のハウジング20を有し、頂部(図2)のハウジングの端部には、液圧ユニット30が配置されることを示している。この液圧ユニット30は、既述の液圧接続部26を備え、円筒状のハウジング20の頂部を閉じる円筒状のカバー32を形成する。円筒状のカバー32は、ハウジング20の収容部36に挿入され、好ましくは、ねじ込まれ、ハウジング20のフランジ状部38に配置されるか、または短い距離だけその部分から分離される。
【0041】
管状延長部34は、円筒状のカバー32に取り付けられるかまたはその一体部分であり、ハウジング20のフランジ状部38の開口部を介してハウジングの内部空間に突出する。
【0042】
この管状延長部34は、その下端がカバー35によって閉じられ、液圧シリンダ42を形成する。円筒状の内部空間に加えて、管状延長部34は、液圧接続部26および液圧内部空間43(図3参照)への流体接続部を有する環状空間44を有する。
【0043】
液圧シリンダ42の上部はストッパユニット50によって閉じられ、このストッパユニットは、円筒状のカバー32の椀状の収容部40に挿入され、好ましくは、ねじ込まれる。
【0044】
ストッパユニット50は、ウォーム54とそれに噛合する歯車56とを備えるウォーム駆動装置52を備える。歯車56は、長手方向Lに延びるねじ58に連結される。このねじ58は、液圧シリンダ42内に突出するストッパスリーブ59と相互作用する。このストッパスリーブ59は、外部から作動させることができるウォーム54を回転させることによって長手方向に移動させることができる。
【0045】
ストッパスリーブ59は、液圧シリンダ42の内部に部分的に配置される液圧ピストン46用のストッパとして機能する。液圧ピストン46を長手方向Lに移動させることができ、上方移動は、液圧流体を環状空間44および内部空間43に入れることによって行われる。その過程で、ストッパスリーブ59により、液圧ピストン46が頂部に向かって遠くに移動し過ぎないことが保証される。この結果、前記スリーブにより、液圧ピストン46の調整範囲が制限される。
【0046】
フランジ状部66は液圧ピストン46の反対端に取り付けられ、前記フランジ状部の直径は、平面的には、円筒状のハウジング20の内径に対応する。断面において、このフランジ状部66が椀状の形状を有し、長手方向Lに延びる円筒状の作動要素74がこの椀のベースに取り付けられることが図2から明確に理解できる。
【0047】
さらに、図2は、円筒状のハウジング20がばね68、この場合螺旋ばねを保持し、このばねが、一端においてハウジング20のフランジ状部38に支持され、他端においてフランジ状部66に支持されることを示している。ばね68により、液圧ピストン46には予め下方に張力が加えられ、フランジ状部66が、円筒状のハウジング20に挿入された下部ベース70に当接することが保証される。このベース70は、長手方向軸線Lと同軸の孔72を有し、この孔を介して作動要素74が係合する。さらに、この孔72内には複数の環状シールが設けられる。
【0048】
ベース70の下端は、液圧内部空間87を形成する椀状の収容部86を有する。この液圧内部空間がシールされるように、その底部がクランプ式ソケット80によって閉じられ、クランプ式ソケットを収容部86内で長手方向に移動させることが可能であり、したがって、前記ソケットは液圧ピストン82を形成する。クランプ式ソケット80の裏面は、ボールソケットジョイントのボール16と相互作用するカップ状のクランプ面84を有する。隣接する保持アーム12.2に固定されるボールソケットジョイントのボール16は、例えばベース70にねじ込まれる保持アーム12.1のボールソケットジョイントの収容部18に配置される。
【0049】
ここで、クランプ式ソケット80とそのクランプ面84とを使用して、2つの保持アーム12.1と12.2の相互移動がもはや不能であるように、ボールソケットジョイントのボール16をボールソケットジョイントの収容部18に強く押圧する方法が提供される。
【0050】
締め付けに必要な力は、作動要素74を液圧内部空間87に移動させるばね68によって与えられる。この内部空間は、非圧縮性媒体で充填され、さらに密封シールされるので、作動要素74の移動により、同じ方向へのクランプ式ソケットの移動が生じる。さらに、クランプ式ソケット80のベース面積と比較して、作動要素74のベース面積の方が小さいので、力変換が生じる。クランプ式ソケット80によってボールソケットジョイントのボール16に加えられた締め付け力は、ばね68の弾性力よりも大きい。さらに、それに応じて、作動要素74の移動経路が、結果として、クランプ式ソケット80の移動経路よりも長くなる。
【0051】
クランプを解除するために、すなわち、クランプ式ソケット80を上方に移動させるために、液圧流体は液圧接続部26を介して環状空間44に、次に内部空間43に入れられる。上記液圧流体は、ばね68の弾性力に抗して液圧ピストン46を上方に移動させ、作動要素74を液圧内部空間87から引き出す。これにより、次に、クランプ式ソケット80が上方に移動されるが、その移動は、既に説明したように、作動要素74と同じ大きさではない。
【0052】
最後に、液圧ピストン46の上方経路はストッパスリーブ59によって制限され、このようにして、クランプ式ソケット80の移動経路、したがって、クランプ面84とボールソケットジョイントのボール16との間の距離は、この調整可能なストッパスリーブ59を使用して最小値に設定することができる。この利点は、保持アーム12.1と保持アーム12.2との間の移動が迅速に可能であるが、クランプ式ソケット80の移動経路が最小であるので、締め付け自体も非常に迅速に達成することができることである。
【0053】
図3は、クランプ式ソケット80のこの調整位置を明確に示している。この位置において、作動要素74は液圧内部空間87からほぼ完全に引き出される。この位置において、液圧ピストン46はストッパスリーブ59に当接する。フランジ状部66が上方に移動することにより、ばね68が圧縮され、そして液圧が除去されると、これにより、ばねが再びフランジ状部66を下方に押し下げる。
【0054】
さらに、図は、ねじによりボールソケットジョイントのボール16が構成要素90に取り付けられ、この構成要素がストッパユニット50に配置され、好ましくはねじ込まれることを示している。この場合、構成要素90に取り付けるために使用されるねじの長手方向軸線は、長手方向軸線Lに対してある角度で延びる。
【0055】
図4は、図3に示した上記保持アーム12.1の代替改良形態を示している。相違点は、ばね94、好ましくは螺旋ばねが液圧内部空間87に設けられることである。このばね94は、一端において作動要素74に支持され、他端においてクランプ式ソケット80に支持される。ばね68に張力が加えられるときに、図4に示したように、作動要素74を押圧して初期位置に戻すために、ばね94が使用される。
【0056】
上記説明は、保持アーム12の上記内部構造が連結装置10に対応し、この連結装置が一方では容易に調整され、他方では、隣接する保持アームの間の固定締め付けを達成するのに必要な締め付け力を与えることができることを示している。作動要素74と液圧内部空間87とクランプ式ソケット80とによって形成された液圧装置により実現される締め付け力変換装置によって、小さな寸法を有するばね68の場合にも、非常に大きな締め付け力を達成することができる。
【0057】
図2および図3に示した構造が、純粋に、例示的な特徴であり、請求項によって定義された範囲から逸脱することなく、修正または適応が必ず可能であることが理解される。
【符号の説明】
【0058】
10 連結装置
12 保持アーム
12.1 保持アーム
12.2 他の保持アーム
12.3 他の保持アーム
14 ボールソケットジョイント
16 ボールソケットジョイントのボール
18 ボールソケットジョイントの収容部
20 円筒状のハウジング
22 連結装置10の一端
24 連結装置10の反対端
26 液圧接続部
30 液圧ユニット
32 円筒状のカバー
34 管状延長部
35 カバー
36 収容部
38 フランジ状部
40 椀状の収容部
42 液圧シリンダ
43 液圧内部空間
44 環状空間
46 液圧ピストン
50 ストッパユニット
52 ウォーム駆動装置
54 ウォーム
56 歯車
58 ねじ
59 ストッパスリーブ
66 フランジ状部
68 ばね
70 下部ベース
72 長手方向軸線Lと同軸の孔
74 円筒状の作動要素
80 クランプ式ソケット
82 液圧ピストン
84 カップ状のクランプ面
86 椀状の収容部
87 液圧内部空間
90 構成要素
94 ばね
L 長手方向
L 長手方向軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結装置の第1の端部に連結することができる手術装置、好ましくは頭部支持部を、前記連結装置の第2の端部に連結することができる固定装置の取付部、好ましくは手術台に調整可能に連結するための連結装置であって、
−第1の保持アーム(12.1)と、
−前記第1の保持アームにヒンジ式に連結された第2の保持アーム(12.2)であって、ボールソケットジョイントの収容部(18)が前記第1の保持アームに割り当てられ、ボールソケットジョイントのボール(16)が前記第2の保持アームに割り当てられ、前記ボールソケットジョイントの収容部(18)および前記ボールソケットジョイントのボール(16)がボールソケットジョイント(14)を共に形成する第2の保持アーム(12.2)と、
−前記ボールソケットジョイントのボール(16)を前記ボールソケットジョイントの収容部(18)内に着脱可能に締め付けるためのクランプ装置であって、前記ボールソケットジョイントの収容部(18)がクランプ式ソケット(80)を有し、前記クランプ式ソケット(80)が、前記ボールソケットジョイントのボールに割り当てられ、締め付けを達成するために、プレテンション要素(68)による締め付け力で作用するクランプ装置と、
−作動させることができ、前記クランプ装置に割り当てられ、そして動作時に、締め付け力に抗する力でクランプ装置に負荷をかける第1の液圧装置(30)であって、液圧シリンダ(42)と、前記液圧シリンダ(42)内で移動させて前記クランプ装置に連結することができるように配置される液圧ピストン(46)とを有する第1の液圧装置(30)と、
を有する連結装置において、
前記プレテンション要素(68)と前記クランプ式ソケット(80)との間に配置され、かつ前記プレテンション要素によって加えられた力を、前記クランプ式ソケット(80)に作用するより大きな締め付け力に変換する締め付け力変換装置(74、82、86)を特徴とする連結装置。
【請求項2】
前記締め付け力変換装置が、シリンダと、前記シリンダ内で移動させることができるように配置されるピストンとを有する第2の液圧装置を有し、前記クランプ式ソケット(80)が前記ピストンを形成し、
前記クランプ装置が、前記シリンダ内に突出する作動要素(74)を有し、前記作動要素(74)の移動により、前記クランプ式ソケットの移動が生じることを特徴とする請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記第1の液圧装置(30)が、前記液圧シリンダ内に突出しかつ前記ピストンの移動経路を制限するストッパ要素(50)を有することを特徴とする請求項2に記載の連結装置。
【請求項4】
前記ストッパ要素(50)が、外部から調整されることができ、雌ねじ部を有する管状外側部分と、雄ねじ部を有する内側部分とを有し、前記内側部分の回転により前記外側部分が長手方向に移動されるように、前記管状外側部分と前記内側部分とが相互作用することを特徴とする請求項3に記載の連結装置。
【請求項5】
ウォーム駆動装置(52)が設けられ、前記ウォーム駆動装置(52)のウォームが外部から作動させられ、前記ストッパ要素の前記内側部分に取り付けられた歯車と相互作用することができることを特徴とする請求項4に記載の連結装置。
【請求項6】
前記プレテンション要素が、ばね、特に螺旋ばねであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項7】
各保持アーム(12)が、円筒状のハウジングを有し、前記円筒状のハウジング内には、前記クランプ装置ならびに前記第1および第2の液圧装置が収容されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項8】
前記クランプ装置がフランジ状部を有し、前記フランジ状部には前記ばね(68)の一端が支持され、一方、前記ハウジングには前記ばねの他端が支持されることを特徴とする請求項6または7に記載の連結装置。
【請求項9】
前記ボールソケットジョイントの収容部(18)を保持アームの一端に取り付け、特にねじ込むことができることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項10】
前記ボールソケットジョイントのボール(16)を保持アームの他端に取り付け、特にねじ込むことができることを特徴とする請求項9に記載の連結装置。
【請求項11】
少なくとも3つの保持アームがヒンジ式に相互連結されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項12】
前記第1の液圧装置を押圧装置に連結することができ、前記押圧装置が足操作で動作され、液圧を発生することができることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項13】
前記作動要素(74)と前記クランプ式ソケット(80)との間には、ばね(94)が設けられることを特徴とする請求項2に記載の連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−534094(P2010−534094A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517314(P2010−517314)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005997
【国際公開番号】WO2009/012978
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510017550)ツェーヴェーヴェー・メド アーゲー (1)
【Fターム(参考)】