説明

遊技台

【課題】正対策を施しても不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる回路基板を備えた遊技台を提供する。
【解決手段】遊技台の主制御基板210の会社名称212近傍に形成されたグランドパターンG1は、隣接するグランドパターンG2及びG3と比べて、下方向に僅かにずれて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)、パチンコに代表される遊技台に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開平10−15196号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明に係る遊技台は、第一の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、第一の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記第一の電子部品は、第一の特定部、第二の特定部、および第三の特定部を少なくとも備えるものとし、前記第一の特定部、前記第二の特定部、および前記第三の特定部は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第一の特定部及び前記第二の特定部のそれぞれを、第一の向きに向けて少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第三の特定部を、前記第一の向きとは異なる第二の向きに向けて少なくとも備えるものとする。
【0004】
また、本発明に係る遊技台は、第二の態様として、回路基板を備える遊技台であって、 前記回路基板は、第一の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記第一の電子部品は、第一の特定部、第二の特定部、および第三の特定部を少なくとも備えるものとし、前記第一の特定部、前記第二の特定部、および前記第三の特定部は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第一の特定部および前記第二の特定部を、第一の長さで少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第三の特定部を、前記第一の長さと異なる第二の長さで少なくとも備えるものとする。
【0005】
また、本発明に係る遊技台は、第三の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、第一の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記第一の電子部品は、第一の特定部、第二の特定部、および第三の特定部を少なくとも備えるものとし、前記第一の特定部、前記第二の特定部、および前記第三の特定部は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第一の特定部および前記第二の特定部を、第一の塗布量のハンダで少なくとも固定するものとし、前記回路基板は、前記第三の特定部を、前記第一の塗布量と異なる第二の塗布量のハンダで少なくとも固定するものとする。
【0006】
また、本発明に係る遊技台は、第四の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記複数の電子部品のうち、少なくとも一つの電子部品を、基板面に対して垂直から斜めに傾けて少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記複数の電子部品のうち、前記少なくとも一つの電子部品を除く他の電子部品を、前記基板面に対して垂直に少なくとも備えるものとする。
【0007】
また、本発明に係る遊技台は、第五の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記複数の電子部品は、第一の電子部品、第二の電子部品、第三の電子部品、および第四の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記第一の電子部品、前記第二の電子部品、前記第三の電子部品、および第四の電子部品は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、第一のシルク文字、第二のシルク文字、第三のシルク文字、および第四のシルク文字を少なくとも備えるものとし、前記第一のシルク文字は、前記第一の電子部品を識別する文字とし、前記第二のシルク文字は、前記第二の電子部品を識別する文字とし、前記第三のシルク文字は、前記第三の電子部品を識別する文字とし、前記第四のシルク文字は、前記第四の電子部品を識別する文字とし、前記回路基板は、前記第一のシルク文字、前記第二のシルク文字、前記第三のシルク文字、および前記第四のシルク文字を、仮想的に引かれた基準直線上に少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記基準直線上において隣り合う二つのシルク文字間を、第一の間隔と、前記第一の間隔とは異なる間隔である第二の間隔として備えるものとし、前記回路基板は、前記第一の間隔を、複数備えるものとし、前記第二の間隔を、一つ備えるものとする。
【0008】
また、本発明に係る遊技台は、第六の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記複数の電子部品は、第一の電子部品および第二の電子部品を少なくとも備えるものとし、前記第一の電子部品および第二の電子部品は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、第一のシルク文字および第二のシルク文字を少なくとも備えるものとし、前記第一のシルク文字は、前記第一の電子部品を識別する文字とし、前記第二のシルク文字は、前記第二の電子部品を識別する文字とし、前記第一のシルク文字は、三つの文字を少なくとも備えるものとし、前記第一のシルク文字は、一つの文字間隔を第一の間隔とするものとし、前記第一のシルク文字は、他の文字間隔を前記第一の間隔とは異なる間隔である第二の間隔とするものとし、前記第二のシルク文字は、三つの文字を少なくとも備えるものとし、前記第二のシルク文字は、全ての文字間隔を前記第一の間隔とするものとする。
【0009】
また、本発明に係る遊技台は、第七の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数のパターンを少なくとも備えるものとし、前記複数のパターンは、第一のパターンおよび第二のパターンを少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第一のパターンを、第一の角近傍に少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第二のパターンを、前記第一のパターンに隣接させて少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第一のパターンの第一の辺を、仮想的に引かれた基準直線から0.5mm〜2mmずらして少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第二のパターンの第二の辺を、前記基準直線上に少なくとも備えるものとする。
【0010】
また、本発明に係る遊技台は、第八の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数のパターンを少なくとも備えるものとし、前記複数のパターンは、第一のパターンおよび第二のパターンを少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第一のパターンを前記第二のパターンに隣接させて備えるものとし、前記回路基板は、会社名を備えるものとし、前記回路基板は、前記第一のパターンを、前記会社名の近傍に備えるものとし、前記回路基板は、前記第二のパターンを、前記会社名の近傍に備えるものとし、前記回路基板は、前記第一のパターンの第一の辺を、仮想的に引かれた基準直線上に備えるものとし、前記回路基板は、前記第二のパターンの第二の辺を、前記基準直線から0.5mm〜2mmずらして備えるものとする。
【0011】
また、本発明に係る遊技台は、第九の態様として、回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数のパターンを少なくとも備えるものとし、前記複数のパターンは、第一のパターンおよび第二のパターンを少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記第一のパターンを前記第二のパターンに隣接させて備えるものとし、前記回路基板は、前記第一のパターンの第一の辺および前記第二のパターンの第二の辺を、それぞれ、仮想的に引かれた基準直線上に少なくとも備えるものとし、前記第一のパターンの前記第一の辺は、凹部を少なくとも備えるものとし、前記回路基板は、前記凹部の底を、前記基準直線から0.5mm〜2mmずらして少なくとも備えるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの筐体内部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板のグランドパターンを記した表面の外観図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板の電子部品を実装している状態の表面の外観図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板のグランドパターンに偽造判別規則を設けた場合の主制御基板の要図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板のグランドパターンに偽造判別規則を設けた場合の主制御基板の要図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板に実装される電子部品を識別するためのシルク文字に偽造判別規則を設けた場合の主制御基板の要図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板に実装される電子部品に偽造判別規則を設けた場合の主制御基板の要図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板を筐体内部に取り付ける方法を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板に偽造判別規則を形成する偽造判別情報出力装置の概要を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部の回路構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御部メイン処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御基板の裏面に偽造判別規則を設けた場合の主制御基板の要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図である。スロットマシン100は、メダルの投入により遊技が開始され、遊技の結果によりメダルが払い出されるものである。
<全体構成>
スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄(「7」、「リプレイ」、「俵」等:図示省略)が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110〜112が構成されている。リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組合せが変動することとなる。なお、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0014】
また、各々のリール110〜112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。
【0015】
なお、スロットマシン100内部において各々のリール110〜112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部のあいだを、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
【0016】
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
【0017】
告知ランプ121は、後述する内部抽選において、特定の入賞役(例えば、ボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。スタートランプ122は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ123は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要)を遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。リールパネルランプ125は、演出用のランプである。
【0018】
貯留枚数表示器126は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。表示器127は、各種の内部情報を数値で表示するための表示器である(例えば、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BB遊技中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示する)。払出枚数表示器128は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。
【0019】
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもでき、投入とは両者を含む意味である。
【0020】
精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。
【0021】
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。すなわち、メダル投入口134に所望するメダル枚数を投入するか、メダル投入ボタン130、131を操作して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転を開始し、遊技が開始される。ストップボタンユニット136には、ストップボタン137、138、139が設けられている。ストップボタン137、138、139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチである。なお、各ストップボタン137、138、139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137、138、139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
【0022】
ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施形態では発光可能な受皿を採用しており、以下受け皿ランプ156と呼ぶこともある。
【0023】
音孔160はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ156は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプであり、遊技状態に応じて点灯/消灯/点滅する。タイトルパネル162はそのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルである。
【0024】
液晶表示装置(LCD)157は、遊技に関する各種の情報を表示することができる(例えば、ゲームを盛り上げるためのキャラクター等を登場させたり、リーチ目等を表示させたり、スロットマシンの内部で異常が発生したときのエラーの内容を表示させたりする)。もちろん、液晶表示装置157のかわりに、複数のLEDを2次元に配置したドットマトリックス式表示装置等、他の表示手段を用いてもよい。
【0025】
扉装置163は、液晶表示装置157の左右それぞれに設けられた1対の扉であり、液晶表示装置157の演出に合わせて、扉を開閉させて、演出を行うようになっている。
<本体内部構造>
次に、図2を参照してスロットマシン100の筐体内部の構成を、制御部を中心に説明する。ここで、図2は、前面扉102を開いた状態におけるスロットマシン100の外観斜視図である。
【0026】
本体102の内部における背面上部(リール110〜112を支持するリールユニット上方となる部位)には、主制御基板210が配設されている。主制御基板210は、スロットマシン100の主要部分の制御(遊技の進行に関する制御)を行う制御基板であり、本実施形態においては、不正基板判定用の識別情報を備えた制御基板となっている。この主制御基板210の不正基板判定用の識別情報に関しては、詳しくは後述する。なお、主制御基板210は、透明な樹脂ケースからなる基板収納ケース240内に収納されて、筐体内部に配置されている。
【0027】
また、本体101の側面上部には、副制御基板220が配設されている。副制御基板220は、スロットマシン100の主要部分以外の補助的部分の制御(演出に関する制御)を行う制御基板である。また、前面扉102の背面上方(LCD157が配置されている位置後方)には、表示制御基板230が配設されている。表示制御基板230は、主としてLCD157を制御する制御基板である。
<主制御基板>
図3及び図4は、主制御基板210の表面の外観図である。なお、本実施形態において表面とは、電子部品が実装される側の片面をいい(実装面ともいう)、裏面とは、電子部品が実装されていない側の片面をいう(ハンダが露出しているのでハンダ面ともいう)。詳しくは、図3は、電子部品を実装していない状態の主制御基板210の表面の外観図であり、基板上に形成されたグランドパターン211を表記した外観図である。また、図4は、電子部品を実装した状態の主制御基板210の表面の外観図であり、グランドパターン211は省略された外観図である。なお、図3及び図4に示すように、主制御基板210の表面の右上端部には、会社名212が記載されている(図示していないが、裏面にも会社名212は記載されている)。
【0028】
本実施形態の主制御基板210は、上述したように、不正基板判定用の識別情報を表面に備えている。ここで、不正基板判定用の識別情報を備えた主制御基板210とは、予め定めた偽造判別規則を、基板または基板に実装される電子部品に形成している主制御基板210をいう。すなわち、偽造判別規則を施された主制御基板210と、偽造判別規則を施されていない主制御基板では、主制御基板上の実装規則が異なっている。そして、偽造判別規則は、回路基板を設計する場合に生じる誤差と判定され得るような規則であり、視覚的に目立つものではないので、当該偽造判別規則を認識している人が見れば、正規基板(主制御基板210)と不正基板(例えば、主制御基板210を模して作られた不正基板)の判別は容易である一方、当該偽造判別規則を認識していない人が見ても、両制御基板の差異を見つけることが困難になっている。
【0029】
本実施形態の主制御基板210に施される偽造判別規則には、種々のパターンが存在するので、以下、それぞれのパターンについて具体的に説明する。なお、第1実施例から第5実施例は、主制御基板210のグランドパターン211に偽造判別規則を設けた実施例であり、第6実施例から第9実施例は、主制御基板210に実装される電子部品又は当該電子部品を識別するためのシルク文字に偽造判別規則を設けた実施例である。また、以下においては、各実施例の主制御基板をそれぞれ主制御基板210A、B、…のように表記し、各実施例の主制御基板210A、B、…を総称するときは主制御基板210と表記する。
(第1実施例)
図5(a)は、第1実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Aの要部図である。図5(a)は、会社名称212近傍のグランドパターン211の形状を示しており、詳しくは、3つのグランドパターンG1、G2及びG3の配置位置を示している。
【0030】
図5(a)に示すように、グランドパターンG1は、隣接する他のグランドパターンG2及びG3と比べて、下方向に僅かにずれて配置されている。すなわち、グランドパターンG2及びG3は、その上縁が通常配置される基準直線L1上に配置される一方、グランドパターンG1は、その上縁が基準直線L1よりも僅かにずれて下方に位置する偽造回路基板識別直線L2上に配置されている。ここで、基準直線L1と偽造回路基板識別直線L2の上下方向の差異は、肉眼で視認可能であるが、一見してずれが明らかであるとは判別できない程度の距離が望ましく、0.5mmから2mmぐらいが好適である。ずれが明らかであると判別できる程度の距離を設定した場合、不正基板を作る者がずれに気付いてしまい、これと同様の不正基板を製作してしまう可能性があるからである。なお、基準直線L1及び偽造回路基板識別直線L2は、仮想的に引いた直線であり、実際に基板上に記されているわけではない。また、実施例1では、基準直線L1及び偽造回路基板識別直線L2を主制御基板210A上の外縁近くに設けたが、これにより、ずれの判別が容易になる(主制御基板210A上の内側に設けた場合、他の部品等の配置により何れの箇所に偽造判別規則があるのか視認困難になる可能性がある)。
【0031】
このように、第1実施例においては、一のグランドパターンG1の配置を他のグランドパターンG2及びG3の配置と異ならせて、主制御基板210A上に偽造判別規則を形成している。すなわち、第1実施例においては、偽造判別規則をグランドパターン211の配置規則としている。なお、偽造判別規則が施されていない主制御基板においては、グランドパターンG1、G2及びG3は、その上縁が基準直線に一致した状態に配置され、各グランドパターンの間に上下方向のずれは生じていない。
【0032】
したがって、第1実施例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Aのグランドパターン211の配置上のずれを視認することによって、主制御基板210Aが正規基板であるか不正基板であるかを判別することができる。一方、偽造判別規則を知らない第三者(例えば、不正基板を作り、正規基板を不正基板に交換しようとする者)は、主制御基板210Aのグランドパターン211の配置上のずれに気付かないので、偽造判別規則を施した主制御基板210Aを模して作成することはできない。なお、第三者が作成した偽造回路基板が、偶然、上述したグランドパターンG1の僅少なずれを形成した主制御基板210Aと同じ構成になる可能性も僅かに考え得るが、本実施例では、その可能性よりも、不正をする第三者がグランドパターンG1の僅少なずれに気付かれない可能性の方が遙かに高いと考えられる。
【0033】
また、第1実施例では、会社名212(主制御基板210Aの基板上で最も大きな識別文字)近傍のグランドパターン211に偽造判別規則を形成しているので、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Aの基板上で目立つ会社名212近傍だけを視認すればよく、偽造判別規則を見つけることが容易となっている。
(第2実施例)
図5(b)は、第2実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Bの要部図である。図5(b)は、会社名称212近傍のグランドパターン211の形状を示しており、詳しくは、3つのグランドパターンG1、G2及びG3の配置位置を示している。
【0034】
図5(b)に示すように、グランドパターンG1、G2及びG3は、その上縁が一致して配置されているが、グランドパターンG1の上縁の一部には内側に凹んだ段差部213が形成されている。ここで、段差部213の凹み(凹んだ段差部213の凹底)は、第1実施例と同様に、肉眼で視認可能であるが、一見してずれが明らかであるとは判別できない程度の距離が望ましく、0.5mmから2mmぐらいが好適である。すなわち、グランドパターンG2及びG3は、その上縁が通常配置される基準直線L1(図5(b)には図示せず。図5(a)参照)上に配置される一方、グランドパターンG1の段差部213の底辺が基準直線L1よりも僅かにずれて下方に位置する偽造回路基板識別直線L2上(図5(b)には図示せず。図5(a)参照)に配置されている。
【0035】
このように、第2実施例においては、一のグランドパターンG1の外形に段差を設けることにより、一のグランドパターンG1の配置を他のグランドパターンG2及びG3の配置と異ならせて、主制御基板210B上に偽造判別規則を形成している。すなわち、第2実施例においても、偽造判別規則をグランドパターンの配置規則としている。なお、偽造判別規則が施されていない主制御基板においては、グランドパターンG1の上縁の一部には段差部213は形成されていないため、グランドパターンG1、G2及びG3は、その上縁が基準直線に一致した状態で配置されている。
【0036】
したがって、第2実施例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Bのグランドパターン211の配置上のずれ(へこみ)を視認することによって、主制御基板210Bが正規基板であるか不正基板であるかを判別することができる。一方、偽造判別規則を知らない第三者(例えば、不正基板を作り、正規基板を不正基板に交換しようとする者)は、主制御基板210Bのグランドパターン211の配置上のずれに気付かないので、偽造判別規則を施した主制御基板210Bを模して作成することはできない。
【0037】
また、第2実施例では、会社名212近傍のグランドパターン211に偽造判別規則を形成しているので、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Bの基板上で目立つ会社名212近傍だけを視認すればよく、偽造判別規則を見つけることが容易となっている。
【0038】
さらには、第2実施例では、予め設けた段差部213を有するグランドパターンG1を用いて偽造判別規則を形成するので、偶然性は確実に排除される。すなわち、第1実施例では、確率は低いが意図せず偶然、図5(a)に示す偽造判別規則が形成されることがあり得るが、第2実施例ではこのような偶然性は確実に排除される。
(第3実施例)
図6(a)は、第3実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Cの要部図である。図6(a)は、会社名称212近傍のグランドパターン211の形状を示しており、詳しくは、2つのグランドパターンG1及びG2の配置位置を示している。
【0039】
図6(a)に示すように、グランドパターンG1は、隣接する他のグランドパターンG2と比べて、下方向に僅かにずれて配置されている。すなわち、グランドパターンG2は、その上縁が通常配置される基準直線L1上に配置される一方、グランドパターンG1は、その上縁が基準直線L1よりも僅かにずれて下方に位置する偽造回路基板識別直線L2上に配置されている。ここで、基準直線L1と偽造回路基板識別直線L2の上下方向の差異の寸法は、第1実施例と同一であるため、説明を省略する。
【0040】
このように、第3実施例においては、一のグランドパターンG1の配置をもう一つのグランドパターンG2の配置と異ならせて、主制御基板210C上に偽造判別規則を形成している。すなわち、2つのグランドパターンG1及びG2が隣接する状態において、1つのグランドパターンG1が別の1つのグランドパターンG2と異なる配置として偽造判別規則を形成するようにしてもよい。なお、偽造判別規則を形成しない主制御基板においては、グランドパターンG1及びG2は、その上縁が基準直線に一致した状態で配置され、2つのグランドパターンG1及びG2には上下方向のずれは生じていない。
【0041】
したがって、第3実施例によれば、第1実施例と同様に、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Cの会社名212近傍のグランドパターン211の配置上のずれを視認することによって、主制御基板210Cが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。また、第1実施例と同様に、偽造判別規則を知らない第三者は、主制御基板210Cのグランドパターン211の配置上のずれに気付かないので、偽造判別規則を施した主制御基板210Cを模して作成することはできない。
(第4実施例)
図6(b)は、第4実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Dの要部図である。図6(b)は、回路基板の四隅のうちのひとつの角(左上の角)近傍のグランドパターン211の形状を示しており、詳しくは、2つのグランドパターンG1及びG2の配置位置を示している。
【0042】
図6(b)に示すグランドパターンG1は、図6(a)に示すグランドパターンG1と同一である。すなわち、グランドパターンG1は隣接する他のグランドパターンG2と比べて、下方向に僅かにずれて配置されており、そのずれも弟3実施例と同一である。
【0043】
このように、第4実施例においては、一のグランドパターンG1の配置をもう一つのグランドパターンG2の配置と異ならせて、主制御基板210D上に偽造判別規則を形成している。
【0044】
すなわち、第4実施例は、第3実施例において会社名称212近傍に形成された偽造判別規則を回路基板の四隅近傍に形成した点が第3実施例と異なるだけで、他は第3実施例と同一である。この場合においても、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Dの基板上で目立つ四隅近傍だけを視認すればよいので、偽造判別規則を容易に発見でき、主制御基板210Dが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。
(第5実施例)
図6(c)は、第5実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Eの要部図である。図6(c)は、ヒートシンク215近傍のグランドパターン211の形状を示しており、詳しくは、2つのグランドパターンG1及びG2の配置位置を示している。
【0045】
図6(c)に示すグランドパターンG1は、図6(a)に示すグランドパターンG1と同一である。すなわち、グランドパターンG1は隣接する他のグランドパターンG2と比べて、下方向に僅かにずれて配置されており、そのずれも弟3実施例と同一である。
【0046】
このように、第5実施例においては、基板上で目立つ電子部品であるヒートシンク215近傍の一のグランドパターンG1の配置を、隣接する他のグランドパターンG2の配置と異ならせて、主制御基板210E上に偽造判別規則を形成している。
【0047】
すなわち、第5実施例は、第3実施例において会社名称212近傍に形成された偽造判別規則を、目立つ電子部品であるヒートシンク215近傍に形成した点が第3実施例と異なるだけで、他は第3実施例と同一である。この場合においても、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210の基板上で目立つヒートシンク215近傍だけを視認すればよいので、偽造判別規則を容易に発見でき、主制御基板210Eが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。
【0048】
なお、本実施例では、偽造判別規則をヒートシンク215近傍のグランドパターンG1に形成したが、視覚的に目立つ電子部品であるならば、ヒートシンク215以外の電子部品の近傍のグランドパターンに偽造判別規則を形成してもよい。ここで、視覚的に目立つ電子部品とは、大きさや色などの外観が他の電子部品に比べて際立っており、一見して存在を認識できる電子部品をいう。なお、ヒートシンク215は、主制御基板210E上では最も大きな電子部品である。
(第6実施例)
図7(a)は、第6実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Fの要部図である。図7(a)は、主制御基板210Fの基板上に実装される電子部品216(例えば、抵抗)、及び当該電子部品216を説明するシルク文字217の配置位置を示している。なお、図7(a)は、複数の同一機能を有する電子部品216(例えば、抵抗)が上下方向に並んで配設され、当該複数の電子部品216に対応するシルク文字217がそれぞれ電子部品216の右側に表示されている場合を示している。
【0049】
図7(a)に示すように、複数の電子部品216は、上下方向に等間隔で配置されているが、当該電子部品216に対応付けられたシルク文字217は、上下方向に一部、非等間隔で配置されている。具体的には、シルク文字「R17」とシルク文字「R18」の間の上下方向の間隔d2は、他のシルク文字間の上下方向の間隔d1よりも広くなって配置されている(したがって、シルク文字「R16」とシルク文字「R17」の間の上下方向の間隔d3は、他のシルク文字間の上下方向の間隔d1よりも狭くなって配置されている)。
【0050】
このように、第6実施例においては、複数の同一機能を有する電子部品216を配設して、基板上で目立つようになっている当該電子部品群の近傍の特定のシルク文字217の上下方向の配置を他のシルク文字217の上下方向の配置と異ならせて、主制御基板210F上に偽造判別規則を形成している。すなわち、第6実施例においては、偽造判別規則をシルク文字217の配置規則としている。なお、偽造判別規則を形成しない主制御基板においては、シルク文字列は、上下方向に等間隔d1で配置されている。
【0051】
したがって、第6実施例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Fの電子部品216の右側に記されたシルク文字217の上下方向の配置上のずれを視認することによって、主制御基板210Fが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。一方、偽造判別規則を知らない第三者は、主制御基板210Fのシルク文字217の上下方向の配置上のずれに気付かないので、偽造判別規則を施した主制御基板210Fを模して作成することはできない。
【0052】
また、第6実施例では、複数の同一機能を有する電子部品216が配設されている部位に偽造判別規則を形成しているので、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Fの基板上で目立つ電子部品216近傍だけを視認すればよく、偽造判別規則を見つけることが容易となっている。
【0053】
なお、本実施例では、シルク文字「R16」とシルク文字「R17」の間の上下方向の間隔を通常よりも狭くしたが、より狭くして、シルク文字「R16」とシルク文字「R17」の一部が重なるように配置してもよい。
【0054】
また、本実施例では、電子部品の右側に電子部品に対応するシルク文字列217を配置した場合について説明したが、シルク文字列217の配置位置はこれに限定されず、電子部品216の近傍に当該電子部品216に対応付けられて配置されるのであればいずれの位置であってもよい。
【0055】
さらには、シルク文字列217の配置規則を偽造判別規則とする場合には、種々の変形例が考えられる。図7(b)に第6実施例の変形例について示す。
【0056】
図7(b)に示すシルク文字217aは、1つのシルク文字列「R20」内に偽造判別規則を形成している。すなわち、シルク文字「R20」では、「0」の配置位置が通常よりも右側にずれているため、「2」と「0」の間の文字間隔d2が通常の文字間隔d1よりも広くなっている。また、シルク文字「R20」では、「0」の後に句読点218a「.」が付加されている。
【0057】
また、図7(b)に示すシルク文字217bも、1つのシルク文字列「R19」内に偽造判別規則を形成している。すなわち、シルク文字「R19」では、「R」の配置位置が通常よりも右側にずれているため、「R」と「1」の間の文字間隔d3が通常の文字間隔d1よりも狭くなっている。また、シルク文字「R19」では、「1」のフォントだけが異なって印字されている(図7(b)に示すシルク文字217bの「1」と図7(a)に示すシルク文字の「1」を参照)。
【0058】
なお、このシルク文字「R19」の「1」は、図7(b)に示すように、通常のフォントの「1」を印字した後(シルク文字「R19」を印字した後)に、別の工程で追加部分218bを「1」の部分に重ねて印字して、「1」のフォントだけを異なるようにしてもよい。すなわち、最初はすべて同一の共通フォントでシルク文字を印字した後、特定のシルク文字に対してだけ、追加マークを重ねて印字した結果、特定のシルク文字のフォントが異なるようにしてもよい。勿論、これとは別に1回の工程でシルク文字217bを印字するようにしてもよい。
【0059】
このように、第6実施例の変形例においては、複数の同一機能を有する電子部品216を配設して、基板上で目立つようになっている部位の近傍の特定のシルク文字217a及び217bのシルク文字内の配置を、他のシルク文字217のシルク文字内の配置と異ならせて、主制御基板210F上に偽造判別規則を形成している。すなわち、第6実施例の変形例においても、偽造判別規則をシルク文字217a及び217bの配置規則としている。
【0060】
したがって、第6実施例の変形例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Fの電子部品216の右側に記されたシルク文字217a及び217bのシルク文字列内の配置上のずれを視認することによって、主制御基板210Fが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。
(第7実施例)
図8(a)は、第7実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Gの要部図である。図8(a)は、主制御基板210の基板上に実装される電子部品216(例えば、抵抗)の配置位置を示している。なお、図8(a)は、複数の同一機能を有する電子部品216(例えば、抵抗)が上下方向に2列に並んで配置されている場合を示している。
【0061】
第7実施例においては、図8(a)に示すように、複数の電子部品216のうち、一部の電子部品216には、抵抗値(カラーコード)aに加えて、偽造判別用マークbが付加されている。
【0062】
このように、第7実施例においては、複数の同一機能を有する電子部品216を配設して、基板上で目立つようになっている部位において、一部の電子部品216に偽造判別用マークbを付加し、他の電子部品216と外観上異ならせて、主制御基板210Gに偽造判別規則を形成している。すなわち、第7実施例においては、偽造判別規則を電子部品216に記載されたマークとしている。なお、偽造判別規則を形成しない主制御基板においては、複数の電子部品216のいずれにも偽造判別用マークbは記載されていない。
【0063】
したがって、第8実施例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Gの電子部品216に記載された偽造判別用マークbの有無を視認することによって、主制御基板210が正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。一方、偽造判別規則を知らない第三者は、主制御基板210Gの電子部品216に記載された偽造判別用マークbの存在に気付かないので、偽造判別規則を施した主制御基板210Gを模して作成することはできない。
(第8実施例)
図8(b)は、第8実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Hの要部図である。図8(b)は、主制御基板210Hの基板上に実装される電子部品219(例えば、ROMなどのIC)の配置位置を示している。
【0064】
図8(b)に示すように、複数の電子部品219を複数メーカーの部品で混在させる場合には、例えば、A社製の電子部品219aに関しては、左側に切り欠き部221が形成されるようにして配置し、また、B社製の電子部品219bに関しては、右側に切り欠き部221が形成されるようにして配置する。
【0065】
このように、第8実施例においては、一の電子部品219aの配置を他の電子部品219bの配置と異ならせて、主制御基板210Hに実装される電子部品219の配置向きに偽造判別規則を形成している。なお、偽造判別規則を形成しない主制御基板においては、A社製の電子部品219a、B社製の電子部品219bはともに同じ方向に切り欠き部221を向けて配置されている。
【0066】
したがって、第8実施例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Gの電子部品219の配置向きを視認することによって、主制御基板210Gが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。
(第9実施例)
図8(c)は、第9実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210Iの要部図である。図8(c)は、主制御基板210Iの基板上に実装される電子部品222(例えば、コンデンサ)の設置向きを示している。
【0067】
図8(c)に示すように、電子部品222は基板に対して垂直からやや斜めに傾いて配設されている。すなわち、第9実施例においては、主制御基板210Iに実装される電子部品222の設置向きに偽造判別規則を形成している。なお、偽造判別規則を形成しない主制御基板においては、電子部品222は基板に対して垂直に立設されている。
【0068】
したがって、第9実施例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Iの電子部品222の設置向きを視認することによって、主制御基板210Iが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。
【0069】
なお、図8(c)においては、1つの電子部品222を垂直からやや斜めに傾けて配設する例について説明したが、斜めに傾けて配設する電子部品222の数は1つに限定されず、複数であってもよい。また、斜めに傾ける方向についても、所定の規則を設けてもよい。例えば、基板の下縁に向かって傾けるようにしてもよいし、上下方向に複数の電子部品222を傾ける場合には、基板の上縁、下縁と順次交互に一定の方向に傾けるようにしてもよい。
<基板収納ケース>
次に、図9を参照して、上述した各実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210をスロットマシン100の筐体内部に取り付ける方法について説明する。
【0070】
主制御基板210は、図9(a)に示すように、基板収納ケース240に収納されて、筐体内部に設置される。すなわち、基板収納ケース240は、図9(b)に示すように、前面カバー250と、背面カバー260と、主制御基板210と、を備えている。基板収納ケース240の前面カバー250及び背面カバー260は、本実施形態では透光性樹脂を用いて成型されているため、基板収納ケース240の外部から内部に収納されている主制御基板210は視認可能となっている。
【0071】
基板収納ケース240は、図9(b)に示すように、前面カバー10と背面カバー20を組み合わせることで内部に主制御基板210を収納する1つの箱体を形成するので、この組み合わせた状態で、図9(a)に示すように、基板収納ケース240はリールユニット上方の背面上に設置される。この際、基板収納ケース240は前面カバー250を前面側に向けた状態、すなわち、前面扉102を開けた場合に、前面カバー250を視認可能となるような状態で設置される。
【0072】
そして、本実施形態では、上述したように、主制御基板210の表面が偽造判別規則を備えているので、前面扉102を開けた状態においては、偽造判別規則は外部から視認可能となっている。すなわち、本実施形態では、主制御基板210は表面に偽造判別規則を備えるとともに、前面カバー250を透光性樹脂としているので、偽造判別の確認を行う人は、外部から容易に主制御基板210上の偽造判別規則を視認することができる。
【0073】
また、本実施形態では、図9(b)に示すように、少なくとも、前面カバー250の偽造判別規則を視認可能な位置A’(主制御基板210の偽造判別規則を覆う位置であって、主制御基板210に備えた偽造判別規則の直上または直上近傍に位置にする前面カバー位置)を平滑形状としている。前面カバー250の位置A’を平滑な形状としたのは、凹凸が形成されていると、前面カバー250を介した主制御基板210の偽造判別規則の視認が困難となるためである。
【0074】
なお、視認位置をより明確にするために、前面カバー250の位置A’近傍に目印を付加するようにしてもよい。ここで、目印とは、例えば、シルク文字「R17」を主制御基板210に印字した場合には、このシルク文字「R17」の直上に位置する前面カバー250に「R17」を成型文字として付加するように、同じ意味の情報であって、この同じ意味の情報を主制御基板210と、前面カバー250との両者に付加するようにしてもよい。この場合には、偽造判別の確認を行う人は、前面カバー250の目印位置を探して、前面カバー250に該当する目印があった場合であって主制御基板210に該当する目印がなかった場合に、主制御基板210が不正基板であると判別できる。
<偽造判別情報設定装置>
図10は、実施例6においてシルク文字に偽造判別規則を形成する偽造判別情報出力装置270の概要を説明する図である。すなわち、図10(a)に示すように、本実施形態の偽造判別情報出力装置270は、主制御基板210の製造工程において、偽造判別規則を形成するシルク文字217を主制御基板210の基板に対して印字するようになっている。そして、図10(b)に示すように、本実施形態の偽造判別情報出力装置270は、入力設定画面271において、いずれの部位にどのような偽造判別規則を形成するかを設定できるようになっている。例えば、図7(a)に示した具体例の場合には、複数の電子機器が配置されている部位(電子部品216が配設されている部位)を選択し、かつ、この複数の電子機器のうち、文字間隔を広くする位置(シルク文字「R17」と「R18」の間)と通常よりもどのくらい広くするかの値などの詳細設定を設定する。この結果、図7(a)に示すようなシルク文字が主制御基板210上に印字されることとなる。
【0075】
このように、偽造判別情報出力装置270は、偽造判別規則を主制御基板210に形成する偽造判別情報出力装置であって、入力キーなどの入力インターフェースと、入力インターフェースを介して設定情報を入力する入力画面と、入力画面の設定情報に従って、主制御基板2210上に偽造判別規則を出力する偽造判別規則出力手段と、を備えている。
【0076】
なお、実施例6では、偽造判別情報出力装置270により、偽造判別規則を主制御基板210に形成したが、必ずしも機械で偽造判別規則を形成しなくてもよく、例えば、手作業で偽造判別規則を主制御基板210に形成するようにしてもよい。勿論、この場合にはシルク文字に限定されず、例えば、図8(a)に示した偽造判別用マークを偽造判別規則としてもよいし、図8(b)に示した電子部品219の配置向きや図8(c)に示した電子部品222の設置向きを偽造判別規則としてもよい。
<制御部>
次に、図11を参照してスロットマシン100の制御部の機能構成について説明する。本実施形態における制御部は、遊技の中枢部分の制御、すなわち、スロットマシン100の遊技進行に関する処理を実行する主制御部300(具体的には、上述した主制御基板210により実装されている)と、主制御部300より送信された信号(制御コマンド)に応じて各種機器を制御する副制御部400(具体的には、上述した副制御基板220により実装されている)と、副制御部400から送信された信号に応じてLCD157及び扉装置163を制御する表示制御部500(具体的には、上述した表示制御基板230により実装されている)と、から構成されている。副制御部400と表示制御部500とは、演出に関する処理を実行する。尚、制御部の構成は、これに限定されることはなく、例えば、主制御部300と副制御部400をひとつにしても何ら問題ない。
【0077】
主制御部300のマイクロプロセッサ(以下、MainCPUと称す)310は、スロットマシン100における制御の中枢となるものであり、バス370を介して、周辺部との間で制御信号やデータの受渡しが行われる。
乱数発生器311は、内部抽選等に用いられる乱数を発生するもので、複数のカウンタ、クロック発振器、分周器及びラッチ回路等で構成される。乱数発生器311が発生した乱数値は、バス370を介して、RAM313の乱数記憶領域に記憶され、必要に応じてMainCPU310へ送られる。
MainCPU310には、入力インターフェース360およびバス370を介して、メダル投入口134より投入されたメダルを検知するメダルセンサ321、スタートレバー135の操作を検知するスタートレバーセンサ322、ストップボタンユニット136のいずれかのストップボタンが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検知するストップボタンセンサ323、メダル投入ボタン130及び131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検知するメダル投入ボタンセンサ324、精算ボタン132の操作を検知する精算ボタンセンサ325、払い出されるメダルを検知するメダル払出センサ326、インデックスセンサ327、及びリセットスイッチ328が接続されている。インデックスセンサ327は、各リール110〜112の取付台の所定位置に設置されており、リールに設けた遮光片がこのインデックスセンサ327を通過するたびにHレベルになる。MainCPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。リセットスイッチセンサ328は、RAM313に記憶されている情報を初期化するためのリセットスイッチ(主制御部リセットスイッチ)の操作を検知するセンサである。
【0078】
ROM312は、各種制御を行うためのプログラムや、後述する各種テーブルデータ等を記憶している。RAM313は、MainCPU310によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する。
また、リール110〜112の回転と停止を行うモータを制御するモータ駆動部330、及び、メダル払出装置(図示せず)を制御するホッパー駆動部331が、出力インターフェース350及びバス370を介してMainCPU310に接続されている。
遊技ランプ340は、具体的には、入賞ライン表示ランプ120、告知ランプ121、スタートランプ122、再遊技ランプ123、メダル投入ランプ124、ストップボタンユニット136のストップボタン137〜139に内蔵されているランプ等であり、出力インターフェース350およびバス370を介してMainCPU310に接続されており、MainCPU310の指示に従って、点灯/点滅/消灯する。また、7セグメント表示器341は、具体的には、貯留枚数表示器126、表示器127、払出枚数表示器128等であり、出力インターフェース350およびバス370を介してMainCPU310に接続されており、MainCPU310の指示に従って、表示を行う。
【0079】
また、出力インターフェース350は、MainCPU310の指示に基づき、各種のコマンドを副制御部400の入力インターフェース430へ送信する。コマンドには、例えば、メダルが投入されたことを示すコマンド、スタートレバーが操作されたことを示すコマンド、押されたストップボタンを示すコマンド、バックライト、上部ランプ、音声出力、LCD等による演出の内容を規定したコマンド等がある。
【0080】
副制御部400のマイクロプロセッサ(以下、SubCPUと称す)410は、主制御部300から送信された各種コマンドを入力インターフェース430およびバス470を介して受信し、受信したコマンドの内容に応じて副制御部400全体を制御する。
ROM411は、副制御部400全体を制御するためのプログラムやデータ等を記憶している。RAM412は、SubCPU410で処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する。 リセットスイッチ413は、RAM412に記憶されている情報を初期化するためのリセットスイッチ(副制御部リセットスイッチ)の操作を検知するセンサである。
【0081】
演出用発光表示部421は、具体的には、リールの絵柄を照らすバックライト、上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ156等の遊技を盛り上げるための演出用のランプであり、出力インターフェース420及びバス470を介してSubCPU410と接続されており、SubCPU410の指示に従って、点灯/点滅/消灯する。
【0082】
楽音信号形成部460は、SubCPU410から受け渡された制御信号やデータに基づいて、楽音信号を形成して出力する。この楽音信号は、アンプ461で増幅された後、スピーカ462から音として出力される。
出力インターフェース450は、SubCPU410の指示に基づき、各種制御データを表示制御部500へ送信する。表示制御部500は、制御データに基づき、LCD157及び扉装置163を制御する。
<遊技の基本的制御>
図12は、本実施形態のスロットマシン100における遊技の基本的制御を示す主制御部メイン処理のフローチャートである。遊技の基本的制御は、主制御部300のMainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図のステップS102からS109の処理を繰り返し実行する。
【0083】
ステップS101では、電源投入が行われると、まず、各種の初期化処理が行われる。
【0084】
ステップS102では、メダル投入に関する処理を行う。ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合はメダルの投入が不要である。
【0085】
ステップS103では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。ここでは、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。また、副制御部400に対してスタートレバー受付コマンドを送信する。副制御部400は、このスタートレバー受付コマンドを受信することによって遊技の開始を把握する。
【0086】
ステップS104では、有効な入賞ラインを確定する。
【0087】
ステップS105では、乱数発生器311で発生させた乱数を取得する。
【0088】
ステップS106では、ステップS105で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルの抽選データを用いて、入賞役の内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、その入賞役のフラグが内部的にONになる。また、副制御部400に対して内部当選結果コマンドを送信する。例えば、再遊技当選、BB(ビッグボーナス)当選、小役1当選、小役2当選、小役3当選などの内部当選結果コマンドを送信する。副制御部400は、この内部当選結果コマンドを受信することによって内部抽選の結果を把握する。また、このステップS106では、内部抽選結果等に基づき、リール停止制御データを選択する。
【0089】
ステップS107では、リール回転開始処理により、全リール110〜112の回転を開始させる。
【0090】
ステップS108では、ストップボタン137〜139の受け付けが可能となり、リール制御処理により、押されたストップボタン137〜139に対応するリール110〜112の回転を停止させる。この際、各リール110〜112を、ステップS106で選択したリール停止制御データに基づいて停止させる。また、このステップS108では、副制御部400に対して停止位置図柄コマンドを送信する。副制御部400は、この停止位置図柄コマンドを受信することによって、各リール110〜112が、どの図柄位置で停止しているかを把握する。
【0091】
ステップS109では、ストップボタン137〜139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効ライン上に、内部当選した入賞役またはフラグ持越し中の入賞役に対応する入賞図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効ライン上に、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が揃っていたならば再遊技入賞と判定する。また、ステップS109では、副制御部400に対して判定結果コマンドを送信する。例えば、本実施形態においては、BB入賞、再遊技入賞、小役1入賞などの判定結果コマンドを送信する。副制御部400は、この判定結果コマンドを受信することによって入賞の結果を把握する。
【0092】
ステップS110では、メダル払出処理を行う。このメダル払出処理では、払い出し(配当)のある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
【0093】
ステップS111では、遊技状態制御処理を行う。遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、BB入賞の場合に次回からBB遊技を開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。また、ステップS111では、副制御部400に対して現在の遊技状態を示す状態コマンドを送信する。副制御部400は、この状態コマンドを受信することによって現在の遊技状態を把握する。
【0094】
以上により1遊技が終了し、以降、ステップS102〜S111を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
【0095】
以上述べたように、本実施形態のスロットマシン100の主制御基板210によれば、主制御基板210に回路基板を設計する場合に生じる誤差と判定され得るような規則であって、視覚的に目立つものではない偽造判別規則を施しているので、不正対策を施しても不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。
【0096】
例えば、上記実施形態の主制御基板210では、偽造判別規則を表面に形成していたが、裏面に形成してもよい。図13(a)は、裏面に偽造判別規則を形成した主制御基板210Jの要部を示す図である。図13(a)は、会社名称212近傍に配設する電子部品219(例えば、ROMなどのIC)を基板にハンダ付けした際の表面及び裏面の様子をそれぞれ示している。
【0097】
図13(a)に示すように、電子部品219から突設した複数のピン223は、基板に形成された孔を挿通して裏面に突出した状態で、それぞれハンダ224により基板に固定されている。このときに、複数のピン223のうち、特定のピン223aはクリンチされて(折れ曲がった状態)、ハンダ付けされている。
【0098】
このように、本変形例においては、一の電子部品219の特定のピン223aのクリンチを偽造判別規則としている。なお、偽造判別規則を形成しない主制御基板の一の電子部品219においては、特定のピンはクリンチされていない。なお、この特定のピン223aの発見を容易とするために、本変形例では、対応する表面のピン位置には目印マーク225を付けている。
【0099】
したがって、本変形例によれば、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Jの会社名称212近傍に配設する電子部品219の特定ピン223のクリンチの有無を視認することによって、主制御基板210Jが正規基板であるか不正基板であるかを簡単に判別することができる。一方、偽造判別規則を知らない第三者は、主制御基板210Jの特定ピン223aのクリンチに気付かないので、偽造判別規則を施した主制御基板210Jを模して作成することはできない。
【0100】
なお、図13(a)では、電子部品219の特定のピン223aのクリンチを偽造判別規則としたが、図13(b)に示すように、ピン223をハンダ付けする際のハンダ量を偽造判別規則としてもよいし、また、図13(c)に示すように、ピン223の足の長さを偽造判別規則としてもよい。
【0101】
例えば、図13(b)に示すように、裏面に露出した特定のピン223aをハンダ付けしているハンダ224aの量は、他のピン223をハンダ付けしているハンダ224の量よりも際立って多くなっている。このように、図13(b)に示す変形例においては、偽造判別規則を裏面に表出したハンダ量としている。なお、偽造判別規則が施されていない主制御基板の裏面においては、ハンダ量は略均一となっている。
【0102】
また、図13(c)に示すように、裏面に露出した特定のピン223aの足の長さは、他のピン223の足の長さよりも際立って長くなっている。このように、図13(c)に示す変形例においては、偽造判別規則を裏面に突出したピン223の足の長さとしている。なお、偽造判別規則が施されていない主制御基板の裏面においては、ピン223の足の長さは略均一となっている。
【0103】
このように、偽造判別規則を主制御基板210の表面に形成するほか、裏面に形成するようにしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、主制御基板210に対して偽造判別規則を設ける例について説明してきたが、偽造判別規則を設ける制御基板は主制御基板210に限定されない。例えば、副制御基板220や表示制御基板230、中継基板に対して偽造判別規則を設けるようにしてもよい。
【0105】
また、上記実施形態においてはメダルを用いるスロットマシンに対して本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉)を遊技媒体としたスロットマシンやパチンコ遊技機などにも適用可能である。
【0106】
例えば、上記実施形態及び上記変形例で用いた偽造判別規則を設けた制御基板を「所定の遊技領域に球を発射する発射装置と、発射装置から発射された球を入球可能に構成された入賞口と、入賞口に入球した球を検知する検知手段と、検知手段が球を検知した場合に球を払出す払出手段と、所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置を備え、入賞口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置が図柄を変動させた後に停止表示させて、遊技状態の推移を告知するようなパチンコ遊技機」に用いてもよい。
<実施形態のまとめ>
遊技台(例えば、スロットマシン)は、メダルを投入してスタートレバーを操作することでリールを回転させるとともに、内部抽選によって役を内部決定し、ストップボタンを操作することでリールを停止させた時に、図柄表示窓上に内部決定に応じて予め定められた図柄の組合せが表示されると役が成立するように構成されている。そして、メダルの払出を伴う役が成立した場合には、成立した役に対応する規定数のメダルが払い出されるようになっている。
【0107】
このような遊技台は、遊技進行を制御する主制御回路を搭載した主制御基板において主要な情報の処理が行われることから、主制御基板に不正な改造または不正な部品取り付けがされないよう、主制御基板は封印ケースに収納されている。
【0108】
しかしながら、近年は遊技台への不正行為がさらに巧妙化し、正規品と外観がほぼ同じでありながら不正部品を取り付けた回路基板を作りだし、遊技機設置店内においてこの不正な回路基板に交換するなどの不正行為が問題になっている。
【0109】
そこで、回路基板や、それを覆うケースに複数の識別番号やマーク等の識別データを刻印する遊技機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この遊技機によれば、識別データを刻印することによって不正行為は困難になるとしている。
【0110】
しかしながら、正規品に外観として目立つ不正対策が施されている場合には、これを模して同外観の部品が作り出されてしまうので、結局のところは模倣品がつくられるまでの時間の問題となり、正規部品に新たな不正対策が施さなければならなくなるという問題がある。
【0111】
また、肉眼で判断できないような不正対策を施し、正規品か不正品かを特殊装置を使わないと判別できない場合には、複数メーカーの遊技台を取り扱う遊技機設置店内において、特定のメーカーの遊技機の不正部品の確認作業のためだけに特殊装置を備え、これを用いた確認作業を強いることとなるので、作業性が悪く、確認作業が容易でないという問題がある。
【0112】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その課題の一例としては、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる回路基板を備えた遊技台を提供することにある。
【0113】
以上から、本発明に係る遊技台は、その一態様として、複数種類の電子部品を実装した回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数の同一機能を有する特定部位を備え、一の前記特定部位の配置は、予め定めた偽造判別規則に従って、他の前記特定部位の配置と異なっていることを特徴とする。
【0114】
本発明の一態様においては、回路基板上の配置に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0115】
また、前記特定部位は、回路基板のグランドパターンであり、前記他の特定部位のグランドパターンの一辺は、前記回路基板の周縁近傍の所定基準直線に沿って配置される一方、前記一の特定部位のグランドパターンの一辺は、一部または全部を前記所定基準直線から僅少離隔して配置されることが好ましい。これにより、回路基板における設計上の支障もなく、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。また、回路基板のグランドパターンの配置に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくい。
【0116】
この場合、さらには、前記一の特定部位のグランドパターンの一辺は、一部が凹形状をなして窪み、窪んだ凹形状の凹底が前記所定基準直線から僅少離隔して配置されるようにしてもよい。これにより、不正基板が、偶然、偽造回路基板を判別するための偽造判別規則を形成することは確実に排除される。
【0117】
また、前記特定部位は、前記電子部品の識別情報を有するシルク印刷文字であり、前記他の特定部位のシルク印刷文字は、予め定めた文字配置間隔に基づき配置される一方、前記一の特定部位のシルク印刷文字は、前記予め定めた文字配置間隔とは異なった配置間隔で配置されることが好ましい。これにより、回路基板における設計上の支障もなく、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。また、シルク印刷文字の文字配置間隔に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくい。
【0118】
この場合、さらには、前記一の特定部位のシルク印刷文字は、文字に加えて付加情報を含み、当該付加情報が異なった配置を形成してもよい。この場合、シルク印刷文字における付加情報の配置に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0119】
また、前記特定部位は、前記電子部品の識別情報を有するシルク印刷文字であり、前記他の特定部位のシルク印刷文字は、予め定めた書体で印字して配置される一方、前記一の特定部位のシルク印刷文字の少なくとも一文字は、前記予め定めた書体とは異なる書体で印字され、前記予め定めた書体とは配置位置が異なるのが好ましい。この場合、シルク印刷文字の書体に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0120】
また、前記特定部位は、前記電子部品であり、一の前記特定部位における前記電子部品の前記回路基板に対する設置方向は、他の前記特定部位における前記電子部品の前記回路基板に対する設置方向と異なっていることが好ましい。この場合、電子部品の設置方向に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0121】
この場合、さらには、前記他の特定部位における前記電子部品は、前記回路基板に対して略垂直に立設される一方、前記一の特定部位における前記電子部品は、前記略垂直から傾斜して立設されるようにしてもよい。これにより、電子部品の設置傾斜角度を視認すれば、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0122】
また、本発明に係る遊技台は、別の一態様として、複数種類の電子部品を実装した回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数の同一機能を有する特定部位を備え、前記特定部位は、特定電子部品であり、一の前記特定電子部品上に記載されるマークは、予め定めた偽造判別規則に従って、他の前記特定電子部品上に記載されるマークと異なっていることを特徴とする。
【0123】
本発明の別の一態様においては、特定電子部品に記載されるマークに偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0124】
また、本発明に係る遊技台は、別の一態様として、複数種類の電子部品を実装した回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数の同一機能を有する特定部位を備え、前記特定部位は、特定電子部品であり、一の前記特定電子部品の前記回路基板の裏面から突出する複数のピンの少なくとも一つの突出規則は、予め定めた偽造判別規則に従って、他の前記特定電子部品の前記回路基板の裏面から突出するピンの突出規則とは異なることを特徴とする。
【0125】
本発明の別の一態様においては、特定電子部品のピンの突出規則に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0126】
一例としては、前記突出規則は、ピンの長さであり、前記一の前記特定電子部品の前記回路基板の裏面から突出する複数のピンの少なくとも一つのピンの長さは、他の前記特定電子部品の前記回路基板の裏面から突出するピンの長さとは異なることが好ましい。これにより、特定電子部品のピンの長さを視認すれば、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0127】
また、別の一例としては、前記突出規則は、ピンのクリンチ設定であり、前記一の前記特定電子部品の前記回路基板の裏面から突出するピンのクリンチ設定は、他の前記特定電子部品の前記回路基板の裏面から突出するピンのクリンチ設定とは異なることが好ましい。これにより、特定電子部品のピンのクリンチ設定を視認すれば、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。
【0128】
また、前記回路基板は、透光性を有する基板収納ケースに収容されるとともに、前記電子部品を実装する面を外部から視認可能となるように遊技台本体に配置され、前記基板収納ケースは、前記一の前記特定部位を覆う部位を平滑形状とすることが好ましい。この場合には、遊技台の前面扉を開けた状態で、回路基板を視認することができるので、回路基板が偽造回路基板であるか否かの識別が容易である。
【0129】
また、上記構成の遊技台において、前記一の前記特定部位を複数備えるようにしてもよい。これにより、正規基板か不正基板かの確認作業をより容易になるとともに、不正基板が正規基板として作成される偶然性を確実に排除できる。
【0130】
また、本発明に係る遊技台は、別の一態様として、複数種類の電子部品を実装した回路基板を備える遊技台であって、前記回路基板は、複数の同一機能を有する特定部位を備え、一の前記特定部位の実装規則は、予め定めた偽造判別規則に従って、他の前記特定部位の実装規則と異なっていることを特徴とする。
【0131】
本発明の別の一態様においては、回路基板上の実装規則に偽造回路基板を判別するための偽造判別規則が含まれているので、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、第一の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記第一の電子部品は、第一の特定部、第二の特定部、および第三の特定部を少なくとも備えるものとし、
前記第一の特定部、前記第二の特定部、および前記第三の特定部は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一の特定部及び前記第二の特定部のそれぞれを、第一の向きに向けて少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第三の特定部を、前記第一の向きとは異なる第二の向きに向けて少なくとも備えるものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項2】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、第一の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記第一の電子部品は、第一の特定部、第二の特定部、および第三の特定部を少なくとも備えるものとし、
前記第一の特定部、前記第二の特定部、および前記第三の特定部は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一の特定部および前記第二の特定部を、第一の長さで少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第三の特定部を、前記第一の長さと異なる第二の長さで少なくとも備えるものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項3】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、第一の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記第一の電子部品は、第一の特定部、第二の特定部、および第三の特定部を少なくとも備えるものとし、
前記第一の特定部、前記第二の特定部、および前記第三の特定部は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一の特定部および前記第二の特定部を、第一の塗布量のハンダで少なくとも固定するものとし、
前記回路基板は、前記第三の特定部を、前記第一の塗布量と異なる第二の塗布量のハンダで少なくとも固定するものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項4】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、複数の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記複数の電子部品のうち、少なくとも一つの電子部品を、基板面に対して垂直から斜めに傾けて少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記複数の電子部品のうち、前記少なくとも一つの電子部品を除く他の電子部品を、前記基板面に対して垂直に少なくとも備えるものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項5】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、複数の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記複数の電子部品は、第一の電子部品、第二の電子部品、第三の電子部品、および第四の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記第一の電子部品、前記第二の電子部品、前記第三の電子部品、および第四の電子部品は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、第一のシルク文字、第二のシルク文字、第三のシルク文字、および第四のシルク文字を少なくとも備えるものとし、
前記第一のシルク文字は、前記第一の電子部品を識別する文字とし、
前記第二のシルク文字は、前記第二の電子部品を識別する文字とし、
前記第三のシルク文字は、前記第三の電子部品を識別する文字とし、
前記第四のシルク文字は、前記第四の電子部品を識別する文字とし、
前記回路基板は、前記第一のシルク文字、前記第二のシルク文字、前記第三のシルク文字、および前記第四のシルク文字を、仮想的に引かれた基準直線上に少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記基準直線上において隣り合う二つのシルク文字間を、第一の間隔と、前記第一の間隔とは異なる間隔である第二の間隔として備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一の間隔を、複数備えるものとし、前記第二の間隔を、一つ備えるものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項6】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、複数の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記複数の電子部品は、第一の電子部品および第二の電子部品を少なくとも備えるものとし、
前記第一の電子部品および第二の電子部品は、それぞれが同一機能を少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、第一のシルク文字および第二のシルク文字を少なくとも備えるものとし、
前記第一のシルク文字は、前記第一の電子部品を識別する文字とし、
前記第二のシルク文字は、前記第二の電子部品を識別する文字とし、
前記第一のシルク文字は、三つの文字を少なくとも備えるものとし、
前記第一のシルク文字は、一つの文字間隔を第一の間隔とするものとし、
前記第一のシルク文字は、他の文字間隔を前記第一の間隔とは異なる間隔である第二の間隔とするものとし、
前記第二のシルク文字は、三つの文字を少なくとも備えるものとし、
前記第二のシルク文字は、全ての文字間隔を前記第一の間隔とするものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項7】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、複数のパターンを少なくとも備えるものとし、
前記複数のパターンは、第一のパターンおよび第二のパターンを少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一のパターンを、第一の角近傍に少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第二のパターンを、前記第一のパターンに隣接させて少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一のパターンの第一の辺を、仮想的に引かれた基準直線から0.5mm〜2mmずらして少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第二のパターンの第二の辺を、前記基準直線上に少なくとも備えるものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項8】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、複数のパターンを少なくとも備えるものとし、
前記複数のパターンは、第一のパターンおよび第二のパターンを少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一のパターンを前記第二のパターンに隣接させて備えるものとし、
前記回路基板は、会社名を備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一のパターンを、前記会社名の近傍に備えるものとし、
前記回路基板は、前記第二のパターンを、前記会社名の近傍に備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一のパターンの第一の辺を、仮想的に引かれた基準直線上に備えるものとし、
前記回路基板は、前記第二のパターンの第二の辺を、前記基準直線から0.5mm〜2mmずらして備えるものとする、
ことを特徴とする遊技台。
【請求項9】
回路基板を備える遊技台であって、
前記回路基板は、複数のパターンを少なくとも備えるものとし、
前記複数のパターンは、第一のパターンおよび第二のパターンを少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一のパターンを前記第二のパターンに隣接させて備えるものとし、
前記回路基板は、前記第一のパターンの第一の辺および前記第二のパターンの第二の辺を、それぞれ、仮想的に引かれた基準直線上に少なくとも備えるものとし、
前記第一のパターンの前記第一の辺は、凹部を少なくとも備えるものとし、
前記回路基板は、前記凹部の底を、前記基準直線から0.5mm〜2mmずらして少なくとも備えるものとする、
ことを特徴とする遊技台。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−56216(P2013−56216A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−280781(P2012−280781)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−175220(P2008−175220)の分割
【原出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(597044139)株式会社大都技研 (1,470)
【Fターム(参考)】