説明

遊技媒体貸出機

【課題】隔台用の遊技媒体貸出機において複数の利用者が円滑に共用し得るようにする。
【解決手段】複数台の遊技機の利用者に共用される遊技媒体貸出機1において、記憶媒体挿入口3aに挿入された情報記憶媒体に対し情報読み出しおよび情報書き込みを行う情報リードライト手段3と、前記遊技機で利用する遊技媒体を所定単位毎に払い出す遊技媒体払出手段4と、これらの動作を制御してメダル払い出し動作を遂行する動作制御手段とを設ける。そして、動作制御手段は、前記記憶媒体挿入口3aに挿入された情報記憶媒体から前記情報リードライト手段3が有効な遊技価値情報を読み出すと前記遊技媒体払出手段4に最小単位の遊技媒体の払い出しを行わせるとともに、当該払い出し後に遊技価値の残りがあると前記情報リードライト手段3に情報記憶媒体内の記憶情報を更新させ当該更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口3aから排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機が設置された遊技場にて用いられ、パチンコ玉やメダル等といった遊技機での遊技に必要となる遊技媒体を払い出して当該遊技媒体の遊技者への貸し出しを行う遊技媒体貸出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場に設置される遊技機島は、複数の遊技機と、各遊技機のそれぞれに隣接するように付設された複数の遊技媒体貸出機と、を備えて構成されたものが主流となっている。すなわち、一つの遊技機に対応して一つの遊技媒体貸出機が設けられていることが一般的である。
【0003】
また、遊技機島を構成する遊技媒体貸出機としては、遊技者への遊技媒体の貸し出しに、当該遊技媒体の貸し出しの対価となる金銭に相当する遊技価値に関する情報(以下、単に「金額情報」という。)を記憶するカード状の情報記憶媒体を使用するものが普及している(例えば、特許文献1参照。)。かかる遊技媒体貸出機では、有効な金額情報を記憶している情報記憶媒体の装置内への挿入を条件に、遊技媒体の払い出しを行う。さらに詳しくは、情報記憶媒体の挿入があると、遊技者からの媒体払い出し要求(例えばボタン操作)に応じて、所定額分(例えば5百円分または1千円分)に対応する遊技媒体の払い出しを行い、当該払い出しの後も残金がある場合には、そのまま情報記憶媒体を装置内に保持しておき、または当該情報記憶媒体から読み出した金額情報等を装置内に保持しておき、次の媒体払い出し要求に備え、残金がなくなるか、または遊技者からの媒体返却要求(例えばボタン操作)があると、情報記憶媒体内への残金情報の書き込みおよび当該情報記憶媒体の装置内からの排出を行うようになっている。したがって、遊技者は、情報記憶媒体内に残金がある限り、媒体払い出し要求を行うだけで、繰り返し遊技媒体の払い出しを受けることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−244501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、遊技機島を構成する遊技媒体貸出機の中には、二つの遊技機に挟持されるように配されて、これらの遊技機の利用者に共用される、いわゆる隔台用のものがある。隔台用の遊技媒体貸出機を用いて遊技機島を構成すれば、島内の遊技媒体貸出機の台数の削減が可能になる。
【0006】
しかしながら、隔台用の遊技媒体貸出機において、カード状の情報記憶媒体を使用して遊技媒体の払い出しを行おうとすると、以下に述べる点で問題が生じてしまう。
上述したように、カード状の情報記憶媒体を使用する遊技媒体貸出機では、当該情報記憶媒体が装置内に挿入されると、残金がなくなるか媒体返却要求があるまで、当該情報記憶媒体または当該情報記憶媒体から読み出した情報を装置内にそのまま保持しておく。そのため、二つの遊技機の利用者が共用する場合に、一方の利用者による利用中は、当該利用者の所有の情報記憶媒体または情報が装置内に保持されたままとなり、結果として他方の利用者が利用できないといったことが起こり得る。
この点については、情報記憶媒体の挿入口を別個に二つ設け、一方の利用者による利用中でも、他方の利用者が利用し得るようにすることも考えられる。ところが、その場合には、当該挿入口をはじめとした情報記憶媒体を使用するための構成要素を重複して設ける必要が生じてしまう。すなわち、装置構成の複雑化や大型化等を招く要因となり、結果として隔台用としての利点が相殺されてしまうことなる。
【0007】
そこで、本発明は、隔台用の遊技媒体貸出機において情報記憶媒体を使用して遊技媒体の払い出しを行う場合であっても、複数の利用者が円滑に共用することが可能であり、しかもそのために隔台用としての利点が相殺されてしまうこともない遊技媒体貸出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために案出された遊技媒体貸出機である。
請求項1に係る発明は、複数台の遊技機に対応して設けられ各遊技機の利用者に共用される遊技媒体貸出機であって、遊技価値に関する情報を含む取引情報を記憶する情報記憶媒体が挿入される記憶媒体挿入口と、前記記憶媒体挿入口に挿入された情報記憶媒体からの情報読み出しおよび当該情報記憶媒体への情報書き込みを行う情報リードライト手段と、前記遊技機で利用する遊技媒体を所定単位毎に払い出す遊技媒体払出手段と、前記記憶媒体挿入口に挿入された情報記憶媒体から前記情報リードライト手段が有効な遊技価値に関する情報を読み出すと、前記遊技媒体払出手段に最小単位の遊技媒体の払い出しを行わせるとともに、読み出した遊技価値から前記最小単位の遊技媒体相当分を差し引いた後に当該遊技価値の残りがあると、当該残りについての情報書き込みを前記情報リードライト手段に行わせて前記情報記憶媒体における記憶情報を更新し、その記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させる動作制御手段とを備えることを特徴とする遊技媒体貸出機である。
【0009】
上記構成の遊技媒体貸出機では、最小単位の遊技媒体の払い出し後に遊技価値の残りがあっても、情報記憶媒体が装置内に保持されることなく、当該残りについての情報書き込みによる記憶情報更新後の情報記憶媒体が記憶媒体挿入口から排出される。したがって、複数の利用者に共用される場合に、情報記憶媒体内の遊技価値に関する情報に基づいて遊技媒体の払い出しを行っても、最小単位の遊技媒体の払い出し後には情報記憶媒体が利用者に返却されることになり、ある利用者による占用状態が必要以上に長く続くのが回避される。
【0010】
請求項2に係る発明は、紙幣が投入される紙幣投入口と、情報未記憶の情報記憶媒体を保持する媒体保持手段とを備え、前記動作制御手段は、前記紙幣投入口への高額紙幣の投入があると前記遊技媒体払出手段に最小単位の遊技媒体の払い出しを行わせるとともに、前記紙幣投入口への投入額から前記最小単位の遊技媒体分を差し引いた額に相当する遊技価値について前記媒体保持手段が保持する情報記憶媒体への情報書き込みを前記情報リードライト手段に行わせ当該情報書き込み後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させることを特徴とする請求項1記載の遊技媒体貸出機である。
【0011】
上記構成の遊技媒体貸出機では、有効な遊技価値に関する情報を記憶した情報記憶媒体のみならず、紙幣によっても遊技媒体の払い出しを行い得る。ここで、遊技媒体の払い出しのために紙幣投入口へ投入される紙幣には、高額紙幣が含まれるものとする。「高額紙幣」とは、最小単位の遊技媒体の相当額を超える額の紙幣のことをいう。このように、紙幣による遊技媒体の払い出しが可能であれば、情報記憶媒体を所有しない利用者も遊技媒体の払い出しを受け得るようになる。しかも、投入された紙幣が高額紙幣である場合には、遊技媒体の払い出し後、遊技価値の残り分についての情報書き込み後の情報記憶媒体が記憶媒体挿入口から排出されることになる。したがって、複数の利用者が共用する上で好適なものとなる。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記動作制御手段が、前記遊技媒体払出手段による遊技媒体の払い出しが完了し、かつ、前記情報リードライト手段での情報書き込みによる前記情報記憶媒体の記憶情報更新が完了すると、当該記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させることを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出機である。
【0013】
上記構成の遊技媒体貸出機では、遊技媒体払出手段による遊技媒体の払い出し完了と情報記憶媒体内の記憶情報更新との両方を当該情報記憶媒体の排出トリガとするので、これら両方が正常に終了するのを待って情報記憶媒体の排出を行うことになり、利用者との間の取引の確実化が図れる。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記動作制御手段が、前記情報リードライト手段での情報書き込みによる前記情報記憶媒体の記憶情報更新が完了すると、当該記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させることを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出機である。
【0015】
上記構成の遊技媒体貸出機では、情報記憶媒体内の記憶情報更新を当該情報記憶媒体の排出トリガとするので、例えば最小単位の遊技媒体の払い出し中であっても情報記憶媒体の排出を行うことが可能となり、当該排出の迅速化、すなわちある利用者による占用状態からの解放の迅速化が図れる。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記情報記憶媒体における記憶情報を管理する上位機との情報授受を行う通信手段を備えるとともに、前記動作制御手段が、前記最小単位の遊技媒体相当分を差し引いた後の前記遊技価値の残り分について前記通信手段が前記上位機との情報授受を完了すると、当該残り分に基づく記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させることを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出機である。
【0017】
上記構成の遊技媒体貸出機では、上位機との情報授受完了を情報記憶媒体の排出トリガとするので、情報記憶媒体を排出する時点で既に必要な情報(遊技価値に関する情報やその他の情報等)が上位機へ送られて当該上位機で管理されることになる。したがって、例えば情報の二重保持(バックアップ)を通じて、当該情報の損傷等のトラブルへの対応の容易化および適切化が図れる。また、上位機との情報授受が完了すれば、例えば最小単位の遊技媒体の払い出し中であっても情報記憶媒体の排出を行うことが可能となるので、ある利用者による占用状態からの解放の迅速化が図れる。
【0018】
請求項6に係る発明は、前記動作制御手段が、前記複数台の遊技機の利用者に共用される場合に実行する動作制御処理の他に、各遊技機の利用者のそれぞれに個別に用いられる場合に実行する動作制御処理を行い得るように構成されているとともに、前記動作制御手段がどちらの動作制御処理を実行するかを切り換える切り換え手段が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の遊技媒体貸出機である。
【0019】
上記構成の遊技媒体貸出機では、切り換え手段による切り換えを通じて、複数の利用者に共用される場合と各利用者のそれぞれに個別に用いられる場合とのいずれにも対応し得るので、従来の主流である遊技媒体貸出機にもそのまま適用することが可能である。つまり、モジュール共通化の実現が可能となり、高い汎用性を確保する上で非常に好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、最小単位の遊技媒体の払い出し後には情報記憶媒体が利用者に返却されるので、複数の利用者に共用される場合においても、ある利用者による占用状態が必要以上に長く続くのを回避することができる。また、情報記憶媒体を使用するための構成要素を重複して設ける必要もないので、装置構成の複雑化や大型化等を招くこともない。したがって、隔台用の遊技媒体貸出機において情報記憶媒体を使用して遊技媒体の払い出しを行う場合であっても、複数の利用者が円滑に共用することが可能となり、しかもそのために隔台用としての利点が相殺されてしまうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明に係る遊技媒体貸出機について説明する。
【0022】
ここでは、遊技媒体貸出機として、遊技媒体の一例であるメダルの貸し出しを行うメダル貸出機を例に挙げる。さらに、ここでは、メダルを遊技媒体とする二つのパチスロ機に挟持されるように配されて各パチスロ機の利用者(遊技者)に共用される、いわゆる隔台用のメダル貸出機を例に挙げる。
【0023】
〔装置構成例の説明〕
先ず、メダル貸出機の構成について説明する。
図1はメダル貸出機の概略構成例を示す説明図であり、図2はその外観を示す正面図である。図3および図4は、メダル貸出機の要部構成例を示す説明図である。図5は、メダル貸出機の機能構成例を示すブロック図である。
【0024】
図1および図2に示すように、メダル貸出機1には、その上方部に、紙幣を投入するための紙幣投入口2aを備えた紙幣処理部2が設けられている。
紙幣処理部2では、紙幣投入口2aへの高額紙幣の投入に対応し得るようになっている。ここで、「高額紙幣」とは、後述するメダル払い出しの最小単位相当額を超える額の紙幣のことをいう。具体的には、例えば最小単位相当額が千円であれば、二千円札、五千円札および一万円札が、高額紙幣に該当する。なお、紙幣処理部2は、高額紙幣のみならず、高額紙幣に該当しない紙幣(例えば千円札)の紙幣投入口2aへの投入にも対応し得るものとする。
このような高額紙幣を含む紙幣の投入に対応するために、紙幣処理部2は、図3に示すように、紙幣投入口2aへの投入紙幣の金種を識別する紙幣識別機(以下「ビルバリ」という。)2bと、投入紙幣を金種別に保管する紙幣保管庫2cと、を備えている。さらに、紙幣処理部2は、図2に示すように、ビルバリ2bによる金種の識別結果を紙幣投入者(遊技者)に通知するための識別結果表示部2dを備えている。なお、ビルバリ2bによる金種識別については、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細の説明を省略する。
【0025】
また、図1および図2に示すように、紙幣処理部2の下方には、取引情報を記憶する情報記憶媒体が挿入される記憶媒体挿入口3aを備えた記憶媒体処理部3が設けられている。
取引情報とは、遊技者へのメダルの貸し出し、すなわち当該遊技者との取引に必要となる情報のことをいい、具体的には、メダル貸し出しの対価となる金銭に相当する遊技価値に関する情報(例えば、遊技価値としての金額を特定する金額情報。)、当該金額情報についての入出金に関する情報(例えば、入出金履歴を特定する金額情報。)、情報記憶に関するエラー情報(例えば、発生したエラーの種類や発生日時等を特定する情報。)、その他の情報が含まれる。
記憶媒体挿入口3aに挿入される情報記憶媒体としては、代表的なものとして、磁気ストライプカード(以下、単に「磁気カード」という。)が挙げられる。ただし、情報の読み出しおよび書き込みが可能であれば、他のもの(例えば、ICカード、ICコイン)であっても構わない。以下の説明では、情報記憶媒体が磁気カードである場合を例に挙げる。
このような磁気カードに対応するために、記憶媒体処理部3は、図4に示すように、記憶媒体挿入口3aに挿入された磁気カードからの情報読み出しおよび当該磁気カードへの情報書き込みを行う情報リードライト手段として機能するカードリーダライタ(以下「カードR/W」と略す。)3bを備えている。さらに、記憶媒体処理部3では、情報未記憶の磁気カードを保持する媒体保持手段としてのカード保管庫(ただし不図示)を備えており、そのカード保管庫から取り出した磁気カードに対してカードR/W3bが情報書き込みを行った後に、当該磁気カードを記憶媒体挿入口3aから排出し得るようになっている。また、記憶媒体処理部3は、図2に示すように、カード投入者が操作するメダル貸出スイッチ3cおよびカード返却スイッチ3dと、カードR/W3bが磁気カードから読み出した金額情報をカード投入者(遊技者)に通知するための読み出し結果表示部3eと、を備えている。なお、記憶媒体処理部3のカードR/W3bによる情報読み出しおよび情報書き込みについては、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細の説明を省略する。
【0026】
また、図1および図2に示すように、記憶媒体処理部3の下方には、パチスロ機で利用するメダルを所定単位毎(例えば、千円分に相当する50枚毎。)に払い出す、遊技媒体払出手段としてのメダル処理部4が設けられている。
メダル処理部4は、メダルを貯留するメダル貯留箱4aと、そのメダル貯留箱4a内のメダル貯留量を検出する上段センサ4bおよび下段センサ4cと、メダル貯留箱4a内から所定単位のメダルを払い出すメダル払出機構4dと、を備えて構成されている。なお、メダル貯留箱4a内に貯留されるメダルは、装置前面に開閉可能に設けられている錠付きのメダル補給口4eから補給されたものであってもよいし、メダル貯留箱4aに連結されたシュート(ただし不図示)を介して自動補給システムから補給されたものであってもよい。また、メダル払出機構4dによるメダル払い出しについては、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細の説明を省略する。さらに、メダル処理部4は、メダル払出機構4dからのメダルが、図2(a)に示すように、開閉可能なカバーを有したメダル受け部4fを通じて遊技者に対して払い出されるように構成されていてもよいし、図2(b)に示すように、メダルシュート4gを通じて遊技機に直接案内されるように構成されていてもよい。
【0027】
また、図1に示すように、メダル処理部4の下方には、上述した各部2〜4への電源供給を行う電源ユニット5が設けられている。
【0028】
さらに、電源ユニット5の側方、または、メダル貸出機1内におけるいずれかの箇所(上述した各部2〜5を除く空きスペース。)には、上述した各部2〜4における動作を制御して、一連のメダル払い出し動作を遂行する、動作制御手段としての制御部6が設けられている。制御部6は、所定プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、当該所定プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の組み合わせからなるもので、具体的にはこれらを搭載する電子基板ユニットによって実現することが考えられる。
このような制御部6は、図5に示すように、紙幣処理部2と接続して、当該紙幣処理部2のビルバリ2bから金種識別結果を受け取るように構成されている。また、記憶媒体処理部3と接続して、当該記憶媒体処理部3のカードR/W3bから読み出し情報(例えば、カードに記憶されている金額情報。)を受け取るとともに、当該カードR/W3bに対して動作指示(情報書き込み指示やカード排出指示等。)を与えるように構成されている。さらには、メダル処理部4と接続して、当該メダル処理部4のメダル払出機構4dに対して動作指示(駆動信号等)を与えるとともに、当該メダル払出機構4dでのメダル払出カウント数やセンサ4b,4cでの検出結果等に関する情報を受け取るように構成されている。さらにまた、制御部6は、電源ユニット5や各種操作スイッチ3c,3d等とも接続しているものとする。
なお、制御部6は、メダル貸出機1の上位機となる管理サーバ等が存在する場合には、当該管理サーバ等と通信可能に接続しており、当該管理サーバ等との間で各種情報(カードから読み出した金額情報やメダル貸出機1における設定を管理する情報等。)の授受を行い得るようになっている。また、制御部6には、詳細を後述するように、設定を切り換えるためにディップスイッチ6aが設けられているものとする。
【0029】
〔処理動作例の説明〕
次に、以上のように構成されたメダル貸出機1における処理動作例、特に制御部6による動作制御例について説明する。
【0030】
〔第一の処理動作例〕
図6は、メダル貸出機1における第一の処理動作例を示すフローチャートである。
図例のように、メダル貸出機1では、紙幣投入口2aへの紙幣投入があると(ステップ101、以下ステップを「S」と略す。)、紙幣処理部2のビルバリ2bが投入紙幣の金種を識別する。そして、制御部6は、ビルバリ2bから金種識別結果を受け取ると、その紙幣金額を内部データとして所定記憶領域内に保存しておく(S102)。また、記憶媒体挿入口3aに残高のある磁気カードの挿入があった場合には(S103)、カードR/W3bが当該磁気カードからの情報読み出しを行う。そして、制御部6は、カードR/W3bから読み出し情報(カードに記憶されている残高金額。)を受け取ると、そのカード情報(残高金額)を内部データとして所定記憶領域内に保存しておく(S104)。なお、紙幣投入とカード挿入との両方があった場合には、それぞれの加算金額を内部データとして保存すればよい。
【0031】
内部データの保存後、当該内部データが有効なもの、すなわち当該内部データがメダル処理部4でのメダル払い出しの最小単位相当額(メダルを所定単位毎に払い出す場合の1回分に相当する払出金額。)を超えるものであれば、制御部6は、その保存した内部データから最小単位相当額である1回分の払出金額を減算する(S105)。さらに、制御部6は、メダル処理部4のメダル払出機構4dに対して動作指示(駆動信号等)を与えて、当該メダル払出機構4dに最小単位分(所定単位毎に払い出す場合の1回分)のメダル払い出しを開始させる(S106)。つまり、制御部6は、紙幣投入口2aへの高額紙幣の投入があるか、または記憶媒体挿入口3aに挿入された磁気カードからカードR/W3bが有効な金額情報を読み出すと、メダル払出機構4dに最小単位分のメダルの払い出しを行わせる。
【0032】
その後、制御部6は、メダル払出機構4dからメダル払い出しを正常終了した旨の情報通知を受けると、1回分のメダル払い出しが終了したと判断する(S107)。そして、制御部6は、内部データの残高(内部データとして読み出した金額から最小単位のメダル相当分を差し引いた後における当該金額の残り分に相当)があるか否か、すなわち減算後の内部データが「0」でないか否かを判断する(S108)。
【0033】
この判断の結果、残高がある場合には、制御部6は、その残高、すなわち減算後の内部データである金額情報について、記憶媒体挿入口3aから挿入された状態にある磁気カードに上書きして、当該磁気カード内における金額情報を更新するように、カードR/W3bに対して動作指示(情報書き込み指示)を与える(S109)。また、記憶媒体挿入口3aに磁気カードが挿入されておらず、紙幣投入口2aへの高額紙幣の投入に応じてメダルの払い出しを行った場合であれば、制御部6は、記憶媒体処理部3のカード保管庫から磁気カードを取り出し、その取り出した磁気カードに対してカードR/W3bが情報書き込みを行うように、動作指示を与える(S109)。そして、制御部6は、磁気カード内の金額情報を更新した後に、当該磁気カードを記憶媒体挿入口3aから排出するように、カードR/W3bに対して動作指示(カード排出指示)を与える。これにより、記憶媒体挿入口3aからは、金額情報が更新された磁気カードが、遊技者に対して返却されることになる(S110)。なお、残高がない場合には、挿入された状態にある磁気カードが、遊技者に返却されずに、メダル貸出機1の装置内に回収されるものとする(S111)。
【0034】
以上のように、上述した第一の処理動作例を実行するメダル貸出機1では、最小単位分のメダルの払い出し後に残高があると、磁気カードが装置内に保持されることなく、残高情報の書き込み後の磁気カードが記憶媒体挿入口3aから排出されるようになっている。したがって、当該メダル貸出機1が複数の遊技者に共用される場合に、記憶媒体挿入口3aから挿入された磁気カード内の金額情報に基づいてメダルの払い出しを行っても、最小単位分のメダルの払い出し後には磁気カードが遊技者に返却されることになり、ある遊技者による占用状態が必要以上に長く続くのを回避することができる。また、当該メダル貸出機1が複数の遊技者に共用される場合であっても、磁気カードを使用するための構成要素(カードR/W3b等)を各遊技者用に重複して設ける必要もないので、装置構成の複雑化や大型化等を招くこともない。したがって、隔台用のメダル貸出機1において磁気カードを使用してメダルの払い出しを行う場合であっても、複数の遊技者が円滑に共用することが可能となり、しかもそのために隔台用としての利点が相殺されてしまうこともない。
【0035】
また、上述したメダル貸出機1では、有効な金額情報を記憶した磁気カードのみならず、高額紙幣によっても、メダルの払い出しを行い得るようになっている。つまり、予め磁気カードを所有していない遊技者も、メダルの払い出しを受け得るようになる。したがって、遊技者にとっては、非常に利便性の高いものとなる。しかも、磁気カードの挿入と高額紙幣の投入の別にかかわらず、メダルの払い出し後は、残高情報の書き込み後の磁気カードが記憶媒体挿入口3aから排出されることになる。したがって、高額紙幣に対する返却貨幣(釣銭等)を払い出すための構成を必要とすることもない。これらのことから、当該メダル貸出機1では、複数の遊技者に共用される場合に、当該共用を好適に行い得るものとしつつ、各遊技者にとっての利便性向上を図ることができ、しかもそのために装置構成の複雑化や大型化等を招くことがなく、隔台用としての利点が相殺されてしまうのを回避することができる。
【0036】
さらに、上述したメダル貸出機1では、メダル払出機構4dによるメダルの払い出しが完了し(図6におけるS107)、かつ、カードR/W3bによる磁気カードへの残高情報の書き込みが完了すると(図6におけるS109)、当該残高情報の書き込み後の磁気カードを記憶媒体挿入口3aから排出するようになっている(図6におけるS110)。つまり、メダル払出機構4dによるメダルの払い出し完了とカードR/W3bによる磁気カードへの残高情報の書き込み完了との両方を当該磁気カードの排出トリガとする。したがって、これら両方のうちのいずれか一方が終了しただけでは磁気カードが排出されず、これら両方が正常に終了するのを待って磁気カードの排出を行うことになるので、例えばメダルが正しく払い出されていないのに磁気カードが返却されてしまうといったことが起こることがなく、遊技者との間の取引の確実化が図れる。
【0037】
〔第二の処理動作例〕
図7は、メダル貸出機1における第二の処理動作例を示すフローチャートである。
図例の場合においても、最小単位分のメダル払い出しの開始までは(S201〜S206)、上述した第一の処理動作例の場合と全く同様である。
ただし、ここで説明する第二の処理動作例では、第一の処理動作例の場合とは異なり、1回分のメダル払い出しの終了を待つことなく、制御部6が内部データの残高についての判断を行う(S207)。
【0038】
この判断の結果、残高がある場合には、制御部6は、その残高、すなわち減算後の内部データである金額情報について、記憶媒体挿入口3aから挿入された状態にある磁気カードに上書きして、当該磁気カード内における金額情報を更新するように、カードR/W3bに対して動作指示(情報書き込み指示)を与える(S208)。また、記憶媒体挿入口3aに磁気カードが挿入されておらず、紙幣投入口2aへの高額紙幣の投入に応じてメダルの払い出しを行った場合であれば、制御部6は、記憶媒体処理部3のカード保管庫から磁気カードを取り出し、その取り出した磁気カードに対してカードR/W3bが情報書き込みを行うように、動作指示を与える(S208)。そして、制御部6は、磁気カード内の金額情報を更新した後に、当該磁気カードを記憶媒体挿入口3aから排出するように、カードR/W3bに対して動作指示(カード排出指示)を与える。これにより、記憶媒体挿入口3aからは、金額情報が更新された磁気カードが、遊技者に対して返却されることになる(S209)。なお、残高がない場合には、挿入された状態にある磁気カードが、遊技者に返却されずに、メダル貸出機1の装置内に回収されるものとする(S210)。
【0039】
その後、メダル払出機構4dからメダル払い出しを正常終了した旨の情報通知を受けると、制御部6は、1回分のメダル払い出しが終了したと判断し(S211)、上述した一連のメダル払い出し動作を終了する。
【0040】
以上のように、第二の処理動作例を実行するメダル貸出機1においても、最小単位分のメダルの払い出し後には磁気カードが遊技者に返却されることになり、ある遊技者による占用状態が必要以上に長く続くのを回避することができるので、隔台用のメダル貸出機1において磁気カードを使用してメダルの払い出しを行う場合であっても、複数の遊技者が円滑に共用することが可能となり、しかもそのために隔台用としての利点が相殺されてしまうこともない。また、有効な金額情報を記憶した磁気カードのみならず、高額紙幣によるメダル払い出しにも対応し得るので、複数の遊技者に共用される場合に、当該共用を好適に行い得るものとしつつ、各遊技者にとっての利便性向上を図ることができ、しかもそのために装置構成の複雑化や大型化等を招くこともない。
【0041】
さらに、第二の処理動作例では、カードR/W3bによる磁気カードへの残高情報の書き込みが完了すると(図7におけるS208)、当該残高情報の書き込み後の磁気カードを記憶媒体挿入口3aから排出するようになっている(図7におけるS209)。つまり、カードR/W3bによる磁気カードへの残高情報の書き込み完了のみを当該磁気カードの排出トリガとし、メダル払出機構4dによるメダルの払い出し完了については当該磁気カードの排出トリガとはしない。したがって、例えば最小単位分のメダルの払い出し中であっても磁気カードの排出を行うことが可能となり、当該排出の迅速化、すなわちある遊技者による占用状態からの解放の迅速化が図れる。
【0042】
〔第三の処理動作例〕
ここで説明する第三の処理動作例では、磁気カードの排出トリガが、上述した第一の処理動作例または第二の処理動作例の場合とは異なる。なお、排出トリガ以外については、第一の処理動作例または第二の処理動作例の場合と同様に行えばよい。
【0043】
第三の処理動作例では、制御部6が、上位機との情報授受を行う通信手段として機能する。すなわち、制御部6は、メダル貸出機1の上位機となる管理サーバ等との間で、各種情報の授受を行う。
そして、制御部6は、最小単位分のメダルの払い出し後における残高情報(具体的には内部データ)について、上位機となる管理サーバ等との情報授受を完了すると、当該残高情報の書き込み後の磁気カードを記憶媒体挿入口3aから排出するように、カードR/W3bに対して動作指示(カード排出指示)を与える。つまり、メダル貸出機1の上位機である管理サーバ等との情報授受完了を、磁気カードの排出トリガとするのである。
【0044】
このように、第三の処理動作例では、上位機との情報授受完了を磁気カードの排出トリガとするので、磁気カードの排出する時点で既に必要な情報(金額情報やその他の情報等)が上位機へ送られて当該上位機で管理されることになる。したがって、例えば情報の二重保持(バックアップ)を通じて、当該情報の損傷等のトラブルへの対応の容易化および適切化が図れる。また、上位機との情報授受が完了すれば、例えば最小単位分のメダルの払い出し中であっても磁気カードの排出を行うことが可能となるので、ある遊技者による占用状態からの解放の迅速化が図れるようにもなる。
【0045】
〔応用例の説明〕
次に、以上のようなメダル貸出機1の応用例(変形例)について説明する。
ここでは、上述したような隔台用として使用される場合の他に、一つのパチスロ機に対応して一つのメダル貸出機が設けられて使用される場合、すなわちいわゆる全台用として使用される場合にも対応可能である例について説明する。
【0046】
ここで、先ず、全台用として使用される場合の処理動作例、特に制御部6による動作制御例を説明する。
【0047】
図8は、全台用として使用される場合の処理動作例を示すフローチャートである。
図例のように、全台用として使用される場合に、制御部6は、既に内部データとして保存している残高金額があるか否かを判断する(S301)。残高金額がない場合に、紙幣投入口2aへの紙幣投入があると(S302)、制御部6は、ビルバリ2bから金種識別結果を受け取って、その紙幣金額を内部データとして所定記憶領域内に保存しておく(S303)。また、記憶媒体挿入口3aに残高のある磁気カードの挿入があった場合には(S304)、制御部6は、カードR/W3bから読み出し情報(カードに記憶されている残高金額)を受け取って、そのカード情報(残高金額)を内部データとして所定記憶領域内に保存しておく(S305)。
【0048】
そして、既に内部データとして保存している残高金額がある場合、もしくは、記憶媒体挿入口3aに挿入された磁気カードから読み取った残高金額を内部データとして保存した場合に、遊技者によりメダル貸出スイッチ3cの押下があると(S306)、または、紙幣投入口2aへの紙幣投入があり、その紙幣金額を内部データとして保存すると(S303)、その後、制御部6は、保存した状態の内部データから最小単位相当額である1回分の払出金額を減算する(S307)。さらに、制御部6は、メダル処理部4のメダル払出機構4dに対して動作指示(駆動信号等)を与えて、当該メダル払出機構4dに最小単位分のメダル払い出しを開始させる(S308)。つまり、制御部6は、紙幣投入口2aへの高額紙幣の投入があるか、または内部データとして保存された有効な金額情報が存在している状態でメダル貸出スイッチ3cの押下があると、メダル払出機構4dに最小単位分のメダルの払い出しを行わせる。
【0049】
その後、制御部6は、メダル払出機構4dからメダル払い出しを正常終了した旨の情報通知を受けると、1回分のメダル払い出しが終了したと判断する(S309)。そして、制御部6は、内部データの残高があるか否か、すなわち減算後の内部データが「0」でないか否かを判断し(S310)、残高があればその残高分をそのまま内部データとして保存しておく状態を継続するが、残高がなければ挿入された状態にある磁気カードについてメダル貸出機1の装置内への回収を行う(S311)。
【0050】
また、内部データとして保存している残高金額がある場合に、メダル貸出スイッチ3cではなく、カード返却スイッチ3dが遊技者によって押下されると(S312)、制御部6は、その残高、すなわち内部データとして保存されている金額情報について、記憶媒体挿入口3aから挿入された状態にある磁気カードに上書きして、当該磁気カード内における金額情報を更新するように、カードR/W3bに対して動作指示(情報書き込み指示)を与える(S313)。また、記憶媒体挿入口3aに磁気カードが挿入されておらず、紙幣投入口2aへの高額紙幣の投入に応じてメダルの払い出しを行った場合であれば、制御部6は、記憶媒体処理部3のカード保管庫から磁気カードを取り出し、その取り出した磁気カードに対してカードR/W3bが残高分の情報書き込みを行うように、動作指示を与える(S313)。そして、制御部6は、磁気カード内の金額情報を更新した後に、当該磁気カードを記憶媒体挿入口3aから排出するように、カードR/W3bに対して動作指示(カード排出指示)を与える。これにより、記憶媒体挿入口3aからは、金額情報が更新された磁気カードが、遊技者に対して返却されることになる(S314)。
【0051】
制御部6は、既に説明した隔台用として使用される場合の動作制御処理(上述した第一〜第三の処理動作例のいずれか)の他に、以上のような全台用として使用される場合の動作制御処理も行い得るようになっている。それぞれの動作制御処理を行うためには、それぞれに対応した動作プログラムを予め保持しておき、各動作プログラムのいずれかを選択的に実行すればよい。つまり、制御部6は、二つのパチスロ機の遊技者に共用される場合に実行する動作制御処理の他に、各パチスロ機の遊技者のそれぞれに個別に用いられる場合に実行する動作制御処理を行い得るように構成されているものとする。
【0052】
隔台用対応と全台用対応とのどちらの動作制御処理を実行するかは、メダル貸出機1の装置起動時やリセット操作時等といった所定タイミングで、制御部6が以下に述べるような設定確認動作を行うことで選択すればよい。
【0053】
図9は、設定確認動作の一例を示すフローチャートである。
図例のように、設定確認動作にあたり、制御部6は、先ず、メダル貸出機1の上位機となる管理サーバ等との間の通信が正常に行われているか否かを判断する(S401)。そして、正常である場合には、上位機からの動作設定を優先する。すなわち、制御部6は、上位機との情報授受を通じて当該上位機に設定内容を問い合わせ、当該上位機から指示される動作設定が全台用対応であるか、あるいは隔台用対応であるかを判断する(S402)。その結果、全台用対応であれば、制御部6は、それ以降、全台用対応の動作プログラムを実行することによって、一連のメダル払い出し動作を遂行するが(S403)、隔台用対応であれば、隔台用対応の動作プログラムを実行することによって、一連のメダル払い出し動作を遂行する(S404)。
一方、上位機との通信に異常がある場合には、制御部6のディップスイッチ6aによる動作設定を優先する。すなわち、制御部6は、ディップスイッチ6aによる動作設定が全台用対応であるか、あるいは隔台用対応であるかを判断する(S405)。その結果、全台用対応であれば、制御部6は、それ以降、全台用対応の動作プログラムを実行することによって、一連のメダル払い出し動作を遂行するが(S406)、隔台用対応であれば、隔台用対応の動作プログラムを実行することによって、一連のメダル払い出し動作を遂行する(S407)。
【0054】
ただし、設定確認動作は、以上に述べた例に限定されるものではない。他の例としては、上位機からの動作設定とディップスイッチ6aによる動作設定とが一致の場合にのみ当該動作設定を有効とする、というものが考えられる。すなわち、それぞれが一致すれば、その一致する仕様に切り換えて、一連のメダル払い出し動作を行うようにするが、それぞれが一致しない場合には、設定異常と判断して、メダル貸出機1全体の動作を停止させる。また、一致しない場合でも、その要因が通信異常によるものであれば、ディップスイッチ6aのみの設定で、隔台用対応と全台用対応とのどちらの動作制御処理を実行するか選択するようにしても構わない。
【0055】
以上のように、制御部6が隔台用対応と全台用対応とのどちらの動作制御処理も行い得るように構成されている場合には、どちらの動作制御処理を実行するかを切り換える切り換え手段としての機能が、制御部6自身に、または制御部6と通信可能な上位機に、設けられるものとする。そして、その切り換え手段としての機能による切り換え、すなわちどちらの動作制御処理を実行するかの選択を通じて、メダル貸出機1は、複数の遊技者に共用される場合と各遊技者のそれぞれに個別に用いられる場合とのいずれにも対応し得るようになる。したがって、かかる構成を備えていれば、隔台用のメダル貸出機のみならず、従来の主流である全台用のメダル貸出機としてもそのまま使用することが可能である。つまり、隔台用と全台用とでモジュール共通化の実現が可能となり、高い汎用性を確保する上で非常に好適である。
【0056】
なお、以上に説明した実施形態では、本発明の好適な実施具体例を例に挙げて説明したが、本発明はその内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、本実施形態では、遊技媒体貸出機として、遊技媒体の一例であるメダルの貸し出しを行うメダル貸出機を例に挙げたが、パチンコ機で使用されるパチンコ玉の貸し出しを行う玉貸出機についても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
また、例えば、本実施形態では、二つのパチスロ機に挟持されて各パチスロ機の利用者に共用される隔台用のメダル貸出機を例に挙げたが、三台以上の遊技機の利用者に共用される場合であっても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】メダル貸出機の概略構成例を示す説明図であり、(a)は正面から見た構成例を示す図、(b)は側面から見た構成例を示す図である。
【図2】メダル貸出機の外観を示す正面図であり、(a)はその一例を示す図、(b)は他の例を示す図である。
【図3】メダル貸出機の要部である紙幣処理部の構成例を示す説明図であり、(a)は正面から見た構成例を示す図、(b)は側面から見た構成例を示す図である。
【図4】メダル貸出機の要部である記憶媒体処理部の構成例を示す説明図であり、(a)は側面から見た構成例を示す図、(b)は正面から見た構成例を示す図である。
【図5】メダル貸出機の機能構成例を示すブロック図である。
【図6】隔台用として使用されるメダル貸出機における第一の処理動作例を示すフローチャートである。
【図7】隔台用として使用されるメダル貸出機における第二の処理動作例を示すフローチャートである。
【図8】全台用として使用されるメダル貸出機における処理動作例を示すフローチャートである。
【図9】隔台用と全台用との切り換えについての設定確認動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1…メダル貸出機、2…紙幣処理部、2a…紙幣投入口、2b…ビルバリ、3…記憶媒体処理部、3a…記憶媒体挿入口、3b…カードR/W、4…メダル処理部、4d…メダル払出機構、6…制御部、6a…ディップスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の遊技機に対応して設けられ各遊技機の利用者に共用される遊技媒体貸出機であって、
遊技価値に関する情報を含む取引情報を記憶する情報記憶媒体が挿入される記憶媒体挿入口と、
前記記憶媒体挿入口に挿入された情報記憶媒体からの情報読み出しおよび当該情報記憶媒体への情報書き込みを行う情報リードライト手段と、
前記遊技機で利用する遊技媒体を所定単位毎に払い出す遊技媒体払出手段と、
前記記憶媒体挿入口に挿入された情報記憶媒体から前記情報リードライト手段が有効な遊技価値に関する情報を読み出すと、前記遊技媒体払出手段に最小単位の遊技媒体の払い出しを行わせるとともに、読み出した遊技価値から前記最小単位の遊技媒体相当分を差し引いた後に当該遊技価値の残りがあると、当該残りについての情報書き込みを前記情報リードライト手段に行わせて前記情報記憶媒体における記憶情報を更新し、その記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させる動作制御手段と
を備えることを特徴とする遊技媒体貸出機。
【請求項2】
紙幣が投入される紙幣投入口と、
情報未記憶の情報記憶媒体を保持する媒体保持手段とを備え、
前記動作制御手段は、前記紙幣投入口への高額紙幣の投入があると前記遊技媒体払出手段に最小単位の遊技媒体の払い出しを行わせるとともに、前記紙幣投入口への投入額から前記最小単位の遊技媒体分を差し引いた額に相当する遊技価値について前記媒体保持手段が保持する情報記憶媒体への情報書き込みを前記情報リードライト手段に行わせ当該情報書き込み後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させる
ことを特徴とする請求項1記載の遊技媒体貸出機。
【請求項3】
前記動作制御手段は、前記遊技媒体払出手段による遊技媒体の払い出しが完了し、かつ、前記情報リードライト手段での情報書き込みによる前記情報記憶媒体の記憶情報更新が完了すると、当該記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出機。
【請求項4】
前記動作制御手段は、前記情報リードライト手段での情報書き込みによる前記情報記憶媒体の記憶情報更新が完了すると、当該記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出機。
【請求項5】
前記情報記憶媒体における記憶情報を管理する上位機との情報授受を行う通信手段を備えるとともに、
前記動作制御手段は、前記最小単位の遊技媒体相当分を差し引いた後の前記遊技価値の残り分について前記通信手段が前記上位機との情報授受を完了すると、当該残り分に基づく記憶情報更新後の情報記憶媒体を前記記憶媒体挿入口から排出させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出機。
【請求項6】
前記動作制御手段は、前記複数台の遊技機の利用者に共用される場合に実行する動作制御処理の他に、各遊技機の利用者のそれぞれに個別に用いられる場合に実行する動作制御処理を行い得るように構成されているとともに、
前記動作制御手段がどちらの動作制御処理を実行するかを切り換える切り換え手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の遊技媒体貸出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−112541(P2009−112541A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289191(P2007−289191)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000128485)株式会社オーイズミ (191)
【Fターム(参考)】