説明

遊技機

【課題】ボーナスゲーム中のメダル払出枚数が規定数に達した場合にボーナスゲームを終了させるよう構成した場合における遊技者の混乱を防止する。
【解決手段】スロットマシン10に設けられたスタートレバー71が操作されると、表示窓31L,31M,31Rを介して視認可能なリール42L,42M,42Rが回転を開始する。そして、ストップスイッチ72〜74が操作されると、各スイッチ72〜74に対応したリール42L,42M,42Rが停止する。リール停止時にボーナス図柄が有効ライン上に成立するとボーナスゲームが発生する。当該ボーナスゲーム中のメダル払出枚数が規定数に達するとビッグボーナスゲームが終了する。この場合、メダル払出枚数が確認できるようそれに関連する表示を補助表示部15にて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リール等の無端状ベルトを回転させたあとに停止させる遊技機としては、例えばスロットマシンがある。スロットマシンでは、リールの外周部に複数の図柄が付与されており、表示窓を通じてリールに付与された図柄の一部が視認可能な構成となっている。そして遊技者がメダルを投入してスタートレバーを操作することでリールが回転を開始し、ストップスイッチを操作したりすることでリールが停止する。また、スロットマシンの内部ではメダルの投入とスタートレバーの操作を条件として抽選を行っており、抽選の結果が当選であり且つ予め設定された有効ライン上に当選となった図柄が停止されることを条件として、停止図柄に対応する予め定められた枚数のメダルが払い出されたり、ビッグボーナスゲームと称される遊技者に有利な特別遊技状態が発生するなどの特典が付与される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、上記特別遊技状態は、内部抽選によりその状態を発生させる旨の当選結果が得られた上で、例えば777といった第1特定図柄の組合せが有効ライン上に停止することを条件として発生する。特別遊技状態は、例えば30ゲームが終了するまで又はその前にジャックゲームと称されるボーナス状態が例えば3回終了するまでのいずれかの条件を満たすまで継続される。また、ボーナス状態は例えば12ゲームが終了するまで又はその前にジャック図柄と称される第2特定絵柄の組合せが有効ライン上に例えば8回揃うまでのいずれかの条件を満たすまで継続される。そして、上記第2特定絵柄の組合せが有効ライン上に揃うことによって例えば15枚のメダルが払い出される。このような特別遊技状態の進行によって、遊技者は一度に多くのメダルを獲得することができる。
【0004】
ところが、スロットマシンでは遊技者の技量に応じてリールの停止タイミングが図られるものであり、熟練した遊技者などでは一度の特別遊技状態の発生によって過度に多くのメダルを獲得する場合もあるため、遊技ホールとしては遊技者の技術介入の程度が大きいことによる損害が大きくなる。また、そのようなメダルの大量獲得が可能な遊技機では遊技者に射幸心を煽る結果となり、健全な遊技の域を脱してしまうおそれもある。
【0005】
一方、上記の不都合を解消すべく、遊技者の技量レベルにかかわらず特別遊技状態中において一定の操作をしていれば誰でも同一数又はほぼ同一数のメダルを獲得できるとすると、遊技者の技術介入の余地がなくなってしまい、遊技の興趣低下を招きかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−174739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題を解消すべく、本発明者らは、特別遊技状態中における遊技者による技術介入の余地を残しつつ、遊技ホールにとっても多大な損害が発生せず遊技者の射幸心を過度に煽ることのないように、一度の特別遊技状態によって払い出される最大数を制限することが最善の策の1つとして考えるに至った。払出数を制限しておけば、その範囲内において技術介入の余地を残すことができるし、メダル大量獲得という結果を回避できるからである。
【0008】
しかしながら、特別遊技状態の中途において上記制限された払出数に達した場合に、突如として特別遊技状態が終了するのでは、遊技者にとっては何故終了したのかが理解できず、遊技者が混乱してしまうという新たな問題が発生すると想定される。
【0009】
なお、以上の問題はスロットマシンに限らず、複数の無端状ベルトを回転させ、その後遊技者の操作に基づいて無端状ベルトの回転を停止させるよう構成され、かつ上記の如き特別遊技状態を発生させるよう構成された他の遊技機にも該当する問題であり、遊技媒体としてはメダルに限らず球を使用したものであっても同様の問題がある。
【0010】
本発明は上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、特別遊技状態中における技術介入の余地を残しつつ当該特別遊技状態中において遊技者に払い出される遊技媒体数を制限して遊技ホールに多大な損害が発生しないようにした上、中途で特別遊技状態が終了しても遊技者が混乱することなく安心して遊技を行うことができるようにすることを解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、複数種の絵柄が周方向に付された複数の無端状ベルトと、
前記各無端状ベルトについて各絵柄のうち一部の絵柄を視認可能とする表示窓と、
前記各無端状ベルトの回転を開始させるべく操作される始動操作手段と、
前記各無端状ベルト毎に設けられ、該各無端状ベルトを回転させる駆動手段と、
前記各無端状ベルトの回転を停止させるべく操作される停止操作手段と、
前記始動操作手段の操作に基づいて前記各無端状ベルトの回転を開始させ、前記停止操作手段の操作に基づいて前記各無端状ベルトの回転を停止させるように、前記各駆動手段を駆動制御する駆動制御手段と、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置に前記絵柄によって形成される絵柄又は絵柄の組合せに基づいて成立した役に基づき、予め設定した数の遊技媒体を払い出す払出装置と
を備え、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置に前記絵柄によって形成される特定絵柄の組合せが成立していることを条件として、所定ゲーム数が終了するまで継続する特別遊技状態を付与するように構成された遊技機において、
特別遊技状態中に前記払出装置によって払い出される遊技媒体数が予め定めた規定数に達すると前記所定ゲーム数が終了する前に特別遊技状態を終了させる特別遊技終了手段と、
遊技者に対して遊技に関する情報を報知する報知手段と、
前記特別遊技状態が発生すると前記報知手段を制御して前記規定数を報知させる報知制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
特別遊技状態中における技術介入の余地を残しつつ当該特別遊技状態中において遊技者に払い出される遊技媒体数を制限して遊技ホールに多大な損害が発生しないようにした上、中途で特別遊技状態が終了しても遊技者が混乱することなく安心して遊技を行うことができるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施の形態におけるスロットマシンの正面図。
【図2】前面扉を閉じた状態を示すスロットマシンの斜視図。
【図3】前面扉を開いた状態を示すスロットマシンの斜視図。
【図4】前面扉の背面図。
【図5】筐体の正面図。
【図6】左リールの組立斜視図。
【図7】各リールを構成する帯状ベルトの展開図。
【図8】スロットマシンのブロック回路図。
【図9】NMI割込み処理を示すフローチャート。
【図10】タイマ割込み処理を示すフローチャート。
【図11】停電時処理を示すフローチャート。
【図12】メイン処理を示すフローチャート。
【図13】通常処理を示すフローチャート。
【図14】抽選処理を示すフローチャート。
【図15】リール制御処理を示すフローチャート。
【図16】メダル払出処理を示すフローチャート。
【図17】特別遊技状態処理を示すフローチャート。
【図18】ボーナス図柄判定処理を示すフローチャート。
【図19】RBゲーム初期設定処理時のカウンタ設定を示す説明図。
【図20】(a)はBBゲーム初期設定処理時のカウンタ設定を示す説明図、(b) はBBゲーム中JACゲーム初期設定処理時のカウンタ設定を示す説明図。
【図21】払出枚数調整処理を示すフローチャート。
【図22】BBゲーム中の一実施態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、本実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0015】
手段1.複数種の絵柄(図柄)が周方向に付された複数の無端状ベルト(リール42L,42M,42R)と、
前記各無端状ベルトについて各絵柄のうち一部の絵柄を視認可能とする表示窓(表示窓31L,31M,31R)と、
前記各無端状ベルトの回転を開始させるべく操作される始動操作手段(スタートレバー71)と、
前記各無端状ベルト毎に設けられ、該各無端状ベルトを回転させる駆動手段(ステッピングモータ61)と、
前記各無端状ベルトの回転を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップスイッチ72〜74)と、
前記始動操作手段の操作に基づいて前記各無端状ベルトの回転を開始させ、前記停止操作手段の操作に基づいて前記各無端状ベルトの回転を停止させるように、前記各駆動手段を駆動制御する駆動制御手段(主制御装置131)と、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置(有効ライン)に前記絵柄によって形成される絵柄又は絵柄の組合せに基づいて、予め設定した数の遊技媒体(遊技メダル)を払い出す払出装置(ホッパ装置91、主制御装置131、残数表示部35)と
を備え、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置に前記絵柄によって形成される特定絵柄の組合せ(ビッグボーナス図柄)が成立していることを条件として、所定ゲーム数が終了するまで継続する特別遊技状態(ビッグボーナスゲーム)を付与するように構成された遊技機において、
特別遊技状態中に前記払出装置によって払い出される遊技媒体数が予め定めた規定数(残払出枚数カウンタの最大値)に達すると前記所定ゲーム数が終了する前に特別遊技状態を終了させる特別遊技終了手段(主制御装置131)と、
遊技者に対して遊技に関する情報を報知する報知手段(補助表示部15)と、
前記特別遊技状態が発生すると前記報知手段を制御して前記規定数を報知させる報知制御手段(主制御装置131、表示制御装置130)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0016】
手段1によれば、特別遊技状態は最大で所定ゲーム数だけ継続するが、払出装置によって払い出される遊技媒体数が予め定めた規定数に達すると、特別遊技終了手段によって前記所定ゲーム数が終了する前に特別遊技状態が終了させられる。その結果、特別遊技状態中における技術介入の余地を残しつつ当該特別遊技状態中において遊技者に払い出される遊技媒体数を制限して遊技ホールに多大な損害が発生しないようにすることができる。また、報知制御手段の制御下で報知手段によって前記規定数が報知されるので、遊技者はその規定数分の払出を受けると特別遊技状態が終了することを理解できる。その結果、所定ゲーム数を消化する前に特別遊技状態が終了しても遊技者が混乱することなく安心して遊技を行うことができる。なお、払出装置による遊技媒体の払い出しは、現実の即ち物理的な遊技媒体そのものを払い出すものの他、仮想的な即ちデータ処理によって払い出したものとみなすもの(いわゆるクレジット)も含む。
【0017】
手段2.手段1において、前記特別遊技状態は、第1ゲーム数(30ゲーム)が終了するか又はその間にボーナス状態が第1回数(3回)行われるまで継続するとともに、前記ボーナス状態が第2ゲーム数(12ゲーム)が終了するか又はその間に第2特定絵柄(JAC図柄)が停止する入賞が第2回数(8回)行われるまで継続するものとして構成されていることを特徴とする遊技機。
【0018】
手段2は、特別遊技状態としての代表的な遊技形態を示したものである。手段1においては、特別遊技状態が最大で所定ゲーム数継続する旨特定したが、その所定ゲーム数に対応する手段2におけるゲーム数は上記第1ゲーム数である。
【0019】
手段3.手段1又は手段2において、前記所定ゲーム数(第1ゲーム数)におけるゲーム中は、遊技媒体が払い出される絵柄が成立する確率が、特別遊技状態ではない通常遊技状態中と比べて変更される確率変更手段(主制御装置131)を備えていることを特徴とする遊技機。
【0020】
手段3によれば、特別遊技状態中には、遊技媒体が払い出される絵柄(いわゆる小役絵柄)が成立する確率が通常遊技状態中とは異なるものに変更される。そして、所定の絵柄が成立し易くなるように成立確率が変更されることによって、特別遊技状態中にその所定の絵柄が成立し易くなり、これが例えば無端状ベルトの停止タイミングによって実際に有効位置に停止されたり停止されなかったりするとすれば、遊技者の技術介入の余地が生じることとなる。
【0021】
手段4.手段1乃至手段3のいずれかにおいて、前記報知制御手段は、前記特別遊技状態が発生すると前記報知手段によって前記規定数を報知させるとともに、特別遊技状態中に前記払出装置によって払い出される払出数を前記規定数から減算した上、その減算後の値を前記報知手段によって報知させるよう、前記報知手段を制御することを特徴とする遊技機。
【0022】
手段4によれば、報知手段では、特別遊技状態が終了する条件である規定数が単に報知されるのではなく、払出装置によって払い出された遊技媒体数を考慮して、減算値が報知されるようにしているので、遊技者は後どれだけの遊技媒体が払い出されると特別遊技状態が終了するのかを容易に認識することができる。なお、本手段及び手段1において、報知手段は、遊技者による確認の容易性を考慮して、表示装置によって構成し視覚に訴えるものとすることが好ましい。
【0023】
また、各ゲームの開始条件として所定数の遊技媒体の投入が条件となっている場合には、遊技者が特別遊技状態で最終的に獲得する遊技媒体数は、払出装置によって払い出された遊技媒体数からゲーム開始のために使用した遊技媒体数を差し引いたものであるため、上記した減算値が獲得媒体数と等しくはならない。従って、遊技者が特別遊技状態中に実際に獲得した遊技媒体数を逐次加算して表示させるようにしておくことで、獲得遊技媒体数をも把握させることができる。しかも、獲得遊技媒体数は遊技媒体払出に伴って加算されていくものであり、上記減算値は遊技媒体払出に伴って減算されていくものであるため、両者の違いが明瞭となって遊技者の混乱も生じさせない。
【0024】
手段5.手段1乃至手段4のいずれかにおいて、前記規定数は、特別遊技状態中において最大でどれだけの遊技媒体数を払出装置から払い出すかの予定した上限値(480枚)から、特別遊技状態中において1ゲームで獲得できる最大数(15枚=特別遊技状態中に有効位置に成立し得る小役の獲得枚数のうち最大値)を減算して求めた値(465枚)であることを特徴とする遊技機。
【0025】
手段5によれば、予定した上限値から1ゲームで獲得できる最大数を減算して規定数を設定することにより、規定数に至る直前のどこで遊技媒体の払い出しが発生しても、最大数を越えることがなくなり、一度の特別遊技状態において払い出される遊技媒体数を確実に予定した最大数以下に抑えることができる。その結果、遊技機の検査においても、最大数を確定した上で行うことができるので、検査業務が容易になる。
【0026】
手段6.上記手段1乃至手段5のいずれかにおいて、前記特別遊技状態を発生させるか否かを内部抽選する抽選手段を備え、その抽選手段により当選されたことを条件として、前記有効位置に前記特定絵柄の組合せで停止させることを許容するよう制御されるものであることを特徴とする遊技機。
【0027】
手段6によれば、抽選の結果当選することを前提条件として特別遊技状態が発生するものであるため、特別遊技状態発生にランダム性が付与される。なお、抽選手段による抽選は始動操作手段の始動操作タイミングで行うようにすれば、各ゲームにおける抽選のきっかけを始動操作に委ねることができる。
【0028】
手段7.複数種の絵柄が周方向に付された複数の無端状ベルトと、
前記各無端状ベルトについて各絵柄のうち一部の絵柄を視認可能とする表示窓と、
前記各無端状ベルトの回転を開始させるべく操作される始動操作手段と、
前記各無端状ベルト毎に設けられ、該各無端状ベルトを回転させる駆動手段と、
前記各無端状ベルトの回転を停止させるべく操作される停止操作手段と、
遊技媒体の投入を検出する投入検出手段(投入メダル検出センサ75a、クレジット投入検出センサ77a〜79a、主制御装置131)と、
前記投入検出手段によって1ゲームに必要な予め定めた数(1〜3枚)の遊技媒体が投入されたことが検出されるとともに前記始動操作手段の操作があることを条件として前記各無端状ベルトの回転を開始させ、前記停止操作手段の操作があるか又は予め定めた所定時間(30秒)が経過することを条件として前記各無端状ベルトの回転を停止させるように、前記各駆動手段を駆動制御する駆動制御手段と、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置に前記絵柄によって形成される絵柄又は絵柄の組合せに基づいて成立した役に基づき、予め設定した数の遊技媒体を払い出す払出装置と
を備え、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置に前記絵柄によって形成される特定絵柄の組合せが成立していることを条件として、所定ゲーム数が終了するまで継続する特別遊技状態を付与するように構成された遊技機において、
特別遊技状態中に前記払出装置によって払い出される遊技媒体数が予め定めた規定数に達すると前記所定ゲーム数が終了する前に特別遊技状態を終了させる特別遊技終了手段と、
遊技者に対して遊技に関する情報を報知する報知手段と、
前記特別遊技状態が発生すると前記報知手段を制御して前記規定数を報知させるとともに、前記所定ゲーム数が終了する前に前記規定数に達した場合には前記報知手段を制御して遊技者に対して祝福メッセージを報知させる報知制御手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0029】
手段7によれば、特別遊技状態は最大で所定ゲーム数だけ継続するが、払出装置によって払い出される遊技媒体数が予め定めた規定数に達すると、特別遊技終了手段によって前記所定ゲーム数が終了する前に特別遊技状態が終了させられる。その結果、特別遊技状態中における技術介入の余地を残しつつ当該特別遊技状態中において遊技者に払い出される遊技媒体数を制限して遊技ホールに多大な損害が発生しないようにすることができる。また、報知制御手段の制御下で報知手段によって前記規定数が報知されるので、遊技者はその規定数分の払出を受けると特別遊技状態が終了することを理解できる。その結果、所定ゲーム数を消化する前に特別遊技状態が終了しても遊技者が混乱することなく安心して遊技を行うことができる。なお、払出装置による遊技媒体の払い出しは、現実の即ち物理的な遊技媒体そのものを払い出すものの他、仮想的な即ちデータ処理によって払い出したものとみなすもの(いわゆるクレジット)も含む。
ここで、各ゲームの進行には所定数の遊技媒体が必要になることから、特別遊技状態を前記した所定ゲーム数よりも前に終了させることができれば、ゲーム開始のために使用する遊技媒体数を低減させることができ、仮に払出装置によって払い出される遊技媒体数が同一であったとしても、遊技者からみれば獲得遊技媒体数が若干ながら増加する。従って、前記規定数を特別遊技状態の終了条件とした場合には、なるべく少ないゲーム数で早期に規定数に達して特別遊技状態を終了させることが遊技者にとって利益に繋がるものである。ところが、一般には特別遊技状態が早期に終了することが遊技者にとって有益なものとは考えられない可能性がある。そこで、本手段7のように、報知手段によって祝福メッセージを報知させることで、その意義を理解させることができる。なお、以上説明した手段2乃至手段6の発想を本手段に適用することは当然に可能である。
【0030】
なお、以上の各手段を適用し得る遊技機としては、スロットマシン又はそれに類する遊技機の他、「複数の絵柄からなる絵柄列(具体的には図柄が付されたリール)を変動表示(具体的にはリールの回動)した後に絵柄列を確定停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して絵柄の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して又は所定時間経過することにより絵柄の変動が停止され、その停止時の確定絵柄が特定絵柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)の発生等の特典を付与するようにし、さらに、球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。」といったスロットマシンとパチンコ機とが融合したタイプの遊技機なども挙げられる。
【0031】
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。
【0032】
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a〜11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂製パネル又は金属製パネルによって構成してもよいし、合成樹脂材料又は金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
【0033】
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
【0034】
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
【0035】
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。なお、本実施の形態では、キーシリンダ20として、不正解錠防止機能の高いオムロック(商標名)が用いられている。連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動される。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動されることにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
【0036】
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
【0037】
図3に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
【0038】
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61L,61M,61Rに連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。これら各リール42L,42M,42Rは同様の構成をしているため、ここでは左リール42Lを例に挙げて図6に基づいて説明する。なお、図6は左リール42Lの組立斜視図である。
【0039】
左リール42Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール42Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
【0040】
左リール用ステッピングモータ61Lは、リールユニット41(図3)内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール42Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール42Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール42Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
【0041】
ステッピングモータ61Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61Lの回転位置、すなわち左リール42Lの回転位置が制御される。
【0042】
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31Lから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を露出窓31Lから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
【0043】
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
【0044】
ここで、各リール42L,42M,42Rに付される図柄について説明する。図7には、左リール42L,中リール42M,右リール42Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール42L,42M,42Rにはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。各リール42L,42M,42Rに対応して番号が1〜21まで付されているが、これは説明の便宜上付したものであり、リール42L,42M,42Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
【0045】
図柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別図柄としての「7」図柄(例えば、左ベルト第20番目)と「青年」図柄(例えば、左ベルト19番目)とがある。また、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別図柄としての「BAR」図柄(例えば、左ベルト第14番目)がある。また、リプレイゲームに移行するための第3特別図柄としての「リプレイ」図柄(例えば、左ベルト第11番目)がある。また、小役の払出が行われる小役図柄としての「スイカ」図柄(例えば、左ベルト第9番目)、「ベル」図柄(例えば、左ベルト第8番目)、「チェリー」図柄(例えば、左ベルト第4番目)がある。そして、図7に示すように、各リール42L,42M,42Rに巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
【0046】
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を可変表示する可変表示手段の一例であり、主表示部を構成する。但し、可変表示手段はこれ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を可変表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
【0047】
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められた遊技メダル(以下、「メダル」ともいう)を払い出す処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
【0048】
ここで、入賞となった場合の各図柄に関する払出枚数について説明する。小役図柄に関し、「スイカ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、「ベル」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には12枚のメダル払出、左リール42Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダル払出が行われる。即ち、中リール42M及び右リール42Rの「チェリー」図柄はメダル払出と無関係である。また、「チェリー」図柄に限っては、他の図柄との組合せとは無関係にメダル払出が行われるため、左リール42Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われることとなり、結果として本実施の形態では4枚のメダル払出が行われる。
【0049】
また、その他の図柄に関しては、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せである「7」図柄又は「青年」図柄が同一図柄にて有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せである「BAR」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にも15枚のメダル払出が行われる。なお、本実施形態においては、例えば「7」図柄と「チェリー」図柄とが同時に成立する場合が生じ得るが、かかる場合におけるメダル払出は15枚である。これは、1回のメダル払出における上限枚数が15枚に設定されているためである。
【0050】
更に、第3特別図柄の組合せである「リプレイ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われない。その他の場合、即ち有効ライン上に左リール42Lの「チェリー」図柄が停止せず、また有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合には、一切メダル払出は行われない。
【0051】
遊技パネル30の下方左側には、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー52が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
【0052】
スタートレバー71の右側には、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、各リール42L,42M,42Rが定速回転となると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
【0053】
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、投資価値を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
【0054】
メダル投入口75から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ84によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。すなわち、セレクタ84にはメダル通路切替ソレノイド83が設けられ、そのメダル通路切替ソレノイド83の非励磁時には排出用通路82側とされ、励磁時には貯留用通路81側に切り替えられるようになっている。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。一方、排出用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返還される。
【0055】
メダルを遊技者に付与する払出手段としてのホッパ装置91は、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
【0056】
メダル投入口75の下方には、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ84内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ84が機械的に連動して動作され、当該セレクタ84内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
【0057】
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75とともに投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
【0058】
なお、第1クレジット投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できるメダル最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1クレジット投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、クレジットされた仮想メダルが存在しない場合や既に3枚のメダル投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させてメダル投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
【0059】
スタートレバー71の左側には、ボタン状の切換スイッチ80が設けられている。切換スイッチ80は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。切換スイッチ80は、メダル投入口75に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。
【0060】
切換スイッチ80がオン状態のときには、所定の最大値(例えばメダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルがクレジットメダルとして貯留記憶されるように設定された「クレジットモード」となる。切換スイッチ80がオフ状態のときには、余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを現実のメダルとして払い出すように設定された「ダイレクトモード」となる。なお、クレジットモードからダイレクトモードに切り換えられた際にクレジットメダルがある場合には、その分のクレジットメダルが現実のメダルとして払い出される。このように、遊技者はクレジットモードとダイレクトモードとを切り換えることにより自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ80は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。なお、切換スイッチ80の操作により「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り換えるように構成する他、常に「クレジットモード」としておき切換スイッチ80が操作されると貯留記憶された仮想メダルを払い出すだけの精算スイッチとして機能させてもよい。
【0061】
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得メダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35〜37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
【0062】
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。ダイレクトモード、クレジットモードのいずれのモードにおいても、遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
【0063】
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中央ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
【0064】
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときのモードがダイレクトモードであればセレクタ84により排出用通路82への切替がなされてメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。一方、クレジットモードであればスロットマシン内部に貯蓄されると共に残数表示部35に貯蓄枚数が表示される。この貯留枚数には上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
【0065】
また、クレジットモードにて遊技が行われ且つ残数表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
【0066】
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされ、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
【0067】
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えば残数表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、残数表示部35の数値が全てディクリメントされて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
【0068】
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に例えばビッグボーナスゲーム中に払出されたメダルの枚数等の情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の位置や数は特に以上説明したものに限られない。
【0069】
メダル受け皿18の上方には、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、メダル受け皿18の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿19が設けられている。
【0070】
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
【0071】
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
【0072】
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
【0073】
リールユニット41の上方には、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。なお、ボックスベースとボックスカバーとを鍵部材を用いて開封不能に連結する構成としてもよい。
【0074】
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図8のブロック図に基づいて説明する。
【0075】
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路154や、入出力ポート155などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。
【0076】
主制御装置131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ75a、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、切換スイッチ80の操作を検出する切換検出センサ80a、各リール42の回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサ55、ホッパ装置91から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ91a、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、設定キー挿入孔124に設定キーが挿入されたことを検出する設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポート155を介してCPU151へ出力されるようになっている。
【0077】
なお、投入メダル検出センサ75aは実際には複数個のセンサより構成されている。即ち、メダル投入口75からホッパ装置91に至る貯留用通路81は、メダルが1列で通行可能なように構成されている。そして、貯留用通路81には第1センサが設けられるとともに、それよりメダルの幅以上離れた下流側に第2センサ及び第3センサが近接(少なくとも一時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接)して設けられており、これら第1乃至第3の各センサによって投入メダル検出センサ75aが構成されている。主制御装置131は、第1センサから第2センサに至る時間を監視し、その経過時間が所定時間を越えた場合にはメダル詰まり又は不正があったものとみなしてエラーとする。エラーになると、エラー報知が行われるとともにエラー解除されるまでの遊技者による操作が無効化される。また、主制御装置131は第2センサと第3センサとがオンオフされる順序をも監視し、第2,第3センサが共にオフ、第2センサのみオン、第2,第3センサが共にオン、第3センサのみオン、第2,第3センサが共にオフという順序通りになった場合で、かつ各オンオフ切換に移行する時間が所定時間内である場合にのみメダルが正常に取り込まれたと判断し、それ以外の場合はエラーとする。このようにするのは、貯留用通路81でのメダル詰まりの他、メダルを投入メダル検出センサ75a付近で往復動させてメダル投入と誤認させる不正を防止するためである。
【0078】
また、主制御装置131の入力側には、入出力ポート155を介して電源装置161に設けられた停電監視回路161bが接続されている。電源装置161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。
【0079】
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151と入出力ポート155のそれぞれに供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
【0080】
電源部161aからは出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
【0081】
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、残数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、セレクタ84に設けられたメダル通路切替ソレノイド83、ホッパ装置91、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が入出力ポート155を介して接続されている。
【0082】
表示制御装置111は、上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に上部ランプ13、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜37を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
【0083】
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路や、クレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成され、図9以降に示される各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM152に記憶されている。
【0084】
RAM153は、スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源ボックス121内に設けられた電源装置161からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM153には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリアが設けられている。
【0085】
バックアップエリアは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、停電解消時(電源スイッチ122の操作による電源投入をも含む。以下同様)には、バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(図11参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図12参照)において実行される。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
【0086】
続いて、主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を図9〜図18のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
【0087】
図9はNMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bでは停電信号が生成され、主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では、NMI割込み処理が実行される。
【0088】
NMI割込み処理では、まずステップS101において、CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる。続いて、ステップS102では、停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする。その後、ステップS103にてRAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びCPU151の使用レジスタに復帰させる。この復帰処理でNMI割込み処理が終了する。なお、CPU151の使用レジスタのデータを破壊せずに停電フラグのセット処理が可能な場合には、バックアップエリアへの退避および復帰処理を省くことができる。
【0089】
図10は、主制御装置131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御装置131のCPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
【0090】
先ず、ステップS201に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる。ステップS202では停電フラグがセットされているか否かを確認し、停電フラグがセットされているときにはステップS203に進み、停電時処理を実行する。
【0091】
ここで、停電時処理について図11を用いて説明する。この停電時処理は、タイマ割込み処理のうち特にレジスタ退避処理の直後に行われるため、その他の割込み処理を中断することなく実行できる。従って、例えば各種コマンドの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み処理中などのように、それぞれの処理に割り込んでこの停電時処理が実行されることはなく、かかるタイミングで実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これにより停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。なお、このことは後述する復電時処理用の処理プログラムについても同様である。
【0092】
ステップS301では、コマンド送信が終了しているか否かを判定する。送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。このように停電時処理の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理終了後に停電時処理を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してROM152の小容量化を図ることができる実益を有する。
【0093】
ステップS301がYES、すなわちコマンドの送信が完了している場合には、ステップS302に進み、CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する。その後ステップS303では、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポート155における出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。ステップS304では、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する。RAM判定値とは、具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより、ステップS305においてそれ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。なお、例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤ってセットされる場合を考慮し、無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため、RAM153への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし、タイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば、そのまま無限ループに入る。
【0094】
なお、電源装置161の電源部161aは、上述したNMI割込み処理及び停電時処理を実行するのに十分な時間、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持されるように構成されている。本実施形態では、30msecの間、駆動電圧が出力され続けるようになっている。
【0095】
タイマ割込み処理の説明に戻り、ステップS202にて停電フラグがセットされていない場合には、ステップS204以降の各種処理を行う。
【0096】
すなわち、ステップS204では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS205では、CPU151自身に対して割込み許可を出す割込み終了宣言処理を行う。ステップS206では、各リール42L,42M,42Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61L〜61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS207では、入出力ポート155に接続された各種センサ(図8参照)の状態を監視するセンサ監視処理を行う。ステップS208では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ演算処理を行う。ステップS209では、メダルのベット数や、払い出し枚数をカウントした結果を外部集中端子板171へ出力するカウンタ処理を行う。
【0097】
ステップS210では、表示制御装置111へコマンドなどを送信するコマンド出力処理を行う。ステップS211では、残数表示部35、ゲーム数表示部36および獲得枚数表示部37にそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う。ステップS212では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部35〜37に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS213では、入出力ポート155からI/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS214では、先のステップS201にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU151内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS215にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
【0098】
図12は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
【0099】
先ずステップS401では、初期化処理として、スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。
【0100】
これらの初期化処理が終了すると、次にステップS402ではリセットスイッチ123がオン操作されているか否かを判定する。リセットスイッチ123がオン操作されている場合にはステップS403に進み、RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。
【0101】
ステップS402にてリセットスイッチが操作されていないことを確認した後、またはステップS403にてRAMクリア処理を行った後、ステップS404では設定キーが設定キー挿入孔124に挿入されているか否かを判定する。設定キーが挿入されている場合にはステップS405に進み設定変更処理を行う。設定変更処理として、先ずRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。そして、予め設定された6段階の設定状態(「設定1」〜「設定6」)のうちどの設定状態が選択されたかを判定した上で、選択された設定状態に応じた内部処理を実行する。
【0102】
ステップS406では停電フラグがセットされているか否かを確認する。停電フラグがセットされていない、すなわち先のステップS403又はステップS405にてRAM153のデータがクリアされている場合には、後述するステップS407の通常処理に進み、本処理を終了する。
【0103】
ステップS406において停電フラグがセットされた状態にあるときには、ステップS408以降に示す復電処理に移行する。停電フラグがセットされた状態にあるということは、ステップS403のRAMクリア処理、ステップS405の設定変更処理等のサブルーチン処理が全く実行されていないことを意味する。従って、RAM153のデータは全く書き替えられていないこととなり、復電処理ではRAM153のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要となる。
【0104】
そのためにまず、ステップS408ではRAM判定値が正常であるか否かを確認する。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合、RAM153のデータは正常であると判定する。
【0105】
ステップS408においてRAM判定値が異常である、つまりチェックサムの値が0でなかったときには、RAM153のデータが破壊された可能性が高い。そのため、このような場合にはステップS409にてエラー表示処理を行う。エラー表示処理として、先ず割込み処理を禁止し、入出力ポート155内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポート155に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に、リセットスイッチ123がON操作されるまでかかる状態を維持する。
【0106】
ステップS408においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップS410に進み、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。次に、ステップS411において、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する。その後、ステップS412にて遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い、ステップS413にてスタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う。以上の処理が終了した後、ステップS414にて停電フラグをリセットし、電源遮断前の番地に戻る。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS204)が実行されることとなる。
【0107】
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について図13のフローチャートに基づき説明する。
【0108】
先ずステップS501では、メダルがベットされているか否かを判定する。メダルがベットされているときには、続いてステップS502にてスタートレバー71が操作されたか否かを判定する。ステップS501,ステップS502が共にYESの場合には、ステップS503の抽選処理、ステップS504のリール制御処理、ステップS505のメダル払出処理、ステップS506の特別遊技状態処理を順に実行し、ステップS501に戻る。一方、ステップS501にてメダルがベットされていない、またはステップS502にてスタートレバー71が操作されていない場合には、ステップS501に戻る。
【0109】
次に、ステップS503の抽選処理について、図14のフローチャートに基づき説明する。
【0110】
ステップS601では、スロットマシン10の現在の設定状態や遊技状態、ベットされたメダルの枚数に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。ここで乱数テーブルについて概略を説明すると、本実施の形態では、ビッグボーナス及びレギュラーボーナスの当選確率が各設定状態における乱数テーブルにて異なるように形成されている。例えば、ビッグボーナスの当選確率は「設定1」の乱数テーブルでは約300分の1であり、「設定6」の乱数テーブルでは約240分の1である。かかる一方、その他の小役確率は前記各乱数テーブル共に同じ確率となるよう形成されている。例えば、「スイカ」図柄と対応する役には約80分の1で当選し、「ベル」図柄と対応する役には約12分の1で当選し、「チェリー」図柄と対応する役には約120分の1で当選し、「リプレイ」図柄と対応する役には約7分の1で当選する。また、ベットされたメダルの枚数は1〜3枚のいずれかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。さらに、遊技状態が後述するビッグボーナスゲーム状態やレギュラーボーナスゲーム状態であれば、各ボーナスゲームと対応する専用テーブルが選択される。
【0111】
ステップS602では、このようにして選択された乱数テーブルに、スタートレバー71が操作されたときに乱数カウンタよりラッチした乱数を照らして役の抽選を行う。そしてステップS603にていずれかの役に当選したか否かを判定し、いずれの役にも当選していない場合にはそのまま本処理を終了する。いずれかの役に当選した場合にはステップS604に進み、その役に応じた当選フラグをセットすると共に図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。続いてステップS605ではリール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納する。ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
【0112】
次に、ステップS504のリール制御処理について、図15のフローチャートに基づき説明する。
【0113】
リール制御処理では、先ずステップS701においてウエイト処理を行う。このウエイト処理は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。このため、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー71を操作したとしても、直ちに各リール42L,42M,42Rが回転しないことがある。ウエイト処理に続いてステップS702のリール回転処理を行い、各リール42L,42M,42Rを回転させる。その後、ステップS703に進み、ストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されてリールの停止指令が発生したか否かを判定する。停止指令が発生していない場合にはステップS704に進み、予め定められた各リール42L,42M,42Rの最大回転時間(例えば40秒)を経過したか否かを判定する。最大回転時間を経過していない場合にはステップS703に戻り、最大回転時間を経過した場合にはステップS705に進んで回転中の全てのリールを強制的に停止させる強制停止処理を行う。
【0114】
一方、ステップS703にてストップスイッチ72〜74いずれかが押下操作されて停止指令が発生した場合には、ステップS706に進み、リール停止処理を行う。このリール停止処理では、押下操作されたストップスイッチに対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグがセットされている場合にはRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。例えば、下ライン上に「スイカ」図柄が並ぶという役に当選し、「スイカ」図柄が上ラインに停止するタイミングでストップスイッチが押下操作された場合には、下ラインに停止するように図柄2つ分だけリールを滑らせる。但し、滑らせることのできる範囲は予め決められている(例えば最大で図柄4つ分)ため、ストップスイッチを押したタイミングによっては下ライン上に「スイカ」図柄が停止しないこともある。なお、ステップS705の強制停止処理においても、当選フラグがセットされている場合にはこれと同様の処理を行う。
【0115】
続いて、ステップS707では今回の停止指令が第1停止指令か否か、すなわち3つのリール全てが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第1停止指令の場合には、ステップS708に進み、スベリテーブル変更処理を行う。このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはそのまま次のステップに移行し、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインに合ったスベリテーブルに変更した後に次のステップに移行する。ここで、役の複合とは、例えば上ライン上で「スイカ」図柄を揃えようとしたときに左リールにて「チェリー」図柄が下ライン上に現れる場合のように複数の役が同時に発生する場合をいう。なお、スベリテーブル変更処理は役の複合を回避するとき以外にも行われることがある。
【0116】
一方、ステップS707で今回の停止指令が第1停止指令でないときには、ステップS709に進み、第2停止指令か否か、つまり3つのリールのうち1つのリールが停止し2つのリールが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第2停止指令のときにはステップS710に進み、停止目判定処理を行う。この停止目判定処理では、2つのリールが停止したときにその2つが「7」図柄等のボーナス図柄で揃っているか否かを判定し、揃っていないときにはそのまま次のステップに移行し、揃っているときにはスピーカ14から効果音等を発生させた後に次のステップに移行する。なお、停止目判定処理ではボーナス図柄が2つ揃う以外の別の条件が成立したか否かを判定してもよいし、効果音以外に補助表示部15を用いた演出を行ってもよい。
【0117】
そして、ステップS705の強制停止処理の後、ステップS708のスベリテーブル変更処理の後、ステップS709にて今回の停止指令が第2停止指令でなかったとき、又はステップS710の停止目判定処理を行った後には、ステップS711にて左、中、右リール42L,42M,42Rのすべての回転が停止したか否かを判定する。ステップS711がNOの場合にはステップS703に戻り、YESの場合には続くステップS712にて払出判定処理を行った後、本処理を終了する。払出判定処理では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM153の払出予定数格納エリアに0をセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ13等によりエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアに0をセットする。一致しているときには払出予定数格納エリアに並んだ役と対応する払出数をセットする。
【0118】
次に、ステップS505のメダル払出処理について、図16のフローチャートに基づき説明する。
【0119】
メダル払出処理では、先ずステップS801にて払出数カウンタがカウントした払出数と、払出予定数格納エリアに格納された払出予定数とが一致しているか否かを判定する。払出数と払出予定数とが一致していないときには、ステップS802にて遊技がクレジットモードにて行われているか否かを判定する。クレジットモードであるときには、ステップS803においてクレジットカウンタのカウント値が上限(貯留されているメダル数が50枚)に達しているか否かを判定する。上限に達していないときには、ステップS804にてクレジットカウンタのカウント値及び払出数をそれぞれ1インクリメントする。これにより残数表示部35及び獲得枚数表示部37の枚数がそれぞれ1インクリメントされる。
【0120】
一方、遊技がダイレクトモードにて行われているとき、またはクレジットカウンタのカウント値が上限に達しているときには、ステップS805にてメダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へ払い出す。このとき、ステップS806ではホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aのメダル検出信号に応じて払出数を1インクリメントする。これにより獲得枚数表示部37の枚数が1インクリメントされる。そして、ステップS804またはステップS806で払出数を1インクリメントしたあと、再びステップS801に戻る。ステップS801で払出数と払出予定数とが一致したときには、ステップS807にてホッパ装置91のメダル払出用回転板を停止させ、本処理を終了する。なお、払出数や獲得枚数表示部37は、次回スタートレバー71が操作されたときにリセットされる。
【0121】
次に、ステップS506の特別遊技状態処理について、図17のフローチャートに基づき説明する。
【0122】
特別遊技状態処理の説明に先立ち、ボーナスゲームについて説明する。レギュラーボーナス(以下「RB」という)ゲームは、12回のJACゲームで構成されている。JACゲームは、1枚ベットのみ許されるゲームであり、JAC図柄(ここではリプレイ図柄で代用)が有効ライン上に揃う確率つまりJAC図柄成立の確率が非常に高いゲームである。すなわち、先述した抽選処理においてJACゲーム用乱数テーブルに基づき役の抽選がなされ、本実施の形態では約1.1分の1でJAC図柄と対応する役が成立する。JACゲームでJAC図柄が成立すると最大枚数(ここでは15枚)のメダルが払い出される。そして、JAC図柄が8回成立すると、JACゲームが12回に達する前であってもRBゲームが終了する。一方、ビッグボーナス(以下「BB」という)ゲームは、30回の小役ゲームと3回のJACインとから構成されている。小役ゲームとは高確率で小役が当選する(有効ライン上に「ベル」図柄などが揃う)ゲームであり、JACインとは12回のJACゲームに突入することを意味し、小役ゲーム中にJAC図柄が有効ライン上に揃うとJACインが成立する。小役ゲームでJAC図柄が成立すると1枚のメダルが払い出される。JACゲームはRBゲームの場合と同様である。すなわち、小役ゲーム中は、先述した抽選処理において小役ゲーム用乱数テーブルに基づき役の抽選がなされ、本実施の形態では約3分の2の確率で「ベル」図柄と対応する役が成立し、約3分の1の確率でJAC図柄と対応する役が成立する。つまり、小役ゲーム用乱数テーブルでは、「スイカ」図柄等の他の小役図柄と対応する役に当選しない構成となっている。これは、遊技者が各小役図柄を狙って停止させる負荷を軽減させるための工夫である。さらには、小役ゲーム用乱数テーブルでは、ビッグボーナスやレギュラーボーナスと対応する役にも当選しない構成となっている。これは、小役ゲーム中に再度BBやRBに当選することで小役ゲームやJACイン回数が加算され、大量にメダルを獲得できる等の射幸性を煽るゲーム性を付与しないための工夫である。また、3回目のJACインによるJACゲームが終了すると小役ゲームが30回に達する前であってもBBゲームは終了し、30回の小役ゲームが終了するとJACインが3回に達する前であってもBBゲームは終了する。さらに、本実施の形態では、BBゲームの終了条件として、所定回の遊技(30ゲームの終了又は3回のJACゲームの終了)の他、メダル払出数が所定値(具体的には465枚)に達したか否かという条件も含まれるように構成されている。従って、メダル払出数が465枚に達すると、30ゲーム又は3回のJACゲームの終了を待たずしてそこでBBゲームが終了される。これは、必要以上に射幸性をあおらないようにするための工夫である。
【0123】
さて、特別遊技状態処理では、先ずステップS901にて遊技状態がボーナスゲーム中か否かを判定する。ボーナスゲーム中でないときにはステップS902に進み、ボーナス図柄判定処理を行う。
【0124】
このボーナス図柄判定処理では、図18に示すように、まずステップS1001にてRB当選フラグがセットされているか否かを判定し、セットされているときにはステップS1002に進み、今回有効ライン上にRB図柄(例えば「BAR」図柄)が揃ったか否かを判定し、RB図柄が揃っていないときにはそのまま本処理を終了する。一方、今回有効ライン上にRB図柄が揃ったときには、ステップS1003においてRB当選フラグをリセットしRB設定フラグをセットしてボーナスゲームの1種であるRBゲームとし、図19に示すRBゲーム初期設定処理を実行して本処理を終了する。ステップS1001でRB当選フラグがセットされていないときには、ステップS1004にてBB当選フラグがセットされたか否かを判定し、セットされていないときにはそのまま本処理を終了する。BB当選フラグがセットされているときにはステップS1005に進み、今回有効ライン上にBB図柄(例えば図柄「7」)が揃ったか否かを判定し、BB図柄が揃っていないときにはそのまま本処理を終了する。一方、今回有効ライン上にBB図柄が揃ったときには、ステップS1006においてBB当選フラグをリセットしBB設定フラグをセットしてボーナスゲームの1種であるBBゲームとし、図20示すBBゲーム初期設定処理を実行して本処理を終了する。
【0125】
なお、図19,図20において、残小役ゲームカウンタは小役ゲームの残りゲーム数(残小役ゲーム数ともいう)を表し、残JACインカウンタはJACイン可能な残り回数(残JACイン回数ともいう)を表し、残JAC成立カウンタはJAC図柄が成立可能な残り回数(残JAC成立数ともいう)を表し、残JACゲームカウンタはJACゲームの残りゲーム数(残JACゲーム数ともいう)を表し、残払出枚数カウンタはBBゲーム中に払出可能な残りのメダル数(残払出枚数ともいう)を表す。残小役ゲーム数や、残JACイン回数や、残JAC成立数、残JACゲーム数は、適宜、ゲーム数表示部36に表示される。また、残払出枚数は、適宜、補助表示部15に表示される。ちなみに、役の抽選で小役またはリプレイに当選して小役当選フラグまたはリプレイ当選フラグがセットされたときには、そのゲームで小役図柄またはリプレイ図柄を有効ライン上に揃えられないとこれらの当選フラグはリセットされるが、役の抽選でRBまたはBBに当選してRB当選フラグまたはBB当選フラグがセットされたときには、そのゲームでRB図柄またはBB図柄を有効ライン上に揃えられなかったとしてもこれらの当選フラグは次回に持ち越される。なお、BB又はRB当選フラグを持ち越した次ゲームにおける抽選処理では、小役又はリプレイの当選可否に関する抽選は行われるが、BB又はRBに関する抽選は行われない。また、BB又はRB当選フラグを持ち越した状態で小役又はリプレイに当選した場合には、小役又はリプレイが優先して揃えられるようにスベリテーブルが格納される。
【0126】
さて、図17に戻り、ステップS901で遊技状態がボーナスゲーム中のときには、ステップS903にてそのボーナスゲームがJACゲームか否かを判定する。JACゲームでないときにはBBゲームの小役ゲーム中であることを意味するため、ステップS904に進み、JAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定する。JAC図柄が有効ライン上に揃ったときには、ステップS905にてJACゲームを開始すると共に図20(b)のBBゲーム中JACゲーム初期設定処理を行い、本処理を終了する。一方、ステップS904でJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったときには、小役ゲームが1ゲーム消化されたことになるため、ステップS906にて残小役ゲーム数を1ディクリメントし、ステップS907にてその残小役ゲーム数が0になったか否かを判定する。残小役ゲーム数が0でないときには本処理を終了し、0のときにはステップS908に進み、各種設定フラグやBB設定フラグや各種カウンタなどを適宜リセットしたりエンディング処理を行ったりする特別遊技状態終了処理を行い、本処理を終了する。
【0127】
ステップS903で遊技状態がJACゲームであるときには、ステップS909に進みJAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定し、JAC図柄が有効ライン上に揃ったときにはステップS910にて残JAC成立数を1ディクリメントする。その後、或いはステップS909でJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったときには、JACゲームを1つ消化したことになるため、ステップS911にて残JACゲーム数を1ディクリメントする。続いて、ステップS912では残JAC成立数か残JACゲーム数のいずれかが0になったか否かを判定し、いずれも0になっていないとき、つまりJAC図柄がまだ8回成立しておらずJACゲームも12回消化されていないときには、そのまま本処理を終了する。一方、いずれかが0になっていたとき、つまりJAC図柄が8回成立したかJACゲームが12回消化されたときには、JACインが1回消化されたことになるためステップS913にて残JACイン回数を1ディクリメントし、続くステップS914にてその残JACイン回数が0か否かを判定する。0のときには先に述べたステップS908の特別遊技状態終了処理を行い、本処理を終了する。ちなみに、当該ボーナスゲームがRBボーナスである場合には、当初の残JACイン回数が1(図19参照)であるからステップS913で0になり、ステップS914で必ず肯定判定され、ステップS908の特別遊技状態終了処理にてRB設定フラグがリセットされる。
【0128】
一方、ステップS914で残JACイン回数がゼロでないとき、つまりBBゲームでJACインが3回消化されていないときには、ステップS915においてJACゲーム設定フラグをリセットするJACゲーム終了処理を行ったあと、今回JACインしたときに小役ゲームを1ゲーム消化しているためステップS906にて残小役ゲーム数を1ディクリメントし、続いてステップS907にてその残小役ゲーム数が0になったか否かを判定し、残小役ゲーム数が0のときには先に述べたステップS908の特別遊技状態終了処理を行い、本処理を終了する。一方、残小役ゲーム数が0でないときにはBBボーナスにおける小役ゲームが30回に達しておらず且つJACインも3回に達していないため、本処理を終了する。
【0129】
また、ボーナスゲームがBBゲームである場合には、特別遊技状態処理と並行してメダルの払出数が所定値に到達したか否かを確認する払出枚数調整処理がなされる。そこで、かかる払出枚数調整処理を図22のフローチャートに基づき説明する。
【0130】
先ずステップS1101では、有効ライン上に「ベル」図柄やJAC図柄等の小役図柄が揃ったか否かを確認し、揃っていなければそのまま本処理を終了する。小役図柄が揃った場合にはステップS1102に進み、残払出枚数カウンタ減算処理を行う。具体的には、揃った図柄と対応する払出数(例えば「ベル」図柄が揃えば12)を残払出枚数カウンタの値から減算する。なお、かかる減算処理は、先述したメダル払出処理と並行して行われる。続くステップS1103では、残払出枚数カウンタの減算結果を確認し、0以下となった場合にはステップS1104にて特別遊技状態終了処理を行い、本処理を終了する。なお、特別遊技状態終了処理は、先に述べた特別遊技状態処理中の特別遊技状態終了処理と同様である。かかる処理を行うことにより、メダル払出数の所定値到達に伴ってBBゲーム終了となる場合のメダル最高払出枚数は479枚となる。よって、本スロットマシン10における払出枚数に上限数を設定することが可能となり、遊技ホールが遊技者の技量レベルに応じて多大な損害を被ることや遊技者の射幸心を過度に煽ることを抑制することが可能となる。
【0131】
次に、BBゲーム中に補助表示部15にて報知される情報について、図22(a)〜(d)に示す一実施例に基づき説明する。
【0132】
各リール42L,42M,42Rを停止させた際に有効ライン上に「7」図柄等のビッグボーナス図柄が揃った場合、補助表示部15ではBBゲームに移行する旨を示すメッセージ(本実施の形態では、「BBゲームSTART!」)が表示される(図22(a))。その後、図22(b)に示すように、補助表示部15の略上半分の領域(以下、「第1領域」という)にてメダル払出が465枚に到達するとBBゲームが終了する旨を示すメッセージ(本実施の形態では、「払い出し枚数465枚以上でBB終了よ」)が表示されると共に、略下半分の領域(以下、「第2領域」という。)にて残りのメダル払出可能枚数が表示される。小役ゲームやJACゲームの消化すなわち「ベル」図柄やJAC図柄の成立に伴い第2領域の残りのメダル払出可能枚数が減少していき(図22(c))、残りのメダル払出可能枚数が0枚となった時点で第1表示領域にてBBゲームを終了させたことを祝福するメッセージ(本実施の形態では、「おみごと!BB終了だね!!」)が表示される(図22(d))。なお、30回の小役ゲーム終了又は3回のJACゲームの終了によりBBゲームが終了した場合には、かかる祝福のメッセージは表示されない。
【0133】
このように、第1領域にてBBゲームが終了する払出枚数の設定値を報知すると共に、第2領域にて残りのメダル払出可能枚数を報知する構成とすることにより、所定回の遊技(30ゲームの小役ゲーム又は3回のJACゲーム)を行ってBBゲームを終了させるのではなく、可能な限り多くのメダルを獲得してBBゲームを終了させたいと遊技者に思わせることが可能となり、単調となりがちであったBBゲーム中の遊技を、チャレンジ意欲を湧かせる遊技とすることが可能となり、遊技の興趣を高めることが可能となる。
【0134】
さて、本実施の形態では、上述したように、小役ゲーム中であれば約3分の2の確率で「ベル」図柄が揃って12枚のメダル払出しが行われ、約3分の1の確率でJAC図柄が揃って1枚のメダル払出しが行われる。また、JACゲーム中であれば約1.1分の1の確率でJAC図柄が揃って15枚のメダル払出しが行われる。従って、BBゲーム1回あたりに払出されるメダルの平均値は約435枚となり、工夫なしに遊技を行った場合、メダル払出し枚数の所定値(465枚)に到達することなくBBゲーム終了となるケースが一般的となる。そこで、本実施の形態では、遊技者の技量に応じて設定値に到達することが可能となるようリール制御に工夫がなされている。具体的には、小役ゲーム中の最初に中リール42Mを停止させると、中ライン上に成立した役と対応する図柄が停止するリール制御が働き、次に右リール42Rを停止させると上ライン上に成立した役と対応する図柄が停止するリール制御が働く。最後に左リール42Lの下ライン上に中リール42M及び右リール42Rにて揃った図柄を狙って停止させればメダル払い出しが行われる。このとき、中リール42M及び右リール42Rにて揃った図柄がJAC図柄(「リプレイ」図柄)である場合、左リール42Lの下ライン上に8番目の「ベル」図柄〜12番目の「7」図柄、又は18番目の「スイカ」図柄〜2番目の「リプレイ」図柄を狙ってストップスイッチ72を押下操作すれば、JAC図柄が揃わないリール制御が働きJACゲームに移行することなく終了する(図7参照)。かかる位置にてストップスイッチ72を押下操作した場合に左リール42Lを滑らせて「リプレイ」図柄を揃える制御を行った場合、「リプレイ」図柄と2図柄上方の「チェリー」図柄とが同時成立することとなり、抽選処理に基づく役の当選結果と矛盾してしまう結果となるからである。従って、JAC図柄成立時には左リール42Lのかかる範囲を狙って停止させることでJACゲームに移行することを回避しつつ「ベル」図柄を揃えることで12枚のメダル払出しを行わせることにより、メダルの払出し枚数の設定値に到達させてBBゲームを終了させることが可能となる。
【0135】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0136】
BBゲーム中のメダル払出枚数に上限としての所定値を設けることにより、遊技ホールが遊技者の技量レベルに応じて多大な損害を被ることや遊技者の射幸心を過度に煽ることを抑制することが可能となる。その一方、メダル払出枚数の所定値と払出可能枚数を補助表示部15にて報知することにより、単調となりがちであるBBゲーム中の遊技を、チャレンジ意欲をかきたたせる遊技とすることができるため、遊技の興趣を高めることが可能となる。さらにいうと、所定の遊技の終了を契機としてBBゲームが終了することに慣れている遊技者が、所定の遊技を終了していないにも関わらず突然BBゲームが終了することに混乱する不具合を回避することが可能となる。
【0137】
BBゲーム初期設定処理において残払出枚数カウンタを設定し、このカウンタ値を小役図柄成立に伴い減算処理していく構成とし、かかる結果を補助表示部15の第2領域に表示する構成とすることにより、主制御装置131の処理負荷が増大することを抑制しつつ、払出枚数を条件としてBBゲームを終了させることが可能となる。仮に遊技者が獲得したメダル数に対して所定値を設ける構成とした場合、ベットされたメダル数を加算する処理等が必要となるからである。
【0138】
補助表示部15の第2領域に残りのメダル払出可能枚数を表示する構成とすることにより、遊技者がBBゲーム終了時に混乱する恐れを回避することが可能となる。仮に補助表示部15の第2領域にてメダル払出数を加算表示する構成とした場合、遊技者はかかる表示を獲得メダル数、すなわち払出されたメダル数からベット数を減じた純増枚数と誤解する恐れがあるからである。
【0139】
BBゲーム1回あたりに払出されるメダル数の平均値を所定値より小さい値とし、遊技者が所定の押下操作を行えばJACゲームへの移行を回避することが可能なリール制御を行う構成とすることにより、BBゲームにおける遊技者による技術介入の余地を残すことが可能となる。また、遊技者の技量に応じてメダル払出枚数の所定値に到達しやすくなるため、所定値に到達することでBBゲームを終了させた際の達成感を好適に演出することが可能となる。さらにいうと、BBゲーム1回あたりに払出されるメダル数の平均値と所定値との差を30枚、すなわち「ベル」図柄成立3回分の差とすることにより、遊技の初心者にあっても運がよければ所定値に到達することとなり、遊技の熟練者と同様の達成感を味わうことができる。
【0140】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0141】
(a)上記実施の形態では、補助表示部15の第1領域にてメダル払出が465枚に到達するとBBゲームが終了する旨を示すメッセージを表示し、第2領域にて残りのメダル払出可能枚数を表示する構成としたが、払出したメダル数を第2領域にて表示する構成としてもよい。同様に、払出枚数調整処理において、メダル払出枚数を加算するための払出カウンタを設定すると共に当該カウンタの値を払出数に応じて加算していき、メダル払出数の所定値(465枚)と一致した時点でBBゲームを終了する構成としてもよい。かかる構成としても、メダルの払出枚数に応じてカウンタ値を加算していけばよいため、主制御装置131の処理負荷が増大することを抑制しつつ、払出枚数を条件としてBBゲームを終了させることが可能となる。
【0142】
(b)上記実施の形態では、残払出枚数カウンタから役と対応する払出数を減算し、その結果が0以下となった際にBBゲームを終了させる構成としたが、当該減算処理において残払出枚数カウンタの減算状況を常時確認し、0となった時点でBBゲームを終了させる構成としてもよい。例えば、JACゲーム中のJAC図柄成立に伴う15枚のメダル払出途中で所定値(465枚)に到達した場合、15枚のメダルを払出すことなくBBゲームを終了させる。この場合、役と対応する払出数が払出されることなくBBゲームが終了し得ることとなるが、遊技ホールが遊技者の技量レベルに応じて多大な損害を被ることや遊技者の射幸心を過度に煽ることを抑制することが可能となる。なお、役と対応する払出数が払出されることなくBBゲームが終了することに対して遊技者が違和感を抱かないように、補助表示部15や照明部材等により種々の演出を行うことが好ましい。
【0143】
(c)上記実施の形態では、補助表示部15の第1領域にてメダル払出が465枚に到達するとBBゲームが終了する旨を示すメッセージを表示し、第2領域にて残りのメダル払出可能枚数を表示する構成としたが、メダル払出が465枚に到達するとBBゲームが終了する旨を示すメッセージのみを表示する構成としてもよい。
【0144】
(d)上記実施の形態では、補助表示部15の第1領域にてメダル払出が465枚に到達するとBBゲームが終了する旨を示すメッセージを表示し、第2領域にて残りのメダル払出可能枚数を表示する構成としたが、払出枚数が所定値に到達するとBBゲームが終了することが分かる構成であればかかる構成に限定されるものではない。例えば、補助表示部15に主人公キャラクタと敵役キャラクタの2種類のキャラクタを表示して対決演出を行う構成とする。そして、成立した小役図柄に応じて主人公キャラクタが敵役キャラクタに攻撃を行う表示演出を行い、払出枚数が所定値に到達した時点で敵役キャラクタが敗北を認める演出を行う。かかる構成においては、払出枚数に所定値が設けられていることを遊技者に知られることなくBBゲームを終了させることが可能となる。
【0145】
(e)補助表示部15において設定値到達に伴うBBゲーム終了を何度行ったか表示する構成としてもよい。この場合、遊技者がその表示回数によって他の遊技者に対して自分の技量をアピールすることや、BBゲーム中でない通常遊技時において所定値到達に伴うBBゲーム終了を達成した余韻に浸ることが可能となる。
【0146】
(f)上記実施の形態では、補助表示部15の第1領域にてメダル払出が465枚に到達するとBBゲームが終了する旨を示すメッセージを表示し、第2領域にて残りのメダル払出可能枚数を表示する構成としたが、これに加えて獲得枚数すなわち払出枚数からベット数を減じた枚数を表示する構成としてもよい。かかる構成とすれば、遊技者は所持メダル数を把握しながら遊技を行うことが可能となり、例えば遊技の終了タイミング等を考慮しながら遊技を行うことが可能となる。
【0147】
(g)上記実施の形態では、BBゲーム中におけるメダル払出数の所定値を465枚と設定したが、かかる値に限定されるものでないことはいうまでもなく、例えば479枚であってもよい。
【0148】
(h)上記実施の形態では、リールを3つ並列して備え、有効ラインとして5ラインを有するスロットマシンについて説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばリールを5つ並列して備えたスロットマシンや、有効ラインを7ライン有するスロットマシンであってもよい。また、いわゆるAタイプのスロットマシンに限らず、Bタイプ、Cタイプ、AタイプとCタイプの複合タイプ、BタイプとCタイプの複合タイプなど、どのようなスロットマシンにこの発明を適用してもよく、何れの場合であっても上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0149】
(i)各リール42L,42M,42Rの図柄としては、絵、数字、文字等に限らず、幾何学的な線や図形等であってもよい。また、光や色等によって図柄を構成することも可能であるし、立体的形状等によっても図柄を構成し得るし、これらを複合したものであっても図柄を構成し得る。即ち、図柄は識別性を有した情報(識別情報)としての機能を有するものであればよい。
【0150】
(j)上記実施の形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、メダル投入及びメダル払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入及び球払出機能をもたせた遊技機としてもよい。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
【符号の説明】
【0151】
10…遊技機としてのスロットマシン、11…遊技機本体の一部を構成する筐体、12…遊技機本体の一部又は遊技機本体の開閉部材を構成する前面扉、15…補助表示部、42…回胴又は無端状ベルトを構成するリール、61…駆動手段としてのステッピングモータ、71…始動操作手段としてのスタートレバー、72〜74…停止操作手段としてのストップスイッチ、111…サブ制御手段としての表示制御装置、131…メイン制御手段等の各種制御手段を構成する主制御装置、151…メイン制御手段等の各種制御手段を構成するCPU、152,153…記憶手段としてのROM,RAM、161…電源装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の絵柄が周方向に付された複数の無端状ベルトと、
前記各無端状ベルトについて各絵柄のうち一部の絵柄を視認可能とする表示窓と、
前記各無端状ベルトの回転を開始させるべく操作される始動操作手段と、
前記各無端状ベルト毎に設けられ、該各無端状ベルトを回転させる駆動手段と、
前記各無端状ベルトの回転を停止させるべく操作される停止操作手段と、
前記始動操作手段の操作に基づいて前記各無端状ベルトの回転を開始させ、前記停止操作手段の操作に基づいて前記各無端状ベルトの回転を停止させるように、前記各駆動手段を駆動制御する駆動制御手段と、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置に前記絵柄によって形成される絵柄又は絵柄の組合せに基づいて成立した役に基づき、予め設定した数の遊技媒体を払い出す払出装置と
を備え、
前記各無端状ベルトが停止した際、前記表示窓から視認できる有効位置に前記絵柄によって形成される特定絵柄の組合せが成立していることを条件として、所定ゲーム数が終了するまで継続する特別遊技状態を付与するように構成された遊技機において、
特別遊技状態中に前記払出装置によって払い出される遊技媒体数が予め定めた規定数に達すると前記所定ゲーム数が終了する前に特別遊技状態を終了させる特別遊技終了手段と、
遊技者に対して遊技に関する情報を報知する報知手段と、
前記特別遊技状態が発生すると前記報知手段を制御して前記規定数を報知させる報知制御手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−137077(P2010−137077A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33223(P2010−33223)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【分割の表示】特願2004−26156(P2004−26156)の分割
【原出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】