説明

遊技機

【課題】 比較的少ない処理負担で、仮想3次元空間内を移動する様子を表示することができる遊技機を提供する。
【解決手段】 視点SPと、複数のポリゴンR1〜R4で構成されるオブジェクトOHとをワールド座標系内に配置し、それら各ポリゴンR1〜R4にテクスチャT1〜T4を貼付ける。そのオブジェクトOHを配置位置P1から配置位置P2へ移動させるとともに、配置位置P2にオブジェクトOHが到達すると再び配置位置P1にそのオブジェクトOHを配置する処理を繰り返す。オブジェクトOHが配置位置P1に配置されるたびに、各ポリゴンR1〜R4に貼付けるテクスチャを、そのテクスチャの模様に連続した新たなテクスチャに順次更新する。このワールド座標系内でのオブジェクトOHの移動の様子を視点SPに基づいて表示することにより、表示画面上で移動する背景の模様を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機、コイン遊技機あるいはビデオゲーム機などの遊技機に係り、特に、仮想3次元空間内を移動する様子を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機であるパチンコ機では、多数個のパチンコ球を取得することができる遊技者にとって有利な遊技状態と、遊技者がパチンコ球を消費する遊技者にとって不利な遊技状態とを発生させており、遊技者の面白味を永続させるために、臨場感のある表示態様を各遊技状態に応じて表示している。その表示態様として、例えば遠近法などを用いて描かれた2次元の画像である背景を徐々に拡大または縮小することにより、遊技者がその表示画面の奥側方向または手前側方向を移動するように感じさせるための表示態様を実現している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のパチンコ機では、遠近法などで描かれた背景を利用しているので、遊技者が表示画面の奥側方向または手前側方向に移動するように感じることができるほどリアルな表示態様を実現することができない。
【0004】
そこで、近年、背景を表示するためのポリゴンで構成された3次元情報であるオブジェクトを仮想3次元空間内に配置するとともに、仮想3次元空間内の様子を表示するための視点を配置して、その視点を仮想3次元空間内で移動させることにより、仮想3次元空間内を移動する様子を表示画面に表示することが試みられている。これにより、表示画面には背景が例えば奥側から移動してくるような表示態様が表示され、表示画面内を奥側方向に移動しているような臨場感を遊技者に感じさせることができる。
【0005】
具体的には、図15に示すように、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系内に例えば複数個のオブジェクトOBJ(またはポリゴン)を配置するとともに、仮想3次元空間内の様子を表示するための視点SPを配置する。ワールド座標系内に配置された各オブジェクトOBJには、背景の模様の画像である「A」,「B」,…の各文字が描かれたテクスチャが順番に貼付けられており、それら「A」,「B」,…の各文字が表示画面に順番に表示されるように、各オブジェクトOBJ上で視点SPを移動させる(図中の点線矢印)。これにより、図16(a)〜(c)に示すように、表示画面6aには、「A」,「B」,…の背景の模様が表示画面6aの奥側から手前側に移動してくる様子が表示される。その結果、表示画面6aには、仮想3次元空間内を移動するような臨場感のある表示態様が表示されている。
【0006】
しかしながら、上述した従来の遊技機においては、次のような問題がある。
【0007】
上述したワールド座標系の大きさや、ワールド座標系に配置することができるオブジェクトの個数は、画像表示装置に備える例えばレジスタやバッファなどの記憶手段の記憶容量によって制限されるので、仮想3次元空間内で視点SPを無限に移動させることができない。したがって、表示画面上で無限に移動するような背景を表示することができないという問題がある。また、ワールド座標系内に配置するオブジェクトの個数を増やすと、表示画面上で移動させることができる背景の模様の範囲は広がるが、画像表示装置で行われるジオメトリ演算処理などの処理負担が増加するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、比較的少ない処理負担で背景を移動させることにより、仮想3次元空間内を移動する様子を表示することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0010】
手段1.少なくとも2種類の遊技状態のいずれかを発生させる遊技状態発生手段と、前記遊技状態に応じて表示される各種図柄及び前記図柄とは別個の補助画像を含む表示画像を生成し表示する画像表示手段とを備えた遊技機において、前記画像表示手段は、前記図柄及び補助画像に対応する3次元情報を所定の仮想3次元空間内に設定し、前記3次元情報に所定の画像情報を付すことにより、前記3次元情報に基づいた前記表示画像を生成するような構成とし、前記画像表示手段は、少なくとも前記遊技状態の一時期において、前記補助画像に対応する3次元情報を所定の設定位置から少なくとも所定方向に所定量移動させ、前記所定量の移動の終了とともに、前記補助画像に対応する3次元情報を前記所定の設定位置に再設定する処理を繰り返し行い、前記再設定を行う毎に、前記補助画像に対応する画像情報を付す位置が、前記補助画像に対応する3次元情報に対して前記所定方向に移動していくように前記補助画像に対応する画像情報を更新することにより、前記表示画像の一部が前記所定方向に移動する表示態様となる表示画像を生成することを特徴とする遊技機。
【0011】
上記手段1によれば、画像表示手段は、補助画像に対応する3次元情報を所定の設定位置から所定方向に所定量移動させ、その移動の終了とともに、その3次元情報を所定の設定位置に再設定する処理を繰り返し行う。また、再設定を行う毎に、補助画像に対応する画像情報を付す位置が、補助画像に対応する3次元情報に対して所定方向に移動していくように画像情報を更新する。このようにすれば、比較的大きな3次元情報を仮想3次元空間に設定してしなければ表現することができなかった表示態様を比較的小さな3次元情報を使って作り出すことができる。つまり、有限の大きさである仮想3次元空間及び3次元情報であっても、無限の広がりを醸し出すことができる。結果として、比較的少ない処理負担で臨場感のある表示画像を生成することができる。なお、前記画像表示手段が行う処理は、例えばパチンコ機、スロットマシン等のように所定の規定に基づいて、データ容量等に何らかの制約がある遊技機に有効な処理である。
【0012】
手段2.少なくとも2種類の遊技状態のいずれかを発生させる遊技状態発生手段と、前記遊技状態に応じて表示される各種図柄及び前記図柄とは別個の補助画像を含む表示画像を生成し表示する画像表示手段とを備えた遊技機において、前記画像表示手段は、前記図柄及び補助画像に対応する3次元情報を所定の仮想3次元空間内に設定し、前記3次元情報に所定の画像情報を付すことにより、前記3次元情報に基づいた前記表示画像を生成するような構成とし、前記画像表示手段は、少なくとも前記遊技状態の一時期において、前記補助画像に対応する3次元情報が前記仮想3次元空間内の所定区間を少なくとも所定方向に繰り返し所定量移動するように設定し、該3次元情報が移動を繰り返す毎に、前記補助画像に対応する画像情報を付す位置が、前記補助画像に対応する3次元情報に対して前記所定方向に移動していくように該画像情報を更新することにより、前記表示画像の一部が前記所定方向に移動する表示態様となる表示画像を生成することを特徴とする遊技機。
【0013】
上記手段2によれば、画像表示手段は、補助画像に対応する3次元情報が所定区間を所定方向に繰り返し所定量移動するように設定する。また、移動を繰り返す毎に、補助画像に対応する画像情報を付す位置が、その3次元情報に対して所定方向に移動していくように画像情報を更新する。このようにすれば、比較的大きな3次元情報を仮想3次元空間に設定してしなければ表現することができなかった表示態様を比較的小さな3次元情報を使って作り出すことができる。つまり、有限の大きさである仮想3次元空間及び3次元情報であっても、無限の広がりを醸し出すことができる。結果として、比較的少ない処理負担で臨場感のある表示画像を生成することができる。なお、前記画像表示手段が行う処理は、例えばパチンコ機、スロットマシン等のように所定の規定に基づいて、データ容量等に何らかの制約がある遊技機に有効な処理である。
【0014】
手段3.手段1又は手段2において、前記画像表示手段は、前記補助画像に対応する画像情報を更新するに際して、前記補助画像に対応する3次元情報に付す前記画像情報の位置が、前記補助画像に対応する3次元情報の移動に伴い移動した更新前の位置と変化しないように、更新時には前記補助画像に対応する3次元情報に対して該3次元情報の移動量と同等量移動させた位置に前記画像情報を付すように更新することを特徴とする遊技機。
【0015】
上記手段3によれば、画像表示手段は、画像情報を更新するに際して、3次元情報に付す画像情報の位置が、画像情報の更新前に、その3次元情報の移動に伴い移動した位置と変化しないように、前記画像情報を3次元情報に対してその3次元情報の更新前の移動量と同等量移動させた位置に付すように更新する。従って、3次元情報の移動と画像情報の更新が違和感を生じさせることなく行われ、スムーズに移動する表示態様となる臨場感あふれる表示画像を実現することができる。
【0016】
手段4.手段1乃至手段3のいずれかにおいて、前記補助画像に対応する画像情報は、少なくとも前記3次元情報における該画像情報を付す範囲が同じ大きさとなる複数個の単位画像情報から構成されるとともに、前記補助画像に対応する3次元情報は所定個の前記単位画像情報を付すことを可能とする構成とし、前記画像表示手段は、前記画像情報を更新する際には、前記複数個の単位画像情報の中から適宜選び出された所定個の単位画像情報を前記補助画像に対応する3次元情報に付すことを特徴とする遊技機。
【0017】
上記手段4によれば、補助画像に対応する3次元情報に付される画像情報は、同じ大きさを持つ複数個の単位画像情報により構成されている。そして、画像情報を更新する際には、所定個の単位画像情報を選び出し、3次元情報に付す。このため、比較的大きな画像情報を記憶し、更新を行う毎に、その画像情報の付す位置を移動させるといった複雑な処理をする必要がない。従って、画像情報を記憶しておく記憶容量を節約することができるとともに、比較的簡単な処理で表示画像を生成することができる。
【0018】
手段5.手段4において、前記複数個の単位画像情報は、複数種類から構成されることを特徴とする遊技機。
【0019】
上記手段5によれば、複数種類の単位画像情報の組み合わせにより、様々な態様を表現できるため、臨場感のある表示態様を実現することができる。
【0020】
手段6.手段4又は手段5において、前記補助画像に対応する3次元情報は少なくとも前記所定方向に連続して並べられた複数個の単位3次元情報から構成されるとともに、前記単位3次元情報は前記単位画像情報に対応するような構成とし、前記画像表示手段は、前記補助画像に対応する3次元情報の移動を、前記所定方向における前記各単位3次元情報の長さを前記所定量として行うとともに、少なくとも一部の前記単位3次元情報に付された前記単位画像情報を、該単位画像情報が更新前に付されていた単位3次元情報より前記所定方向側の単位3次元情報に付すことにより、前記補助画像に対応する画像情報を付す位置を前記補助画像に対応する3次元情報に対して移動させることを特徴とする遊技機。
【0021】
上記手段6によれば、3次元情報は複数個の単位3次元情報から構成されており、3次元情報の1回の移動は単位3次元情報1つ分の長さだけ行われる。また、単位3次元情報に対応する単位画像情報を単位3次元情報1つ分ずらして付すことにより、画像情報を付す位置を3次元情報に対して移動させる。その結果、画像情報を更新する際に、表示画面に表示される表示画像をよりスムーズに移動させることができる。従って、比較的簡単な処理で画像情報を更新することができる。
【0022】
手段7.手段1乃至手段6のいずれかにおいて、前記画像表示手段は、前記画像情報と前記3次元情報とを関連付ける所定の配置データを参照することにより、前記画像情報を前記3次元情報に付すような構成とし、前記画像情報の更新が繰り返される毎に、前記3次元情報に対応するように設定された配置データ上の特定領域を前記3次元情報の移動にあわせて順次移動させ、前記移動された特定領域に含まれる画像情報を前記3次元情報に付すことにより、前記3次元情報に付す前記画像情報を更新することを特徴とする遊技機。
【0023】
上記手段7によれば、画像情報と3次元情報とを関連付ける配置データを参照することにより、画像情報の更新が行われる。このようにすれば、比較的多くの単位3次元情報により、前記3次元情報が構成されていても、前記3次元情報が移動する毎に、配置データ上の特定領域を移動させるだけで、簡単に3次元情報に付される画像情報を特定することができる。従って、配置データを利用することによって、複雑な更新処理を行うことなく、比較的簡単な処理で3次元情報に付す画像情報を更新することができる。その結果、画像生成処理の高速化を図ることができる。
【0024】
手段8.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記補助画像に対応する3次元情報は、略平面状の3次元情報であることを特徴とする遊技機。
【0025】
手段9.手段1乃至手段8のいずれかにおいて、前記補助画像は、少なくとも前記表示画像の背景部を構成し、前記遊技状態における演出効果を高めるために表示される画像であることを特徴とする遊技機。
【0026】
手段10.手段1乃至手段9のいずれかにおいて、前記図柄は、前記遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための識別図柄、又は、前記識別図柄とは別個の遊技状態における演出効果を高めるために表示される補助図柄であることを特徴とする遊技機。
【0027】
手段11.手段10において、前記遊技機はパチンコ機であること。中でも、パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備えておりそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として画像表示手段における図柄(前記遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための識別図柄又は前記識別図柄とは別個の補助図柄)の変動が開始すること、又、特定の遊技状態発生中には遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込む等も含む)が付与されること等が挙げられる。上記パチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。また、通常の遊技状態時に表示される識別図柄等の変動を通常変動といい、大当たりの発生の有無に関係なく、大当たりが発生するかのような演出(大当たりが発生する場合も含む)を行うための変動をリーチという。なお、上記パチンコ機における識別図柄とは、大当たりやリーチ等を遊技者に認識させるためのいわゆる図柄番号または図柄番号が付けられた図柄の画像をいい、補助図柄とは大当たりやリーチ等においてその演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄の画像をいう。
【0028】
手段12.手段11において、前記画像表示手段は、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態の一時期において、前記補助画像に対応する3次元情報の移動を行い、該3次元情報に付す前記画像情報の更新を行うことを特徴とするパチンコ機。
【0029】
上記手段12によれば、画像表示手段は、パチンコ機における特別遊技状態の一時期において、表示画像の一部が所定方向に移動する臨場感のある表示態様を実現することができる。なお、パチンコ機の遊技状態には、遊技者がパチンコ球を消費する通常状態と、遊技者が多数個のパチンコ球を取得することができる大当たり状態とがある。
【0030】
手段13.手段10において、遊技機はスロットマシンであること。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に識別図柄を確定表示する画像表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別図柄の変動が停止され、その停止時の確定識別図柄が特定識別図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。また、通常の遊技状態時に表示される識別図柄等の変動を通常変動といい、大当たりの発生の有無に関係なく、大当たりが発生するかのような演出(大当たりが発生する場合も含む)を行うための変動をリーチという。なお、スロットマシンにおける識別図柄とは、大当たりやリーチ等を遊技者に認識させるためのいわゆる図柄番号または図柄番号が付けられた図柄の画像をいい、補助図柄とは大当たりやリーチ等においてその演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄の画像をいう。
【0031】
手段14.手段10において、遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に識別図柄を確定表示する画像表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別図柄の変動が停止され、その停止時の確定識別図柄が特定識別図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別図柄の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。また、通常の遊技状態時に表示される識別図柄等の変動を通常変動といい、大当たりの発生の有無に関係なく、大当たりが発生するかのような演出(大当たりが発生する場合も含む)を行うための変動をリーチという。なお、上記遊技機における識別図柄とは、大当たりやリーチ等を遊技者に認識させるためのいわゆる図柄番号または図柄番号が付けられた図柄の画像をいい、補助図柄とは大当たりやリーチ等においてその演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄の画像をいう。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、仮想3次元空間内に配置した背景オブジェクトを第1配置位置から第2配置位置へ繰り返し移動させているので、その第1配置位置から第2配置位置へ背景オブジェクトが移動する間に、表示画面に背景の模様のスムーズな移動を表示させることができる。また、背景テクスチャを順次更新しているので、表示画面には順次連続した背景の模様を表示させることができる。さらに、第1配置位置から第2配置位置へ繰り返し移動する背景オブジェクトに貼付ける連続した背景の模様の背景テクスチャを順次更新することによって、表示画面上の背景の模様を移動させているので、より少ない処理負担で仮想3次元空間内を移動する様子を表示する表示態様を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例に係るパチンコ機の概略構成を示す外観図である。
【図2】実施例に係るパチンコ機の機能ブロック図である。
【図3】3次元画像処理部の機能ブロック図である。
【図4】パチンコ機の制御基盤での処理を示すフローチャートである。
【図5】表示画面6aにおける一表示態様を示す図である。
【図6】ポリゴンとテクスチャとの関係を示す図である。
【図7】実施例に係るパチンコ機における一表示態様を示す図である。
【図8】画像表示装置での処理を示すフローチャートである。
【図9】ワールド座標系内の視点と各オブジェクトとの関係を示す図である。
【図10】背景オブジェクトの移動を示す図である。
【図11】背景テクスチャとマップデータとの関係を示す図である。
【図12】背景全体の背景テクスチャとマップデータとの関係を示す図である。
【図13】マップデータと特定領域との関係を示す図である。
【図14】パチンコ機における実際の表示態様を示す図である。
【図15】従来例におけるワールド座標系内の視点と背景オブジェクトとの関係を示す図である。
【図16】従来例における表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0035】
3次元の画像を表示する画像表示装置を備えた遊技機として、パチンコ機を例に採って説明する。図1は本実施例に係るパチンコ機の概略構成を示す正面図であり、図2はパチンコ機に備える制御基盤および画像表示手段としての画像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図であり、図3は画像表示装置の画像処理部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0036】
本実施例に係るパチンコ機は、パチンコ機の全体を制御する制御基盤1(図2参照)を備える遊技盤2と、遊技盤2が取り付けられた枠体3と、遊技盤2の下側に設けられた上受け皿4と、上受け皿4に貯留したパチンコ球を遊技盤2の盤面に発射する図示しない発射装置が連結された回転式ハンドル5と、上受け皿4の下側に設けられた下受け皿8と、遊技者が遊技状態を識別する識別図柄、およびその遊技状態における演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄である補助図柄等を表示する液晶モニタ6の表示画面6aが遊技盤2の盤面のほぼ中央に配置されるように搭載された画像表示装置7(図2参照)とを備えている。なお、表示画面6aには、所定の模様が描かれた背景上で1または複数個の識別図柄および補助図柄の変動(移動,回転,変形等)が、遊技機における遊技状態に応じて表示される。識別図柄とはパチンコ機における大当たりやリーチ等を遊技者に認識させるためのいわゆる図柄番号または図柄番号が付けられた図柄の画像をいい、補助図柄とは大当たりやリーチ等においてその演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄の画像をいう。また、大当たりとは、多数個のパチンコ球を取得できる遊技者に有利な状態をいい、通常の遊技状態とは、パチンコ球を消費する遊技者に不利な状態をいう。通常の遊技状態時に表示される識別図柄等の変動を通常変動といい、大当たりの発生の有無に関係なく、大当たりが発生するかのような演出(大当たりが発生する場合も含む)を行うための変動をリーチという。また、大当たり時には、後述するラウンドごとの表示態様が表示される。さらに、パチンコ機における遊技が行われていない場合にはデモンストレーションなどの表示が行われる。本発明における図柄は、識別図柄や補助図柄を含む概念である。
【0037】
遊技盤2には、回転式ハンドル5によって発射されたパチンコ球を盤面に案内するレール2aと、パチンコ球を不特定箇所に誘導する複数本の図示しないクギと、クギによって誘導されてきたパチンコ球が入賞する複数個の入賞口2bと、遊技盤2のほぼ中央付近に誘導されてきたパチンコ球が入賞する始動口2cと、特定の遊技状態において比較的多数のパチンコ球を一時に入賞させることができる大入賞口2dとが設けられている。各入賞口2b、始動口2cおよび大入賞口2d内には、パチンコ球の入球を検出する入賞検出センサ11(図2参照)がそれぞれ設けられている。入賞検出センサ11がパチンコ球の入球を検出すると、遊技盤2に備える制御基盤1によって所定個数のパチンコ球が上受け皿4に供給される。また、始動口2c内には、始動開始センサ12(図2参照)が設けられている。さらに、大入賞口2dには、開閉式ソレノイド13(図2参照)が設けられており、この開閉式ソレノイド13の動作によって、大入賞口2dが開閉自在に構成されている。なお、上述したものの他に始動口2cに入球したパチンコ球の個数を記憶する例えば保留ランプ等を備えるが、この実施例ではその説明を省略する。
【0038】
上受け皿4は、受け皿形状になっており、パチンコ球が供給される球供給口4aから供給されたパチンコ球を貯留する。また、球供給口4aが配置された上受け皿4の反対側には、パチンコ球をレール2aに向けて発射する発射装置に連通する図示しない球送り口が設けられている。さらに、上受け皿4の上部には、貯留したパチンコ球を下受け皿8に移すための球抜きボタン4bが設けられており、この球抜きボタン4bを押すことで、上受け皿4に貯留したパチンコ球を下受け皿8に移すことができる。下受け皿8は、受け皿形状になっており、上受け皿4から移されてきたパチンコ球を受け止める。なお、下受け皿8には、その中に貯留したパチンコ球を抜く図示しない球抜きレバーが設けられている。
【0039】
回転式ハンドル5には、パチンコ球をレール2aに向けて発射する発射装置が連結されている。回転式ハンドル5を回転させることにより、発射装置はその回転量に応じた強さでパチンコ球を発射する。なお、遊技者が回転式ハンドル5を回転させた状態で保持することにより、発射装置はパチンコ球を所定の間隔ごとに一個ずつ発射する。
【0040】
図2に示すように、遊技盤2に備える制御基盤1は、メモリおよびCPU等で構成されるマイクロコンピュータである主制御部16と、遊技機における遊技状態を決定する値を出力するカウンタ14と、始動口2c(図1参照)でパチンコ球の入球を検出する始動開始センサ12と、入賞口2b等(図1参照)でパチンコ球の入球を検出する入賞検出センサ11と、大入賞口2d(図1参照)を開閉する開閉式ソレノイド13と、画像表示装置7のI/F(インターフェイス)17に情報流通可能に接続されるI/F(インターフェイス)15などを備えて構成されている。この制御基盤1は、上述した入賞口2bや始動口2cの球検出センサの検出に基づいて所定量のパチンコ玉を供給したり、図示しないランプやスピーカを作動させたりする各種のイベントを実行するものである。また、制御基盤1は、遊技状態に応じた表示態様を指示するための各種のコマンドをI/F15を通じて画像表示装置7に送信する。
【0041】
具体的に、制御基盤1で行なわれる処理について図4に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0042】
ステップS1(入球を検出)
遊技者は、回転式ハンドル5によってパチンコ球を遊技盤2内に打ち込み、パチンコ遊技を開始する。遊技盤2内に打ち込まれた一部のパチンコ球は盤面の中央付近まで導かれ、始動口2cに入球する。パチンコ球が始動口2cに入球すると、始動口2c内に入球した球を検出する始動開始センサ12は、始動開始信号を主制御部16に送るとともに、始動口2c内に設けられた入賞検出センサ11は、入賞信号を主制御部16に送る。なお、この実施例では、始動開始センサ12と入賞検出センサ11とは、同一のセンサによって併用される。また、入賞口2bにパチンコ球が入球した場合にも、各入賞口2bの入賞検出センサ11は、入賞信号を主制御部16に送る。
【0043】
ステップS2(パチンコ球を供給)
主制御部16は、入賞検出センサ11からの入賞信号を検出すると、図示しないパチンコ球供給機構を稼働させて、所定数量のパチンコ球を球供給口4aを通じて上受け皿4に供給する。
【0044】
ステップS3(大当たり抽選)
主制御部16は、始動開始センサ12からの始動開始信号を検出すると、カウンタ14の出力値を読取り、大当たり抽選を行う。大当たり抽選では、カウンタ14の出力値が所定値であれば、「大当たり」を発生させる。一方、カウンタ14の出力値が所定値以外であれば、「はずれ」である通常の遊技状態を継続する。
【0045】
ステップS4(コマンドを送信)
主制御部16は、通常の遊技状態または特定の遊技状態に応じた表示態様を決定し、その表示態様に応じたコマンドをI/F15を介して画像表示装置7に送信する。コマンドは、画像表示装置7に所定の表示プログラムを実行させる命令であり、その表示プログラムの実行により遊技状態に応じた表示パターンが表示画面6aに表示される。例えば、大当たりの場合には、主制御部16は、所定のリーチの開始を指示するコマンドを送信し、所定時間経過後に、そのリーチの最終段階で停止させる大当たりの識別図柄の種類を指示するコマンドを送信する。これにより、画像表示装置7の表示画面6aには、コマンドで指示された種類のリーチが表示された後に、さらにコマンドで指示された種類の大当たりの識別図柄で停止するように表示される。このとき、主制御部16は、表示画面6aにおいて大当たりの識別図柄の停止が表示された後に、開閉式ソレノイド13に開放信号を与えて大入賞口2dを開放して、遊技者が多数個のパチンコ球を取得できる状態にする。さらに、この遊技状態において、制御基盤1は例えば約10個の球が大入賞口2dに入賞したのを1ラウンドとして、そのラウンドが終了するたびにそのラウンドの終了または次のラウンドの開始を指示するコマンドを画像表示装置7に送信する。これにより、表示画面6aには、ラウンドごとに異なるパターンの表示態様が表示される。一方、ハズレの場合には、リーチの最終段階で停止させるハズレの識別図柄の種類を指示するコマンド、または通常の遊技状態時に変動されている識別図柄をハズレの識別図柄で停止させるためのコマンドを画像表示装置7に送信する。これにより、表示画面6aには、リーチを表示した後にハズレの識別図柄で停止するように、または通常変動後にハズレの識別図柄で停止するように表示される。
【0046】
ステップS5(新たな入球検出があるかどうか)
主制御部16は、始動開始センサ12からの新たな始動開始信号の有無(新たな入球)を検出するまで待機する。新たな始動開始信号がなければ、この処理を終了して新たな始動開始信号が検出されるまで待機する。上述したステップS1〜S5を実行する制御基盤1は、本発明における遊技状態発生手段に相当する。なお、識別図柄の変動(リーチ、通常変動等)中にパチンコ球の入球を始動開始センサ12が検出し、その入球したパチンコ球の個数を記憶する上述で説明を省略した保留ランプが点灯している場合には、その保留ランプの点灯を新たな始動開始信号として検出する。新たな始動開始信号があれば、ステップS2〜S4を繰り返し行なう。
【0047】
画像表示装置7は、図2に示すように、制御基盤1から送られてきたコマンドを受信するI/F17と、そのコマンドに基づいてワールド座標系に設定される3次元情報又は単位3次元情報であるオブジェクト、そのオブジェクトの模様の画像情報又は単位画像情報であるテクスチャおよび最背面画像を記憶するキャラクタ記憶部18と、受信したコマンドに応じたプログラムを実行して、ワールド座標系にオブジェクトを設定するとともに、そのオブジェクトにテクスチャを貼付けた表示画像を生成する3次元画像処理部19と、3次元画像処理部19で生成された表示画像を一時的に記憶する画像記憶部20と、その表示画像を表示する液晶モニタ6とを備えている。なお、ワールド座標系とは、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系である。オブジェクトとは、ワールド座標系に設定される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼付ける画像情報であり、テクスチャがオブジェクトに貼付けられることにより、オブジェクトに対応する画像、例えば識別図柄や補助図柄や補助画像としての背景が生成される。
【0048】
I/F17は、制御基盤1のI/F15に情報流通可能に接続されており、制御基盤1から送られてくるコマンドを受信するものである。I/F17は、受信したコマンドを3次元画像処理部19に順次渡す。
【0049】
キャラクタ記憶部18は、3次元画像処理部19から適宜読み出される3次元情報であるオブジェクトおよびそのオブジェクトの2次元の画像情報であるテクスチャなどを記憶するメモリである。具体的には、キャラクタ記憶部18には、液晶モニタ6の表示画面6aに表示される背景例えば海底の珊瑚礁の模様の構成する複数種類の背景テクスチャと、大当たり時の当たり識別図柄例えば魚の模様の図柄テクスチャと、大当たりのラウンドの回数を示すラウンド表示図柄のテクスチャと、そのラウンド時に演出用に表示される補助図柄例えば海亀の模様のテクスチャなどの種々のテクスチャが記憶されている。また、キャラクタ記憶部18には、各テクスチャが貼付けられる1または複数のポリゴンで構成された背景オブジェクトおよび図柄オブジェクトなども記憶されている。さらに、キャタクタ記憶部18には、表示画面6aの最背面に表示するための2次元の最背面画像も記憶されている。これら各オブジェクト、テクスチャおよび最背面画像は3次元画像処理部19によって適宜読み出される。なお、キャラクタ記憶部18は、本発明における背景オブジェクト情報記憶手段および図柄オブジェクト情報記憶手段に相当する。
【0050】
3次元画像処理部19は、画像表示装置の全体を制御管理するCPU(中央演算処理装置)、CPUにおける演算結果を適宜記憶するメモリおよび液晶モニタ6に出力する画像を生成する画像データプロセッサなどで構成されるものである。3次元画像処理部19は、コマンドに応じた表示態様を実現するために、3次元の仮想空間であるワールド座標系内に視点およびキャラクタ記憶部18から読み出した各種のオブジェクトを設定し、そのオブジェクトを移動させたり、視点を変位させる。さらに、いわゆるジオメトリ演算処理を行い、ワールド座標系内のオブジェクトを視点に基づく投影平面に投影した2次元座標情報である投影情報を生成する。その投影情報に基づいて、画像記憶部20に設けられたフレームバッファ内における各オブジェクトの各ポリゴンの頂点に相当する位置、すなわちフレームバッファ内のアドレスを求め、キャラクタ記憶部18から読み出したテクスチャを各オブジェクトの各ポリゴンの頂点に合うように変形させて、そのテクスチャをフレームバッファ内の各アドレスを基準にして描画する。全てのオブジェクトへのテクスチャの描画が終了して、画像記憶部20のフレームバッファ内に表示画像が生成されると、その表示画像を液晶モニタ6に出力する。なお、3次元画像処理部19は、本発明における移動配置手段、テクスチャ更新手段、図柄オブジェクト配置手段および表示画像生成手段に相当する。
【0051】
具体的には、3次元画像処理部19は例えば次のように構成されている。以下、3次元画像処理部19の一例について図3を参照しながら詳細に説明する。
【0052】
図3に示すように、3次元画像処理部19は、CPU21と、CPU21によって実行されるプログラムを記憶したプログラムROM22と、プログラムの実行によって得られたデータを記憶するワークRAM23と、CPU21の指示によってワークRAM23に記憶したデータを一括して転送するDMA24と、DMA24によって転送されたデータを受信するI/F25と、そのI/F25によって受信したデータに基づいて座標演算処理を行うジオメトリ演算処理部26と、I/F25によって受信したデータ等に基づいて表示画像を生成するレンダリング処理部27と、レンダリング処理部27に色情報を与えるパレット処理部28と、画像記憶部20内に設けられた複数のフレームバッファを切り換えるセレクタ部29と、表示画像を液晶モニタ6に出力するビデオ出力部30とを備えている。また、上述したCPU21とプログラムROM22とワークRAM23とDMA24とI/F25とは同一のデータバスに接続されており、オブジェクトおよびテクスチャ等を記憶したキャラクタ記憶部18は、上述したデータバスとは独立したデータバスを介してジオメトリ演算処理部26およびレンダリング処理部に接続されている。
【0053】
プログラムROM22は、遊技機に電源が投入された際にCPU21によって最初に実行されるプログラムや、制御基盤1から送られてくるコマンドの種類に応じた表示を行うための複数種類のプログラムなどを記憶したものである。表示を行うためのプログラムは、例えば予め用意されたテーブルを参照したり、参照したデータに演算処理を施すことで、コマンドに応じた表示態様を実現するためにワールド座標系にオブジェクトおよび視点を設定するための設定情報を導出するものである。表示プログラムには、単独で実行されるプログラムだけでなく、例えば複数個のタスクを組み合わせることで、コマンドの種類に応じた表示を行うためのタスクを生成するようなものも含まれる。また、設定情報は、ワールド座標系内に設定するオブジェクトの配置位置を指示する配置座標データ、そのオブジェクトの姿勢を指示する姿勢データ、ワールド座標系内に設定する視点の配置位置を指示する配置座標データ、その視点に基づく視線を回転するための回転データ、キャラクタ記憶部18内に記憶されたオブジェクトやテクスチャや最背面画像の格納アドレスなどを含むデータであるとともに、表示画面6aに表示する一画面分の表示画像を生成するためのデータである。さらに、このプログラムROM22には、ワールド座標系に配置した背景オブジェクトを構成するポリゴンに貼付ける背景テクスチャを指示する配置データとしてのマップデータも記憶されている。後で詳細に説明するがこのマップデータは、表示画面6aに表示される全背景、例えば表示画面6aに表示される珊瑚礁の全模様を複数種類の背景テクスチャによって構成するとともに、背景オブジェクトを構成するポリゴンに貼付ける背景テクスチャを関連付けて指示するためのデータである。なお、プログラムROM22は、本発明におけるマップデータ記憶手段に相当する。
【0054】
CPU21は、プログラムROM22に記憶された制御プログラムによって画像表示装置2の全体を管理・制御する中央演算処理装置であり、主に、制御基盤1から送られてきたコマンドに応じたプログラムを実行することで、表示画面6aに表示される背景が連続して移動するように、ワールド座標系内にオブジェクトおよび視点を設定する処理などを行うものである。具体的には、CPU21は、I/F17によって受信したコマンドの種類に応じて、そのコマンドに対応する表示を行うための表示プログラムを実行して得られた設定情報をワークRAM23に順次書き込み、所定の割り込み間隔(例えば1/30秒や1/60秒)ごとに、ワークRAM23内の設定情報の転送をDMA24に指示するものである。
【0055】
ワークRAM23は、CPU21によって得られた実行結果である設定情報を一時的に記憶するものである。また、DMA24は、CPU21での処理を介さずワークRAM23内に記憶されたデータを転送することができる、いわゆるダイレクトメモリアクセスコントローラである。つまり、DMA24は、CPU21からの転送開始の指示に基づいて、ワークRAM23に記憶された設定情報を一括してI/F25へ転送する。
【0056】
I/F25は、DMA24によって転送されてきた設定情報を受信する。I/F25は、設定情報に含まれる、キャラクタ記憶部18に記憶されたオブジェクトの格納アドレスや、オブジェクトをワールド座標系に配置するため配置座標データや、視点を設定する視点データや、その視点に基づく視線を回転させる回転データなどの座標演算の対象となるデータをジオメトリ演算処理部26に与えるとともに、設定情報に含まれる、キャラクタ記憶部18に記憶されたテクスチャなどの格納アドレスなどの画像描画の対象となるデータをレンダリング処理部27に与える。さらに、I/F25は、設定情報に含まれているテクスチャの色情報を指定するためのカラーパレットデータをパレット処理部28に与える。
【0057】
ジオメトリ演算処理部26は、I/F25から与えられたデータに基づいて、3次元の座標点の移動や回転等に伴う座標演算処理を行うものである。具体的には、ジオメトリ演算処理部26は、キャラクタ記憶部18内に記憶されたオブジェクトの格納アドレスに基づいて、ローカル座標系に配置された複数のポリゴン構成されたオブジェクトを読み出し、そのオブジェクトを姿勢データおよび配置座標データに基づいてワールド座標系に設定した際のワールド座標系におけるオブジェクトの各ポリゴンの座標データを算出する。ローカル座標系とは、基準の姿勢のオブジェクトが設定されるオブジェクト独自の座標系である。さらに、視点データおよび回転データに基づいて設定される視点を基準とする視点座標系におけるオブジェクトの各ポリゴンの座標データを算出する。さらに、視点に基づく視線に垂直に設定された投影平面にオブジェクトを投影した際の投影平面上のオブジェクトの各ポリゴンの2次元の座標データである投影情報を算出する。そして、ジオメトリ演算処理部26は、投影情報をレンダリング処理部27に与える。
【0058】
パレット処理部28は、CPU21によって例えば初期化時に予め書き込まれた複数種類の色情報であるカラーパレットを保持する図示しないパレットRAMを備えており、I/F25から与えられたカラーパレットデータに応じたカラーパレットをレンダリング処理部27に与えるものである。なお、色情報は、赤色(R),緑色(G),青色(B)の組合せによって決定されるものである。カラーパレットを与えるとは、例えばパレットRAMに記憶されたカラーパレットの格納アドレスをレンダリング処理部27に与えることをいい、レンダリング処理部27は、表示画像を生成する際にその格納アドレスに記憶された色情報を参照する。
【0059】
レンダリング処理部27は、まず、キャラクタ記憶部18内の最背面画像の格納アドレスに基づいて最背面画像を読み出し、その最背面画像を画像記憶部20内に設けられたフレームバッファ内に描画し、そのフレームバッファ内に投影情報に基づくオブジェクトの各ポリゴンを展開する。さらに、レンダリング処理部27は、キャラクタ記憶部18内のテクスチャの格納アドレスとカラーパレットデータに基づいて、キャラクタ記憶部18から読み出したテクスチャをフレームバッファ内の各ポリゴンに相当する領域上に描画する。これにより、フレームバッファ内には、最背面画像上に背景の模様や各種の図柄の模様が描画された、所定の縦横比例えば縦横比が3:4の表示画像が生成される。なお、上述したジオメトリ演算処理部26およびレンダリング処理部27では、画面に表示する部分を決定するクリッピング処理、ポリゴンの前後関係によって見える部分と見えない部分とを判定する隠面処理、光源からの光の当たり具合や反射の様子を演算するシェーディング計算処理などの処理も適宜行われる。
【0060】
セレクタ部29は、複数のフレームバッファを適宜選択するものである。具体的には、セレクタ部29は、上述したレンダリング処理部27によって画像の描画が行われる際には、画像記憶部20内に設けられた複数のフレームバッファである例えば第1フレームバッファまたは第2フレームバッファのいずれか一方を選択する。この場合には、その選択されている側のフレームバッファ内に表示画像が生成される。一方、セレクタ部29は、描画が行われていない側のフレームバッファから既に表示画像の生成が終わっている表示画像を読み出し、その表示画像をビデオ出力部30に送る。なお、セレクタ部29は、読み出し側のフレームバッファと、描画側のフレームバッファとを順次切り換える。ビデオ出力部30は、セレクタ部29から送られてきた表示画像をビデオ信号に変換して液晶モニタ6に出力する。
【0061】
画像記憶部20は、レンダリング処理部27によって生成される表示画像を記憶するいわゆるビデオRAMである。画像記憶部20には、例えば一画面分の表示画像を記憶する記憶領域である第1フレームバッファと、第2フレームバッファとが設けられたいわゆるダブルバッファを構成している。なお、画像記憶部20に設けるフレームバッファは、2つに限定されるものではなく、1つ以上であれば幾つでもよい。
【0062】
液晶モニタ6は、ビデオ出力部30から出力された表示画像を表示する画面6aを備えており、その画面6aが遊技盤2の盤面に露出するように取り付けられている。その表示画面6aは例えば縦横比が9:16のいわゆるワイド画面であり、液晶モニタ6は、ビデオ出力部30から出力されてきた縦横比が3:4の表示画像を表示画面6aの縦横比に合わせて、表示画面6aに表示画像を表示する。液晶モニタ6は、本発明における表示手段に相当する。なお、表示画像を表示するための表示手段は液晶モニタに限定されるものではなく、例えばCRTモニタやプラズマディスプレイモニタなどでもよい。また、液晶モニタ6には、縦横比が3:4の表示画像をそのまま表示する機能をも備えており、遊技状態に応じて表示画面6aに表示される表示画像の縦横比を適宜変化させることもできる。なお、液晶モニタ6は、本発明における表示手段に相当する。
【0063】
ここで、本発明は、遊技機または画像表示装置における処理負担を比較的低くするとともに、遊技者が仮想3次元空間内を移動するような臨場感を感じることができる表示態様を実現するために、遊技者が観察する表示画面6a上で背景の模様を例えば奥側から手前側にスムーズに移動(スクロール)してくる表示を行う。さらに、遊技機または画像表示装置のハード的な制約とは無関係に、表示画面6aに表示される背景の模様の切れ目なく無限に移動してくるようないわゆる無限スクロールを可能にするものである。以下の理解を容易にするために、まず、簡易な実施例を挙げて本発明の概要を説明する。
【0064】
図5(a)〜(e)に示すように、表示画面6aには背景の模様である「A,B,C,D,…」の文字が奥側から順次現れ、手前側へ移動してきて、表示画面6aの外側へ順次過ぎ去っていくような表示態様が表示される。遊技者がこのような背景の模様の移動を観察することで、仮想3次元空間内を奥に向かって進んでいるような臨場感を感じることができる。このような表示態様を実現するために、画像表示装置7では、図6に示すような処理が行われる。
【0065】
具体的には、図6(a)に示すように、例えば四角形ポリゴンR1〜R4が一列状に構成された背景オブジェクトOHをワールド座標系内の配置位置P1に配置するとともに、ワールド座標系内に配置された背景オブジェクトを表示画面6aに表示するための視点SPを所定の配置位置に配置する。その背景オブジェクトOHのポリゴンR1に「A」の文字が描かれたテクスチャT1を、ポリゴンR2に「B」の文字が描かれたテクスチャT2を、ポリゴンR3に「C」の文字が描かれたテクスチャT3を、ポリゴンR4に「D」の文字が描かれたテクスチャT4を、それぞれ貼付ける。それら各テクスチャT1〜T4を貼付けた背景オブジェクトOHを、図6(b)に示すように、配置位置P1から配置位置P2へ移動させる。この背景オブジェクトOHの移動の様子を表示画面6aに順次表示することで、図5(a)〜(c)の表示態様を表示する。なお、配置位置P1は本発明における第1配置位置に、配置位置P2は本発明における第2配置位置に相当する。
【0066】
さらに、図6(c)に示すように、背景オブジェクトOHを配置位置P2まで移動させると、その背景オブジェクトOHを配置位置P1に再び配置する。このとき、背景オブジェクトOHのポリゴンR1に「B」の文字が描かれたテクスチャT2を、ポリゴンR2に「C」の文字が描かれたテクスチャT3を、ポリゴンR3に「D」の文字が描かれたテクスチャT4を、ポリゴンR4に「E」の文字が描かれたテクスチャT5を、それぞれ貼付ける。すなわち、背景オブジェクトOHに貼付ける背景テクスチャを更新する。そして、各テクスチャT2〜T5が貼付けられた背景オブジェクトOHを、配置位置P1から配置位置P2へ再び移動させる。これにより、図5(c)〜(e)に示すような表示態様が表示される。上述した図6(a)〜(c)の処理を繰り返して、背景オブジェクトOHの各ポリゴンR1〜R4に貼付ける連続した模様の複数種類の背景テクスチャを順次更新することにより、表示画面6aには、背景の模様を例えば奥側から手前側にスムーズに移動(スクロール)し、さらに、背景の模様の切れ目なく無限に移動してくるようないわゆる無限スクロールを表示することができる。なお、上述した配置位置P1と配置位置P2との間の距離は各ポリゴンの幅分である。これは、テクスチャはポリゴン単位で貼付けるものであるので、ポリゴンの幅分だけ移動させてから、各ポリゴンに貼付けるテクスチャを順次更新することで、スムーズな表示を実現することができる。したがって、ポリゴンの幅分だけ最低限移動させることで、背景の模様がスムーズで無限に移動する様子を比較的軽い処理負担で表示することができる。
【0067】
以下、本実施例に係る画像表示装置7によって表示される表示態様について、図7を参照しながら詳細に説明する。
【0068】
上述した液晶モニタ6の表示画面6aには、制御基盤1から送られてきたコマンドに基づいて、例えば図7に示すような表示態様が表示される。この表示態様は、パチンコ機において大当たりが発生した後に表示されるラウンド表示の一態様である。以下、この表示態様について説明する。なお、本発明は、ラウンド時の表示態様に限定されるものではなく、例えばリーチ時、通常変動時またはデモンストレーション時の表示態様について適宜適用することもできる。
【0069】
図7(a)〜(d)に示すように、縦横比が9:16のワイド画面である表示画面6aには、大当たり時の8番目の識別図柄である識別図柄Z1aを含む大当たり識別図柄Z1と、2回目のラウンドを示すラウンド表示図柄Z2とが最前面に表示されている。識別図柄Z1aは、遊技中に大当たりが決定した際の識別図柄であり、この識別図柄Z1aは停止した状態で尾びれを振っているように表示される。また、ラウンド表示図柄Z2は、大当たりによるラウンドの回数を表示しており、ラウンドを重ねる度にその数字が加算されていくように表示される。大当たり識別図柄Z1とラウンド表示図柄Z2との間には、演出効果を高めるための補助図柄Z3が表示されており、この補助図柄Z3は、表示画面6aのほぼ中央で停止した状態で手足を上下に動かしながら泳ぐ海亀の模様が描かれた図柄である。さらに、補助図柄Z3の下方には、表示画面6aの奥側から手前側に向かって海底の珊瑚礁の連続した模様が移動してくるような背景Hが表示されている。したがって、表示画面6aには、海亀が海底付近を海中の奥に向かって泳ぎ続けるような表示態様が表示される。なお、この図7では現れないが、珊瑚礁の背景Hの境目が見にくくするような色合いの最背面画像が背景Hの背面側に表示されている。また、この実施例では、表示画面6aの奥方向に移動する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、手前方向,左右方向,上下方向などの各方向に移動する場合にも適用することができる。
【0070】
次に、上述した図7に示す表示態様を実現するために画像表示装置7で行なわれる処理を図8に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0071】
ステップT1(コマンドの把握)
I/F17は、制御基盤1から送られてくるコマンドを順次受信して、そのコマンドを3次元画像処理部19に順次渡す。3次元画像処理部19は、そのコマンドをワークRAM23に設けた図示しないコマンドバッファ内に記憶する。さらに、3次元画像処理部19は、液晶モニタ6からの割り込み処理があるたびに、コマンドバッファ内に記憶したコマンドを読み出し、そのコマンドに対応するプログラムROM22内のプログラムを実行する。そのプログラムの実行によって、3次元画像処理部19内では、以下のステップが実行される。なお、上述した割り込み処理は、液晶モニタ6の1/30秒または1/60秒ごとの例えば垂直走査信号に同期して行われる。
【0072】
ステップT2(ワールド座標系に視点を設定)
3次元画像処理部19は、複数個のオブジェクトを配置するための仮想3次元空間に相当するワールド座標系を設定する。次に、ワールド座標系内の様子を液晶モニタ6の表示画面6aに表示するための視点をワールド座標系内に設定する。視点は、ワールド座標系内の所定方向、例えばオブジェクトが設定されている空間の方向を向くような視線をz軸とする座標系の基準点である。具体的には、図9に示すように、3次元画像処理部19は、プログラムによって導出される視点を配置するためのワールド座標系内の座標値および視線の方向を決定するための回転データに基づいて、視線が例えば後述する各図柄オブジェクトに向く視点SPを設定する。この視点SPからの視線が向いた方向のワールド座標系内の様子が液晶モニタ6の表示画面6aに表示される。なお、この実施例では、ワールド座標系内の所定の位置に固定した視点SPについて説明するが、割り込み処理ごとにその値が変化するような座標値および回転データに基づいて、その視点SPの位置および視線が変位するような視点SPを設定することもできる。
【0073】
ステップT3(図柄オブジェクトを配置)
3次元画像処理部19は、表示画面6aに大当たり識別図柄Z1を表示するための3次元情報である図柄オブジェクトOZ1と、ラウンド表示図柄Z2を表示するための3次元情報である図柄オブジェクトOZ2と、海中を泳ぐ海亀の模様の補助図柄Z3を表示するための3次元情報である図柄オブジェクトOZ3とをキャラクタ記憶部18からそれぞれ読み出す。さらに、3次元画像処理部19は、各図柄Z1〜Z3が図7で図示した表示画面6a上の各位置に表示されるように、図柄オブジェクトOZ1、OZ2を視点SPを基準とする配置位置に、図柄オブジェクトOZ3をワールド座標系の原点を基準とする配置位置にそれぞれ配置する。また、3次元画像処理部19は、割り込み処理があるたびに、各図柄オブジェクトOZ1〜OZ3を同じ配置位置に配置することにより、表示画面6a上の所定位置に常に各図柄Z1〜Z3を表示することができる。なお、各図柄オブジェクトOZ1〜OZ3の配置位置を順次更新することにより、表示画面6a上で各図柄Z1〜Z3が移動するように表示させることもできる。また、図柄オブジェクトOZ1,OZ2を視点SPを基準として配置するのは、視点SPが変位した場合にも、表示画面6aの一定の位置に表示させるためである。
【0074】
さらに、3次元情報処理部19は、割り込み処理ごとに各図柄オブジェクトOZ1,OZ3の形態を変動させる。具体的には、大当たり識別図柄Z1の図柄オブジェクトOZ1は、識別図柄Z1aが表示される図柄オブジェクトを含んでおり、その図柄オブジェクトは、例えば魚の頭部を表示する頭部オブジェクトと、魚の胴体部を表示する胴体部オブジェクトと、魚の尾びれ部を表示する尾びれ部オブジェクトとが所定の連結点で連結されて構成されている。3次元画像処理部19は、識別図柄の図柄オブジェクトの各部オブジェクトをそれぞれ連結点を中心に割り込み処理ごとに左右に揺動変位させる。これにより、表示画面6aには、所定の位置で停止した状態で魚が泳ぐような動作を表示することができる。また、補助図柄Z3の図柄オブジェクトOZ3は、海亀の胴体が表示される胴体オブジェクトと、その胴体オブジェクトと所定の連結点で連結された海亀の手足がそれぞれ表示される四本の手足オブジェクトとを備えて構成されている。3次元画像処理部19は、それら各連結点を中心に割り込み処理ごとに胴体オブジェクトに対して各手足オブジェクトを上下に揺動変位させる。これにより、表示画面6aには、所定の位置で停止した状態で海中を泳ぐような動作を表示するさせることができる。なお、各図柄オブジェクトOZ1〜OZ3は、所定の形状をしているが、図9では便宜上各図柄オブジェクトの形態を球体形状として図示している。ステップT3は、本発明における図柄オブジェクト配置手段の機能に相当する。
【0075】
ステップT4(背景オブジェクトを配置)
3次元画像処理部19は、表示画面6aに海底の珊瑚礁の模様を表示するための複数のポリゴンで構成された背景オブジェクトOHをキャラクタ記憶部18から読み出し、その背景オブジェクトOHをワールド座標系内の配置位置P1に配置する(図9参照)。背景オブジェクトOHは、例えば9枚の四角形ポリゴンが平面的に並べられて構成されている。さらに、図10に示すように、3次元画像処理部19は、その背景オブジェクトOHを配置位置P1から配置位置P2へ向けて割り込み処理ごとに順次移動させるとともに、背景オブジェクトOHが配置位置P2に到達すると、その背景オブジェクトOHを再び配置位置P1に配置する処理を繰り返し行う。なお、ステップT4は、本発明における移動配置手段の機能に相当する。
【0076】
ステップT5(視点座標系を変形補正)
3次元画像処理部19は、ワールド座標系を視点SPを基準すなわち原点とする視点座標系に変換する。これにより、ワールド座標系に配置された図柄オブジェクトOZ1〜OZ3および背景オブジェクトOHの座標値が、視点座標系における座標値に変換される。ここで、レンダリング処理部27によってフレームバッファ内に生成される表示画像の縦横比は3:4であるので、この表示画像を縦横比が9:16の表示画面6aに表示すると、表示画像が間延びした画像となるという弊害が生じる。そこで、表示画像の縦横比と、表示画面の縦横比とをに応じて、視点座標系を変形補正することにより、その視点座標系内に配置された各図柄等を変形させる。
【0077】
具体的には、3次元画像処理部19は、視点座標系を変形補正するための変形補正データを算出する。この変形補正データは、背景オブジェクトOHおよび図柄オブジェクトOZ1〜OZ3(以下、適宜「図柄オブジェクト等」とよぶ)の縦幅または横幅を拡大もしくは縮小するための倍率値である。変形補正データは、表示画面6aの縦横比をA:B、表示画像の縦横比をa:bとすると、次式(1)によって算出することができる。なお、次式(1)で算出される変形補正データは、表示画像の縦倍率を基準にして、その横幅を画面に合わせて変形した場合には、図柄オブジェクト等の横幅を変形補正するための倍率値である。また、表示画像の横倍率を基準にして、その縦幅を画面に合わせて変形した場合には、前記変形補正データの逆数が図柄オブジェクト等の縦幅を変形補正するための倍率値である。
【0078】
(A×b)÷(a×B) …(1)
フレームバッファ内に生成される表示画像の縦横比が3:4であり、表示画面6aの縦横比が9:16である場合には、表示画面6aには表示画像の縦横比が9:16で表示されるので、表示画像の横幅が4/3倍に拡大されたように表示される。このとき、表示画像に含まれる図柄オブジェクト等の図柄等の横幅も4/3倍に拡大される。ここで、式(1)に表示画像および表示画面6aの縦横比の各値を代入することで、図柄オブジェクト等の横幅を4分の3倍(以下、「3/4倍」と示す)に縮小する倍率値の変形補正データを算出する。さらに、3次元画像処理部19は、変形補正データに基づいて視点座標系の横方向(x軸方向)を3/4倍に縮小する。その結果、背景オブジェクトOHおよび各図柄オブジェクトOZ1〜OZ3は、視点座標系のx軸方向に3/4倍に縮小される。
【0079】
ステップT6(投影平面に投影)
3次元画像処理部19は、視点SPと、図柄オブジェクトOZ1および図柄オブジェクトOZ2との間に、視点座標系の視線方向であるz軸に垂直な投影平面SCを設定する。投影平面SCは、視点座標系のz軸に垂直であり、z値が固定されているので、投影平面SC上では2次元の座標系として取り扱うことができる。この投影平面SCは、画像記憶部20内に設けられたフレームバッファに対応する領域を有している。
【0080】
さらに、3次元画像処理部19は、投影平面SCに図柄オブジェクトOZ1と、図柄オブジェクトOZ2とを平行投影する。これにより、各図柄オブジェクトOZ1,OZ2をそれぞれ構成する各ポリゴンの各頂点は、投影平面SCに平行移動するようにそのまま投影され、各頂点の3次元の座標値が投影平面SC上の2次元の座標値に変換される。一方、3次元画像処理部19は、投影平面SCに図柄オブジェクトOZ3と、背景オブジェクトOHとを透視投影する。これにより、図柄オブジェクトOZ3および背景オブジェクトOHをそれぞれ構成する各ポリゴンの頂点は、視点SP方向に移動するように投影され、各頂点の3次元の座標値が投影平面SC上の2次元の座標値に変換される。3次元画像処理部19は、全てのオブジェクトの投影が終了することにより、ワールド座標系内の各オブジェクトの投影情報を取得する。なお、図柄オブジェクトOZ1,OZ2を平行投影したのは、遊技者が大当たり識別図柄Z1とラウンド表示図柄Z2とを常に認識しすくなるためである。
【0081】
ステップT7(最背面画像の描画)
3次元画像処理部19は、キャラクタ記憶部18に記憶されている最背面画像を読み出し、その最背面画像を画像記憶部20内のフレームバッファ内に描画する。この最背面画像は、例えば海中の色合いであるとともに、後述する珊瑚礁の模様の境界線を目立たなくするための画像である。
【0082】
ステップT8(背景テクスチャの貼付け)
3次元画像処理部19は、プログラムROM22内からマップデータを読み出し、そのマップデータ上に背景オブジェクトOHに対応する特定領域を設定する。そして、背景オブジェクトOHが配置位置P2から配置位置P1に再び配置されるたびに、その特定領域内のデータを参照してそのデータで指示される背景テクスチャを、背景オブジェクトOHの各ポリゴンに貼付ける。
【0083】
ここで、マップデータおよび背景テクスチャについて、図11,図12を参照して説明する。表示画面6aには、奥側から手前側に移動してくる海底の珊瑚礁の模様が表示される。この珊瑚礁の模様の一つを構成する背景テクスチャを図11(a)に示す。図11(a)に示すように、一つの珊瑚礁の模様は、4枚の背景テクスチャTa,Tb,Tc,Tdによって構成されている。また、図11(b)に示すように、一つの珊瑚礁の模様に対応するマップデータは、ポリゴンに対する背景テクスチャTaの貼付けを指示する例えば「0」のデータと、背景テクスチャTbの貼付けを指示する例えば「1」のデータと、背景テクスチャTcの貼付けを指示する例えば「2」のデータと、背景テクスチャTdの貼付けを指示する例えば「3」のデータとから構成される。次に、表示画面6aに表示される全背景である回転の全ての珊瑚礁の模様の全体の背景テクスチャTHを図12(a)に示す。この全体の背景テクスチャTHは、複数個の背景テクスチャTa〜Tdで構成されるものであり、上下および左右の模様が連続するように構成されている。また、図12(b)に示すように、マップデータMDは、全体の背景テクスチャTHを構成するために、各背景テクスチャTa〜Tdを指示するための「0」〜「3」のデータを並べたものである。
【0084】
具体的には、まず、3次元画像処理部19は、ワールド座標系内に配置された視点SPを背景オブジェクトOHが配置される同一平面上に垂直に投影して(図9,図10参照)、その平面における視点Sの2次元の仮想座標点P3を求める。さらに、図13に示すように、3次元画像処理部19は、プログラムROM22内からマップデータMDを読み出すとともに、このマップデータMD上に仮想座標点P3を設定する。そして、視点SPの視線(z軸)方向に応じたオフセット値Lを算出し、その仮想座標点P3からオフセット値Lだけ離れた位置に、仮想中心座標点P4を設定する。オフセット値Lは、視線の回転角度データに基づいて算出されるものである。例えば、視線方向がワールド座標系の視点SPから遠い位置を向くような回転角度データである場合には、オフセット値Lは大きくなる一方、視線方向がワールド座標系の視点SPに近い位置を向くような回転角度データである場合には、オフセット値Lは小さくなるような値で算出される。さらに、視線方向が左右に回転するような場合には、その視線方向が左右に回転された分だけ、仮想座標点P3を中心として仮想中心座標点P4を回転させる。
【0085】
次に、3次元画像処理部19は、仮想中心座標点P4を中心として、背景オブジェクトOHが構成されるポリゴンと同数の背景テクスチャを含む特定領域TR(図中の斜線領域)を設定する。そして、マップデータMD上の特定領域TR内に含まれるデータに基づいて、背景オブジェクトOHの各ポリゴンに貼付ける背景テクスチャを決定する。
【0086】
次に、背景オブジェクトの各ポリゴンの各頂点の座標値に対応する画像記憶部20のフレームバッファ内のアドレス、すなわちフレームバッファ内の背景オブジェクトの各ポリゴンの位置を求める。そして、キャラクタ記憶部18から読み出した背景テクスタを各ポリゴンに貼付け、すなわち描画する。これにより、最背面画像上に海底の珊瑚礁の模様の背景Hが重ねられた表示画像が、フレームバッファ内に生成される。
【0087】
また、図13(a)〜(c)に示すように、3次元画像処理部19は、背景オブジェクトOHが配置位置P2から配置位置P1に再び配置されるたびに、マップデータMD上の仮想座標点P3をデータ単位、例えば単一のデータ分だけ移動させる。そして、その仮想座標点P3からオフセット値Lだけ離れた仮想中心座標点P4を中心とする特定領域TRに含まれるデータで指示される複数個の背景テクスチャを、再び配置位置P1に配置された背景オブジェクトの各ポリゴンに貼付ける。なお、図13(c)に示すように、特定領域TRが、マップデータMDからはみ出す場合には、その特定領域TRのはみ出した部分が反対側から周り込むように設定する。ステップT8は、本発明におけるテクスチャ更新手段の機能に相当する。
【0088】
ステップT9(図柄テクスチャの貼付け)
3次元画像処理部19は、投影情報に含まれる各図柄オブジェクトOZ1〜OZ3の各ポリゴンの各頂点の座標値に対応する画像記憶部20のフレームバッファ内のアドレス、すなわちフレームバッファ内の各図柄オブジェクトOZ1〜OZ3の各ポリゴンの位置を求める。そして、キャラクタ記憶部18から読み出した図柄テクスチャを各ポリゴンに描画する。これにより、最背面画像および海底の珊瑚礁の模様の背景H上に、大当たり識別図柄Z1とラウンド表示図柄Z2と補助図柄Z3とが重ねられた表示画像がフレームバッファ内に生成される。
なお、ステップT9は、本発明における表示画像生成手段の機能に相当する。
【0089】
ステップT10(表示)
3次元画像処理部19は、フレームバッファ内に生成された表示画像をビデオ出力部30を介して液晶モニタ6に出力する。液晶モニタ6は、割り込み処理ごとに3次元画像処理部19から送られてくる縦横比が3:4の表示画像を、縦横比が9:16の表示画面6aに合わせて順次表示する。その結果、図7(a)〜(d)に示した表示態様が表示される。
【0090】
上述した実施例によれば、比較的少ないポリゴン数で表示した背景の模様をスムーズに移動させることができ、さらに、無限にスクロールする背景の様子を表示できるので、少ない処理負担でより臨場感のある表示態様を実現することができる。
【0091】
なお、上述したステップでは、表示画面6aの奥方向に進む場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示画面6aの横方向、縦方向、斜め方向などの各方向に移動する背景について適用することができる。例えば、背景が横方向に移動する一例として、図14に示す本遊技機の実際の表示画像を参照しながら説明する。図14に示すように、表示画面6aには、大当たり識別図柄Z1とラウンド表示図柄Z2と補助図柄Z3と背景Hとが表示されている。図14(a)〜(c)に示すように、この補助図柄Z3は、海亀を側面から見た様子であり、その手足を上下に振って泳いでいる。また、このとき、海底の珊瑚礁の模様である背景Hは、表示画面6aの左側から右側に徐々に移動している。この表示態様における3次元画像処置部19は、ワールド座標系に配置した視点の正面に海亀の図柄オブジェクトを配置して、その配置位置で形態を変化させる。そして、背景オブジェクトを視点の視線を所定方向に横切るように繰り返し移動させ、その背景オブジェクトの背景テクスチャを適宜更新することにより、上述した表示態様における表示画像を生成している。その結果、海亀が海中を泳ぎ回る臨場感のある表示態様を表示する。
【0092】
また、上述した実施例では、複数の四角形ポリゴンで構成される単一の背景オブジェクトOHについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数個の背景オブジェクトOHを配置した場合にも同様に適用することができる。さらに、背景オブジェクトOHを単一の四角形または3角形などの多角形ポリゴンで構成することもできる。
【0093】
また、上述した実施例では、液晶モニタについて説明したが、例えば、液晶モニタの代わりにCRTモニタや、LEDモニタなどにすることもできる。
【0094】
また、上述した実施例では、遊技機としてパチンコ機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機、コインゲーム機、アケードゲーム機、家庭用ビデオゲーム機などの各種の遊技機に変形実施することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 … 制御基盤
6 … 液晶モニタ
6a… 表示画面
7 … 画像表示手段としての画像表示装置
18 … キャラクタ記憶部
19 … 3次元画像処理部
20 … 画像記憶部
OH … 3次元情報又は単位3次元情報としての背景オブジェクト
SP … 視点
MD … 配置データとしてのマップデータ
TH … 画像情報又は単位画像情報としての背景テクスチャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の遊技状態のいずれかを発生させる遊技状態発生手段と、前記遊技状態に応じて表示される各種図柄及び前記図柄とは別個の補助画像を含む表示画像を生成し表示する画像表示手段とを備えた遊技機において、
前記画像表示手段は、前記図柄及び補助画像に対応する3次元情報を所定の仮想3次元空間内に設定し、前記3次元情報に所定の画像情報を付すことにより、前記3次元情報に基づいた前記表示画像を生成するような構成とし、
前記画像表示手段は、少なくとも前記遊技状態の一時期において、前記補助画像に対応する3次元情報を所定の設定位置から少なくとも所定方向に所定量移動させ、前記所定量の移動の終了とともに、前記補助画像に対応する3次元情報を前記所定の設定位置に再設定する処理を繰り返し行い、
前記再設定を行う毎に、前記補助画像に対応する画像情報を付す位置が、前記補助画像に対応する3次元情報に対して前記所定方向に移動していくように前記補助画像に対応する画像情報を更新することにより、
前記表示画像の一部が前記所定方向に移動する表示態様となる表示画像を生成することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−221045(P2010−221045A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107178(P2010−107178)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【分割の表示】特願2000−190695(P2000−190695)の分割
【原出願日】平成12年6月26日(2000.6.26)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】