説明

遊技機

【課題】遊技機の電飾の輝度データを削減する。
【解決手段】それぞれ異なる第1色、第2色、第3色で発光する第1色発光素子、第2色発光素子及び第3色発光素子を含む電飾装置と、前記発光素子を点滅させるための輝度情報を予め記憶する輝度情報記憶部と、前記輝度情報記憶部の輝度情報を読み出して出力する輝度情報読出部と、前記輝度情報読出部の出力を所定時間遅延させる第1遅延手段と、前記輝度情報読出部の出力を前記第1遅延手段とは異なる時間遅延させる第2遅延手段と、前記輝度情報読出部の出力に基づき前記第1色発光素子を点灯させる第1色点灯制御部と、前記第1遅延手段の出力に基づき前記第2色発光素子を点灯させる第2色点灯制御部と、前記第2遅延手段の出力に基づき前記第3色発光素子を点灯させる第3色点灯制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電飾装置を備えるスロットマシンやパチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機にはメダルの投入口が設けられており、遊技者は所定の枚数のメダルを投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要なメダルは、遊技ホール内に設けられたメダル貸機等で借りることができ、所望の遊技機のメダル投入口に投入することによりゲームを開始することができる。
【0003】
従来の遊技機の動作は次のようなものであった。
先ず、スタートスイッチが操作されることにより、スタートスイッチがONとなる。これを受けて遊技機内部の当選判定手段により抽選処理が行われる。ここで所定の役に当選すると当選フラグがセットされる。回転リールの回転が開始する。ストップスイッチが操作されることにより、ストップスイッチがONとなる。そして、対応する回転リールの回転が停止する。全部の回転リールに対応するストップスイッチの操作が行われた後、当選フラグ成立中に当該当選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。入賞が確定したと判定された場合、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0004】
抽選処理の評価が例えば外れの場合は所定の図柄が揃わないように設定され(いわゆる蹴飛ばし)、当たりの場合はストップスイッチが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように設定される(いわゆる引き込み)。つまり、抽選処理において当選しているときのみ所定の条件の下で図柄が揃い入賞することにより、メダルが払い出されるが、当選しないときはストップスイッチをどのように操作してもメダルが払い出されることはない。これはメダルの払い出しを一定確率に保つためである。これを実現するため抽選処理において乱数発生器が用いられている。
【0005】
また、スロットマシンなどの遊技機は、演出表示を行うためのLEDなどの発光素子を含む電飾装置(電飾)を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-252400号公報 緑色LED素子、青色LED素子、赤色LED素子の点灯デューティ比をそれぞれ独立して制御することにより、その混合発光色が見掛け上連続的に変化するように見せる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電飾装置は白色光だけでなく、赤・緑・青の三原色を用いてカラフルな点滅を行うことがある。このために、電飾装置は、赤色発光素子(赤色LED)、緑色発光素子(緑色LED)、青色発光素子(青色LED)の3種類の発光素子(例えばフルカラーLED)を備え、それらの輝度を調整しつつ三原色を合成することでさまざまな発色を得ている。
【0008】
カラフルな点滅を行うためには、3種類の発光素子それぞれについてそれらの光の強さを適宜調整する必要がある。発光強度は電流値あるいは点滅のデューティ比で調整できる。点滅を行うために時間的に変化する信号を用いるが、その際の電流値を調整するかあるいはデューティ比を調整する。そして、当該信号を3種類の発光素子それぞれについて用意する。言うまでもなく3種類の信号は互いに異なるものである(同じであれば電飾装置の発光は白色となり、カラフルなものとはならない)。
【0009】
言い換えれば、電飾装置によりカラフルな演出を行うためには、3種類の互いに異なる発光パターンを予め用意しておく必要がある。発光パターンをデジタルデータで用意する場合において、カラフルな演出を行うためには、単なる点滅を行う場合に比べて、3倍のデータを用意しなければならない。
【0010】
ところで、遊技機のメモリの容量には制限があり、むやみにプログラムやテーブルを増やすことができない。したがって、3種類の発光パターンのデータをひとつにまとめることができれば大変好ましいが、そのようなやり方は知られていなかった。カラフルな発光とは特定の色彩ではなく、さまざまな発光色の組み合わせのことである。この点を考慮すると三原色の発光強度を個別にかつ特定の発色をするように厳密に規定する必要はない。カラフルな演出は、さまざまな発光色が存在し、それが時間的に変化することであると考えられるから、そのような演出を遊技機において実現するためは、色彩を正確に再現する必要のある液晶表示装置におけるやり方とは別の好適なやり方があると思われる。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、従来よりもデータ量を削減しつつ、電飾によるカラフルな演出を提供することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る遊技機は、それぞれ異なる第1色、第2色、第3色で発光する第1色発光素子、第2色発光素子及び第3色発光素子を含む電飾装置と、前記発光素子を点滅させるための輝度情報を予め記憶する輝度情報記憶部と、前記輝度情報記憶部の輝度情報を読み出して出力する輝度情報読出部と、前記輝度情報読出部の出力を所定時間遅延させる第1遅延手段と、前記輝度情報読出部の出力を前記第1遅延手段とは異なる時間遅延させる第2遅延手段と、前記輝度情報読出部の出力に基づき前記第1色発光素子を点灯させる第1色点灯制御部と、前記第1遅延手段の出力に基づき前記第2色発光素子を点灯させる第2色点灯制御部と、前記第2遅延手段の出力に基づき前記第3色発光素子を点灯させる第3色点灯制御部と、を備え、
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は予め定められた期間における輝度を規定するものであり、
前記輝度情報読出部は、前記輝度情報を繰り返し読み出すことにより時間軸において周期的な輝度信号を出力し、
前記第1遅延手段は、前記輝度情報読出部の出力を第1遅延量だけ(例えばその1周期の三分の一)遅延させ、
前記第2遅延手段は、前記輝度情報読出部の出力を前記第1遅延手段による遅延とは異なる第2遅延量だけ(例えば1周期の三分の二)遅延させる、ものである。
【0013】
前記輝度情報は、例えば、前記予め定められた期間において、(1)〜(5)のうちの少なくとも3つを含むものである。
(1)所定時間の低輝度部分(例えば0)
(2)所定時間の高輝度部分(例えば255)
(3)前記低輝度状態と前記高輝度状態の中間に位置する中間部分(例えば127)
(4)所定時間における低輝度から高輝度へ変化部分
(5)所定時間における高輝度から低輝度へ変化部分
【0014】
前記輝度情報記憶部の読み出しアドレスを発生する読出アドレス発生部を備え、
前記第1遅延手段は、前記読み出しアドレスに対して、前記第1遅延量(例えば前記1周期の三分の一)に相当する第1オフセット値を加算することで前記輝度情報読出部の出力を遅延させ、
前記第2遅延手段は、前記読み出しアドレスに対して、前記第2遅延量(例えば前記1周期の三分の二)に相当する第2オフセット値を加算することで前記輝度情報読出部の出力を遅延させるようにしてもよい。
【0015】
前記輝度情報記憶部及び前記輝度情報読出部に代えて、前記予め定められた期間を周期とする輝度信号であって、前記輝度情報記憶部の前記輝度情報に相当する信号を繰り返し出力する発振回路を備えるようにしてもよい。
【0016】
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は、例えば、低輝度部分と、高輝度部分と、前記低輝度状態から前記高輝度状態への変化部分と、前記高輝度状態から前記低輝度状態への変化部分とを備え、
前記各部分の端同士が接することにより、前記各部分の端において輝度が連続して変化するものである。
【0017】
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は、例えば、低輝度部分と、高輝度部分と、前記低輝度状態と前記高輝度状態の中間に位置する中間部分とを備え、
前記各部分の端において輝度が不連続に変化するものである。
【0018】
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は、例えば、低輝度部分と、前記低輝度状態から高輝度への変化部分と、高輝度から前記低輝度状態への変化部分とを備え、
前記各部分の端同士が接することにより、前記各部分の端において輝度が連続して変化するものである。
【0019】
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は、例えば、高輝度部分と、前記高輝度状態から低輝度への変化部分と、低輝度から前記高輝度状態への変化部分とを含み、
前記各部分の端同士が接することにより、前記各部分の端において輝度が連続して変化するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、それぞれ異なる第1色、第2色、第3色に関する周期的な輝度情報を参照する際に各色それぞれについて位相をずらして参照することにより、ひとつのデータを用意するだけで電飾装置において色鮮やかな演出が可能となり、輝度情報を共用しない場合と比べてデータ量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンのブロック図である。
【図4】発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図(機能的に表現したもの)である。
【図5】発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図(アドレスオフセットにより遅延を実現したもの)である。
【図6】発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図(アナログの遅延回路により遅延を実現したもの)である。
【図7】発明の実施の形態に係る輝度情報の説明図である。
【図8】発明の実施の形態に係る他の輝度情報の説明図である。
【図9】発明の実施の形態に係る他の輝度情報の説明図である。
【図10】発明の実施の形態に係る他の輝度情報の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。その両側にはアーチランプAHが設けてある。アーチランプAHは、その内部に設けられた発光素子(これは後述の電飾装置の発光素子に相当する)の点滅を通じて所定の演出を行うものである。
【0023】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴を含むリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0024】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたリジェクトボタン133の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0025】
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0026】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0027】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、当該ケースに収納された基板を取り外す際には痕跡が残るように、当該ケースには封印処理が施されている。
【0028】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0029】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0030】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これら80〜82は前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0031】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0032】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0033】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0034】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0035】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0036】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0037】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0038】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0039】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0040】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0041】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0042】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0043】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0044】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0045】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0046】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0047】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0048】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0049】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0050】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0051】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0052】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0053】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0054】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0055】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0056】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0057】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0058】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0059】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0060】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0061】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0062】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0063】
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0064】
図4に、発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図を示す。図4は、サブ基板20及びLED基板202を含む系統図を示す。図4の電飾LED以外の各要素は、例えばLED基板202の駆動回路(ドライバ、増幅器など)や、サブ基板20のCPUやメモリであり、予め用意された所定のプログラムをCPUが実行することで実現されるものである。あるいは、ICなどのハードウエアで構成することもできる。
【0065】
210は、電飾LED(発光素子)を点灯させるための輝度情報を予め記憶する輝度情報記憶部である。輝度情報記憶部210は、例えばメモリであり、輝度情報はデジタルデータである。輝度情報は、予め定められた期間における時間と輝度(実際は、電流値やデューティ比に対応する値)の関係を示すものである。例えば、図7に示す3つのグラフのSIG1−R乃至SIG1−Bのいずれかひとつのようなデータである(縦軸の0が最低輝度を示し、nが最高輝度(例えばn=255)を示す)。
【0066】
一般的には、前記輝度情報は、予め定められた期間において、下記(1)〜(5)の輝度情報を含むものである。
(1)所定時間の低輝度部分(例えば0)
(2)所定時間の高輝度部分(例えば255)
(3)前記低輝度状態と前記高輝度状態の中間に位置する中間部分(例えば127)
(4)所定時間における低輝度から高輝度へ変化部分(輝度増加直線部分)
(5)所定時間における高輝度から低輝度へ変化部分(輝度減少直線部分)
【0067】
前記輝度情報は、例えば、上記(1)〜(5)のうちの少なくとも3つを含むものである。この場合、(1)を含むことで三原色それぞれの発色を観察できるようになるが、(1)がないと常に合成色になる。輝度情報の具体例については後述する。
【0068】
211は、輝度情報記憶部210の輝度情報を読み出して出力する輝度情報読出部である。輝度情報読出部211は、前記輝度情報を繰り返し読み出すことにより時間軸において周期的な輝度信号を出力する。
【0069】
212−1は、輝度情報読出部211の出力をその1周期の三分の一遅延させる第1遅延手段である。図7の例では、1周期の三分の一は2×Tに相当する。
【0070】
212−2は、輝度情報読出部211の出力をその1周期の三分の二遅延させる第2遅延手段である。図7の例では、1周期の三分の二は4×Tに相当する。
【0071】
213−1は、輝度情報読出部211の出力に基づき第1色発光素子LED−Rを点灯させる第1色点灯制御部である。
【0072】
213−2は、第1遅延手段212−1の出力に基づき第2色発光素子LED−Gを点灯させる第2色点灯制御部である。
【0073】
213−3は、第2遅延手段212−2の出力に基づき第3色発光素子LED−Bを点灯させる第3色点灯制御部である。
【0074】
LEDは、それぞれ異なる第1色、第2色、第3色で発光する第1色発光素子LED−R、第2色発光素子LED−G及び第3色発光素子LED−Bを含む電飾装置である。電飾装置LEDは、例えば図1のアーチランプAHのようなものに適用される。他にも、バックライトに適用することもできる。バックライトは、例えば、リールユニット203に内蔵される3つの回胴の内部にそれぞれ設けられた3つの発光ユニットであり、これらの発光をゲーム表示部131を通じて遊技者に見せるものである。各発光ユニットには、それぞれ異なる第1色、第2色、第3色で発光する3つの発光素子を含む電飾装置LEDが設けられている。電飾装置LEDの発光色である第1色〜第3色はそれぞれ三原色(RGB)である。これらの対応関係は任意であるが、説明の便宜上、以下においては第1色発光素子LED−R、第2色発光素子LED−G及び第3色発光素子LED−Bはそれぞれ赤色・緑色・青色で発光するものとする。遊技者は、発光色である第1色〜第3色が合成されたもの(色)を認識するようになっている。電飾装置を、例えば、赤色・緑色・青色の三原色で発光する3つの発光素子がひとつにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成することができる。
【0075】
図4の装置の動作は、後ほど図7などの具体的な輝度情報に基づき説明を加える。
【0076】
その前に、図4の装置のバリエーションについて説明する。
【0077】
図5は、図4の装置をデジタル回路(CPUとプログラム)で実現するときのブロック図を示す。図5は、図4の遅延手段をアドレスオフセットにより実現している。
【0078】
遅延手段は、例えば図7の信号SIG1−R乃至SIG−Bのように互いの位相を三分の一あるいは三分の二ずらすものである。例えば、信号SIG1−Rを時間2Tだけ遅延させることでこれを実現することができる。遅延は、例えば、遅延時間に応じた数のラッチ回路を直列に接続することで実現できる。仮に、ひとつのラッチ回路の遅延(データ取り込みの時間間隔に相当する)が0.1Tであれば、当該ラッチ回路を20個直列にすることで上記遅延時間を実現できる。
【0079】
しかし、輝度情報がメモリに書き込まれていて、これを周期的に読み出しているのであれば、読み出すべきアドレスの値をオフセットすることで上記遅延を実現することができる。これが図5に示した装置である。一般的には、このやり方のほうが簡単である。
【0080】
アドレス第1オフセット部212−1a、アドレス第2オフセット部212−2aは、図4の第1遅延手段212−1、第2遅延手段212−2に相当する。
【0081】
仮に、図7の信号SIG1−Rに相当するデータが輝度情報記憶部210のアドレス=0から1499にかけて記憶されているとする。読出アドレス発生部214は0から1499までのアドレスを繰り返し発生しているとする。これはカウンタであり、1499の次は0に戻る。
【0082】
輝度情報読出部211−1は、読出アドレス発生部214のアドレスに基づき輝度情報記憶部210から輝度情報(データ)を読み出す。これをDA変換器215−1でアナログ信号に変換すると図7の信号SIG1−Rが得られる。この信号は、第1色発光素子LED−Rを駆動する駆動信号であり、例えばその電流値に応じた輝度で当該発光素子が発光する。したがって、上記データの大きさにより当該発光素子の輝度が変化する(第2色、第3色についても同様)。
【0083】
アドレス第1オフセット部212−1aは、遅延させる時間に対応する値を読出アドレス発生部214のアドレスに加算することで「遅延」を実現する。1周期の三分の一だけ遅延させるには、アドレスの範囲(=1500)の三分の一の値(=500)を加算すればよい。輝度情報読出部211−2は、アドレス第1オフセット部212−1aの出力に基づき輝度情報記憶部210から輝度情報(データ)を読み出す。これをDA変換器215−2でアナログ信号に変換すると図7の信号SIG1−Gが得られる。この信号は、第2発光素子LED−Gを駆動する駆動信号である。
【0084】
アドレス第2オフセット部212−2aは、遅延させる時間に対応する値を読出アドレス発生部214のアドレスに加算することで「遅延」を実現する。1周期の三分の二だけ遅延させるには、アドレスの範囲(=1500)の三分の二の値(=1000)を加算すればよい(あるいは三分の一の値=500を減算してもよい)。輝度情報読出部211−3は、アドレス第2オフセット部212−2aの出力に基づき輝度情報記憶部210から輝度情報(データ)を読み出す。これをDA変換器215−3でアナログ信号に変換すると図7の信号SIG1−Bが得られる。この信号は、第3発光素子LED−Bを駆動する駆動信号である。
【0085】
図6は、図4の装置をアナログ回路で実現するときのブロック図を示す。
【0086】
OSCは、輝度情報記憶部210と輝度情報読出部211の双方の機能を備えるアナログの発振回路である。発振回路OSCは、公知のものでありその説明は省略する。これ単独で図7の信号SIG1−Rを繰り返し発生する。
【0087】
第1遅延回路212−1bと第2遅延回路212−2bは、アナログ信号を遅延させる回路であり、具体的には三分の一周期(=2T)と三分の二周期(=4T)を遅延させる。これらにより、信号SIG1−Gと信号SIG1−Bが得られる。遅延回路として、公知の装置(LC回路、遅延線など)を利用することができる。駆動回路216−1は、発振回路OSCの出力を受けて、この出力信号を発光素子の発光に十分な程度の電流に増幅する増幅器である(電流の大きさは出力信号のレベルに対応する)。駆動回路216−2と216−3は、それぞれ第1遅延回路212−1b、第2遅延回路212−2bを通った後の発振回路OSCの出力を受けて、これら出力信号をそれぞれ増幅する増幅器である。
【0088】
図7は、発明の実施の形態に係る輝度情報である。前述のように、輝度情報記憶部210は信号SIG1−Rを予め記憶し、第1色点灯制御部213−1乃至第3色点灯制御部213−3は、信号SIG1−R乃至信号SIG1−Bを出力する。
【0089】
なお、説明の便宜上、第1色、第2色、第3色はそれぞれ赤色、緑色、青色としているがこの対応関係は任意である。
【0090】
図7の3つの信号は、位相が1周期の三分の一、三分の二ずれている点を除き同じものである。当該信号は次のようなものである。
・1周期=6T
・三分の一周期=2Tの「(1)所定時間の低輝度部分(例えば0)」を含む。
・三分の一周期=2Tの「(2)所定時間の高輝度部分(例えば255)」を含む。
・六分の一周期=Tの「(4)所定時間における低輝度から高輝度へ変化部分」を含む。
・六分の一周期=Tの「(5)所定時間における高輝度から低輝度へ変化部分」を含む。
【0091】
言い換えれば、低輝度安定、高輝度安定、輝度変化の各部分はそれぞれ三分の一である。
【0092】
当該信号が上記のようなものであり、かつ、3つの信号の位相が1周期の三分の一、三分の二ずれていることから、第1色発光素子LED−R乃至第3色発光素子LED−Bの発光を同時に見ている遊技者は、それらの合成結果(視認色)として次のように認識する。
【0093】
時刻t0からt1にかけて黄色から緑色に変化する。
時刻t1からt2にかけて緑色から水色に変化する。
時刻t2からt3にかけて水色から青色に変化する。
時刻t3からt4にかけて青色から紫色に変化する。
時刻t4からt5にかけて紫色から赤色に変化する。
時刻t5からt6にかけて赤色から黄色に変化する。
【0094】
文章による表現では認識しづらいが、上記の色彩変化は非常にカラフルである。いわゆる虹色が次から次へ現れて変化するように見えるので、これを「レインボー」と称する。
【0095】
従来の遊技機において、三原色RGBそれぞれの輝度情報を変化させつつ表現を行っていたので、レインボー演出を行うためには独立した3種類のデータをそれぞれブロックとしてまとめて保持していなければならなかった。
【0096】
これに対し、本発明の実施の形態によれば、ひとつのデータを用意するだけでレインボー演出が可能となり、データ量を削減することができる。
【0097】
また、レインボー演出を継続する場合も、使用するパターンを繰り返し参照することで実現可能であるから、継続時間が長くなっても演出データが増加することはない。
【0098】
次に、輝度情報の他の例を示す。
【0099】
図8は、輝度情報として、図7の「(4)所定時間における低輝度から高輝度へ変化部分」と「(5)所定時間における高輝度から低輝度へ変化部分」の代わりに、「(3)前記低輝度状態と前記高輝度状態の中間に位置する中間部分(例えば127)」を備えるものである(例えば、信号SIG2−Rのt30からt31、t33からt34が前記(3)である)。
【0100】
図8の輝度情報も、いわゆる虹色が次から次へ現れて変化するように見えるので「レインボー」と言うことができるが、色彩の変化が不連続であるのでフラッシュしているように見える。
【0101】
図9は輝度情報の他の例を示す。
【0102】
図9の3つの信号SIG3−R乃至SIG3−Bは、位相が1周期の三分の一、三分の二ずれている点を除き同じものである。当該信号は次のようなものである。
・1周期=3T
・三分の一周期=Tの「(1)所定時間の低輝度部分(例えば0)」を含む。
・三分の一周期=Tの「(4)所定時間における低輝度から高輝度へ変化部分」を含む。
・三分の一周期=Tの「(5)所定時間における高輝度から低輝度へ変化部分」を含む。
【0103】
第1色発光素子LED−R乃至第3色発光素子LED−Bの発光を同時に見ている遊技者は、それらの合成結果(視認色)として次のように認識する。
【0104】
時刻t10からt11にかけて赤色→黄色→緑色に変化する。
時刻t11からt12にかけて緑色→水色→青色に変化する。
時刻t12からt13にかけて青色→紫色→赤色に変化する。
【0105】
図9の例も、図7と同様に色彩変化は非常にカラフルである。発色する色彩の点で両者は同じであるのでこれは「レインボー」と言えるが、反面、図9の場合はいずれの原色も高輝度で安定していることがないのでもっぱら中間色を認識し、原色をはっきりとは認識しない。この点で鮮やかさに欠けると言える。図9は、いわば「減色レインボー」と言える。
【0106】
図10は、輝度情報として、図9の「(1)所定時間の低輝度部分(例えば0)」の代わりに、「(2)所定時間の高輝度部分(例えば255)」を備えるものである(例えば、信号SIG4−Rのt21からt22が前記(2)である)。これに伴い、図10のt20からt21の直線部分の勾配は、図9のt10からt11の勾配とは逆になっている。図10のt22からt23についても同様である。
【0107】
図10の例も色彩変化は非常にカラフルである。しかし、図7乃至図9は、いずれも三原色のうちの二色の合成を行っており三色を同時合成することは行っていないのに対し、図10は三色の同時合成を行っている。したがって、図10では赤色・緑色・青色の原色は出現していない。図10は、いわば「非原色レインボー」と言える。
【0108】
一般的に、レインボー演出は赤色・緑色・青色の三原色の発色を含むものであるが、この演出をその他の色で行った場合はプリズムを通したような光にはならず、本来の「レインボー」とは言えない。しかし、鮮やかな演出の一つとしては有用である。
【0109】
この発明の実施の形態によれば、「レインボー」とともに他の色彩豊かな演出を、少ないデータ量で実現することができる。三原色の赤色・緑色・青色の要素に対してそれぞれ独立したデータを用いるのではなく、一つの共有データを用意しこれを参照することでデータ量を削減することができる。なお、本発明の実施の形態を適用できるのは赤色・緑色・青色に限らない。例えば、赤色・緑色・青色のいずれかに代えて「黄色」を使用することができる。また、上記説明では、遅延量を1周期の三分の一と三分の二としていたが、ほか遅延量とすることもできる。1色を予め定められた第1遅延量だけ遅延させ、他の1色を前記第1遅延量とは異なる第2遅延量(予め定められた量)だけ遅延させるようにすればよい。つまり、基準となる周期に対し、他の2色がそれぞれ異なるように遅延していればよく、この遅延量に対応した様々な発光色の変化をえることができる。
【0110】
以上の説明において、遊技機としてもっぱらスロットマシンを例にとったが、本発明の実施の形態はこれに限定されず、パチンコ機などの他の遊技機にも適用することができる。
【0111】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0112】
20 サブ基板
202 LED基板
210 輝度情報記憶部
211 輝度情報読出部
212 遅延手段
212a アドレスオフセット部(遅延手段)
212b 遅延回路
213 点灯制御部
214 読出アドレス発生部
215 DA変換器
216 駆動回路
LED 電飾装置
LED−R 第1色発光素子(赤色LED)
LED−G 第2色発光素子(緑色LED)
LED−B 第3色発光素子(青色LED)
OSC 発振回路(輝度情報記憶部、輝度情報読出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる第1色、第2色、第3色で発光する第1色発光素子、第2色発光素子及び第3色発光素子を含む電飾装置と、前記発光素子を点滅させるための輝度情報を予め記憶する輝度情報記憶部と、前記輝度情報記憶部の輝度情報を読み出して出力する輝度情報読出部と、前記輝度情報読出部の出力を所定時間遅延させる第1遅延手段と、前記輝度情報読出部の出力を前記第1遅延手段とは異なる時間遅延させる第2遅延手段と、前記輝度情報読出部の出力に基づき前記第1色発光素子を点灯させる第1色点灯制御部と、前記第1遅延手段の出力に基づき前記第2色発光素子を点灯させる第2色点灯制御部と、前記第2遅延手段の出力に基づき前記第3色発光素子を点灯させる第3色点灯制御部と、を備え、
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は予め定められた期間における輝度を規定するものであり、
前記輝度情報読出部は、前記輝度情報を繰り返し読み出すことにより時間軸において周期的な輝度信号を出力し、
前記第1遅延手段は、前記輝度情報読出部の出力を第1遅延量だけ遅延させ、
前記第2遅延手段は、前記輝度情報読出部の出力を前記第1遅延手段による遅延とは異なる第2遅延量だけ遅延させる、ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記輝度情報記憶部の読み出しアドレスを発生する読出アドレス発生部を備え、
前記第1遅延手段は、前記読み出しアドレスに対して、前記第1遅延量に相当する第1オフセット値を加算することで前記輝度情報読出部の出力を遅延させ、
前記第2遅延手段は、前記読み出しアドレスに対して、前記第2遅延量に相当する第2オフセット値を加算することで前記輝度情報読出部の出力を遅延させる、ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記輝度情報記憶部及び前記輝度情報読出部に代えて、前記予め定められた期間を周期とする輝度信号であって、前記輝度情報記憶部の前記輝度情報に相当する信号を繰り返し出力する発振回路を備えることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項4】
前記第1遅延手段による前記第1遅延量は前記輝度情報読出部の出力の1周期の三分の一であり、前記第2遅延手段による前記第2遅延量は前記1周期の三分の二であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項5】
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は、
低輝度部分と、高輝度部分と、前記低輝度状態から前記高輝度状態への変化部分と、前記高輝度状態から前記低輝度状態への変化部分とを備えるか、又は、
前記低輝度部分と、前記低輝度状態から前記高輝度への変化部分と、前記高輝度から前記低輝度状態への変化部分とを備えるか、又は、
前記高輝度部分と、前記高輝度状態から前記低輝度への変化部分と、前記低輝度から前記高輝度状態への変化部分とを備えるか、のいずれかであり、
前記各部分の端同士が接することにより、前記各部分の端において輝度が連続して変化する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記輝度情報記憶部の前記輝度情報は、低輝度部分と、高輝度部分と、前記低輝度状態と前記高輝度状態の中間に位置する中間部分とを備え、
前記各部分の端において輝度が不連続に変化する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−52038(P2013−52038A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191135(P2011−191135)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】