説明

運転支援システム

【課題】歩行者などに対する水跳ねが発生しないような浅い水溜りで不要な運転支援が実行されることを防止し、制御精度の向上が図られた運転支援システムを提供する。
【解決手段】路面の高度差に関する情報を取得する路面高度差取得手段11と、降雨を検出する降雨検出手段12と、降雨検出手段12が降雨を検出した場合において路面高度差取得手段11によって取得された路面の高度差が所定値以上である道路上の地点に、運転支援を行う運転支援手段13とを備える運転支援システム1とする。これにより、降雨の有無と路面の高度差とに応じて水溜りができる可能性の高い地点を判定し、この判定された地点に車両が接近する場合に運転支援を行うことが可能となる。その結果、水跳ねが発生しないような浅い水溜りに接近する場合における運転支援の実行を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溜りのある道路を通行する車両の運転を支援する運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2006−264466号公報がある。この公報に記載された車両用走行支援装置は、自車が水溜りを通過する際に水を跳ね上げて歩行者にかけないように走行支援を行うものである。この車両用走行支援装置では、物体検出手段が自車の進行方向の歩行者を検出し、雨天検出手段が雨天であるか否かを検出し、この雨天検出手段が雨天であることを検出したときに、安全距離設定手段が安全距離を長く設定し、危険予測手段が物体検出手段により検出した歩行者と自車との最接近時に安全距離が確保されるか否かを予測し、走行支援制御手段が、危険予測手段が歩行者と自車との最接近寺に安全距離が確保されないと予測したときに走行支援を行う。走行支援装置は、車両前方の水溜りをカメラで検知し、歩行者に水を跳ねない距離へ自車を誘導したり、減速などを行ったりすることで運転支援を実行する。
【0003】
また、自車の進行方向に水溜りを検出した場合に走行支援を行う装置として、検出された水溜りを操舵回避不可能な場合に自車を減速させるものがある(例えば、特許文献2参照)。また、道路の路面形状を検出するデジタル道路地図のデータ収集装置として、傾斜センサ、自車位置検出手段を備えるものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−264466号公報
【特許文献2】特開2008−179251号公報
【特許文献3】特開2000−338865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に記載の技術では、カメラを用いて水溜りを検出しているため、水溜りの深さがわからないことがあった。これにより、歩行者などに対する水跳ねが発生しない場合であっても、必要以上に減速させたり水溜りを回避させたりする可能性があった。そのため、不要な運転支援により、ドライバが煩わしさを感じることがあり、制御精度の向上が求められている。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、歩行者などに対する水跳ねが発生しないような浅い水溜りで不要な運転支援が実行されることを防止して、制御精度の向上が図られた運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による運転支援システムは、路面の高度差に関する情報を取得する路面高度差取得手段と、降雨情報を取得する降雨情報取得手段と、車両の運転支援を行う運転支援手段とを有する運転支援システムにおいて、運転支援手段は、路面の高度差に関する情報、及び降雨情報に基づいて運転支援を行うことを特徴としている。
【0008】
このような運転支援システムは、路面の高度差に関する情報を取得する路面高度差取得手段を備えているため、道路の凹凸形状に関する情報を取得することができる。例えば、取得された道路の凹凸形状に関する情報を、センターにて収集することで、水溜りができる可能性の高い箇所をデータ化することができる。また、運転支援システムは、降雨情報を取得する降雨情報取得手段を備え、路面の高度差に関する情報、及び降雨情報に基づいて運転支援を行う構成であるため、降雨の有無と路面の高度差とに応じて、運転支援を行うことが可能となる。これにより、歩行者などに対する水跳ねが発生しないような浅い水で不要な運転支援が実行されることがなくなる。
【0009】
また、運転支援手段は、降雨情報取得手段が降雨情報を取得した場合において路面高度差取得手段によって取得された路面の高度差が所定値以上である道路上の地点に車両が接近する場合に運転支援を行うことが好ましい。このような運転支援システムでは、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点に車両が接近する場合に運転支援を実行する構成であるため、降雨の有無と路面の高度差とに応じて水溜りができる可能性の高い地点を判定し、この判定された地点に車両が接近する場合に運転支援を行うことが可能となる。これにより、歩行者などに対する水跳ねが発生しないような浅い水溜りに接近する場合に、不要な運転支援が実行されることが防止される。
【0010】
また、運転支援手段は、運転支援として、運転者に対する走行速度指示、走行速度の制御、運転者に対する所定地点への進入回避指示、所定地点への進入回避操作のうち少なくとも一つを行う構成が挙げられる。運転者に対する走行速度指示を実行することで、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点を走行する際に、走行すべき速度を案内することができるので、路面の高度差に応じて、走行すべき速度を案内する運転支援を行うことが可能となる。例えば、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点を走行する際に、水跳ねを起こさせない通過速度を運転者に報知することができる。これにより、歩行者などに対する水跳ねを防止することが可能となる。また、運転者に対する所定地点への進入回避指示を実行することで、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点への進入を回避させることができるので、水溜りの深さに応じて、水溜りへの進入を回避する運転支援を行うことが可能となる。これにより、歩行者などに対する水跳ねを防止することが可能となる。
【0011】
また、降雨情報取得手段は、降雨情報として、所定時間当りの降水量に関する情報を取得することが好ましい。これにより、所定時間当たりの降水量に応じて、運転支援を行うことが可能となる。例えば、雨の降り始めなど水溜りが浅い時期に不要な減速を防止することできる。
【0012】
また、運転支援手段は、所定時間当りの降水量が所定量以上である場合に運転支援を行うことが好適である。
【0013】
また、降雨情報取得後の気象状態に関する情報を取得する降雨後気象状態取得手段を有し、運転支援手段は、降雨情報取得後の気象状態に基づいて運転支援を行うことが好ましい。これにより、例えば、雨が上がり水溜りが蒸発して水溜りが浅くなった場合に、不要な運転支援を実行することが防止される。なお、気象状態に関する情報としては、天気、日照、気温、湿度などが挙げられる。
【0014】
また、車両情報を取得する車両情報取得手段を有し、運転支援手段は、車両情報に基づいて運転支援を行うことが好ましい。これにより、車両情報に応じて、運転支援を行うことが可能となる。例えば、車両重量が軽かったり、タイヤ幅が細かったりする場合は、水溜りの深さや大きさなどの条件が同じであっても、水跳ねの発生の可能性が小さくなる。そのような場合に、不要な運転支援を実行させることがない。なお、車両情報としては、車両の重量、タイヤ幅などが挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の運転支援システムによれば、歩行者などに対する水跳ねが発生しない場合に不要な運転支援を実行することを防止して、制御精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成図である。
【図2】運転支援装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図3】センターサーバで実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図4】運転支援装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による運転支援システムの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一または相当要素には同一の符号を附し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成図である。
【0018】
図1に示す運転支援システム1は、路面の凹凸形状に関する情報及び気象情報に基づいて、水溜りができる可能性の高い地点を推定し、推定された地点に車両が接近する場合に運転支援を行うシステムである。具体的には、歩行者などに対する水跳ねが発生しないように、運転支援を行うものである。この運転支援システム1では、路面の凹凸形状に関する情報を収集する管理センターが設置されている。
【0019】
運転支援システム1の管理センターには、収集された各種情報を管理するサーバ30(以下、「センターサーバ」という。)が設けられている。センターサーバ30は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。また、センターサーバ30は、通信ネットワークに接続され、路面の凹凸形状に関する情報を取得した車両(車載機)と通信可能な構成とされている。
【0020】
センターサーバ30には、情報受信部31、情報送信部32、周辺道路データ処理部33、道路データ記憶部41、天候データ記憶部42が設けられている。
【0021】
情報受信部31は、路面の高度差に関する情報を受信する路面高度差情報受信手段として機能する。情報受信部31は、路面センサを有する車両から出力された情報を受信して、路面の高度差に関する情報を取得する。路面の高度差に関する情報とは、路面の凹凸形状に関する情報、及びその位置情報などである。
【0022】
情報受信部31は、所定の地点の気象状態に関する情報を受信する気象情報受信手段として機能する。情報受信部31は、降雨センサを有する車両から出力された情報を受信して、所定の地点における降雨に関する情報を取得する。また、情報受信部31は、車両から出力された情報を受信して、日差しデータ、気温データ、湿度データなどの気象状態に関する情報を取得する。
【0023】
情報送信部32は、周辺道路データ処理部33によって処理された各種情報(周辺道路データ)を車両へ送信する送信手段として機能する。
【0024】
道路データ記憶部41は、情報受信部31によって取得された路面の高度差に関する情報を道路データとして記憶する記憶手段である。また、道路データ記憶部41は、情報受信部31によって取得された気象状態に関する情報を道路データとして記憶する記憶手段である。天候データ記憶部42は、日々の天候情報を蓄積する記憶手段である。
【0025】
周辺道路データ処理部33は、道路データ記憶部41に記憶された道路データ、及び天候データ記憶部42に記憶された日々の天候情報に基づいて、道路上の水溜り喚起ポイントを作成する。周辺道路データ処理部33は、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点を判定する。なお、所定値は、水溜りが発生するか否かを判定する際の判定基準となる値である。周辺道路データ処理部33によって、判定された水溜り喚起地点(水溜り喚起ポイント)に関する情報は、情報送信部32を介して、車両に送信される。
【0026】
運転支援システム1が適用される車両は、水溜り喚起地点に自車が接近する際に運転支援を行う運転支援装置10を備えている。運転支援装置10は、路面センサ11、降雨検出部12、運転支援部(運転支援ECU)13、情報送信部14、情報受信部15、車両データ記憶部16を有している。運転支援装置10は、自車が水溜りに接近する際に、歩行者などに対する水跳ねが発生しないように、運転支援を行うものである。
【0027】
路面センサ11は、自車が走行する道路の路面形状(凹凸)を計測するものである。例えば、ミリ波、レーザ光、超音波などを用いて、自車の基準点と路面との距離を測定することで、路面の高度差を検出する。また、例えば、路面を撮影するカメラによって取得された画像情報を解析することで、路面の凹凸形状を計測してもよい。また、自車の傾きなどを考慮して、路面の凹凸形状を計測する。
【0028】
降雨検出部12は、降雨を検出するセンサである。降雨検出部12は、降雨情報を取得する降雨情報取得手段として機能する。また、運転支援装置10は、気象状態を検出するセンサ(気象情報検出手段)を有している。このセンサでは、気象状態として、例えば、天気、日照、気温、湿度などの情報を検出することができる。
【0029】
また、運転支援システム1が適用される車両は、ナビゲーションシステムを備え、自車位置情報を取得可能であるとともに、目的地までの経路を案内することができる。また、車両は、ジャイロセンサなどを備え、自車の傾きなどを検出する。また、車両は、自車周辺の対象物(歩行者、他車両など)を検出し、対象物の位置、自車と対象物との距離を計測する歩行者検出手段(例えばミリ波レーダ、カメラなど)を備えている。
【0030】
運転支援部13は、自車の運転支援動作を制御する。運転支援部13は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。運転支援部13は、路面センサ11、降雨検出部12、情報送信部14、情報受信部15、車両データ記憶部16、各種センサ(車速センサ、ミリ波レーダ)などと電気的に接続されている。運転支援部13は、エンジンECU、操舵ECU、ブレーキECU、ナビゲーションシステムなどと、例えばCAN(Control Area Network)などの通信回路で接続されることにより、相互にデータ交換が可能な構成とされている。
【0031】
運転支援部13は、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点(例えば、水溜り喚起地点)に、自車が接近する際に運転支援を行う運転支援手段として機能する。また、運転支援部13は、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点を走行する際に走行すべき速度を案内する車速案内手段として機能する。運転支援部13は、例えば、歩行者などに対して水跳ねを起こさない通過速度を算出する。
【0032】
運転支援部13は、自車位置の降水量が所定量以上である場合に、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点を走行する際に走行すべき速度を案内する車速案内手段として機能する。運転支援部13は、例えば、雨の降り始めなど、水溜りが浅い時期に不要な減速制御を実行しない一方、降水量が所定量以上である場合に、歩行者などに対して水跳ねを起こさない通過速度を算出して減速制御を行う。なお、上記所定量は、歩行者などに対する水跳ねを発生する水溜りの深さを判定する際の判定基準となる値である。自車位置の降水量が所定量以上である場合とは、自車前方の水溜り喚起地点を通過する際に、歩行者などに対して水跳ねを発生させるおそれがある場合である。
【0033】
運転支援部13は、自車位置の気象状態(天気、日照、気温、湿度など)が所定の条件を満たしている場合に、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点を走行する際に走行すべき速度を案内する車速案内手段として機能する。運転支援部13は、例えば、雨が上がり水溜りが蒸発した後など、水溜りが浅い時期に不要な減速制御を実行しない一方、気象情報が所定の条件を満たしている場合に、歩行者などに対して水跳ねを起こさない通過速度を算出して減速制御を行う。なお、上記所定の条件とは、歩行者などに対する水跳ねを発生する水溜りの深さを判定する際の判定基準となる値である。自車位置の気象状態が所定の条件を満たしている場合とは、自車前方の水溜り喚起地点を通過する際に、歩行者などに対して水跳ねを発生させるおそれがある場合である。
【0034】
運転支援部13は、車両情報(車両の重量、タイヤ幅)が所定の条件を満たしている場合に、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点を走行する際に走行すべき速度を案内する車速案内手段として機能する。運転支援部13は、例えば、車両の重量が軽かったり、タイヤ幅が細かったりする場合など、水跳ねを発生させるおそれが低い場合に不要な減速制御を実行しない一方、車両情報が所定の条件を満たしている場合に、歩行者などに対して水跳ねを起こさない通過速度を算出して減速制御を行う。なお、上記所定の条件とは、歩行者などに対する水跳ねを発生するおそれがあるか否かを判定する際の判定基準となる条件である。
【0035】
運転支援部13は、路面の高度差が所定値以上である道路上の地点への進入を回避させる運転支援を行う運転支援手段として機能する。運転支援部13は、自車前方の水溜り喚起地点への自車の進入を回避すべく、操舵制御量、目標車速などを算出する。運転支援部13は、例えば、歩行者などに対して水跳ねを起こさないように、操舵制御量、目標車速を算出する。
【0036】
情報送信部14は、検出した路面形状に関する情報、位置情報をセンターサーバ30へ送信する車両側情報送信手段として機能する。情報送信部14は、検出した気象状態に関する情報(天気、降雨量、日差し、気温、湿度など)をセンターサーバ30へ送信する車両側情報送信手段として機能する。
【0037】
情報受信部15は、自車前方の水溜り喚起地点に関する情報、天候情報(降雨情報、降雨情報取得後の気象状態に関する情報)、周辺道路データなどをセンターサーバ30から受信する車両側情報受信手段として機能する。情報受信部15は、降雨情報として、所定時間当りの降水量に関する情報を取得する本発明の降雨情報取得手段として機能する。降雨情報取得手段は、降雨情報として、所定時間当りの降水量に関する情報を取得する。
【0038】
情報受信部15は、降雨情報取得後の気象状態に関する情報である降雨後気象状態情報を取得する降雨後気象状態取得手段として機能する。情報受信部15は、例えば、車車間通信を用いて、自車近傍に存在する他車から各種情報を取得してもよい。
【0039】
車両データ記憶部16は、車両の重量、タイヤ幅などの車両情報を記憶する記憶手段である。
【0040】
また、運転支援装置10は、運転者に各種情報提供する報知手段を備えている。運転支援装置10は、水溜り喚起地点を通過する際の通過速度を運転者に報知する。運転支援装置10は、自車前方に水溜り喚起地点が存在することを報知する。報知手段としては、例えば、ナビゲーションシステムの画像表示装置、メータ画面、スピーカ、体感警報装置などを用いることができる。
【0041】
次に、本実施形態に係る運転支援システムの動作について、図2〜図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、ステップをSと略記することもある。
【0042】
図2は、運転支援装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。まず、運転支援装置10の運転支援部13は、路面の高度差が基準値以上であるか否かを判定する(S1)。運転支援装置10を備えた車両は、路面センサ11によって検出されたデータ、車両の傾きに基づいて、道路の凹凸情報を検知する。運転支援部13は、路面の高度差が基準値以上である場合にステップ2に進み、路面の高度差が基準値以上でない場合にここでの処理を終了する。
【0043】
ステップ2では、道路上の当該位置情報、凹凸形状(深さ、角度)に関する情報をセンターサーバ30へ送信する。
【0044】
続くステップ3では、運転支援装置10は、日差しデータ、気温データ、湿度データを位置情報と共にセンターサーバ30へ送信する。運転支援装置10は、一定タイミング(例えばnmおき、n秒おきなど)で、日差し、気温、湿度の変化を検知し、一定範囲以上に変化があったときは、日差し、気温、湿度情報を位置情報とともにセンターサーバ30へ送信する。
【0045】
図3は、センターサーバで実行される処理手順を示すフローチャートである。まず、センターサーバ30は、運転支援装置10を備えた車両から送信された路面形状情報、位置情報を受信し(S11)、道路データを作成する(S12)。
【0046】
次に、センターサーバ30は、運転支援装置10を備えた車両から送信された日差し情報、気温データ、温度データを受信し(S13)、道路データを作成する(S14)。
【0047】
続くステップ15では、ステップ12,14で作成された道路データを、道路データ記憶部41に記憶することで、最新のデータを反映させる。ステップ16では、センターサーバ30は、例えばネットワークを通じて各地の天候情報を取得し、天候データ記憶部42に天候データを蓄積する。
【0048】
次に、センターサーバ30は、運転支援装置10を備えた車両から送信された位置情報を受信し、受信した位置情報周辺の道路データから凹凸箇所を抽出する。センターサーバ30は、抽出した凹凸箇所について、天候データ記憶部42に記憶されている天候データから、水溜りの深さを算出し(S17:周辺道路データ演算処理)、周辺道路データとして車両に送信する(S18)。ステップ17では、例えば、気温上昇、湿度低下などにより水溜りが浅くなるように、水溜り深さを算出する。
【0049】
図4は、運転支援装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。運転支援装置10を搭載した車両では、降雨を検出しているか否かを判定する(S21)。運転支援部13は、降雨検出部12から出力された信号に基づいて降雨判定を行う。降雨を検出していると判定した場合はステップ22に進み、降雨を検出していると判定しない場合は処理を終了する。
【0050】
次に、運転支援装置10は、センターサーバ30から自車位置周辺の道路データを受信するために、位置情報をセンターサーバ30へ送信し、周辺道路データを要求する。センターサーバ30は、上述したようにステップ17の周辺道路データ演算処理を行い、周辺道路データを車両に送信する。車両は、センターサーバ30から送信された周辺道路データを受信する(S22)。
【0051】
続くステップ23では、運転支援装置10は受信した周辺道路データ、車両データ記憶部16に記憶されている車両データ(タイヤ幅、車両重量)から、水跳ねしない速度(案内速度)を算出する。具体的には、水溜りが深いほど水跳ねしない速度は遅くなる。タイヤ幅が広いほど水跳ねしない速度は遅くなる。車両重量が重いほど水跳ねしない速度は遅くなる。
【0052】
続くステップ24では、運転支援装置10は、算出された案内速度を運転者に報知する。または、運転支援装置10は、算出された案内速度となるように、減速制御を実行する。なお、減速制御に代えて、操舵制御を行い、水溜り地点への進入を回避させる運転支援を実行してもよい。
【0053】
このような運転支援システム1では、取得された道路の凹凸形状に関する情報を、管理センターで収集することで、水溜りができる可能性の高い箇所をデータ化することができる。また、管理センターでは、道路の凹凸形状、降雨などの天候情報に基づいて、水溜り喚起地点、水溜り深さなどを算出することができる。運転支援装置10を備えた車両では、水溜り喚起地点に関する情報を取得して、当該水溜り喚起地点に自車が接近する際に、減速制御、操舵回避制御が実行されるため、水溜りの深さに応じて、運転支援の実行の有無を決定することができる。これにより、歩行者などに対する水跳ねが発生しないような浅い水溜りに接近する場合に、不要な減速や回避走行を実行する運転支援を防止することが可能となる。その結果、制御精度の向上が図られた運転支援システム1、運転支援装置10を実現することができる。
【0054】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。なお、上記実施形態では、センターサーバ30において、水溜り深さの算出を行っているが、例えば、運転支援装置10を備えた車両側で、水溜り深さの算出を実行してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、車両に設けられた降雨検出部12によって、降雨を検出しているが、例えば道路に設けられた降雨センサからデータを受信して、降雨を検出してもよい。
【0056】
また、運転支援手段は、運転支援として、運転者に対する走行速度指示、走行速度制御、運転者に対する走行速度指示、運転者に対する所定地点への進入回避指示、所定時点への進入回避操作のうち少なくとも一つを実行する構成でもよく、複数の運転支援を組み合わせて実行してもよい。また、その他の運転支援を行うことで、歩行者などに対する水跳ねを防止させてもよく、要は、路面の高度差に関する情報と、降雨情報とに基づいて運転支援を実行すればよい。
【符号の説明】
【0057】
1…運転支援システム、10…運転支援装置、11…路面センサ、12…降雨検出部、13…運転支援部、14…情報送信部、15…情報受信部、21…車両データ記憶部、30…センターサーバ、31…情報受信部、32…情報送信部、33…周辺道路データ処理部、41…道路データ記憶部、42…天候データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の高度差に関する情報を取得する路面高度差取得手段と、降雨情報を取得する降雨情報取得手段と、車両の運転支援を行う運転支援手段とを有する運転支援システムにおいて、
前記運転支援手段は、前記路面の高度差に関する情報、及び前記降雨情報に基づいて運転支援を行うことを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記運転支援手段は、前記降雨情報取得手段が降雨情報を取得した場合において前記路面高度差取得手段によって取得された路面の高度差が所定値以上である道路上の地点に車両が接近する場合に運転支援を行うことを特徴とする請求項1記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記運転支援手段は、前記運転支援として、運転者に対する走行速度指示、走行速度の制御、運転者に対する所定地点への進入回避指示、所定地点への進入回避操作のうち少なくとも一つを行うことを特徴とする請求項1又は2記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記降雨情報取得手段は、前記降雨情報として、所定時間当りの降水量に関する情報を取得することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記運転支援手段は、前記所定時間当りの降水量が所定量以上である場合に運転支援を行う請求項4記載の運転支援システム。
【請求項6】
降雨情報取得後の気象状態に関する情報を取得する降雨後気象状態取得手段を有し、
前記運転支援手段は、前記降雨情報取得後の気象状態に基づいて運転支援を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の運転支援システム。
【請求項7】
車両情報を取得する車両情報取得手段を有し、
前記運転支援手段は、前記車両情報に基づいて運転支援を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−257307(P2010−257307A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107788(P2009−107788)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】