運転支援装置、及び運転支援方法
【課題】運転者が事態を把握しやすいように、リスクや制御状態を効果的に表示する。
【解決手段】車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスクとその制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する。また、車両走行に対する運転者の主体度を算出し(ステップS2)、算出した主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更する(ステップS3)。例えば、車線逸脱防止制御が作動するときには、走行車線からの逸脱を抑制している状態を、反逸脱方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。ここで、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【解決手段】車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスクとその制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する。また、車両走行に対する運転者の主体度を算出し(ステップS2)、算出した主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更する(ステップS3)。例えば、車線逸脱防止制御が作動するときには、走行車線からの逸脱を抑制している状態を、反逸脱方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。ここで、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、及び運転支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自車両周囲の走行環境に基づいてリスクポテンシャルを算出し、このリスクポテンシャルを図形や数値などの視覚情報としてモニタに表示し、運転者の注意を喚起するものがあった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−182224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車線逸脱防止制御(LDP)、車間維持制御(MB)、スタビリティ制御(VDC)など、複数の制御を統合したシステムにおいて、例えばリスクの低い状態から何れかの制御介入があったとする。このとき、リスクや制御状態を画一的に表示すると、運転者の状況によっては、かえって事態を把握しにくい可能性がある。
本発明の課題は、運転者が事態を把握しやすいように、リスクや制御状態をより効果的に表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る運転支援装置は、車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスクとその制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する。また、車両走行に対する運転者の主体度を算出し、算出した主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る運転支援装置によれば、運転者の主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更することで、それを画一的に表示するよりも効果的にリスクや制御状態を表示することができる。したがって、運転者が事態を把握しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】運転支援装置の概略構成である。
【図2】表示制御処理を示すフローチャートである。
【図3】車線逸脱防止制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図4】通行区分線に対する車間維持制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図5】周囲の物体に対する車間維持制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図6】スタビリティ制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図7】坂道発進制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図8】降坂路車速制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図9】主体度に応じて作用状態図形の加法混色を決定するマップである。
【図10】主体度に応じて作用状態図形の輝度を決定するマップである。
【図11】主体度に応じて作用状態図形の点滅速度を決定するマップである。
【図12】主体度に応じてリスク図形の加法混色を決定するマップである。
【図13】主体度に応じてリスク図形の輝度を決定するマップである。
【図14】主体度に応じてリスク図形の点滅速度を決定するマップである。
【図15】第2実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図16】主体度Dの変化を示すタイムチャートである。
【図17】各制御の制御量に応じて主体度Dを決定するマップである。
【図18】主体度Dに応じて表示画角を決定するマップである。
【図19】車線逸脱するときのリスクを表す将来の状況である。
【図20】車線逸脱防止制御の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況である。
【図21】車線逸脱防止制御の作動を表す過去の状況である。
【図22】路面摩擦係数が低い路面の表示例である。
【図23】スクールゾーンの表示例である。
【図24】運転支援装置の概略構成図である。
【図25】第5実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図26】操作頻度算出処理を示すフローチャートの一例である。
【図27】操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
【図28】操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
【図29】主体度の算出に用いるマップである。
【図30】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図31】第6実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図32】操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
【図33】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図34】第7実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図35】覚醒度算出処理を示すフローチャートの一例である。
【図36】主体度の算出に用いるマップである。
【図37】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図38】第8実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図39】慣れ度合と主体度との関係を示すグラフである。
【図40】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図41】第9実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図42】混雑度と主体度との関係を示すグラフである。
【図43】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図44】第10実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図45】渋滞割合と主体度との関係を示すグラフである。
【図46】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図47】第11実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図48】自車速と主体度との関係を示すグラフである。
【図49】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図50】第12実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図51】周囲車両の数と主体度との関係を示すグラフである。
【図52】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図53】第13実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図54】運転補助装置スイッチのオン/オフに応じた補正量を示すグラフである。
【図55】適正頻度に対する操作頻度の差分と補正量との関係を示すグラフである。
【図56】第14実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図57】作動回数カウント処理を示すフローチャートの一例である。
【図58】低リスク運転補助装置の作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
【図59】高リスク運転補助装置の作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
【図60】第15実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図61】運転継続時間と補正量との関係を示すグラフである。
【図62】第16実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図63】運転時刻と補正量との関係を示すグラフの一例である。
【図64】第17実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
《構成》
図1は、運転支援装置の概略構成である。
図2は、表示制御処理を示すフローチャートである。
【0009】
レーザレーダ1は、車両前方に存在する前方物体の位置、及び距離を検出し、コントローラ10に入力する。カメラ2は、車両前方を撮像し、画像処理装置3は、カメラ2で撮像した画像データに基づいて走行環境を認識し、コントローラ10に入力する。車速センサ4は、自車両の車速を検出し、コントローラ10に入力する。
コントローラ10は、自車両における車両挙動や周囲環境について、後述する各種リスクを判断し、このリスクに応じてブレーキアクチュエータ6を駆動制御すると共に、そのリスク情報や制御情報を作成し、これを表示装置7を介して運転者に提供する。
【0010】
ブレーキアクチュエータ6は、ソレノイドバルブやポンプ等の油圧機器を備え、これらをコントローラ10によって駆動制御することにより、運転者のブレーキ操作に関らず各ホイールシリンダの液圧を個別に制御することができる。
表示装置7には、ナビゲーションシステムの表示モニタや、コンビネーションメータ、またフロントウィンドウガラスの所定範囲に表示光線を投影して画像を映し出すヘッドアップディスプレイ(HUD)などを利用する。
【0011】
コントローラ10は、車線逸脱防止制御(LDP:Lane Departure Prevention)、車間維持制御(MB:Magic Bumper)、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)、坂道発進制御(HSA:Hill Start Assist)、降坂路車速制御(HDC:Hill Descent Control)など、複数の制御システムを備える。
車線逸脱防止制御では、例えば自車両の走行車線からの逸脱傾向を検出したときに、左右輪の制動力差によって反逸脱方向へのヨーモーメントを発生させることで、走行車線からの逸脱を抑制する。
【0012】
車間維持制御では、自車両の前方や側方に仮想のバネがあると想定し、自車両が前方物体や側方物体に接近するときに、仮想のバネが圧縮されるときの反発力を、擬似的に演出する。前後方向の反発力であれば、制動力を増加させたりエンジン制御や変速制御によって駆動力を減少させたりすればよい。このとき、運転者のアクセル操作があるときには、アクセルペダルのペダル反力を増加させてもよい。また、横方向の反発力であれば、左右輪の制動力差によって側方物体と反対方向へのヨーモーメントを発生させたり、ステアリングホイールに側方物体と反対方向への操舵トルクを付与したりすればよい。
【0013】
スタビリティ制御では、例えば車両のオーバーステア傾向やアンダーステア傾向を検出したときに、左右輪の制動力差によってオーボーステア抑制方向やアンダーステア抑制方向のヨーモーメントを発生させたり、ステアリングホイールにオーバーステア抑制方向やアンダーステア抑制方向の操舵トルクを付与したりして、車両挙動を安定させる。
坂道発進制御では、急勾配の上り坂で停車し、再び発進するときに、ブレーキ操作からアクセル操作に移行するまでの間、制動力を維持することにより、車両の後退を防ぐ。
【0014】
降坂路車速制御では、急勾配を下るときに、制動力を制御することにより、車速の増加を制限する。
コントローラ10は、図2の表示制御処理を実行し、上記のようなリスク情報や制御情報を、表示装置7を介して運転者に提供する。
【0015】
次に、表示制御処理について説明する。
先ずステップS1では、リスク情報を取得する。すなわち、走行車線に対する自車両の逸脱傾向や、前方物体や側方物体との接近傾向、また自車両のオーバーステア傾向やアンダーステア傾向、さらに路面勾配などを取得する。
続くステップS2では、下記(1)式に示すように、車両の走行(運転操作)に対する運転者の主体度Dを算出する。
【0016】
D=(D1+D2)/2 ………(1)
D1=A/(A+B)
D2=E/(E+F)
Aは運転者の運転操作による車両挙動、Bは車両制御による車両挙動、A+Bは車両に発生する車両挙動である。Eは運転者の運転操作による一定時間後の予測車両挙動、Fは車両制御による一定時間後の予測車両挙動、E+Fは車両に発生する一定時間後の予測車両挙動である。また、D1は現在の車両挙動のうち運転者が運転操作している割合、D2は一定時間後の予測車両挙動のうち運転者が運転操作している割合である。これらD1とD2とを加算した値を、運転者の主体度と定義する。
【0017】
したがって、主体度Dが高いほど、各種制御の介入度が低く、車両挙動が運転者の運転操作に依存している状態を指す。一方、主体度Dが低いほど、各種制御の介入度が高く、車両挙動が運転者の運転操作に依存してない状態を指す。
ここで、車両挙動の一例として、例えばヨーレートを用いた場合を説明する。
先ず、下記(2)式に示すように、等価2輪モデルに基づいてヨーレートγを算出し、これを車両挙動Aとする。ここで、Vは車速、Sfはスタビリティファクタ、Lはホイールベース、θはタイヤ転舵角である。
【0018】
【数1】
【0019】
また、車両に発生した車両挙動(A+B)は、ヨーレートセンサで実測した値とする。
また、運転操作による一定時間後の予測車両挙動Eは、先ず一定時間後のステアリング操作量を推定する。現時点から一定時間前のステアリング操作量の平均値をdn、ステアリング操作量の前回平均値をdn-1とすると、一定時間後のステアリング操作量の予測値θdは、下記(3)式で表される。
【0020】
【数2】
【0021】
ここで、tはdnとdn-1の時間間隔,Tは一定時間後の時間間隔である。このステアリング操作量の予測値θdを、転舵角θとして前記(2)式に代入することで、一定時間後の予測車両挙動Eを算出する。
【0022】
また、車両に発生する一定時間後の車両挙動(E+F)は、過去数件の車両挙動から前記(3)式と同等の方法で求める。又は、アクチュエータの制御ロジックへ前記(3)で算出したEを入力することでFを推定し、一定時間後の車両挙動(E+F)を算出してもよい。
なお、車両の前後挙動の場合も同様に、現在のドライバ操作による車両挙動Aと実際の車両挙動(A+B)、一定時間後のドライバ予測操作量による車両挙動Eと予測車両挙動(E+F)から算出する。
【0023】
続くステップS3では、運転者の主体度Dに応じて、リスク情報や制御情報の表示方法を決定し、これを表示装置7を介して運転者に提供する。ここでは、運転者の主体度Dを例えば三段階のレベルに区分けし、各レベルに応じてリスク情報や制御情報の提供方法を決定する。例えば0〜30%を低レベル、30〜60%を中レベル、60〜100%を高レベルとする。
【0024】
各レベルに応じて制御情報の表示方法を、図3〜図8に基づいて説明する。
なお、何れの場合も自車両を上方から見下ろした俯瞰図とし、各種制御の作動によって車両に作用する力を表示した制御情報を作成する。
【0025】
先ず、車線逸脱防止制御が作動するときには、図3に示すように、その制御状態を、つまり走行車線からの逸脱を抑制している状態を、反逸脱方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0026】
また、通行区分線に対して車間維持制御が作動するときには、図4に示すように、車両の側方に向かって突出する仮想のバネを表示し、主体度Dに応じて仮想のバネの形状や色を変化させる。なお、仮想のバネは、車幅方向に沿って並んだ車体前後方向の複数の直線として描いている(波紋状)。例えば、主体度Dが高レベル及び中レベルのときには、通行区分線への接近傾向が増加するリスクは高くないので、仮想のバネを例えば『水色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、通行区分線への接近傾向が増加するリスクが高まっているので、仮想のバネを例えば『黄色』に設定する。また、仮想のバネが圧縮している状態を表現するために、車幅方向に沿って並んだ複数の直線の間隔を縮める。
【0027】
また、自車両の周囲の物体に対して車間維持制御が作動するときには、図5に示すように、車両の四隅から斜め四方に向かって突出する仮想のバネを表示し、主体度Dに応じて仮想のバネの形状や色を変化させる。なお、仮想のバネは、車体中心から斜め方向に沿って並んだ複数の円弧として描いている(波紋状)。例えば、主体度Dが高レベルのときには、周囲の物体への接近傾向が増加するリスクは高くないので、仮想のバネを例えば『水色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、周囲の物体への接近傾向が増加するリスクがやや高まっているので、少なくとも周囲の物体を検出した方向の仮想のバネを例えば『黄色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、周囲の物体への接近傾向が増加するリスクが高まっているので、少なくとも周囲の物体を検出した方向の仮想のバネを例えば『黄色』に設定する。また、仮想のバネが圧縮している状態を表現するために、車体中心から斜め方向に沿って並んだ複数の円弧の間隔を縮める。
【0028】
また、スタビリティ制御が作動するときには、図6に示すように、その制御状態を、つまりオーバーステア傾向やアンダーステア傾向を抑制している状態を、ヨーモーメントを付与している方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0029】
また、坂道発進制御が作動するときには、図7に示すように、その作動状態を、つまり急な上り坂で車両の後退を抑制している状態を、車両を後方から押す矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0030】
また、降坂路車速制御が作動するときには、図8に示すように、その作動状態を、つまり急な下り坂で車速の増加を抑制している状態を、車両後方に向かう矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0031】
《作用》
車線逸脱防止制御、車間維持制御、スタビリティ制御など、複数の制御を統合したシステムにおいて、何れかの制御介入があったとすると、そのリスク内容や制御状態を画一的に表示すると、運転者の状況によっては、かえって事態を把握しにくい可能性がある。
本実施形態では、各種制御が作動するときに、車両の走行(運転操作)に対する運転者の主体度Dを算出し(ステップS2)、この主体度Dに応じて制御情報の表示方法を決定し、これを表示装置7を介して運転者に提供する(ステップS3)。
【0032】
ここで、主体度Dは、車両に発生している車両挙動(A+B)のうち、運転者の運転操作量に応じた車両挙動Aが占める割合D1と、所定時間後の車両に発生する予測車両挙動(E+F)のうち、所定時間後における運転者の運転操作量に応じた予測車両挙動Eが占める割合D2との平均値としている。このように、簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度Dを算出することができる。
【0033】
制御状態を表す視覚情報は、各種制御の作動によって車両に作用する力を表す矢印や仮想のバネで表示する。これにより、運転者は制御状態を容易に理解しやすくなる。
ここで、各種制御が作動したときに、主体度Dに応じた視覚情報の表示形態について説明する。
先ず、車線逸脱防止制御(LDP)が作動したときには、図3に示すように、反逸脱方向の矢印を表示する。
【0034】
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、逸脱傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0035】
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、逸脱傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0036】
次に、通行区分線に対して車間維持制御(MB)が作動したときには、図4に示すように、車両の側方に向かって突出する仮想のバネを表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、仮想のバネを『水色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、通行区分線に対する接近傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0037】
また、主体度Dが中レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、通行区分線に対する接近傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0038】
また、主体度Dが低レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にするだけではなく、圧縮している状態を表現する。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、通行区分線に対する接近傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに仮想のバネを強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0039】
次に、隣接車線を走行する他車両など、自車両の周囲の物体に対して車間維持制御(MB)が作動したときには、図5に示すように、車両の四隅から斜め四方に向かって突出する仮想のバネを表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、仮想のバネを『水色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、周囲の物体に対する接近傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0040】
また、主体度Dが中レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、周囲の物体に対する接近傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にするだけではなく、圧縮している状態を表現する。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、周囲の物体に対する接近傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに仮想のバネを強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0041】
次に、スタビリティ制御(VDC)が作動したときには、図6に示すように、ヨーモーメントを付与している方向の矢印を表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0042】
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0043】
次に、坂道発進制御(HSA)が作動したときには、図7に示すように、車両を後方から押す矢印を表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、速やかなアクセル操作へと移行できるので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0044】
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、アクセル操作への移行が遅れる可能性があるので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、アクセル操作への移行が遅れる可能性が高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0045】
次に、降坂路車速制御(HDC)が作動したときには、図8に示すように、車両後方に向かう矢印を表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、車速が増加するリスクは低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0046】
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、車速が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、車速が増加するリスクが高まっているので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0047】
《応用例》
また、本実施形態では、D1とD2との平均値を主体度Dとして算出しているが、D1とD2の加算値を主体度Dとしたり、D1とD2のセレクトロー値を主体度Dとしたり、D1とD2の夫々に重み付けをした加算値を主体度Dとしたりしてもよい。さらには、D1及びD2の何れか一方を、そのまま主体度Dとしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、主体度Dを高レベル・中レベル・低レベルの三段階に分け、矢印やバネなどの作用状態図形の表示形態を変更しているが、細分化してもよい。例えば、加法混色、つまり光の三原色によって作用状態図形を表示する場合、図9に示すように、主体度Dが低いほど、赤色を濃く(強く)することにより、連続的無段階で表示形態を変更してもよい。これによれば、きめ細かく表示形態を調整することができる。
【0049】
また、本実施形態では、主体度Dに応じて、矢印やバネなどの作用状態図形の色を変更しているが、他にも作用状態図形の輝度や点滅速度を変更してもよい。すなわち、図10に示すように、主体度Dが低いほど、作用状態図形の輝度を高くしてもよい。また、図11に示すように、主体度Dが低いほど、作用状態図形の点滅速度を早めてもよい。これによれば、作用状態図形の強調度合を任意に調整することができ、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、運転者の主体度Dに応じて作用状態図形のみの表示形態を変更しているが、車両走行に対するリスクを表すリスク図形の表示形態を変更してもよい。すなわち、車線逸脱防止制御では通行区分線をリスク図形としたり、車間維持制御では周囲の物体をリスク図形としたり、スタビリティ制御では自車両そのものをリスク図形としたりする。一般に、運転者の主体度Dが高ければ、運転者は多くの視覚情報を把握することができる。それで、図12に示すように、主体度Dが高いほど、リスク図形を表示した三原色のうち、青色を濃くすることで、自車両にとってリスクとなっているリスク図形を効果的に運転者に認識させてもよい。また、図13に示すように、主体度Dが高いほど、リスク図形の輝度を高くすることで、自車両にとってリスクとなっているリスク図形を効果的に運転者に認識させてもよい。但し、主体度Dが低いほど、リスクが高まる可能性があるので、図14に示すように、点滅速度を早めることで、自車両にとってリスクとなっているリスク図形を強調し、運転者の感覚に適した注意喚起を行ってもよい。
【0051】
《効果》
以上より、コントローラ10が「制御手段」に対応し、表示装置7が「表示手段」に対応し、ステップS2の処理が「算出手段」に対応し、ステップS3の処理が「変更手段」に対応する。また、図3、図6〜図8の矢印、及び図4、図5の仮想のバネが「作用状態図形」に対応する。
【0052】
(1)車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御する複数の制御手段と、該制御手段の少なくとも一つが作動するときに、車両走行のリスク及び当該制御手段の作動状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する表示手段と、車両走行に対する運転者の主体度を算出する算出手段と、該算出手段が算出した主体度に応じて前記表示手段による視覚情報の表示形態を変更する変更手段と、を備える。
これによれば、運転者の主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更することで、それを画一的に表示するよりも効果的にリスクや制御状態を表示することができる。したがって、運転者が事態を把握しやすくなる。
【0053】
(2)前記算出手段は、車両に発生している車両挙動のうち、運転者の運転操作量に応じた車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出する。
これにより、簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0054】
(3)前記算出手段は、所定時間後の車両に発生する予測車両挙動のうち、所定時間後における運転者の運転操作量に応じた予測車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出する。
これにより、簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
(4)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形のサイズを大きくする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0055】
(5)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形を表示した三原色のうち、赤色を濃くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
(6)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の輝度を高くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0056】
(7)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の点滅速度を早くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
(8)前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形を表示した三原色のうち、青色を濃くする。
これにより、自車両にとってリスクとなっている事態を、効果的に運転者に認識させることができる。
(9)前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形の輝度を高くする。
これにより、自車両にとってリスクとなっている事態を、効果的に運転者に認識させることができる。
【0057】
(10)前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記リスク図形の点滅速度を早くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
(11)車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスク及び当該制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示するものであって、車両走行に対する運転者の主体度を算出し、算出した主体度に応じて前記視覚情報の表示形態を変更する。
【0058】
これによれば、運転者の主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更することで、それを画一的に表示するよりも効果的にリスクや制御状態を表示することができる。したがって、運転者が事態を把握しやすくなる。
【0059】
《第2実施形態》
《構成》
本実施形態では、主体度Dの他の算出方法を示す。
図15は、主体度算出処理を示すフローチャートである。
先ずステップS21では、スタビリティ制御が作動しているか否かを判定する。スタビリティ制御が作動していればステップS22に移行する。一方、スタビリティ制御が非作動であればステップS23に移行する。
ステップS22では、運転者の主体度をD=20%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
【0060】
ステップS23では、車線逸脱防止制御が作動しているか否かを判定する。車線逸脱防止制御が作動していればステップS24に移行する。一方、車線逸脱防止制御が非作動であればステップS25に移行する。
ステップS24では、運転者の主体度をD=50%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
【0061】
ステップS25では、車間維持制御が作動しているか否かを判定する。車間維持制御が作動していればステップS26に移行する。一方、車間維持制御が非作動であればステップS27に移行する。
ステップS26では、運転者の主体度をD=90%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS27では、運転者の主体度をD=100%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
【0062】
《作用》
車両走行に対する運転者の主体度Dは、各種制御の作動状態から、ある程度推定することができる。例えば、車間維持制御だけが作動していれば、主体度Dが比較的まだ高レベルにあると推定でき、車線逸脱防止制御が作動すれば、主体度Dが中レベルまで低下していると推定でき、スタビリティ制御が作動すれば、主体度Dが低レベルまで低下していると推定できる。すなわち、各制御の作動と主体度Dとの関係を予め定めておくことで、各制御の作動状態に応じて主体度Dを算出(推定)する。このように、簡易な手法で、車両走行に対する運転者の主体度Dを算出することができる。
【0063】
また、複数の制御が同時に作動するときには、図16に示すように、車間維持制御(MB)よりも車線逸脱防止制御(LDP)、車線逸脱防止制御よりもスタビリティ制御(VDC)を優先して主体度Dを設定する。
先ず、MBが作動状態にあると、主体度Dは90%となり、MBの制御状態を視覚情報として表示する。そして、時点t1〜t2でLDPが作動している間は、これを優先して主体度Dを50%とし、視覚情報の表示をLDPの制御状態に切替える。また、時点t2〜t3でLDPが非作動状態にある間は、主体度Dは90%に戻り、視覚情報の表示をMBの制御状態に切替える。また、時点t3〜t5でVDCが作動している間は、これを優先して主体度Dを20%とし、視覚情報の表示をVDCの制御状態に切替える。時点t4〜t6でLDPが作動しても、VDCが作動している時点t4〜t5では、視覚情報の表示をVDCの制御状態のまま維持し、VDCが非作動になった以降の時点t5〜t6で、視覚情報の表示をLDPの制御状態に切替える。
【0064】
《応用例》
なお、本実施形態では、単に各種制御の作動状態(ON/OFF)に基づいて主体度Dの概数を推定しているが、夫々の制御量に基づいて、より細かく主体度Dを推定してもよい。すなわち、図17に示すように、先ず、MBだけが作動するときに、主体度Dを60〜100%とし、LDPが作動するときに、主体度Dを30〜60%とし、VDCが作動するときに、主体度Dを0〜30%と定める。そして、MBによる制御量が0から最大値までの範囲で増加するときに、主体度Dが100から60までの範囲で減少するように設定する。また、LDPによる制御量が0から最大値までの範囲で増加するときに、主体度Dが60から30までの範囲で減少するに設定する。また、VDCによる制御量が0から最大値までの範囲で増加するときに、主体度Dが30から0までの範囲で減少するように設定する。これによれば、より高精度に主体度Dを推定することができる。
【0065】
《効果》
以上より、ステップS21〜S27の処理が「算出手段」に対応する。
(1)前記算出手段は、前記制御手段の作動と前記主体度との関係を予め定めておき、前記制御手段の作動状態に応じて前記主体度を算出する。
これにより、簡易な手法で、車両走行に対する運転者の主体度Dを算出することができる。
(2)前記算出手段は、前記制御手段が作動したときの制御量に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より高精度に主体度を算出することができる。
【0066】
《第3実施形態》
《効果》
本実施形態は、主体度Dに応じて表示領域を変更するものである。
すなわち、前述したステップS3の処理を実行する際に、図18のマップを参照し、主体度Dに応じて表示画角を決定する。このマップは、主体度Dが低いほど、自車両を中心とする表示画角を狭くする、つまり自車両をズームアップして表示する。
【0067】
《作用》
一般に、運転者の主体度Dが高ければ、運転者は多くの視覚情報を把握することができる。それで、主体度Dが高いときほど、表示画角を広くすることで、多くの情報提供を可能にする。一方、主体度Dが低いときほど、表示画角を狭くすることで、いま運転者に最も認識して欲しい情報だけに限定して、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0068】
《効果》
(1)前記表示手段は、前記主体度が低いほど、自車両をズームアップすることを特徴とする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
《第4実施形態》
《構成》
本実施形態は、視覚情報の他の表示形態を提案するものである。
すなわち、視覚情報を時系列で分類した表示形態である。なお、本実施形態では、車線逸脱防止制御を例に説明する。
【0069】
先ず、車両走行のリスクを表す将来の状況を図19に示す。すなわち、走行車線から逸脱するという将来のリスクを、自車両の斜め前方に表示した青色の枠で表現する。この場合、前述した第1実施形態の応用例で示したリスク図形と同様の主旨により、主体度Dが高いほど、青色の枠を太くする。
【0070】
また、車線逸脱防止制御の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況を図20に示す。すなわち、走行車線からの逸脱を抑制している状態を、反逸脱方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0071】
また、車線逸脱防止制御の作動を表す過去の状況を図21に示す。ここで、過去の状況というのは、図20の状態に至った理由を示すものであり、図20の状態に至る前の状態を指している。すなわち、例えば左側への逸脱傾向がある場合、左右輪の制動力差によって右方向へのヨーモーメントを付与するので、右輪に制動力を付与した状態を、右輪のタイヤ後方への矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0072】
《作用》
本実施形態では、視覚情報を時系列で分類し、将来の状況、現在の状況、過去の状況の何れかを表示する。このように、様々な表示形態を用意することで、運転者の好みに合わせて表示形態を変化させたり、その場の状況に適した情報提供が可能になる。
【0073】
《応用例》
なお、路面摩擦係数の低い路面やスクールゾーンを検出したときに、これらの視覚情報を表示してもよい。例えば、水溜りなど路面摩擦係数の低い路面情報をインフラストラクチャから取得したときには、図22に示すように、自車両前方に水溜りなどの図形を表示する。また、通学路情報をナビゲーションシステムから取得したときには、図23に示すように、一般路(非スクールゾーン)と異なる道路図形を表示したり、又はスクールゾーンの標識図形を表示したりする。これによれば、様々な走行シーンで運転者の走行を支援することができる。
【0074】
《効果》
(1)前記表示手段は、車両走行のリスクを表す将来の状況、前記制御手段の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況、前記制御手段の作動を表す過去の状況の何れか一つを表示する。
これにより、運転者の好みに合わせて表示形態を変化させたり、その場の状況に適した情報提供が可能になる。
【0075】
《第5実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバが集中して走行している場合、不要な情報を表示しないように表示内容を変更するものである。
図24は、運転支援装置の概略構成図である。
【0076】
ここでは、ドライバ操作検出装置8と、ナビゲーションシステム9とを追加したことを除いては、前述した図1と同様の構成を有するので、共通する構成については説明を省略する。
先ず、ドライバ操作検出装置8は、例えばアクセル操作、ブレーキ操作、シフト操作、ステアリング操作、ナビ操作、計器類の操作など、運転者の各種操作状態を検出し、コントローラ10に入力する。また、ナビゲーションシステム9は、自車両の現在地と、その周辺の地図情報及び道路情報をコントローラ10に入力する。なお、ナビゲーションシステム9は、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)を利用してFM多重放送や光・電波ビーコンから車両周囲の交通情報を受信する。
【0077】
図25は、第5実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS51では、運転者の各種操作状態を検出する。
続くステップS52では、運転者の各種操作の頻度を算出する。
ある所定時間(例えば運転開始時から現在まで)のうちドライバのアクセル操作、ブレーキ操作、シフト操作、ステアリング操作、ナビ操作、計器類の操作など、何れかの操作が成された割合から(操作量の時間微分値が一定値以上)、ドライバ操作頻度hを下記式によって算出する。ここでは、何れかが操作されている場合にx=1、何れも非操作であるときにx=0とし、操作頻度hは0≦h≦1.0の範囲で算出する。
【0078】
【数3】
【0079】
図26は、操作頻度算出処理を示すフローチャートの一例である。
この図のように、前回値との差分が閾値以上となるときだけ、操作ありと判断し、一定時間における操作頻度を算出する。
【0080】
続くステップS53では、操作頻度hに応じて運転者の主体度Dを算出する。
ここで、ドライバ操作頻度hが、予め算出した適性頻度H(例えば0.7)より大きいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−a(h−H)[%]
一方、操作頻度hが、予め算出した適性頻度Hより小さいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−b(H−h)[%]
【0081】
上記a及びbは係数であり、a<bの関係にあり、操作頻度hが低いほど、主体度Dが低くなるように設定されている。係数a及びbの範囲は0〜100とし、例えばa=50、b=100である。
また、操作頻度hが、適正頻度Hと同じときには、下記式に示すように、主体度Dを100とする。
D=100[%]
【0082】
図27は、操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、操作頻度が適正頻度と一致するときに、主体度が最大値となる。
なお適正頻度Hは一意の値ではなく、ある幅を持たせてもよい。この場合、適正頻度はHl≦h≦Hhの範囲となり、例えばHl=0.6、Hh=0.8と設定する。
【0083】
ここで、ドライバ操作頻度hが、適性頻度の上限値Hhより大きいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−a(h−Hh)[%]
一方、操作頻度hが、予め算出した適性頻度の下限値Hlより小さいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−b(Hl−h[%]
また、操作頻度hが、Hl≦h≦Hhの範囲内にあるときには、下記式に示すように、主体度Dを100とする。
D=100[%]
【0084】
図28は、操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、操作頻度が適正頻度の範囲内にあるときに、主体度が最大値となる。
さらに、上記以外にも、予めドライバ主体度算出のマップを持ち、ドライバ操作頻度hを入力として、そのマップからドライバ主体度を算出してもよい。
図29は、主体度の算出に用いるマップである。
このようなマップを参照し、操作頻度hに応じて主体度Dを算出してもよい。
【0085】
続くステップS54では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図30は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、表示情報量を抑制する。
続くステップS55では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0086】
《作用》
運転者の操作頻度hが適性頻度に近似しているほど、運転者が運転に集中していると考えられるので、操作頻度に応じて主体度Dを算出し(ステップS53)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS54、S55)。例えば、主体度Dが高いほど、明るさを抑制したり、点滅速度を抑制したり、表示情報量を抑制する。すなわち、ドライバ主体度が高い場合、積極的な表示が必要ないとみなし、表示画面全体の明るさ・表示内容の配色を暗めに設定し、表示情報量を少なく設定する。
こうして、運転者が運転に集中しているシーンでは、装置の作動状態など、必要な情報のみを表示することができる。
【0087】
《効果》
(1)前記算出手段は、運転者による運転操作の頻度を算出し、算出した頻度に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0088】
《第6実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバの意図から主体度Dを算出するものである。
図31は、第6実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前記ステップS53を処理する前に、運転補助装置のスイッチ操作状態を読込むステップS61を追加したことを除いては、前述した図25と同様の処理を実行するので、共通する処理については説明を省略する。
【0089】
ステップS61では、運転補助装置スイッチのON/OFF状態を読込む。運転補助装置スイッチとは、例えばLDP、MB、VDC、HSA、HDCなどを強制的に非作動状態(OFF)にできるスイッチである。
続くステップS53では、ドライバが運転補助装置スイッチを明示的にOFFにしたときには、下記式にて主体度Dを算出する。
D={a+(100−a)h}
ここでaはそのドライバの通常時における主体度として設定し、ドライバ主体度の平均値から算出する。通常時の主体度が設定されていない場合a=0とする。
【0090】
図32は、操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、操作頻度が増加するほど、主体度が増加する。
続くステップS54では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図33は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、表示情報量を抑制する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0091】
《作用》
運転者が運転補助装置スイッチをOFFにしていれば、運転者が自らの運転を楽しもうとしていると考えられるので、操作頻度の多さを主体度Dの大きさと考えられる。そこで、運転補助装置スイッチの操作状態を読込み(ステップS61)、操作頻度に応じて主体度Dを算出方法を切換えて、図32のグラフに従って主体度Dを算出し(ステップS53)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS54)。例えば、主体度Dが高いほど、明るさを抑制したり、点滅速度を抑制したり、表示情報量を抑制する。すなわち、ドライバ主体度が高い場合、積極的な表示が必要ないとみなし、表示画面全体の明るさ・表示内容の配色を暗めに設定し、表示情報量を少なく設定する。
こうして、運転者が自らの運転を楽しもうとしているシーンでは、必要最低限の情報のみを表示することができる。
【0092】
《効果》
運転補助装置のスイッチ操作に応じて、主体度Dを算出する
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0093】
《第7実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバの覚醒状態(漫然運転等)に応じて表示内容を変更するものである。
図34は、第7実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS71では、運転者のステアリング操作、運転者の心拍数・体温・筋電、ドライバを撮影するカメラ情報(まぶたの動き、頭部の動き、視線の変化)等、運転者の運転操作状態、運転者の生体反応、運転者の挙動の少なくとも一つを検出する。
続くステップS72では、読込んだ各種情報から運転者の覚醒度Wを算出する。ドライバの覚醒度Wは0〜1.0の範囲とし、覚醒状態であれば1.0と定義する。
【0094】
図35は、覚醒度算出処理を示すフローチャートの一例である。
この図のように、所定時間における目を閉じている時間や、ステアリング操作の周波数に応じて覚醒度Wを算出する。
続くステップS73では、下記式に従って、覚醒度Wに応じてドライバ主体度Dを算出する。
D=1−(1−W)2×100[%]
なお、予めドライバ主体度算出のマップを持ち、ドライバ覚醒度Wを入力として、そのマップからドライバ主体度を算出してもよい。
【0095】
図36は、主体度の算出に用いるマップである。
このようなマップを参照し、覚醒度Wに応じて主体度Dを算出してもよい。
続くステップS74では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図37は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
ここでは、画面全体と注目対象とを区別しながら、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、画面全体については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制するが、表示情報量は増加させ、また加法混色は主体度が低いほど赤色を濃く(強く)する。また、注目対象については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は主体度が低いほど赤色と緑色を濃く(強く)し、且つ青色は薄く(弱く)する。
【0096】
続くステップS75では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0097】
《作用》
運転者の覚醒度が低いほど、運転者が漫然運転をしていると考えられるので、覚醒度Wに応じて主体度Dを算出し(ステップS73)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS74、S75)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、色合いを強調したり、点滅速度を速くしたりするが、表示情報量については抑制する。すなわち、主体度が低い場合、画面全体の明るさを明るく設定し、配色は強烈な色とする。
こうして、運転者が漫然運転しているシーンでは、装置の作動状態など、表示内容を強調することができる。
【0098】
《効果》
(1)前記算出手段は、運転者の覚醒度を算出し、算出した覚醒度に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0099】
《第8実施形態》
《構成》
本実施形態は、走行経路と走行回数に応じて、表示内容を変更するものである。
図38は、第8実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS81では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS82では、現在地から該当区間の通過回数iを算出する。
続くステップS83では、現在地の走行回数iに応じてドライバ主体度Dを算出する。
ここで、通過回数iが、予め算出しておいた『不慣れ』判断閾値th1(例えばth1=3)より小さい場合は、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−a(th1−i)
一方、通過回数iが、予め算出しておいた『慣れ』判断閾値th2(例えばth2=10)より小さい場合は、
D=100−a(th2−i)
また、通過回数iが、『慣れ』判断閾値th2以上のときには、下記式に示すように、主体度Dを100とする。
D=100
【0100】
図39は、慣れ度合と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、慣れた道ほど、主体度Dが大きくなる。
続くステップS84では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図40は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【0101】
ここでは、画面全体と注目対象とを区別しながら、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、画面全体については、主体度に係らず、明るさ、色合い、点滅速度、表示情報量を一定にする。一方、注目対象については、主体度が高いほど、明るさを増加させ、青色を濃く(強く)し、点滅速度は遅くする。
続くステップS85では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0102】
《作用》
不慣れな道ほど、運転者の主体度Dは低くなると考えられるので、通行回数iに応じて主体度Dを算出し(ステップS83)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS84、S85)。例えば、主体度Dが高いほど、明るさを増加させたり、色合いを強調したりする。逆に、不慣れな道を走行しているときには、主体度Dが低くなり、装置の作動状態だけでなく、周囲のリスク情報も積極的に表示する。すなわち、ドライバ主体度によらず、画面全体の明るさ・配色を暗めに設定する。また、主体度が低い場合、注目対象としてリスク情報も積極的に表示する。
【0103】
《効果》
(1)前記算出手段は、走行中の経路で過去における走行回数を算出し、算出した走行回数に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0104】
《第9実施形態》
《構成》
本実施形態は、道路の混雑状況に応じて表示する内容を切替えるものである。
図41は、第9実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS91では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS92では、現在地を参照し、道路の各区間ごとに定まっている混雑度Cを読込む。
続くステップS93では、混雑度Cに応じて主体度Dを算出する。
【0105】
ここで、混雑度Cが第一の閾値より低い(例えば1.0以下)ときには、ほとんど渋滞は無く走行可能なことから下記式に示すように、主体度を100%とする。
D=100
一方、混雑度Cが第一の閾値より高く、第二の閾値よりより低い(例えば1.75未満)のときには、ほぼ渋滞しているため、下記式に従って主体度Dを算出する。
D={(1.75−C)×100}[%]
また、混雑度Cが第二の閾値を上回っているときには、下記式に示すように、0とする。
【0106】
図42は、混雑度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、混雑度Cが高くなるほど、主体度Dが小さくなる。
続くステップS94では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図43は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【0107】
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は主体度が低いほど、赤色を濃く(強く)する。
続くステップS95では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0108】
《作用》
道路の混雑度合が高いほど、装置の作動状況だけでなく、リスク情報も積極的に表示することが望ましい。そこで、道路の混雑度合Cが高いほど、運転者の主体度Dを低くし(ステップS93)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS94、S95)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度によらず表示情報量を多く設定し、主体度が低い場合、画面全体の明るさ・配色を明るく設定する。
【0109】
こうして、混雑している道路を走行している場合には、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0110】
《効果》
(1)前記算出手段は、道路の混雑度合を検出し、検出した混雑度合に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0111】
《第10実施形態》
《構成》
本実施形態は、経路全体の渋滞状況から主体度Dを算出するものである。
図44は、第10実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS101では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS102では、ナビゲーションシステム9のVICS情報より渋滞情報を読込む。
続くステップS103では、ナビゲーションシステム9より目的地までの距離Lを算出する。
続くステップS104では、ナビゲーションシステム9のVICS情報より目的地までの渋滞距離Lcを算出する。
【0112】
続くステップS105では、目的地までの距離Lに占める渋滞距離Lcに応じて下記式に従って主体度Dを算出する。
D={(L−Lc)/L}×100[%]
図45は、渋滞割合と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、渋滞割合が高くなるほど、主体度Dが低くなる。
続くステップS106では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図46は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【0113】
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制するが、表示情報量は増加させる。また加法混色は主体度が低いほど、赤色を濃く(強く)する。
続くステップS107では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0114】
《作用》
目的地に到着するまでに、渋滞している割合が高いほど、装置の作動状態だけでなく、リスク情報も積極的に表示することが望ましい。そこで、渋滞している割合が高いほど、運転者の主体度Dを低くし(ステップS105)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS94、S95)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度が高い場合、表示情報量を多く設定し、主体度が低い場合、画面全体の明るさ・配色を明るめに設定する。
こうして、渋滞している割合が高いシーンでは、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0115】
《効果》
目的地までの距離に占める渋滞距離に応じて主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0116】
《第11実施形態》
《構成》
本実施形態は、制限速度から主体度Dを算出するものである。
図47は、第11実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS111では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS112では、自車速Vvを読込む。
続くステップS113では、ナビゲーションシステム9より現在走行中の道路の制限速度Vrを読込む。例えば、一般道路であれば60km/h、高速道路であれば100km/h等と、各道路ごとに設定されている速度である。なお、インフラストラクチャから取得可能であれば、それを読込む。
続くステップS114では、自車速Vvと制限車速Vrとの差分に応じて、下記式に従って主体度Dを算出する。
【0117】
【数4】
【0118】
ここでは、係数a=1として設定するが、制限車速Vrに対して実車速Vvが高い場合と低い場合とで変更してもよい。例えば制限車速に対して実車速が高い場合は、a<1(例えば0.5)と設定し、制限車速に対して実車速が遅い場合はa>1(例えば1.1)となるように設定する。
【0119】
図48は、自車速と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、自車速Vvが制限速度Vrに近似するほど、主体度Dが大きくなる。
続くステップS115では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図49は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制する。また加法混色は主体度が低いほど、赤色を濃く(強く)する。
続くステップS116では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0120】
《作用》
運転者が法定速度を遵守しているときは、運転者の主体度Dが高いと考えられる。そこで、自車速Vvと、現在走行中の道路の制限速度Vrとの差分に応じて主体度Dを算出し(ステップS114)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS115、S116)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度が高い場合、画面全体の明るさ・配色を暗めに設定する。
こうして、主体度Dが低くなるシーンでは、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0121】
《効果》
(1)前記算出手段は、走行中の道路の制限速度に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0122】
《第12実施形態》
《構成》
本実施形態は、周囲を車両に囲まれている場合、表示内容を変更するものである。
図50は、第12実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS121では、レーザレーダ1で検出した周囲車両を検出する。
続くステップS122では、周囲車両の位置が、自車位置に対して前方か後方か、又は左方か右方かを算出する。例えば、自車から一定範囲内に存在する周囲車両の位置から「前方P_front」「後方P_rear」「右P_right」「左P_Left」とグルーピングし、各方向に他車が存在する場合は1、存在しない場合は0とする。
【0123】
続くステップS123では、各方向における周囲車両の有無に応じて、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−25×(P_front+P_rear+P_right+P_Left)
図51は、周囲車両の数と主体度との関係を示すグラフである。
自車周辺に車両が存在する場合、自車の移動を制限するため、この図のように、周囲車両の数が多いほど主体度Dが小さくなる。
【0124】
続くステップS124では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図52は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
ここでは、画面全体と注目対象とを区別しながら、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、画面全体については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は主体度が低いほど赤色を濃く(強く)する。また、注目対象については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は、主体度が高いほど青色を濃くし、主体度が低いほど赤色を濃くし、主体度が増加するにつれて緑色が最初は増加し、最大値に達した後は減少する。
【0125】
続くステップS125では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0126】
《作用》
周囲車両が多いときには、積極的にリスク情報を表示することが望ましい。そこで、周囲車両の数が多いほど、運転者の主体度を低くし(ステップS123)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS124、S125)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度が高い場合、画面全体の明るさ・配色を暗めに設定し、表示情報量を少なく設定する。主体度が低い場合、表示情報量を多く設定すると共に注目対象としてリスク情報も積極的に表示をし、リスク情報の明るさ・配色を明るく設定する。
こうして、周囲車両が多いシーンでは、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0127】
《効果》
(1)前記算出手段は、自車両の周囲に存在する周囲車両の数を検出し、検出した周囲車両の数に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0128】
《第13実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバスイッチ操作からドライバの意図を推定し、算出した主体度Dを補正するものである。
図53は、第13実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS131では、運転補助装置スイッチのON/OFF状態を読込む。運転補助装置スイッチとは、例えばLDP、MB、VDC、HSA、HDCなどを強制的に非作動状態(OFF)にできるスイッチである。
【0129】
続くステップS132では、主体度Dの補正量Cを算出する。
ここで、ドライバが意図的に運転補助装置をONにした場合、主体度Dを低く補正するために、例えばC=−25%に設定し、ドライバが意図的に運転補助装置をOFFにした場合、主体度を高く補正するために、例えばC=25%に設定する。なお、例えばVDCのように、通常時にON状態となっている運転補助装置の場合、これを強制的にOFFにするスイッチがあるので、このスイッチがOFFにされたときだけ補正量Cを算出するようにしてもよい。
主体度の補正値は−25%〜25%の範囲で設定する。
【0130】
図54は、運転補助装置スイッチのON/OFFに応じた補正量を示すグラフである。
この図のように、運転補助装置スイッチがONのときには、補正量Cをマイナス側の所定値に設定し、運転補助装置スイッチがOFFのときには、補正量Cをプラス側の所定値に設定する。
続くステップS133では、前述した第5実施形態と同様に、ドライバのアクセル操作、ブレーキ操作、シフト操作、ステアリング操作、ナビ操作、計器類の操作など、各種操作の操作頻度hを算出する。
【0131】
続くステップS134では、操作頻度hと適正頻度Hとの関係に従って、補正量Cを算出する。すなわち、操作頻度hが適正頻度Hとの差分が、所定範囲内(例えば±10%以内)であれば、補正量Cを0に設定する。また、操作頻度hが適正頻度Hより大きく、その差分が大きいほど、補正量Cをプラス側に大きくし、逆に操作頻度hが適正頻度Hより小さく、その差分が大きいほど、補正量Cをマイナス側に大きくする。
【0132】
図55は、適正頻度に対する操作頻度の差分と補正量との関係を示すグラフである。
この図のように、適正頻度Hに対して操作頻度hが相対的に大きくなるほど、補正量Cをプラス側に大きくし、逆に操作頻度hが相対的に小さくなるほど、補正量Cをマイナス側に大きくする。
続くステップS135では、既に算出している主体度Dに、上記の各補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0133】
《作用》
運転補助装置スイッチのON/OFF状態と、各種操作の頻度とは、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、運転補助装置のスイッチ操作と、その他の各種操作頻度とに応じた補正量Cを算出し(ステップS132、S134)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS135)。
【0134】
すなわち、操作頻度が適正頻度付近のドライバの場合、運転が上手なドライバであるとみなし、主体度を高く補正する。また、ドライバ自ら運転補助装置をオフにし、かつ、操作頻度が適正頻度から離れたドライバの場合は運転が下手なドライバであるとみなし、主体度を低く補正する。
【0135】
《効果》
運転補助装置のスイッチ操作に応じて主体度Dを補正する。
これにより、ドライバの意図を反映した主体度を算出することができる。
【0136】
《第14実施形態》
《構成》
本実施形態は、運転補助装置の制御介入回数に応じて主体度Dを補正するものである。
図56は、第14実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS141では、運転補助装置の作動状態を検出する。
具体的には、制御介入があったときのリスク度合を、各運転補助装置ごとに「低リスク」「高リスク」で分類しておく。例えば、MBは「低リスク」、ABSやVDCは「高リスクとする。そして、低リスクの運転補助装置が介入した回数と、高リスクの運転補助装置が作動した回数とを夫々カウントする。
【0137】
図57は、作動回数カウント処理を示すフローチャートの一例である。
この図のように、運転補助装置が作動したときには、それが低リスクの運転補助装置であるか、又は高リスクの運転補助装置であるかを区別して、その作動回数をカウントしてゆく。
続くステップS142では、低リスクの運転補助装置が作動した回数と、高リスクの運転補助装置が作動した回数とに応じて、個別に補正量Cを算出する。各補正量は−50〜50%の値で設定する。
【0138】
低リスクの運転補助装置の場合、作動回数が0のときに補正量Cを0とし、低リスク用の適度な基準回数(例えば5回)までの範囲で作動回数が増加するときには、主体度Dを低くするために補正量Cをマイナス側に大きくする。そして、基準回数を超えると、それ以降は作動回数が増えるほど、補正量Cのマイナス分を小さくしてゆき、0を境に今度は主体度Dを高くするためにプラス側へ大きくしてゆく。
【0139】
図58は、低リスクの運転補助装置における作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
この図のように、作動回数が基準回数に近似するときに、補正量Cは最もマイナス側に大きくなり(例えば−25%)、基準回数から離れるほど、そのマイナス分が小さくなるように設定されている。
【0140】
高リスクの運転補助装置の場合、作動回数が0のときに補正量Cを0とし、作動回数が増加するほど、補正量Cをマイナス側に大きくする。ここで、高リスク用の適度な基準回数(例えば3回)に達するまでと、その基準回数を超えた後とで、勾配を変え、−50%を下限値としてリミットをかける。
図59は、高リスクの運転補助装置における作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
【0141】
この図のように、作動回数が増加するほど、補正量Cが0〜−50%の範囲で減少するように設定されている。
続くステップS143では、既に算出している主体度Dに、上記の各補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0142】
《作用》
運転補助装置の作動回数は、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、低リスクの運転補助装置の作動回数と、高リスクの運転補助装置の作動回数とを個別に算出し(ステップS141)、夫々の作動回数に応じた補正量Cを算出し(ステップS142)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS143)。
【0143】
すなわち、低リスクの運転補助装置の場合には、基準回数までは主体度が低くなるように補正するが、それ以降は作動回数が多くなるほど、積極的に制御介入させて走行するドライバと見なし、主体度を高く補正する。また、高リスクの運転補助装置の場合には、作動回数が増加するほど、主体度Dを低く補正する。
【0144】
《効果》
運転補助装置の制御作動回数に応じて主体度を補正する。
これにより、より高精度に主体度を算出することができる。
【0145】
《第15実施形態》
《構成》
本実施形態は、運転時間に応じて主体度Dを補正するものである。
図60は、第15実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS161では、運転継続時間を検出する。これは、例えばエンジンをONにしてからの経過時間である。
【0146】
続くステップS162では、運転継続時間Tに応じて補正量Cを算出する。
補正値は−50〜50%の値で設定する。
ここで、運転継続時間T[min]が、基準時間T1[min]より小さい場合には、下記に示すように補正量Cを0にする。
C=0
一方、運転継続時間T[min]が、基準時間T1[min]より大きい場合には、下記式に従って補正量Cを算出する。ここで、aは係数であり、例えば−0.1である。
C=a(T−T1)
【0147】
図61は、運転継続時間と補正量との関係を示すグラフである。
この図のように、運転継続時間Tが基準時間T1未満であるときには、補正量Cが0を維持し、運転継続時間Tが基準時間T1を超えて増加するほど、補正量Cが0からマイナス側へと大きくなるように設定されている。
続くステップS163では、既に算出している主体度Dに、上記の補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0148】
《作用》
運転を開始してからの運転継続時間は、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、運転継続時間Tを計測し(ステップS151)、運転継続時間Tに応じて補正量を算出し(ステップS152)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS153)。
すなわち、長時間に渡って運転を継続すると、運転者の主体度Dが低下すると考えられるので、運転継続時間Tが長くなるほど、主体度Dを低く補正する。
【0149】
《効果》
運転継続時間に応じて主体度を補正する。
これにより、主体度をより高精度に算出することができる。
【0150】
《第16実施形態》
《構成》
本実施形態は、時間帯に応じて主体度Dを補正するものである。
図62は、第16実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS161では、現在の時刻を検出する。
続くステップS162では、運転している時刻が、通常運転している時間帯と異なっているか否かに応じて補正量Cを算出する。
補正値は0〜1.0の範囲で設定する。
【0151】
ここで、例えば通常運転している時間が『昼間』のドライバが『夜間』に運転している場合は、補正量Cをマイナス側に設定する。
具体的には、昼間に運転している通算時間Tdと、夜間に運転している通算時間Tnとを予めカウントしておき、以下の式にて補正項を算出する。
夜間の運転が多くTn>Tdとなるドライバが、昼間に運転している場合には、下記式に従って補正量Cを算出する。
C=Td/(Td+Tn)
【0152】
一方、昼間の運転が多くTn<Tdとなるドライバが、夜間に運転している場合には、下記式に従って補正量Cを算出する。
C=Tn/(Td+Tn)
上記以外の場合には、補正量C=1とする。
上記で算出した補正値に重み係数a(例:a=1.0)を乗算してもよい。
なお、簡略的に単に運転時刻から補正量Cを算出してもよい。
【0153】
図63は、運転時刻と補正量との関係を示すグラフの一例である。
この図のように、単に夜間運転のときに補正量Cをマイナス側に大きくし、主体度Dを低くするようにしてもよい。
【0154】
続くステップS163では、既に算出している主体度Dに、上記の補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0155】
《作用》
運転をしている時間帯は、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、運転している時刻を検出し(ステップS161)、現在の時刻が、普段運転している時間帯と異なっているか否かに応じて補正量Cを算出し(ステップS162)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS163)。
【0156】
すなわち、普段と違う時間帯に運転をすると、運転者の主体度Dが低下すると考えられるので、普段は昼間の運転が多いのか、又は夜間の運転が多いのかを考慮し、普段と異なる時間帯に運転しているときには、主体度Dを低く補正する。
なお、主体度Dとマップから表示内容を算出し、予め重み付けされた各表示内容のうち、その重みのセレクトハイによって表示内容のみを表示するようにしてもよい。
【0157】
《効果》
運転する時間帯に応じて主体度を補正する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0158】
《第17実施形態》
《構成》
本実施形態は、主体度算出自体を補正するものである。
図64は、第17実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS171では、ある所定時間における、補正前の主体度の過去値平均を算出する。
続くステップS172では、過去平均値を用いて、下記式に従って補正量Cを算出する。
【0159】
【数5】
【0160】
主体度補正値は−50〜50%の値で設定する。
なお、算出した補正値Cに重み係数a(例:a=1.0)を乗算してもよい。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0161】
《作用》
主体度Dを補正するにあたって、補正前の主体度Dの過去平均を考慮することも望ましい。そこで、補正前の過去平均値に応じて補正量Cを算出し(ステップS172)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS173)。
すなわち、過去平均を考慮することで、主体度Dの急変を抑制する。
なお、主体度Dの算出方法から各々の表示マップを読込み、算出した主体度とマップから各表示内容を決定してもよい。
【0162】
《効果》
主体度の過去の平均値に応じて主体度を補正する。
これにより、誤差を低減した主体度を算出することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 レーザレーダ
2 カメラ
3 画像処理装置
4 車速センサ
6 ブレーキアクチュエータ
7 表示装置
8 ドライバ操作検出装置
9 ナビゲーションシステム
10 コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、及び運転支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自車両周囲の走行環境に基づいてリスクポテンシャルを算出し、このリスクポテンシャルを図形や数値などの視覚情報としてモニタに表示し、運転者の注意を喚起するものがあった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−182224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車線逸脱防止制御(LDP)、車間維持制御(MB)、スタビリティ制御(VDC)など、複数の制御を統合したシステムにおいて、例えばリスクの低い状態から何れかの制御介入があったとする。このとき、リスクや制御状態を画一的に表示すると、運転者の状況によっては、かえって事態を把握しにくい可能性がある。
本発明の課題は、運転者が事態を把握しやすいように、リスクや制御状態をより効果的に表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る運転支援装置は、車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスクとその制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する。また、車両走行に対する運転者の主体度を算出し、算出した主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る運転支援装置によれば、運転者の主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更することで、それを画一的に表示するよりも効果的にリスクや制御状態を表示することができる。したがって、運転者が事態を把握しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】運転支援装置の概略構成である。
【図2】表示制御処理を示すフローチャートである。
【図3】車線逸脱防止制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図4】通行区分線に対する車間維持制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図5】周囲の物体に対する車間維持制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図6】スタビリティ制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図7】坂道発進制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図8】降坂路車速制御の制御状態を示す視覚情報である。
【図9】主体度に応じて作用状態図形の加法混色を決定するマップである。
【図10】主体度に応じて作用状態図形の輝度を決定するマップである。
【図11】主体度に応じて作用状態図形の点滅速度を決定するマップである。
【図12】主体度に応じてリスク図形の加法混色を決定するマップである。
【図13】主体度に応じてリスク図形の輝度を決定するマップである。
【図14】主体度に応じてリスク図形の点滅速度を決定するマップである。
【図15】第2実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図16】主体度Dの変化を示すタイムチャートである。
【図17】各制御の制御量に応じて主体度Dを決定するマップである。
【図18】主体度Dに応じて表示画角を決定するマップである。
【図19】車線逸脱するときのリスクを表す将来の状況である。
【図20】車線逸脱防止制御の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況である。
【図21】車線逸脱防止制御の作動を表す過去の状況である。
【図22】路面摩擦係数が低い路面の表示例である。
【図23】スクールゾーンの表示例である。
【図24】運転支援装置の概略構成図である。
【図25】第5実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図26】操作頻度算出処理を示すフローチャートの一例である。
【図27】操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
【図28】操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
【図29】主体度の算出に用いるマップである。
【図30】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図31】第6実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図32】操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
【図33】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図34】第7実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図35】覚醒度算出処理を示すフローチャートの一例である。
【図36】主体度の算出に用いるマップである。
【図37】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図38】第8実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図39】慣れ度合と主体度との関係を示すグラフである。
【図40】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図41】第9実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図42】混雑度と主体度との関係を示すグラフである。
【図43】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図44】第10実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図45】渋滞割合と主体度との関係を示すグラフである。
【図46】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図47】第11実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図48】自車速と主体度との関係を示すグラフである。
【図49】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図50】第12実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図51】周囲車両の数と主体度との関係を示すグラフである。
【図52】主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【図53】第13実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図54】運転補助装置スイッチのオン/オフに応じた補正量を示すグラフである。
【図55】適正頻度に対する操作頻度の差分と補正量との関係を示すグラフである。
【図56】第14実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図57】作動回数カウント処理を示すフローチャートの一例である。
【図58】低リスク運転補助装置の作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
【図59】高リスク運転補助装置の作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
【図60】第15実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図61】運転継続時間と補正量との関係を示すグラフである。
【図62】第16実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【図63】運転時刻と補正量との関係を示すグラフの一例である。
【図64】第17実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
《構成》
図1は、運転支援装置の概略構成である。
図2は、表示制御処理を示すフローチャートである。
【0009】
レーザレーダ1は、車両前方に存在する前方物体の位置、及び距離を検出し、コントローラ10に入力する。カメラ2は、車両前方を撮像し、画像処理装置3は、カメラ2で撮像した画像データに基づいて走行環境を認識し、コントローラ10に入力する。車速センサ4は、自車両の車速を検出し、コントローラ10に入力する。
コントローラ10は、自車両における車両挙動や周囲環境について、後述する各種リスクを判断し、このリスクに応じてブレーキアクチュエータ6を駆動制御すると共に、そのリスク情報や制御情報を作成し、これを表示装置7を介して運転者に提供する。
【0010】
ブレーキアクチュエータ6は、ソレノイドバルブやポンプ等の油圧機器を備え、これらをコントローラ10によって駆動制御することにより、運転者のブレーキ操作に関らず各ホイールシリンダの液圧を個別に制御することができる。
表示装置7には、ナビゲーションシステムの表示モニタや、コンビネーションメータ、またフロントウィンドウガラスの所定範囲に表示光線を投影して画像を映し出すヘッドアップディスプレイ(HUD)などを利用する。
【0011】
コントローラ10は、車線逸脱防止制御(LDP:Lane Departure Prevention)、車間維持制御(MB:Magic Bumper)、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)、坂道発進制御(HSA:Hill Start Assist)、降坂路車速制御(HDC:Hill Descent Control)など、複数の制御システムを備える。
車線逸脱防止制御では、例えば自車両の走行車線からの逸脱傾向を検出したときに、左右輪の制動力差によって反逸脱方向へのヨーモーメントを発生させることで、走行車線からの逸脱を抑制する。
【0012】
車間維持制御では、自車両の前方や側方に仮想のバネがあると想定し、自車両が前方物体や側方物体に接近するときに、仮想のバネが圧縮されるときの反発力を、擬似的に演出する。前後方向の反発力であれば、制動力を増加させたりエンジン制御や変速制御によって駆動力を減少させたりすればよい。このとき、運転者のアクセル操作があるときには、アクセルペダルのペダル反力を増加させてもよい。また、横方向の反発力であれば、左右輪の制動力差によって側方物体と反対方向へのヨーモーメントを発生させたり、ステアリングホイールに側方物体と反対方向への操舵トルクを付与したりすればよい。
【0013】
スタビリティ制御では、例えば車両のオーバーステア傾向やアンダーステア傾向を検出したときに、左右輪の制動力差によってオーボーステア抑制方向やアンダーステア抑制方向のヨーモーメントを発生させたり、ステアリングホイールにオーバーステア抑制方向やアンダーステア抑制方向の操舵トルクを付与したりして、車両挙動を安定させる。
坂道発進制御では、急勾配の上り坂で停車し、再び発進するときに、ブレーキ操作からアクセル操作に移行するまでの間、制動力を維持することにより、車両の後退を防ぐ。
【0014】
降坂路車速制御では、急勾配を下るときに、制動力を制御することにより、車速の増加を制限する。
コントローラ10は、図2の表示制御処理を実行し、上記のようなリスク情報や制御情報を、表示装置7を介して運転者に提供する。
【0015】
次に、表示制御処理について説明する。
先ずステップS1では、リスク情報を取得する。すなわち、走行車線に対する自車両の逸脱傾向や、前方物体や側方物体との接近傾向、また自車両のオーバーステア傾向やアンダーステア傾向、さらに路面勾配などを取得する。
続くステップS2では、下記(1)式に示すように、車両の走行(運転操作)に対する運転者の主体度Dを算出する。
【0016】
D=(D1+D2)/2 ………(1)
D1=A/(A+B)
D2=E/(E+F)
Aは運転者の運転操作による車両挙動、Bは車両制御による車両挙動、A+Bは車両に発生する車両挙動である。Eは運転者の運転操作による一定時間後の予測車両挙動、Fは車両制御による一定時間後の予測車両挙動、E+Fは車両に発生する一定時間後の予測車両挙動である。また、D1は現在の車両挙動のうち運転者が運転操作している割合、D2は一定時間後の予測車両挙動のうち運転者が運転操作している割合である。これらD1とD2とを加算した値を、運転者の主体度と定義する。
【0017】
したがって、主体度Dが高いほど、各種制御の介入度が低く、車両挙動が運転者の運転操作に依存している状態を指す。一方、主体度Dが低いほど、各種制御の介入度が高く、車両挙動が運転者の運転操作に依存してない状態を指す。
ここで、車両挙動の一例として、例えばヨーレートを用いた場合を説明する。
先ず、下記(2)式に示すように、等価2輪モデルに基づいてヨーレートγを算出し、これを車両挙動Aとする。ここで、Vは車速、Sfはスタビリティファクタ、Lはホイールベース、θはタイヤ転舵角である。
【0018】
【数1】
【0019】
また、車両に発生した車両挙動(A+B)は、ヨーレートセンサで実測した値とする。
また、運転操作による一定時間後の予測車両挙動Eは、先ず一定時間後のステアリング操作量を推定する。現時点から一定時間前のステアリング操作量の平均値をdn、ステアリング操作量の前回平均値をdn-1とすると、一定時間後のステアリング操作量の予測値θdは、下記(3)式で表される。
【0020】
【数2】
【0021】
ここで、tはdnとdn-1の時間間隔,Tは一定時間後の時間間隔である。このステアリング操作量の予測値θdを、転舵角θとして前記(2)式に代入することで、一定時間後の予測車両挙動Eを算出する。
【0022】
また、車両に発生する一定時間後の車両挙動(E+F)は、過去数件の車両挙動から前記(3)式と同等の方法で求める。又は、アクチュエータの制御ロジックへ前記(3)で算出したEを入力することでFを推定し、一定時間後の車両挙動(E+F)を算出してもよい。
なお、車両の前後挙動の場合も同様に、現在のドライバ操作による車両挙動Aと実際の車両挙動(A+B)、一定時間後のドライバ予測操作量による車両挙動Eと予測車両挙動(E+F)から算出する。
【0023】
続くステップS3では、運転者の主体度Dに応じて、リスク情報や制御情報の表示方法を決定し、これを表示装置7を介して運転者に提供する。ここでは、運転者の主体度Dを例えば三段階のレベルに区分けし、各レベルに応じてリスク情報や制御情報の提供方法を決定する。例えば0〜30%を低レベル、30〜60%を中レベル、60〜100%を高レベルとする。
【0024】
各レベルに応じて制御情報の表示方法を、図3〜図8に基づいて説明する。
なお、何れの場合も自車両を上方から見下ろした俯瞰図とし、各種制御の作動によって車両に作用する力を表示した制御情報を作成する。
【0025】
先ず、車線逸脱防止制御が作動するときには、図3に示すように、その制御状態を、つまり走行車線からの逸脱を抑制している状態を、反逸脱方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0026】
また、通行区分線に対して車間維持制御が作動するときには、図4に示すように、車両の側方に向かって突出する仮想のバネを表示し、主体度Dに応じて仮想のバネの形状や色を変化させる。なお、仮想のバネは、車幅方向に沿って並んだ車体前後方向の複数の直線として描いている(波紋状)。例えば、主体度Dが高レベル及び中レベルのときには、通行区分線への接近傾向が増加するリスクは高くないので、仮想のバネを例えば『水色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、通行区分線への接近傾向が増加するリスクが高まっているので、仮想のバネを例えば『黄色』に設定する。また、仮想のバネが圧縮している状態を表現するために、車幅方向に沿って並んだ複数の直線の間隔を縮める。
【0027】
また、自車両の周囲の物体に対して車間維持制御が作動するときには、図5に示すように、車両の四隅から斜め四方に向かって突出する仮想のバネを表示し、主体度Dに応じて仮想のバネの形状や色を変化させる。なお、仮想のバネは、車体中心から斜め方向に沿って並んだ複数の円弧として描いている(波紋状)。例えば、主体度Dが高レベルのときには、周囲の物体への接近傾向が増加するリスクは高くないので、仮想のバネを例えば『水色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、周囲の物体への接近傾向が増加するリスクがやや高まっているので、少なくとも周囲の物体を検出した方向の仮想のバネを例えば『黄色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、周囲の物体への接近傾向が増加するリスクが高まっているので、少なくとも周囲の物体を検出した方向の仮想のバネを例えば『黄色』に設定する。また、仮想のバネが圧縮している状態を表現するために、車体中心から斜め方向に沿って並んだ複数の円弧の間隔を縮める。
【0028】
また、スタビリティ制御が作動するときには、図6に示すように、その制御状態を、つまりオーバーステア傾向やアンダーステア傾向を抑制している状態を、ヨーモーメントを付与している方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0029】
また、坂道発進制御が作動するときには、図7に示すように、その作動状態を、つまり急な上り坂で車両の後退を抑制している状態を、車両を後方から押す矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0030】
また、降坂路車速制御が作動するときには、図8に示すように、その作動状態を、つまり急な下り坂で車速の増加を抑制している状態を、車両後方に向かう矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0031】
《作用》
車線逸脱防止制御、車間維持制御、スタビリティ制御など、複数の制御を統合したシステムにおいて、何れかの制御介入があったとすると、そのリスク内容や制御状態を画一的に表示すると、運転者の状況によっては、かえって事態を把握しにくい可能性がある。
本実施形態では、各種制御が作動するときに、車両の走行(運転操作)に対する運転者の主体度Dを算出し(ステップS2)、この主体度Dに応じて制御情報の表示方法を決定し、これを表示装置7を介して運転者に提供する(ステップS3)。
【0032】
ここで、主体度Dは、車両に発生している車両挙動(A+B)のうち、運転者の運転操作量に応じた車両挙動Aが占める割合D1と、所定時間後の車両に発生する予測車両挙動(E+F)のうち、所定時間後における運転者の運転操作量に応じた予測車両挙動Eが占める割合D2との平均値としている。このように、簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度Dを算出することができる。
【0033】
制御状態を表す視覚情報は、各種制御の作動によって車両に作用する力を表す矢印や仮想のバネで表示する。これにより、運転者は制御状態を容易に理解しやすくなる。
ここで、各種制御が作動したときに、主体度Dに応じた視覚情報の表示形態について説明する。
先ず、車線逸脱防止制御(LDP)が作動したときには、図3に示すように、反逸脱方向の矢印を表示する。
【0034】
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、逸脱傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0035】
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、逸脱傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0036】
次に、通行区分線に対して車間維持制御(MB)が作動したときには、図4に示すように、車両の側方に向かって突出する仮想のバネを表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、仮想のバネを『水色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、通行区分線に対する接近傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0037】
また、主体度Dが中レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、通行区分線に対する接近傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0038】
また、主体度Dが低レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にするだけではなく、圧縮している状態を表現する。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、通行区分線に対する接近傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに仮想のバネを強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0039】
次に、隣接車線を走行する他車両など、自車両の周囲の物体に対して車間維持制御(MB)が作動したときには、図5に示すように、車両の四隅から斜め四方に向かって突出する仮想のバネを表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、仮想のバネを『水色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、周囲の物体に対する接近傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0040】
また、主体度Dが中レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、周囲の物体に対する接近傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、仮想のバネを『黄色』にするだけではなく、圧縮している状態を表現する。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、周囲の物体に対する接近傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに仮想のバネを強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0041】
次に、スタビリティ制御(VDC)が作動したときには、図6に示すように、ヨーモーメントを付与している方向の矢印を表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクが低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0042】
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向が増加するリスクが高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0043】
次に、坂道発進制御(HSA)が作動したときには、図7に示すように、車両を後方から押す矢印を表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、速やかなアクセル操作へと移行できるので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0044】
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、アクセル操作への移行が遅れる可能性があるので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、アクセル操作への移行が遅れる可能性が高いので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0045】
次に、降坂路車速制御(HDC)が作動したときには、図8に示すように、車両後方に向かう矢印を表示する。
このとき、主体度Dが高レベルであれば、矢印を『青色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が高ければ、必要以上に注意を喚起しなくても、車速が増加するリスクは低いので、寒色(青・緑などの青系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0046】
また、主体度Dが中レベルであれば、矢印を『赤色』にする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下し始めた状態にあると、車速が増加するリスクがやや高まっているので、警告色(赤・オレンジ・黄などの赤系の色相)で表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
また、主体度Dが低レベルであれば、矢印を『赤色』にするだけではなく、サイズを大きくする。すなわち、車両走行に対する運転者の意識が低下していると、車速が増加するリスクが高まっているので、主体度Dが中レベルのときよりも、さらに矢印を強調して表示する。これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0047】
《応用例》
また、本実施形態では、D1とD2との平均値を主体度Dとして算出しているが、D1とD2の加算値を主体度Dとしたり、D1とD2のセレクトロー値を主体度Dとしたり、D1とD2の夫々に重み付けをした加算値を主体度Dとしたりしてもよい。さらには、D1及びD2の何れか一方を、そのまま主体度Dとしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、主体度Dを高レベル・中レベル・低レベルの三段階に分け、矢印やバネなどの作用状態図形の表示形態を変更しているが、細分化してもよい。例えば、加法混色、つまり光の三原色によって作用状態図形を表示する場合、図9に示すように、主体度Dが低いほど、赤色を濃く(強く)することにより、連続的無段階で表示形態を変更してもよい。これによれば、きめ細かく表示形態を調整することができる。
【0049】
また、本実施形態では、主体度Dに応じて、矢印やバネなどの作用状態図形の色を変更しているが、他にも作用状態図形の輝度や点滅速度を変更してもよい。すなわち、図10に示すように、主体度Dが低いほど、作用状態図形の輝度を高くしてもよい。また、図11に示すように、主体度Dが低いほど、作用状態図形の点滅速度を早めてもよい。これによれば、作用状態図形の強調度合を任意に調整することができ、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、運転者の主体度Dに応じて作用状態図形のみの表示形態を変更しているが、車両走行に対するリスクを表すリスク図形の表示形態を変更してもよい。すなわち、車線逸脱防止制御では通行区分線をリスク図形としたり、車間維持制御では周囲の物体をリスク図形としたり、スタビリティ制御では自車両そのものをリスク図形としたりする。一般に、運転者の主体度Dが高ければ、運転者は多くの視覚情報を把握することができる。それで、図12に示すように、主体度Dが高いほど、リスク図形を表示した三原色のうち、青色を濃くすることで、自車両にとってリスクとなっているリスク図形を効果的に運転者に認識させてもよい。また、図13に示すように、主体度Dが高いほど、リスク図形の輝度を高くすることで、自車両にとってリスクとなっているリスク図形を効果的に運転者に認識させてもよい。但し、主体度Dが低いほど、リスクが高まる可能性があるので、図14に示すように、点滅速度を早めることで、自車両にとってリスクとなっているリスク図形を強調し、運転者の感覚に適した注意喚起を行ってもよい。
【0051】
《効果》
以上より、コントローラ10が「制御手段」に対応し、表示装置7が「表示手段」に対応し、ステップS2の処理が「算出手段」に対応し、ステップS3の処理が「変更手段」に対応する。また、図3、図6〜図8の矢印、及び図4、図5の仮想のバネが「作用状態図形」に対応する。
【0052】
(1)車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御する複数の制御手段と、該制御手段の少なくとも一つが作動するときに、車両走行のリスク及び当該制御手段の作動状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する表示手段と、車両走行に対する運転者の主体度を算出する算出手段と、該算出手段が算出した主体度に応じて前記表示手段による視覚情報の表示形態を変更する変更手段と、を備える。
これによれば、運転者の主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更することで、それを画一的に表示するよりも効果的にリスクや制御状態を表示することができる。したがって、運転者が事態を把握しやすくなる。
【0053】
(2)前記算出手段は、車両に発生している車両挙動のうち、運転者の運転操作量に応じた車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出する。
これにより、簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0054】
(3)前記算出手段は、所定時間後の車両に発生する予測車両挙動のうち、所定時間後における運転者の運転操作量に応じた予測車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出する。
これにより、簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
(4)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形のサイズを大きくする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0055】
(5)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形を表示した三原色のうち、赤色を濃くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
(6)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の輝度を高くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0056】
(7)前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の点滅速度を早くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
(8)前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形を表示した三原色のうち、青色を濃くする。
これにより、自車両にとってリスクとなっている事態を、効果的に運転者に認識させることができる。
(9)前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形の輝度を高くする。
これにより、自車両にとってリスクとなっている事態を、効果的に運転者に認識させることができる。
【0057】
(10)前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記リスク図形の点滅速度を早くする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
(11)車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスク及び当該制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示するものであって、車両走行に対する運転者の主体度を算出し、算出した主体度に応じて前記視覚情報の表示形態を変更する。
【0058】
これによれば、運転者の主体度に応じて視覚情報の表示形態を変更することで、それを画一的に表示するよりも効果的にリスクや制御状態を表示することができる。したがって、運転者が事態を把握しやすくなる。
【0059】
《第2実施形態》
《構成》
本実施形態では、主体度Dの他の算出方法を示す。
図15は、主体度算出処理を示すフローチャートである。
先ずステップS21では、スタビリティ制御が作動しているか否かを判定する。スタビリティ制御が作動していればステップS22に移行する。一方、スタビリティ制御が非作動であればステップS23に移行する。
ステップS22では、運転者の主体度をD=20%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
【0060】
ステップS23では、車線逸脱防止制御が作動しているか否かを判定する。車線逸脱防止制御が作動していればステップS24に移行する。一方、車線逸脱防止制御が非作動であればステップS25に移行する。
ステップS24では、運転者の主体度をD=50%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
【0061】
ステップS25では、車間維持制御が作動しているか否かを判定する。車間維持制御が作動していればステップS26に移行する。一方、車間維持制御が非作動であればステップS27に移行する。
ステップS26では、運転者の主体度をD=90%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS27では、運転者の主体度をD=100%と推定してから所定のメインプログラムに復帰する。
【0062】
《作用》
車両走行に対する運転者の主体度Dは、各種制御の作動状態から、ある程度推定することができる。例えば、車間維持制御だけが作動していれば、主体度Dが比較的まだ高レベルにあると推定でき、車線逸脱防止制御が作動すれば、主体度Dが中レベルまで低下していると推定でき、スタビリティ制御が作動すれば、主体度Dが低レベルまで低下していると推定できる。すなわち、各制御の作動と主体度Dとの関係を予め定めておくことで、各制御の作動状態に応じて主体度Dを算出(推定)する。このように、簡易な手法で、車両走行に対する運転者の主体度Dを算出することができる。
【0063】
また、複数の制御が同時に作動するときには、図16に示すように、車間維持制御(MB)よりも車線逸脱防止制御(LDP)、車線逸脱防止制御よりもスタビリティ制御(VDC)を優先して主体度Dを設定する。
先ず、MBが作動状態にあると、主体度Dは90%となり、MBの制御状態を視覚情報として表示する。そして、時点t1〜t2でLDPが作動している間は、これを優先して主体度Dを50%とし、視覚情報の表示をLDPの制御状態に切替える。また、時点t2〜t3でLDPが非作動状態にある間は、主体度Dは90%に戻り、視覚情報の表示をMBの制御状態に切替える。また、時点t3〜t5でVDCが作動している間は、これを優先して主体度Dを20%とし、視覚情報の表示をVDCの制御状態に切替える。時点t4〜t6でLDPが作動しても、VDCが作動している時点t4〜t5では、視覚情報の表示をVDCの制御状態のまま維持し、VDCが非作動になった以降の時点t5〜t6で、視覚情報の表示をLDPの制御状態に切替える。
【0064】
《応用例》
なお、本実施形態では、単に各種制御の作動状態(ON/OFF)に基づいて主体度Dの概数を推定しているが、夫々の制御量に基づいて、より細かく主体度Dを推定してもよい。すなわち、図17に示すように、先ず、MBだけが作動するときに、主体度Dを60〜100%とし、LDPが作動するときに、主体度Dを30〜60%とし、VDCが作動するときに、主体度Dを0〜30%と定める。そして、MBによる制御量が0から最大値までの範囲で増加するときに、主体度Dが100から60までの範囲で減少するように設定する。また、LDPによる制御量が0から最大値までの範囲で増加するときに、主体度Dが60から30までの範囲で減少するに設定する。また、VDCによる制御量が0から最大値までの範囲で増加するときに、主体度Dが30から0までの範囲で減少するように設定する。これによれば、より高精度に主体度Dを推定することができる。
【0065】
《効果》
以上より、ステップS21〜S27の処理が「算出手段」に対応する。
(1)前記算出手段は、前記制御手段の作動と前記主体度との関係を予め定めておき、前記制御手段の作動状態に応じて前記主体度を算出する。
これにより、簡易な手法で、車両走行に対する運転者の主体度Dを算出することができる。
(2)前記算出手段は、前記制御手段が作動したときの制御量に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より高精度に主体度を算出することができる。
【0066】
《第3実施形態》
《効果》
本実施形態は、主体度Dに応じて表示領域を変更するものである。
すなわち、前述したステップS3の処理を実行する際に、図18のマップを参照し、主体度Dに応じて表示画角を決定する。このマップは、主体度Dが低いほど、自車両を中心とする表示画角を狭くする、つまり自車両をズームアップして表示する。
【0067】
《作用》
一般に、運転者の主体度Dが高ければ、運転者は多くの視覚情報を把握することができる。それで、主体度Dが高いときほど、表示画角を広くすることで、多くの情報提供を可能にする。一方、主体度Dが低いときほど、表示画角を狭くすることで、いま運転者に最も認識して欲しい情報だけに限定して、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
【0068】
《効果》
(1)前記表示手段は、前記主体度が低いほど、自車両をズームアップすることを特徴とする。
これにより、運転者の感覚に適した注意喚起を行うことができる。
《第4実施形態》
《構成》
本実施形態は、視覚情報の他の表示形態を提案するものである。
すなわち、視覚情報を時系列で分類した表示形態である。なお、本実施形態では、車線逸脱防止制御を例に説明する。
【0069】
先ず、車両走行のリスクを表す将来の状況を図19に示す。すなわち、走行車線から逸脱するという将来のリスクを、自車両の斜め前方に表示した青色の枠で表現する。この場合、前述した第1実施形態の応用例で示したリスク図形と同様の主旨により、主体度Dが高いほど、青色の枠を太くする。
【0070】
また、車線逸脱防止制御の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況を図20に示す。すなわち、走行車線からの逸脱を抑制している状態を、反逸脱方向の矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0071】
また、車線逸脱防止制御の作動を表す過去の状況を図21に示す。ここで、過去の状況というのは、図20の状態に至った理由を示すものであり、図20の状態に至る前の状態を指している。すなわち、例えば左側への逸脱傾向がある場合、左右輪の制動力差によって右方向へのヨーモーメントを付与するので、右輪に制動力を付与した状態を、右輪のタイヤ後方への矢印で表示し、主体度Dに応じて矢印のサイズ(長さ・太さを含む)や色を変化させる。例えば、主体度Dが高レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクは高くないので、矢印を例えば『青色』に設定する。また、主体度Dが中レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクがやや高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定する。そして、主体度Dが低レベルのときには、逸脱傾向が増加するリスクが高まっているので、矢印を例えば『赤色』に設定し、そのサイズを大きくする。
【0072】
《作用》
本実施形態では、視覚情報を時系列で分類し、将来の状況、現在の状況、過去の状況の何れかを表示する。このように、様々な表示形態を用意することで、運転者の好みに合わせて表示形態を変化させたり、その場の状況に適した情報提供が可能になる。
【0073】
《応用例》
なお、路面摩擦係数の低い路面やスクールゾーンを検出したときに、これらの視覚情報を表示してもよい。例えば、水溜りなど路面摩擦係数の低い路面情報をインフラストラクチャから取得したときには、図22に示すように、自車両前方に水溜りなどの図形を表示する。また、通学路情報をナビゲーションシステムから取得したときには、図23に示すように、一般路(非スクールゾーン)と異なる道路図形を表示したり、又はスクールゾーンの標識図形を表示したりする。これによれば、様々な走行シーンで運転者の走行を支援することができる。
【0074】
《効果》
(1)前記表示手段は、車両走行のリスクを表す将来の状況、前記制御手段の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況、前記制御手段の作動を表す過去の状況の何れか一つを表示する。
これにより、運転者の好みに合わせて表示形態を変化させたり、その場の状況に適した情報提供が可能になる。
【0075】
《第5実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバが集中して走行している場合、不要な情報を表示しないように表示内容を変更するものである。
図24は、運転支援装置の概略構成図である。
【0076】
ここでは、ドライバ操作検出装置8と、ナビゲーションシステム9とを追加したことを除いては、前述した図1と同様の構成を有するので、共通する構成については説明を省略する。
先ず、ドライバ操作検出装置8は、例えばアクセル操作、ブレーキ操作、シフト操作、ステアリング操作、ナビ操作、計器類の操作など、運転者の各種操作状態を検出し、コントローラ10に入力する。また、ナビゲーションシステム9は、自車両の現在地と、その周辺の地図情報及び道路情報をコントローラ10に入力する。なお、ナビゲーションシステム9は、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)を利用してFM多重放送や光・電波ビーコンから車両周囲の交通情報を受信する。
【0077】
図25は、第5実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS51では、運転者の各種操作状態を検出する。
続くステップS52では、運転者の各種操作の頻度を算出する。
ある所定時間(例えば運転開始時から現在まで)のうちドライバのアクセル操作、ブレーキ操作、シフト操作、ステアリング操作、ナビ操作、計器類の操作など、何れかの操作が成された割合から(操作量の時間微分値が一定値以上)、ドライバ操作頻度hを下記式によって算出する。ここでは、何れかが操作されている場合にx=1、何れも非操作であるときにx=0とし、操作頻度hは0≦h≦1.0の範囲で算出する。
【0078】
【数3】
【0079】
図26は、操作頻度算出処理を示すフローチャートの一例である。
この図のように、前回値との差分が閾値以上となるときだけ、操作ありと判断し、一定時間における操作頻度を算出する。
【0080】
続くステップS53では、操作頻度hに応じて運転者の主体度Dを算出する。
ここで、ドライバ操作頻度hが、予め算出した適性頻度H(例えば0.7)より大きいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−a(h−H)[%]
一方、操作頻度hが、予め算出した適性頻度Hより小さいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−b(H−h)[%]
【0081】
上記a及びbは係数であり、a<bの関係にあり、操作頻度hが低いほど、主体度Dが低くなるように設定されている。係数a及びbの範囲は0〜100とし、例えばa=50、b=100である。
また、操作頻度hが、適正頻度Hと同じときには、下記式に示すように、主体度Dを100とする。
D=100[%]
【0082】
図27は、操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、操作頻度が適正頻度と一致するときに、主体度が最大値となる。
なお適正頻度Hは一意の値ではなく、ある幅を持たせてもよい。この場合、適正頻度はHl≦h≦Hhの範囲となり、例えばHl=0.6、Hh=0.8と設定する。
【0083】
ここで、ドライバ操作頻度hが、適性頻度の上限値Hhより大きいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−a(h−Hh)[%]
一方、操作頻度hが、予め算出した適性頻度の下限値Hlより小さいときには、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−b(Hl−h[%]
また、操作頻度hが、Hl≦h≦Hhの範囲内にあるときには、下記式に示すように、主体度Dを100とする。
D=100[%]
【0084】
図28は、操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、操作頻度が適正頻度の範囲内にあるときに、主体度が最大値となる。
さらに、上記以外にも、予めドライバ主体度算出のマップを持ち、ドライバ操作頻度hを入力として、そのマップからドライバ主体度を算出してもよい。
図29は、主体度の算出に用いるマップである。
このようなマップを参照し、操作頻度hに応じて主体度Dを算出してもよい。
【0085】
続くステップS54では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図30は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、表示情報量を抑制する。
続くステップS55では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0086】
《作用》
運転者の操作頻度hが適性頻度に近似しているほど、運転者が運転に集中していると考えられるので、操作頻度に応じて主体度Dを算出し(ステップS53)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS54、S55)。例えば、主体度Dが高いほど、明るさを抑制したり、点滅速度を抑制したり、表示情報量を抑制する。すなわち、ドライバ主体度が高い場合、積極的な表示が必要ないとみなし、表示画面全体の明るさ・表示内容の配色を暗めに設定し、表示情報量を少なく設定する。
こうして、運転者が運転に集中しているシーンでは、装置の作動状態など、必要な情報のみを表示することができる。
【0087】
《効果》
(1)前記算出手段は、運転者による運転操作の頻度を算出し、算出した頻度に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0088】
《第6実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバの意図から主体度Dを算出するものである。
図31は、第6実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前記ステップS53を処理する前に、運転補助装置のスイッチ操作状態を読込むステップS61を追加したことを除いては、前述した図25と同様の処理を実行するので、共通する処理については説明を省略する。
【0089】
ステップS61では、運転補助装置スイッチのON/OFF状態を読込む。運転補助装置スイッチとは、例えばLDP、MB、VDC、HSA、HDCなどを強制的に非作動状態(OFF)にできるスイッチである。
続くステップS53では、ドライバが運転補助装置スイッチを明示的にOFFにしたときには、下記式にて主体度Dを算出する。
D={a+(100−a)h}
ここでaはそのドライバの通常時における主体度として設定し、ドライバ主体度の平均値から算出する。通常時の主体度が設定されていない場合a=0とする。
【0090】
図32は、操作頻度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、操作頻度が増加するほど、主体度が増加する。
続くステップS54では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図33は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、表示情報量を抑制する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0091】
《作用》
運転者が運転補助装置スイッチをOFFにしていれば、運転者が自らの運転を楽しもうとしていると考えられるので、操作頻度の多さを主体度Dの大きさと考えられる。そこで、運転補助装置スイッチの操作状態を読込み(ステップS61)、操作頻度に応じて主体度Dを算出方法を切換えて、図32のグラフに従って主体度Dを算出し(ステップS53)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS54)。例えば、主体度Dが高いほど、明るさを抑制したり、点滅速度を抑制したり、表示情報量を抑制する。すなわち、ドライバ主体度が高い場合、積極的な表示が必要ないとみなし、表示画面全体の明るさ・表示内容の配色を暗めに設定し、表示情報量を少なく設定する。
こうして、運転者が自らの運転を楽しもうとしているシーンでは、必要最低限の情報のみを表示することができる。
【0092】
《効果》
運転補助装置のスイッチ操作に応じて、主体度Dを算出する
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0093】
《第7実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバの覚醒状態(漫然運転等)に応じて表示内容を変更するものである。
図34は、第7実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS71では、運転者のステアリング操作、運転者の心拍数・体温・筋電、ドライバを撮影するカメラ情報(まぶたの動き、頭部の動き、視線の変化)等、運転者の運転操作状態、運転者の生体反応、運転者の挙動の少なくとも一つを検出する。
続くステップS72では、読込んだ各種情報から運転者の覚醒度Wを算出する。ドライバの覚醒度Wは0〜1.0の範囲とし、覚醒状態であれば1.0と定義する。
【0094】
図35は、覚醒度算出処理を示すフローチャートの一例である。
この図のように、所定時間における目を閉じている時間や、ステアリング操作の周波数に応じて覚醒度Wを算出する。
続くステップS73では、下記式に従って、覚醒度Wに応じてドライバ主体度Dを算出する。
D=1−(1−W)2×100[%]
なお、予めドライバ主体度算出のマップを持ち、ドライバ覚醒度Wを入力として、そのマップからドライバ主体度を算出してもよい。
【0095】
図36は、主体度の算出に用いるマップである。
このようなマップを参照し、覚醒度Wに応じて主体度Dを算出してもよい。
続くステップS74では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図37は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
ここでは、画面全体と注目対象とを区別しながら、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、画面全体については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制するが、表示情報量は増加させ、また加法混色は主体度が低いほど赤色を濃く(強く)する。また、注目対象については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は主体度が低いほど赤色と緑色を濃く(強く)し、且つ青色は薄く(弱く)する。
【0096】
続くステップS75では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0097】
《作用》
運転者の覚醒度が低いほど、運転者が漫然運転をしていると考えられるので、覚醒度Wに応じて主体度Dを算出し(ステップS73)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS74、S75)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、色合いを強調したり、点滅速度を速くしたりするが、表示情報量については抑制する。すなわち、主体度が低い場合、画面全体の明るさを明るく設定し、配色は強烈な色とする。
こうして、運転者が漫然運転しているシーンでは、装置の作動状態など、表示内容を強調することができる。
【0098】
《効果》
(1)前記算出手段は、運転者の覚醒度を算出し、算出した覚醒度に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0099】
《第8実施形態》
《構成》
本実施形態は、走行経路と走行回数に応じて、表示内容を変更するものである。
図38は、第8実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS81では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS82では、現在地から該当区間の通過回数iを算出する。
続くステップS83では、現在地の走行回数iに応じてドライバ主体度Dを算出する。
ここで、通過回数iが、予め算出しておいた『不慣れ』判断閾値th1(例えばth1=3)より小さい場合は、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−a(th1−i)
一方、通過回数iが、予め算出しておいた『慣れ』判断閾値th2(例えばth2=10)より小さい場合は、
D=100−a(th2−i)
また、通過回数iが、『慣れ』判断閾値th2以上のときには、下記式に示すように、主体度Dを100とする。
D=100
【0100】
図39は、慣れ度合と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、慣れた道ほど、主体度Dが大きくなる。
続くステップS84では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図40は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【0101】
ここでは、画面全体と注目対象とを区別しながら、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、画面全体については、主体度に係らず、明るさ、色合い、点滅速度、表示情報量を一定にする。一方、注目対象については、主体度が高いほど、明るさを増加させ、青色を濃く(強く)し、点滅速度は遅くする。
続くステップS85では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0102】
《作用》
不慣れな道ほど、運転者の主体度Dは低くなると考えられるので、通行回数iに応じて主体度Dを算出し(ステップS83)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS84、S85)。例えば、主体度Dが高いほど、明るさを増加させたり、色合いを強調したりする。逆に、不慣れな道を走行しているときには、主体度Dが低くなり、装置の作動状態だけでなく、周囲のリスク情報も積極的に表示する。すなわち、ドライバ主体度によらず、画面全体の明るさ・配色を暗めに設定する。また、主体度が低い場合、注目対象としてリスク情報も積極的に表示する。
【0103】
《効果》
(1)前記算出手段は、走行中の経路で過去における走行回数を算出し、算出した走行回数に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0104】
《第9実施形態》
《構成》
本実施形態は、道路の混雑状況に応じて表示する内容を切替えるものである。
図41は、第9実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS91では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS92では、現在地を参照し、道路の各区間ごとに定まっている混雑度Cを読込む。
続くステップS93では、混雑度Cに応じて主体度Dを算出する。
【0105】
ここで、混雑度Cが第一の閾値より低い(例えば1.0以下)ときには、ほとんど渋滞は無く走行可能なことから下記式に示すように、主体度を100%とする。
D=100
一方、混雑度Cが第一の閾値より高く、第二の閾値よりより低い(例えば1.75未満)のときには、ほぼ渋滞しているため、下記式に従って主体度Dを算出する。
D={(1.75−C)×100}[%]
また、混雑度Cが第二の閾値を上回っているときには、下記式に示すように、0とする。
【0106】
図42は、混雑度と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、混雑度Cが高くなるほど、主体度Dが小さくなる。
続くステップS94では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図43は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【0107】
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は主体度が低いほど、赤色を濃く(強く)する。
続くステップS95では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0108】
《作用》
道路の混雑度合が高いほど、装置の作動状況だけでなく、リスク情報も積極的に表示することが望ましい。そこで、道路の混雑度合Cが高いほど、運転者の主体度Dを低くし(ステップS93)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS94、S95)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度によらず表示情報量を多く設定し、主体度が低い場合、画面全体の明るさ・配色を明るく設定する。
【0109】
こうして、混雑している道路を走行している場合には、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0110】
《効果》
(1)前記算出手段は、道路の混雑度合を検出し、検出した混雑度合に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0111】
《第10実施形態》
《構成》
本実施形態は、経路全体の渋滞状況から主体度Dを算出するものである。
図44は、第10実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS101では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS102では、ナビゲーションシステム9のVICS情報より渋滞情報を読込む。
続くステップS103では、ナビゲーションシステム9より目的地までの距離Lを算出する。
続くステップS104では、ナビゲーションシステム9のVICS情報より目的地までの渋滞距離Lcを算出する。
【0112】
続くステップS105では、目的地までの距離Lに占める渋滞距離Lcに応じて下記式に従って主体度Dを算出する。
D={(L−Lc)/L}×100[%]
図45は、渋滞割合と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、渋滞割合が高くなるほど、主体度Dが低くなる。
続くステップS106では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図46は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
【0113】
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制するが、表示情報量は増加させる。また加法混色は主体度が低いほど、赤色を濃く(強く)する。
続くステップS107では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0114】
《作用》
目的地に到着するまでに、渋滞している割合が高いほど、装置の作動状態だけでなく、リスク情報も積極的に表示することが望ましい。そこで、渋滞している割合が高いほど、運転者の主体度Dを低くし(ステップS105)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS94、S95)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度が高い場合、表示情報量を多く設定し、主体度が低い場合、画面全体の明るさ・配色を明るめに設定する。
こうして、渋滞している割合が高いシーンでは、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0115】
《効果》
目的地までの距離に占める渋滞距離に応じて主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0116】
《第11実施形態》
《構成》
本実施形態は、制限速度から主体度Dを算出するものである。
図47は、第11実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS111では、ナビゲーションシステム9より自車両の現在位置を読込む。
続くステップS112では、自車速Vvを読込む。
続くステップS113では、ナビゲーションシステム9より現在走行中の道路の制限速度Vrを読込む。例えば、一般道路であれば60km/h、高速道路であれば100km/h等と、各道路ごとに設定されている速度である。なお、インフラストラクチャから取得可能であれば、それを読込む。
続くステップS114では、自車速Vvと制限車速Vrとの差分に応じて、下記式に従って主体度Dを算出する。
【0117】
【数4】
【0118】
ここでは、係数a=1として設定するが、制限車速Vrに対して実車速Vvが高い場合と低い場合とで変更してもよい。例えば制限車速に対して実車速が高い場合は、a<1(例えば0.5)と設定し、制限車速に対して実車速が遅い場合はa>1(例えば1.1)となるように設定する。
【0119】
図48は、自車速と主体度との関係を示すグラフである。
この図のように、自車速Vvが制限速度Vrに近似するほど、主体度Dが大きくなる。
続くステップS115では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図49は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
この図のように、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制する。また加法混色は主体度が低いほど、赤色を濃く(強く)する。
続くステップS116では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0120】
《作用》
運転者が法定速度を遵守しているときは、運転者の主体度Dが高いと考えられる。そこで、自車速Vvと、現在走行中の道路の制限速度Vrとの差分に応じて主体度Dを算出し(ステップS114)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS115、S116)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度が高い場合、画面全体の明るさ・配色を暗めに設定する。
こうして、主体度Dが低くなるシーンでは、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0121】
《効果》
(1)前記算出手段は、走行中の道路の制限速度に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0122】
《第12実施形態》
《構成》
本実施形態は、周囲を車両に囲まれている場合、表示内容を変更するものである。
図50は、第12実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS121では、レーザレーダ1で検出した周囲車両を検出する。
続くステップS122では、周囲車両の位置が、自車位置に対して前方か後方か、又は左方か右方かを算出する。例えば、自車から一定範囲内に存在する周囲車両の位置から「前方P_front」「後方P_rear」「右P_right」「左P_Left」とグルーピングし、各方向に他車が存在する場合は1、存在しない場合は0とする。
【0123】
続くステップS123では、各方向における周囲車両の有無に応じて、下記式に従って主体度Dを算出する。
D=100−25×(P_front+P_rear+P_right+P_Left)
図51は、周囲車両の数と主体度との関係を示すグラフである。
自車周辺に車両が存在する場合、自車の移動を制限するため、この図のように、周囲車両の数が多いほど主体度Dが小さくなる。
【0124】
続くステップS124では、主体度Dに応じた表示形態を決定する。
図52は、主体度に応じた表示形態を決定する各種マップである。
ここでは、画面全体と注目対象とを区別しながら、主体度に応じて、明るさ、加法混色、点滅速度、表示情報量を決定する。例えば、画面全体については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は主体度が低いほど赤色を濃く(強く)する。また、注目対象については、主体度が高いほど、明るさを抑制し、点滅速度を抑制し、また加法混色は、主体度が高いほど青色を濃くし、主体度が低いほど赤色を濃くし、主体度が増加するにつれて緑色が最初は増加し、最大値に達した後は減少する。
【0125】
続くステップS125では、決定した表示形態に従って、表示装置7を介して運転者に情報提供してから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、主体度Dに応じて、表示視点を調整してもよい。
【0126】
《作用》
周囲車両が多いときには、積極的にリスク情報を表示することが望ましい。そこで、周囲車両の数が多いほど、運転者の主体度を低くし(ステップS123)、この主体度Dに応じて表示形態を変更する(ステップS124、S125)。例えば、主体度Dが低いほど、明るさを増加させたり、点滅速度を早くしたり、色合いを強調したりする。すなわち、主体度が高い場合、画面全体の明るさ・配色を暗めに設定し、表示情報量を少なく設定する。主体度が低い場合、表示情報量を多く設定すると共に注目対象としてリスク情報も積極的に表示をし、リスク情報の明るさ・配色を明るく設定する。
こうして、周囲車両が多いシーンでは、単に装置の作動状況を表示するだけではなく、リスク情報を強調することができる。
【0127】
《効果》
(1)前記算出手段は、自車両の周囲に存在する周囲車両の数を検出し、検出した周囲車両の数に応じて前記主体度を算出する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0128】
《第13実施形態》
《構成》
本実施形態は、ドライバスイッチ操作からドライバの意図を推定し、算出した主体度Dを補正するものである。
図53は、第13実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS131では、運転補助装置スイッチのON/OFF状態を読込む。運転補助装置スイッチとは、例えばLDP、MB、VDC、HSA、HDCなどを強制的に非作動状態(OFF)にできるスイッチである。
【0129】
続くステップS132では、主体度Dの補正量Cを算出する。
ここで、ドライバが意図的に運転補助装置をONにした場合、主体度Dを低く補正するために、例えばC=−25%に設定し、ドライバが意図的に運転補助装置をOFFにした場合、主体度を高く補正するために、例えばC=25%に設定する。なお、例えばVDCのように、通常時にON状態となっている運転補助装置の場合、これを強制的にOFFにするスイッチがあるので、このスイッチがOFFにされたときだけ補正量Cを算出するようにしてもよい。
主体度の補正値は−25%〜25%の範囲で設定する。
【0130】
図54は、運転補助装置スイッチのON/OFFに応じた補正量を示すグラフである。
この図のように、運転補助装置スイッチがONのときには、補正量Cをマイナス側の所定値に設定し、運転補助装置スイッチがOFFのときには、補正量Cをプラス側の所定値に設定する。
続くステップS133では、前述した第5実施形態と同様に、ドライバのアクセル操作、ブレーキ操作、シフト操作、ステアリング操作、ナビ操作、計器類の操作など、各種操作の操作頻度hを算出する。
【0131】
続くステップS134では、操作頻度hと適正頻度Hとの関係に従って、補正量Cを算出する。すなわち、操作頻度hが適正頻度Hとの差分が、所定範囲内(例えば±10%以内)であれば、補正量Cを0に設定する。また、操作頻度hが適正頻度Hより大きく、その差分が大きいほど、補正量Cをプラス側に大きくし、逆に操作頻度hが適正頻度Hより小さく、その差分が大きいほど、補正量Cをマイナス側に大きくする。
【0132】
図55は、適正頻度に対する操作頻度の差分と補正量との関係を示すグラフである。
この図のように、適正頻度Hに対して操作頻度hが相対的に大きくなるほど、補正量Cをプラス側に大きくし、逆に操作頻度hが相対的に小さくなるほど、補正量Cをマイナス側に大きくする。
続くステップS135では、既に算出している主体度Dに、上記の各補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0133】
《作用》
運転補助装置スイッチのON/OFF状態と、各種操作の頻度とは、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、運転補助装置のスイッチ操作と、その他の各種操作頻度とに応じた補正量Cを算出し(ステップS132、S134)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS135)。
【0134】
すなわち、操作頻度が適正頻度付近のドライバの場合、運転が上手なドライバであるとみなし、主体度を高く補正する。また、ドライバ自ら運転補助装置をオフにし、かつ、操作頻度が適正頻度から離れたドライバの場合は運転が下手なドライバであるとみなし、主体度を低く補正する。
【0135】
《効果》
運転補助装置のスイッチ操作に応じて主体度Dを補正する。
これにより、ドライバの意図を反映した主体度を算出することができる。
【0136】
《第14実施形態》
《構成》
本実施形態は、運転補助装置の制御介入回数に応じて主体度Dを補正するものである。
図56は、第14実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS141では、運転補助装置の作動状態を検出する。
具体的には、制御介入があったときのリスク度合を、各運転補助装置ごとに「低リスク」「高リスク」で分類しておく。例えば、MBは「低リスク」、ABSやVDCは「高リスクとする。そして、低リスクの運転補助装置が介入した回数と、高リスクの運転補助装置が作動した回数とを夫々カウントする。
【0137】
図57は、作動回数カウント処理を示すフローチャートの一例である。
この図のように、運転補助装置が作動したときには、それが低リスクの運転補助装置であるか、又は高リスクの運転補助装置であるかを区別して、その作動回数をカウントしてゆく。
続くステップS142では、低リスクの運転補助装置が作動した回数と、高リスクの運転補助装置が作動した回数とに応じて、個別に補正量Cを算出する。各補正量は−50〜50%の値で設定する。
【0138】
低リスクの運転補助装置の場合、作動回数が0のときに補正量Cを0とし、低リスク用の適度な基準回数(例えば5回)までの範囲で作動回数が増加するときには、主体度Dを低くするために補正量Cをマイナス側に大きくする。そして、基準回数を超えると、それ以降は作動回数が増えるほど、補正量Cのマイナス分を小さくしてゆき、0を境に今度は主体度Dを高くするためにプラス側へ大きくしてゆく。
【0139】
図58は、低リスクの運転補助装置における作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
この図のように、作動回数が基準回数に近似するときに、補正量Cは最もマイナス側に大きくなり(例えば−25%)、基準回数から離れるほど、そのマイナス分が小さくなるように設定されている。
【0140】
高リスクの運転補助装置の場合、作動回数が0のときに補正量Cを0とし、作動回数が増加するほど、補正量Cをマイナス側に大きくする。ここで、高リスク用の適度な基準回数(例えば3回)に達するまでと、その基準回数を超えた後とで、勾配を変え、−50%を下限値としてリミットをかける。
図59は、高リスクの運転補助装置における作動回数と補正量との関係を示すグラフである。
【0141】
この図のように、作動回数が増加するほど、補正量Cが0〜−50%の範囲で減少するように設定されている。
続くステップS143では、既に算出している主体度Dに、上記の各補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0142】
《作用》
運転補助装置の作動回数は、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、低リスクの運転補助装置の作動回数と、高リスクの運転補助装置の作動回数とを個別に算出し(ステップS141)、夫々の作動回数に応じた補正量Cを算出し(ステップS142)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS143)。
【0143】
すなわち、低リスクの運転補助装置の場合には、基準回数までは主体度が低くなるように補正するが、それ以降は作動回数が多くなるほど、積極的に制御介入させて走行するドライバと見なし、主体度を高く補正する。また、高リスクの運転補助装置の場合には、作動回数が増加するほど、主体度Dを低く補正する。
【0144】
《効果》
運転補助装置の制御作動回数に応じて主体度を補正する。
これにより、より高精度に主体度を算出することができる。
【0145】
《第15実施形態》
《構成》
本実施形態は、運転時間に応じて主体度Dを補正するものである。
図60は、第15実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS161では、運転継続時間を検出する。これは、例えばエンジンをONにしてからの経過時間である。
【0146】
続くステップS162では、運転継続時間Tに応じて補正量Cを算出する。
補正値は−50〜50%の値で設定する。
ここで、運転継続時間T[min]が、基準時間T1[min]より小さい場合には、下記に示すように補正量Cを0にする。
C=0
一方、運転継続時間T[min]が、基準時間T1[min]より大きい場合には、下記式に従って補正量Cを算出する。ここで、aは係数であり、例えば−0.1である。
C=a(T−T1)
【0147】
図61は、運転継続時間と補正量との関係を示すグラフである。
この図のように、運転継続時間Tが基準時間T1未満であるときには、補正量Cが0を維持し、運転継続時間Tが基準時間T1を超えて増加するほど、補正量Cが0からマイナス側へと大きくなるように設定されている。
続くステップS163では、既に算出している主体度Dに、上記の補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0148】
《作用》
運転を開始してからの運転継続時間は、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、運転継続時間Tを計測し(ステップS151)、運転継続時間Tに応じて補正量を算出し(ステップS152)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS153)。
すなわち、長時間に渡って運転を継続すると、運転者の主体度Dが低下すると考えられるので、運転継続時間Tが長くなるほど、主体度Dを低く補正する。
【0149】
《効果》
運転継続時間に応じて主体度を補正する。
これにより、主体度をより高精度に算出することができる。
【0150】
《第16実施形態》
《構成》
本実施形態は、時間帯に応じて主体度Dを補正するものである。
図62は、第16実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS161では、現在の時刻を検出する。
続くステップS162では、運転している時刻が、通常運転している時間帯と異なっているか否かに応じて補正量Cを算出する。
補正値は0〜1.0の範囲で設定する。
【0151】
ここで、例えば通常運転している時間が『昼間』のドライバが『夜間』に運転している場合は、補正量Cをマイナス側に設定する。
具体的には、昼間に運転している通算時間Tdと、夜間に運転している通算時間Tnとを予めカウントしておき、以下の式にて補正項を算出する。
夜間の運転が多くTn>Tdとなるドライバが、昼間に運転している場合には、下記式に従って補正量Cを算出する。
C=Td/(Td+Tn)
【0152】
一方、昼間の運転が多くTn<Tdとなるドライバが、夜間に運転している場合には、下記式に従って補正量Cを算出する。
C=Tn/(Td+Tn)
上記以外の場合には、補正量C=1とする。
上記で算出した補正値に重み係数a(例:a=1.0)を乗算してもよい。
なお、簡略的に単に運転時刻から補正量Cを算出してもよい。
【0153】
図63は、運転時刻と補正量との関係を示すグラフの一例である。
この図のように、単に夜間運転のときに補正量Cをマイナス側に大きくし、主体度Dを低くするようにしてもよい。
【0154】
続くステップS163では、既に算出している主体度Dに、上記の補正量Cを加算することで、主体度Dの補正を行ってから所定のメインプログラムに復帰する。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0155】
《作用》
運転をしている時間帯は、運転者の主体度Dと相関がある。そこで、運転している時刻を検出し(ステップS161)、現在の時刻が、普段運転している時間帯と異なっているか否かに応じて補正量Cを算出し(ステップS162)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS163)。
【0156】
すなわち、普段と違う時間帯に運転をすると、運転者の主体度Dが低下すると考えられるので、普段は昼間の運転が多いのか、又は夜間の運転が多いのかを考慮し、普段と異なる時間帯に運転しているときには、主体度Dを低く補正する。
なお、主体度Dとマップから表示内容を算出し、予め重み付けされた各表示内容のうち、その重みのセレクトハイによって表示内容のみを表示するようにしてもよい。
【0157】
《効果》
運転する時間帯に応じて主体度を補正する。
これにより、より幅広いシーンで、且つ簡易な演算で、車両走行に対する運転者の主体度を算出することができる。
【0158】
《第17実施形態》
《構成》
本実施形態は、主体度算出自体を補正するものである。
図64は、第17実施形態における主体度補正処理を示すフローチャートである。
先ずステップS171では、ある所定時間における、補正前の主体度の過去値平均を算出する。
続くステップS172では、過去平均値を用いて、下記式に従って補正量Cを算出する。
【0159】
【数5】
【0160】
主体度補正値は−50〜50%の値で設定する。
なお、算出した補正値Cに重み係数a(例:a=1.0)を乗算してもよい。
なお、補正した結果が0%を下回る場合は0%を下限とし、100%を上回る場合は100%を上限とし、リミッタ処理を行う。
【0161】
《作用》
主体度Dを補正するにあたって、補正前の主体度Dの過去平均を考慮することも望ましい。そこで、補正前の過去平均値に応じて補正量Cを算出し(ステップS172)、これを算出済の主体度Dに加算することで、主体度Dを補正する(ステップS173)。
すなわち、過去平均を考慮することで、主体度Dの急変を抑制する。
なお、主体度Dの算出方法から各々の表示マップを読込み、算出した主体度とマップから各表示内容を決定してもよい。
【0162】
《効果》
主体度の過去の平均値に応じて主体度を補正する。
これにより、誤差を低減した主体度を算出することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 レーザレーダ
2 カメラ
3 画像処理装置
4 車速センサ
6 ブレーキアクチュエータ
7 表示装置
8 ドライバ操作検出装置
9 ナビゲーションシステム
10 コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御する複数の制御手段と、該制御手段の少なくとも一つが作動するときに、車両走行のリスク及び当該制御手段の作動状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する表示手段と、車両走行に対する運転者の主体度を算出する算出手段と、該算出手段が算出した主体度に応じて前記表示手段による視覚情報の表示形態を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記算出手段は、車両に発生している車両挙動のうち、運転者の運転操作量に応じた車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記算出手段は、所定時間後の車両に発生する予測車両挙動のうち、所定時間後における運転者の運転操作量に応じた予測車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記制御手段の作動と前記主体度との関係を予め定めておき、前記制御手段の作動状態に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記制御手段が作動したときの制御量に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形のサイズを大きくすることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形を表示した三原色のうち、赤色を濃くすることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の輝度を高くすることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の点滅速度を早くすることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形を表示した三原色のうち、青色を濃くすることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形の輝度を高くすることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記リスク図形の点滅速度を早くすることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記表示手段は、前記主体度が低いほど、自車両をズームアップすることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記表示手段は、車両走行のリスクを表す将来の状況、前記制御手段の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況、前記制御手段の作動を表す過去の状況の何れか一つを表示することを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項15】
前記算出手段は、運転者による運転操作の頻度を算出し、算出した頻度に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項16】
前記算出手段は、運転者の覚醒度を算出し、算出した覚醒度に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項17】
前記算出手段は、走行中の経路で過去における走行回数を算出し、算出した走行回数に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項18】
前記算出手段は、道路の混雑度合を検出し、検出した混雑度合に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項19】
前記算出手段は、走行中の道路の制限速度に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項20】
前記算出手段は、自車両の周囲に存在する周囲車両の数を検出し、検出した周囲車両の数に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜19の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項21】
車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスク及び当該制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示するものであって、車両走行に対する運転者の主体度を算出し、算出した主体度に応じて前記視覚情報の表示形態を変更することを特徴とする運転支援方法。
【請求項1】
車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御する複数の制御手段と、該制御手段の少なくとも一つが作動するときに、車両走行のリスク及び当該制御手段の作動状態の少なくとも一方を視覚情報として表示する表示手段と、車両走行に対する運転者の主体度を算出する算出手段と、該算出手段が算出した主体度に応じて前記表示手段による視覚情報の表示形態を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記算出手段は、車両に発生している車両挙動のうち、運転者の運転操作量に応じた車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記算出手段は、所定時間後の車両に発生する予測車両挙動のうち、所定時間後における運転者の運転操作量に応じた予測車両挙動が占める割合に基づいて、前記主体度を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記制御手段の作動と前記主体度との関係を予め定めておき、前記制御手段の作動状態に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記制御手段が作動したときの制御量に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形のサイズを大きくすることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形を表示した三原色のうち、赤色を濃くすることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の輝度を高くすることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記表示手段は、前記制御手段の作動によって車両に作用する力を表す作用状態図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記作用状態図形の点滅速度を早くすることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形を表示した三原色のうち、青色を濃くすることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が高いほど、前記リスク図形の輝度を高くすることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記表示手段は、車両走行に対するリスクを表すリスク図形を視覚情報として表示し、
前記変更手段は、前記主体度が低いほど、前記リスク図形の点滅速度を早くすることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記表示手段は、前記主体度が低いほど、自車両をズームアップすることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記表示手段は、車両走行のリスクを表す将来の状況、前記制御手段の作動に応じた車両挙動を表す現在の状況、前記制御手段の作動を表す過去の状況の何れか一つを表示することを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項15】
前記算出手段は、運転者による運転操作の頻度を算出し、算出した頻度に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項16】
前記算出手段は、運転者の覚醒度を算出し、算出した覚醒度に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項17】
前記算出手段は、走行中の経路で過去における走行回数を算出し、算出した走行回数に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項18】
前記算出手段は、道路の混雑度合を検出し、検出した混雑度合に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項19】
前記算出手段は、走行中の道路の制限速度に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項20】
前記算出手段は、自車両の周囲に存在する周囲車両の数を検出し、検出した周囲車両の数に応じて前記主体度を算出することを特徴とする請求項1〜19の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項21】
車両走行のリスクを検出したときに車両走行を制御すると共に、車両走行のリスク及び当該制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示するものであって、車両走行に対する運転者の主体度を算出し、算出した主体度に応じて前記視覚情報の表示形態を変更することを特徴とする運転支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
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【図28】
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【図32】
【図33】
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【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
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【図43】
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【図48】
【図49】
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【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
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【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【公開番号】特開2011−1049(P2011−1049A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17992(P2010−17992)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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