説明

運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラム

【課題】画像データの撮影意図を推定することにより、画像を用いた運転支援を行う上での利便性を高めることができる、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供すること。
【解決手段】運転支援装置50は、撮影機器にて撮影された画像データを取得する画像取得部51aと、この画像取得部51aにて取得された画像データに基づいて、当該画像データの撮影意図を推定する撮影意図推定部51cと、この撮影意図推定部51cにて推定された撮影意図に基づいて、画像取得部51aにて取得された画像データを用いた運転支援を行う運転支援部51dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバの運転を支援する装置として、ユーザによって入力された画像に基づいて、目的地を設定する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ユーザが、目的地設定を行うための初期画面を表示部に表示させ、この状態で画像を当該装置に入力し、さらにこの画像に対する範囲指定を行う。そして、当該装置において、ユーザによって指定された範囲内に含まれる文字情報が認識され、この認識によって得られた文字情報に基づいて目的地が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−38556号公報(段落0026から段落0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の如き従来の運転支援装置では、目的地の設定を行うためには、目的地設定を行うための初期画面を表示部に表示させる等、目的地設定を行う意図を指示するために、ユーザが当該装置に対して何らかの操作を行う必要があり、画像を用いた運転支援を行う上での利便性を低下させる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像データの撮影意図を推定することにより、画像を用いた運転支援を行う上での利便性を高めることができる、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の運転支援装置は、撮影機器にて撮影された画像データを取得する画像取得手段と、前記画像取得手段にて取得された画像データに基づいて、当該画像データの撮影意図を推定する撮影意図推定手段と、前記撮影意図推定手段にて推定された撮影意図に基づいて、前記画像取得手段にて取得された画像データを用いた運転支援を行う運転支援手段とを備える。
【0007】
また、請求項2に記載の運転支援装置は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記撮影意図推定手段は、前記画像データの撮影意図が、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であることを推定する。
【0008】
また、請求項3に記載の運転支援装置は、請求項2に記載の運転支援装置において、前記撮影意図推定手段は、前記被写体が印刷物であるか否かを判定し、印刷物であると判定した場合には、前記画像データの撮影意図が、当該被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、前記運転支援手段は、前記画像データの撮影意図が、前記被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であることが、前記撮影意図推定手段によって推定された場合には、前記被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する。
【0009】
また、請求項4に記載の運転支援装置は、請求項3に記載の運転支援装置において、前記画像取得手段にて取得された画像データのドットピッチに基づいて、前記被写体が印刷物であるか否かを判定する。
【0010】
また、請求項5に記載の運転支援装置は、請求項2に記載の運転支援装置において、前記撮影意図推定手段は、前記画像取得手段にて取得された画像データに唯一の地点情報が含まれるか否かを判定し、唯一の地点情報が含まれると判定した場合には、前記画像データの撮影意図が、当該唯一の地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、前記運転支援手段は、前記画像データの撮影意図が、前記唯一の地点情報を目的地に設定する意図であることが、前記撮影意図推定手段によって推定された場合には、前記唯一の地点情報を目的地に設定する。
【0011】
また、請求項6に記載の運転支援方法は、撮影機器にて撮影された画像データを取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにて取得された画像データに基づいて、当該画像データの撮影意図を推定する撮影意図推定ステップと、前記撮影意図推定ステップにて推定された撮影意図に基づいて、前記画像取得ステップにて取得された画像データを用いた運転支援を行う運転支援ステップとを含む。
【0012】
また、請求項7に記載の運転支援プログラムは、請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の運転支援装置、請求項6に記載の運転支援方法、及び請求項7に記載の運転支援プログラムによれば、画像データの撮影意図を推定し、推定された撮影意図に基づいて、画像データを用いた運転支援を行うので、画像データの撮影意図をユーザが操作によって指示することが不要となり、画像を用いた運転支援を行う上での利便性を高めることができる。
【0014】
請求項2に記載の運転支援装置によれば、画像データの撮影意図が、画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であることを推定するので、当該地点情報を自動的に目的地に設定すること等により、画像を用いた目的地設定を行う上での利便性を高めることができる。
【0015】
請求項3に記載の運転支援装置によれば、被写体が印刷物であると判定した場合には、画像データの撮影意図が、当該被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、この被写体に含まれる地点情報を目的地に設定するので、印刷物を被写体とした画像データを入力することで目的地を自動的に設定することができ、印刷物を用いた目的地設定を行う上での利便性を高めることができる。
【0016】
請求項4に記載の運転支援装置によれば、画像データのドットピッチに基づいて、被写体が印刷物であるか否かを判定するので、被写体に含まれる情報に基づいて被写体が印刷物であるか否かを判定することが困難な場合であっても、被写体が印刷物であるか否かを判定することができる。
【0017】
請求項5に記載の運転支援装置によれば、画像データに唯一の地点情報が含まれると判定した場合には、画像データの撮影意図が、当該唯一の地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、この唯一の地点情報を目的地に設定するので、唯一の地点情報を含んだ画像データを入力することで目的地を自動的に設定することができ、画像データを用いた目的地設定を行う上での利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る運転支援システムを例示するブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る運転支援処理のフローチャートである。
【図3】実施の形態2に係る運転支援システムにおいて登録される唯一テンプレートを例示する図である。
【図4】実施の形態2に係る運転支援システムにおいて登録される複数テンプレートを例示する図である。
【図5】実施の形態2に係る運転支援処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、画像データの被写体が印刷物であるか否かを判定し、印刷物であると判定した場合には、画像データの撮影意図が、当該被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であると推定する形態である。
【0021】
(構成)
まず、実施の形態1に係る運転支援システムの構成を説明する。図1は、実施の形態1に係る運転支援システムを例示するブロック図である。この運転支援システム1は、現在位置検出処理部10、車速センサ20、ディスプレイ30、スピーカ40、及び運転支援装置50を備えている。
【0022】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部10は、運転支援装置50が取り付けられた車両(以下、自車両)の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部10は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の自車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0023】
(構成−車速センサ)
車速センサ20は、自車両の車輪の回転速度等を運転支援装置50に出力するものであり、公知の車速センサを用いることができる。
【0024】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ30は、運転支援装置50の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ30の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0025】
(構成−スピーカ)
スピーカ40は、運転支援装置50の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ40より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0026】
(構成−運転支援装置)
運転支援装置50は、運転支援制御を行う案内制御手段であり、制御部51及びデータ記録部52を備えている。
【0027】
(構成−運転支援装置−制御部)
制御部51は、運転支援装置50を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態1に係る運転支援プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して運転支援装置50にインストールされることで、制御部51の各部を実質的に構成する。なお、制御部51のRAMによって記憶される情報には、目的地情報と登録地情報が含まれる。ここで、「目的地」とは、自車両の最終到達地として設定される位置である。「登録地」とは、目的地や立寄地等として設定するために登録される位置である。例えば、登録地情報は、登録地の位置(座標)と画像を関連付けて構成される。
【0028】
この制御部51は、機能概念的に、画像取得部51a、文字認識部51b、撮影意図推定部51c、及び運転支援部51dを備えている。
【0029】
画像取得部51aは、撮影機器にて撮影された画像データを取得する画像取得手段である。ここで、「撮影機器」とは、画像データを撮影可能な任意の機器であり、例えば、デジタルカメラや撮影機能付きの携帯電話を含む。画像取得部51aが撮影機器から画像データを取得するための具体的な取得方法は任意であり、例えば、通信ケーブルを介した有線通信、ブルートゥースの如き無線通信、あるいは各種の記録媒体を介して、画像データを取得することができる。これら有線通信、無線通信、あるいは記録媒体の読み取りを行うための機器やインターフェースについては、公知のものを使用することができるため、その図示を省略する。
【0030】
文字認識部51bは、画像取得部51aにて取得された画像データに含まれる文字を認識するための文字認識手段であり、公知のOCR(Optical Character Reader)アルゴリズムに基づいて文字認識を行う。
【0031】
撮影意図推定部51cは、画像取得部51aにて取得された画像データに基づいて、当該画像データの撮影意図を推定する撮影意図推定手段である。
【0032】
運転支援部51dは、撮影意図推定部51cにて推定された撮影意図に基づいて、画像取得部51aにて取得された画像データを用いた運転支援を行う運転支援手段である。
【0033】
(構成−運転支援装置−データ記録部)
データ記録部52は、運転支援装置50の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0034】
このデータ記録部52は、地図情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)52aを備えている。地図情報DB52aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」とは、交差点や一時停止地点を含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、交差点データ(交差点座標等)や、地図をディスプレイ30に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。また、地図情報には、目的地を特定するための施設情報(例えば、施設の名称、住所、座標、及びジャンル等)が含まれる。
【0035】
(処理)
次に、このように構成される運転支援装置50によって実行される運転支援処理について説明する。図2は運転支援処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。最初に、ユーザが、撮影機器で撮影した画像データを運転支援装置50に入力すると、この画像データが画像取得部51aにより取得される(SA1)。次いで、文字認識部51bは、画像取得部51aにより取得された画像データに対する文字認識を行う(SA2)。そして、文字認識を正常に行うことができた場合には(SA3、Yes)、SA4に移行し、文字認識を正常に行うことができなかった場合には(SA3、No)、ディスプレイ30に所定のエラー画面を表示させて(SA7)、運転支援処理を終了する。ここで、文字認識を正常に行うことができなかった場合としては、例えば、画像データの画像品質が悪いために文字認識処理が完了できなかった場合や、文字認識処理が完了できた場合であっても文字認識結果中に文字が一つも含まれなかった場合等が該当する。
【0036】
文字認識を正常に行うことができた場合(SA3、Yes)、撮影意図推定部51cは、画像データのドットピッチを特定し、当該特定したドットピッチが、データ記録部52に予め設定されたドットピッチの閾値(以下、「基準ドットピッチ」)より大きいか否かを判定する(SA4)。すなわち、画像データの被写体が印刷物である場合には、印刷物は一定ピッチのドットで印刷されていることから、当該一定ピッチに基づいて、被写体が印刷物であるか否かを判定する。ここでは、画像データを撮影した撮影機器で使用されている平均的なCCDの素子のピッチを基準ドットピッチとしており、画像データのドットピッチが基準ドットピッチより大きい場合には、画像データの被写体が印刷物であるとし、画像データのドットピッチが基準ドットピッチ以下である場合には、画像データの被写体が印刷物ではないとする。ただし、基準ドットピッチとして設定するドットピッチとしては、CCDの素子のピッチ以外のものを使用してもよい。また、基準ドットピッチの設定内容に応じて、画像データのドットピッチが基準ドットピッチと同じである場合や、画像データのドットピッチが基準ドットピッチ以下である場合に、画像データの被写体が印刷物であると判定するようにしてもよい。
【0037】
画像データのドットピッチが基準ドットピッチより大きいと判定した場合(SA4、Yes)、撮影意図推定部51cは、ユーザが印刷物を撮影してその画像データを運転支援装置50に入力するのは、当該印刷物に印刷されている地点情報を運転支援装置50における支援に利用するためであり、当該画像データの撮影意図は、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であると推定して、SA2の文字認識結果に基づいて、目的地を設定する(SA5)。例えば、SA2の文字認識にて取得された文字情報の中から、公知の言語解析ロジックに基づいて、施設の名称、住所、及びジャンル等を抽出し、当該抽出された施設の名称、住所、及びジャンル等に対応する施設の座標を地図情報DB52aから取得し、当該取得した座標を用いて目的地を設定する。このように目的地が設定されることで、さらにユーザが所定方法で指示を行うことにより、あるいはSA5の処理が行われた後に自動的に、現在位置検出処理部10にて検出された自車両の現在位置から当該目的地に至る経路が公知の経路探索ロジックにて探索され、当該探索された経路がディスプレイ30及びスピーカ40を介してユーザに案内される。
【0038】
一方、画像データのドットピッチが基準ドットピッチより大きくないと判定した場合(SA4、No)、撮影意図推定部51cは、画像データの撮影意図を、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図ではなく、登録地に設定する意図であると推定し、SA2の文字認識結果に基づいて、登録地設定及びアイコン表示を行う(SA6)。例えば、SA2の文字認識にて取得された文字情報の中からSA5と同様の方法により施設の名称、住所、及びジャンル等が抽出できる場合には、これら名称、住所、及びジャンル等に基づいてSA5と同様の方法により取得された座標を、登録地の座標として制御部51のRAMに登録する。あるいは、施設の名称、住所、及びジャンル等が抽出できない場合において、当該画像データに座標が付加されている場合には、当該座標を登録地の座標として制御部51のRAMに登録し、当該画像データに座標が付加されていない場合には、現在位置検出処理部10で検出された現在位置の座標を登録地の座標として制御部51のRAMに登録する。この際、座標に関連付けて、当該画像データをRAMに登録する。このように登録地が設定されることで、ユーザは、その後の任意のタイミングで所定方法による指示を行うことにより、制御部51のRAMから登録地の座標を読み出して地図情報DB52aの地図情報上に重畳してディスプレイ30に表示させたり、制御部51のRAMから登録地の画像データを読み出してディスプレイ30に表示させる。そして、表示させた登録地をユーザが所定操作で目的地に設定することで、自車両の現在位置から当該目的地に至る経路が公知の経路探索ロジックにて探索され、当該探索された経路がディスプレイ30及びスピーカ40を介してユーザに案内される。また、アイコンの表示は、例えば、地図情報DB52aから読み出してディスプレイ30に表示した地図情報において、上述のように特定した登録地の座標に、所定形状のアイコンを重畳表示することを意味する。アイコンの形状は任意であるが、画像データから取得された住所を表示していることがユーザに把握容易な形状とすることが好ましい。このようにアイコンが表示されることで、ユーザは、画像データの被写体に含まれる住所を地図情報に関連付けて容易に把握でき、さらに必要であれば所定方法で指示を行うことにより、当該アイコンを表示した住所を目的地に設定することで、自車両の現在位置から当該目的地に至る経路が公知の経路探索ロジックにて探索され、当該探索された経路がディスプレイ30及びスピーカ40を介してユーザに案内される。
【0039】
(効果)
このように実施の形態1によれば、画像データの撮影意図を推定し、推定された撮影意図に基づいて、画像データを用いた運転支援を行うので、画像データの撮影意図をユーザが操作によって指示することが不要となり、画像を用いた運転支援を行う上での利便性を高めることができる。
【0040】
また、画像データの撮影意図が、画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であることを推定するので、当該地点情報を自動的に目的地に設定すること等により、画像を用いた目的地設定を行う上での利便性を高めることができる。
【0041】
また、被写体が印刷物であると判定した場合には、画像データの撮影意図が、当該被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、この被写体に含まれる地点情報を目的地に設定するので、印刷物を被写体とした画像データを入力することで目的地を自動的に設定することができ、印刷物を用いた目的地設定を行う上での利便性を高めることができる。
【0042】
また、画像データのドットピッチに基づいて、被写体が印刷物であるか否かを判定するので、被写体に含まれる情報に基づいて被写体が印刷物であるか否かを判定することが困難な場合であっても、被写体が印刷物であるか否かを判定することができる。
【0043】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、画像データに唯一の地点情報が含まれると判定した場合には、画像データの撮影意図が、当該唯一の地点情報を目的地に設定する意図であると推定して運転支援を行う形態である。なお、実施の形態2及びそれ以降の実施の形態の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0044】
(構成)
まず、実施の形態2に係る運転支援システムの構成を説明する。この運転支援システム1は、実施の形態1に係る運転支援システム1とほぼ同様に構成することができるが、撮影意図推定部51cの機能が異なると共に、データ記録部52にテンプレートが格納される点で異なる。
【0045】
ここで、テンプレートとは、画像データの撮影意図の推定を、画像データの構成に基づいて行うために、定型化された画像データの構成を特定するものである。この実施の形態2では、定型化された画像データの構成として、画像データに唯一の地点情報が含まれる場合の構成と、画像データに複数の地点情報が含まれる場合の構成との2種類を想定しており、テンプレートも、前者の構成を特定するテンプレート(以下、「唯一テンプレート」)と、後者の構成を特定するテンプレート(以下、「複数テンプレート」)との2種類を設定している。
【0046】
図3は、運転支援システム1において登録される唯一テンプレート60を例示する図である。この唯一テンプレート60は、店名領域61、お店紹介本文領域62、住所及び電話領域63、第1の店内写真領域64、及び第2の店内写真領域65の各々を、図示の大きさ及び配置で含んで構成されている。すなわち、この実施の形態2では、唯一の地点情報として、お店の紹介情報が含まれることを想定しており、唯一テンプレート60に合致する構成を有する画像データは、唯一の地点情報を含む画像データであって、住所及び電話領域63に表示された情報が、住所及び電話を示す情報であると特定される。
【0047】
図4は、運転支援システム1において登録される複数テンプレート70を例示する図である。この複数テンプレート70は、第1表示領域71から第4表示領域74を含んでおり、これら第1表示領域71から第4表示領域74の各々に、店名領域75、お店紹介本文領域76、住所及び電話領域77の各々を、図示の大きさ及び配置で含んで構成されている。すなわち、この実施の形態2では、複数の地点情報として、複数のお店の紹介情報が含まれることを想定しており、複数テンプレート70に合致する構成を有する画像データは、複数の地点情報を含む画像データであって、住所及び電話領域77に表示された情報が、各お店の住所及び電話を示す情報であると特定される。
【0048】
これら唯一テンプレート60及び複数テンプレート70は、ユーザが任意に作成し、後述する運転支援処理に先立つ任意のタイミングで、ユーザが所定方法でデータ記録部52に格納する。例えば、図3及び図4に示した例は、雑誌に掲載されたお店の紹介記事の典型的な構成を反映した唯一テンプレート60及び複数テンプレート70の例であり、雑誌を撮影機器で撮影することで画像データを取得することが想定される場合にユーザが格納した例である。したがって、他の構成の画像データを取得することが想定される場合、ユーザは、当該他の構成に合致したテンプレートを作成して、データ記録部52に格納する。このテンプレートの具体的な作成方法としては、例えば、公知の作図処理を適用することができる。
【0049】
(処理)
次に、このように構成される運転支援装置50によって実行される運転支援処理について説明する。図5は運転支援処理のフローチャートである。ただし、SB1からSB3、SB7は、図2のSA1からSA3、SA7とそれぞれ同じであるため、その説明を省略する。
【0050】
文字認識を正常に行うことができた場合(SB3、Yes)、撮影意図推定部51cは、画像データにおいて文字が表示された領域を特定する。そして、撮影意図推定部51cは、データ記録部52から唯一テンプレート60及び複数テンプレート70を読み出し、画像データにおいて文字が表示された領域の構成が、これら唯一テンプレート60によって特定される構成と複数テンプレート70によって特定される構成のいずれに合致するかを判定する(SB4)。すなわち、SB1で取得された画像データが、店名領域61、お店紹介本文領域62、住所及び電話領域63、第1の店内写真領域64、及び第2の店内写真領域65の各々を、図3の唯一テンプレート60に示す大きさ及び配置で含んで構成されている場合には、当該画像データの構成が唯一テンプレート60によって特定される構成に合致するものと判定する。あるいは、SB1で取得された画像データが、第1表示領域71から第4表示領域74を含んでおり、これら第1表示領域71から第4表示領域74の各々に、店名領域75、お店紹介本文領域76、住所及び電話領域77の各々を、図4の複数テンプレート70に示す大きさ及び配置で含んで構成されている場合には、当該画像データの構成が複数テンプレート70によって特定される構成に合致するものと判定する。ここでは、SB1で取得された画像データの構成が、唯一テンプレート60や複数テンプレート70によって特定される構成に完全に一致する場合のみでなく、唯一テンプレート60や複数テンプレート70によって特定される構成を基準として予め設定された所定の許容範囲に含まれる場合にも、唯一テンプレート60によって特定される構成や複数テンプレート70によって特定される構成に合致するものと判定してもよい。例えば、SB1で取得された画像データが、第1表示領域71から第4表示領域74を含んでおり、これら第1表示領域71から第4表示領域74の各々に、住所及び電話領域77のみが含まれる場合には、たとえ当該住所及び電話領域77が図4の複数テンプレート70に示す大きさ及び配置とは異なる大きさや配置で含まれている場合であっても、当該画像データの構成は複数テンプレート70によって特定される構成に合致するものと判定してもよい。
【0051】
唯一テンプレート60によって特定される構成に合致するものと判定した場合(SB4、Yes)、撮影意図推定部51cは、画像データの撮影意図を、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、SB2の文字認識結果に基づいて、目的地を設定する(SB5)。例えば、SB2の文字認識にて取得された文字情報の中で、唯一テンプレート60における住所及び電話領域63に対応する範囲から取得された文字情報の中から、公知の言語解析ロジックに基づいて住所を抽出し、当該抽出された住所に基づいて目的地を設定する。
【0052】
一方、複数テンプレート70によって特定される構成に合致するものと判定した場合(SB4、No)、撮影意図推定部51cは、画像データの撮影意図を、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図ではなく、登録地として設定する意図であると推定し、SB2の文字認識結果に基づいて、登録地設定及びアイコン表示を行う(SB6)。例えば、SB2の文字認識にて取得された文字情報の中で、複数テンプレート70の第1表示領域71から第4表示領域74の各々における住所及び電話領域77に対応する範囲から取得された文字情報の中から、公知の言語解析ロジックに基づいて住所を抽出し、当該抽出された住所に基づいて、図2のSA6の処理と同様に、登録地の設定を行う。あるいは、図2のSA6の処理と同様に、画像データに付加された座標や現在位置検出処理部10で検出された現在位置の座標に基づいて登録地の設定を行ったり、アイコン表示を行ったり、さらにはユーザが登録地を目的地として設定した場合には当該目的地に至る経路を探索することができる。
【0053】
(効果)
このように実施の形態2によれば、画像データの撮影意図を推定し、推定された撮影意図に基づいて、画像データを用いた運転支援を行うので、画像データの撮影意図をユーザが操作によって指示することが不要となり、画像を用いた運転支援を行う上での利便性を高めることができる。
【0054】
また、画像データの撮影意図が、画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であることを推定するので、当該地点情報を自動的に目的地に設定すること等により、画像を用いた目的地設定を行う上での利便性を高めることができる。
【0055】
また、画像データに唯一の地点情報が含まれると判定した場合には、画像データの撮影意図が、当該唯一の地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、この唯一の地点情報を目的地に設定するので、唯一の地点情報を含んだ画像データを入力することで目的地を自動的に設定することができ、画像データを用いた目的地設定を行う上での利便性を高めることができる。
【0056】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0057】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0058】
(実施の形態の相互の関係について)
実施の形態1、2の相互間においては、その構成や処理の一部を相互に入れ替えたり、一方の構成や処理を他方に適用することもできる。例えば、実施の形態2における唯一テンプレート60や複数テンプレート70を用いたユーザの撮影意図の推定処理を、実施の形態1に加えてもよい。具体的には、ドットピッチに基づく判定において被写体が印刷物であると判定された場合に、唯一テンプレート60や複数テンプレート70を用いた判定を行い、画像データの構成が唯一テンプレート60にて特定される構成に合致する場合には、画像データから文字認識した結果に基づいて目的地を設定し、画像データの構成が唯一テンプレート60にて特定される構成に合致しない場合には、画像データから文字認識した結果に基づいてアイコン表示や登録地設定を行うようにしてもよい。
【0059】
(文字認識タイミングについて)
上記各実施の形態では、文字認識を行った後で、画像データの撮影意図の判定を行っているが、画像データの撮影意図の判定を行った後に、文字認識を行うようにしてもよい。例えば、図2の処理の変形例として、画像取得後、ドットピッチが基準ドットピッチより大きいか否かを判定し、ドットピッチが基準ドットピッチより大きい場合には、文字認識を行い、文字認識が可能であった場合には、当該文字認識結果に基づいてSA5の処理を行い、文字認識可能でなかった場合には、SA7のエラー表示を行うようにしてもよい。また、ドットピッチが基準ドットピッチより大きくない場合には、文字認識を行い、文字認識が可能であった場合には、当該文字認識結果に基づいてSA5の処理を行い、文字認識可能でなかった場合において、画像データに座標が付加されている場合には、当該座標に基づいてSA6の処理を行い、画像データに座標が付加されていない場合には、SA7のエラー表示を行うようにしてもよい。
【0060】
(ユーザの撮影意図に応じた運転支援について)
実施の形態1、2においては、画像データの撮影意図を、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図ではないと推定した場合には、登録地設定やアイコン表示を行っているが、この他の任意の運転支援を行うようにしてもよい。例えば、画像データを文字認識して取得された文字情報の中から、公知の言語解析ロジックに基づいて住所を抽出し、当該抽出された住所が複数存在する場合には、当該複数の住所をリスト形式でディスプレイ30に表示してもよい。この場合、ユーザが、当該複数の住所の中から一つの住所を選択すると共に、当該選択した住所を目的地や登録地として設定することを指示した場合には、当該指示に基づいて、当該選択された住所を目的地や登録地として設定してもよい。あるいは、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図ではないと推定した場合には、当該画像データが、自車両の現在位置でユーザによって撮影されたものであり、画像データの撮影意図は、この現在位置又はその周辺の地点を記録することであると推定し、現在位置検出処理部10から取得した自車両の現在位置を登録地として設定してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 運転支援システム
10 現在位置検出処理部
20 車速センサ
30 ディスプレイ
40 スピーカ
50 運転支援装置
51 制御部
51a 画像取得部
51b 文字認識部
51c 撮影意図推定部
51d 運転支援部
52 データ記録部
52a 地図情報DB
60 唯一テンプレート
61、75 店名領域
62、76 お店紹介本文領域
63、77 住所及び電話領域
64 第1の店内写真領域
65 第2の店内写真領域
70 複数テンプレート
71 第1表示領域
72 第2表示領域
73 第3表示領域
74 第4表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影機器にて撮影された画像データを取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段にて取得された画像データに基づいて、当該画像データの撮影意図を推定する撮影意図推定手段と、
前記撮影意図推定手段にて推定された撮影意図に基づいて、前記画像取得手段にて取得された画像データを用いた運転支援を行う運転支援手段と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記撮影意図推定手段は、前記画像データの撮影意図が、当該画像データの被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であることを推定する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記撮影意図推定手段は、前記被写体が印刷物であるか否かを判定し、印刷物であると判定した場合には、前記画像データの撮影意図が、当該被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、
前記運転支援手段は、前記画像データの撮影意図が、前記被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する意図であることが、前記撮影意図推定手段によって推定された場合には、前記被写体に含まれる地点情報を目的地に設定する、
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記撮影意図推定手段は、前記画像取得手段にて取得された画像データのドットピッチに基づいて、前記被写体が印刷物であるか否かを判定する、
請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記撮影意図推定手段は、前記画像取得手段にて取得された画像データに唯一の地点情報が含まれるか否かを判定し、唯一の地点情報が含まれると判定した場合には、前記画像データの撮影意図が、当該唯一の地点情報を目的地に設定する意図であると推定し、
前記運転支援手段は、前記画像データの撮影意図が、前記唯一の地点情報を目的地に設定する意図であることが、前記撮影意図推定手段によって推定された場合には、前記唯一の地点情報を目的地に設定する、
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項6】
撮影機器にて撮影された画像データを取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにて取得された画像データに基づいて、当該画像データの撮影意図を推定する撮影意図推定ステップと、
前記撮影意図推定ステップにて推定された撮影意図に基づいて、前記画像取得ステップにて取得された画像データを用いた運転支援を行う運転支援ステップと、
を含む運転支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させる運転支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−22023(P2011−22023A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167784(P2009−167784)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】