説明

運転支援装置

【課題】運転者の走行形態に応じて、適切な運転支援を行うことができる運転支援装置を提供すること。
【解決手段】運転者の運転を支援する運転支援装置において、自車両が走行する道路の車線数が複数である場合、自車両の走行車線を取得する走行車線取得手段と、取得された走行車線に応じて、運転支援内容を決定する運転支援内容決定手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の運転を支援する運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交差点における信号情報などを取得して、運転者の運転を支援する運転支援装置が知られている。例えば、特許文献1には、交差点までの距離、信号情報、及び自車両の速度に基づいて、交差点での停止条件及び進入条件を算出し、算出した停止条件及び進入条件に基づいて、交差点で車両を停止または通過させる運転支援装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、現在位置周辺の地図情報及び現在位置と、道路や交通に関する外部情報とを照合して、外部情報の正確さを判定し、外部情報の正確さに応じて、運転者への警告または車両の制御を調整する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−302819号公報
【特許文献2】特開2001−272236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の運転支援装置では、車両の走行車線によらず、一律のタイミングで警告が実施される、あるいは、一律の車両制御が実施される。ところで、道路の車線が複数である場合、走行車線によって運転者の走行形態が異なる傾向がある。このため、走行車線によらず、一律のタイミングで警告を実施すると、走行車線によっては適切なタイミングでないおそれがある。また、走行車線によらず、一律の車両制御を実施すると、走行車線によっては車両制御量が適切でないおそれがある。
【0006】
本発明は、運転者の走行形態に応じて、適切な運転支援を行うことができる運転支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明に係る運転者の運転を支援する運転支援装置は、自車両が走行する道路の車線数が複数である場合、自車両の走行車線を取得する走行車線取得手段と、取得された走行車線に応じて、運転支援内容を決定する運転支援内容決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、取得された自車両の走行車線に応じて、運転支援内容決定手段によって運転支援内容を決定する。このため、取得された自車両の走行車線から推測される運転者の走行形態に応じた運転支援内容を決定することができる。従って、運転者の走行形態に応じて、適切な運転支援を行うことができる運転支援装置を提供することができる。
【0009】
また、運転支援内容が警告タイミングであり、運転支援内容決定手段は、走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、警告タイミングを早くすることができる。警告タイミングの例としては、自車両が交差点に進入する際に、赤信号となることを警告するタイミングがある。ところで、一般的に、道路の進行方向に向かって左側の車線を走行する車両ほど、遅い車速で緩やかな加減速で走行する傾向がある。このため、走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、運転者は警告タイミングを遅く感じるものと推測される。そこで、走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、警告タイミングを早くすることにより、運転者が警告タイミングを遅く感じることを軽減できる。従って、運転者の走行形態に応じた、適切な運転支援を行うことができる。
【0010】
また、運転支援内容がブレーキ制御量であり、運転支援内容決定手段は、走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、ブレーキ制御量を大きくすることができる。ところで、一般的に、道路の進行方向に向かって右側の車線を走行する車両ほど、速い車速でメリハリのある加減速で走行する傾向がある。このため、走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、ブレーキ制御量が不足するものと推測される。そこで、走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、ブレーキ制御量を大きくするように運転支援することにより、ブレーキ制御量の不足を軽減できる。従って、運転者の走行形態に応じた、適切な運転支援を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転者の走行形態に応じて、適切な運転支援を行うことができる運転支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る運転支援装置Aのブロック構成図である。
【図2】第1実施形態に係る運転支援装置Aの動作を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る運転支援装置Bのブロック構成図である。
【図4】第2実施形態に係る運転支援装置Bの動作を示すフローチャートである。
【図5】車線の増加地点Fを示す概略図である。
【図6】複数の走行方向を許可している車線を含む道路を示す概略図である。
【図7】わき道がある道路を示す概略図である。
【図8】3車線の道路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る運転支援装置Aのブロック構成図である。運転支援装置Aは、運転支援機能を備えた車両に好適に採用されるものである。図1に示すように、運転支援装置AはECU(Electronic Control Unit)1を備えている。ECU1は、電子制御する自動車デバイスのコンピュータである。ECU1には、インフラ情報受信装置21、自車両情報検出装置22、GPS(Global Positioning System)装置23、ナビゲーション装置24、及び車載カメラ25がそれぞれ接続されている。また、ECU1には、警告装置31及びブレーキ制御装置32がそれぞれ接続されている。
【0015】
インフラ情報受信装置21は、道路に設置されたインフラ装置等からインフラ情報を受信する機能を有している。インフラ情報受信装置21は、受信したインフラ情報をECU1へ出力する。
【0016】
インフラ情報には、信号サイクル情報や道路線形情報などの車線毎に構成される情報が含まれる。信号サイクル情報の例としては、青信号、黄信号、及び赤信号の各点灯時間に関する情報、右折を指示する矢灯器の点灯時間に関する情報、現在点灯している信号とその信号が点灯してからの経過時間に関する情報などがある。この信号サイクル情報により、例えば、何秒後に赤信号になるか、右折車線の場合には、右折を指示する矢灯器が何秒後に点灯になり、何秒後に消灯するかなどが判る。道路線形情報の例としては、自車両の位置から停止線までの距離、ノード(道路の変化点)、及び車線位置に関する情報などがある。
【0017】
自車両情報検出装置22は、車速やアクセル量などの自車両情報を検出する機能を有している。自車両情報検出装置22は、検出した自車両情報をECU1へ出力する。自車両情報検出装置22として、車速センサやアクセル量検出センサなどを用いることができる。車速センサとは、車輪の回転速度を検出する車輪速センサである。アクセル量検出センサは、自車両のアクセルペダルに設けられており、アクセルペダルの操作量を検出するセンサである。
【0018】
GPS装置23は、人工衛星等を利用して自車両の位置情報を受信する機能を有している。GPS装置23は、受信した自車両の位置情報をECU1へ出力する。
【0019】
ナビゲーション装置24は、GPS装置23で受信した自車両の位置情報などを画面に表示させる装置である。ナビゲーション装置24は、自車両の現在位置周辺の地図をディスプレイ上に表示するために地図情報データベースを保持している。ナビゲーション装置24は、地図情報データベースに含まれる地図情報をECU1に出力する。
【0020】
車載カメラ25は、車両の前方等を撮像し、その撮像した画像を取得する機能を有している。例えば、車載カメラ25として、CCD(Charge Coupled Device)カメラが用いられる。車載カメラ25は、取得した撮像情報をECU1へ出力する。
【0021】
ECU1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(ReadOnly Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイスを有している。また、図1に示すように、ECU1は、情報利用判定部11、車線数算出部12、走行車線取得部13、運転支援内容決定部14、運転支援開始判定部15、運転支援実行部16、及び運転支援終了判定部17を有している。
【0022】
ECU1における情報利用判定部11は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報及び自車両情報検出装置22からの自車両情報などの情報を利用するシステムを実施可能であるか否かを判定する機能を有している。
【0023】
車線数算出部12は、道路の車線数を算出する機能を有する。道路の車線数は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報、ナビゲーション装置24からの地図情報、GPS装置23からの自車両の位置情報、車載カメラ25からの撮像情報などに基づいて、算出する機能を有している。車線数算出部12は、算出した道路の車線数に関する情報を走行車線取得部13に送信する。
【0024】
走行車線取得部13は、自車両の走行車線を取得する機能を有している。走行車線取得部13は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報、ナビゲーション装置24からの地図情報、GPS装置23からの自車両の位置情報、車載カメラ25からの撮像情報などに基づいて、自車両の走行車線を取得する。走行車線取得部13は、自車両の走行車線に関する情報を運転支援内容決定部14に送信する。
【0025】
運転支援内容決定部14は、走行車線取得部13において取得された自車両の走行車線に応じて、運転支援内容を決定する機能を有している。運転支援内容の例としては、自車両が交差点に進入する際に、赤信号となることの警告タイミングや、ブレーキ制御量などがある。例えば、運転支援内容決定部14は、自車両の走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、警告タイミングを早くするように、運転支援内容を決定する。また、例えば、運転支援内容決定部14は、自車両の走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、ブレーキ制御量を大きくするように、運転支援内容を決定する。運転支援内容決定部14は、運転支援内容に関する情報を運転支援開始判定部15に送信する。
【0026】
運転支援開始判定部15は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報、自車両情報検出装置22からの自車両情報、及び運転支援内容決定部14からの運転支援内容に関する情報などに基づいて、運転支援開始条件が成立するか否かを判定する機能を有している。運転支援開始条件が成立する例としては、自車両が赤信号で交差点に進入する可能性がある場合がある。運転支援開始判定部15は、運転支援開始条件が成立すると判断した場合、運転支援実行部16へ、運転支援開始に関する情報を送信する。
【0027】
運転支援実行部16は、運転支援開始判定部15からの運転支援開始に関する情報に基づいて、運転支援を実行する機能を有している。例えば、運転支援実行部16は、警告タイミングに関する情報を警告装置31へ送信する。または、運転支援実行部16は、ブレーキ制御量に関する情報をブレーキ制御装置32へ送信する。
【0028】
運転支援終了判定部17は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報、自車両情報検出装置22からの自車両情報などに基づいて、運転支援終了条件が成立するか否かを判定する機能を有している。運転支援終了条件が成立する例としては、停止線までの残りの距離が一定値以下である場合、サービスエリア外に自車両が出る場合、運転者が運転支援の終了設定を選択する場合、赤信号が終了した場合がある。
【0029】
警告装置31は、交差点への進入時に赤信号となるおそれがある場合などに警告を発し、運転者に警告を促す機能を有している。警告装置31として、例えば、警告音を発するブザー、警告時に点滅するランプ、または警告情報を表示する表示部などを用いることができる。警告装置31は、運転支援実行部16からの警告タイミングに関する情報に基づいて作動し、警告を発する。
【0030】
ブレーキ制御装置32は、運転支援実行部16からのブレーキ制御量に関する情報に応じて作動するものである。ブレーキ制御装置32にはブレーキ33が接続されており、ブレーキ制御装置32の指令に基づいて、ブレーキ33が作動する。
【0031】
次に、本実施形態に係る運転支援装置Aの動作について説明する。図2は、運転支援装置Aの動作を示すフローチャートである。この図2の運転支援処理は、例えばECU1などにより実行される。
【0032】
まず、図1及び図2に示すように、インフラ情報受信装置21がインフラ情報を受信し、自車両情報検出装置22が自車両情報を検出する(S1)。次いで、ECU1の情報利用判定部11が、インフラ情報や自車両情報などの情報を利用するシステムを実施可能であるか否かを判定する(S2)。例えば、情報利用判定部11が、インフラ情報や自車両情報を正常な情報であると判断した場合、インフラ情報から、十分な信号時間が残っていると判断した場合、あるいは、自車両情報から、自車両が正常であると判断した場合、インフラ情報や自車両情報などの情報を利用するシステムを実施可能であると判定する。ここで、情報利用判定部11が、インフラ情報や自車両情報などの情報を利用するシステムを実施不可能と判定した場合、運転支援動作を終了する。
【0033】
ECU1内において、情報利用判定部11が、インフラ情報や自車両情報を利用することが可能であると判断した場合、車線数算出部12は、自車両周辺の道路の車線数の算出をし、対象交差点に車線が複数あるか否かの判断をする(S3)。車線数の算出は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報、GPS装置23からの位置情報、ナビゲーション装置24からの地図情報、車載カメラ25からの撮像情報などに基づいて、行うことができる。ここで、車線数算出部12が、自車両周辺の道路の車線数が1つであると判断した場合、後述のステップS7に移行する。
【0034】
また、自車両周辺の道路の車線数が複数であると車線数算出部12が判断した場合、走行車線取得部13は、自車両の走行車線の取得を行う(S4)。次に、走行車線取得部13は、取得した自車両の走行車線が、道路の進行方向に向かって最も左側であるか否かの判定を行う(S5)。ここで、走行車線取得部13において、取得した自車両の走行車線が道路の進行方向に向かって最も左側でないと判定した場合、後述のステップS7に移行する。
【0035】
走行車線取得部13において、取得した自車両の走行車線が道路の進行方向に向かって最も左側であると判定した場合、運転支援内容決定部14が、警告タイミングが早くなるように、運転支援内容を決定する(S6)。
【0036】
次に、ECU1の運転支援開始判定部15は、運転支援開始条件として赤信号警告開始条件が成立するか否かを判定する(S7)。赤信号警告開始条件が成立する例として、自車両が赤信号で交差点に進入する可能性がある場合がある。赤信号警告開始条件が成立するか否かの判定は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報、自車両情報検出装置22からの自車両情報、及び運転支援内容決定部14からの運転支援内容に関する情報に基づいて、行うことができる。ここで、運転支援開始判定部15において、赤信号警告開始条件が成立しないと判定された場合、運転支援動作を終了する。
【0037】
運転支援開始判定部15において、赤信号警告開始条件が成立すると判定された場合には、赤信号で交差点に進入する可能性があるので、運転支援実行部16は、赤信号警告を実施する(S8)。例えば、運転支援実行部16が、警告タイミングに関する情報を警告装置31へ送信し、警告装置31が警告を発する。そして、運転支援終了判定部17は、運転支援終了条件が成立するか否かを判定する。運転支援終了判定部17において、運転支援終了条件が成立すると判定した場合、運転支援動作を終了する。運転支援終了条件が成立するか否かの判定は、インフラ情報受信装置21からのインフラ情報、自車両情報検出装置22からの自車両情報などに基づいて行うことができる。
【0038】
以上、本実施形態に係る運転支援装置Aによれば、走行車線取得手段によって算出された自車両の走行車線に応じて、運転支援内容決定手段が運転支援内容を決定する。このため、取得された自車両の走行車線から推測される運転者の走行形態に応じた運転支援内容が決定される。従って、走行車線に応じて、適切な運転支援を行うことができる運転支援装置を提供することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、走行車線取得部13において、走行車線が最も左側であるか否かを判定する例を説明したが、走行車線が最も右側であるか否かを判定してもよい。例えば、走行車線取得部13において、走行車線が最も右側であると判定された場合、運転支援内容決定部14において、走行車線が道路の進行方向に向かって最も右側であれば、警告タイミングを遅くすればよい。
【0040】
また、上記実施形態では、運転支援内容として警告タイミングを用いる例を示したが、ブレーキ制御量を用いることもできる。例えば、走行車線取得部13において、走行車線が最も右側であると判定された場合、運転支援内容決定部14において、走行車線が道路の進行方向に向かって最も右側であれば、ブレーキ制御量を大きくすればよい。あるいは、走行車線取得部13において、走行車線が最も左側であると判定された場合、運転支援内容決定部14において、走行車線が道路の進行方向に向かって最も左側であれば、ブレーキ制御量を小さくすればよい。
【0041】
(第2実施形態)
図3に、第2実施形態に係る運転支援装置Bのブロック構成図を示す。第2実施形態に係る運転支援装置BのECU4は、第1実施形態に係る運転支援装置AのECU1に、増加地点演算部18を加えたものとなっている。増加地点演算部18は、インフラ情報、位置情報、撮像情報などに基づいて、交差点付近で車線が増加するか否かについての判定を行う機能を有している。第2実施形態に係る運転支援装置Bにおけるその他の構成は、第1実施形態に係る運転支援装置Aと同様の構成である。
【0042】
次に、本実施形態に係る運転支援装置Bの動作について、図4を用いて説明する。図4は、運転支援装置Bの動作を示すフローチャートである。この図4の運転支援処理は、例えばECU4などにより実行される。まず、図4に示すように、第1実施形態の図2と同様に、インフラ情報受信装置21がインフラ情報を受信し、自車両情報検出装置22が自車両情報を検出する(S1)。次いで、ECU4内の情報利用判定部11が、インフラ情報や自車両情報などの情報を利用するシステムを実施可能であるか否かを判定する(S2)。ここで、情報利用判定部11が、インフラ情報や自車両情報などの情報を利用するシステムを実施不可能と判定した場合、運転支援動作を終了する。
【0043】
情報利用判定部11が、インフラ情報や自車両情報などの情報を利用するシステムを実施可能であると判定した場合、車線数算出部12は、自車両周辺の道路の車線数の算出を行う(S3)。ここで、車線数算出部12が、自車両周辺の道路の車線数が1つであると判断した場合、後述のステップS17に移行する。
【0044】
その後、ECU4の増加地点演算部18は、車線が増加するか否かについての判定を行う(S11)。車線が増加する例として、交差点までの経路途中に右折専用車線または左折専用車線が存在する場合がある。車線が増加するか否かの判定は、例えばインフラ情報、位置情報、撮像情報などに基づいて行うことができる。ここで、増加地点演算部18において、車線が増加しないと判定された場合、後述のステップS17に移行する。
【0045】
増加地点演算部18は、車線が増加すると判定した場合、車線の増加地点Fを取得し、取得した車線の増加地点Fから交差点の停止線Tまでの距離dを算出する(S12)。図5に、車線の増加地点F、増加地点Fから交差点の停止線Tまでの距離dの一例を示す。また、増加地点演算部18は、ブレーキ制御を実施することが可能な下限距離Dを算出する。次いで、増加地点演算部18は、車線の増加地点Fから交差点の停止線までの距離dと、ブレーキ制御を実施することが可能な下限距離Dとの大小関係を判定する(S13)。
【0046】
増加地点演算部18において、車線の増加地点Fから交差点の停止線Tまでの距離dが、ブレーキ制御を実施することが可能な下限距離Dよりも大きいと判定された場合、増加地点演算部18は、自車が車線増加レーン51を走行しているか否かを判定する(S14)。自車が車線増加レーン51を走行しているか否かの判定は、例えば、インフラ情報、自車両情報、位置情報、撮像情報などに基づいて行うことができる。ここで、増加地点演算部18において、車線の増加地点Fから交差点の停止線までの距離dが、ブレーキ制御を実施することが可能な下限距離Dよりも小さいと判定された場合、後述のステップS17に移行する。
【0047】
次に、増加地点演算部18は、自車両が増加地点Fを通過したか否かを判定する(S15)。自車両が車線の増加地点Fを通過したか否かの判定は、例えば、インフラ情報、自車両情報、位置情報、撮像情報などに基づいて行うことができる。ここで、増加地点演算部18において、自車両が車線の増加地点Fを通過していないと判定された場合、後述のステップS17に移行する。
【0048】
続いて、増加地点演算部18において、自車両が車線の増加地点Fを通過したと判定された後に、運転支援内容決定部14は、ブレーキ制御量を強める(S16)。例えば、車線増加レーン51である右折専用車線の存在により、交差点までの経路途中に車線の増加地点Fがある場合、増加地点演算部18において増加地点Fを通過したと判定された後に、運転支援内容決定部14は、走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、ブレーキ制御量が大きくなるように、運転支援内容を決定する。
【0049】
次いで、運転支援開始判定部15は、ブレーキ行動があるか否かを判定する(S17)。運転支援開始判定部15において、ブレーキ行動があると判定された場合、運転支援実行部16は、ブレーキ制御を実施する(S18)。具体的には、運転支援実行部16が、ブレーキ制御に関する情報をブレーキ制御装置32へ送信し、ブレーキ制御装置32からの指令によりブレーキ33が作動する。ここで、運転支援開始判定部15において、ブレーキ行動がないと判定された場合、後述のステップS19に移行する。
【0050】
そして、運転支援終了判定部17は、運転支援終了条件として、ブレーキ制御終了条件が成立するか否かを判定する(S19)。ブレーキ制御終了条件が成立すれば、運転支援動作を終了する。ブレーキ制御終了条件が成立する例としては、運転者がアクセルを踏んだ場合、運転者がブレーキを放した場合、または停止線までの残距離が所定値以下となった場合などがある。ここで、ブレーキ制御終了条件が成立しない場合、前述のステップ17に移行する。
【0051】
このような本実施形態に係る運転支援装置Bによれば、第1実施形態に係る運転支援装置Aによる効果に加えて、経路途中に車線の増加地点がある場合、その増加地点経過後に、走行車線に応じて、運転支援内容を決定する。従って、道路の車線変化状況に即した運転支援を提供することができる。
【0052】
上記実施形態では、運転支援内容としてブレーキ制御量を用いる例を示したが、警告タイミングを用いてもよい。例えば、左折専用車線の存在により、交差点までの経路途中に車線の増加地点Fがある場合、増加地点演算部18において増加地点Fを通過したと判定された後に、運転支援内容決定部14は、走行車線が道路の進行方向に向かって最も左側であれば、警告タイミングが早くなるように、運転支援量を決定してもよい。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、運転者の望む経路方向を考慮して、運転支援内容決定部14が運転支援内容の決定をしてもよい。運転者の望む経路方向の判断は、自車両情報検出装置22からの自車両情報などに基づいて行うことができる。例えば、運転支援内容決定部14において、運転者の望む経路方向が左方向であると判断した場合、左折するために、左側の車線を走行していると考えられるため、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じて、警告タイミングの変更をしないようにすることもできる。同様に、例えば、運転者の望む経路方向が右方向である場合、右折するために、右側の車線を走行している考えられるため、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じて、ブレーキ制御量を変更しないようにすることもできる。
【0055】
また、車線の走行許可方向を考慮して、運転支援内容決定部14が運転支援内容の決定をしてもよい。車線の走行許可方向は、例えば、インフラ情報、位置情報、撮像情報などに基づいて判断する。例えば、車線の走行許可方向が左折または右折の場合、その方向へ進行したいために、その車線を走行していると考えられるため、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じて、警告タイミングやブレーキ制御量を変更しないようにすることもできる。
【0056】
ただし、一車線で複数の走行方向を許可している場合には、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じて、警告タイミングを決定してもよい。例えば、図6のように、2つの車線61,62のうち、左側の車線62が左折と直進を許可している場合、運転支援内容決定部14は、車両M1が直進方向へ進行したいために、左側の車線62を走行していると判断する。このような場合、運転支援内容決定部14は、走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、警告タイミングが早くなるように、運転支援内容を決定する。
【0057】
また、左折専用車線または右折専用車線が存在する場合、運転支援内容決定部14が運転支援内容を調節して決定することもできる。左折専用車線または右折専用車線の存在確認は、インフラ情報、位置情報、撮像情報などに基づいて判断する。
【0058】
例えば、左折専用車線を含む複数の車線が存在する場合、運転支援内容決定部14は、左折専用車線を除いた走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、警告タイミングが早くなるように、運転支援内容を決定する。同様に、右折専用車線を含む複数の道路が存在する場合、運転支援内容決定部14は、右折専用車線を除いた走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、ブレーキ制御量が大きくなるように、運転支援内容を決定する。
【0059】
また、交差点までの途中に車両の進行が可能なわき道が存在する場合、運転支援内容決定部14が運転支援内容を調節して決定することも可能である。わき道の存在確認は、インフラ情報、位置情報、撮像情報などに基づいて判断する。
【0060】
例えば、図7のように、3つの車線71〜73において、交差点までの途中に左側へ進行可能なわき道74が存在する場合、最も左側の車線73を走行している車両M2は、わき道74へ進行したいために、その車線73を走行している可能性がある。このような場合、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じて、警告タイミングを変更しないようにすることもできる。あるいは、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じた警告タイミング決定において、警告タイミングの時間差の度合いを比較的少なくすることもできる。
【0061】
同様に、例えば、交差点までの途中に右側へ進行可能なわき道75が存在する場合、最も右側の車線71を走行している車両M3は、わき道75へ進行したいために、最も右側の車線71を走行している可能性がある。このような場合、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じて、ブレーキ制御量を変更しないようにすることもできる。あるいは、運転支援内容決定部14は、走行車線に応じたブレーキ制御量の決定において、制御差の度合いを比較的少なくすることもできる。
【0062】
また、車線数を考慮して、運転支援内容決定部14が運転支援内容を決定することが可能である。例えば、図8のように、3つの車線81〜83がある場合、最も右側の車線81を走行する車両M4への警告タイミングをTとすると、中央の車線82を走行する車両M5への警告タイミングをT+αとし、最も左側の車線83を走行する車両M6への警告タイミングをT+2αと設定する。なお、T,αは定数である。つまり、最も右側の車線81を走行する車両M4には、赤信号の交差点へ進入するT秒前に警告が行われ、中央の車線82を走行する車両M5には、赤信号の交差点へ進入するT+α秒前に警告が行われ、最も左側の車線83を走行する車両M6には、赤信号の交差点へ進入するT+2α秒前に警告が行われる。また、例えば、運転支援内容決定部14において、走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、警告タイミングを遅くしてもよい。あるいは、運転支援内容決定部14において、走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、警告タイミングを早くしてもよい。
【0063】
同様に、例えば、3つの車線81〜83がある場合、最も右側の車線81を走行する車両M4へのブレーキ制御量をB+2αとすると、中央の車線82を走行する車両M5へのブレーキ制御量をB+αとし、最も左側の車線83を走行する車両M6へのブレーキ制御量をBと設定する。なお、Bは定数である。また、例えば、運転支援内容決定部14において、走行車線が道路の進行方向に向かって右側であるほど、ブレーキ制御量を大きくしてもよい。あるいは、運転支援内容決定部14において、走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、ブレーキ制御量を小さくしてもよい。
【0064】
また、運転者の車線変更行動の予定、もしくは車線変更行動を考慮した後に、運転支援内容決定部14が運転支援内容を決定してもよい。運転者の車線変更行動の予定、もしくは車線変更行動は、自車両情報検出装置22からの右折専用車線または左折専用車線などへの車線変更に関する情報、ナビゲーション装置24からの地図情報、ナビゲーション装置24に記憶されている自宅方向に関する情報、ナビゲーション装置24に記憶されている過去の履歴情報などにより、判断する。
【0065】
例えば、運転支援内容決定部14において、運転者が左側へ車線変更を行う予定もしくは車線変更を行ったと判断した後に、走行車線が道路の進行方向に向かって左側であるほど、警告タイミングが早くなるようにする。また、例えば、運転支援内容決定部14において、運転者が右側へ車線変更を行う予定であると判断した場合、自車両が左側の車線を走行中であっても、警告タイミングを早めに設定しないようにする。
【0066】
また、運転支援内容決定部14は、交差点を右折または左折するために車線変更を行ったと判断した場合、走行車線に応じた運転支援内容の変更をしないようにすることもできる。
【0067】
また、運転支援内容決定部14は、ウィンカ点灯中、又はステアリング操作中などの車線変更中であると判断した場合、走行車線に応じた運転支援内容の変更をしないようにすることもできる。
【0068】
また、上記では、交差点の信号機における態様を説明したが、この他に、停止線などの一時停止システム、速度規制システム、踏み切り案内、プリクラッシュシステムなどにも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
A,B…運転支援装置、1,4…ECU、11…情報利用判定部、12…車線数算出部、13…走行車線取得部、14…運転支援内容決定部、15…運転支援開始判定部、16…運転支援実行部、17…運転支援終了判定部、18…増加地点演算部、21…インフラ情報受信装置、22…自車両情報検出装置、23…GPS装置、24…ナビゲーション装置、25…車載カメラ、31…警告装置、32…ブレーキ制御装置、33…ブレーキ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の運転を支援する運転支援装置であって、
自車両が走行する道路の車線数が複数である場合、前記自車両の走行車線を取得する走行車線取得手段と、
取得された前記走行車線に応じて、運転支援内容を決定する運転支援内容決定手段と、を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援内容が警告タイミングであり、
前記運転支援内容決定手段は、前記走行車線が前記道路の進行方向に向かって左側であるほど、前記警告タイミングを早くする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記運転支援内容がブレーキ制御量であり、
前記運転支援内容決定手段は、前記走行車線が前記道路の進行方向に向かって右側であるほど、前記ブレーキ制御量を大きくする、請求項1に記載の運転支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−244196(P2010−244196A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90328(P2009−90328)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】